JP2001263033A - ハンドヘルド型四サイクルエンジンの潤滑装置 - Google Patents

ハンドヘルド型四サイクルエンジンの潤滑装置

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JP2001263033A
JP2001263033A JP2000076407A JP2000076407A JP2001263033A JP 2001263033 A JP2001263033 A JP 2001263033A JP 2000076407 A JP2000076407 A JP 2000076407A JP 2000076407 A JP2000076407 A JP 2000076407A JP 2001263033 A JP2001263033 A JP 2001263033A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジン本体の薄肉化,即ち軽量化を可能に
しながら,エンジン内部を潤滑し得る,ハンドヘルド型
四サイクルエンジンの潤滑装置を提供する。 【解決手段】 エンジン本体1の外側に配置されるオイ
ルタンク40と,このオイルタンク40とクランク室6
a間を連通する通孔55と,エンジン本体1の外側に配
設されてクランク室6aとシリンダヘッド8の動弁室2
1との間を連通するオイル送り導管60と,エンジン本
体1の外側に配設されて動弁室21とオイルタンク40
との間を連通するオイル戻し導管78と,オイル送り導
管60を通してクランク室6aから動弁室21側へオイ
ルを移送する一方向弁61とから潤滑装置を構成し,上
記導管60導管78の存在に関係なくエンジン本体1の
側壁の薄肉化を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,主としてトリマそ
の他の携帯型作業機の動力源となるハンドヘルド型四サ
イクルエンジンに関し,特に,クランク室を有するクラ
ンクケース,シリンダボアを有するシリンダブロック,
並びに吸気ポート及び排気ポートを有するシリンダヘッ
ドからなるエンジン本体と,クランクケースに支承され
てクランク室に収容されるクランク軸と,シリンダボア
に嵌装されると共にクランク軸に連接されるピストン
と,シリンダヘッドに取付けられて吸気ポート及び排気
ポートを開閉する吸気弁及び排気弁と,クランク軸の回
転に連動して吸気弁及び排気弁を開閉する動弁機構と,
クランク軸の一端部に設けられる動力取出し機構とを含
む四サイクルエンジンの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】かゝるハンドヘルド型四サイクルエンジ
ンは,例えば特開平10−28801号公報に開示され
るように,既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ハンドヘルド型四サイ
クルエンジンは,その排ガスが比較的クリーンであるこ
とから,環境の汚染防止は勿論のこと,エンジンを携え
る使用者の健康確保の上に有効である。しかしながら,
その構造が二サイクルエンジンよりは複雑であるため,
軽量化が難しいという難点がある。軽量化は,特にハン
ドヘルド型四サイクルエンジンにとって,作業性を良好
にする上に重要な課題の一つである。
【0004】ところが,上記公報に開示されているハン
ドヘルド型四サイクルエンジンでは,シリンダヘッドに
設けられた吸,排気弁を開閉する動弁機構を潤滑すべ
く,クランク室及び動弁機構間を連通する潤滑油路をエ
ンジン本体の側壁にに形成しているため,エンジン本体
の側壁が必然的に肉厚となって大型化してしまい,エン
ジンの軽量化を困難にしている。
【0005】本発明は,かゝる点に鑑みてなされたもの
で,エンジン本体のコンパクト化を可能して,軽量で作
業性の良好な前記ハンドヘルド型四サイクルエンジンを
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に,本発明は,クランク室を有するクランクケース,シ
リンダボアを有するシリンダブロック,並びに吸気ポー
ト及び排気ポートを有するシリンダヘッドからなるエン
ジン本体と,クランクケースに支承されてクランク室に
収容されるクランク軸と,シリンダボアに嵌装されると
共にクランク軸に連接されるピストンと,シリンダヘッ
ドに取付けられて吸気ポート及び排気ポートを開閉する
