JP2001260150A - モールドイン成形用係止部材およびそれを用いた樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

モールドイン成形用係止部材およびそれを用いた樹脂成形体の製造方法

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JP2001260150A
JP2001260150A JP2000400080A JP2000400080A JP2001260150A JP 2001260150 A JP2001260150 A JP 2001260150A JP 2000400080 A JP2000400080 A JP 2000400080A JP 2000400080 A JP2000400080 A JP 2000400080A JP 2001260150 A JP2001260150 A JP 2001260150A
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Kunihiko Shimamura
邦彦 島村
Yutaka Ito
裕 伊藤
Ko Tanokura
孔 田野倉
Shiro Ogawa
史郎 小川
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 モールドイン成形時に、成形型の凹部内に係
止部材を容易に位置決め保持し、かつ、この係止部材の
係合素子側に発泡用樹脂などの樹脂組成物が流入するの
を確実に阻止しながら、小形で、生産性、安全性および
作業性に優れたモールドイン成形用係止部材を提供す
る。 【構成】 成形型凹部の肩部に載置して使用する成形用
係止部材であって、基板の表面に多数の係合素子を有
し、基板の裏面に樹脂に対する埋設素子を有し、かつ基
板の表面にフェライトを含有する層を有し、さらに該基
板の巾方向の両端部に連続したシールおよび埋設用耳部
と該耳部を基板に対して可撓性とする凹条を有するモー
ルドイン成形用係止部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車シートや事務用
椅子などのクッションやその他の樹脂成形体をモールド
イン成形する際に、この成形体表面に埋め込まれるモー
ルドイン成形用係止部材に関するものである。この係止
部材付きのクッションは、その表面を繊維布などの被覆
体で蔽い、被覆体を該係止部材でクッションに固定し
て、シート等に使用される。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車や事務用椅子などに用い
られるシートは、発泡ウレタンなどからなるクッション
の表面に、シートカバー(被覆体)を取付けて構成され
ている。このシートカバーの取付けにあたって、従来、
ワイヤをクッション用成形型の凹部に嵌合させてモール
ドイン成形し、このワイヤとシートカバーとの間を多数
の金属製固定具で固定することにより上記クッションに
シートカバーを取付ける、いわゆるホグリング法が採用
されている。このホグリング法において、上記固定具は
電動工具を用いて固定される。
【0003】最近、自動車シートの成形方法として、表
面に多数の係合素子、裏面に多数の埋設素子をそれぞれ
備えた係止部材、即ち面ファスナーテープを、成形型内
の所定の位置にセットし、該成形型内に成形用樹脂を注
入して発泡させ、上記テープの埋設素子をクッション表
面に埋設一体化し、かつ上記係合素子がクッションの外
表面に露出するように埋め込み成形する方法(いわゆる
モールドイン成形法)が提案されている。そして、シー
トカバーには、上記面ファスナーテープの係合素子に係
合可能な被係合素子が設けられており、これらの両素子
を係合させることにより、上記シートカバーをクッショ
ンに沿わせ、クッションはシートカバーにより被覆され
る。
【0004】ところで、上記のモールドイン成形法で
は、上記係止部材を成形型に設けた凹部に装着して成形
する際に、発泡性成形用樹脂(以下発泡性樹脂組成物と
言うことがある)が係止部材基板と成形型凹部の間隙か
ら係合素子側に流入し該素子を埋めるのを阻止すること
が必要である。
【0005】上記問題を解決する従来技術の一例が図4
に示される。係止部材Aは、面ファスナーの基板Bの表
