JP2001263142A - 内燃機関用燃料噴射装置 - Google Patents
内燃機関用燃料噴射装置Info
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Abstract
射燃料を微粒化した時に問題となる噴霧の壁面付着を低
減し、エンジンの気筒内における混合気の質、形成状態
の改善を図る。 【解決手段】燃料噴射弁1、及び吸気ポートを開閉する
吸気弁6と、吸気弁6の上流側に配設される吸気流制御
装置10とを備え、エンジンが低負荷・低回転時には、
噴射燃料を低ペネトレーション噴霧とし、高負荷・高回
転時には高ペネトレーション噴霧とすることにより、エ
ンジンの吸気行程に同期させて噴射すると共に、吸気流
制御装置10から流入する気流で搬送するようにして壁
面付着を抑制する。
Description
噴射装置に係り、特に、噴霧のペネトレーション(到達
距離)を制御して吸気管内壁面への燃料付着を抑制する
技術に関するものである。
126012号公報に記載された装置が知られている。
この公報には、始動時やアイドル時等の低速域では、機
関の回転数が低くなり、吸気弁が閉じている時間が長く
なるために、電磁式燃料噴射弁からの噴霧は吸気管内に
浮遊していることが好ましく、噴霧の貫通力は弱く、微
細な液滴となることが好ましいことが記載されている。
一方、中速から高速域になるに従い、機関の回転数が高
くなり、吸気弁が閉じている時間が次第に短くなるため
に、噴霧は吸気管の内壁面に付着することなく燃焼室に
すばやく供給されなければならず、噴霧の貫通力は強い
ことが必要であることが記載されている。そしてこの公
報に記載された装置では、各気筒毎の吸気弁皿部に向け
て燃料噴射を行う電磁式燃料噴射弁を有する多点型の内
燃機関用電子制御燃料噴射装置において、エンジンの運
転状態を検出し、この検出信号を用いて電磁式燃料噴射
弁の噴霧形状可変手段を駆動することにより、エンジン
の運転状態に応じて噴霧形状を変えている。この装置
は、旋回燃料成分と非旋回燃料成分との比率を調整する
ことにより、噴霧形状を変えている。旋回燃料成分の旋
回力は、燃料が、燃料旋回素子に形成された、燃料を軸
心に対して偏心導入する燃料通路(溝)を通過する際
に、付与される。また、非旋回燃料成分は、燃料旋回素
子の内周面と弁体を成すボールとの隙間を通過する燃料
である。例えば、この隙間の寸法を大きくすると、この
隙間からの燃料リーク量が多くなり、非旋回燃料成分が
増加し、噴霧形状は噴射角の狭い形状となり高速運転に
適した形状となる。
燃料旋回素子の内周面と弁体を成すボールとの隙間の寸
法を変えるために、圧電素子を用いている。このため、
燃料噴射弁のノズル先端部の非常に狭隘な空間に、圧電
素子による噴霧形状可変手段を構成する必要があり、生
産性の向上に課題を有する。また、圧電素子への配線に
対する配慮も必要となる。圧電素子の特性変化や耐久性
等、信頼性について配慮すべき問題も増加する。
ミングを合わせて燃料噴射を行う装置についての配慮が
なされていない。リーンバーン(希薄燃焼)エンジン
は、混合気をリーン化して燃焼させるエンジンであり、
各気筒毎に設けた燃料噴射弁から燃料噴射を行う燃料噴
射方式(マルチポイントインジェクションシステム:M
PI)を採用し、かつ吸気行程に同期した燃料噴射を行
うことで、混合気のクリーン化を図っている。例えばこ
のエンジンに用いられるような、吸気行程に同期した燃
料噴射を行う必要のある燃料噴射装置では、噴射された
燃料噴霧が気筒内に達するまでの時間的な遅れ(輸送遅
れ)が問題になる。噴霧の貫通力を変化させた場合に
は、貫通力の強い燃料噴霧と弱い燃料噴霧とで、気筒内
に達するまでの時間が異なり、燃料噴霧の輸送遅れに対
