JP2001257552A - 吸収型回路素子、吸収型低域通過フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

吸収型回路素子、吸収型低域通過フィルタ及びその製造方法

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JP2001257552A
JP2001257552A JP2000068555A JP2000068555A JP2001257552A JP 2001257552 A JP2001257552 A JP 2001257552A JP 2000068555 A JP2000068555 A JP 2000068555A JP 2000068555 A JP2000068555 A JP 2000068555A JP 2001257552 A JP2001257552 A JP 2001257552A
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dielectric
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太郎 三浦
Kenji Endo
謙二 遠藤
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    • H01PWAVEGUIDES; RESONATORS, LINES, OR OTHER DEVICES OF THE WAVEGUIDE TYPE
    • H01P1/00Auxiliary devices
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    • H01P1/00Auxiliary devices
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    • H01P1/215Frequency-selective devices, e.g. filters using ferromagnetic material

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  • Filters And Equalizers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸収特性と独立して入力インピーダンスを決
定できる吸収型回路素子、吸収型低域通過フィルタ及び
その製造方法を提供する。 【解決手段】 非導電性材料による芯体と、この芯体に
隣接線間に間隔を設けて導線を巻き付けてなる内部導体
と、内部導体の外側を囲んでおり、強磁性金属微細粉及
び絶縁樹脂を含む複合材料からなる磁性体と、磁性体の
外側を囲む誘電体と、誘電体の表面に形成された外部導
体とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性体の周波数選
択性吸収を利用して構成される吸収型回路素子、吸収型
低域通過フィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】クロック周波数の高いデジタル機器や移
動体通信機器のように狭い筐体内部で広い周波数範囲の
信号を処理する機器において、信号に含まれる不要周波
数成分の除去は、機器の動作を安定化させるための重要
技術である。
【0003】従来のこの種の除去技術としては、不要信
号発生源に大容量のキャパシタ、通常の低域通過フィル
タ等を挿入して信号内の不要周波数成分を減衰させるこ
とが一般的であった。しかしながら、大容量キャパシ
タ、通常の低域通過フィルタ等の素子は、損失の少ない
リアクタンスによって構成されているため、不要信号の
通過を反射によって制限しており、これらの対策素子に
よって反射された不要信号が他の回路に迂回して新たな
妨害源となってしまう。
【0004】従って、本質的な不要周波数成分の除去
は、反射ではなく吸収によって処理されねばならない。
【0005】不要信号成分を吸収する素子として、フェ
ライト・ビーズ方法がある。即ち、フェライト・ビーズ
を信号線に被せて損失のあるインダクタを構成し、周波
数によるリアクタンスの増加と磁気損失とによって不要
信号を除去する方法である。しかしながら、この方法
も、フェライト・ビーズのリアクタンス変化によって信
号線のインピーダンスが変化するため、不要周波数成分
発生源の出力インピーダンスとフェライト・ビーズのイ
ンピーダンスとが一致しない周波数帯域では反射によっ
て不要信号の通過が阻止され、本質的な対策になり得な
かった。また、フェライト・ビーズは、材料本来の制約
により1GHz以上の周波数において吸収特性が急速に
低下し、最近の移動体通信機器や高速データバス回路に
おける不要信号対策には不十分な素子である。
