JP2001269358A - 眼内レンズの粘着性を減少させる方法 - Google Patents

眼内レンズの粘着性を減少させる方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効率良く眼内レンズの略全域の粘着性を減少
させる方法を提供する。 【解決手段】 粘着性を有する軟性アクリル基材を用い
て形成された眼内レンズを配置具に配置する第1工程
と、眼内レンズが配置された前記配置具を眼内レンズ表
面の改質を行う処理装置内に設置する第2工程と、前記
処理装置を駆動させて眼内レンズの粘着性を減少させる
表面処理を行う第3工程とを備え、前記第1工程は前記
配置具に眼内レンズのレンズコバ部又はループ部を支持
させるようにして眼内レンズを配置することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、眼内レンズの粘着
性を減少させる方法に関し、さらに詳しくは、眼内レン
ズを配置するための配置具を使用して眼内レンズの粘着
性を減少させる方法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、白内障の手術おいて眼球内に眼内レ
ンズを挿入する際に、眼球上に小さな切開創を設けるだ
けで眼内レンズが挿入できるように、軟性のアクリル製
基材を使用した折り曲げ可能な眼内レンズを使用する方
法が用いられている。これは挿入前に眼内レンズを鑷子
等にて折り曲げておくことで挿入時の大きさを小さくし
ておき、眼内へ挿入後に折り曲げたレンズを開かせる
(開放する)というものである。
【0003】このような、軟性のアクリル製基材を使用
した眼内レンズは簡単に折り曲げることができる反面、
粘着性を有しているため、鑷子に貼りついてしまい、離
したい場所で離れないということが起こり易い。また、
鑷子に張りつかなくとも、折り曲げた際に眼内レンズど
うしで貼りついてしまい、開かなくなる等の問題もあ
る。
【0004】このような問題に対し、プラズマ発生装置
内に粘着性を有した眼内レンズを入れ、プラズマ処理を
行うと眼内レンズの表面が改質し、粘着性が減少するこ
とが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、眼内レ
ンズを直接プラズマ発生装置内に載置し、プラズマ処理
を行った場合、眼内レンズがプラズマ雰囲気中に接触を
している部分に関しては粘着性が減少するが、プラズマ
処理装置内に載置するために眼内レンズとプラズマ装置
内部とが接触をしている部分は粘着性が減少していない
という問題があった。
【0006】上記の従来技術に欠点に鑑み、効率良く眼
内レンズの略全域の粘着性を減少させる方法を提供する
ことを技術課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とす
る。
【0008】(1) 粘着性を有する軟性アクリル基材
を用いて形成された眼内レンズを配置具に配置する第1
工程と、眼内レンズが配置された前記配置具を眼内レン
ズ表面の改質を行う処理装置内に設置する第2工程と、
前記処理装置を駆動させて眼内レンズの粘着性を減少さ
せる表面処理を行う第3工程とを備え、前記第1工程は
前記配置具に眼内レンズのレンズコバ部又はループ部を
支持させるようにして眼内レンズを配置することを特徴
とする。
【0009】(2) (1)の第1工程は、前記眼内レ
ンズが有する粘着性を利用してレンズコバ部の一部を前
記配置具にくっつけて眼内レンズを配置することを特徴
とする。
【0010】(3) (1)の第3工程は、前記処理装
置内を略真空状態にして不活性ガスを導入した後、プラ
ズマ処理を施すことで眼内レンズ表面の改質を行うこと
を特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態は、粘着性を有
する軟性アクリル基材にプラズマ処理によって表面の改
質を行うことで粘着性を減少させるものであり、この軟
性アクリル基材を使って製作される折り曲げ可能な眼内
レンズに対して特に有用である。以下、粘着性を減少さ
せた眼内レンズを得る方法について説明する。
【0012】<軟性アクリル基材の製造>初めに眼内レ
ンズに使用するための軟性アクリル基材を得る方法につ
いて説明する。本発明で使用される粘着性を有する軟性