吸気弁及び排気弁と,クランク軸の回転に連動して吸気
弁及び排気弁を開閉駆動する動弁機構と,クランク軸
の,エンジン本体外側に突出する端部に設けられる動力
取出し機構とを含む,ハンドヘルド型四サイクルエンジ
ンにおいて,エンジン本体の外側に配置されて潤滑用オ
イルを貯留するオイルタンクと,このオイルタンク及び
クランク室間を連通する通孔と,エンジン本体の外側に
配設されてクランク室及び,動弁機構を収容すべくシリ
ンダヘッドに形成された動弁室間を連通するオイル送り
導管と,同じくエンジン本体の外側に配設されて動弁室
及びオイルタンク間を連通するオイル戻し導管と,オイ
ルタンク内のオイルをクランク室を経てオイル送り導管
へ移送する移送手段とから潤滑装置を構成したことを第
1の特徴とする。
【0007】尚,前記動力取出し機構は,後述する実施
例中の遠心クラッチに対応し,移送手段は実施例中の一
方向弁61に対応する。
【0008】この第1の特徴によれば,オイル送り導管
及びオイル戻し導管をエンジン本体の外側に配設したこ
とから,これら導管の存在に関係なくエンジン本体の側
壁の薄肉化が可能となり,エンジン本体のコンパクト化
を図って,エンジン全体の大幅な軽量化を達成すること
ができる。しかも,外部配置のオイル送り導管及びオイ
ル戻し導管は,エンジン本体からの熱の影響を受け難く
なるので,潤滑用オイルの過熱を回避することができ
る。
【0009】また本発明は,第1の特徴に加えて,オイ
ルタンク内に,その貯留オイルからオイルミストを生成
するオイルミスト生成手段を設け,オイルタンク内で生
成されたオイルミストをオイル送り導管へ移送する移送
手段を,クランク室の圧力脈動の正圧成分をオイル送り
導管へ導く弁手段で構成したことを第2の特徴とする。
【0010】尚,前記弁手段は,後述する実施例中の一
方向弁61に対応する。
【0011】この第2の特徴によれば,オイルタンク内
でミスト化されたオイルを,クランク室の圧力脈動を利
用して,クランク室及び動弁室に供給し,それをオイル
タンク40に還流させることにより,エンジンの如何な
る運転姿勢においても,そのエンジン内部をオイルミス
トにより確実に潤滑することができ,しかもそのオイル
ミストの循環のための専用のオイルポンプは不要であ
り,構造の簡素化を図ることができる。
【0012】さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加
えて,オイル送り導管及びオイル戻し導管を,エンジン
本体の外側面と動弁機構のタイミング伝動装置との間に
配設されるベルトカバーに一体に形成したことを第3の
特徴とする。
【0013】この第3の特徴によれば,オイル送り導管
及びオイル戻し導管のベルトカバーとの一体化により,
部品点数の削減と組立性の向上を図ることができる。
【0014】さらにまた本発明は,第1又は第2の特徴
に加えて,オイル送り導管及びオイル戻し導管を,可撓
性のチューブを構成したことを第4の特徴とする。
【0015】この第4の特徴によれば,オイル送り導管
及びオイル戻し導管を接続する部位が何処にあっても,
これら導管を適当に撓ませることにより自由に配管する
ことができ,レイアウトの自由度を広げることができ
る。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を,添付図面
に示す本発明の実施例に基づいて説明する。
【0017】図1は本発明のハンドヘルド型四サイクル
エンジンの一使用例を示す斜視図,図2は上記四サイク
ルエンジンの縦断側面図,図3は図2の要部拡大図,図
4は図3のカム軸周りの拡大縦断面図,図5は図3の5
−5線断面図,図6は上記エンジンの潤滑装置系統図,
図7は図3の7−7線断面図,図8は図7の8−8線断
面図,図9はヘッドカバーの底面図,図10はエンジン
の種々の運転姿勢におけるシリンダヘッドでの溜まりオ
イルの吸い上げ作用説明図,図11はオイル送り導管及
びオイル戻し導管の変形例を示す,図7に対応した断面
図である。
【0018】図1に示すように,ハンドヘルド型四サイ
クルエンジンEは,例えば動力トリマTの動力源とし
て,その駆動部に取付けられる。動力トリマTは,その
作業状態によりカッタCを色々の方向に向けて使用され
るので,その都度エンジンEも大きく傾けられ,あるい
は逆さにされ,その運転姿勢は一定しない。
【0019】先ず,このハンドヘルド型四サイクルエン
