JP2001261565A - 細胞の酸化窒素の生産を阻害するためのキチン質物質の使用 - Google Patents

細胞の酸化窒素の生産を阻害するためのキチン質物質の使用

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JP2001261565A JP2000067646A JP2000067646A JP2001261565A JP 2001261565 A JP2001261565 A JP 2001261565A JP 2000067646 A JP2000067646 A JP 2000067646A JP 2000067646 A JP2000067646 A JP 2000067646A JP 2001261565 A JP2001261565 A JP 2001261565A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 in vitroでの細胞による、または哺乳類にお
ける細胞による酸化窒素の生産を減少させる。 【解決手段】 酸化窒素の生産の減少が望まれる被検体
を識別し、その被検体における酸化窒素の生産を減少さ
せるのに十分な量のキトサンを含む組成物を被検体に投
与することからなる、被検体における酸化窒素の生産を
減少させる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞における酸化
窒素の生産を減少させるのに有効な量のキトサンまたは
その誘導体を細胞に接触させることにより、in vitroで
の細胞による、または哺乳類における細胞による酸化窒
素の生産を減少させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化窒素(NO)は、一連のさまざまな生
物学的な現象、たとえば、炎症、敗血症性ショック、虚
血および再灌流損傷の有害な結果、低血圧症、細胞の発
生、およびアポトーシスと関連していると考えられてい
る。生体内における組織の炎症は、しばしば、活性化し
たマクロファージの侵潤または存在によって特徴づけら
れ、その結果、活性化したマクロファージは炎症の過程
における血管拡張の仲介物質であるNOを生産する。そ
こで、マクロファージのような細胞によるNOの生産を
減少させることによって炎症を軽減することができる。
【0003】キトサンは、β-(1,4)-D-グルコサミンの
酸可溶性ポリマーである。キチンは比較的溶けにくい、
キトサンのアセチル化形態である。キチン、キトサン、
およびその誘導体は、数多くの産業用途、たとえば、粘
度調整剤、接着剤、クロマトグラフィーの担体、紙強化
剤、凝集剤、食品添加物、薬品および化粧品の製造に利
用されている。
【0004】本発明は、キトサンおよびその誘導体が細
胞のNOの生産を阻害することができるという驚くべき
結果に基づいている。キトサンはin vitroでラットのマ
クロファージによるNOの生産を促進するという報告が
なされていたので(Pelusoら、Biomaterials 15:1215-12
20, 1994)、この結果は予期しないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題および課題を解決するた
めの手段】したがって、本発明は、NOの生産の減少が
望まれるような被検体(たとえば、マウス、哺乳類、ま
たはヒト)を識別し、その被検体におけるNOの生産を
減少させるのに十分な量のキトサンを含む組成物を被検
体に投与することによって、被検体におけるNOの生産
を減少させる方法を特徴とする。前記組成物は、局所的
に(たとえば、関節炎をおこした関節のような被検体の
炎症部位に)、全身的に(たとえば、静脈内)、または
移植可能な器具の一部(たとえば、創傷用包帯のような
外科的人工補装具、または組成物を徐放性にするための
器具)として、適用することができる。NOの生産が異
常に高まった場合、またはNOの生産は正常であるが、
その哺乳類にとってNOの生産レベルが正常値よりも低
いほうが有利である場合に、NOの生産を減少させるこ
とが望ましい。
【0006】本発明はまた、細胞内でのNOの生産を減
少させるのに十分な量のキトサンを含む組成物と細胞を
接触させることによって、細胞内でのNOの生産を減少
させるための方法をも含む。
【0007】ここで用いられる、「キトサンを含む組成
物」という用語は、(1)キトサン;(2)一部がアセチル化
されたキトサン、完全にアセチル化されてキチンを形成
するキトサン、および多糖(たとえば、5から10、また
は5あるいは6の糖残基からなるもの)と共有結合によ
り結合したキトサンを含めたキトサンの誘導体;および
(3)(1)または(2)またはその両方、および1以上の添加
剤(たとえば、担体)または後述するような他の生物活
性化合物を含む混合物を意味する。一般的にキトサンは
キチンの脱アセチル化によって生産される。けれども、
上記定義は、便宜上、キチンおよびキトサンの両方を包
含する意味で用いる。
【0008】本発明の方法は、NOの生産またはその結
