JP2001257403A - 固体レーザ装置 - Google Patents

固体レーザ装置

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JP2001257403A
JP2001257403A JP2000064561A JP2000064561A JP2001257403A JP 2001257403 A JP2001257403 A JP 2001257403A JP 2000064561 A JP2000064561 A JP 2000064561A JP 2000064561 A JP2000064561 A JP 2000064561A JP 2001257403 A JP2001257403 A JP 2001257403A
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mirror
laser
resonator
phase shift
laser medium
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JP2000064561A
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Kenji Suzuki
健司 鈴木
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】レーザ媒質が非複屈折性である場合に、ポンピ
ング効率を確保し、なおかつ単一偏光、単一縦モードで
発振する固体レーザ装置を提供することを目的とする。 【解決手段】レーザ媒質11を励起するための励起光1
2を放射するチタンサファイアレーザ10と、レーザ媒
質を保持しレーザ媒質11で発生する熱を除去するサフ
ァイア基板16と、非複屈折性の媒質から成るレーザ媒
質11を含む共振器11cと、移相板14から構成さ
れ、移相板14は片端に挿入したスペーサ15aによ
り、移相板の表面14bの法線はレーザ媒質11の端面
の法線に対して0.2゜の角度をなして配置される。そ
して移相板14と共振器11cとの間の空間15には、
マッチングオイルの薄い層が少なくともレーザビームが
透過する部分には充満して介在しており、移相板14と
共振器11cとは互いに固定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、半導体レーザでポ
ンピングされる非複屈折性のレーザ媒質を含む共振器か
らなる固体レーザ装置に関し、特に単一直線偏光かつ単
一縦モードで発振させ、レーザ光を出力する固体レーザ
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、一対のミラーで構成された長
さ0.1乃至0.5mmの共振器内にレーザ媒質が配置さ
れ、半導体レーザでポンピングされてレーザ光を出力す
る固体レーザ装置が知られている。特にレーザ媒質が非
複屈折性である等方性材料から成る場合、ゲインの等方
性により、直交する二つの偏光が同時に発振することが
知られており、また、一般的に複数の縦モードが発振す
るため、こうした固体レーザ装置を計測用光源として利
用する上で障害となっていた。
【0003】この点に鑑み、第1の従来技術として、単
一の偏光での発振を目的とした固体レーザ装置として、
図7に示す装置(USPat.5,172,391参
照)が知られている。この例では、励起光源20によっ
て励起されるレーザ媒質21を含むレーザ共振器が偏光
共振器に結合された複合共振器構造となっている。レー
ザ共振器の偏光共振器側のミラー21bは部分反射ミラ
ーとなっており、また、偏光共振器の出力ミラー24b
も部分反射ミラーとなっており、これら二つの部分反射
ミラーに挟まれて複屈折光学素子25が配置される。
【0004】複屈折光学素子25には、例えばLiTa
3のような電気光学素子を用い、これに電極24c、
24d間に加える電圧を制御して偏光軸方向に依存して
異なる量だけ屈折率を可変制御する。これにより、偏光
軸毎に偏光共振器の光学長が変化し、複合共振器の位相
関係が偏光にしたがって差別化される結果、ある縦モー