ジンEの全体的構成について,図2〜図5により説明す
る。
【0020】図2,図3及び図5に示すように,上記ハ
ンドヘルド型四サイクルエンジンEのエンジン本体1に
は,その前後に気化器2及び排気マフラ3がそれぞれ取
付けられ,気化器2の吸気道入口にはエアクリーナ4が
装着される。またエンジン本体1の下面には合成樹脂製
の燃料タンク5が取付けられる。
【0021】エンジン本体1は,クランク室6aを有す
るクランクケース6,一つのシリンダボア7aを有する
シリンダブロック7,並びに燃焼室8a及び該室に開口
する吸,排気ポート9,10を有するシリンダヘッド8
からなっており,シリンダブロック7とシリンダヘッド
8とは一体に鋳造され,そのシリンダブロック7の下端
に,それと別個に鋳造されたクランクケース6がボルト
により接合される。このクランクケース6は,その中央
で左右に分割された第1及び第2ケース半体6L,6R
で構成され,両ケース半体6L,6Rはボルト12で相
互に接合される。シリンダブロック7及びシリンダヘッ
ド8に外周には多数の冷却フィン38が形成される。
【0022】クランク室6aに収容されるクランク軸1
3は,第1及び第2ケース半体6L,6Rにボールベア
リング14,14′を介して回転自在に支承されと共
に,シリンダボア7aに嵌装されたピストン15にコン
ロッド16を介して連接される。また第1及び第2ケー
ス半体6L,6Rには,上記ベアリング14,14′外
側に隣接してクランク軸13の外周面に密接するオイル
シール17,17′が装着される。
【0023】シリンダヘッド8には,吸気ポート9及び
排気ポート10をそれぞれ開閉する吸気弁18及び排気
弁19がシリンダボア7aの軸線と平行に設けられ,ま
た点火栓20が,その電極を燃焼室8aの中心部に近接
させて螺着される。
【0024】吸気弁18及び排気弁19は,シリンダヘ
ッド8に形成された動弁室21において弁ばね22,2
3により閉弁方向に付勢される。また動弁室21におい
て,吸気弁18及び排気弁19の頭部には,シリンダヘ
ッド8に上下揺動自在に軸支されたカムフォロワ24,
25が重ねられ,これらカムフォロワ24,25を介し
て吸気弁18及び排気弁19を開閉するカム軸26が,
クランク軸13と平行にして,動弁室21の左右両側壁
ボールベアリング27,27′を介して回動自在に支承
される。一方のベアリング27を装着される動弁室21
の一側壁は,シリンダヘッド8と一体に成形されてお
り,この一側壁には,カム軸26の外周面に密接するオ
イルシール28が装着される。動弁室21の他側壁に
は,該室21へのカム軸26の挿入を可能にする挿入口
29が設けられ,カム軸26の挿入後,この挿入口29
を閉鎖する側壁キャップ30に他方のベアリング27′
が装着される。この側壁キャップ30は,シール部材3
1を介して挿入口29に嵌合された上,シリンダヘッド
8にボルトで結合される。
【0025】図3及び図4に明示するように,カム軸2
6は,前記オイルシール28が在る側でシリンダヘッド
8の外側方へ一端部を突出させている。これと同じ側で
クランク軸13も一端部をクランクケース6の外側方に
突出させており,その一端部に歯付きの駆動プーリ32
が固着され,これより歯数が2倍の歯付きの被動プーリ
33が前記カム軸26の一端部に固着される。そして,
両プーリ32,33に歯付きのタイミングベルト34が
巻掛けられ,クランク軸13がカム軸26を2分の1の
減速比をもって駆動し得るようになっている。上記カム
軸26及びタイミング伝動装置35によって動弁機構5
3が構成される。
【0026】こうして,エンジンEはOHC型に構成さ
れ,またタイミング伝動装置35は,エンジン本体1外
側に配置される乾式とされる。
【0027】エンジン本体1とタイミング伝動装置35
との間には,エンジン本体1にボルト37で固定される
合成樹脂製のベルトカバー36が配置され,エンジン本
体1の放射熱のタイミング伝動装置35への影響を避け
るようになっている。
【0028】またエンジン本体1には,タイミング伝動
装置35に一部の外側面を覆うように配置される合成樹
脂製のオイルタンク40がボルト41により固着され,
さらにこのオイルタンク40の外側面にリコイル式スタ
ータ42(図2参照)が取付けられる。
【0029】再び図2において,クランク軸13の,タ
イミング伝動装置35と反対側の他端部もクランクケー
ス6の外側方に突出しており,その一端部にはフライホ