果としておこる生理的効果が望ましくないような疾病ま
たは症状を治療または予防するために用いることができ
る。このような疾病または症状については後述する。さ
らに、本発明の方法は、 キトサンまたはその誘導体
の、炎症のようなさまざまな症状を治療する薬品として
の有効性を試験またはスクリーニングするin vitroまた
はin vivoの動物モデルに利用することができる。キチ
ンまたはキトサンの有効なまたは有効でない誘導体のス
クリーニングの成功例は、下の実施例に記載されている
(たとえば、表1および2を参照されたい)。
【0009】本発明の他の特徴または利点は、以下の詳
細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろ
う。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、細胞のNOの生産によ
って仲介される症状または疾病の治療または予防のため
に、被検体にキトサンを含む組成物を投与することに関
する。本発明を実施するためのさまざまな方法を以下に
論じる。
【0011】この組成物によって治療可能な具体的な疾
病または障害には、炎症性の疾病または障害、低血圧
症、敗血症性または外傷性ショック、慢性低血圧症また
は持続勃起症が含まれる。そこで、本発明の方法におい
ては、キトサンまたはその誘導体と共に血圧を上昇させ
る効果を有する、一定量の血管収縮薬をも投与すること
ができる。好ましい血管収縮薬には、エピネフリン、ノ
ルエピネフリン、バソプレシン、NG-モノメチル-L-アル
ギニン、NG-ニトロアルギニンメチルエステルおよびプ
ロスタグランジンが含まれる。本発明の方法はまた、N
Oに反応しておこる平滑筋細胞の弛緩を阻害するために
用いることもできる。このように、一般的に、NOの生
産の阻害は、薬物治療における主要な活性成分として、
またはステロイド、抗体、またはペプチドホルモンのよ
うな他の薬品の補助として、多くの治療上の効果をもた
らす。さらに、本発明の組成物は、NOの生産は正常で
あるが、その哺乳類にとってNOの生産レベルが正常値
よりも低い方が有利である場合に投与することができ
る。たとえば、患者が脱水するので、腎小管における内
皮の正常な血管拡張を減少させることが望ましい。
【0012】炎症には、NOのような有毒な分子の放出
を伴う細胞性免疫反応が含まれる。細胞性免疫反応は、
たとえば、細菌および寄生虫のような感染性微生物を死
滅させるため、およびがん性または感染した細胞を排除
するために有益である。しかしながら、炎症は、喘息、
肝硬変、炎症性腸疾患、および関節炎のように、慢性、
自己免疫性、または有害になり得る。
【0013】NOは虚血性の症状の有害な作用に関連し
ていると考えられている。虚血または低酸素は、たとえ
ば、心筋梗塞の結果として、またはバルーン血管形成の
後に心臓に生じた場合に特に重大な問題となる。脳にお
ける虚血もまた重大であるが、一般に症状は発作を伴
う。したがって、本発明の方法においてはさらに虚血を
引き起こす閉塞を取り除くようにデザインされた薬物
(たとえば、組織プラスミノーゲン活性化因子またはス
トレプトキナーゼ)をも投与することができる。
【0014】NOはまた、活性な神経伝達物質である。
NOの過剰な生産または活性は神経学的な疾病、特に脳
に影響を与える疾病を引き起こすことがある。したがっ
て、本発明の方法に用いられる組成物の投与により神経
学的な疾病を治療できる。血液脳関門の通過を促進する
ために、本組成物を静脈内投与する場合には、キトサン
またはその誘導体を、関門を通過することが知られてい
る疎水性の成分またはタンパク質に共有結合によって結
合させてもよい。あるいは、本組成物を頭蓋内または脳
室内に投与してもよい。
【0015】キチンはカニまたはエビの殻を脱タンパク
および脱石灰化することによって製造することができる
(たとえば、米国特許第3,903,268号参照)。次いで、
キチンを熱アルカリ溶液で脱アセチル化することによっ
て、キトサンを得ることができる。別の方法では、キチ
ンは、Actinomucor属に属するもののようなさまざまな
真菌の種から単離することができる。さらに、キトサン
およびその誘導体は、Sigma Chemical Co.(St. Louis,
MO)のような公知の化学薬品販売者から入手することが
できる。
【0016】本発明の組成物はいかなる適当な経路によ
っても、たとえば、静脈内、動脈内、局所的に、注入に
より、腹腔内、胸膜腔内、経口、皮下、筋内、舌下、表
皮内または直腸内に投与することができる。本発明の組
成物は、液剤、懸濁剤、坐剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カ
プセル剤、軟膏剤、またはクリーム剤として製剤化でき
る。これらの組成物を調製するために、溶媒(たとえ
ば、水または生理食塩水)、可溶化剤(たとえば、エタ
ノール、Polysorbates、またはCremophor EL7)、等張
性を与えるための試薬、保存剤、抗酸化剤、賦形剤(た
