JP3183027B2 - 電子制御エアアシスト噴射弁 - Google Patents

電子制御エアアシスト噴射弁

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JP3183027B2
JP3183027B2 JP06688294A JP6688294A JP3183027B2 JP 3183027 B2 JP3183027 B2 JP 3183027B2 JP 06688294 A JP06688294 A JP 06688294A JP 6688294 A JP6688294 A JP 6688294A JP 3183027 B2 JP3183027 B2 JP 3183027B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は噴射燃料に空気を供給し
て燃料の微粒化を促進させる電子制御エアアシスト噴射
弁に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、自動車用内燃機関に用いられる
子制御燃料噴射装置では、噴射燃料に空気を供給して燃
料の微粒化を促進させるエアアシスト燃料噴射弁が検討
されてきている。
【0003】このような装置として関連するものには、
特開昭49−15818 号公報、実開昭59−85736 号公報、実
開昭59−172267 号公報が挙げられる。
【0004】特開昭49−15818 号公報に記載のものは、
円筒型の室に同軸的に連なる円錐台型の室を形成し、円
錐台型の室に接線方向から通じる単一の空気入口通路と
円錐台型の小径端に空気霧化燃料噴射の噴射用オリフィ
スとをもつエアアシストノズルと、室に放出するポート
を有する燃料噴射装置とから構成され、燃料と空気の混
合によって霧化が図られる。この従来技術は、エアの旋
回によって燃料と空気の混合促進を図る内部混合形であ
り、微粒化に注力した弁構造である。
【0005】実開昭59−85736 号公報に記載のものは、
燃料噴射孔の近くにアシストエア導入部を形成すると共
に燃料噴射孔前方に形成された気流ノズルと、周壁に形
成されアシストエア導入部に周囲からアシストエアの取
り入れを可能にする空気取入孔と、エンジン側に形成さ
れた取付孔内に挿入配置されるアダプタを有してなり、
空気取入孔を介してアシストエア導入部に導入されたア
シストエアを、燃料と共に気流ノズルから噴出すること
によって燃料の微粒化を促進するようにした燃料噴射式
内燃機関のエアアシストインジェクタに関し、アダプタ
の気流ノズル前方を除く取付孔内周との間に断熱層を設
けたものである。この従来の装置は、断熱層を設けた点
に特徴が有るものの、燃料の微粒化には噴射燃料に直交
する複数個の空気取入孔が記載されている。また、その
下流側には、燃料と空気の混合気を噴射する気流ノズル
が示されている。この従来の装置も、特開昭49−15818
号公報に記載のものと同様に、燃料と空気の混合促進を
図る内部混合形である。また、気流ノズルに続いて末広
がり状の混合気通路が示されている。
【0006】実開昭59ー172267 号公報に記載のもの
は、アダプタが、噴射弁本体の燃料噴射孔を露出するよ
うに噴射弁本体の先端部に装着され、アダプタ内部に外
部から空気が導入される内燃機関用燃料噴射弁におい
て、アダプタの端部に燃料噴射孔を包囲して半径方向内
外に空気噴射孔が形成され、半径方向内側の空気噴射孔
は燃料噴射孔の中心軸線に向けて形成され、半径方向外
側の空気噴射孔は燃料噴射孔の中心軸線に対して平行に
向けて形成される。この従来の装置では、燃料の微粒化
用として半径方向内側の複数個の空気噴射孔より噴出さ
れる空気を使用している。また、半径方向外側の複数個
のスリット状の空気噴射孔より噴出される空気を噴霧の
広がり抑制に用いている。燃料と空気の混合は、外部混
合形である。
【0007】又、特開昭63-160376 号公報に記載のもの
は、燃料噴射孔より噴射する燃料を、所定の間隔をもっ
て円周方向で複数箇所画する仕切り部を設けて形成され
る燃料流路を通すことにより燃料を液膜化し、この液膜
燃料の中心部に空気噴射孔から噴出する空気を侵入させ
燃料の微粒化を図っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】特開昭49−15818 号公
報に記載のものは、旋回導入される空気と燃料の完全混
合(内部混合形)によって、噴射燃料の微粒化の促進が
図られるが、空気霧化燃料噴射オリフィスからの噴霧の
飛散があるために、エンジンの吸気管内壁面への燃料の
付着が懸念されるという問題がある。
【0009】実開昭59−85736 号公報に記載のものは、
空気流を噴射燃料に直交させ混合させる同種の内部混合
形であり、噴射燃料の微粒化の促進が図られるが、気流
ノズルから噴射される噴霧の飛散(特開昭49−15818 号
公報に記載のものに比べて噴霧の飛散の程度は低い)に
よって気流ノズル下流に設けられた末広がり状の混合気
通路の壁への燃料の付着が生じエンジンの吸気管内への
ぼた落ちが懸念されるという問題がある。。
【0010】実開昭59ー172267 号公報に記載のもの
は、噴霧の飛散は半径方向外側の空気により抑制される
という効果はあるものの、微粒化の促進に利用される半
径方向内側の空気流速が下がるため(特開昭49−15818
号公報、実開昭59−85736 号公報に記載の従来技術と同
様の供給空気量とした場合)微粒化の促進程度は下が
る。ここに、半径方向外側の空気が噴霧の飛散の抑制に
加えて微粒化促進の作用があるとしても、一旦、液滴に
なった噴霧の再微粒化効果を期待するとなると相当量の
気流エネルギが必要となる。また、外部混合形では、噴
射燃料への空気流の作用に工夫が必要とされるが、特開
昭49−15818 号公報、実開昭59−85736 号公報に記載の
従来技術には見られない多数の空気噴射孔が示されてい