イール43がナット44で固着される。このフライホイ
ール43は,冷却羽根を兼ねるべく内側面に多数の冷却
羽根45,45…を一体に備えている。またフライホイ
ール43の外側面には,複数の取付けボス46(図2に
は,そのうちの1個を示す)が形成されており,この各
取付けボス46に遠心シュー47が揺動自在に軸支され
る。この遠心シュー47は,後述する駆動軸50に固着
されるクラッチドラム48と共に遠心クラッチ48を構
成するもので,クランク軸13の回転数が所定値を超え
ると,遠心シュー47が,それ自体の遠心力によりクラ
ッチドラム48の内周壁に圧接して,クランク軸13の
出力トルクを駆動軸50に伝達するようになる。この遠
心クラッチ48よりも,フライホイール43は大径にな
っている。
【0030】エンジン本体1及び付属機器を覆うエンジ
ンカバー51は,タイミング伝動装置35の部分で,フ
ライホイール43側の第1カバー半体51aと,スター
タ42側の第2カバー半体51bとの分割され,それぞ
れエンジン本体1に固着される。第1カバー半体51a
には,クランク軸6と同軸に並ぶ円錐台状の軸受ホルダ
75が固着され,この軸受ホルダ75は,前記カッタC
を回転駆動するベアリング59を介して支持するもので
あり,この軸受ホルダ75に空気取り入れ口52が設け
られ,冷却羽根45,45…の回転に伴い外気をエンジ
ンカバー51内に取り入れるようになっている。またエ
ンジンカバー51及び軸受ホルダ75には,燃料タンク
5の下面を覆う台座54が固着される。
【0031】而して,クランク軸13及びカム軸26間
を連動させるタイミング伝動装置35が乾式に構成され
て,エンジン本体1の外側に配設されるので,エンジン
本体1の側壁には,該装置35を収容する室を特別に設
ける必要がなくなり,したがってエンジン本体1の薄肉
化及びコンパクト化を図り,エンジンE全体の大幅な軽
量化を達成することができる。
【0032】しかも,シリンダブロック7を間に置い
て,クランク軸13の両端部にタイミング伝動装置35
と遠心クラッチ48の遠心シュー47とが連結されるの
で,クランク軸13の両端部での重量バランスが良好
で,エンジンEの重心をクランク軸13の中央部に極力
近づけることができ,軽量化と相俟って,エンジンEの
作業性を向上させることができる。のみならず,エンジ
ンEの作動中,タイミング伝動装置35及び駆動軸50
による負荷は,クランク軸13の両端部に分散して作用
することになるため,クランク軸13及びそれを支持す
るベアリング14,14′への荷重の集中を回避して,
それらの耐久性をも向上させることができる。
【0033】またエンジン本体1と遠心シュー47との
間において,遠心シュー47より大径で冷却羽根45を
有するフライホイール43がクランク軸13に固着され
るので,フライホイール43によるエンジンEの大型化
を極力回避しながら,冷却羽根45の回転により,遠心
クラッチ48に邪魔されることなく,空気取り入れ口5
2から外気を吸入してシリンダブロック7及びシリンダ
ヘッド8周りに的確に供給でき,それらの冷却性を高め
ることができる。
【0034】さらにエンジン本体1にはオイルタンク4
0がタイミング伝動装置35の外側に隣接して取付けら
れるので,オイルタンク40がタイミング伝動装置35
の少なくとも一部を覆うことになり,該伝動装置35の
他の部分を覆う第2カバー半体51bと協働して,該伝
動装置35を保護することができる。しかもこのオイル
タンク40とフライホイール43との,エンジン本体1
を間に置いた対向配置により,エンジンEの重心をクラ
ンク軸13の中心部により近づけることができる。
【0035】次に,図3〜図10により上記エンジンE
の潤滑系について説明する。
【0036】図3に示すように,クランク軸13の一端
部は,オイルタンク40の内外両側壁に装着されたオイ
ルシール39,39′に密接しながらオイルタンク40
を貫通するように配置されており,オイルタンク40の
内部とクランク室6aとの間を連通する通孔55がクラ
ンク軸13に設けられる。オイルタンク40には潤滑用
オイルOが貯留されれており,その貯留量は,上記通孔
55のオイルタンク40内への開口端をエンジンEの如
何なる運転姿勢でも常にオイルOの液面上に露出させる
ように設定される。
【0037】オイルタンク40内において,クランク軸
13にオイルスリンガ56がクランク軸13にナット5
7で固着される。オイルスリンガ56は,クランク軸1