ドについて注目すれば、正味の反射率が大きくなる偏光
でレーザ発振するようになっている。
【0005】また、単一縦モード発振に関する検討とし
て、第2の従来技術であるOpt.Lett.18(1
5),1232(1993)の文献には、レーザ媒質と
してEr:Yb:glassを用い、対向する一対の平
行な平面に共振器を構成するミラーを形成した固体レー
ザ装置で、レーザ媒質の厚みを0.33mm以下にする
ことにより単一の縦モードの発振が得られるであろうと
推測している。この例では、0.2mmとして単一の縦
モードで発振したことが報告されている。一方、レーザ
媒質の厚みが0.3mmではあまり思わしくない結果し
か得られなかったとも述べられている。また、この例で
は、レーザ媒質の吸収が弱いため、半導体レーザから遠
い位置に配置されたミラーの反射率をポンプ光にたいし
て95%以上とすることでポンプ光を折り返し、レーザ
媒質での吸収増強を図っている。
【0006】さらに第3の従来技術としてOpt.Le
tt.20(8),889(1995)の文献には、第
2の従来技術と同様な固体レーザ装置において、レーザ
媒質としてEr:Yb:glassを用い、レーザ媒質
の厚みが0.4mmでは単一の縦モードで発振せず、
0.2mmとして単一の縦モードで発振した例が報告さ
れている。また、この例では、レーザ媒質の吸収が弱い
ため、半導体レーザから遠い位置に配置されたミラーの
反射率をポンプ光にたいして95%以上とすることでポ
ンプ光を折り返し、レーザ媒質での吸収増強を図ってい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一般に、固体レーザを
単一縦モードで発振させる方法として、共振器長を短く
すればよいことが知られている。このような例として、
第2や第3の従来技術において、厚み0.2mmのレー
ザ媒質(Er:Yb:glass)を用いて単一の縦モ
ードの発振が得られている。しかしながら、このように
レーザ媒質が短い場合、レーザ媒質の励起光に対する吸
収量が小さく効率が低いため、ポンプ光を折り返し、レ
ーザ媒質での吸収増強を図る必要性が生じる。ところ
が、ポンプ光を折り返すと、吸収されなかったポンプ光
の一部が半導体レーザに到達し、光学的なフィードバッ
クがかかることによって半導体レーザの出力不安定性や
波長不安定性を引き起こすことが一般的に知られてい
る。そして、半導体レーザの放射光に不安定性がある
と、それによってポンピングされて発振する固体レーザ
装置の出力が不安定になる問題が発生する。
【0008】このような問題を避けるにはポンプ光の折
り返しをなくせばよいが、その場合には固体レーザ装置
の効率を維持するために長いレーザ媒質が必要となる。
しかしながら、第2の従来技術においてはレーザ媒質
(Er:Yb:glass)の厚みが0.3mmでは単
一縦モードの発振が困難であることが述べられており、
0.33mmが単一縦モードの発振を得るための共振器
長の限界であるとされてきた。
【0009】また、第2と第3の従来技術では、非複屈
折性のレーザ媒質が用いられているが、一般的に、こう
した固体レーザ装置では単一偏光モードの発振が容易に
得られないことが知られている。
【0010】そこで、第1の従来技術の固体レーザ装置
では、非複屈折性のレーザ媒質を含む共振器で単一偏光
の発振を得るために、複合共振器構造とする方法が示さ
れている。しかしながら、この方法では同時に単一縦モ
ードの発振を実現することは困難である。単一偏光の発
振を得るには、二つの部分反射ミラーからの反射光が、
複屈折光学素子の移相量の差によって、偏光ごとに異な
った位相で重なる必要がある(移相条件あるいはレター
デーション条件)。一方、単一縦モードの発振を得るに
は、複合共振器の正味の反射率が、レーザ媒質のゲイン
ピークに近い共振器の縦モードにたいして最大に、隣接
する縦モードにたいしては小さくなるように設定されな
ければならない(複合共振条件あるいは位相条件)。
【0011】ところが従来技術では、複合共振条件を実
現すべく電気光学素子を制御するには、電気光学素子の
長さを長くし、加える電圧を大きくしなければならない
といった問題があり、光学長を変えて複合共振条件を実