して配慮する必要がある。
弁の構造に大きな変更を必要とすることなく、噴霧の貫
通力(ペネトレーション)を調節可能にすることにあ
る。また本発明の第2の目的は、噴霧の貫通力を変化さ
せた場合においても、燃料噴霧の輸送遅れを低減するこ
とにある。
るために、燃料噴射弁の弁体の立ち上がり速度を制御す
ることにより、燃料の旋回速度成分と軸方向速度成分と
を変化させる。具体的には、開弁速度を早めることによ
り、燃料のスワール力を急速に高め、燃料の旋回速度成
分を強く、軸方向速度成分を弱くする。これにより、貫
通力が小さい燃料噴霧(低ペネトレーション噴霧)が得ら
れる。一方、開弁速度を遅くすることにより、燃料のス
ワール力を徐々に高め、噴射の初期段階における燃料の
旋回速度成分を弱く、軸方向速度成分を強くする。これ
により、貫通力が大きい噴霧(高ペネトレーション噴霧)
が得られる。このような方法は、機械的な操作に比べ
て、構造の変更や内部の部品構成の複雑さが生じないた
め、非常に安価に実施できるとともに信頼性が向上する
というメリットを有する。
射弁の上流側で吸気通路の断面積を変化させることによ
り、高ペネトレーション噴霧と低ペネトレーション噴霧
とに応じて、吸気流速を変化させる。具体的には、吸気
弁から離れた位置までしか到達できない低ペネトレーシ
ョン噴霧の場合に、吸気流速を高めることにより、燃料
噴霧の輸送遅れを低減する。吸気流速を高めるために
は、吸気通路の断面積を小さくするとよい。この場合、
燃料噴射弁を吸気管の曲り通路の吸気流を吸気管の燃料
噴射弁が設けられたのとは反対側の通路壁側に誘導する
ことによって、低ペネトレーション噴霧とすることによ
って、燃料噴霧の噴射角度が広がった場合でも、燃料噴
射弁が設けられたのとは反対側の通路壁への燃料噴霧の
付着を防止或いは低減できる。
燃機関用燃料噴射装置の一実施形態について詳細に説明
する。
噴射装置(燃料噴射弁1)を備えたエンジン制御システム
の全体構成を説明する。
(4つの気筒のうち、1つの気筒のみを図示)には、点
火プラグ12が配置されると共に、吸気弁6及び排気弁
7と、気筒9内を往復動するピストン8とで燃焼室を形
成している。尚、本実施形態例では、4気筒としている
が、気筒数は4気筒に限られる訳ではない。各気筒9に
は、前記吸気弁6及び排気弁7によってそれぞれ開閉さ
れる吸気管18及び排気管19が設置されており、前記
吸気管18には、運転状態検出手段の一つであって、吸
気の質量流量を計測する吸入空気量センサ2、及びスロ
ットルバルブ3の開度を計測するスロットルセンサ4が
各々の適宜位置に配置され、さらに、エンジンの冷却水
温を計測する冷却水温センサ14、及びエンジン回転数
を計測するクランク角センサ13が各々の適宜位置に配
置されており、吸気管18の上流部に設けたエアクリー
ナ20から流入された空気は、スロットルバルブ3で流
量を調節された後、前記燃料噴射装置である燃料噴射弁
1から所定の噴霧特性で噴射されたガソリンと混合され
て各気筒9、9…に供給される。該燃料噴射弁1は、4
気筒の前記内燃機関100の各気筒9、9…の上流側に
一つずつ配置され、マルチポイントインジェクション
(MPI)システム化された燃料噴射方式を採用してい
る。
ポンプ22によって吸引・加圧された後、プレッシャレ
ギュレータ15を備えた燃料管23を通って前記燃料噴
射弁1の燃料入り口に導かれる。前記燃料噴射弁1に導
かれた燃料は、燃圧レギュレータ16で一定の燃圧に制
御され、余分な燃料は、前記燃料タンク21に戻されて
いる。
を通じて触媒コンバータ(図示省略)に導かれ、浄化され
た後に排出される。排気管19には、排ガス中の酸素濃
度に比例して広域でかつリニアな空燃比信号を出力する
空燃比センサ17が適宜位置に配置されている。