3に嵌着される中心部から互いに半径方向反対側へ延出
すると共に軸方向反対側に屈曲した2枚のブレード56
a,56bを備えており,クランク軸13によりオイル
イルスリンガ56が回転されると,エンジンEの如何な
る運転姿勢でも,2枚のブレード56a,56bの少な
くとも何れか一方が,オイルタンク40内にオイルOを
飛散させ,オイルミストを生成するようになっている。
【0038】図3,図6及び図7において,クランク室
6aはオイル送り導管60を介して動弁室21に接続さ
れ,そのオイル送り導管60には,クランク室6aから
動弁室21側への一方向のみの流れを許容する一方向弁
61が介裝される。オイル送り導管60は前記ベルトカ
バー36に,その一側縁に沿って一体に形成され,この
オイル送り導管60の下端部は弁室62に形成される。
ベルトカバー36には,弁室62からベルトカバー36
の裏側に突出する入口管63が一体に形成され,この入
口管63は,クランク室6aに連通するように,クラン
クケース6下部の接続孔64にシール部材65を介して
嵌合される。弁室62には,入口管63から弁室62へ
の一方向への流れを許容させるべく,前記一方向弁61
が配設される。この一方向弁61は,図示例の場合,リ
ード弁からなっている。
【0039】またベルトカバー36には,オイル送り導
管60の上端からベルトカバー36の裏側に突出する出
口管66が一体に形成され,この出口管66は,動弁室
21に連通するように,シリンダヘッド8側部の接続孔
67に嵌合される。
【0040】こうしてオイル送り導管60と連通した動
弁室21は,カム軸26に設けられた,横孔68aと縦
孔68bからなる気液分離通路68を介して側壁キャッ
プ30内のブリーザ室69に連通され,このブリーザ室
69は,ブリーザパイプ70を前記エアクリーナ4内に
連通される。
【0041】図4及び図9に明示するように,シリンダ
ヘッド8には,動弁室21の開放上面を閉鎖するヘッド
カバー71がシール部材72を介して接合される。この
ヘッドカバー71に,複数オリフィス73,73…を介
して動弁室21に連通する吸い上げ室74が形成され
る。この吸い上げ室74は,動弁室21の上面に沿った
偏平な形状を成しており,その底壁の四隅に4つのオリ
フィス73,73…が穿設される。またその底壁には,
その中央部でカム軸26の軸線と直交する方向に間隔を
置いて並んで動弁室21内に突出する長短2本の吸い上
げ管74,75が一体に形成されており,これらにオリ
フィス73,73が設けられる。
【0042】図6〜図8に示すように,吸い上げ室74
は,他方において,オイル戻し導管78を介してオイル
タンク40内と連通される。オイル戻し導管78はベル
トカバー36に,オイル送り導管60と反対側の他側縁
に沿って一体に形成される。ベルトカバー36には,オ
イル戻し導管78の上端からベルトカバー36の裏側に
突出する入口管78が一体に形成されており,この入口
管78は,吸い上げ室74と連通するように,ヘッドカ
バー71に形成された出口管80にコネクタ81を介し
て接続される。
【0043】またベルトカバー36には,オイル戻し導
管78の下端からベルトカバー36の裏側に突出する出
口管82が一体に形成されており,この出口管82は,
オイルタンク40内に連通するように,オイルタンク4
0に設けられた戻し孔84に嵌合される。戻し孔84の
開口端は,エンジンEの如何なる運転姿勢でもオイルタ
ンク40内のオイルの液面上に露出するように,オイル
タンク40内の中心部近傍に配置される。
【0044】尚,オイルタンク40の外方に突出したク
ランク軸13の先端には,前記リコイルスタータ42に
よって駆動される被動部材84が固着される。
【0045】而して,エンジンEの運転中,クランク軸
13の回転によりオイルタンク40においてオイルスリ
ンガ56が潤滑油Oを飛散させてオイルミストを生成す
ると,ピストン15の上昇運動によりクランク室23が
減圧したとき,そのオイルミストは通孔55を通してク
ランク室6aに吸入され,クランク軸13ピストン15
周りを潤滑する。次いでピストン15の下降運動により
クランク室6aが昇圧すると,一方向弁61の開弁によ
り上記オイルミストはクランク室6aで発生したブロー
バイガスと共にオイル送り導管60を昇って動弁室21
に供給され,カム軸26やカムフォロワ24,25等を
潤滑する。
【0046】動弁室21内のオイルミスト及びブローバ
