JP2001262020A - インク組成物および印刷物 - Google Patents

インク組成物および印刷物

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JP2001262020A
JP2001262020A JP2000081798A JP2000081798A JP2001262020A JP 2001262020 A JP2001262020 A JP 2001262020A JP 2000081798 A JP2000081798 A JP 2000081798A JP 2000081798 A JP2000081798 A JP 2000081798A JP 2001262020 A JP2001262020 A JP 2001262020A
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group
solvent
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JP2000081798A
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English (en)
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Komei Fukushima
功明 福島
Yoshinori Yamamoto
芳典 山本
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Maxell Holdings Ltd
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Hitachi Maxell Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光領域で実質的に不可視であつて、かつ
印刷されたマ―クを下地の色に影響されずに高感度で検
出でき、しかも人体に対して安全であり、さらに引火の
可能性が低く取り扱いや運搬の際に特別の措置をこうじ
る必要のない、紫外線励起型のインク組成物を提供す
る。 【解決手段】 可視光領域で実質的に不可視であつて、
紫外線により励起されて615±20nmに発光中心波
長を有する、分子内にアンモニウムカチオンを有して水
に対する溶解性が高められたユウロピウム系有機金属錯
体からなる少なくとも1種の蛍光色素を含有し、溶媒と
して水および/またはエタノ―ルを溶媒中94重量%以
上含有するととともに、溶媒中の水の含有率が40重量
%以上であることを特徴とするインク組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視光領域で実質
的に不可視である色素を用いたマ―カ―ペン、インクジ
エツトプリンタなどの印字に用いられる紫外線励起型の
インク組成物と、その印刷物とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、物品に関する製造業者、商品名な
どの情報をバ―コ―ドなどで表示し、その模様を光学的
検出法で読み取つて、商品の売上集計や、流通の分析な
どに利用することが行われている。最近では、このよう
なバ―コ―ドシステムを利用した商品が多くみられるだ
けでなく、このシステムをフアイル管理などに応用した
ものがあり、たとえば、コ―ド管理による区分けにより
物品を分配するシステムを適用する郵便物などに利用し
た例もみられる。
【0003】バ―コ―ドの印刷には、白地に黒字のバ
―コ―ドを印刷する方法、300〜400nmの紫外
線で励起されて青色または緑色の可視光を発光するイン
ク組成物を印刷する方法が、利用または提案されてい
る。このうち、の方法は、非常に安価であるという長
所があり広く利用されているが、黒のバ―コ―ドと下地
との反射率の違いを利用して読み取るものであるため、
物品などに汚れが生じた場合、読み取りが極端に困難に
なるという欠点がある。また、可視光領域の反射光を利
用するため、必然的に物品の外観を損ねてしまう欠点も
ある。