る。しかし、多数の空気噴射孔を用いても空気流の作用
しない燃料は微粒化が促進されずに局所的に粗大粒が発
生し、粒径分布の不均一が生じてしまうという問題があ
る。
【0011】又、特開昭63-160376 号公報に記載のもの
は、燃料流の形成に工夫がなされているものの、燃料流
路形成部材が燃料流路を区画しているので、噴出する液
膜燃料は周方向において不連続となる。従って、この液
膜燃料の中心部に向けて侵入させる空気が液膜に作用し
ない領域が存在する。このような噴射によると、局所的
な微粒化効率が低下することや、噴霧が分断されて飛散
してしまうなどが懸念されるという問題がある。
【0012】気管内壁面への燃料付着は燃料の供給遅
れを生じさせ、燃料の輸送効率を低下させる。吸気管内
へのぼた落ちや局所的な粗大粒の発生や粒径分布の不均
一は、混合気の不均一を生じさせる。
【0013】本発明の目的は、空気流を噴射燃料に効果
的に作用させて微粒化の促進を図るとともに、粒径分布
の均一化を図ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の電子制御エアアシスト噴射弁は、内燃機関の
運転状態を検出し、検出した電気信号に基づいて燃料の
噴射制御を行うとともに、この噴射された燃料に向けて
空気を供給する電子制御エアアシスト噴射弁において、
ノズルに形成された弁座を開閉する弁と、弁座の下流側
に設けられた燃料噴射孔と、燃料噴射孔から流出する燃
料を液膜を生起する手段を備え、かつノズルの先端部に
燃料噴射孔と同軸状に設けられた噴射孔を有するエアア
トマイザが取り付けられるものであって、ノズル外面と
エアアトマイザの内面との間に環状のエア導入通路が形
成され、燃料噴射孔の直径をdl、エアアトマイザに設
けられた噴射孔の直径をdaとしたとき、その比da/
dlを2<da/dl<12となる範囲に設定した。
【0015】
【作用】燃料噴射孔から噴出される薄膜状燃料に空気流
を効果的に作用させて薄膜を噴霧化(微粒化)する。す
なわち、ノズルの外面とエアアトマイザの内面とで形成
される環状隙間によって供給される空気流は燃料噴射孔
から噴出される薄膜燃料の全周方向から軸心に向かって
侵入した後、軸心下方に流れ高速流を生成する。軸心に
向かう空気は、薄膜を加振し分裂を促進する。一方、軸
心下方に生成される高速流は、噴霧を誘引し集合させ
る。エアアトマイザの噴射孔径daと噴射弁の燃料噴射
孔径dlとの比が2≦da/dl≦12となるように構
成されることにより、空気が微粒化の促進と噴霧の誘引
集合とに効果的に作用する。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1から図13に
より説明する。図1は、本実施例のエアアシスト噴射弁
1の縦断面図、図2は、エアアシスト噴射弁1の燃料噴
射孔8部とエアアトマイザ15の先端部分の相対位置関
係を示す要部拡大縦断面図、図3は、図2に示す矢視A
−A線の縦断面図、図4は、図5は、エアアシスト噴射
弁1の噴射の態様を説明するための要部拡大縦断面図
(空気の供給がある場合の噴霧模式図)、図6は、噴射
弁1が閉じている状態を示す要部拡大断面図、図7は噴
射弁が開いている状態での噴射の様子を示す要部拡大断
面図、図8はボール弁6の挙動と弁下流圧力の挙動の実
験結果を示す図、図9は噴霧特性を測定した装置の構成
図、図10はその実験結果の一例を示す図、図11は噴
射弁1の噴射方向を示す吸気管の要部拡大断面図、図1
2は噴射弁1を取り付けた内燃機関の一部を示す縦断面
図、図13は内燃機関の運転によって得られた結果の一
例を示す図である。
【0017】本実施例の電磁式燃料噴射弁(以下、噴射
弁ともいう)は、図1に示すように、コントロ−ルユニ
ット(図示せず)により演算されたデュ−ティのオン−
オフ信号によりシ−ト部の開閉を行うことにより燃料を
噴射する。磁気回路は有底状のヨ−ク4、ヨ−ク4の開
口端を閉じる栓体部3aとヨ−ク4の中心に延びる柱状
部3bからなるコア3及びコア3に空隙を有して対面す
るプランジャ5からなる。コア3の柱状部3bの中心部
には、プランジャ5とロッド10とボ−ル弁6からなる
可動部5Aをバルブガイド7に形成されたオリフィス8
のシ−ト面9に押圧する弾性部材としてのスプリング2
6を挿入保持するための穴があけてある。また、コア3
とヨ−ク4の隙間から外部に燃料が流出するのを防ぐた
めのOリング27が介裝されている。磁気回路を励磁す
るコイル2はボビンに巻かれ、その外周をプラスチック
材でモ−ルドされている。これらから構成されるコイル
組立体101の端子28はコア3のつば部に設けた孔1
02に挿入され、端子28とコア3の間にはOリング1
03が介装されている。噴射弁1の外側のモ−ルド樹脂
(以下ヨ−クモ−ルドという)104が成形時に噴射弁
1の内部に入らないようにするためのカラ−105が穴
102の入口にかぶせられる。燃料や燃料蒸気の通路と
してコア3との隙間106、上部通路107、下部通路
108が設けてある。ヨ−ク4の外周には、環状溝10
9が形成されていて噴射弁1の筐体としてのソケット
(図示せず)との隙間から燃料が流出するのをOリング
110で防いでいる。
【0018】ボール弁6は、磁性材料性のプランジャ5
の一端に接合されたロッド10と、ロッド10の他端に
形成された球状面部11とで構成され、プランジャ5の
上部開口部に固定された非磁性材からなるガイドリング
12とノズル7の中空部の内壁に挿入固定される円筒状
の燃料旋回素子13の内周面でそれぞれガイドされて往
復運動する。往復運動の際のストローク量は、ロッド1
0の首部の受け面10aとストッパ14間の空隙の寸法
で決定されるようになっている。本実施例のエアアトマ
イザ15は、ノズル7の外部に同軸的に挿入されてい
る。17は空気導入孔で、取付部材19に設けられてい
る空気通路23と導通している。18はOリング溝で、
Oリング20が挿入されており、Oリング21とともに