空気量を示す出力信号2sと、スロットルセンサ4から
の出力信号4sと、冷却水温センサ14、クランク角セ
ンサ13及び空燃比センサ17等からの各出力信号14
s、13s及び17sは、内燃機関100の運転状態を
示す電気的な信号として、エンジン制御装置(コントロ
ールユニットC/U)11に入力される。
はエンジンルーム内に配置され、上記種々のセンサから
出力される内燃機関100の運転状態を示す電気的な信
号に基づいて、所定の演算処理を行い、運転状態に最適
な制御を行うべく、燃料を噴射供給する前記燃料噴射弁
1の開閉、点火プラグ12の駆動、アイドル時のエンジ
ン回転数を目標回転数になるようにコントロールするア
イドルスピードコントロールバルブ(ISC)5の開閉を
行う信号を各々出力すると共に、前記燃料ポンプ22の
ほか、スワールコントロールバルブ駆動装置10を制御
する。そして、前記コントロールユニット11は、各気
筒9、9…の吸気行程と燃料噴射のタイミングとを合わ
せて各気筒9毎に燃料噴射を行うよう指令信号を出力す
る。
力インターフェイスとしてのI/O、演算処理装置MP
U、多数の制御プログラムを記憶させた記憶装置RAM
及びROM、タイマーカウンター等により構成されてい
る。
置MPUで制御プログラムに基づく演算を実行すること
により実現される燃料噴射量設定手段が、検出された吸
入空気量および設定された空燃比に基づいて燃料噴射弁
1から気筒9に供給すべき要求燃料量を算出すると共
に、この要求燃料量と、燃料噴射弁1の噴射量特性であ
る流量傾斜および無効噴射パルス幅とに基づいて要求噴
射パルス幅(燃料噴射弁1の開弁時間)を演算し、この要
求噴射パルス幅に基づいて燃料噴射弁1がこの噴射パル
スの時間分の開弁を行うよう駆動信号1sを出力する。
また、演算処理装置MPUで制御プログラムを実行する
ことにより実現される燃料噴射時期設定手段が、吸入空
気量及びエンジン回転数等に基づいて燃料噴射弁1の噴
射時期を演算し、内燃機関100の吸気行程に同期させ
ると共に、この吸気行程中の燃料噴射時期を最適なタイ
ミングに設定し、このタイミングに基づいて燃料噴射弁
1、点火プラグ12のほか、スワールコントロールバル
ブ駆動装置10のアクチュエータに駆動信号1s、12
s、10sを出力する。
は、タンブル流(タンブルスワール)を発生させる空気流
速促進手段であるスワールコントロールバルブ(SCV)
10aの開閉を行う装置であり、燃料噴射弁1よりも上
流側に設けられている。SCV10aは、その閉方向へ
の駆動により吸気管18の通路面積(通路断面積)を狭
くし、タンブルスワールによって空気の流速を上げてい
る。
断面に投影される面積を変化させる可動部材であり、通
路伝面の一部を開閉する開閉装置を構成している。
形成し、燃料噴射弁1を備えた内燃機関100における
燃焼の改善とは、噴射された燃料の壁面付着を抑制し、
気筒9に到達するまでの時間的な遅れを解消し、気筒9
内の混合気の質・形成状態の向上を図ることである。
燃料が燃料噴射弁1から噴射され、気筒9に実際に吸入
されるまでの噴射燃料の輸送遅れと、吸入空気量センサ
2から検出された吸入空気量等から要求噴射量を演算
し、燃料が燃料噴射弁1から噴射されるタイミングまで
の計算遅れ及び行程遅れとがあり、燃料噴射弁1は、噴
射された燃料の時間的な遅れを解消するために、吸入空
気量センサ2の最新のデータに基づいて気筒9の吸気行
程に同期した噴射を行うこと、及び燃料噴射弁1が噴射
した燃料は、吸気行程で気筒9内に全て吸入されること
を要する。したがって、これを達成するには、気筒9の
吸気行程の所定のタイミングで燃料噴射弁1の燃料噴射
が終了していなければならず、すなわち、吸気弁6の開
弁時から閉弁時までの短期間に燃料噴射弁1から噴射さ