【0004】また、の方法は、物品の外観を損ねるこ
となく印刷できるという利点はあるが、青色または緑色
の可視光を発光するため、検出性に劣りやすいという欠
点がある。すなわち、一般に、白紙には蛍光増白剤が添
加されているため、この蛍光増白剤が添加された白紙上
に青色に発光するインク組成物を形成して、励起光を照
射すると、下地に添加されている蛍光増白剤も発光し
て、発光の光量差が実質的に小さくなり、マ―クを検出
できなくなる。また、発光する可視光の検出に際し、光
電変換素子として一般的に安価で入手が容易であるシリ
コ─ンフオトダイオ―ドを用いると、可視光の受光感度
が長波長側より短波長側で低くなり、青色または緑色の
比較的短波長の可視光は、600nm付近の長波長の可
視光に比べて、半分以下の感度となり、十分な検出感度
が得られにくい。
【0005】そこで、本発明者らは、先に、ユウロピウ
ムを発光中心とする色素を使用し、可視光領域で実質的
に不可視であつて、300〜400nmの紫外線によつ
て励起されて615±20nmで発光するインク組成物
を使用する方法を提案した。このインク組成物は、物品
上に印刷しても物品の外観を損ねることがないととも
に、印刷されたマ―クは紫外線による励起により上記波
長側の可視光を発光するため、下地の色に影響されるこ
とが少なく、従来から使用されているシリコ─ンフオト
ダイオ―ドなどでも高感度で検出することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、本発明者
らが提案した上記のインク組成物によると、前記の方
法を欠点を回避することができ、しかもこのインク組成
物は、主溶媒として人体に対して安全な水やエタノ―ル
などの水性溶媒を使用できるので、使用環境の制限を受
けないという利点も有している。ところが、上記の水性
溶媒といえども、ユウロピウムを発光中心とする色素は
水単独には不溶のため、通常はエタノ―ルを70重量%
以上使用する必要があり、この場合人体に対して安全で
あつても、引火点が低くなるため、消防法上の危険物と
して分類され、取り扱いや運搬の際に特別の措置をこう
じなければならないという問題がある。
【0007】本発明は、このような事情に照らし、可視
光領域で実質的に不可視であつて、物品上に印刷しても
物品の外観を損ねることがなく、しかも上記印刷された
マ―クを下地の色に影響されずに高感度で検出でき、そ
のうえ人体に対して安全で、使用環境になんら制限を受
けることがなく、さらに引火の可能性が低く取り扱いや
運搬の際に特別の措置をこうじる必要のない、紫外線励
起型のインク組成物とその印刷物を提供することを目的
としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、鋭意検討した結果、使用するユウロ
ピウム含有色素をアンモニウムカチオンを含む特定の有
機金属錯体としたときに、上記色素の水に対する溶解性
が向上して、水および/またはエタノ―ルを主溶媒とす
るとともに、溶媒中40重量%以上の水を含有するイン
ク組成物を調製することが可能となり、このインク組成
物によれば、前記既提案のインク組成物と同様の性能を
発揮させることができるとともに、引火点が高くなつ
て、消防法上の危険物の該当しないものとなり、これに
より上記本発明の目的をすべて満足するものとなること
を知り、本発明を完成するに至つた。
【0009】すなわち、本発明は、つぎの式(1);
【化2】 〔式中、R1 ,R2 は水素原子、ハロゲン原子、アルキ
ル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジ
アルキルアミノ基、アリ―ル基またはアラルキル基であ
り、A+ はつぎの式(2); (式中、R3 ,R4 ,R5 ,R6 は水素原子、アルキル
基またはアラルキル基であり、互いに結合して環状をな
していてもよい)で表されるアンモニウムカチオンであ
る〕で表される少なくとも1種の蛍光色素を含有し、溶
媒として水および/またはエタノ―ルを溶媒中94重量
%以上含有するととともに、溶媒中の水の含有率が40
重量%以上であることを特徴とするインク組成物に係る