ヨーク4と取付部材19との間をシールしている。
【0019】燃料流入通路25の途中には、燃料流入通
路25から燃料中、配管中のゴミや異物がバルブシ−ト
側へ侵入するのを防ぐフィルタ24が設けられている。
コイル2へコントロ−ルユニットからの信号を伝える端
子29は端子28に接合されている。これら端子29は
モ−ルド樹脂によって電磁弁組体の上端にモ−ルドされ
モ−ルドコネクタ111を形成する。可動部5Aは、磁
性材製プランジャ5と、一端がプランジャ5に接合され
たボ−ル(球状面部11)と、プランジャ5の上端開口
部に固定された非磁性材からなるガイドリング12から
構成されている。ガイドリング12はコア3の先端にあ
けられた中空部の内壁で、またボ−ル弁6はノズル7の
中空部の内壁に挿入される円筒状の燃料旋回素子13の
内壁面でそれぞれガイドされている。燃料旋回素子13
に引き続いてボ−ル弁6をシ−トするシ−ト面9が形成
されており、シ−ト面9の中央には燃料噴射孔8が穿設
されている。
【0020】以下、噴射弁の組立方法及び流量の調整方
法について説明する。まず、電磁石部の組立方法を説明
する。コイル組立体101の端子28部にOリング10
3をつけた後、コア3のつば部の孔102に端子28を
挿入し、次に端子28の上からカラ−105を挿入す
る。その後コアの栓体部外周下部にOリング27を取付
けヨ−ク4内に嵌入する。この状態でヨ−ク4内周上端
縁のコア当接面部を軸方向に押圧し、コア3の栓体部の
外周に設けた溝にヨ−ク4の材料を塑性流動によって半
径方向に流し込みその緊迫力で固定する。いわゆるメタ
ルフロ−を行う。可動部はそのボ−ル弁6を燃料旋回素
子13の内壁面でガイドするとともにコア3の先端内壁
面でガイドして結局2ケ所でガイドして軸方向に進退す
るため、ヨ−ク4のノズル7の内径とコア3の内壁面の
同軸度が正確に得られることが重要である。そこでノズ
ル7の内径及び、コア3の内壁面を精度よく支持した状
態でメタルフロ−を行う。その後、端子28に端子29
をカシメあるいははんだ付け、溶接等により固定し、そ
の後樹脂により、モ−ルディングを行う。次にバルブガ
イド組立体の組立について説明する。バルブガイドは、
可動部5Aと燃料旋回素子13とノズル7からなる。可
動部5Aはボ−ル弁6と焼入れ硬化したステンレス材製
のロッド10を、抵抗溶接あるいはレ−ザ−溶接等によ
り溶接接合する。また、ガイドリング12とプランジャ
5の結合は、プランジャ5のボ−ル弁側の面を雇で受け
て、プランジャ5の先端内周縁のガイドリング当接部を
軸方向に押圧し、ガイドリングに半径方向の緊迫力を与
えることによってメタルフロ−で行うことができる。
【0021】燃料旋回素子13は、焼結合金を用いて円
筒状に型形成され、ノズル7の内壁面に圧着固定され
る。すなわち、燃料旋回素子13の外周面(4ケ所)を
ノズル7の溝にメタルフロ−によって流動圧着する。
【0022】燃料旋回素子13には、軸方向溝13aと
径方向溝13bが設けてある。本実施例では、軸方向溝
13aはDカット面を形成している。このような溝13
a、13bは、軸方向より導入される燃料通路である
が、溝13aを通過した燃料は溝13bにて軸中心より
偏心導入され、いわゆる燃料に旋回力が付与されノズル
7に設けた出口オリフィスの燃料噴射孔8より噴出する
際の微粒化を促進する働きがある。
【0023】図2、図3に示したように、噴射弁1のノ
ズル7の先端部7aの9中心部、すなわち噴射弁1の軸
心部に相当する箇所に燃料噴射孔8が設けられている。
エアアトマイザ15は薄肉の略円筒型で、その端面の中
央部に開口する気液状態の燃料を噴射する燃料噴射孔1
6が設けられている。エアアトマイザ15は、噴射弁1
の軸心と同軸状に、かつノズル先端部7aとわずかな隙
間を有するように挿入固定されている。すなわち、ノズ
ル先端部7aとエアアトマイザ15の先端側の内面15
aとの間は平行になるように対面している。エアアトマ
イザ15に供給される空気は、空気導入孔102を介し
てこの隙間22を通り噴射燃料に供給される。図2中に
付した記号d1、da、Iは、それぞれ燃料噴射孔の直
径、燃料噴射孔16の直径、空気を供給する隙間を示し
ている。
【0024】以上のように構成されたエアアシスト燃料
噴射弁の動作について説明する。噴射弁1は、図示しな
いコントロールユニットにより演算されたデューティの
オンーオフ信号により電磁石を駆動してシート部の開閉
を行うことにより燃料の噴射を行う。すなわち、コイル
2にパルス状の電気信号が与えられ、コイル2に電流が
流されると、コア3、ヨーク4、プランジャ5で磁気回
路が構成され、プランジャ5がコア3側に吸引される。
プランジャ5が移動すると、これと一体に形成されてい
るボール弁6が移動してノズル7のシート部9から離
れ、燃料噴射孔8を開放する。
【0025】燃料は、図示していない燃料ポンプにより
圧送され、燃料圧力調整用レギュレータにより加圧調整
されて、フィルタ24を通って流入通路25より噴射弁
1の内部に流入し、プランジャ5の外周部、ストッパ1
4とロッド10の隙間、燃料旋回素子13を通ってシー
ト部9へ旋回されて供給され、開弁時に燃料噴射孔8か
ら噴射される。
【0026】図4及び図5に示した噴霧が生成される過
程について説明する。噴霧の広がりは、燃料に与えるス
ワール力によって調整される。燃料スワールの生成は、
燃料噴射孔8の上流側に設けられた燃料旋回素子13に
より行われる。図3にこの燃料旋回素子13の詳細を示
している。燃料は軸方向の通路13aから径方向の通路
13bを経て燃料噴射孔8に至る。径方向の通路13b
は、幅と深さがそれぞれWとHの通路断面で形成されて
おり、かつ弁の軸心に対してLでオフセットされてい
る。そのため、燃料が径方向の通路13bを通るときス
ワール力Sが、S=C・d1・L/(n・ds・ds)
で与えられるスワール流れとなる。ここで、Cは定数、
d1は燃料噴射孔8の直径、nは径方向の13bの数、