とえば、ラクトース、でんぷん、結晶セルロース、マン
ニトール、マルトース、リン酸水素カルシウム、軽無水
ケイ酸、または炭酸カルシウム)、結合剤(たとえば、
でんぷん、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピル
セルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセル
ロース、またはアラビアゴム)、滑沢剤(たとえば、ス
テアリン酸マグネシウム、タルク、または硬化油)、ま
たは安定化剤(たとえば、ラクトース、マンニトール、
マルトース、ポリソルベート、マクロゴール、またはポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油)を加えることができ
る。必要ならば、グリセリン、ジメチルアセトアミド、
70%乳酸ナトリウム、界面活性剤、または、水酸化ナト
リウム、エチレンジアミン、エタノールアミン、重炭酸
ナトリウム、アルギニン、メグルミン(meglumine)、ま
たはトリスアミノメタンのような塩基性物質を加えるこ
とができる。液剤、錠剤、顆粒剤またはカプセル剤のよ
うな製剤は、これらの成分を加えて成形することができ
る。
【0017】キトサンまたはその誘導体はまた、他の薬
品を含む組成物に加えることもできる。たとえば、 Kna
pczykら、「キトサンを含む医薬品の剤形」(“Pharmac
eutical Dosage Forms with Chitosan”)、 Skjak-Bre
akら編、「キチンおよびキトサン」(Chitin and Chitos
an)中、Elsevier Applied Science、1998、pp665-669を
参照されたい。この研究およびその他のもの、および下
の実施例は、キトサンおよびその誘導体は許容度が高
く、in vivoにおいて細胞毒性をもたないことを示して
いるかまたは示唆している。そこで、キトサンまたはそ
の誘導体の投与量は、ほとんど毒性の心配をする必要な
く、有効なレベルまで増加させることができる。
【0018】本発明の組成物の具体的な用量は、動物実
験の結果およびさまざまな条件を考慮して決定される。
さらに具体的な用量は明らかに、投与法;年齢、体重、
性別、感受性、食べた食物、投与の間隔、組み合わせて
投与される薬品のような被検体の条件;および、NOに
誘導された異常の原因、重大さ、および程度によって変
化する。与えられた条件下での最適用量および投与頻度
は、医学の専門家による前記の指針に基づく適切な投与
量試験によって決定されなければならない。
【0019】一般的に、組成物をヒトの患者に投与する
前に、キトサンまたはその誘導体を含む組成物、材料、
または医療器具の有効性を試験することが有用である。
たとえば、Minamiら、「大動物の診療へのキチンおよび
キトサンの応用」(“Application of Chitin and Chito
san in Large Animal Practice”)、Brineら編、「キチ
ンおよびキトサンの進歩」(Advances in Chitin and Ch
itosan)中、ElsevierApplied Science、New York、199
2、pp61-69に記載される方法に従って、子ウシまたはウ
シを用いて、数多くの症状について治癒の促進または治
療をおこなう能力に関して、キチン質組成物を試験する
ことができる。小動物を用いる有効性の試験は、 Okamo
toら、「小動物におけるキチンおよびキトサンの応用」
(“Application of Chitin and Chitosan in Small Ani
mals”)、Brineら編、「キチンおよびキトサンの進歩」
(Advances in Chitin and Chitosan)中、Elsevier Appl
ied Science、New York、1992、pp70-78;Johnsonら、
「移植したキトサングルタメートに対するin vivo組織
応答」(“In vivo Tissue Response to Implanted Chit
osan Glutamate”)、Brineら編、「キチンおよびキトサ
ンの進歩」(Advancesin Chitin and Chitosan)中、Else
vier Applied Science、pp3-8、1992;またはSuら、Bio
materials 18:1169-1174, 1997に記載される方法で、同
様に実施することができる。創傷治癒の研究のために、
キトサンまたはその誘導体を外科的人工シートに成形し
た後、このシートを、たとえばヘルニアを閉じるため、
または皮膚パッチと置き換えるために用いることができ
る。Suら、前掲;Austinら、Science 212:749-753, 198
1;Suら、Biomaterials 20:61-68, 1999;およびKifune
ら、「キチン人工皮膚(Beschitin W)の臨床への応
用」(“Clinical Application of Chitin Aritificial