ものである。また、本発明は、上記のインク組成物から
なる印刷層を物品上に有することを特徴とする印刷物に
係るものである。
【0010】また、本発明者らは、上記特定の蛍光色素
と、溶媒として水または/およびエタノ―ルを主溶媒と
し、かつ溶媒中40重量%以上の水を含有するものを使
用したインク組成物においては、その発光量が不足した
り、高温保存後に発光量が低下することがあるが、これ
は特定のリン系有機化合物の使用により克服できる、つ
まり特定のリン系有機化合物の使用により上記色素の分
解による発光量の低下を抑制でき、高温保存後でもすぐ
れた発光量が得られることがわかつた。また、このイン
ク組成物に特定の界面活性剤を添加すると、インクの濡
れ性が低下し、被印刷物としてポリエチレンテレフタレ
―トフイルムなどの非吸収性物品を使用したときでも、
インクのにじみを生じず、被印刷物である物品の選択性
のない、汎用性の高いインク組成物が得られることなど
もわかつた。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる色素は、前記
の式(1)で表されるユウロピウム錯体であれば、とく
に限定なく使用することができるが、市販品の代表的な
ものとして、三井化学社製の商品名「ER−130」を
挙げることができる。このような色素を用いたインク組
成物は、可視光領域で発光、吸光成分を持たないため、
これを物品上に設けることにより、物品の外観を損なう
ことのない不可視の印刷物とすることができる。しか
も、発光領域が615±20nmと長波長側であること
から、たとえば蛍光増白剤などの発光成分が添加された
物品上であつても、発光中心が相違するため、下地の影
響を低減できるとともに、シリコ─ンフオトダイオ―ト
などでも高感度の検出が可能となるという特徴を有して
いる。
【0012】本発明に用いられるバインダは、ポリビニ
ルアルコ―ル、ポリビニルブチラ―ル、ポリビニルピロ
リドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体などが
好ましい。これらの中でも、水系溶媒への溶解性が高
く、かつ色素の分散性にすぐれるビニルピロリドン−酢
酸ビニル共重合体、とくにビニルピロリドンと酢酸ビニ
ルとの共重合比が8/2〜2/8の範囲にあるものが好
ましい。これらポリビニル系樹脂の使用量は、色素に対
し、0.5〜50重量倍、好ましくは2〜30重量倍、
さらに好ましくは5〜20重量倍とするのがよい。この
ようなポリビニル系樹脂とともに、フエノ―ル樹脂、ポ
リエステル系樹脂、アクリル系樹脂、セルロ―ス系樹
脂、ポリアミド樹脂などの他の樹脂を併用してもよい。
これら他の樹脂は、水系溶媒において前記色素の分散不
良をもたらすため、上記のポリビニル系樹脂に対して、
30重量%以下の使用量とするのが好ましい。
【0013】本発明においては、前記色素に対して、人
体に対する安全性とさらに高引火点とするため、溶媒と
して水または/およびエタノ―ルを主溶媒とし、かつ溶
媒中40重量%以上の水を含有する系(以下、単に水系
という)を使用するが、この場合、所望の発光量が得ら
れなかつたり、高温保存後に発光量が低下することがあ
る。本発明者らは、この問題を解決するため、鋭意検討
した結果、特定のリン系有機化合物を使用すると、色素
の分解による発光量の低下を抑制でき、高温保存後でも
すぐれた発光量が得られることを見い出した。
【0014】本発明に用いられるリン系有機化合物は、
ホスフインオキサイド化合物、ホスフインサルフアイド
化合物およびホスフイン化合物の中から選ばれる少なく
とも1種である。このようなリン系有機化合物をインク
組成物中に含ませると、インクのpHを維持でき、また
分解により色素の対イオンが金属錯体から離脱した場合
でも、上記のリン系有機化合物が色素の対イオンとして
配位している配位子と置換することにより、発光強度の
低下を抑制するものと思われる。
【0015】すなわち、本発明の色素を用いたインク組
成物に関し、高温保存後の発光量の低下につき詳細に検
討した結果、高温保存後において発光量が低下するのは
色素の分解が生じているためと考えられ、これは、色素
である錯体が高温下で分解して、ユウロピウムから配位