dsは径方向の通路13bの等価直径であり、ds=2
W・H/(W+H)で表される。従って、これらのパラ
メータを適宜選択すればスワール力が決まる。本実施例
では、主としてオフセットLでスワール力を決めてい
る。
【0027】まず、噴射弁1に空気が供給されないとき
の微粒化特性について、図4を用いて説明する。図4に
示されるように、噴射燃料は燃料噴射孔8の直ぐ下流側
において、薄い膜の燃料になった後、噴射孔8の上流で
燃料に与える旋回力(以下、スワ−ルともいう)によっ
て生じる噴霧の拡大作用によってさらに薄膜化が進行す
る。薄膜化が進行し、噴霧の成長が進むと、次第に紐状
のリガメントの発生がみられるようになり、膜の分裂が
起こる。このような微粒化の過程をそれぞれ薄膜領域、
遷移領域、噴霧領域に区別して表している。
【0028】次に、噴射弁1に空気が供給されるときの
微粒化特性について、図5を用いて説明する。空気導入
孔102を介して供給される空気は、空気を供給する隙
間22を通って気液状態の燃料噴射孔16から噴出する
が、噴出後は軸線に沿って下流側に向かう高速空気流と
なる。図5中に付した白ヌキの矢印は、この空気の流れ
を示しており、微粒化の促進や噴霧の広がりを抑制する
ように作用する。軸心方向に向かう高速空気流は、噴射
後の液膜を加振し、その加振により液膜を分裂させる。
また、軸線に沿って下流方向に向かう高速空気流は、噴
霧化した微小液滴を軸心側に誘引する。図5は、その様
子を噴霧観察結果をもとに図示したものであるが、気液
状態の燃料噴射孔16の下流側には、空気を供給しない
場合のように、液膜領域はみられず多少の遷移領域から
噴霧領域へと移行しているのが特徴的である。
【0029】次に、噴射弁特有の現象である噴射初期に
生じる未旋回燃料の生起とその噴霧の様子について図6
から図8を用いて説明する。
【0030】ボール弁6が閉じている状態では、ボール
11周辺及び下部に形成されるデッドボリューム内に燃
料が残存している。このデッドボリュームは、ボール1
1と燃料旋回素子13の内壁面13a間に形成される空
間、及びボール11と弁座9間に形成される空間と噴射
孔8の空間の総和で示される。図8に示したように、コ
イル2への入力信号(パルスTi)が印加されると、ボ
ール11は一定時間の遅れた後、図8に示すようにスト
ロークする。この時のボール11下流圧力P2はわずか
な遅れを伴って追従する。デッドボリューム内に残存す
る燃料は、燃料圧力の上昇によって外部に押し出される
が、定常圧力に達するまでは十分に薄膜化されないまま
噴射される。そのときの噴射の様子を図7に示す。図7
は、ボール11の開弁後1.58ms経過した時の噴霧
状態で、液状部分が多く含まれるが、表面から多少分裂
が始まっており、微粒化が進行している。すなわち、旋
回力がわずかであるが作用している。本実施例では、こ
の噴霧に空気が効果的に作用するように供給されるの
で、噴霧初期に存在する未旋回燃料の微粒化は促進され
る。
【0031】次に、本実施例の噴射弁を負圧雰囲気に噴
射して得られる微粒化特性の実験結果について図9及び
図10を用いて説明する。
【0032】図9において、噴射弁1は側面及び全面に
観測窓を設けた容器30の上部に設けてある。容器の大
きさは十分に大きく、鉛直下に噴射された噴霧に対する
壁の影響は無視できる。噴霧の粒径測定には、噴霧中に
He−Neレ−ザ発信器31からのレ−ザ光を照射し、
その散乱光を検出器32で検出して解析するために、マ
ルバ−ン2200パ−チクルサイザ−を用いた。ここ
で、噴霧の撮影はカメラ38のシャッタを開放として、
制御回路34で噴射弁1への電圧印加から遅延回路35
を介して所定の時間遅延させたパルスをトリガとし、発
信器36を経てマイクロフラッシュ37を発光させるこ
とによって行った。燃料は空気ボンベ39の圧力によっ
て蓄圧容器40内で調整された噴射弁1に供給される。
また、容器30内の圧力すなわち雰囲気圧力は、真空ポ
ンプ41によって設定真空圧力に調整される。
【0033】図10に、エアアトマイザ15の気液状態
の燃料噴射孔径daと燃料噴射孔径d1との比da/d
1が平均粒径及び空気流量に与える影響を示した。図1
0に示されるように、da/d1が2以下の領域では噴
霧に対する空気の衝突速度が小さいために微粒化効率が
悪くなっている。また、da/d1が12以上の領域で
は噴霧に対する位置が遠ざかるため燃料液膜への加振力
が小さくなり微粒化効率が悪くなっている。従って、d
a/d1は2から12の範囲に設定するのがよい。
【0034】次に、噴射弁1をエンジンに搭載したとき
の実施例について、図11から図13を用いて説明す
る。
【0035】図11を用いて噴射弁1からの噴霧の流れ
の様子を説明する。噴射弁1は吸気マニホ−ルド50の
壁部50a及び50bにOリング20及び21を介して
挿入固定されている。51は空気通路であり図示しない
スロットルバルブの上流側より導入するバイパス空気を
噴射弁1に供給する。噴射弁1の噴射方向は、吸気孔5
2を開閉する吸気弁53の弁座53aより手前側、すな
わち内燃機関の燃料室から遠ざかる方向に指向させてお
り、図11中に実線の矢印で示した方向に噴射してい
る。図11は吸気弁が開いている状態、すなわち吸気行
程時に燃料を噴射した状態を示している。これによっ
て、吸気マニホ−ルド50内の主吸気流に噴霧が曲げら
れても内壁面への燃料付着が抑えられている。また、吸
気弁53が開いているときに噴射するため吹き戻りの現
象が生じないので内燃機関の燃焼室に効果的に燃料が送
り込まれる。
【0036】図12は、噴射弁1を取り付けた内燃機関
の一部を示しているが、60はガソリンを燃料とするエ
ンジン本体部分、62はスロットルバルブ61を内蔵す
る吸気マニホ−ルド、63はスロットルバルブ61の上
流から噴射弁1に空気を供給するバイパス管、65は点
火プラグ64を臨ませて配設する燃焼室である。
