JP2001263464A - クラッチの潤滑構造 - Google Patents

クラッチの潤滑構造

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JP2001263464A JP2000081922A JP2000081922A JP2001263464A JP 2001263464 A JP2001263464 A JP 2001263464A JP 2000081922 A JP2000081922 A JP 2000081922A JP 2000081922 A JP2000081922 A JP 2000081922A JP 2001263464 A JP2001263464 A JP 2001263464A
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Hiroyuki Sugiura
広之 杉浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フォークリフト、建設機械等の産業車両用の
パワーシフトトランスミッション等に適用されるクラッ
チの潤滑構造において、低コストで簡便な構成の下で、
クラッチプレートとメイティングプレートへの潤滑油の
供給を確保し、クラッチ焼付等の不具合発生を防止した
ものを提供することを課題とする。 【解決手段】 クラッチギヤのスプラインに嵌合したク
ラッチプレートと、クラッチドラムに支持したメイティ
ングプレートとの摩擦接合で動力の伝達・断続を行う回
転クラッチにおいて、クラッチギヤのスプラインの内端
において、クラッチドラムに支持したプレッシャプレー
トの内方端面と当接位置に、同スプラインを作製する際
に用いられる鍛造型の切り上がりで形成された堰を設
け、潤滑油を同堰でせき止めて潤滑油を確保し、クラッ
チ焼付等の発生防止を図った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフォークリフト、建
設機械等の産業車両用のパワーシフトトランスミッショ
ン等に適用されるクラッチの潤滑構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種クラッチの潤滑構造の概要
について、図3に基づいて説明する。図3は従来の車両
のパワーシフトトランスミッションにおける回転クラッ
チ部の断面図である。
【0003】なお、同回転クラッチ部は、1つの入力を
1つの出力に伝達・断続する形態を基本とするが、出力
側を高速・低速、又は、前進・後進という様に、異なる
複数のモードへ切換えを可能とし、複数系統のクラッチ
部を並置しているものが多数実用に供されているので、
本明細書においては出力側を2系統としたものを例とし
て説明する。
【0004】1はクラッチシャフトで、図示省略のエン
ジンからの動力は、図示省略のインプットシャフトと結
合している同クラッチシャフト1のスプライン1aから
伝達される。
【0005】3、4はクラッチドラムで、それぞれクラ
ッチシャフト1に嵌装され、同クラッチシャフト1の中
央部分に形成した張出部分を介して、リベット2により
一体的に結合されている。
【0006】5、6はクラッチギヤで、同クラッチギヤ
5、6はそれぞれニードルベアリング7、8を介してク
ラッチシャフト1に嵌合され、同ニードルベアリング
7、8によりクラッチシャフト1と相対的に回転可能に
構成されている。
【0007】同クラッチギヤ5、6の内方端部には、ス
プライン5a、6aがピニオンカッタ等の機械加工によ
り成形されており、同スプライン5a、6aには複数枚
(図示の例では5枚)のクラッチプレート10、11
が、クラッチシャフト1の軸方向(スプラインの伸長方
向)に摺動可能に嵌合されている。
【0008】なお、前記した様にスプライン5a、6a
はピニオンカッタ等の機械加工で作製されるために、ピ
ニオンカッタの加工逃げが必須となり、スプラインの終
端位置に溝5e、6eが形成されることになる。
【0009】前記クラッチプレート10、11に対し
て、クラッチドラム3、4には同クラッチドラム3、4
と一体回転し動力伝達が可能な複数枚(図示の例では6
枚)のメイティングプレート12、13が嵌合支持さ
れ、同メイティングプレート12、13のそれぞれはク
ラッチプレート10、11と軸方向に一枚一枚交互に配
列されている。
【0010】またクラッチドラム3、4内にはリターン
スプリング16、17により開放位置に押し付けられて
いるピストン14、15が配置され、クラッチシャフト
1の油穴1b等に、図示省略のコントロールバルブから
の圧油が供給されることにより、リターンスプリング1
6、17のスプリング力に打ち勝ちピストン14、15