Skin(Beschitin W)”)、Brineら編、「キチンおよびキ
トサンの進歩」(Advances in Chitin and Chitosan)
中、Elsevier AppliedScience、pp9-15、1992を参照さ
れたい。別の方法では、キトサンまたはその誘導体を、
治癒を促進または炎症を減少させるような縫合糸を製造
するために用いることができる。たとえば、Tachibana
ら、Jap. J. Surg. 18:533-539, 1988;およびBiagini
ら、「創傷治癒のための生物材料」(“Biological Mate
rials forWound Healing”)、Brineら編、「キチンおよ
びキトサンの進歩」(Advances inChitin and Chitosan)
中、Elsevier Applied Science、pp16-24、1992を参照
されたい。これらの試験法は、公知の方法または下の実
施例に記載されたアッセイを用いて、影響を受けている
部位の生体組織検査または移植した器具におけるNOの
量を特異的に検出するために容易に修正することができ
る。
【0020】さらに詳細に記さなくとも、当業者であれ
ば、上記の開示および下記の記載に基づいて、本発明を
完全に利用することができると考えられる。以下の実施
例は単に当業者が本発明をどのように実施するかを例示
したに過ぎないものと解釈されるべきで、いかなる意味
でも開示の他の部分を限定するものではない。本明細書
中で引用したすべての文献を参照により本明細書に組み
入れる。
【0021】
【実施例】以下の材料および方法を用いて、キトサンお
よびその誘導体のNO-阻害活性が見出された。細胞培養 : NIH/3T3(マウス胚線維芽細胞、CCRC 6000
8)およびRAW264.7(マウス単球/マクロファージ、CCRC
60001)細胞系を、Culture Collection andResearch C
enter(CCRC), Taiwanから入手した。両方の細胞系を、
1.5g/L NaHCO3を含み、10%ウシ胎児血清(Hyclone, Loga
n, UT)を補ったDulbeccoの修正必須培地(DMEM、GIBCO B
RL、Rockville、MD)中、37℃の5% CO2中でインキュベー
トして培養した。細胞培養物を、蛍光染色剤Hoechst 33
258を用いてマイコプラズマの混入について試験した(Ha
yら、ATCC Quality Control Methods for Cell Lines,A
merican Type Culture Collection, Manassas, VA, 199
2, pp23-33)。本実施例に記載されたすべての培養物に
はマイコプラズマが混入していなかった。コラーゲン/
キチン被覆ウェル 二つの混合物を調製した。I型コラ
ーゲン(ラットの尾、Sigma, St.Louis, MO)の混合物
を、0.1N酢酸に溶解させて、1mg/mlのコラーゲン溶液を
作った。キチンを0.1N酢酸に加えて1mg/mlの混合物を作
り、この混合物をLabsonic Uソニケーター(Braun Biote
ch International, Germany)を用いて3分間音波処理し
た。121℃で15分間加圧滅菌すると、キチン混合物は細
かいワイヤー(Wires)のスラリーになった。マイクロタ
イター組織培養プレート(96-ウェル)をDulbeccoのCa2+
およびMg2+を除いたリン酸緩衝生理食塩水(D-PBS、GIBC
O BRL)ですすいだ。次いで、5μlのコラーゲン溶液ま
たは異なる量のキチン混合物をそれぞれのウェルに加え
た。次に、プレートをラミナーフローフード(laminar f
low hood)中で空気乾燥させ、4℃で1週間まで保存し
た。
【0022】細胞毒性試験: キチンの細胞毒性の実験
のために、細胞を、異なる量のキチンまたはコラーゲン
であらかじめ被覆した96-ウェル組織培養プレート中
で、2000細胞/ウェルの密度で48時間インキュベートし
て継代培養した。キトサンの細胞毒性の実験のために、
被覆した96-ウェル組織培養プレート中で細胞を一晩イ
ンキュベートして継代培養した。翌日、培地を捨てて、
異なる量のキトサンを含む新鮮な培地と入れ替えた。次
いで、培養物をさらに48時間インキュベートした。細胞
毒性を、臭化3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-
ジフェニルテトラゾリウム染料(MTT; Merck Co., Germa
ny)を用い、Mosmann, J.Immunol. Methods 65:55-63, 1
983に記載される方法に従って測定した。
【0023】亜硝酸の検出によるNOの生産の測定
Griess試薬および標準として亜硝酸ナトリウムを用いて
培地中の亜硝酸(NO2 -)の蓄積を測定することによって酸
化窒素(NO)の生産を間接的に定量した(Greenら、Ana