【0037】エンジンの動作は、運転状態を示す情報と
しての吸入空気量や空気温度、エンジン回転数などを図
示しない制御ユニットで処理して制御される。噴射燃料
は、図示しないタンクからポンプにより吸引され、プレ
ッシャレギュレ−タにより一定圧力に調整されて供給さ
れる。一方、空気はスロットルバルブ61が開くことに
よって流入を開始し、スロットルバルブ61の上流側と
下流側との圧力差に基づいてバイパス空気管63と吸気
マニホ−ルド62内に分流する。バイパス空気管63内
の空気は、噴射弁1の先端部付近で加速された後、噴射
燃料に対して向けられ、燃料噴射の微粒化の促進と噴霧
の壁面付着が抑制される。燃料と空気の混合気は、エン
ジン60の吸気孔52から燃料室65へ導かれ、圧縮行
程で圧縮された後点火プラグ64によって着火燃焼され
る。
【0038】図13を用いて内燃機関の運転によって得
られた結果の一例を説明する。図13は、燃料噴射タイ
ミングとHC(ハイドロカ−ボン)の排気量の関係を示
している。又、図13中の右上には吸気弁リフトを合わ
せて示している。噴射の終了時期を遅らせると、従来の
噴射弁は微粒化が不十分なため、燃焼が不完全でHCが
多量に排出する。特に、吸気弁が開き始めても吸気流の
影響をさほど受けないため燃料が効果的に燃焼室に送り
こまれ燃焼改善が図られている。
【0039】以下、本発明の他の実施例を図14ないし
図20を用いて説明する。図14は、本実施例のエアア
シスト噴射弁1の部分断面図、図15はエアアシスト噴
射弁1の燃料噴射孔8部分とエアアトマイザ15の先端
部分の相対位置関係を示す要部の縦断面図、図16はエ
アアシスト噴射弁1の縦断面図、図17は噴射弁1の噴
霧の態様の説明図、図18は噴射弁1の微粒化状況を模
式的に示した図、図19は図16のI−I断面図、図2
0は図19のII−II断面図である。
【0040】図14から図16に示すように、本実施例
においても、図1に示す実施例と同様に構成されいる
が、次の点で構成が異なる。エアアトマイザ15は噴射
弁1にシール材16を介して同軸的に挿入されている。
噴射弁1のノズル7の先端部は、先細りとなるテーパ面
7aに続いて、平面部7bを有している。平面部7bの
中心部、すなわち、噴射弁1の軸心に相当する部分に燃
料噴射孔8が設けられている。エアアトマイザ15は、
薄肉円筒型でその端面には一部を開放する気液状の燃料
噴射ノズル18が設けられており、エアアトマイザ15
の内壁面は、気液燃料噴射ノズル18に向かうテーパ面
17aとなっている。エアアトマイザ15は、噴射弁1
の軸心と同軸的にしかもノズルテーパ面17aと僅かな
隙間をもって挿入固定される。すなわち、ノズル7のテ
ーパ面7aとエアアトマイザ15のテーパ面15aは平
行になるように対面している。アトマイザ15に供給さ
れる空気は、この隙間を経て噴射燃料に供給される。
【0041】図15を参照してエアアシスト噴射弁1の
空気流の生成について、図17及び図18を用いて噴射
弁1の空気の供給がないときの微粒化特性について説明
する。図17に示されるように、噴射燃料は燃料噴射孔
8の直下で、薄膜燃料を生成した後、噴霧の拡大作用に
よって、さらに薄膜化が進行し、噴射孔8の上流で燃料
に与えるスワール(旋回力)によって噴霧の拡大作用が
生じる。薄膜化が進行し噴霧の成長が進むと、次第に紐
状のリガメントの発生が見られるようになり、膜の分裂
が起こる。この分裂によって滴状化(微粒化)する。こ
のような微粒化過程を、前述したように薄膜領域、遷移
領域、噴霧領域に区別している。図18に、スワールの
強さによって起こる微粒化の様子の違いを示している。
スワールが強くなると周方向に均一な薄膜化が進行し、
すばやく噴霧領域に変化する。
【0042】図15に示すように、ノズル7のテーパ面
7aとエアアトマイザ15のテーパ面15a間を流れる
空気は、この薄膜燃料に作用し微粒化を促進させる。こ
の時、空気流は薄膜に対してほぼ直行するように作用
し、薄膜の全周より作用して噴霧化を助長する。この
際、薄膜燃料の軸心に対する広がり角θs とエアアトマ
イザ15のテーパ角θa との関係は、両者がほぼ等しく
なるか、広がり角θs に対してテーパ角θa が大きくな
るように構成される。なお、広がり角θs は、噴霧に光
を照射して写真撮影を行い写真から計測する手法や、噴
霧に平行光を照射し得られる投影データを基に噴霧を画
像化する手法によって求められる。
【0043】図16に示すように、本実施例のエアアト
マイザ15を有しており、噴射弁1は、コントロールユ
ニット(図示せず)により演算されたデューティのオン
−オフ信号によりシート部の開閉を行うことにより燃料
の噴射供給を行う。電気信号はコイル2にパルスとして
与えられ、コイル2に電流が流されると、コア3、ヨー
ク4、プランジャ5で磁気回路が構成され、プランジャ
5がコア3側に吸引される。プランジャ5が移動する
と、これと一体になっている可動弁6が移動してノズル
7のシート部9から離れ、燃料噴射孔8を開放する。可
動弁6は、磁性材料製のプランジャ5の一端に接合され
たロッド10と、ロッド10の他端に形成された球状面
部11と、プランジャ5の上部開口部に固定された非磁
性材からなるガイドリング12とノズル7の中空部の内
壁に挿入固定される円筒状の燃料旋回素子13の内周面
でそれぞれガイドされる。また、移動の際のストローク
量はロッド10の首部の受け面10aとストッパ14間
の空隙の寸法で決定されるようになっている。エアアト
マイザ15は、シール材16を介して噴射弁1と同軸的
に挿入されている。17は、エアアトマイザ15に供給
される空気を導入する空気導入孔である。本実施例で
は、空気導入孔17の開口断面積A1 は、噴射弁1のノ
ズル7のテーパ面7aと、エアアトマイザ15のテーパ
面15aとの間の環状のエア通路の断面積A2 より大き
くなるように形成されている。
【0044】噴射弁1の燃料の噴射供給時の動作につい