裏両面に多数の係合素子Cと埋設素子Dとを備えた面フ
ァスナーテープEと、上記係合素子Cの上面に配置し
た、モールドイン成形時に成形型に埋設された磁石体に
磁着するスチール片Fと、このスチール片Fおよび係合
素子Cの全体を覆い、モールド成形時に係合素子C側に
成形樹脂組成物が流入するのを阻止するカバーフィルム
Gから構成されている。このフィルムGは、その外周縁
部が上記面ファスナーテープEの周縁部に、粘接着剤や
ヒートシール手段などで接合一体化されている。
【0006】そして、該係止部材Aは、底面に磁石Jが
設置されている成形型の凹部Kに、上記スチール片Fを
その磁着力を利用して固定される。この後、成形型内に
発泡性樹脂組成物を注入して、上記埋設要素Dが樹脂に
埋め込まれたクッションなどの成形体を成形し、クッシ
ョンを成形型から取り出し、その後カバーフィルムGと
スチール片Fとを取外し、面ファスナーの係合素子Cを
クッションの表面に露出させる。
【0007】他の一例として、特開昭64−9708号
公報に開示されるモールドイン用の係止部材がある。該
係止部材は、面ファスナーの全周端部に凹溝部を設け、
一方成形型に面ファスナー装着用の凹溝を設け、その周
縁に凸部又は凹部を更に設け、面ファスナーの該凹溝部
と成形型の該凸部又は該凹部を嵌着する構造である。該
係止部材では、面ファスナーの周縁部に凹溝部を設けて
おり、それと成形型周辺部の構造により係止部材の係合
素子はシールされると考えられる。
【0008】また、実開平3−58109号公報に示さ
れる係止部材は、面ファスナーテープの外周に断面矩形
の嵌合部材を装着する構造で、面ファスナーテープの幅
が嵌合部材の分だけ増して、面ファスナーテープが大型
化する欠点がある。また、上記嵌合部材は、面ファスナ
ーテープとは別個に成形されて、面ファスナーテープの
外周に装着されるので、装着作業が面倒で生産性に劣る
欠点もある。さらに、フランス特許公開番号第7804
001号に示される係止部材は、成形型の凹部に係止部
材を巾方向に撓めて嵌め込んで、凹部に装着されるもの
である。
【0009】また特開平6―99443号公報に開示さ
れる係止部材は、その周辺部を金型の凹溝の肩部に押圧
保持することにより係合素子面に樹脂が浸入することを
防ぐものであり、その押圧保持の方法の一例として、係
止部材の係合面の全面または係合面の周辺部のみに鉄粉
を塗布し、金型の凹溝の肩部に設けられた磁石により該
鉄粉含有層を吸引することによって面ファスナーの周辺
部を金型凹溝の肩部に押圧保持する方法が開示されてい
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したホ
グリング法の場合には、上記シートカバーをクッション
に固定するとき、多数の固定具を必要とし、多大の手間
も要する。しかも、これら固定具は電動工具で取付けら
れるため、作業員が怪我をしたり腱鞘炎になるなどの安
全および労働衛生上の問題があり、その上、樹脂材料に
ワイヤや固定具などの金属部品が混在しているので、使
用後の樹脂材料のリサイクルが行いにくい欠点もある。
【0011】また、図4に示したモールドイン成形手段
の場合には、上記クッションの成形後に、上記スチール
片FとカバーフィルムGとを取外す必要があるが、これ
らの部材は廃棄物となって処分する必要が生ずる。しか
も、上記フィルムGの取外し時に、フィルム屑が上記係
合素子面に残ると、係合素子の露出を妨げ係合力を低下
させ、また外観が悪くなったりするため、細心で面倒な
取外し作業が必要となる。その作業には手間がかかり、
その上、前記スチール片Fの取外時に手指の怪我を招く
恐れもあった。
【0012】特開昭64−9708号公報に示される係
止部材は、面ファスナーの端部に設ける構造が複雑であ
り、かつ成形型の凹溝の周縁にも凸部や凹部を設ける必
要があり、その製造を複雑にする欠点がある。また、該
ファスナーは周縁部に係合素子が存在しない部分を有す
るので、ファスナー巾が必然的に大きくならざるをえな
い。従って、細巾のファスナーを取り付ける場合には、
埋設素子や係合素子の数が少なくなり、その結果、成形
体への係止部分の固定や被覆体の係止が劣ることとな
る。
【0013】また、上記フランス公開特許に記載された
係止部材の場合には、成形型の凹部への係止部材の嵌め
込みが一旦完成すれば、成形型凹部と係止部材のシール