れた全ての燃料が気筒9内に吸入されることを意味し、
この場合に、燃料噴射期間(噴射パルス幅)があること
を考慮すると、噴射された燃料の吸気管18内への壁面
付着を抑制しなければならない。
は、混合気のリーン化を図る一方で点火プラグ回りにの
み着火可能な濃い混合気を集めることであり、混合気の
質・形成状態を向上させるには、噴射燃料の微粒化を促
進することが有効な手段の一つであり、また、微粒化さ
れた噴射燃料は、通常の粒径の噴射燃料に比して運動エ
ネルギが小さく、気筒9内に達するまでの時間を要する
ことになるので、これを回避するためには、微粒化燃料
の運動エネルギの調節手段(噴霧のペネトレーションを
調節する手段)と燃料噴射時期設定手段との相乗作用と
によって、吸気行程中の燃料噴射時期のうち、さらに最
適な混合気を形成するための噴射タイミングを設定する
などして、点火プラグ12回りにのみ着火可能な濃い混
合気を集めて混合気の質の改善を行う必要がある。
形態を示すものであり、燃料噴射弁1の多気筒内燃機関
への装着状態を示す部分拡大断面図である。
路を有しており、この曲り通路のアウター側の通路壁か
ら吸気弁の軸が吸気管内に挿入されている。また燃料噴
射弁1は、吸気弁の軸が挿入された位置よりもさらに上
流側で、アウター側の通路壁から吸気管内に燃料噴霧を
噴射するように配設されている。スワールコントロール
バルブ10aは、燃料噴射弁から吸気管内に燃料噴霧が
吹き入れられる位置よりもさらに上流側に配設されてお
り、吸気管の中心から燃料噴射弁が設けられた側の通路
断面を開閉可能に設けられている。すなわち全通路面積
断面の約半分を開閉することができる。
が、低負荷・低回転状態にある場合の吸気管18内の吸
気流れと、燃料噴射弁1からの燃料噴霧の形成状態(噴
霧の運動エネルギが小さい、いわゆる、貫通力が小さく
低ペネトレーション噴霧の状態)を示しており、また、
図中の(b)は、内燃機関100の運転状態が、高負荷・高
回転状態にある場合の吸気管18内の吸気流れと、燃料
噴射弁1からの燃料噴霧の形成状態(噴霧の運動エネル
ギが大きく、いわゆる、貫通力が大きく高ペネトレーシ
ョン噴霧の状態)を示している。
つを示しており、6は吸気ポート25を開閉する吸気
弁、6aは吸気弁6の皿部、10aはスワールコントロー
ルバルブ、18は吸気管、18aは吸気の流れ、26は
燃焼室を示す。
体あるいはエンジンルーム内に配置された種々のセンサ
から出力される電気的な信号を基に、所定の演算処理に
よって得られるが、本実施形態の低負荷・低回転状態と
は、エンジン水温がマイナス30℃でエンジン回転数が
2000r/min程度から、エンジン水温が20から3
0℃の範囲でエンジン回転数が1000から2000r
/min程度から、さらに、エンジン水温が80℃でエン
ジン回転数が600から900r/min程度の範囲にあ
る場合で、いわゆる、アイドル運転の前記目標回転数範
囲にある場合である。また、本実施形態の高負荷・高回
転状態とは、スロットルバルブ3がほぼ全開状態にある
場合である。このような場合、吸気管18内の圧力が8
1kPaから101kPa(大気)の範囲にある。なお、アイド
ル運転時の吸気管18内の圧力は、28kPaから41kPa
の範囲である。
(a)図に示されるように、吸気管18の内の中心近傍に
おいて、その先端が位置する、貫通力が小さい低ペネト
レーション噴霧として、対向する壁面側で速度が高めら
れた吸気流に乗せて燃焼室26内に搬送される。速度が
高められた吸気流は、スワールコントロールバルブ10
aが、図に示されるように、吸気管の中心から燃料噴射
弁1が設けられた側の通路部分(全通路面積の半分)を
閉じている場合に生成される。また、(b)図に示される