て説明する。燃料は、図示しない燃料ポンプや燃料圧力
調整用レギュレータにより加圧調整され、フィルタ19
を介して流入通路20より噴射弁組立体の内部に流入
し、プランジャ5の外周、ストッパ14とロッド10の
隙間、燃料旋回素子13を通ってシート部9へ旋回供給
され、開弁時に燃料噴射孔8から噴射される。
【0045】噴霧の広がりは、燃料に与えるスワール力
の大小によって調整され、燃料スワールの生成は、燃料
噴射孔8の上流側に設けられた燃料旋回素子13によっ
て行なわれる。図19及び図20に詳細を示しているよ
うに、燃料旋回素子13を通る時、燃料は軸方向通路1
3aから径方向通路13bを経て燃料噴射孔8に至る。
径方向通路13bは、幅Wと深さHの通路断面で形成さ
れており、かつ弁軸心に対してLだけオフセットLされ
ている。このため、燃料は径方向通路13bを経ると、
スワール流れとなる。スワール力は、図1で示した実施
例と同様に、S=C・dl・L/(n・ds・ds)で与
えられる。ここに、Cは定数、dl は燃料噴射孔8の
直径、nは径方向通路13bの数、ds は径方向通路1
3bの等価直径であり、ds=2W・H/(W+H)で表
され、これらのパラメータを適宜選択すればスワール力
が定まる。本実施例の噴射弁では、主にオフセットLを
選択してスワ−ルを決めている。
【0046】図18に一例を示す。エアアトマイザ15
との組合せは図18中(c)の噴霧を採用するとよい。
すなわち、エアアトマイザ15の空気導入孔17を介し
て流入する空気は、ノズル7の周辺にて整流され下流へ
と流れる。その後、ノズル7のテーパ面7aとエアアト
マイザ15のテーパ面15a間で形成される環状通路を
経て噴霧に向かって流れ込み、周方向から噴霧の薄膜部
分に衝突する。この際、噴霧燃料のさらなる微粒化の促
進が図られる。衝突した後は、噴霧を包合するように気
液燃料噴射ノズル18からエンジンの吸気管内へ噴射供
給され、管内壁面への付着を抑制しつつ燃焼室入口(イ
ンテークバルブ)に向けて流れ、インテークバルブの開
放時に効果的に室内へ送りこまれる。
【0047】本発明の他の実施例を図21により説明す
る。図21は、本実施例を示す縦断面図である。本実施
例では、噴射燃料に衝突する空気の通路形状に関して、
ノズル7の別のテーパ面70aとエアアトマイザ15の
同じくテーパ面150aで形成される通路が気液燃料噴
射ノズル18に向かってその断面が次第に減少するよう
に構成されている。
【0048】本発明の他の実施例を図22により説明す
る。図22は、本実施例を示す縦断面図であり、ノズル
7の先端部の形状に関すて、ノズル7先端部には凹部7
Cが形成されている。また、空気通路形状が、ノズル7
のR部7Bから連続するテーパ面7Aとエアアトマイザ
15AのR部15B、これに連続するテーパ面15Cと
から形成されるもので、流れの乱れを小さくして気液燃
料噴射ノズル18へ空気を供給する。
【0049】本発明の他の実施例を図23及び図24に
より説明する。図23及び図24は、それぞれ本実施例
を示す縦断面図及び図23において矢視Aからみた平面
図である。ノズル7の先端部の形状に関して、本実施例
では、ノズル7の先端部の平面部に部分的に小突起21
を形成したもので、小突起21は、ノズル7の燃料噴射
孔8と同軸的に、弁下方に延長されている。小突起21
は、ノズル7の先端直下で起こる空気流の不安定流動
(うず)を消滅させる作用を持っている。図21ないし
図24に示される実施例においても、図14から図20
に示す実施例と同様の効果が得られる。
【0050】本発明の他の実施例を図25から図27に
より説明する。図25及び図26はそれぞれエアアシス
ト噴射弁30の側面図及びエアアトマイザ15の縦断面
図を示している。本実施例は、エアアトマイザ15は、
シール材16を介して噴射弁30に同軸的に挿入されて
いる。本実施例の噴射弁30はノズル7の先端部分にテ
ーパ部分を設けていない。
【0051】図26は、エアアシスト噴射弁30の燃料
噴射孔8部分とエアアトマイザ15の先端部分の相対位
置関係を示す要部の断面図である。本実施例では、気液
状態の燃料噴射ノズル18より噴射される噴霧の広がり
を抑制する形状を提供している。図27は、その効果の
一例を示しており、図27に示されるように、噴霧の微
粒化を妨げずに広がりを抑制することができる。
【0052】本発明の他の実施例を図28及び図29に
より説明する。図28及び図29は、それぞれ本実施例
を示す噴射弁1のノズル7部分とエアアトマイザ40の
先端部分との相対位置関係を示す要部の縦断面図、図2
8を矢視Bからみた平面図であり、噴霧を2方向に分割
する手段に関する。本実施例における特徴部分は、気液
状態の燃料噴射ノズル18の下流側に弁軸心に向かう対
をなした突起42を設けたことにある。突起42は、エ
アアトマイザ40に固定される分離部材41に設けられ
ている。
【0053】突起42はその径方向断面が略三角形状に
形成されており、突起42を除く空間部分は気液燃料噴
射ノズル18の開口部分(径部分)と略同一となるよう
に配置されている。なお、エアアトマイザ40の内側面
に形成されるテーパ面40aは、図14から図20に示
される実施例と同様にノズル7のテーパ面7aと平行に
置かれている。
【0054】このような噴霧形状は、吸気弁を2個有す
るエンジンに適している。以下、本実施例のエアアシス
ト噴射弁をエンジンに搭載した例を燃焼結果の一例と合
わせて説明する。図30は、エンジン制御システムの部
分断面図である。図30において、200はガソリンを
燃料とするエンジンの本体部分、220はスロットルバ
ルブ210を内蔵するインテークマニホールド、240
は吸気孔230を開閉する吸気弁、260は点火プラグ
250を臨ませて配設する燃焼室、300は吸気弁24
0の上流でインテークマニホールド220の壁部に取り
付けられ、吸気弁240の弁座240a方向に噴射可能
となるように配置されるエアアシスト噴射弁300で図