は優れることとなるが、成形型凹部への嵌め込みに細か
く注意深い作業が必要とされるため、作業効率が低く実
用的でない。また、樹脂の成形後に該係止部材を型から
取り出す際に、係止部材が型の凹部に強く係合している
と、係止部材が樹脂から剥離する場合があり、この問題
を解決するのも難しい。
【0014】また、上記特開平6―99443号公報に
記載された方法の場合には、係合部材の周辺部と、該周
辺部を載置する金型の凹溝の周辺にある肩部が共に平面
である場合には両者が密着できるために、金型の凹溝を
シールすることが可能となるが、数十センチメートルの
長さを持つ係合部材の周辺部の全てに鉄粉含有層を設け
てその面を均一な平面とすることは工業的に非常に難し
く、許容されるシールを達成することは現実には極めて
困難であるという欠点を有している。
【0015】本発明は、以上のような問題を鑑みてなさ
れたもので、その目的は、モールドイン成形時に、成形
型の凹部に係止部材を固定し、かつ、この係止部材の係
合素子側に発泡性樹脂組成物が流入するのを確実に阻止
することができ、しかも、小形で、生産性、安全性およ
び作業性に優れたモールドイン成形用係止部材と、それ
を用いた樹脂成形体の製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、成
形型凹部の肩部に載置して使用する成形用係止部材であ
って、基板の表面に多数の係合素子を有し、基板の裏面
に樹脂に対する埋設素子を有し、かつ基板の係合素子面
にフェライト含有層を有し、さらに該基板の巾方向の両
端部に連続したシール用の耳部と、該耳部を基板に対し
て可撓性とする凹条を有することからなるモールドイン
成形用係止部材である。そして、好ましくは、このよう
なモールドイン成形用係止部材において、フェライト含
有層が係止部材の係合素子が立設している面に存在して
いるが、該耳部には存在していない場合である。
【0017】また本発明は、基板の表面に多数の係合素
子を有し、基板の裏面に樹脂に対する埋設素子を有し、
かつ基板の係合素子面にフェライト含有層を有し、さら
に該基板の巾方向の両端部に連続したシール用の耳部
と、該耳部を基板に対して可撓性とする凹条を有する係
止部材を、その表面の係合素子を成形型の凹部に嵌入
し、かつ該基板の両端部にある凹条が成形型凹部の肩部
の内側に位置するように該耳部を成形型の肩部に載置し
て成形型凹部に装着し、該成形型凹部の底面に設けられ
た磁石と成形用係止部材のフェライトの吸引力により該
係合素子面をシールし、次いで成形型内に樹脂を導入し
硬化することを特徴とする係止部材付き樹脂成形体の製
造方法である。この製造方法に用いられる係止部材も、
前記したように、フェライト含有層が係止部材の係合素
子が立設する面に存在しているが、該耳部には存在して
いない場合が好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面によって本発明を説明
する。図1は本発明の係止部材の一例を示す斜視図であ
り、図2は、図1のX,X線における断面図である。図
1および図2において、係止部材はその基板1の表面側
に多数の係合素子2を有し、裏面側には少なくとも1条
の埋設素子3(これは、発泡性樹脂組成物を金型内に流
し込み成形して得られる成形物中にアンカーとして埋め
込まれて、係止部材と発泡された成形樹脂とが剥離しな
いようにする働きを有する)を有し、さらに基板表面の
巾方向の両端部に連続した埋設用耳部(以下、耳部と言
うことがある)4と該耳部を基板に対して可撓性とする
凹条(以下、凹条と言うことがある)5を有する。また
基板の表面側、好ましくは係合素子2の足元の基板1の
表面にフェライトを含有する層6を有する。図2に記載
の係止部材は、この好ましい形態を有している。
【0019】本発明では、フェライト含有層は基板の表
面側に設けられるが、基板の裏面である埋設素子のある
面にフェライト層を設けた場合には、埋設素子の足の部
分をフェライト層が覆い、その結果、埋設素子の有効長
が減じ、更に樹脂との接着力に劣る無機物であるフェラ
イト層の形成面積が広くなるために、埋設素子の係止力
が低下するので好ましくない。またフェライト層と金型
に設けられた磁石とが強く吸引するためにはフェライト
と磁石は極力近い位置関係にあることが好ましいことか
ら、フェライト層は係止部材の基板の表面側、すなわち