アクリル基材は、一般式(1)にて表されるモノマーが
共重合物の一材料として使用されている。
【化1】 式中、R1はHまたはCH3であり、nは0〜10から
選択され、Aはなしか、O,Sであり、R2はHまたは
芳香環から選ばれる従来から公知の各種ビニル系共重合
性モノマーであり、具体的には以下に挙げるものを使用
することができる。なお、表記上「・・・(メタ)アク
リレート」とあるのは「・・・アクリレート」または
「メタクリレート」を表す。
【0013】まず、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル
(メタ) アクリレート、 イソブチル(メタ)アクリレー
ト、n−ペンチル(メタ)アクリレート、tert−ペンチ
ル(メタ)アクリレ−ト、ヘキシル(メタ)アクリレー
ト、2−メチルブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル
(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル
(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、
ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)ア
クリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコー
ルフェニルエーテルアクリレート等の直鎖状、分岐鎖
状、環状のアルキル(メタ)アクリレート類、を挙げる
ことができ、これらを1種類以上使用して得られる共重
合物を軟性アクリル基材として使用することができる。
【0014】軟性アクリル基材を製造するには、所望す
る眼内レンズの硬さ、反発力、開放速度が得られるよう
に、前述した(メタ)アクリレート類を主材料に種々の
ビニル系共重合性モノマーを組み合わせて各々反応容器
内に入れた後、架橋剤、重合開始剤を添加して重合反応
を行う。軟性アクリル基材は室温にて柔らかく折り曲げ
る必要があるため、好ましくはガラス転移温度が10℃
以下、さらに好ましくは5℃以下の軟性アクリル基材が
得られるように種々のビニル系共重合性モノマーの配合
比等を決定させる。
【0015】重合反応に用いられる架橋剤としては1,
4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート等を使用するこ
とが好ましい。また、重合開始剤としては2,2−アゾ
ビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニト
リル、ベンゾイン、メチルオルソベンゾイルベンゾエー
ト等を使用することが好ましい。
【0016】基材の製造は、初めに50℃〜70℃程度
の温度に保たれた恒温水槽に主材料、架橋剤、重合開始
剤が入った反応容器を置き、24時間程度重合反応させ
る。次に、80℃〜100℃程度にしたオーブン内に反
応器を入れて24時間程度、重合反応させる。その後、
オーブンから反応容器を取出した後、さらに真空オーブ
ンにて温度を100℃前後、24時間程度にて反応させ
ることにより、重合反応を完結させて軟性アクリル基材
を得る。
【0017】<眼内レンズの製作>次に、上記のように
複数のビニル系共重合性モノマーを共重合させることに
より得られた軟性アクリル基材を用いて眼内レンズを製
作する。眼内レンズには光学部とこの光学部を眼内にお
いて保持するための支持部(ループ部)とを別々に形成
し、その後の工程で1つに結合させることにより得られ
る3ピースタイプと、光学部と支持部とが一体である1
ピースタイプとに大別される。
【0018】軟性アクリル基材を使用して、このような
眼内レンズを製作するには、予め凍結により基材を固め
ておき、その後旋盤にてレンズ形状に切削する等の眼内
レンズ切削加工技術を使用して製作することが可能であ
る。本発明は1ピースレンズ、3ピースレンズのどちら
でも適用することが可能である。
【0019】<眼内レンズの粘着性除去>軟性アクリル
基材にて形成された眼内レンズは、柔らかく鑷子にて簡
単に折り曲げることが可能であるが、このままでは粘着
性を有しているためプラズマ処理を行うことにより、眼
内レンズ表面上に有する粘着を減少若しくは除去させ
る。以下に本実施の形態で使用するプラズマ発生装置の