がストロークし、前述のクラッチプレート10およびメ
イティングプレート12同志、またはクラッチプレート
11およびメイティングプレート13同志を互いに押し
付け合い、その摩擦力により動力伝達を可能にしてい
る。
【0011】そしてクラッチシャフト1の軸方向に延び
て設けた潤滑油供給用の油穴1dには、図示省略のオイ
ルクーラからの潤滑油が供給され、クラッチシャフト1
の回転遠心力により油穴1e、1fからクラッチギヤ
5、6内に供給され、クラッチプレート10、11とメ
イティングプレート12、13を潤滑する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記した
従来のクラッチの潤滑構造では、クラッチシャフト1の
油穴1e、1fからの潤滑油が、スプライン5a、6a
を経てクラッチプレート10、11とメイティングプレ
ート12、13に供給される際、この潤滑油がクラッチ
ギヤ5、6の溝5e、6eから矢印r、sの方向に流出
し、クラッチプレート10、11とメイティングプレー
ト12、13へ十分に供給されず、潤滑不足によるクラ
ッチ焼付等の不具合が発生する懸念がある。
【0013】この様な潤滑油の流出による不具合を防止
するためには、オイルクーラからの潤滑油量を増やせば
良いが、その場合にはクーラの大型化、ポンプの容量ア
ップ等が必要となり、部品アイテムの増加・コスト高が
避けられない。
【0014】本発明は、前記した様な従来のものにおけ
る不具合を解消し、低コストで簡便な構成の下で、クラ
ッチプレートとメイティングプレートへの潤滑油の供給
を確保し、クラッチ焼付等の不具合発生を防止したクラ
ッチの潤滑構造を提供することを課題とするものであ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した課題を
解決すべくなされたもので、その第1の手段として、ク
ラッチギヤのスプラインに嵌合したクラッチプレート
と、クラッチドラムに支持したメイティングプレートと
の摩擦接合で動力の伝達・断続を行う回転クラッチにお
いて、スプラインの内端で前記クラッチドラムに支持し
たプレッシャプレートの内方端面と当接位置に、鍛造型
の切り上がりで形成された堰を設け、前記スプラインの
内径側から歯底まで貫通する油穴から供給される潤滑油
をせき止める様に構成したクラッチの潤滑構造を提供す
るものである。
【0016】すなわち、同第1の手段によれば、クラッ
チギヤのスプラインは、その内端において、クラッチド
ラムに支持したプレッシャプレートの内方端面と当接位
置に、同スプラインを作製する際に用いられる鍛造型の
切り上がりで形成された堰を設けているので、同スプラ
インの内径側から歯底まで貫通して設けられた油穴を経
て、遠心力等を加えられて供給される潤滑油を同堰でせ
き止めることにより、クラッチプレートとメイティング
プレートへ供給される潤滑油を確保し、クラッチ焼付等
の発生防止を図る様にしたものである。
【0017】また、本発明は第2の手段として、前記第
1の手段において、前記プレッシャプレートは、メイテ
ィングプレートとの間に緩衝部材を介装したクラッチの
潤滑構造を提供するものである。
【0018】すなわち、同第2の手段によれば、例えば
ディスクスプリング等の緩衝部材が、プレッシャプレー
トとメイティングプレートとの間に介装されているの
で、クラッチプレートとメイティングプレートが圧接さ
れて摩擦接合する際に、前記緩衝部材により衝撃的な接
合は回避されることになるので、同クラッチプレートと
メイティングプレートの摩擦接合面の破損もなく、潤滑
油の供給も安定して行われ、クラッチ機能の不具合発生
防止を図る様にしたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の第1形態について
図1に基づいて説明する。図1は本実施の形態における
クラッチの潤滑構造について、車両のパワーシフトトラ
ンスミッションを採用して概略的に示す回転クラッチ部
の断面図である。
【0020】なお、説明が冗長とならない様に、前記し
た従来のものと同一の部位については図面中に同一の符
号を付して示し、重複する説明を極力省略して本実施の
形態に特有の点につき重点的に説明する。
【0021】すなわち、本実施の形態において、クラッ
チギヤ5、6の内方端部に設けられるスプライン5a、
6aは、精密鍛造により作製されているので、鍛造型の
切り上がりにより円弧状の堰5c、6cが設けられてい
る。
【0022】なお、この円弧状の堰5c、6cは、スプ
ライン5a、6aがクラッチプレート10、11を嵌合
して支持すべく形成されたものであるために、その内
端、即ち奥端面において、クラッチドラム3、4に支持
したプレッシャプレート18、19の内方端面と当接位
置に形成されることになる。