現することが困難であった。さらには、一般的に、複合
共振条件を実現しようとして電圧を可変にすると、レタ
ーデーションも変化してしまい、複合共振条件と移相条
件を同時に最適に制御するのは非常に困難であった。ま
た、電気光学素子に電圧を加えるための外部回路が必要
になるなど、固体レーザ装置としても大型で複雑であ
る。
【0012】本発明は、前述の背景のもとになされたも
のであり、レーザ媒質が非複屈折性である場合に、ポン
ピング効率を確保し、なおかつ単一偏光、単一縦モード
で発振する固体レーザ装置を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、レーザ媒質を
ポンピングする励起光の入射側から順に、第1ミラー、
前記レーザ媒質、第2ミラー、移相板、および第3ミラ
ーとを備え、前記第1ミラー、前記レーザ媒質、前記第
2ミラーで共振器が構成されており、前記レーザ媒質は
非複屈折性の材料からなり、互いに平行に対向した一対
の平面を有し、各前記平面にはそれぞれ前記第1ミラー
と前記第2ミラーが形成されており、前記第1ミラーの
反射率と前記第2ミラーの反射率は、前記共振器が連続
波でレーザ発振し、前記第2ミラーからレーザ光を放射
するように選ばれていて、前記第3ミラーが前記移相板
の表面に形成され、前記第3ミラーの法線が前記第2の
ミラーの法線に対して0゜を超え、0.3゜以下の角度
をなして配置され、前記第3ミラーのレーザ光の波長に
たいする反射率が前記第2ミラーの反射率よりも小さ
く、第3ミラーは前記共振器から放射されるレーザ光の
一部を反射して前記共振器のレーザモードにフィードバ
ックし、前記移相板は、互いに平行に対向した一対の平
面を有し、前記平面に垂直な方向のレターデーションの
次数が前記レーザ光の波長において0.5m±0.125
(mは整数)の一定値に固定され、前記第2ミラーと前
記第3ミラーで挟まれた空間の前記レーザ光の波長にお
ける光学長が前記共振器の光学長の0.47乃至0.5
3倍であり、前記励起光によりポンピングされるレーザ
媒質内の位置を、前記第3ミラーの法線と前記第2ミラ
ーの法線を含む面内でかつ前記レーザ光の光軸に垂直の
方向に調整されて、単一偏光かつ単一縦モードで発振す
ることを特徴とする固体レーザ装置である。
【0014】以下、本発明を図1を用いて説明する。図
1において、第1ミラー31、レーザ媒質32、第2ミ
ラー33を配置してなる共振器34が構成されており、
さらに移相板36、第3ミラー35が配置されている。
第1ミラー31と第2ミラー33はレーザ媒質32の互
いに平行に対向した1対の端面に形成されている。第1
ミラー31の反射率と第2ミラー33の反射率は、前記
レーザ媒質32を含む前記共振器が連続波でレーザ発振
し、第2ミラーからレーザ光を放射するように選ばれて
いることを基本的な条件とする。このことによって、第
3ミラー35の有無に関わらず、第1ミラーと第2ミラ
ーの間でレーザモードが発振し、縦モードの波長が決定
される。また、対向する2つのミラーが互いに平行な平
面であることによって、励起光によりポンピングされる
レーザ媒質内の任意の位置の光軸でレーザ発振を可能な
らしめる。出力として取り出されるレーザ光は、第3ミ
ラー35を通して放射される。
【0015】次に第3ミラー35は、その法線が第2ミ
ラー33の法線に対して0゜を超える角度をなして配置
される。この角度のために、第3ミラーで部分反射され
るレーザ光の波面法線はレーザモードの波面法線とは0
゜でない角度で交差して重なるが、第3ミラーの角度を
0.3゜以下としたことによって、波面法線の重なりの
ずれを限定し、第2ミラーで反射されるレーザモードの
波面に第3ミラーによる反射光の波面が干渉するよう光
学的フィードバックが行われる。この干渉の効果は、二
つの波面が干渉する位相に依存し、第2ミラーの位置に
形成され、反射率が波長に対して周期的に変調された特
性を示す単一の等価ミラーに置き換えて考えることがで
きる。
【0016】一般に、光学的にフィードバックされる反
射光の波面法線がレーザモードの波面法線に対して0゜
でない角度を有する場合に、第3ミラーの反射率を大き