ように、噴霧の先端が、吸気弁6の皿部6aに近接する
まで生成される、貫通力が大きい高ペネトレーション噴
霧によって、燃料噴射弁1の先端1a回りを流れる吸気
流を突き抜けて燃焼室26内に搬送される。
態では高ペネトレーション噴霧によって、また低負荷・
低回転状態では吸気流の速度を高めることによって、微
粒化された噴射燃料を、燃焼室26内に達するまでの時
間を要することなく、気筒9内に輸送することができ、
従って吸気行程中に燃料噴射を終え、点火プラグ12回
りにのみ着火可能な濃い混合気を生成することができ
る。
よって、燃料噴射弁1が設けられている側の通路をふさ
ぎ、燃料噴射弁1が設けられているのとは反対側の通路
壁側に吸気流を誘導することによって、低ペネトレーシ
ョン噴霧とすることによって噴射角度の広がった噴霧
が、燃料噴射弁1が設けられているのとは反対側の通路
壁に付着することを防止或いは低減することができる。
射弁1の構造およびその動作について、図3を用いて説
明する。同図(a)は、燃料噴射弁1の縦断面図であり、
同図(b)は、そのI‐I断面である。
より演算されたデュ−ティのON−OFF信号により、
シ−ト部の開閉を行うことにより燃料の噴射を実施す
る。磁気回路は、有底筒状のヨ−ク27、コア28及び
このコア28に空隙を隔てて対面するプランジャ29と
からなる。また、このプランジャ29には、内部に燃料
通路31を有するロッド30及びこのロッド30に連接
される弁体32が結合されており、この弁体32がノズ
ル部材33に形成されるシート面の開閉を行う。また、
弁体32をシ−ト面へ押圧する弾性部材としてのスプリ
ング34がコア28の中心部に設けてあり、このスプリ
ング34の上端には、セット荷重を調整するためにコア
28の中心に挿通されたスプリングアジャスタ35が設
けてある。磁気回路を励磁するコイル36はボビン37
に巻かれ、その外周をプラスチック材でモ−ルドされて
いる。コイル36の端子38は、図示しないコントロ−
ルユニットの端子と結合されている。
になるような規制をする案内は、該弁体32に設けたガ
イド部30aとノズル部材33の中空部の内壁に挿入さ
れる筒型状の燃料旋回部材39の内壁とによって行われ
ている。この燃料旋回部材39は燃料微粒化手段の1つ
である。ノズル部材33には、筒型状の燃料旋回部材3
9に続いて、弁体32をシ−トするシ−ト面が形成され
ており、このシ−ト面の中央には燃料の通過を許す燃料
噴射孔42が設けられている。
回部材39の断面図を示している。燃料は弁体32の上
方より導入され、この燃料旋回部材39に至るが、燃料
噴射孔42において旋回エネルギが十分確保されるよう
に、軸方向通路40から導入した燃料は、弁軸心に対し
て十分偏心した径方向通路41によって導入される。ま
た、弁体32が開弁した際に、この弁体32とシート面
間に形成される環状隙間での損失がないように構成され
ることも相俟って、燃料の微粒化が促進される。さらに
は、弁体32は前記コイル36への投入電流波形を制御
することによって、弁体32の高速動作を実施させてお
り、短時間における開閉弁動作によって、その動作時の
噴射燃料の圧力の急な変化を行いせしめている。このよ
うな構成によって、微粒化度を高めるのに十分な旋回エ
ネルギが燃料噴射孔42において確保されている。この
燃料噴射孔42では、供給されたエネルギを効果的に孔
外に放出するように設計されている。例えば、孔軸方向
における損失を低減するために、孔長さを小さくしてい
る。なお、燃料の旋回を利用しないほかの微粒化手段を
用いる場合、例えば、噴射孔部を非常に狭い環状隙間と
して燃料を噴射して、噴射燃料を薄膜化して微粒化を促
進する方式においても本実施の形態に利用できる。
料噴射弁1は、コイル36に与えられる電気的なON−