【0023】また、前記スプライン5a、6aの歯底に
はクラッチプレート10、11とメイティングプレート
12、13を潤滑するための油穴5b、6bが成形され
ており、クラッチシャフト1の潤滑用の油穴1dを経
て、図示省略のオイルクーラから供給される潤滑油は、
クラッチシャフト1の回転遠心力により油穴1e、1f
からクラッチギヤ5、6の油穴5b、6bを介しクラッ
チプレート10、11とメイティングプレート12、1
3を潤滑する様に構成されている。
【0024】以上により本実施の形態においては、スプ
ライン5a、6aを精密鍛造にて成形する際、同スプラ
イン5a、6aの内端、即ち奥端面に鍛造型の切り上が
りにより円弧状に所定の曲率を持った堰5c、6cが形
成されているので、クラッチシャフト1の油穴1e、1
fからクラッチギヤ5、6の油穴5b、6bを介しクラ
ッチプレート10、11およびメイティングプレート1
2、13へ潤滑油を確実に供給する事が可能になり、潤
滑油流出による潤滑不足でクラッチ焼付等の不具合が発
生するのを防ぐ事ができる。
【0025】また同時に、余分な潤滑油量の増加やそれ
による潤滑油クーラやポンプの容量アップをする必要が
なくなるため、部品アイテムの減少、コスト低減を図る
ことが出来る。
【0026】次に本発明の実施の第2形態について、図
2に基づいて説明する。図2は本実施の形態における回
転クラッチ部の断面図である。
【0027】20はインプットシャフトで、図示省略の
エンジンからの動力は、図示省略のトルクコンバータの
動力出力要素であるタービンハブと結合し、同インプッ
トシャフト20へと伝達される。
【0028】22は一体型に形成されたクラッチドラム
で、前記インプットシャフト20の中央部分に形成した
張出部分を介して、リベット21により同インプットシ
ャフト20と一体的に結合されている。
【0029】前記一体型のクラッチドラム22は、前記
リベット21による結合部を境に左右二つのクラッチ室
に分かれ、それぞれのクラッチ室にはクラッチドラム2
2と一体となって回転し、動力伝達が可能な複数枚(図
示の例では6枚)のメイティングプレート29、30が
嵌合支持され、同メイティングプレート29、30は、
クラッチギヤ23、24のスプライン23a、24aに
摺動可能に嵌合された複数枚(図示の例では5枚)のク
ラッチプレート27、28と軸方向に一枚一枚交互に配
置されている。
【0030】なお、スプライン23a、24aは精密鍛
造により作製されているので、プレッシャプレート3
5、36の内方端面と当接位置に、前記精密鍛造時の鍛
造型の切り上がりによりスプライン23a、24aの内
端、即ち奥端面に円弧状の堰23c、24cが形成され
ている。
【0031】また、同一体型のクラッチドラム22の両
端部には、スナップリング37、38で固定されるプレ
ッシャプレート35、36が配置され、メイティングプ
レート29、30とそのプレッシャプレート35、36
の間には、ピストン31、32がコントロールバルブか
らの圧油でリターンスプリング33、34に打ち勝ちス
トロークしクラッチプレート27、28とメイティング
プレート29、30を押し付ける際のショックを軽減す
る緩衝部材としてディスクスプリング39、40が配置
されている。
【0032】また、前記インプットシャフト20にニー
ドルベアリング25、26を介して相対的に回転可能に
嵌合された前記クラッチギヤ23、24におけるスプラ
イン23a、24aの歯底には、クラッチプレート2
7、28とメイティングプレート29、30を潤滑する
ための油穴23b、24bが成形されており、インプッ
トシャフト20の潤滑用の油穴20dを経て図示省略の
オイルクーラから供給される潤滑油が、インプットシャ
フト20の回転遠心力により油穴20e、20fからク
ラッチギヤ23、24の油穴23b、24bを介しクラ
ッチプレート27、28とメイティングプレート29、
30を潤滑する様になっている。
【0033】以上により本実施の形態によれば、前記実
施の第1形態と同様にクラッチギヤ23、24のスプラ
イン23a、24aの奥端面に設けた堰23c、24c
により潤滑油の流出を防止し、クラッチプレート27、
28およびメイティングプレート29、30へ潤滑油を
確実に供給する事が可能になり、潤滑不足によるクラッ
チ焼付等の不具合発生を防ぐ事ができる。
【0034】また、プレッシャプレート35、36とメ
イティングプレート29、30との間に緩衝部材として
介装されたディスクスプリング39、40により、クラ
ッチプレート27、28とメイティングプレート29、
30が圧接されて摩擦接合する際に衝撃的な接合は回避
されることとなり、同クラッチプレート27、28とメ
イティングプレート29、30の摩擦接合面の破損もな