くして強い光学的フィードバックを行うと、共振器のレ
ーザモードの波面が乱れてレーザの発振効率が低下す
る。しかし本発明にしたがえば、レーザ光の波長にたい
して第3ミラーの反射率を第2ミラーの反射率よりも小
さくすることによって、レーザモードの波面の乱れを小
さくとどめることができるとともに、以下で説明するよ
うに単一偏光、単一縦モード発振を起すのに十分な等価
ミラーの反射率特性の変調が得られる。
【0017】第3ミラーの法線が第2ミラーの法線にた
いして0゜を超え0.3゜以下の角度をなして配置さ
れ、半導体レーザからの放射光によりポンピングされる
レーザ媒質内の位置を、第3ミラーの法線と第2ミラー
の法線を含む面内でかつレーザ光の光軸に垂直の方向に
調整することによって、レーザ発振の光軸の位置を連続
的に移動調整し、第2ミラーと第3ミラーで挟まれた空
間の光学長をレーザ光の波長のオーダーで連続的に選択
できる。その結果、等価ミラーの反射率特性の最大点が
共振器の縦モードの波長に合うように調整することがで
きる(位相条件)。
【0018】共振器34と第3ミラー35の間に設けら
れる移相板36は複屈折性の結晶から成っており、偏光
により屈折率が異なる光学素子である。各偏光の屈折率
を小さい順にn1、n2、移相板の長さをKpとすると、
移相板のレターデーションの次数Nは、 N=(n2−n1)Kp/λ と表される。また、第2ミラーと前記第3ミラーで挟ま
れた空間の光学長Lpは、移相板の両偏光の光学長の平
均値をとって Lp=(n1+n2)Kp/2+L’ と定義する。ここで、L’は移相板を除く空間の光学長
とする。また、等価ミラーの反射率特性の波長周期FS
pは、レーザ光の波長をλとして FSRp=λ2/(2Lp) と表される。一方、共振器の光学長をLcとすれば、レ
ーザモードの縦モード間隔FSRcは FSRc=λ2/(2Lc) と表される。
【0019】ここで図2に偏光モードおよび縦モード対
等価ミラーの反射率特性の関係を示す。なお図2におい
て常光偏光と異常光偏光の縦モードを示す線がずれてい
るが、これは見やすくするためで実際は重なっているも
のである。移相板のレターデーションの次数Nを前記レ
ーザ光の波長においてN=0.5m±0.125(mは
整数)の一定値に固定し、第2ミラーと第3ミラーで挟
まれた空間のレーザ光の波長における光学長を前記共振
器の光学長の0.47乃至0.53倍(0.47<Lc
/Lp<0.53)、好ましくは0.5倍(Lc/Lp
0.5)としたことによって、図2のように、直交する
各偏光モードの等価ミラー反射率の最大点の波長が共振
器縦モード間隔の1/2だけ相対的にずれ、また、等価
ミラーの反射率特性の波長周期FSRpは共振器の縦モ
ード間隔FSRcの2倍になる。ここでNの値は実用的
には上記の式で与えられる値を中心にして−0.01か
ら+0.01の範囲であり、移相板の製作時のレターデ
ーションのばらつきやその他の誤差を許容する。
【0020】以上の配置で、図2に示すように、例えば
波長1535nmの縦モードのうち移相板の常光偏光モ
ード(q0o)にたいして等価ミラーの反射率特性の最大
点が合うようにレーザ発振の光軸の位置を連続的に移動
調整した場合を考える。ここにおいて、移相板の長さを
一定に固定したことによって、光軸の位置に関わらずレ
ターデーションが一定となり、移相条件を変えることな
く位相条件を調整できる。以上の結果、異なる偏光モー
ド(異常光偏光モード)のすべての縦モード(‥‥‥、
-2e、q-1e、q0e、q+1e、q+2e、‥‥‥)に対して
等価ミラーの反射率が小さくなるので、異なる偏光モー
ドのすべての縦モードの発振を抑制でき、さらに、同一
の偏光モードの隣接縦モード(q-1o、q+1o)と奇数番
目に隔たった縦モード(図示の範囲外)に対しては等価
ミラーの反射率が小さくなるのでそれらの発振を抑制で
きる。偶数番目に隔たった縦モード(‥‥‥、q-2o
+2o、‥‥‥)に対しては中心の縦モード(q0o)と
同じ反射率となるが、平行平板共振器単独の場合にレー
ザ媒質のゲイン中心の波長を挟んで互いに隣接した二つ
の縦モードにおいてのみレーザ発振させる条件が成立し
ていれば(共振器の長さを適切に設定することで実際に