イガスが回転中のカム軸26の気液分離通路68に入る
と,該通路68内で気液が遠心分離され,液化したオイ
ルは気液分離通路68の横孔68aを通して動弁室21
に戻されが,ブローバイガスは,エンジンEの吸気行程
時,ブリーザ室69,ブリーザパイプ70及びエアクリ
ーナ4を順次経由してエンジンEに吸入される。
【0047】ところで,動弁室21は,上記のように気
液分離通路68,ブリーザ室69及びブリーザパイプ7
0を介してエアクリーナ4内に連通しているので,動弁
室21の圧力は,大気圧もしくはそれより若干低圧に保
たれる。
【0048】一方,クランク室6aは,その圧力脈動の
正圧成分のみを一方向弁61から吐出することから平均
的に負圧状態となり,その負圧は,通孔55を介してオ
イルタンク40に伝達し,更にオイル戻し導管78を介
して吸い上げ室74に伝達するので,吸い上げ室74
は,動弁室21よりも低圧,オイルタンク40内は吸い
上げ室74よりも低圧となる。その結果,圧力の移動が
動弁室21から吸い上げ管75,76及びオリフィス7
3,73…を通して吸い上げ室74へ,更にオイル戻し
導管78を通してオイルタンク40へと生ずるので,そ
れに伴い動弁室21内のオイルミストや,動弁室21内
で液化して溜まったオイルは吸い上げ管75,76及び
オリフィス73,73…を通して吸い上げ室74に吸い
上げられ,そしてオイル戻し導管78を下ってオイルタ
ンク40に還流する。
【0049】その際,前述のように,吸い上げ室74の
底壁の四隅に4つのオリフィス73,73…が穿設さ
れ,またその底壁の中央部から動弁室21に突出して,
カム軸26の軸線と直交する方向に間隔を置いて並ぶ長
短2本の吸い上げ管74,75にオリフィス73,73
が設けられているので,図10に示すように,エンジン
Eの正立状態(A)は勿論,左方傾け状態(B),右方
傾け状態(C),左方横転状態(D),右方横転状態
(E),倒立状態(F)など,如何なる運転姿勢でも,
動弁室21に溜まったオイルには,6つのオリフィス7
3,73…の何れかが浸かることになり,そのオイルを
吸い上げ室74に吸い上げることができる。
【0050】かくして,オイルタンク40内でミスト化
されたオイルを,クランク室6aの圧力脈動と,一方向
弁61の機能を利用して,OHC型四サイクルエンジン
Eのクランク室6a及び動弁室21に供給し,それをオ
イルタンク40に還流させるので,エンジンEの如何な
る運転姿勢においても,そのエンジン内部をオイルミス
トにより確実に潤滑することができ,しかもそのオイル
ミストの循環のための専用のオイルポンプは不要であ
り,構造の簡素化を図ることができる。
【0051】また合成樹脂製のオイルタンク40のみな
らず,クランク室6a及び動弁室21間を結ぶオイル送
り導管60,並びに吸い上げ室74及びオイルタンク4
0間を結ぶオイル戻し導管78は,エンジン本体1外に
配設されるので,エンジン本体1の薄肉化及びコンパク
ト化を何ら妨げず,エンジンEの軽量化に大いに寄与す
ることができる。特に,外部配置のオイル送り導管60
及びオイル戻し導管78は,エンジン本体1からの熱の
影響を受け難くなるので,潤滑用オイルOの過熱を回避
することができる。またオイル送り導管60及びオイル
戻し導管78とベルトカバー36との一体化により,部
品点数の削減と組立性の向上に寄与し得る。
【0052】図11は,オイル送り導管60及びオイル
戻し導管78の変形例を示すもので,この場合,オイル
送り導管60及びオイル戻し導管78は,ベルトカバー
36とは分離したゴム等の可撓性材料からなるチューブ
で構成される。その他の構成は,前実施例と同様である
ので,図中,前実施例との対応部分には,それと同一の
参照符号を付して,その説明を省略する。
【0053】この変形例によれば,オイル送り導管60
及びオイル戻し導管78を接続する部位が何処にあって
も,これら導管60,78を適当に撓ませることにより
自由に配管することができ,レイアウトの自由度を広げ
ることができる。
【0054】本発明は,上記実施例に限定されるもので
はなく,その要旨の範囲を逸脱することなく種々の設計
変更が可能である。例えば,一方向弁61に代えて,ク
ランク軸13に連動して,オイル送り導管60をピスト
ン15の下降時に導通し,その上昇時に遮断するように
作動するロータリバルブを設けることもできる。
【0055】
【発明の効果】以上のように本発明の第1の特徴によれ
ば,クランク室を有するクランクケース,シリンダボア