係合素子が立設する側の面に設けられているのが好まし
い。フェライト層は係止部材基板の全面に設けてもよい
し、また耳部を除き係合素子が立設する部分だけに設け
てもよい。しかしながら、フェライト層面を凹凸のない
平滑面とすることができる場合は、基板の表面全体にフ
ェライト層を設けてもよいが、通常は、流動性の低いフ
ェライト含有樹脂液を均一な厚さの層になるように塗布
して、フェライト層を凹凸のない平滑面に仕上げること
は困難であることから、基板の耳部にはフェライト層を
有しないようにすることにより、耳部を凹凸のない平滑
面に保ち、この耳部の平滑面で直接金型の肩部と接触
し、係合素子面のシールを確実にすることが好ましい。
【0020】さらに耳部によるシールの効果をより良く
発現するために、耳部と係合素子と立設領域の境界に凹
条を設け、耳部が基板に対して曲がり易くすること、す
なわち可撓性を与えることが有効であることを認めた。
さらに該凹条が存在することにより、係合素子の足元の
基板表面に塗布したフェライト含有樹脂液が耳部へ流れ
込むことを防ぐことができ、その結果、流れ込んだフェ
ライト含有樹脂液が耳部の平面性を損なうことを防ぐこ
ともできる。
【0021】本発明の係止部材は、ポリオレフィン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの熱可
塑性樹脂が使用でき、成形性の点からポリプロピレンな
どのポリオレフィン系樹脂が好ましい。本発明の係止部
材は、上記の熱可塑性樹脂を所定のスリットを設けたノ
ズルから溶融押出し、基板の表面および裏面に連続した
列条を有するテープを形成し、表面にある連続列条に小
間隔で切れ目を入れ、次いでテープを長さ方向に延伸す
ることにより、表面に多数の独立した係合素子を有し裏
面にも多数の埋設素子を有する係止部材が得られる。基
板の厚さと耳部の厚さは、ともに通常0.2〜1.0m
mが好ましく、より好ましくは0.3〜0.7mmの範
囲である。また係合素子および埋設素子の高さは、特に
制限はないが、通常約1mmないし約15mmが好まし
く、より好ましくは約1.5mmないし6mmである。
【0022】本発明の係止部材は成形型の凹部の肩部に
載置されるが、その際に樹脂が型の凹部内に流入し係止
部材の係合素子を埋めることを防ぐために、型凹部の肩
部と係止部材が密着されることが必要である。本発明の
係止部材の基板表面の巾方向の両端部に設けられる耳部
および凹条は、上記のシール用部材として機能する。耳
部を型凹部の肩部に載置して、そのシールが完成すれば
問題ないが、係止部材は比較的硬く、長さも数10cm
から1m以上に亘るために、その全長で完全なシールを
得るのは困難である。
【0023】本発明者らは、耳部に付加される凹条が係
止部材の耳部のシールを改善するために、非常に有効で
あることを見出した。即ち、耳部に対して係合素子の立
設領域の境界に凹条をほぼその全長に設けると、耳部が
係止部材の基板に対して曲がりやすくなり、即ち可撓性
となる。耳部が可撓性を有することによって、係止部材
が型凹部の肩部に載置され、型凹部の底面に設置された
磁石と、係止部材の基板表面に設けたフェライト含有層
が吸引し、係止部材が型凹部底面に吸引されて、型凹部
の肩部と耳部が接合する時に、耳部が容易に曲がるた
め、肩部と耳部がより密着して、そのシールを改善す
る。耳部に凹条がないと、耳部が基板の硬さのために容
易に変形できず、型凹部の肩部との間に隙間ができ、係
合素子面のシールができない場合がある。
【0024】耳部としては、成形型凹部の肩部に乗る巾
を有していることが必要であり、通常肩部の巾は1〜2
mm程度であるから、耳部は巾約1〜5mm、特に2〜
4mmが好ましい。係止部材全体の巾は、成形型凹部の
肩部を越えてあまり大きくないことが好ましい。係合部
材の長さとしては、100〜2000mmが一般的であ
る。
【0025】耳部に設けられる凹条は、係止部材を型凹
部に装着して、肩部の内側約0.5〜2mmに位置する
ように係止部材の基板に設ける。凹条が肩部の上に位置
すると、耳部の基板に対する可撓性が発揮されず、シー
ルの改善が得られない。凹条の巾、深さ形状などは係止
部材全体の大きさ、硬度などを考慮して適宜決定するこ
とができる。可撓性は特に凹条の深さに依存するので、
基板の表面と裏面の両面に凹条を設ける場合には両面に