OFF信号により、弁体32を操作してシ−ト面の開閉
を行い、それによって燃料の噴射制御を行が、コントロ
ールユニット11からの電気信号がコイル36に与えら
れると、コア28、ヨ−ク27、プランジャ29で磁気
回路が形成され、プランジャ29がコア28側に吸引さ
れる。プランジャ29が移動すると、これと一体になっ
ている弁体32も移動してノズル部材33の弁座のシ−
ト面から離れ、燃料噴射孔42を開放する。燃料は、図
示しない燃料ポンプや燃料圧力を調整するレギュレ−タ
を介して加圧調整され、燃料噴射弁1の内部に流入し、
弁体30の内部通路31、弁体32の外周部分、燃料旋
回部材39の軸方向通路40及び径方向通路41を通っ
て、燃料噴射孔42より噴射される。
について、図4、図5及び図6を用いて説明する。本実
施形態例の燃料噴射弁1における噴霧のペネトレーショ
ンの制御は、噴射燃料に付加する燃料の旋回力の強さ
(スワール力)によって調整される。具体的には、弁体
32のフルストロークまでの開弁速度を制御している。
すなわち、開弁速度を早めると、即座に燃料のスワール
力が高められ、燃料の旋回速度成分が強く、軸方向速度
成分が弱くなるので、噴霧の貫通力が弱まって低ペネト
レーション噴霧が得られる。一方、逆に、開弁速度を遅
くするると、燃料のスワール力が徐々に高められ、噴射
始めのうちは燃料の旋回速度成分が弱く、軸方向速度成
分が強くなるので、噴霧の貫通力が強まって高ペネトレ
ーション噴霧が得られる。
ック構成図を示す。コイル36に対する通電を制御する
に際して、一端に、パワートランジスタ54を、他端
に、電流検出抵抗57を接地し、パワートランジスタ5
6を並列接続している。該パワートランジシタ54のベ
ースは、電流制御回路53に接続されており、他方には
バッテリー電源58に接続されている。一方、パワート
ランジスタ56のベースは、電流制御回路53に接続さ
れるが、他方には、ダイオード55を介してコイル36
に接続されている。電流制御回路53には、エンジンコ
ントローラ11、及び電流比較器52からの信号が入力
されるが、該エンジンコントローラ11からの信号は、
エンジンの運転状態に応じて決定される指令パルス信号
(パルス幅Ti)であり、電流比較器52からの信号は、
コイル電流と目標電流との比較信号である。
答してパワートランジスタ54,56を動作させ、パワ
ートランジスタ54側が、目標ピーク電流Ipまでの制
御パターン(複数の制御パターン)をON−OFF動作に
より実施し、目標電流値に到達した後、該目標電流値よ
りも小さい保持電流をコイル36に流すために、パワー
トランジスタ56がON−OFF動作を繰り返す。
印加電圧波形、弁体32の変位波形を示す。
到達時間を早くするために、印加電圧の時間幅を大から
小へ減少させた後、保持電流値Ihへの切換え時に時間
間隔一定でON−OFF動作を繰り返し実施させたもの
で、このような制御によって、弁変位は、無効時間Tc
の後、すばやくフルストロークまで立ち上がる(開弁時
間To)。
電流値Ihがほぼ同じ値になるように、印加電圧の時間
幅を小から大へと徐々に増加させるように制御したもの
で、このような制御によって、弁変位は、ゆっくりとフ
ルストロークまで立ち上がる。
からの噴射燃料が、低ペネトレーション噴霧の形態とな
る。また、図5(b)のような弁変位は、高ペネトレーシ
ョン噴霧の形態となる。図において、Tbは閉弁遅れ時
間である。
の他の実施形態をを示す。
到達時間を早くするために、印加電圧を所定時間連続投
入した後、保持電流値Ihの切換えるという方法であ
る。この方法は、ピークホールド方式であり、印加電圧
の実有効電圧は図5(a)と等価になるように制御してい
る。
し、目標保持電流値Ihまで徐々に到達させるという方