【0006】このような問題を解決するため、不要信号
処理周波数帯域において反射が少なく吸収の大きい吸収
型低域通過フィルタ素子を本出願人は提案している(特
開平8−204486号公報)。
【0007】図1はこの従来の吸収型低域通過フィルタ
素子の構造を概略的に示す一部破断斜視図である。
【0008】同図において、10は中心部に設けられた
フェライト又は純鉄微細粉を樹脂で固めた磁性体芯、1
1はその周囲に巻かれた導線(内部導体)、12は導線
11の外側に設けられており純鉄微細粉を樹脂で固めた
磁性体、13はその表面を導体化して形成された外部導
体をそれぞれ示している。
【0009】この外部導体13を図示のように電気的に
分離して両端面の導体(入出力端子)13a及び13b
に信号を加え、中央の導体(地導体)13cを接地する
と、内部導体11と外部導体13とが損失のある線路を
構成する。この線路は分布定数構造であるため、フィル
タ素子の特性インピーダンスは線路構造と磁性体の透磁
率及び誘電率の実部とから決まり、損失は磁性体の磁気
損失で決まる。特性インピーダンスを駆動インピーダン
スに近い値に設定すれば、フィルタ素子からの反射を極
力抑制しながら素子内部の損失により不要信号エネルギ
を素子内部で吸収させられるように構成できる。
【0010】このように構成された低域通過フィルタ素
子に終端を接続した場合、図2に示すように、入力端子
の反射係数(反射損失)S11は全周波数範囲にわたっ
て−10dB以下であるのに対し、透過係数(透過損
失)S21は低域通過特性を示している。この素子を高
周波回路に挿入すれば、遮断周波数以下の信号はそのま
ま通過するのに対し、遮断周波数以上の信号は素子内で
吸収されて伝達されず、その高周波回路より除去するこ
とができる。本素子の出力側に終端以外の素子を接続し
た場合には、透過係数S21の低域通過周波数におい
て、そのインピーダンスが入力側に反映される(特開平
8−204486号公報)。
【0011】このようなコンパクトに構成された素子の
特性インピーダンスZを厳密に求めるのは困難である
が、線路構造をマイクロストリップ線路にモデル化すれ
ば、内部導体の幅W、磁性体の厚さh、磁性体の比透
磁率μ及び比誘電率εによって式(1)より概算で
きる。
【数1】
【0012】いま、W=0.15mm、h=0.2m
m、とする。純鉄微粉が85重量%含まれた磁性体は、
μ=9、ε=90となっているので、この素子の特
性インピーダンスは、式(1)よりZ=45.2Ωと
なる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなフィルタ素子をインピーダンスが高い駆動素子に接
続すると、不整合による反射のために不要信号抑制効果
が不十分となってしまう。また、磁性体12内の純鉄微
粉含有量をさらに多くして磁気損失(吸収量)の増大化
を図ると、実効誘電率が増加するので素子の入力インピ
ーダンスが大幅に低下し、インピーダンス不整合のため
に不要信号抑制効果がさらに不十分となってしまう。
【0014】さらに、磁気損失を増加させるため、磁性
体12の鉄粉含有量を90重量%以上にすると、鉄粉間
の接触により絶縁が破壊されて地導体間通電が発生す
る。これは漏洩電流不良と呼ばれ、電子部品では避けね
ばならない現象である。
【0015】従って、本発明は従来技術の上述した問題
点を解消するものであり、本発明の目的は、吸収特性と
独立して入力インピーダンスを決定できる吸収型回路素
子、吸収型低域通過フィルタ及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、非導電
性材料による芯体と、この芯体に隣接線間に間隔を設け
て導線を巻き付けてなる内部導体と、内部導体の外側を
囲んでおり、強磁性金属微細粉及び絶縁樹脂を含む複合
材料からなる磁性体と、磁性体の外側を囲む誘電体と、
誘電体の表面に形成された外部導体とを備えた吸収型回
路素子及びこの吸収型回路素子を用いた吸収型低域通過
フィルタが提供される。
【0017】本発明に係る吸収型回路素子は、信号の不
要周波数成分を反射によらず吸収によって処理してい
る。このため、クロック周波数の高いコンピュータや広
い周波数範囲の信号を狭い筐体内部で処理する移動体通
信機器内部の妨害波徐去において非常に有用である。
【0018】特に本発明では、大きな磁気損失を示すよ
うな吸収型回路素子において、外側に誘電体を入れるこ
とによって内部導体と外部導体との間の磁性体の実効透
磁率の低下を抑制しながら実効誘電率を大きく低下さ
せ、入力インピーダンス低下や漏洩電流不良を防いでい
る。この方策により不要信号源の駆動インピーダンスと
吸収型回路素子の入力インピーダンスとの差を縮めて不
要信号減衰量を保ちながら不要信号反射量を低減させて
不要信号を有効に除去する。
【0019】即ち、本発明は、内部導体を囲む磁性体と