設ける凹条の合計深さは基板の厚さに対して、50〜9
0%の深さが好ましく、また基板の表面と裏面の片面の
みに凹条を設ける場合にも、その凹条の深さは基板厚み
の50〜90%が好ましい。凹条が深くなりすぎると、
凹条の割れや耳部の凹条からの破断が生じ、シールを破
壊するおそれがある。凹条は基板表面の1面または両面
に設けられる。
【0026】本発明の係止部材の耳部は、上記のシール
機能を有するとともに、その端部が肩部に対して微少の
間隙を有するため、発泡性樹脂組成物が該間隙に浸入し
て、その一部が樹脂に埋設され、係止部材と樹脂の接合
を強化する効果も有する。シール用耳部および凹条は、
溶融押出しノズルに対応するスリットを形成して、基板
の成形と同時に形成することができる。また、成形後の
係止部材の基板の両端近くに加熱された金属突起を押し
当てて凹条を形成する方法や基板の表面を凹条に削り取
る方法等の方法により凹条を設け、その外側を耳部とし
て形成することができる。
【0027】フェライト含有層は、市販のフェライト粒
子を接着剤、例えばゴム系の接着剤などに混合した組成
物液を、スプレーやノズルガンにて、目的とする係止部
材の面に塗布する。この際に、フェライト含有層が厚す
ぎて、係合素子を埋めないことが必要である。係止部材
の基板の係合素子のある面にフェライト層を重点的に付
与し、かつ係合素子の足がフェライト含有樹脂中に埋没
せず、さらに耳部にはフェライト含有樹脂を付与しない
ための好適な付与方法として、以下に詳述するニードル
塗工法が挙げられる。
【0028】ニードル塗工法の好適な具体的な方法を述
べると、まず、粒径が0.5〜3ミクロンのフェライト
粒子と樹脂バインダー液とを混合して所定のフェライト
含有樹脂液を得る。すなわち基板との密着性に優れた樹
脂を水または有機溶剤に分散または溶解させた樹脂液中
に、粒子径が0.3〜3ミクロンのフェライト粒子を混
合してフェライト含有樹脂液を調製する。フェライト含
有樹脂液中に占める樹脂の重量割合としては5〜20
%、またフェライトの重量割合としては20〜70%、
そして残部が水又は有機溶媒であるのが好ましい。フェ
ライト含有樹脂液を構成する樹脂については、基板に密
着しフェライトに対してバインダー機能を有しているも
のならば何でもよく、例えば基板がポリプロピレンから
出来ている場合には、塩素化ポリプロピレンやアクリル
系の樹脂が用いられる。
【0029】このフェライト含有樹脂液を、チューブ式
定量ポンプを用いて、係合素子列の間の基板表面に吐出
口を設けた注射針(ニードル)の該吐出口から基板表面に
供給する。供給量は、係合素子を埋めないように、かつ
所定の磁着力が得られるように調節する。ニードル吐出
口から筋状に吐出されたフェライト含有樹脂液は、係合
素子列の間の基板表面でフェライト層を形成し、この
後、熱風乾燥機などで乾燥することによりフェライト層
が形成されることとなる。フェライト層の厚さとしては
0.2〜2mmが好ましい。ニードルの本数は、係合素
子列数に応じて任意に選ぶことができる。ニードルの内
径としては0.5mm〜2.0mmの範囲が好ましい。
【0030】このように、従来技術の金属片をフェライ
ト含有層に変えることにより、係止部材の製造効率が向
上し、コストが低減し、さらにそれを用いて樹脂成形体
を製造する際に、工程の省略と作業効率が向上する効果
がある。フェライト含有層を係合素子面、即ち型内の磁
石に近い面に設けると、強い吸引力が得られる。
【0031】図3は、図1の係止部材を成形型の係止部
材嵌着用の型凹部に装着した状態を示す断面模式図であ
る。係止部材は、成形型7の底面にある型凹部8に、係
合素子2が型凹部8に嵌入するように装着される。係止
部材はそのシール用耳部4を型凹部8の肩部9に載置
し、係止部材のフェライト含有層と型凹部の底面に設け
られた磁石10との吸引力で型底部に吸引され、耳部の
凹条により耳部が曲がって肩部と密着しシールを完成す
る。該シールによって、成形型に成形用の樹脂が導入さ
れた時に、樹脂が凹部に侵入して係合素子を埋めること
を防ぐことができる。
【0032】図3に示されているように、樹脂成形体が
カーシート用のクッション出ある場合には、凹部底面
は、成形型の底面より高い位置にあることが好ましい。
このように成形型の凹部を成形型底面より高くすること
により、得られるシートに人が座った場合に、人体が係