子が変位するためと思われる。とくに、本発明では、極
性の水系溶媒を使用しているため、一旦ユウロピウムか
ら変位した配位子は、再度配位するよりも溶媒中の方が
安定に存在するものと考えられ、そのために、分解が促
進されて発光強度の著しい低下が生じるものと考えられ
る。
【0016】これに対し、インク組成物中に上記特定の
リン系有機化合物を含ませると、この化合物が色素の周
囲に集まつて配位子の変位を抑えるとともに、配位子が
変位した場合でも配位子に代わつて、このリン系有機化
合物が配位することにより、リン系有機化合物が有する
増感効果、酸化防止効果と相まつて、初期の発光量のみ
ならず、高温保存後でもすぐれた発光量を維持できるも
のと考えられる。
【0017】また、本発明に用いる前記色素の中には、
インクが強酸性の雰囲気、とくにpHが4未満となる
と、色素の分解が起こつて発光量が低下するものがあ
り、高温保存時にこの傾向が顕著となりやすい。このた
め、インク組成物中に、上記特定のリン系有機化合物の
中でも、とくにpHが4以上となる化合物を添加するの
が望ましく、これによりインクが強酸性の雰囲気となる
のを防止することができ、高温保存時の発光量の維持に
さらに好結果を得ることができる。
【0018】上記のホスフインオキサイド化合物として
は、下記の式(3)で表される化合物が、上記のホスフ
インサルフアイド化合物としては、下記の式(4)で表
される化合物が、上記のホスフイン化合物としては、下
記の式(5)で表される化合物が、それぞれ挙げられ
る。これらの化合物は、いずれも、pHが4以上である
のが好ましい。ここで、pHとは、各化合物単位の濃度
1重量%のエタノ―ル溶液での値である。なお、下記の
式(3)〜(5)中、R11〜R19は、好ましくは炭素数
が1〜8、より好ましくは2〜6であり、代表的な炭化
水素基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オク
チル基などのアルキル基、またはベンジル基などのアラ
ルキル基などを挙げることができる。
【0019】 (式中、R11〜R13は炭素数1〜12の直鎖、分枝また
は環状の炭化水素基であり、これらは同一であつても異
なつていてもよく、互いに結合した環状構造であつても
よい)
【0020】 (式中、R14〜R16は炭素数1〜12の直鎖、分枝また
は環状の炭化水素基であり、これらは同一であつても異
なつていてもよく、互いに結合した環状構造であつても
よい)
【0021】 (式中、R17〜R19は炭素数1〜12の直鎖、分枝また
は環状の炭化水素基であり、これらは同一であつても異
なつていてもよく、互いに結合した環状構造であつても
よい)
【0022】本発明において、上記のようなリン系有機
化合物は、これがあまりに多すぎると色素の含有量が減
少して、発光量の低下を招くおそれがある。このため、
上記のリン系有機化合物の使用量としては、色素に対し
て、0.01〜10重量倍、好ましくは0.1〜5重量
倍とするのがよい。
【0023】本発明では、前記の色素を水系溶媒に溶解
させて、インク組成物とする。水系溶媒は、既述のとお
り、水または/およびエタノ―ルを主溶媒とし、かつ溶
媒中40重量%以上の水を含有するものである。インク
の安定性などの向上のため、必要により、アセトン、酢
酸エチル、メチルエチルケトンなどの他の有機溶剤を併
用できるが、これらの有機溶剤は溶媒中6重量%以下、
つまり水または/およびエタノ―ルが溶媒中94重量%
以上となるようにする。その上で、溶媒中水を40重量
%以上とすることで、インク組成物としての安全性が確
保されて、使用環境になんら制限を受けることはないと
ともに、消防法上非危険物と分類され、運搬や取り扱い
に関してもなんら制限を受けることはない。
【0024】本発明のインク組成物は、これをマ―カ―
ペン、インクジエツトプリンタなどの印字用インクとし
て使用するが、たとえば連続式インクジエツトプリンタ
用のインクとしては、偏光電極によりインク粒子の飛行
軌道制御を行うため、インク粒子を荷電させて導電性粒
子とする必要があり、このため、電荷調整剤として、下
記の式(6)で表されるカチオン化合物を含ませるのが