法であり、この場合も同様に、実有効電圧は図5(b)と
等価になるように制御している。このような制御によっ
ても、弁変位の挙動は、第1実施例と同様な形態が得ら
れている。
態の他、例えば、燃料旋回部材39を機械的に移動せし
めることにより、燃料のスワール力を可変とすることな
ど、設計において種々変更することができる。
間を早くするためには、コイルへの印加電圧を大きくし
てもよい。そこで、例えば、高ペネトレーション噴霧を
形成する場合には、低ペネトレーション噴霧を形成する
場合よりも、弁体を駆動しはじめるときの印加電圧を小
さくすることによって、弁体の立ち上がりを遅くするこ
とができる。
を有するものである。MPI化された燃料噴射弁1にお
いて、燃料噴射弁1は、燃料旋回部材39を用いている
ので燃料の微粒化が促進されると共に、内燃機関100
の運転状況に応じた噴霧のペネトレーション制御とが相
俟って、気筒9内の混合気の質・形成状態の向上を図る
ことができる。また、燃料噴射弁1は、吸気行程中の最
適な位置で要求噴射量を短時間に噴射することができ、
燃焼室26内への時間的な遅れを解消して最適な混合気
を形成することができる。さらに、内燃機関100は、
吸気管18の空気流速を促進させるスワールコントロー
ルバルブ10aを有してなり、燃料噴射弁1からの噴霧
は、吸気管18における速度が促進された空気流に対し
て低ペネトレーション噴霧としているので、壁面付着の
低減及び微粒化による輸送遅れの解消を行っている。
させることによって、燃料噴霧の貫通力を変化させてい
るので、燃料噴射弁の構造に大きな変更を必要とするこ
となく、噴霧の貫通力を調節することができる。
吸気管を流れる吸気流速を変化させることにより、燃料
噴霧の輸送遅れを低減することができる。
機関の1気筒を示す部分断面図であり、(a)は機関の運
転状態が低負荷・低回転の状態にある場合、(b)は機
関の運転状態が高負荷・高回転の状態にある場合の噴霧
及び吸気の流動を示す。
エンジン制御システムの全体構成図である。
(a)のI‐I断面図である。
ク構成図である。
弁挙動波形を示す図、(b)は内燃機関が高負荷・高回
転時における弁挙動波形を示す図である。
弁挙動波形の他の実施形態を示す図、(b)は内燃機関
が高負荷・高回転時における弁挙動波形の他の実施形態
を示す図である。
9…気筒、10…空気流速促進装置(スワールコントロ
ールバルブ)、11…エンジン制御装置(コントロール
ユニット)、18…吸気管、18a…吸気流れ、26…
燃焼室、32…弁体、39…燃料旋回部材、40…軸方
向通路、41…径方向通路、42…燃料噴射孔、51…
目標電流記憶部、53…電流制御回路部、54…パワー
トランジスタ、57…電流検出抵抗。
Claims (8)
- 【請求項1】燃料に旋回力を付与する燃料通路を有し、
弁体を弁座から離れる方向に駆動して開弁し、燃料を噴
射する燃料噴射弁と、前記弁体の駆動を制御する制御装
置とを備えた燃料噴射装置において、 前記制御装置は、内燃機関の運転状態が高負荷で高回転
の場合の開弁時における前記弁体の立ち上がり速度が、
低負荷で低回転の場合よりも遅くなるように制御するこ
とを特徴とする燃料噴射装置。 - 【請求項2】燃料に旋回力を付与する燃料通路を有し、
弁体を弁座から離れる方向に駆動して開弁し、燃料を噴
射する燃料噴射弁と、前記弁体の駆動を制御する制御装
置とを備えた燃料噴射装置において、 前記制御装置は、内燃機関の運転状態が高負荷で高回転
の場合に、前記弁体が閉弁状態から予め設定されたスト
ロークだけ移動して開弁するまでに要する時間が、低負
荷で低回転の場合よりも長くなるように制御することを
特徴とする燃料噴射装置。 - 【請求項3】請求項1又は2に記載の燃料噴射装置にお