l. Biochem. 126:131-138, 1982;およびIgnarroら、Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA 90:8103-8107, 1993)。亜硝
酸のアッセイのために、RAW264.7細胞を、被覆した96-
ウェル組織培養プレート中、1×105細胞/ウェルで24時
間インキュベートして継代培養した。培地を、100U/mの
インターフェロン-γ(IFN-γ、組換えマウス;GIBCO BR
L)および100ng/mlのリポ多糖(LPS、大腸菌(Escherichia
coli)抗原型O128:B12; Sigma)を含み、フェノールレッ
ドおよび血清を含まないDMEMに変えた。次にサンプルを
Rolloら、J. Leukoc. Biol. 60:397-404, 1996に記載さ
れる方法で試験した。
【0024】NOの生産に対するキチンの効果を測定す
るために、細胞を直接キチンで被覆した96-ウェル組織
培養プレートで継代培養した。一晩インキュベートした
後、細胞はキチンで被覆したウェルの底に付着するよう
になった。培地を除いて、上記のようにIFN-γおよびLP
Sを補った培地に入れ替えた。48時間インキュベートし
た後に、上記のRolloらの方法に従って、50mlの培養上
清を、同量の60mMスルファニルアミド(Sigma)を3N HCl
に溶かしたものおよび4mM N-1-ナフチルエチレンジアミ
ン(Sigma)と順次混合した後、室温で5分間振とうした。
亜硝酸の濃度を、マイクロプレートリーダー(MRX, Dyne
x Technologies, Inc., VA)を用いてサンプルの540nmで
の吸光度を読みとることによって測定した。
【0025】他の化学物質: キチン(分子量約450kDa)
およびキトサン(分子量約150kDa、95%脱アセチル化)
を、Sun-Chiu Chemical Co., Taiwanより入手した。グ
ルコサミンおよびN-セチルグルコサミンを、Sigma Chem
ical Co.より購入した。キトビオース(chitobiose)(2-
アセトアミド-2-デオキシ-4-O-(2-アセトアミド-2-デオ
キシ-b-D-グルコピラノシル)-D-グルコピラノース)、キ
トトリオース、キトテトラオース、キトペントース、お
よびキトヘキソースを、Calbiochem Co.(La Jolla, CA)
より購入した。
【0026】キチンおよびキトサンに関連していると考
えられる細胞毒性を、マウス胚線維芽細胞NIH/3T3細胞
およびマウス単球-マクロファージRAW264.7細胞の両方
について評価した。異なる容量のキチンスラリー溶液を
96-ウェル組織培養プレートに加えて空気乾燥した後、
細胞を植えてそこに付着させた。48時間インキュベート
した後、MTT染料を用いて細胞の成長をアッセイした。
ウェルに1mg/mlのキチン混合物を1〜2μl加えた場合、
キチンはRAW264.7の増殖を増加させた。NIH/3T3細胞の
増殖はウェルに1μlを加えたときに増加した。それぞれ
の細胞型について、これらの投与量以上では、キチンは
用量(ウェルあたり20μlまで加えた)に依存して細胞
の増殖を阻害した。しかし、5μl/ウェルの用量でも、
細胞の増殖は約10%減少したに過ぎず、これによって、
下で用いられた実験条件では細胞の増殖は実質的に阻害
されないことが示された。
【0027】キトサンは、培地中のキトサン濃度200μg
/mlまでの用量では、NIH/3T3細胞に測定できる細胞毒性
を示さなかった。低濃度のキトサン(0.32μg/ml)はRAW2
64.7細胞の増殖を促進するが、濃度8μg/ml以上のキト
サンはRAW264.7細胞の増殖をわずかに阻害することも観
察された。
【0028】マクロファージRAW264.7細胞は、IFN-γま
たはLPSによってNOの生産を促進される(Rolloら、前
掲)。けれども、キトサンは、IFN-γおよびLPSによっ
て活性化されたRAW264.7細胞のNOの生産(亜硝酸とし
て測定)を、200μg/mlまで用量に依存して抑制した。
最も高い投与量(200μg/ml)において、NOの生産は約8
5%減少した。同様に、5μl/ウェルのキチンを補った被
覆組織培養プレート上で培養した場合、活性化したRAW2
64.7細胞のNOの生産は約52%減少した。NOの阻害の
結果を下の表1にまとめた。
【0029】
【表1】
【0030】表1からわかるように、コラーゲンで被覆
したウェルは活性化したRAW264.7細胞のNOの生産に際
だった影響を与えなかったのに対して、キチンおよび/
またはキトサンはNOの生産を著しく減少させた。
【0031】キチンの誘導体またはキチンおよびキトサ
ンのモノマーもまたNOの生産を減少させるかどうかを
試験するために、活性化したRAW264.7細胞を、N-アセチ
ルグルコサミン(NAGA;キチンポリマーの単量体単
位)、グルコサミン(キトサンの単量体単位)、および
キチンのオリゴ糖誘導体の存在下で培養した。結果を下
記の表2にまとめた。
【0032】
【表2】