好ましい。
【0025】 (式中、AはNまたはPであり、R20〜R23は水素原子
または炭素数1〜12の直鎖、分枝もしくは環状の炭化
水素基であり、これらは同一であつても異なつていても
よく、互いに結合した環状構造であつてもよい)
【0026】上記の式(6)中、R20〜R23が炭化水素
基である場合、その代表的な炭化水素基としては、メチ
ル基、エチル基、ブチル基、オクチル基などのアルキル
基、またはベンジル基などのアラルキル基などが挙げら
れる。インク組成物中に添加する際には、たとえば、N
−ベンジルピリジニウム、N−メチルピリジニウム、
1,4−ジメチルピリジニウムなどのピリジニウムカチ
オン、テトラブチルホスホニウムなどのホスホニウムカ
チオンなどのカチオンと、ハロゲン、トリアゾレ―ト、
β−ジケトン構造などを有するアニオンとの塩として添
加すればよく、この塩はインク組成物中でイオン解離し
てカチオン化合物となる。
【0027】従来より、インクジエツトプリンタ用イン
クでは、電荷調整剤として、LiNO3 などのLi塩、
KCN、KSCNなどのK塩が用いられているが、本発
明のインク組成物中にこのような従来の電荷調整剤を含
ませると、これを含ませないものに比べて、発光量が2
0%程度まで低下する。これに対して、上記の電荷調整
剤として、前記の式(6)で表される特定のカチオン化
合物を含ませると、導電性を低下させることなく、発光
量の低下を低減できることが見い出された。この理由は
明らかではないが、以下のように考えられる。
【0028】従来のLi塩やK塩からなる電荷調整剤
は、カチオンのイオン化傾向が高いため、色素の発光中
心となるユウロピウムと配位子となる対イオンとの間を
攻撃し、その際上記カチオンのイオン半径が小さいた
め、上記対イオンとイオン交換しやすく、結果として、
発光強度が弱められるものと思われる。とくに、本発明
のような水系を主溶媒とするインクでは、有機溶剤系に
比べ溶媒の誘電係数が高いため、このようなイオン交換
が起こりやすいものと思われる。
【0029】これに対し、本発明では、前記特定のカチ
オン化合物を使用することにより、添加されたカチオン
化合物とイオン交換が生じても、これらの化合物が脱離
した対イオンとイオン交換してユウロピウムに配位する
ため、発光強度の低下を抑制でき、また式(6)で表さ
れるような大きな立体障害構造を有するため、上記のイ
オン交換自体も生じ難く、この点でも好ましいものと思
われる。
【0030】本発明において、上記の式(6)で表され
るカチオン化合物は、あまりに多すぎると色素の安定性
を阻害するばかりでなく、印字物の耐水性などを低下さ
せるため、色素に対し、前記カチオンとアニオンとの塩
の形態で、0.01〜100重量倍、好ましくは0.1
〜50重量倍の使用量とするのがよい。
【0031】本発明のインク組成物において、上記カチ
オン化合物を含ませる場合、さらにpH調製剤を添加す
るのが好ましい。これは、上記カチオン化合物が低いp
Hを有し、インクのpHを低下させて色素の分解を促進
するおそれがあるため、pH調整剤により色素が分解し
ない雰囲気とする必要があるからである。このようなp
H調整剤には、ジエタノ―ルアミン、トリエタノ―ルア
ミン、トリエチレンテトラミンなどのアミン化合物のほ
か、アミド化合物、炭酸塩などが挙げられる。添加量と
しては、上記のカチオン化合物に対して、0.01〜5
重量倍、好ましくは0.08〜2重量倍とするのがよ
い。
【0032】本発明のインク組成物は、これを被印刷物
としてポリエチレンテレフタレ―トフイルムなどのイン
クを吸収しない非吸収性物品に印刷する場合には、フツ
素系界面活性剤を添加しておくのが好ましい。水系イン
ク組成物は表面張力が低く、上記の非吸収性物品では、
インクの濡れ性がよいため、にじみが生じやすいが、フ
ツ素系界面活性剤を含ませると、上記濡れ性が低下して
にじみを抑制できる。このようなフツ素系界面活性剤に
は、旭硝子社製の「サ―フロン」、3M社製の「フロラ
―ド」、大日本インキ社製の「メガフアツク」などがあ
る。フツ素系界面活性剤の使用量は、多すぎるとインク
の泡立ちが生じやすくなるため、インク組成物中、0.