く、潤滑油の供給も安定して行われ、クラッチ機能の不
具合発生は防止される。
【0035】そして、余分な潤滑油量の増加やそれによ
る潤滑油クーラやポンプの容量アップをする必要がなく
なるため、部品アイテムの減少、コスト低減を図ること
が出来る。
【0036】以上、本発明を図示の実施の形態について
説明したが、本発明はかかる実施の形態に限定されず、
本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えて
よいことはいうまでもない。
【0037】
【発明の効果】以上、本出願の請求項1に記載の発明に
よれば、クラッチギヤのスプラインに嵌合したクラッチ
プレートと、クラッチドラムに支持したメイティングプ
レートとの摩擦接合で動力の伝達・断続を行う回転クラ
ッチにおいて、スプラインの内端で前記クラッチドラム
に支持したプレッシャプレートの内方端面と当接位置
に、鍛造型の切り上がりで形成された堰を設け、前記ス
プラインの内径側から歯底まで貫通する油穴から供給さ
れる潤滑油をせき止める様にしてクラッチの潤滑構造を
構成しているので、プレッシャプレートの内方端面と当
接する位置に、スプラインを作製する際に鍛造型の切り
上がりで同スプラインの内端、即ち奥端面に形成された
堰により、スプラインの内径側から歯底まで貫通して設
けられた油穴を経て遠心力等を加えられて供給される潤
滑油を同堰でせき止めることにより、クラッチプレート
とメイティングプレートへ供給される潤滑油を流失する
ことなく確保し、クラッチ焼付等の発生防止を確実に
し、信頼性の高いクラッチの潤滑構造を得ることが出来
たものである。
【0038】また、請求項2に記載の発明によれば、前
記請求項1に記載の発明において、前記プレッシャプレ
ートは、メイティングプレートとの間に緩衝部材を介装
してクラッチの潤滑構造を構成しているので、クラッチ
プレートとメイティングプレートが圧接されて摩擦接合
する際に、前記緩衝部材により衝撃的な接合は回避さ
れ、同クラッチプレートとメイティングプレートの摩擦
接合面の破損もなく、潤滑油の供給も安定して行われ、
クラッチ機能の不具合発生防止を達成し、信頼性の高い
クラッチの潤滑構造を得ることが出来たものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一第1形態に係るクラッチの潤
滑構造を示す回転クラッチ部の断面図である。
【図2】本発明の実施の一第2形態に係るクラッチの潤
滑構造を示す回転クラッチ部の断面図である。
【図3】従来の車両のパワーシフトトランスミッション
における回転クラッチ部の断面図である。
【符号の説明】
1 クラッチシャフト 1a スプライン 1b、1d 油穴 1e、1f 油穴 2 リベット 3、4 クラッチドラム 5、6 クラッチギヤ 5a、6a スプライン 5c、6c 堰 5b、6b 油穴 5e、6e 溝 7、8 ニードルベアリング 10、11 クラッチプレート 12、13 メイティングプレート 14、15 ピストン 16、17 リターンスプリング 18、19 プレッシャプレート 20 インプットシャフト 20b、20d 油穴 20e、20f 油穴 21 リベット 22 クラッチドラム 23、24 クラッチギヤ 23a、24a スプライン 23b、24b 油穴 23c、24c 堰 25、26 ニードルベアリング 27、28 クラッチプレート 29、30 メイティングプレート 31、32 ピストン 33、34 リターンスプリング 35、36 プレッシャプレート 37、38 スナップリング 39、40 ディスクスプリング

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クラッチギヤのスプラインに嵌合したク
    ラッチプレートと、クラッチドラムに支持したメイティ
    ングプレートとの摩擦接合で動力の伝達・断続を行う回
    転クラッチにおいて、スプラインの内端で前記クラッチ
    ドラムに支持したプレッシャプレートの内方端面と当接
    位置に、鍛造型の切り上がりで形成された堰を設け、前
    記スプラインの内径側から歯底まで貫通する油穴から供
    給される潤滑油をせき止める様に構成したことを特徴と
    するクラッチの潤滑構造。
  2. 【請求項2】 前記プレッシャプレートは、メイティン
    グプレートとの間に緩衝部材を介装したことを特徴とす
    る請求項1に記載のクラッチの潤滑構造。
JP2000081922A 2000-03-23 2000-03-23 クラッチの潤滑構造 Pending JP2001263464A (ja)

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