それに接する地導体の間に誘電体を挟んで、透磁率の低
下を抑制しながら内部導体及び地導体間の実効誘電率を
低下させ、入力インピーダンスを素子内吸収量とは独立
して制御しようとするものである。先の式(1)で示し
たように、素子の線路インピーダンスは線路支持体の透
磁率と誘電率とによって制御できる。
【0020】以下、地導体及び磁性体間に誘電体を挟ん
だときの透磁率及び誘電率変化を理論的に求める。
【0021】線路内の伝送モードがTEMモードである
とすれば相似則が成り立つので、厳密解が求められる同
軸管モデルで計算する。
【0022】同軸管の構造を、図3に示すように、内
径:a、外径:b、磁性体の外径:k、磁性体の比透磁
率:μ、磁性体の比誘電率:ε、地導体との間に挟
む誘電体の比透磁率:μ、地導体との間に挟む誘電体
の比誘電率:ε、真空の誘電率:μ、真空の透磁
率:εとする。
【0023】この同軸管では、単位長さあたりインダク
タンスL’が式(2)で与えられる。
【数2】 いま、
【数3】 とすれば、式(2)は次のように変形され
【数4】 実効透磁率μeffは次のようになる。
【数5】 ただし、
【数6】 とする。この式によれば、実効透磁率は同軸管の内側と
外側との透磁率比に応じて減少することが分かる。一
方、単位長さあたりの同軸管キャパシタンスC’は薄い
同心円筒を直列接続したモデルより計算され、
【数7】 式(5)から
【数8】 となる。
【0024】インダクタンスの場合と同様に
【数9】 とすれば、実効誘電率εeff
【数10】 となる。外側に位置する誘電体が薄ければ実効誘電率は
次のように近似できる。この式によれば、誘電体の厚さ
とともに実効誘電率は減少するが、透磁率の場合と異な
って内側にある物質の誘電率寄与が大きいと分かる。
【数11】
【0025】先の計算で用いたようにμ=9、ε
90を用い、磁性体及び地導体間に挟む誘電体をプラス
チックなどの常誘電体として、μ=1、ε=2.5
とする。このデータを式(7)に代入して誘電体挿入に
よる実効透磁率μeffと実効誘電率εeffとの変化
を求めると、
【数12】 となる。
【0026】式(8)及び(9)から明らかなように、
実効誘電率εeffは実効透磁率μ effより39.3
倍の早さで減少する。従って、磁性体と地導体との間に
誘電率の小さい常誘電体を挟むことにより、実効透磁率
の変化を抑制しながら実効誘電率を減少させることがで
きる。また、鉄粉量増加によって磁性体層の絶縁が破壊
された場合でも、誘電体挿入によって電流漏洩を防ぐこ
とが可能になり、特性上の自由度が大きい構造となる。
【0027】外部導体が、吸収型回路素子の軸方向に沿
って配置されておりかつ互いに電気的に切り離された3
つの部分からなることが好ましい。
【0028】外部導体の3つの部分が、吸収型回路素子
の軸方向の両端から吸収型回路素子の軸方向長さの1/
4だけ離れた位置で電気的に切り離されていることも好
ましい。
【0029】外部導体のこれら3つの部分のうちの両側
の部分が、内部導体の両端とそれぞれ電気的に接続され
ていることが好ましい。
【0030】外部導体の3つの部分のうちの中央の部分
が、内部導体の地導体として動作するように構成されて
いることも好ましい。
【0031】磁性体が、周波数選択性の吸収特性を示す
磁性体であること、特に、高周波領域で吸収特性を示す
磁性体であることが好ましい。
【0032】高周波領域においては吸収帯域における入
力端のインピーダンスが周波数に依存しないように、内
部導体の幅、磁性体の厚み、磁性体の透磁率及び磁性体
の誘電率が設定されていることも好ましい。
【0033】反射特性が吸収特性に依存しないように、
誘電体の厚さが設定されていることが好ましい。
【0034】吸収型回路素子を識別するために、誘電体
が着色されていることも好ましい。
【0035】芯体が、フェライト磁性体材料、常誘電体
材料又は高抵抗体材料で形成されていることが好まし
い。
【0036】本発明によれば、さらに、非導電性材料に
よる芯体の外周面上に隣接線間に間隔を設けて導線を巻
き付けて内部導体を形成し、内部導体を形成した芯体の
外周面を、強磁性金属微細粉及び絶縁樹脂の複合材料か
らなる磁性体で囲み、磁性体の外周面を誘電体で囲んで
棒状構造体を形成し、この棒状構造体をその軸に垂直な
平面で切断して複数の素子ピースを形成し、素子ピース
の表面に外部導体を形成する吸収型低域通過フィルタの
製造方法が提供される。
【0037】外部導体の形成が、素子ピースの全表面に
導体層を形成した後、導体層を芯体の軸方向に沿って配
置された3つの部分に電気的に切り離すものであること
が好ましい。この素子ピースの全表面に導体層を形成す
る際に、導体層と内部導体の両端とを電気的に接続させ
ることがより好ましい。
【0038】
【発明の実施の形態】図4は本発明の吸収型回路素子の
一実施形態として、3端子吸収型低域通過フィルタの構