内部構成を図1に、また粘着除去の手順を図2に示すフ
ローチャートに示す。
【0020】初めに本実施形態で使用するプラズマ発生
装置等の構成の説明をし、次に眼内レンズの粘着性除去
について説明する。
【0021】1はプラズマ発生装置本体である。本実施
の形態で使用するプラズマ発生装置は市販されている装
置で十分に使用することが可能である。装置本体1内部
にはプラズマ処理を行うための小部屋2が備わってい
る。小部屋2は耐圧ガラス等からなる円筒状の部屋であ
り、さらに小部屋2の外壁の表面は多数の小孔が開いた
金属板2aによって覆われている。また、小部屋2はプ
ラズマ処理を行う物を出し入れするために設けられた開
口部が図の手前側に設けられており、装置本体1の図示
なき開閉扉を閉じることにより、開閉扉の内側に設けら
れた小蓋がこの開口部を密閉するようになっている。こ
れにより、小部屋2内は密封されるため、外気はもちろ
んのこと、装置本体1内の空気等も入らない様になって
いる。
【0022】3はプラズマ発生部であり、金属板2aを
介して小部屋2内部にプラズマを発生させる。プラズマ
発生部3は装置本体1内部の4箇所に設置されている。
4は小部屋2内を真空にさせるための真空ポンプ、5は
小部屋2内に導入する不活性ガスが入ったガスボンベで
ある。使用する不活性ガスにはアルゴンガスやヘリウム
ガス等が挙げられる。
【0023】10は眼内レンズ20を小部屋2へ配置す
るためのレンズ配置具であり、図3は図1に示すレンズ
配置具10を側面(A方向)から見た時の該略図であ
る。レンズ配置具10は眼内レンズ20を並べて載せる
ための載置台11と、載置台11の下部に固定された2
本の脚部12を有する。なお、レンズ配置具10はプラ
ズマ雰囲気中に置かれるため、レンズ配置具10を構成
する各部材はプラズマに影響を受けない素材であること
が好ましい。本実施の形態で使用しているレンズ配置具
10は石英ガラスを素材としている。
【0024】次に、以上のような構成を備えるプラズマ
発生装置本体1及びレンズ配置具10を使用して、粘着
性を有する眼内レンズ20の粘着除去について説明す
る。
【0025】初めにレンズ配置具10に眼内レンズ20
を配置する。プラズマ処理前の眼内レンズ20は、ひど
い粘着性を有しているため様々な物にくっつき易い。こ
のため、この性質を利用して載置台11上に眼内レンズ
20のコバ部(レンズの側面部)を接触させ、図3に示
すように載置台11上に眼内レンズ20を立たせる。眼
内レンズ20はその粘着性により、載置台11にくっつ
いてしまい倒れることがない。
【0026】また、レンズ配置具10と接触している眼
内レンズ20の接触箇所は、プラズマ処理後も粘着性が
残ってしまうが、実際に患者眼に眼内レンズを挿入する
際には、この接触箇所(コバ部)は眼内レンズ20の折
り曲げ時(眼内への挿入時)に鑷子等が触らない部分で
あるため、粘着性が残っていても問題とはならない。
【0027】上記のようにして、数枚の眼内レンズ20
をレンズ配置具10に配置した(くっつけた)後、装置
本体1の図示なき開閉扉を開け、小部屋2内にレンズ配
置具10入れる。小部屋2内にレンズ配置具10を入れ
た後、装置本体1を密閉して真空ポンプ4にて小部屋2
内を排気し、できるだけ真空状態にする。
【0028】小部屋2内の排気が終了後、ガスボンベ5
を使用して真空状態となっている小部屋2内に不活性ガ
スを入れる。不活性ガスの導入量は特に定める必要はな
いが、小部屋2内に残っている空気をすべて不活性ガス
に置きかえることが必要である。このため、本実施の形
態では、真空ポンプ4で装置内の気体を排気すると同時
に、小部屋2内の気圧が約0.5kPa(4Torr)の状
態になる流量で不活性ガスを3分間導入した。
【0029】小部屋2内に所定時間不活性ガスを入れた
後、再び小部屋2内を真空状態にする。この際、ガスを
導入しながら真空ポンプ4により排気を行いながらプラ
ズマ処理を行っても十分な効果が得られない。このた
め、効率よく粘着性を減少又は除去させるためには、ガ
スの導入を止めた状態で真空ポンプ4により小部屋2内
を真空状態とすることが必要である。ここでいう真空状
態とは、若干不活性ガスが残留するような状態であり、
好ましくは0Paより上で7Pa以下(0mTorrより上
で50mTorr以下)、さらに好ましくは約2Pa〜4P
a(20mTorr〜30mTorr)程度の略真空状態とすれ