可能である)、偶数番目に隔たった縦モードはレーザ媒
質のゲイン中心から離れているために、ゲインが小さく
発振には至らない。
【0021】第2ミラーの反射率は95%以上であり、
第3ミラーの反射率が0.5%乃至20%であることが
望ましい。一般に、多くの固体レーザ装置では第2ミラ
ーに相当する出力ミラーの反射率を95%以上として連
続レーザ発振が最適化される。本発明にしたがえば、第
2ミラーの反射率が95%以上の場合に、第3ミラーの
反射率を0.5%乃至20%とすることによって、レー
ザモードの波面の歪みを抑えて効率を維持でき、また、
等価ミラーの反射率特性として、最大0.25%程度の
反射率の差別化を実現できる。第2ミラーの反射率は1
00%未満までとり得る。
【0022】ここで、第3ミラー35は移相板36の表
面に形成された誘電体多層膜コーティングであっても良
く、また、移相板の光学研磨された表面の反射を利用し
ても良い。
【0023】ここで、第2ミラーの表面と移相板の第2
ミラー側表面との間に、レーザ光の波長にたいして透明
で、屈折率が移相板の屈折率と略等しい接着剤、または
屈折率マッチング液、または低融点ガラスを介在させて
第2ミラーと移相板とが互いに固定されていることが望
ましい。この場合第2ミラーの表面と移相板の第2ミラ
ー側表面との間の空間37に、上記の接着剤、または屈
折率マッチング液、または低融点ガラスを充満させるこ
とにより、余分な光学界面の生成を避けることができ
る。
【0024】一般に、第2ミラーに対向した移相板の表
面36aに反射防止膜を形成しない場合、この面は数%
の反射率を有する。第2ミラーと第3ミラーの間の反射
面の存在は、等価ミラーの反射率特性に複雑な変調を加
えることとなり、本発明で目的とするモード選択性に好
ましくない影響を与えるおそれがある。移相板と第2ミ
ラーの間に移相板の屈折率に実質的に等しい媒体を介在
させることは、不要な反射面の発生を防止できるので好
ましい。またこの場合、移相板と前記媒体とをスペーサ
を介するなどして固定することで、第2ミラーと第3ミ
ラーで挟まれる空間が物理的に固定され、光学長が安定
に保たれる。その結果、単一偏光、単一縦モードの発振
状態を長時間安定に保つことができる。
【0025】さらに移相板の第2ミラー側表面に、接着
剤、または屈折率マッチング液、または低融点ガラスを
透過してくるレーザ光に対する反射防止コーティングが
形成されていることが望ましい。移相板の第2ミラー側
表面に反射防止コーティングを形成することによって、
接着剤、または屈折率マッチング液、または低融点ガラ
スとのわずかな屈折率差による反射を防止することがで
き、より確実に単一偏光、単一縦モード発振を実現す
る。励起光源としては半導体レーザが、そのスポットサ
イズが小さいので好ましく用いられる。
【0026】図3は、本発明者が単一偏光、単一縦モー
ドの発振を確認した時に用いた、固体レーザ装置の構成
を示す正面図である。この固体レーザ装置は、レーザ媒
質11を励起するための励起光12を放射するチタンサ
ファイアレーザ10と、レーザ媒質を保持しレーザ媒質
11で発生する熱を除去するサファイア基板16と、E
r:Yb:glass(非複屈折性の媒質)から成るレ
ーザ媒質11を含む共振器11cと、移相板14から構
成される。
【0027】レーザ媒質11の対向する一対のミラー面
は面精度λ/4以上、平行度10秒以内で研磨されてい
る。移相板14はa面研磨水晶から成り、面精度λ/4
以上、平行度10秒以内である。サファイア基板16は
厚さ1mmのc面研磨基板であり、レーザ媒質11で発
生する熱を除去するための放熱板として働き、電子冷却
素子(図示せず)で25.0℃の一定温度に制御され
る。
【0028】移相板14は片端に挿入したスペーサ15
aにより、移相板の表面14bの法線はレーザ媒質11
の端面の法線に対して0.2゜の角度をなして配置され
る。そして移相板14と共振器11cとの間の空間15
には、マッチングオイルの薄い層が少なくともレーザビ
ームが透過する部分には充満して介在しており、移相板
14と共振器11cとは互いに固定されている。
【0029】レーザ媒質11の長さは0.43mmであ