を有するシリンダブロック,並びに吸気ポート及び排気
ポートを有するシリンダヘッドからなるエンジン本体
と,クランクケースに支承されてクランク室に収容され
るクランク軸と,シリンダボアに嵌装されると共にクラ
ンク軸に連接されるピストンと,シリンダヘッドに取付
けられて吸気ポート及び排気ポートを開閉する吸気弁及
び排気弁と,クランク軸の回転に連動して吸気弁及び排
気弁を開閉駆動する動弁機構と,クランク軸の,エンジ
ン本体外側に突出する端部に設けられる動力取出し機構
とを含む,ハンドヘルド型四サイクルエンジンにおい
て,エンジン本体の外側に配置されて潤滑用オイルを貯
留するオイルタンクと,このオイルタンク及びクランク
室間を連通する通孔と,エンジン本体の外側に配設され
てクランク室及び,動弁機構を収容すべくシリンダヘッ
ドに形成された動弁室間を連通するオイル送り導管と,
同じくエンジン本体の外側に配設されて動弁室及びオイ
ルタンク間を連通するオイル戻し導管と,オイルタンク
内のオイルをクランク室を経てオイル送り導管へ移送す
る移送手段とから潤滑装置を構成したので,オイル送り
導管及びオイル戻し導管をエンジン本体の外側に配設し
たことから,これら導管の存在に関係なくエンジン本体
の側壁の薄肉化が可能となり,エンジン本体のコンパク
ト化を図って,エンジン全体の大幅な軽量化を達成する
ことができる。しかも,外部配置のオイル送り導管及び
オイル戻し導管は,エンジン本体からの熱の影響を受け
難くなるので,潤滑用オイルの過熱を回避することがで
きる。
【0056】また本発明の第2の特徴によれば,オイル
タンク内に,その貯留オイルからオイルミストを生成す
るオイルミスト生成手段を設け,オイルタンク内で生成
されたオイルミストをオイル送り導管へ移送する移送手
段を,クランク室の圧力脈動の正圧成分をオイル送り導
管へ導く弁手段で構成したので,オイルタンク内でミス
ト化されたオイルを,クランク室の圧力脈動を利用し
て,クランク室及び動弁室に供給し,それをオイルタン
ク40に還流させることにより,エンジンの如何なる運
転姿勢においても,そのエンジン内部をオイルミストに
より確実に潤滑することができ,しかもそのオイルミス
トの循環のための専用のオイルポンプは不要であり,構
造の簡素化を図ることができる。
【0057】さらに本発明の第3の特徴によれば,オイ
ル送り導管及びオイル戻し導管を,エンジン本体の外側
面と動弁機構のタイミング伝動装置との間に配設される
ベルトカバーに一体に形成したので,オイル送り導管及
びオイル戻し導管のベルトカバーとの一体化により,部
品点数の削減と組立性の向上を図ることができる。
【0058】さらにまた本発明の第4の特徴によれば,
オイル送り導管及びオイル戻し導管を,可撓性のチュー
ブを構成したので,オイル送り導管及びオイル戻し導管
を接続する部位が何処にあっても,これら導管を適当に
撓ませることにより自由に配管することができ,レイア
ウトの自由度を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハンドヘルド型四サイクルエンジンの
一使用例を示す斜視図。
【図2】上記四サイクルエンジンの縦断側面図。
【図3】図2の要部拡大図。
【図4】図3のカム軸周りの拡大縦断面図。
【図5】図3の5−5線断面図。
【図6】上記エンジンの潤滑装置系統図。
【図7】図3の7−7線断面図。
【図8】図7の8−8線断面図。
【図9】ヘッドカバーの底面図。
【図10】エンジンの種々の運転姿勢におけるシリンダ
ヘッドでの溜まりオイルの吸い上げ作用説明図。
【図11】オイル送り導管及びオイル戻し導管の変形例
を示す,図7に対応した断面図。
【符号の説明】
E・・・・・エンジン 1・・・・・エンジン本体 6・・・・・クランクケース 6a・・・・クランク室 7・・・・・シリンダブロック 7a・・・・シリンダボア 8・・・・・シリンダヘッド 9・・・・・吸気ポート 10・・・・排気ポート 13・・・・クランク軸 15・・・・ピストン 18・・・・吸気弁 19・・・・排気弁 21・・・・動弁室 35・・・・タイミング伝動装置 36・・・・ベルトカバー 40・・・・オイルタンク 49・・・・動力取出し機構(遠心クラッチ) 53・・・・動弁機構 55・・・・通孔 56・・・・オイルスリンガ 60・・・・オイル送り導管 61・・・・移送手段,弁手段(一方向弁) 