造を概略的に示す一部破断斜視図である。同図において
は、一部を破断して断面で表しているため階段形状とな
っているが、本実施形態における吸収型回路素子は、ほ
ぼ直方体形状となっている。
【0039】同図において、40は中心部に設けられた
非導電性材料による芯体、41はこの芯体40に隣接線
間に間隔を設けて導線を巻き付けてなる内部導体、42
は内部導体41の外側を囲んでおり、強磁性金属微細粉
及び絶縁樹脂を含む複合材料からなる磁性体、43は磁
性体42の外側を囲む誘電体、44は誘電体43の表面
に形成された外部導体をそれぞれ示している。外部導体
44は、芯体40の軸に垂直な平面を含むスリット45
及び46により3つの部分に電気的に分離されており、
その両端面の部分は入出力端子44a及び44bとして
構成されており、中央の部分は接地された地導体44c
となるように構成されている。
【0040】芯体40としては、望ましくはフェライト
磁性体材料が用いられる。1GHzより低い周波数の吸
収を要しない場合には、芯体40として、純鉄微細粉を
樹脂で固めた磁性体材料、常誘電体材料又は高抵抗体材
料を用いてもよい。内部導体41と地導体44cとの間
に磁性体42が挟んであれば、芯体40の部分をこのよ
うに常誘電体や高抵抗体に置換しても吸収型低域通過フ
ィルタが構成できることは自明であろう。ただし、この
ように構成されたフィルタでは磁性体量が減少するの
で、磁性体による芯体を持つ素子と比較して遮断周波数
増加と不要信号の減衰量低下とが生ずる。芯体40の形
状としては、角柱、丸柱等の棒形状が好ましい。
【0041】内部導体41は、導線を隣接線間に間隔を
隔ててかつ同一の旋回方向にコイル状に巻回して形成さ
れている。各ターン間の間隔は、その導線の線径又は厚
さに比して大きくとられており、これによって線間の相
互作用が無視できるようになされている。導線の形状と
しては、平形が望ましいが、断面が矩形、円形、長円
形、その他のいかなる形状であってもよい。
【0042】磁性体42は、強磁性金属微細粉を絶縁樹
脂で固めて形成される。その強磁性金属微細粉の粒径
は、使用する周波数範囲の高周波磁場が粒子内部に入り
得る表皮厚さに基づいて定められている。金属の表皮厚
さdは、式(10)から求められる。 d=1/(πfμσ)1/2 (10) ただし、fは周波数、μはその物質の透磁率、σはその
物質の導電率である。
【0043】表皮厚さの3倍の深さまでは高周波磁場が
浸透するので、金属微細粉の粒径が表皮厚さの数倍程度
であれば十分な高周波磁気損失を示すこととなる。
【0044】このような金属微細粉の好ましい例は、カ
ーボニル鉄を熱分解して得られる粒径が数μm以下の純
鉄微細粉(カーボニル鉄粉)である。この鉄粉を絶縁樹
脂で固めると、ミリ波に至るまで高い損失を有する物質
となる。強磁性金属微細粉としては、鉄以外に、ニッケ
ル又はコバルト等の他の強磁性金属微細粉を使用するこ
とができる。これらの金属粉は、単独であっても混合し
て使用してもよい。
【0045】磁性体42の絶縁樹脂としては、エポキシ
系樹脂、フェノール系樹脂又はゴム系樹脂が例えば使用
される。
【0046】誘電体43は、エポキシ系樹脂が好ましい
が、ポリカーボネート等のその他の熱可塑性樹脂であっ
てもよい。
【0047】外部導体44は、好ましくは無電解めっき
が可能でありかつはんだ付け性及び対候性が良好なニッ
ケルで形成されるが、その他の無電解めっきが可能な金
属、例えば銀、銅等で形成されてもよい。
【0048】図5はこのような吸収型低域通過フィルタ
を実際に製造する工程を表すフローチャートであり、以
下同図を用い具体的な製造例について説明する。
【0049】まず、芯体40として一辺が0.8mmの
ニッケル亜鉛系フェライト角柱を用意する(ステップS
1)。この角柱上に幅0.15mmの平銅線を0.2m
mピッチで巻き付けて内部導体41とする(ステップS
2)。
【0050】次いで、この内部導体41上に純鉄粉とし
てカーボニル鉄をエポキシ樹脂に85重量%混入した磁
性体コンパウンドを0.18mm塗布して磁性体42を
形成し(ステップS3)、その外側に誘電体43として
エポキシ樹脂を厚さ0.02mm塗布して棒状構造体を
形成する(ステップS4)。
【0051】次いで、この棒状構造体を、その軸に垂直
な平面で切断し、長さ2mmの複数の素子ピースを形成
する(ステップS5)。
【0052】これら素子ピースの全表面を無電解ニッケ
ルめっきによって導体化し、外部導体44を形成する
(ステップS6)。この無電解めっき時に、内部導体4
1の両端がこのめっき層に電気的に接続される。
【0053】その後、各素子ピースの外部導体44につ
いて、イオンミリング、エッチング又はレーザ照射等に
より両端面から0.3mmのところに幅0.1mmのス
リット45及び46を全周にわたって入れて3端子素子
を形成する(ステップS7)。