ばよい。
【0030】小部屋2内が再び真空状態となったことを
確認した後、プラズマ発生部3にてプラズマを発生さ
せ、眼内レンズの表面の改質を行い、粘着性を減少若し
くは除去させる。プラズマの処理電力は、好ましくは3
00w〜400w、さらに好ましくは300w〜350
wである。また、プラズマ処理時間は処理電力による
が、好ましくは15.0分〜19.5分であり、さらに
好ましくは17.5分〜19.5分である。
【0031】以上のように、軟性アクリル基材を眼内レ
ンズの形状に形成後、プラズマ発生装置内に入れ、前述
した条件にてプラズマ処理することにより、粘着性を除
去しつつ、折り曲げても割れない眼内レンズを得ること
ができる。また、レンズ配置台10の上に眼内レンズ2
0が立たせて配置することにより、複雑な治具等を使用
することもなく、両面の粘着性を一度に取り除くことが
できる。
【0032】また、1ピースタイプの場合には、図4に
示すように、開口部31が設けられているレンズ配置台
30の縁にループ部21を支持させることにより、光学
部の両面をどこにも接触させない様にして同時に両面を
プラズマ処理することもできる。また、ループ部21を
棒形状のものに引っかけることにより、光学部を空中に
ぶら下げることにより同時に両面をプラズマ処理するこ
ともできる。
【0033】さらに、3ピースタイプの場合には、粘着
除去後にループを眼内レンズに取り付けるため、ループ
の取付作業時に触る可能性がある場所は、粘着性を除去
しておく必要がある。
【0034】ループの取付作業時に触る可能性があると
される場所は、図示なきループ取付用治具に眼内レンズ
20を載置した際に、ループ取付用治具に対する眼内レ
ンズ20の位置関係を微調整する際に触れるコバ部分で
あり、本実施形態では図5の斜線部分Bの場所が相当す
る。したがって、図5に示すようなコバ部の斜線範囲B
をレンズ配置具10に接触させない様に注意して、眼内
レンズ20をレンズ配置台10に立たせておけば、さら
に良好な粘着性がない眼内レンズが得られる。
【0035】さらにまた、本実施の形態で示す表面改質
装置はプラズマ発生装置としているが、これに限るもの
ではなく、例えば電子線等にて表面改質を行う装置にも
このような眼内レンズの配置方法が適用できる。
【0036】(実施例)エチレングリコールフェニルエ
ーテルアクリレート54.0重量部、n−ブチルアクリ
レート4.0重量部、n−ブチルメタクリレート39.
5重量部、架橋剤として1,4−ブタンジオールジアク
リレート2.0重量部を反応器内に入れ混合した後、重
合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリルを
若干量添加し、重合反応を開始させた。
【0037】重合反応は、各材料を入れた反応器を60
℃の恒温水槽にて24時間、その後90℃のオーブン内
に24時間おいて反応を進めた後、反応を完結させるた
めに真空オーブンにて95℃、24時間置き、軟性アク
リル基材を得た。その後、切削により眼内レンズの光学
部を形成した。
【0038】得られた眼内レンズを前述したレンズ配置
具に付けた後、プラズマ発生装置(株式会社ヤマト社製
PC−101A)内にレンズ配置具を入れ眼内レンズに
プラズマ処理を行った。装置内(小部屋内)の空気を真
空ポンプにて排気した後、装置内の気圧が約0.5kP
a(4Torr)の状態となる流量で、ヘリウムガスを3分
間導入した。その後、再び装置内を真空ポンプにて約7
Pa(50mTorr)になるまで排気(減圧)し、所定の
プラズマ処理条件にて粘着性の除去を行った。
【0039】プラズマの処理条件は、処理電力(250
w〜400w)、処理時間(15.0分〜25.0分)
をそれぞれ変化させて設定し、これら複数の処理条件に
対してそれぞれ眼内レンズの表面改質を行った。プラズ
マ処理後、装置内から眼内レンズを取出し、粘着性減少
の評価を行った。
【0040】評価は、鑷子によって折り曲げた眼内レン
ズを開放させたときのレンズ同士の接着性(Tackiness
チェック)と、2つの鑷子を使用して1つの眼内レンズ
を交互に挟み直したときに生じる鑷子への接着性(Stic
kinessチェック)とを評価した。また、眼内レンズを折
り曲げたときに割れるか否かの判断と、プラズマ処理後
の眼内レンズにおける白濁の度合いの評価も同時に行っ