止部材に触れることがなく、座りごこちのよいシートが
得られることとなる。
【0033】係止部材の長さ方向の端部は、樹脂の粘度
が高い場合には、凹部内に侵入する樹脂が少ないので、
特にそのシールを考慮しなくてもよい。樹脂の粘度が低
く、樹脂が浸入しやすい場合は、係止部材の長さ方向の
係合素子のある両端部に、繊維塊または樹脂片などでシ
ール部を付与して、樹脂が長さ方向の端部から凹部に侵
入することを防ぐ。また、成形型の凹部の長さ方向の端
部に、係止部材の基板と接する堰様のシール片を設け
て、係合素子側への樹脂の浸入を防いでも良い。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいてさら
に説明する。図3は、本発明に係る成形用係止部材の適
用例として、自動車用シートクッションの製造に使用し
た場合を示したものである。図3に示したように、係止
部材を型の凹部に装着した状態で、成形型にポリウレタ
ンなどの樹脂を注入して発泡させる。樹脂の硬化後に成
形型からクッションを外部に取出すことにより、このク
ッションの表面に本発明の係止部材が一体的に埋め込ま
れた成形体が得られる。ここで、係止部材の係合素子
は、その表面が発泡樹脂で覆われることなく、クッショ
ンの外表面に確実に露出する。また、係止部材の裏面の
埋設素子と耳部の一部が上記クッション内に埋め込まれ
ることにより、本係止部材がクッションに強固に取付け
られる。
【0035】この実施例では、耳部の厚さ及び巾は、そ
れぞれ0.5mm、3mmであり、基板と耳部を分ける
凹条は、深さが耳部厚さの40%、巾0.2mmであ
り、凹条は耳部の表面側と裏面側の両方から設けられて
いる。また係合部材は、巾が11mm、厚さ0.5mm
の基板の表面側に、高さ2.5mm、長さ方向巾0.2
mmの係合素子が基板長さ方向に5列の列を形成して基
板面上に垂直に立ち上がっており、係合素子は基板長さ
10cm当たり120本/列存在している。各係合素子
は、先端部が基板の巾方向に広がり、きのこ状の形状を
有しており、このきのこ状の広がりが係合力を発揮す
る。また基板の裏面側には、高さ2mmの埋設素子が基
板長さ方向に3列の列となり、各埋設素子は、係合素子
と同様に、先端がきのこ状に広がっているが、係合素子
とは異なり、基板長さ方向に連続した形状を有してい
る。また、係合素子の足元の基板表面のみに、フェライ
ト含有樹脂層が形成されており、耳部には、フェライト
含有樹脂層は存在していない。フェライト含有樹脂層
は、平均粒径1.8ミクロンのフェライト粒子を90重
量%含有する平均厚さ0.2mmの層である。なお係止
部材は耳部もあわせてポリプロピレンにより一体成形さ
れている。またフェライト含有樹脂層を形成する樹脂は
アクリル系であり、フェライト含有樹脂層は、前記した
ニードル塗工方法(ニードル内径1.0mm)により形
成されたものである。また成形型の所定の位置には、係
止部材を載置するための凹部が形成されている。そして
凹部の端から発泡性樹脂組成物液が係合素子面に滲入す
ることを防ぐために、係止部材の長さ方向の両端部に対
応する凹部箇所に、樹脂浸入止めの堰が設けられてい
る。
【0036】上記のモールドイン成形方法により得られ
たクッションの表面にシートカバーをかぶせ、クッショ
ンの表面に露出されている上記係止部材の係合素子に、
シートカバーの裏面側に設けた被係合素子(ループ状繊
維や起毛繊維)を係合させることにより、シートカバー
がクッションの外観形状に沿って密着し、確実に被覆さ
れることとなる。クッションの細くて深い溝部に本係止
部材を使用すれば、シートカバーをクッション内に吊り
込むように固定でき、クッションの表面に密接してシー
トカバーを装着し、風合いの優れたシートが得られる。
しかも、シートクッションに座る人には、係合部材が触
れないことから、座りごこちを損なうこともない。
【0037】上記の実施例では、耳部にフェライト層が
形成されないようにしたが、耳部にもフェライト層が形
成されるように、耳部にニードル塗工を行い、フェライ
ト層を耳部および基板表面に有する係止部材を作製し、
この係止部材を用いてクッションの成形を行ったとこ
ろ、シールが不完全なことから係合素子面を樹脂が覆っ
ているものがクッション100個当たり平均4個見出さ
れた。このものは、シートカバーとの係合力が低く、シ