り、屈折率は1.52である。移相板14の波長153
5nmにおけるレターデーションの次数は1.125
で、長さは203.9μmで、平均の屈折率は1.53
2である。したがって、移相板14の光学長は共振器1
1cの光学長の0.48倍である。
【0030】サファイア基板16の励起光が入射する表
面には波長975nmにたいして透過率が99%以上と
なるコーティング膜16aが形成されている。レーザ媒
質11の励起光が入射する表面にはレーザ媒質の発振波
長である1535nmにたいして反射率が99.9%以
上であって、波長975nmにたいして透過率が99%
以上となるコーティング膜11aが形成されている。ま
た、レーザ媒質の出射側表面には、波長1535nmに
たいして反射率が98.1%であるコーティング膜11
bが形成されている。レーザ媒質のコーティング膜11
aの表面とサファイア基板16の表面は波長975nm
にたいして吸収が1%以下であって、屈折率が約1.5
の接着剤で接着されている。共振器11cはレーザ媒質
の両面に形成されたコーティング膜11aと11bで形
成される。移相板14の両面にはコーティングは形成さ
れておらず、コーティング膜11bと移相板14との間
の空間には屈折率が約1.46である市販のマッチング
オイルが完全に充満して介在し、移相板のマッチングオ
イル側境界面における反射を防止している。また、移相
板14の表面14bの波長1535nmにおける反射率
は4.4%である。
【0031】チタンサファイアレーザ10からの励起光
12がレンズ17によって集束されて、レーザ媒質11
に入射すると、波長1535nm近傍でレーザ発振が起
こり、出力光18が得られる。励起光のレーザ媒質内に
おけるスポットサイズは35μmであり、レーザ媒質で
発振するレーザモードの径は45μmである。
【0032】以上のような固体レーザ装置について、本
発明者は単一偏光、縦モードの発振について鋭意実験検
討した。ポンプパワーを250mWで一定として、固定
された励起光12の光軸に対してサファイア基板16か
ら第3ミラーまでが一体化された固体レーザ部分19
を、移相板の表面14bに形成された第3ミラーの法線
とレーザ媒質の出射側端面11bに形成された第2ミラ
ーの法線を含む面内で、かつレーザ光の光軸に垂直の方
向(図3の紙面を上下方向)に移動し、移動位置に対し
てどのような偏光モードと縦モードが発振するかを調べ
たところ図4に示す結果が得られた。位置1.93mm
から1.96mmの間(図中のA)で移相板の異常光偏
光で、また、1.97mmから2.03mmの間(図中
のB)で常光偏光のそれぞれ単一の偏光、波長約153
7nmの単一縦モードの発振することを確認した。この
場合は、固体レーザ部分19の位置をこのような範囲内
のいずれかに設定したことが、励起光によりポンピング
されるレーザ媒質内の位置が調整されたことになる。
【0033】励起光によりポンピングされるレーザ媒質
内の位置を調整する方法としては、図3の構成の場合、
単一の偏光、単一縦モードが得られるレーザ媒質の位置
範囲を予め上述のように求めて、レーザ媒質の位置をそ
の範囲内で固定する方法や、図3には示してないが固体
レーザ部分を紙面の上下方向に可変にできる移動機構
を、ポンピングされるレーザ媒質内の位置を調整する手
段として追加して設ける方法がある。
【0034】次に、固体レーザ部分の位置を固定し、レ
ーザ媒質に吸収されたポンプパワーに対して偏光モード
と縦モード、レーザ出力を測定したところ。図5に示す
結果が得られた。吸収パワーが70mWから150mW
の間で異常光偏光の単一縦モードの発振が、出力5mW
から50mWのレーザ出力として得られた。
【0035】比較の例として、上記固体レーザ装置の移
相板を取り外した場合のレーザ発振の偏光モードと縦モ
ードを調べたところ、直交する偏光モードが同時発振し
ており、また、各偏光成分について共振器の縦モード間
隔2.4nmで隣接する二つの縦モードの計四つのモー
ドの同時発振が観測された。
【0036】以上のことから、本発明にしたがえば、偏
光モードと縦モードが選択されて単一偏光、単一縦モー
ドの発振が実現することを確認した。
【0037】以上説明したように、本発明にしたがえ