いて、前記燃料噴射弁はコイルへの印加電圧を複数の電
圧値の間で切り替えることにより電磁力を変化させて弁
体を駆動する電磁式燃料噴射弁であって、前記制御装置
は、前記弁体が閉弁状態から予め設定されたストローク
だけ移動して開弁するまでの間に、前記弁体を開弁方向
に駆動するために第1の電圧値から第2の電圧値に切り
替えてから再び前記第1の電圧値側に電圧を切り替える
までの電圧印加時間を、内燃機関の運転状態が高負荷で
高回転の場合には、後の電圧印加時間の方が先の電圧印
加時間よりも長くなるように制御し、低負荷で低回転の
場合には、後の電圧印加時間の方が先の電圧印加時間よ
りも短くなるように制御することを特徴とする燃料噴射
装置。 - 【請求項4】請求項1又は2に記載の燃料噴射装置にお
いて、前記燃料噴射弁はコイルへの印加電圧を複数の電
圧値の間で切り替えることにより電磁力を変化させて弁
体を駆動する電磁式燃料噴射弁であって、前記制御装置
は、前記弁体を閉弁状態から開弁方向に駆動するため
に、最初に第1の電圧値から第2の高電値に切り替えて
再び前記第1の電圧値側に電圧を切り替えるまでの電圧
印加時間を、内燃機関の運転状態が高負荷で高回転の場
合に、低負荷で低回転の場合よりも短くなるように制御
することを特徴とする燃料噴射装置。 - 【請求項5】請求項1又は2に記載の燃料噴射装置にお
いて、前記燃料噴射弁はコイルへの印加電圧を複数の電
圧値の間で切り替えることにより電磁力を変化させて弁
体を駆動する電磁式燃料噴射弁であって、前記制御装置
は、前記弁体を閉弁状態から開弁方向に駆動するために
変化させる電圧の大きさを、前記弁体が閉弁状態から予
め設定されたストロークだけ移動して開弁するまでの間
に、内燃機関の運転状態が高負荷で高回転の場合には、
後の電圧変化の方が先の電圧変化よりも大きくなるよう
に制御し、低負荷で低回転の場合には、後の電圧変化の
方が先の電圧変化よりも低くなるように制御することを
特徴とする燃料噴射装置。 - 【請求項6】請求項1又は2に記載の燃料噴射装置にお
いて、前記燃料噴射弁はコイルへの印加電圧を複数の電
圧値の間で切り替えることにより電磁力を変化させて弁
体を駆動する電磁式燃料噴射弁であって、前記制御装置
は、前記弁体を閉弁状態から開弁方向に駆動するため
に、最初に印加電圧を変化させるときの変化の大きさ
を、内燃機関の運転状態が高負荷で高回転の場合に、低
負荷で低回転の場合よりも小さくなるように制御するこ
とを特徴とする燃料噴射装置。 - 【請求項7】内燃機関の気筒内に空気を送る吸気通路内
に燃料を噴射する燃料噴射装置であって、内燃機関の運
転状態に応じて噴霧の貫通力を変化させて燃料を噴射す
る燃料噴射装置において、 燃料噴霧が吹き入れられる位置よりも上流側の前記吸気
通路内に、該吸気通路断面に投影される面積が変化する
ように駆動される可動部材と、該可動部材の前記吸気通
路断面に投影される面積を、内燃機関の運転状態が低負
荷で低回転の場合に、高負荷で高回転の場合よりも小さ
くなるように制御する制御装置とを備えたことを特徴と
する燃料噴射装置。 - 【請求項8】内燃機関の気筒内に空気を送る吸気通路内
に燃料を噴射する燃料噴射装置であって、内燃機関の運
転状態に応じて噴霧の貫通力を変化させて燃料を噴射す
る燃料噴射装置において、 燃料噴霧が吹き入れられる位置よりも上流側の前記吸気
通路内に、該吸気通路断面の一部を開閉する開閉装置
と、前記吸気通路の断面積が、内燃機関の運転状態が低
負荷で低回転の場合に、高負荷で高回転の場合よりも小
さくなるように、前記開閉装置を制御する制御装置とを
備えたことを特徴とする燃料噴射装置。
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