た。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】 TackはTackinessチェック、StickはStickinessチェック
を意味する。また、評価の段階は、粘着性がほとんど取
れていないものは「不可」、プラズマ処理前に比べて粘
着性が減少したが、少し粘着性が残っている場合には
「可」、粘着性が無くなっている状態は「良」とした。
例えばTackinessチェックの場合、折り曲げた眼内レン
ズから鑷子を離したとき、すぐに眼内レンズが開けば
「良」、開くのに1〜10秒程度であれば「可」、10
秒以上かかれば「不可」とした。
【0042】(比較例1)実施例1と同じ材質の眼内レ
ンズを使用した。実施例1同様にレンズ配置台に付けた
眼内レンズをプラズマ発生装置内に載置した後、真空ポ
ンプにて装置内(小部屋内)を略真空状態とした。次に
真空ポンプにて排気作業を行いながら、アルゴンガスを
所定圧力約20Pa〜30Pa(150mTorr〜225
mTorr)になるような流量で装置内へ導入した。この状
態で種々のプラズマ発生条件にてプラズマ処理を行っ
た。プラズマ発生条件は、圧力処理電力300w,40
0w、処理時間3分〜5分とした。
【0043】プラズマ処理後、装置内から眼内レンズを
取出し、実施例1同様の評価を行った。その結果を表2
に示す。
【表2】 表2に示すように、粘着性は減少していなかった。
【0044】(比較例2)実施例1と同じ材質の眼内レ
ンズを使用し、プラズマ処理方法は不活性ガスをヘリウ
ムとした以外は比較例1と同様とした。
【0045】その結果を表3に示す。
【0046】
【表3】 表3に示すように、粘着性は減少していなかった。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、粘着性
を有する眼内レンズをレンズ表面が非接触の状態でレン
ズ配置具に配置することにより、一回の処理で効率良く
略全域の粘着性を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ発生装置の内部構成の概略を示す図で
ある。
【図2】粘着除去の手順を示すフローチャートである。
【図3】レンズ配置具10を側面から見た時の該略図で
ある。
【図4】眼内レンズを保持するためのレンズ配置具の変
容例を示す図である。
【図5】ループの取付作業時に触る可能性のある箇所を
示した図である。
【符号の説明】
1 装置本体 2 小部屋 3 プラズマ発生部 4 真空ポンプ 5 ガスボンベ 10 レンズ配置具 20 眼内レンズ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘着性を有する軟性アクリル基材を用い
    て形成された眼内レンズを配置具に配置する第1工程
    と、眼内レンズが配置された前記配置具を眼内レンズ表
    面の改質を行う処理装置内に設置する第2工程と、前記
    処理装置を駆動させて眼内レンズの粘着性を減少させる
    表面処理を行う第3工程とを備え、前記第1工程は前記
    配置具に眼内レンズのレンズコバ部又はループ部を支持
    させるようにして眼内レンズを配置することを特徴とす
    る眼内レンズの粘着性を減少させる方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の第1工程は、前記眼内レンズ
    が有する粘着性を利用してレンズコバ部の一部を前記配
    置具にくっつけて眼内レンズを配置することを特徴とす
    る眼内レンズの粘着性を減少させる方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の第3工程は、前記処理装置内
    を略真空状態にして不活性ガスを導入した後、プラズマ
    処理を施すことで眼内レンズ表面の改質を行うことを特
    徴とする眼内レンズの粘着性を減少させる方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006123428A1 (ja) * 2005-05-20 2006-11-23 Kowa Company, Ltd. 眼内レンズ
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