ば、単一偏光、単一縦モードで発振する固体レーザ装置
が得られる。
【0038】
【発明の実施の形態】図6は、本発明の一実施例である
固体レーザ装置の構成を示す正面図である。この固体レ
ーザ装置は、Er:Yb:glassから成るレーザ媒
質1を励起するための励起光2を放射する半導体レーザ
3と、励起光2を集光する軸対称レンズ8とロッドレン
ズ9と、レーザ媒質1を保持するサファイア基板6と、
レーザ媒質1を含む共振器1cと、移相板4から構成さ
れる。
【0039】半導体レーザ3は、発光領域が50μmの
ブロードエリア型半導体レーザであり、波長975nm
の励起光を放射する。レーザ媒質1の長さは0.38m
mであり、レーザ媒質1の対向するミラー面は面精度λ
/4以上、平行度10秒以内で研磨されている。移相板
4は光学軸に対して67゜でカットした水晶板から成
り、面精度λ/4以上、平行度10秒以内である。サフ
ァイア基板6は厚さ1mmのc面研磨基板であり、電子
冷却素子(図示せず)で25.0℃の一定温度に制御さ
れる。
【0040】移相板4は光学接着剤の薄い層5を介して
共振器1cに固定され、片端に挿入されたアルミニウム
箔からなるスペーサ5aにより、移相板の表面4bの法
線がミラー面1bの法線に対して0.1゜の角度をなし
て配置される。
【0041】レーザ媒質1の長さは0.38mmで、屈
折率は1.52である。移相板4の長さは187.4μ
mで、平均の屈折率は1.5325である。したがっ
て、移相板4の光学長は共振器1cの光学長の0.5倍
であり、波長1535nmにおけるレターデーションの
次数は0.875である。
【0042】サファイア基板6の励起光2が入射する表
面には、レーザ媒質1の発振波長である1535nmに
たいして透過率が99%以上であって、波長975nm
にたいして透過率が99%以上となるコーティング膜6
aが形成される。レーザ媒質1の励起光が入射する表面
には波長1535nmにたいして反射率が99.9%以
上であって、波長975nmにたいして透過率が99%
以上となる第1ミラーであるコーティング膜1aが形成
される。また、レーザ媒質1の出射側表面には、波長1
535nmにたいして反射率が98%である第2ミラー
となるコーティング膜1bが形成される。コーティング
膜1aの表面とサファイア基板6の表面6bは波長97
5nmにたいして吸収が1%以下であって、屈折率が約
1.5の接着剤で接着される。共振器1cはコーティン
グ膜1a、レーザ媒質1とコーティング膜1bで形成さ
れる。移相板4の表面には波長1535nmにたいして
反射率が4%であって、波長975nmにたいして反射
率が0.2%以下の第3ミラーであるコーティング膜4
bが施される。また、移相板4の共振器側表面にはコー
ティングは形成されておらず、コーティング膜1bと移
相板4との間は屈折率が約1.5である市販の光学接着
剤5が介在し、移相板4の光学接着剤側境界面における
反射を防止する。
【0043】半導体レーザ3からの励起光2が軸対称レ
ンズ8とロッドレンズ9によりレーザ媒質1内に集光さ
れると、波長1535nm近傍でレーザ発振が起こり、
レーザ出力7を得る。ロッドレンズ9のロッド軸9aの
方向は、移相板4の傾斜方向面内(紙面内)に配置す
る。ここで、ロッドレンズ9のロッド軸9aの方向を変
えると、屈折により励起光2の光軸が、コーティング膜
1aの法線とコーティング膜4bの法線を含む面内でコ
ーティング膜1aの法線と垂直方向(紙面内で出力光7
と直交する方向)に平行移動し、レーザ媒質1をポンピ
ングする光軸の位置が調整され、レーザ出力7は単一偏
光、単一縦モードとなる。この場合に、ロッドレンズが
励起光によりポンピングされるレーザ媒質内の位置を調
整する手段となる。
【0044】なお、以上の例ではEr:Yb:glas
sにおいてErとYb(ドーパントと呼ぶ)の濃度につ
いて触れてないが、本発明はレーザ発振可能な任意の濃
度範囲のレーザ媒質に適用することができる。
【0045】また、レーザ媒質としてはEr:Yb:g
lassに限られるものではなく、他のレーザ媒質、例
えば、YAG等の結晶や他の硝種のガラス等の非複屈折
性の材料であれば良く、また、ドーパントは例示のEr