14から図20に示す実施例のものが適用されている。
205はその一端がエアアシスト噴射弁300の先端付
近に取り付けられ、他端がスロットルバルブ210の上
流でインテークマニホールド220内に臨むように配置
される空気導入管である。なお、エアアシスト噴射弁3
00の電気端子は制御ユニット270に接続されてい
る。
【0055】エンジン200の動作は、運転状況の情報
である吸入空気量や空気温度、エンジン回転数などを制
御ユニット270で処理して行う。エアアシスト噴射弁
300の燃料噴射は、この制御ユニット270の信号に
基づいて行われるが、基本噴射量は図示しないエアフロ
ーメータにより検出された吸入空気量信号と、図示しな
いディストリビュータに内蔵されるクランク角センサに
より検出されたエンジン回転数信号とから演算される。
この基本噴射量を、その時の運転状態に応じた種々の補
正分で修正してエアアシスト噴射弁300に噴射信号と
して送る。噴射燃料は、図示しないタンクからポンプに
より吸い出され、プレッシャレギュレータにより一定圧
に調整されて供給される。
【0056】一方、空気はスロットルバルブ210が開
くことによって流入を開始し、スロットルバルブ210
の上流と下流との圧力差に基づいて空気導入管205と
インテークマニホール220内に分流する。空気導入管
205内の空気は、エアアシスト噴射弁300の先端部
付近で加速された後、噴射燃料に対して向けられる。な
お、図14から図20に示す実施例の説明で記載したよ
うに、エアアトマイザ15の空気導入孔17の流路断面
積A1 とノズル7先端付近に設けた環状のエア通路の断
面積A2 との関係をA1<A2としているので、空気導入
孔17の下流の圧力はスロットルバルブ210の下流の
圧力P2(負圧)と略等しくなる。したがって、空気導入
孔17の下流では体積膨張により(P1/P2)倍の空気
量となり、ノズル7先端部の環状流路部分の空気流速が
高められる。P1 はスロットルバルブ上流側の圧力であ
る。
【0057】従って、噴射燃料の微粒化が促進され、噴
霧の壁面への付着が抑制される。これによって、燃料と
空気の混合気は、エンジン200の吸気孔230から燃
焼室260へ導かれ圧縮行程で圧縮された後、点火プラ
グ250で着火燃焼される。
【0058】図31は、噴霧の平均粒径が燃焼排気ガス
中のHC(ハイドロカーボン)の排出に及ぼす影響を燃
料の噴射タイミングで整理した結果の一例を示してい
る。図中の各々の点は、粒径の大きさを表しており、大
は220μm程度、中は110μm程度、小は40μm
程度である。図31から明らかなように、粒径を小さく
することによって燃焼が改善されHCの排出量は下が
る。この検討結果によると、平均粒径が40μm程度に
なると吸気(吸気弁の開状態)に同期して燃料噴射が可
能となる。すなわち、本発明のエアアシスト噴射弁によ
れば、吸気時に燃料噴射が可能となり、早期に燃焼に必
要な混合気を形成して燃焼の改善が図られる。
【0059】これによって、過渡燃料補正量の低減や燃
焼変動の抑制、アイドル回転数の低下や点火時期のリタ
ード、空燃比のリーン化ができる等の様々な効果が得ら
れ、燃費の低減やHCの低減が図られ地球の環境汚染や
温暖化などの諸問題に対してその改善が可能になる。
【0060】本発明の他の実施例を図32により説明す
る。図32は、本実施例のエアアシスト噴射弁を搭載し
たエンジン制御システムの説明図である。
【0061】図32において、エンジン400は、吸気
2弁エンジンの部分的な断面図で、スロットルバルブを
内蔵する吸気マニホールド410、吸気孔及びこれを開
閉する吸気弁420、点火プラグ430を臨ませて配置
する図示しない燃焼室、吸気弁420の上流で吸気マニ
ホールド410の壁部に取り付けられ、吸気弁420方
向に噴射可能となるように配置される本実施例に係るエ
アアシスト噴射弁500が示される。噴射弁500から
の噴射燃料は、吸気弁420の隔壁420aに衝突しな
いように2方向に分離される。なお、440は排気弁を
示す。
【0062】エンジン400の動作は、前述と同様であ
る。なお、この種のエンジンは、吸気抵抗の減少によっ
て吸入効率が向上するため、燃焼性が改善されて出力の
向上が図られる。噴射弁に要求される噴霧の特性は、燃
料の微粒化と噴霧の2方向化である。すなわち、吸気弁
中央隔壁への燃料付着をさけ、かつ、二つの吸気孔に均
等に燃料を供給することである。
【0063】エアアシスト噴射弁500の燃料噴射は、
噴射弁500に供給される空気によって効果的に行われ
る。空気の供給元は、本実施例では図示していないが、
スロットルバルブの前後差圧によるもので前述と同じで
ある。又、燃料と空気の混合気は、エンジン400の吸
気孔から燃焼室へ導かれ圧縮された後、点火プラグ43
0で着火燃焼される。燃焼の改善による効果は、前述と
同様である。
【0064】以上述べた実施例によれば、第1に、簡単
な構成により空気流を旋回燃料に効果的に作用させるこ
とができるため、微粒化の促進が図れるとともに、粒径
分布の均一化が図れるという効果がある。
【0065】第2に、少量の空気を連続的に供給するこ
とによって噴射燃料の吸気管内壁面への付着を防止する
ことができ、内燃機関の吸気行程に同期して噴射を可能
にし燃料の輸送効率を高めることができる。
【0066】第3に、早期に機関の燃焼に必要な混合気
が形成され燃焼の改善が図られる。その結果、過渡燃料
補正量の低減によるモード運転時のHC低減や、燃焼変
動の抑制によるアイドル回転数の低下や、点火時期のリ
タードによる燃費の低減や、急速燃焼による空燃比のリ
ーン化を行うことによるHCの低減や燃費の低減を図れ
るという効果がある。
【0067】第4に、空気流を噴射燃料に効果的に作用
させるため微粒化の促進が図れ、粒径分布の均一化が図
れる。また、少量の空気を連続的に供給することによっ
て噴霧の吸気管内壁面への付着を抑制することができ、