78・・・・オイル戻し導管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01M 11/02 F01M 11/02 F02B 67/06 F02B 67/06 G F02F 1/24 F02F 1/24 G Fターム(参考) 3G013 AA03 AA05 AB03 BA04 BB12 BC11 BD12 BD27 BD41 BD47 CA00 CA01 DA19 3G015 AA03 AA05 AB03 BB01 BC00 BD02 BD11 BD24 BE03 BF05 BF07 CA06 CA12 DA02 DA11 DA12 EA26 EA27 3G024 AA01 AA13 AA44 BA23 DA03 DA08 DA23 EA14 FA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランク室(6a)を有するクランクケ
    ース(6),シリンダボア(7a)を有するシリンダブ
    ロック(7),並びに吸気ポート(9)及び排気ポート
    (10)を有するシリンダヘッド(8)からなるエンジ
    ン本体(1)と,クランクケース(6)に支承されてク
    ランク室(6a)に収容されるクランク軸(13)と,
    シリンダボア(7a)に嵌装されると共にクランク軸
    (13)に連接されるピストン(15)と,シリンダヘ
    ッド(8)に取付けられて吸気ポート(9)及び排気ポ
    ート(10)を開閉する吸気弁(18)及び排気弁(1
    9)と,クランク軸(13)の回転に連動して吸気弁
    (18)及び排気弁(19)を開閉駆動する動弁機構
    (53)と,クランク軸(13)の,エンジン本体
    (1)外側に突出する端部に設けられる動力取出し機構
    (49)とを含む,ハンドヘルド型四サイクルエンジン
    において,エンジン本体(1)の外側に配置されて潤滑
    用オイル(O)を貯留するオイルタンク(40)と,こ
    のオイルタンク(40)及びクランク室(6a)間を連
    通する通孔(55)と,エンジン本体(1)の外側に配
    設されてクランク室(6a)及び,動弁機構(53)を
    収容すべくシリンダヘッド(8)に形成された動弁室
    (21)間を連通するオイル送り導管(60)と,同じ
    くエンジン本体(1)の外側に配設されて動弁室(2
    1)及びオイルタンク(40)間を連通するオイル戻し
    導管(78)と,オイルタンク(40)内のオイル
    (O)をクランク室(6a)を経てオイル送り導管(6
    0)へ移送する移送手段(61)とからなることを特徴
    とする,ハンドヘルド型四サイクルエンジンの潤滑装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のハンドヘルド型四サイク
    ルエンジンの潤滑装置において,オイルタンク(40)
    内に,その貯留オイル(O)からオイルミストを生成す
    るオイルミスト生成手段(56)を設け,オイルタンク
    (40)内で生成されたオイルミストをオイル送り導管
    (60)へ移送する移送手段を,クランク室(6a)の
    圧力脈動の正圧成分をオイル送り導管(60)へ導く弁
    手段(61)で構成したことを特徴とする,ハンドヘル
    ド型四サイクルエンジンの潤滑装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のハンドヘルド型四
    サイクルエンジンの潤滑装置において,オイル送り導管
    (60)及びオイル戻し導管(78)を,エンジン本体
    (1)の外側面と動弁機構(53)のタイミング伝動装
    置(35)との間に配設されるベルトカバー(36)に
    一体に形成したことを特徴とする,ハンドヘルド型四サ
    イクルエンジンの潤滑装置。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のハンドヘルド型四
    サイクルエンジンの潤滑装置において,オイル送り導管
    (60)及びオイル戻し導管(78)を,可撓性のチュ
    ーブを構成したことを特徴とする,ハンドヘルド型四サ
    イクルエンジンの潤滑装置。
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