やYbに限られるものではなく、Nd、Tm、Ho等の
希土類元素でも良く、またCrやTiであっても良く、
またこれら元素の複数の組み合わせであっても良い。
【0046】また、移相板の材料としては水晶に限られ
るものではなく、LiTaO3や方解石やサファイア
等、複屈折性の材料であれば良い。
【0047】
【発明の効果】以上詳説したように本発明によれば、単
一偏光、単一縦モードで発振する固体レーザ装置を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明する図
【図2】透過ミラーの反射率特性の説明図
【図3】発明に先立つ実験装置例の説明図
【図4】励起光の光軸位置と偏光、縦モードの例を示す
【図5】偏光、縦モードと入出力特性の例を示す図
【図6】本発明の具体例の説明図
【図7】従来の固体レーザ装置を示す図
【符号の説明】
1、11、21、32 ・・レーザ媒質 1a,1b ・・コーティング膜 1c、11c、34 ・・共振器 2、12 ・・励起光 3 ・・半導体レーザ 5a,15a ・・スペーサ 4、14、24、36 ・・移相板 7、18 ・・出力光 9 ・・ロッドレンズ 19 ・・固体レーザ部分

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】レーザ媒質をポンピングする励起光の入射
    側から順に、第1ミラー、前記レーザ媒質、第2ミラ
    ー、移相板、および第3ミラーとを備え、前記第1ミラ
    ー、前記レーザ媒質、前記第2ミラーで共振器が構成さ
    れており、前記レーザ媒質は非複屈折性の材料からな
    り、互いに平行に対向した一対の平面を有し、各前記平
    面にはそれぞれ前記第1ミラーと前記第2ミラーが形成
    されており、前記第1ミラーの反射率と前記第2ミラー
    の反射率は、前記共振器が連続波でレーザ発振し、前記
    第2ミラーからレーザ光を放射するように選ばれてい
    て、 前記第3ミラーが前記移相板の表面に形成され、前記第
    3ミラーの法線が前記第2のミラーの法線に対して0゜
    を超え、0.3゜以下の角度をなして配置され、 前記第3ミラーのレーザ光の波長にたいする反射率が前
    記第2ミラーの反射率よりも小さく、第3ミラーは前記
    共振器から放射されるレーザ光の一部を反射して前記共
    振器のレーザモードにフィードバックし、 前記移相板は、互いに平行に対向した一対の平面を有
    し、前記平面に垂直な方向のレターデーションの次数が
    前記レーザ光の波長において0.5m±0.125(mは
    整数)の一定値に固定され、 前記第2ミラーと前記第3ミラーで挟まれた空間の前記
    レーザ光の波長における光学長が前記共振器の光学長の
    0.47乃至0.53倍であり、 前記励起光によりポンピングされるレーザ媒質内の位置
    を、前記第3ミラーの法線と前記第2ミラーの法線を含
    む面内でかつ前記レーザ光の光軸に垂直の方向に調整さ
    れて、単一偏光かつ単一縦モードで発振することを特徴
    とする固体レーザ装置。
  2. 【請求項2】前記第2ミラーの反射率が95%以上であ
    り、前記第3ミラーの反射率が0.5%乃至20%であ
    ることを特徴とする請求項1記載の固体レーザ装置。
  3. 【請求項3】前記レーザ光の波長に対して透明な接着
    剤、または屈折率マッチング液、または低融点ガラスが
    第2ミラーの表面と移相板の間の空間に充満して介在
    し、かつ第2ミラーと移相板が互いに固定されているこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の固体レーザ装
    置。
  4. 【請求項4】前記移相板の前記第2ミラー側の面に、前
    記接着剤、または屈折率マッチング液、または低融点ガ
    ラスを透過してくるレーザ光に対する反射防止コーティ
    ング膜が形成されていることを特徴とする請求項3に記
    載の固体レーザ装置。
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