ートカバーを完全に強固に装着することができなかっ
た。一方、上記の耳部にフェライト層を形成しなかった
場合には、係合素子面を樹脂が覆っているものは、シー
トクッション100個当たり1個以下と極めて僅かであ
った。
【0038】なお、本発明にかかる成形用係止部材の適
用例として自動車用クッションを示したが、このクッシ
ョンに限らず、他のモールド成形体にも適用することが
できる。
【0039】比較例 上記実施例において、係止部材の基板と耳部との間に凹
状を設けなかった場合には、耳部の可撓性が十分でな
く、その結果、耳部を金型凹部の肩部に密着できない箇
所があったことからシールが不完全となり、係合素子面
を樹脂が覆っているものがクッション100個当たり、
9個見出された。このものは、シートカバーとの係合力
が劣ることから、シートカバーを強固に固定することが
できなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明の成形用係止部材は、成形型内の
凹部に簡単かつ確実に保持でき、しかも成形型凹部の巾
方向の間隙の封止に優れ、樹脂組成物の係合素子側への
流入を確実に阻止することができる。クッションの製造
に本係止部材を使用すれば、シートカバーをクッション
に吊り込むように固定でき、クッションの表面に密接し
てシートカバーを装着し、風合いの優れたシートが得ら
れる。また、生産性、安全性および作業性にも優れたも
のとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の係止部材の1例を示す斜視図。
【図2】 図1の係止部材のX―X線における断面
図。
【図3】 図1の係止部材を成形型の凹部に嵌着した
状態を示す断面模式図。
【図4】 従来の係止部材を示す断面図。
【符号の説明】
1:係止部材の基板、2:係合素子、3:埋設素子、4
…シール用耳部、5:凹条、6:フェライト含有層、
7:成形型、8:成形型の凹部、9:凹部の肩部、1
0:磁石

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形型凹部の肩部に載置して使用する成
    形用係止部材であって、基板の表面に多数の係合素子を
    有し、基板の裏面に樹脂に対する埋設素子を有し、かつ
    基板の係合素子面にフェライト含有層を有し、さらに該
    基板の巾方向の両端部に連続したシール用の耳部と、該
    耳部を基板に対して可撓性とする凹条を有することから
    なるモールドイン成形用係止部材。
  2. 【請求項2】 フェライト含有層が、係止部材の係合素
    子が立設している面に存在しているが、該耳部には存在
    していない請求項1記載のモールドイン成形用係止部
    材。
  3. 【請求項3】 基板の表面に多数の係合素子を有し、基
    板の裏面に樹脂に対する埋設素子を有し、さらに該基板
    の巾方向の両端部に連続したシール用の耳部と、該耳部
    を基板に対して可撓性とする凹条を有する係止部材の該
    基板の係合素子面にフェライト含有層を形成する方法と
    して、フェライト含有樹脂液を該係合素子の足元の基板
    表面にニードル塗工法を用いて付与し、乾燥する方法を
    用いるモールドイン成形用係止部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 基板の表面に多数の係合素子を有し、基
    板の裏面に樹脂に対する埋設素子を有し、かつ基板の係
    合素子面にフェライト含有層を有し、さらに該基板の巾
    方向の両端部に連続したシール用の耳部と、該耳部を基
    板に対して可撓性とする凹条を有する係止部材を、その
    表面の係合素子を成形型の凹部に嵌入し、かつ該基板の
    両端部にある凹条が成形型凹部の肩部の内側に位置する
    ように該耳部を成形型の肩部に載置して成形型凹部に装
    着し、該成形型凹部の底面に設けられた磁石と成形用係
    止部材のフェライトの吸引力により成形用係止部材の該
    係合素子面をシールし、次いで成形型内に樹脂を導入し
    硬化させることを特徴とする係止部材付き樹脂成形体の
    製造方法。
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