01〜2重量%とするのが好ましい。
【0033】本発明のインク組成物の調製は、溶媒の種
類などに応じて、適宜の方法で行えばよい。たとえば、
アセトンなどの他の有機溶剤を少量の併用するときは、
上記他の有機溶剤に色素を溶解させ、これをエタノ―ル
および水で希釈し、バインダおよびリン系有機化合物と
さらに前記所要の添加剤を加えて溶解ないし分散させれ
ばよい。また、水またはこれとエタノ―ルとの混合溶媒
中に色素をこれ単独でまたは有機微粒子などに被着させ
た状態で分散させ、これにバインダおよびリン系有機化
合物とさらに前記所要の添加剤を溶解ないし分散させて
もよい。分散に際し、適宜の分散剤を使用してもよい
し、使用しなくてもよい。
【0034】本発明のインク組成物において、各成分の
使用量はとくに限定されないが、通常は、色素が0.0
1〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、バインダ
が1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、リン系
有機化合物が0.01〜10重量%、好ましくは0.1
〜5重量%、その他の添加剤が10重量%以下、好まし
くは5重量%以下、残りが溶媒となるようにするのがよ
い。とくに、バインダが多すぎると色素量が減少し、発
光量が低下するとともに、インク組成物の増粘を招きや
すく、逆に少なすぎると色素が不均一な分散となりやす
いので、好ましくない。このインク組成物は、物品への
印刷後に全体として透明であることが望まれるが、印刷
すべき物品の下地色と同一であつて、印刷層の存在を肉
眼で認識できない限り、適宜の色を呈していてもよい。
【0035】本発明においては、このインク組成物をマ
―カ―ペンやインクジエツトプリンタなどによつて葉書
などの郵便物をはじめとする各種物品の表面に印刷し
て、バ―コ―ドなどの所望のマ―クからなる印刷層を形
成し、印刷物とする。その際、上記のインク組成物は、
人体に対して安全な水系溶媒、つまり水または/および
エタノ―ルを主溶媒としているため、使用環境になんら
制限を受けず、密閉されたオフイスなどでも安全に作業
できる。また、上記のインク組成物は、引火点が高いた
め、消防法上の危険物には該当せず、したがつて、その
取り扱いや運搬の際に特別の措置をこうじる必要がな
く、この点でも有利である。
【0036】このように作製される印刷物は、上記の印
刷層が透明であるか、下地色と同一のために、物品の外
観が損なわれず、しかもこのように可視光領域で実質的
に不可視であるが、紫外線を照射すると励起されて61
5±20nmで発光する、たとえば赤色に発光するた
め、これを光電変換素子としてシリコンフオトダイオ―
ドなどを用いた読み取りリ―ダで検出すれば、所望のマ
―ク情報を、物品の下地色に影響されることなく、高密
度で読み取ることができる。
【0037】図1は、上記読み取り方式の一例を示した
ものであつて、読み取りリ―ダは、光学系Aと読み取り
回路Bとからなる。光学系Aは、紫外線ランプ1、光学
レンズ2、光学フイルタ3、スリツト4、シリコンフオ
トダイオ―ドに代表される光電変換素子を備えた光電変
換部5により構成されている。読み取り回路Bは、信号
増幅・2値化物6と、認識部7とにより構成されてい
る。
【0038】光学系Aでは、郵便物などの物品11の表
面にバ―コ―ドなどの所望のマ―クからなる印刷層12
を形成した印刷物10に対し、紫外線ランプ1より紫外
線を照射して印刷層12を励起させ、その発光を光学レ
ンズ2で集光する一方、光学フイルタ3により上記ラン
プ1による印刷物10からの紫外線の反射光を除去して
上記発光のみを透過させ、さらにスリツト4によつて印
刷層12のバ―コ―ド間の発光を分解し、光電変換部5
により上記発光を電気信号fとして検出する。読み取り
回路Bでは、このように検出した電気信号fを信号増幅
・2値化物6により増幅・2値化し、この2値化信号g
を認識部7を通してシリアルインタ―フエイスからデ―
タ処理部に読み取りデ―タjとして送出する。
【0039】
【実施例】以下に、本発明の実施例を記載して、さらに
具体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは
重量部を意味するものとする。
【0040】実施例1 可視光領域で実質的に不可視であつて、紫外線により励
起されて発光する色素として、三井化学社製の商品名
「ER−130」〔式(1)中、R1 ,R2 はともに水
素原子、R3 〜R6 はいずれもブチル基である〕1部
を、エタノ―ル45部と水40部との混合溶媒(溶媒中
の水含有量:約47重量%)に溶解した。これにビニル
ピロリドン−酢酸ビニル共重合体(ISP社製の「PV
P/VA E735」)10部を加え、さらにトリエチ
ルホスフインオキサイド1部、テトラフエニルホスホニ
ウムブロマイド2部、フツ素系界面活性剤(3M社製の
「フロラ―ドFC430」)0.1部を加え、よく攪拌
混合することにより、紫外線励起型のインク組成物を調
製した。
【0041】実施例2 トリエチルホスフインオキサイド1部に代えて、トリブ
チルホスフインサルフアイド1部を使用するようにした
以外は、実施例1と同様にして、紫外線励起型のインク
組成物を調製した。
【0042】実施例3 トリエチルホスフインオキサイド1部に代えて、トリブ
チルホスフイン1部を使用するようにした以外は、実施
例1と同様にして、紫外線励起型のインク組成物を調製
した。
【0043】上記実施例1〜3の各インク組成物を使用
して、インクジエツトプリンタ(日立社製の「GX−P
A」)により、白、青、赤、黄色の4種類の紙に、バ―
コ―ド印刷した。その際、上記の各インク組成物は実質
的に透明なため、上記の印刷により、各下地の色をほと
んど損なうことはなかつた。この印刷物を、前記の図1
に示す読み取りリ―ダにより、紫外線を照射し印刷層中
の色素を励起させて、上記バ―コ―ドの読み取り試験を
行つた。その結果、いずれの紙においても、読み取り可
能であることを確認した。
【0044】この結果より、上記の各インク組成物によ
れば、下地の外観を損なうことなく印刷でき、かつ下地
の色に影響されることなく印刷情報を高感度で読み取れ
ることがわかつた。また、上記の各インク組成物は、エ
タノ―ルと水との混合溶媒を使用しているため、人体に
対して安全であり、また水を溶媒中40重量%以上含ん
でいるため、高引火点であり、消防法上の危険物に該当
せず、取り扱いや運搬の際に特別の措置をこうじる必要
がなかつた。
【0045】つぎに、上記の各インク組成物について、
発光強度および高温保存特性を調べるため、インクの状
態で紫外線を照射して、蛍光出力を測定した。この測定
は、インク組成物を透明ガラス瓶に入れ、励起中心波長
365nmの紫外線ランプを用いて照射し、対物レンズ
でインクからの発光強度を受光し、分光器により分光し
たのち、光電子増倍管により測定した。その結果、いず
れのインク組成物も、初期の蛍光出力が高く、すぐれた
発光強度を有し、しかも高温保存後でも初期の発光強度
の低下が抑えられたインク組成物であることが判明し
た。つぎに、上記の各インク組成物を、濡れ性の高い非
印刷物であるポリエチレンテレフタレ―トフイルム上に
印刷してみたところ、いずれのものも、にじみの少ない
印刷物が得られるものであることがわかつた。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、可視
光領域で実質的に不可視であつて、かつ紫外線によつて
励起されて615±20nmに発光中心波長を有するユ
ウロピウムを含む色素として、前記の式(1)で表され
る特定の有機金属錯体を用い、溶媒として水および/ま
たはエタノ―ルを溶媒中94重量%以上含有するととも
に、溶媒中水の含有率が40重量%以上であるものを用
いたことにより、また、これと特定のリン系有機化合物
を使用したことにより、物品上に印刷しても物品の外観
を損ねることがなく、しかも上記印刷されたマ―クを下
地の色に影響されることなく高感度で検出でき、そのう
え人体に対して安全であつて、使用環境になんら制限を
受けず、さらに引火の可能性が低く取り扱いや運搬の際
に特別の措置をこうじる必要のない、実用性の高い紫外
線励起型のインク組成物とその印刷物を提供することが
できる。また、このインク組成物中にさらにフツ素系界
面活性剤を含ませることにより、被印刷物である物品の
選択性のない、汎用性のより高いインク組成物とその印