【0033】表2からわかるように、キチンおよびキト
サンモノマー、ならびにキチンの短い(1-3残基の)オ
リゴ糖誘導体は、活性化したRAW264.7細胞のNOの生産
に実質的に影響を与えなかった。けれども、より長いオ
リゴ糖誘導体(キトペントースおよびキトヘキソース)
は、NOの生産を実質的に減少させ、キトヘキソースは
キトペントースよりも一層強い阻害剤であった。グルコ
サミン、NAGA、およびすべての試験したキチンのオリゴ
糖誘導体は上記の細胞毒性試験法を用いて測定したとこ
ろ、RAW264.7細胞に対して細胞毒性を示さなかったこと
を記載しておく。
【0034】(その他の実施の形態)本発明について、
その詳細な説明と共に記載してきたが、上記の記載は例
示を目的とするものであって、特許請求の範囲によって
定義される発明の範囲を限定するものではない。他の態
様、利点、および変更は本発明の範囲に含まれる。
フロントページの続き (72)発明者 チャング‐ユン チェン 台湾 シンチュ 300,イースト ゲート ストリートナンバー 165 (72)発明者 シャン‐シャン チェン 台湾 シンチュ 300,シェイ‐フ ロー ドナンバー 128−11 (72)発明者 ジャン‐チー チェン 台湾 ミュイリ カウンティー,トーフェ ン 351チュン‐サン ロード,レーン 376 アリー 2,ナンバー 6 Fターム(参考) 4B065 AA91X BB18 CA16 CA44 4C086 AA01 AA02 EA23 MA04 NA14 ZA36 ZB11 ZB21 4C090 AA09 BA46 BA47 BD36 BD37 DA23

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化窒素の生産の減少が望まれる被検体
    を識別し、その被検体における酸化窒素の生産を減少さ
    せるのに十分な量のキトサンを含む組成物を被検体に投
    与することからなる、被検体における酸化窒素の生産を
    減少させる方法。
  2. 【請求項2】 キトサンが一部アセチル化されている、
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 キトサンが完全にアセチル化されてキチ
    ンを形成している、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 キトサンが5から10の糖残基からなる多
    糖を含む、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 多糖が5糖残基の長さである、請求項4
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 多糖が6糖残基の長さである、請求項4
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 キトサンが5から10の糖残基からなる多
    糖を含む、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 多糖が5糖残基の長さである、請求項7
    記載の方法。
  9. 【請求項9】 多糖が6糖残基の長さである、請求項7
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記組成物を被検体の炎症部位に投与す
    る、請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記組成物を移植可能な器具として投与
    する、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記組成物を被検体に全身的に投与す
    る、請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記組成物を被検体に局所的に投与す
    る、請求項1記載の方法。
  14. 【請求項14】 細胞内での酸化窒素の生産を減少させる
    のに十分な量のキトサンを含む組成物と細胞を接触させ
    ることからなる、細胞内での酸化窒素の生産を減少させ
    る方法。
  15. 【請求項15】 キトサンが一部アセチル化されている、
    請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 キトサンが完全にアセチル化されてキチ
    ンを形成している、請求項14記載の方法。
  17. 【請求項17】 キトサンが5から10の糖残基からなる多
    糖を含む、請求項16記載の方法。
  18. 【請求項18】 多糖が5糖残基の長さである、請求項17
    記載の方法。
  19. 【請求項19】 多糖が6糖残基の長さである、請求項17
    記載の方法。
  20. 【請求項20】 キトサンが5から10の糖残基からなる多
    糖を含む、請求項14記載の方法。
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