【0054】このように、素子ピースの全表面に無電解
めっきにより外部導体44を形成した後、スリット45
及び46を形成することによって、リードによるインダ
クタンス増加を招くことのない表面実装形端子素子を非
常に簡単に形成することができる。しかも、無電解めっ
き時に内部導体41と入出力端子44a及び44bとの
接続が自動的に行われるので、その意味からも製造工程
が簡略化できる。
【0055】この素子のインピーダンスは、先の式
(8)及び(9)にx=0.1を代入して得られる実効
透磁率及び実効誘電率から求められる。計算結果は、Z
=91.5Ωとなり、駆動インピーダンスの高いMO
S集積回路等に適したインピーダンスとなっている。こ
のような構造によっても透磁率の低減は9%程度なの
で、20dBの挿入損失を示す領域では16dB程度に
減少するだけであり、実用上の問題点は殆ど生じない。
【0056】このようにして形成したフィルタの電気的
特性を評価した結果が図6に示されている。一般的な高
周波回路測定装置は特性インピーダンスが50Ωとなっ
ており、入力インピーダンスが異なったフィルタでは電
気特性が正確に示されず、特に反射量特性で顕著な差異
が見られる。本素子の測定結果における反射量の増分は
入力インピーダンスの差異によることが計算で確認され
た。吸収量の減少分は、誘電層による磁性体量減少分に
見合ったものである。
【0057】なお、誘電体43の樹脂に誘電体の厚さや
フェライト材質から求められる特性を表示する顔料を加
えて着色すれば、スリット45及び46を通してフィル
タ特性を色で識別することができる。インピーダンスや
遮断周波数の異なった複数のフィルタを同一基板に搭載
するとき等において、このようにして作成したカラーコ
ードは、一層実用的な価値を与えることができる。
【0058】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、磁性体42と地導体44cとの間に誘電体43が挿
入されているため、内部導体41と地導体44cとの間
の実効誘電率が大きく減少する。また、磁性体42が内
部導体41の近くに位置しているため、このような誘電
体43を挿入しても実効透磁率の変化は小さい。従っ
て、効率的な吸収特性を確保すべく磁性体42内の鉄粉
の含有量を増大させても磁性体42の誘電率上昇を抑え
ることができ、誘電率増加による入力インピーダンスの
低下を抑えることができる。その結果、入力端子におけ
る反射制御が非常に容易となる。逆に、誘電体の厚さを
調整することによって、吸収量の変化を抑制したまま、
入力インピーダンスの異なった吸収型低域通過フィルタ
を製作することができる。
【0059】このような吸収型低域通過フィルタは、例
えば、PHS端末機のEMI対策として、中間周波ロー
カル信号の高調波吸収による変調感度を改善するのに用
いたり、コンピュータの高速バスラインにおける波形歪
発生防止として、無終端回路における反射波を抑制して
動作安定を図るのに用いて非常に有効である。
【0060】以上述べた実施形態は全て本発明を例示的
に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明
は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することがで
きる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均
等範囲によってのみ規定されるものである。
【0061】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、従来の吸収
型低域通過フィルタでは反射量と減衰量を独立して設定
できなかったのに対し、本発明によれば、磁性体と地導
体間に誘電率の小さな誘電体を挿入することによって、
減衰量と関係なく反射量を設定することができる。駆動
源インピーダンスに合わせるように構成することによっ
て、この吸収型回路素子が適合する回路の範囲を大幅に
拡張できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の吸収型低域通過フィルタ素子の構造を概
略的に示す一部破断斜視図である。
【図2】従来の低域通過フィルタの反射及び伝送特性図
である。
【図3】本発明の同軸管モデルを表す図である。
【図4】本発明の吸収型回路素子の一実施形態として、
3端子吸収型低域通過フィルタの構造を概略的に示す一
部破断斜視図である。
【図5】図4の実施形態における吸収型低域通過フィル
タを実際に製造する工程を表すフローチャートである。
【図6】図4の実施形態における吸収型低域通過フィル
タの反射及び伝送特性図である。
【符号の説明】
40 芯体 41 内部導体 42 磁性体 43 誘電体 44 外部導体 44a、44b 入出力端子 44c 地導体 45、46 スリット