刷物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインク組成物による印刷物の読み取り
方式を示す模式図である。
【符号の説明】
1 紫外線ランプ 2 光学レンズ 3 光学フイルタ 4 スリツト 5 光電変換部 6 信号増幅・2値化部 7 認識部 10 印刷物 11 郵便物などの物品 12 印刷層(バ―コ―ドなどのマ―ク) f 電気信号 g 2値化信号 j 読み取りデ―タ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H086 BA53 BA56 BA59 BA62 4J039 AD06 AD07 AD23 BC05 BC07 BC33 BC55 BC56 BC74 BE02 BE12 BE24 CA02 DA01 EA28 EA34 EA37 EA46 EA47 EA48 GA24 GA26

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 つぎの式(1); 【化1】 〔式中、R1 ,R2 は水素原子、ハロゲン原子、アルキ
    ル基、アルコキシ基、 アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、ア
    リ―ル基またはアラルキル基であり、A+ は下記の式
    (2); (式中、R3 〜R6 は水素原子、アルキル基またはアラ
    ルキル基であり、互いに結合して環状をなしていてもよ
    い)で表されるアンモニウムカチオンである〕で表され
    る少なくとも1種の蛍光色素を含有し、かつ溶媒として
    水および/またはエタノ―ルを溶媒中94重量%以上含
    有するととともに、溶媒中の水の含有率が40重量%以
    上であることを特徴とするインク組成物。
  2. 【請求項2】 バインダとして、ポリビニルアルコ―
    ル、ポリビニルブチラ―ル、ポリビニルピロリドンおよ
    びビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体の中から選ば
    れる少なくとも1種を含有する請求項1に記載のインク
    組成物。
  3. 【請求項3】 つぎの式(3); (式中、R11〜R13は炭素数1〜12の直鎖、分枝また
    は環状の炭化水素基であり、これらは同一であつても異
    なつていてもよく、互いに結合した環状構造であつても
    よい)で表されるホスフインオキサイド化合物を少なく
    とも1種含有する請求項1または2に記載のインク組成
    物。
  4. 【請求項4】 つぎの式(4); (式中、R14〜R16は炭素数1〜12の直鎖、分枝また
    は環状の炭化水素基であり、これらは同一であつても異
    なつていてもよく、互いに結合した環状構造であつても
    よい)で表されるホスフインサルフアイド化合物を少な
    くとも1種含有する請求項1または2に記載のインク組
    成物。
  5. 【請求項5】 つぎの式(5); (式中、R17〜R19は炭素数1〜12の直鎖、分枝また
    は環状の炭化水素基であり、これらは同一であつても異
    なつていてもよく、互いに結合した環状構造であつても
    よい)で表されるホスフイン化合物を少なくとも1種含
    有する請求項1または2に記載のインク組成物。
  6. 【請求項6】 つぎの式(6); (式中、AはNまたはPであり、R20〜R23は水素原子
    または炭素数1〜12の直鎖、分枝もしくは環状の炭化
    水素基であり、これらは同一であつても異なつていても
    よく、互いに結合した環状構造であつてもよい)で表さ
    れるカチオン化合物を少なくとも1種含有する請求項1
    〜5のいずれかに記載のインク組成物。
  7. 【請求項7】 フツ素系界面活性剤を少なくとも1種含
    有する請求項1〜6のいずれかに記載のインク組成物。
  8. 【請求項8】 物品上に請求項1〜7のいずれかに記載
    のインク組成物からなる印刷層を有することを特徴とす
    る印刷物。
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