機関の吸気に同期して燃料噴射を可能にすることができ
る。その結果、早期に内燃機関の燃焼に必要な混合気が
形成され燃焼の大幅な改善が図れるという効果がある。
また、過渡燃料補正量が低減できモ−ド運転時のハイド
ロカ−ボン低減や燃焼変動の抑制によるアイドル回転数
の低下や、点火時期のリタ−ドによる燃費の向上や、急
速燃焼による空燃比のリ−ン化を行うことによるハイド
ロカ−ボンの低減や燃費の向上を図れる等の実用上の様
々な効果が得られ、環境汚染問題に伴う排気規制や地球
温暖化に伴う燃費規制等の要求に応えることができると
いう効果がある。
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、簡単な構成により空気
流を旋回燃料に効果的に作用させることができるため、
微粒化の促進が図れるとともに、粒径分布の均一化が図
れるという効果がある。また本発明に係る噴射弁を吸気
管の壁部に取り付けて、ノズル外面とエアアトマイザの
内面との間に構成される環状のエア導入通路に、少量の
空気を連続的に 供給することによって、噴射燃料の吸気
管内壁面への付着を防止することができ、内燃機関の吸
気行程に同期して噴射を可能にし燃料の輸送効率を高め
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すエアアシスト噴射弁の
縦断面図である。
【図2】エアアシスト噴射弁の要部拡大縦断面図であ
る。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】エアの供給がない状態での噴霧を示す噴射弁の
要部拡大縦断面図である。
【図5】エアの供給がある状態での噴霧を示す噴射弁の
要部拡大縦断面図である。
【図6】噴射弁が閉じている状態を示す要部拡大縦断面
図である。
【図7】噴射弁が開いている状態を示す要部拡大縦断面
図である。
【図8】ボ−ル弁の挙動と弁下流圧力の挙動の実験結果
を示す図である。
【図9】負圧雰囲気での噴射弁の噴霧特性を測定する装
置の構成図である。
【図10】エアアトマイザの寸法諸元に対する実験結果
を示す図である。
【図11】噴射弁の噴射方向を示す吸気管の要部拡大断
面図である。
【図12】本実施例のエアアシスト噴射弁を用いた内燃
機関の一部を示す図である。
【図13】内燃機関の運転によって得られた結果の一例
を示す図である。
【図14】本発明の他の実施例を示すエアアシスト噴射
弁の説明図である。
【図15】エアアシスト噴射弁の要部の断面図である。
【図16】本発明の他の実施例を示すエアアシスト噴射
弁の縦断面図である。
【図17】エアの供給のない状態での噴射弁の噴霧を示
す説明図である。
【図18】エアの供給のない状態での噴射弁の微粒化特
性図である。
【図19】本実施例の噴射弁の燃料旋回素子を示す断面
図である。
【図20】本実施例の噴射弁の燃料旋回素子の径方向溝
を示す断面図である。
【図21】本発明の他の実施例を示すエアアシスト噴射
弁のノズル部の断面図である。
【図22】本発明の他の実施例を示すエアアシスト噴射
弁のノズル部の断面図である。
【図23】本発明の他の実施例を示すエアアシスト噴射
弁のノズル部の断面図である。
【図24】図23で矢視Aからみた平面図である。
【図25】本発明の他の実施例を示すエアアシスト噴射
弁の側面図である。
【図26】本実施例を示すエアアシスト噴射弁のノズル
部の断面図である。
【図27】本実施例を示すエアアシスト噴射弁の噴霧特
性図。
【図28】本発明の他の実施例を示すエアアシスト噴射
弁のノズル部の断面図である。
【図29】図28で矢視Bからみた平面図である。
【図30】図14から図20に示す実施例のエアアシス
ト噴射弁を用いた内燃機関の部分断面図である。
【図31】内燃機関の運転によって得られた結果の特性
図である。
【図32】図28に示す実施例のエアアシスト噴射弁を
用いた内燃機関の一部を示す説明図である。
【符号の説明】
1…燃料噴射弁、7…ノズル、7a…ノズルテーパ部、
8…燃料噴射口、15a…テーパ部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−159460(JP,A) 特開 平4−159453(JP,A) 特開 平3−124959(JP,A) 仏国特許1358593(FR,B) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 39/00 - 71/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の運転状態を検出し、該検出した
    電気信号に基づいて燃料の噴射制御を行うとともに、こ
    の噴射された燃料に向けて空気を供給する電子制御エア
    アシスト噴射弁において、 ノズルに形成された弁座を開閉する弁と、前記弁座の下
    流側に設けられた燃料噴射孔と、該燃料噴射孔から流出
    する燃料を液膜を生起する手段を備え、かつ前記ノズル
    の先端部に前記燃料噴射孔と同軸状に設けられた噴射孔
    を有するエアアトマイザが取り付けられるものであっ
    て、前記ノズル外面とエアアトマイザの内面との間に環
    状のエア導入通路が形成され、前記燃料噴射孔の直径を
    dl、前記エアアトマイザに設けられた噴射孔の直径を
    daとしたとき、その比da/dlを2<da/dl<
    12となる範囲に設定したことを特徴とする電子制御エ
    アアシスト噴射弁。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のエアアシスト噴射弁にお
    いて、前記液膜生起手段は前記燃料噴射孔の上流側に設
    けられ、供給される燃料に旋回力を付与する手段である
    ことを特徴とするエアアシスト噴射弁。
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