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非導電性材料による芯体と、該芯体に隣
    接線間に間隔を設けて導線を巻き付けてなる内部導体
    と、該内部導体の外側を囲んでおり、強磁性金属微細粉
    及び絶縁樹脂を含む複合材料からなる磁性体と、該磁性
    体の外側を囲む誘電体と、該誘電体の表面に形成された
    外部導体とを備えたことを特徴とする吸収型回路素子。
  2. 【請求項2】 前記外部導体が、当該吸収型回路素子の
    軸方向に沿って配置されておりかつ互いに電気的に切り
    離された3つの部分からなることを特徴とする請求項1
    に記載の吸収型回路素子。
  3. 【請求項3】 前記外部導体の3つの部分が、当該吸収
    型回路素子の軸方向の両端から当該吸収型回路素子の軸
    方向長さの1/4だけ離れた位置で電気的に切り離され
    ていることを特徴とする請求項2に記載の吸収型回路素
    子。
  4. 【請求項4】 前記外部導体の3つの部分のうちの両側
    の部分が、前記内部導体の両端とそれぞれ電気的に接続
    されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の吸
    収型回路素子。
  5. 【請求項5】 前記外部導体の3つの部分のうちの中央
    の部分が、前記内部導体の地導体として動作するように
    構成されていることを特徴とする請求項2から4のいず
    れか1項に記載の吸収型回路素子。
  6. 【請求項6】 前記磁性体が、周波数選択性の吸収特性
    を示す磁性体であることを特徴とする請求項1から5の
    いずれか1項に記載の吸収型回路素子。
  7. 【請求項7】 前記磁性体が、高周波領域で吸収特性を
    示す磁性体であることを特徴とする請求項6に記載の吸
    収型回路素子。
  8. 【請求項8】 前記高周波領域においては吸収帯域にお
    ける入力端のインピーダンスが周波数に依存しないよう
    に、前記内部導体の幅、前記磁性体の厚み、前記磁性体
    の透磁率及び前記磁性体の誘電率が設定されていること
    を特徴とする請求項7に記載の吸収型回路素子。
  9. 【請求項9】 反射特性が吸収特性に依存しないよう
    に、前記誘電体の厚さが設定されていることを特徴とす
    る請求項1から8のいずれか1項に記載の吸収型回路素
    子。
  10. 【請求項10】 当該吸収型回路素子を識別するため
    に、前記誘電体が着色されていることを特徴とする請求
    項1から9のいずれか1項に記載の吸収型回路素子。
  11. 【請求項11】 前記芯体が、フェライト磁性体材料で
    形成されていることを特徴とする請求項1から10のい
    ずれか1項に記載の吸収型回路素子。
  12. 【請求項12】 前記芯体が、常誘電体材料で形成され
    ていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1
    項に記載の吸収型回路素子。
  13. 【請求項13】 前記芯体が、高抵抗体材料で形成され
    ていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1
    項に記載の吸収型回路素子。
  14. 【請求項14】 請求項1から13のいずれか1項に記
    載の吸収型回路素子を用いたことを特徴とする吸収型低
    域通過フィルタ。
  15. 【請求項15】 非導電性材料による芯体の外周面上に
    隣接線間に間隔を設けて導線を巻き付けて内部導体を形
    成し、該内部導体を形成した前記芯体の外周面を、強磁
    性金属微細粉及び絶縁樹脂の複合材料からなる磁性体で
    囲み、該磁性体の外周面を誘電体で囲んで棒状構造体を
    形成し、該棒状構造体をその軸に垂直な平面で切断して
    複数の素子ピースを形成し、該素子ピースの表面に外部
    導体を形成することを特徴とする吸収型低域通過フィル
    タの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記外部導体の形成が、前記素子ピー
    スの全表面に導体層を形成した後、該導体層を前記芯体
    の軸方向に沿って配置された3つの部分に電気的に切り
    離すものであることを特徴とする請求項15に記載の製
    造方法。
  17. 【請求項17】 前記素子ピースの全表面に導体層を形
    成する際に、該導体層と前記内部導体の両端とを電気的
    に接続させることを特徴とする請求項16に記載の製造
    方法。
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