JP2001254146A - 耐候性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板とその製造方法 - Google Patents
耐候性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板とその製造方法Info
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- JP2001254146A JP2001254146A JP2000064982A JP2000064982A JP2001254146A JP 2001254146 A JP2001254146 A JP 2001254146A JP 2000064982 A JP2000064982 A JP 2000064982A JP 2000064982 A JP2000064982 A JP 2000064982A JP 2001254146 A JP2001254146 A JP 2001254146A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 Cr、Mo、Si又はCuの増加による原料コストの
増加や、S量の低減に伴う製造コストアップを招くこと
なく、耐候性を向上させたオーステナイト系ステンレス
鋼。 【解決手段】 C:0.15mass%以下、Si:1.0 mass%以
下、Mn:0.2 mass%以上、2.0 mass%以下、Ni:6 mass
%以上、13mass%以下、Cr:16mass%以上,22mass%以
下、P:0.015 mass%以上、0.045 mass%以下、N:0.
3 mass%以下、S:0.02mass%以下及びO:0.01mass%
以下を含有し、残部は鉄及び不可避的不純物からなり、
かつ、表面における直径20〜150 nmの酸化物が10個/μ
m2以下であることを特徴とする耐候性に優れるオーステ
ナイト系ステンレス鋼板。
増加や、S量の低減に伴う製造コストアップを招くこと
なく、耐候性を向上させたオーステナイト系ステンレス
鋼。 【解決手段】 C:0.15mass%以下、Si:1.0 mass%以
下、Mn:0.2 mass%以上、2.0 mass%以下、Ni:6 mass
%以上、13mass%以下、Cr:16mass%以上,22mass%以
下、P:0.015 mass%以上、0.045 mass%以下、N:0.
3 mass%以下、S:0.02mass%以下及びO:0.01mass%
以下を含有し、残部は鉄及び不可避的不純物からなり、
かつ、表面における直径20〜150 nmの酸化物が10個/μ
m2以下であることを特徴とする耐候性に優れるオーステ
ナイト系ステンレス鋼板。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は耐候性に優れるオ
ーステナイト系ステンレス鋼板とその製造方法に関す
る。
ーステナイト系ステンレス鋼板とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】SUS 304 に代表されるオーステナイト系
ステンレス鋼板は、耐食性に優れる材料であるが、海岸
地域など塩分が高い環境においては、長期の暴露により
発銹する場合があることから、より高い耐候性を有する
材料の開発が望まれているところである。
ステンレス鋼板は、耐食性に優れる材料であるが、海岸
地域など塩分が高い環境においては、長期の暴露により
発銹する場合があることから、より高い耐候性を有する
材料の開発が望まれているところである。
【0003】オーステナイト系ステンレス鋼の耐候性
は、Cr又はMoなどの成分を含有させることにより改善さ
れることが一般的に知られている。また、特開平2−2
13451号公報には、SUS 304 を代表とするオーステ
ナイト系ステンレス鋼に、Si:1.1 〜1.8mass %、Cu:
0.3 〜1.2mass %を含有させ、かつ、Cu/Si:0.3 〜0.
6 を満足させた、総合的な耐食性に優れるステンレス鋼
が開示されている。更に、特開昭58−71360号公
報には、S量を0.0020mass%未満に低減した耐食性並び
に加工性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼が開示
されている。しかしながら、Cr、Mo、Cu、Siといった合
金成分を増量又は新たに添加すること、あるいは極低S
化することは、それぞれ原料コストの増加又は脱硫コス
トの増加を招く。したがって、これらの成分の添加ある
いは不純物成分の極端な低減によらず、良好な耐候性が
得られれば申し分ない。
は、Cr又はMoなどの成分を含有させることにより改善さ
れることが一般的に知られている。また、特開平2−2
13451号公報には、SUS 304 を代表とするオーステ
ナイト系ステンレス鋼に、Si:1.1 〜1.8mass %、Cu:
0.3 〜1.2mass %を含有させ、かつ、Cu/Si:0.3 〜0.
6 を満足させた、総合的な耐食性に優れるステンレス鋼
が開示されている。更に、特開昭58−71360号公
報には、S量を0.0020mass%未満に低減した耐食性並び
に加工性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼が開示
されている。しかしながら、Cr、Mo、Cu、Siといった合
金成分を増量又は新たに添加すること、あるいは極低S
化することは、それぞれ原料コストの増加又は脱硫コス
トの増加を招く。したがって、これらの成分の添加ある
いは不純物成分の極端な低減によらず、良好な耐候性が
得られれば申し分ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明は、
上述した問題を有利に解決するもので、Cr、Mo、Si又は
Cuの増加による原料コストの増加や、S量の低減に伴う
製造コストアップを招くことなく、耐候性を向上させた
オーステナイト系ステンレス鋼を、その有利な製造方法
と共に提案することを目的とする。
上述した問題を有利に解決するもので、Cr、Mo、Si又は
Cuの増加による原料コストの増加や、S量の低減に伴う
製造コストアップを招くことなく、耐候性を向上させた
オーステナイト系ステンレス鋼を、その有利な製造方法
と共に提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、オーステナ
イト系ステンレス鋼の耐候性を改善するために検討した
ところ、鋼板表面の150 nm以下の微細な酸化物の密度が
耐候性に多大な影響を及ぼすことを見出した。詳述する
と、溶鋼中の酸素は、一般的には鋳造時の脱酸剤の添加
により酸化物の形態の非金属介在物となって、一部は鋼
中より分離されるとともに一部は鋼中に残留することが
知られている。しかしながら、発明者らの研究によれ
ば、鋳造時の冷却速度によっては、鋼中の酸素の一部は
鋳造時に安定な酸化物を形成せず、鋳造後の熱延時ある
いは焼鈍時に微細な酸化物を形成し、これらが耐候性に
大きな影響を及ぼすことが新たに判明したのである。す
なわち、鋳造時の表面冷却速度が速い場合は、鋼中の酸
素の一部は鋳造時には安定な酸化物とならず、その後の
熱延時あるいは焼鈍時に50〜100 nm程度の直径の酸化物
(微細酸化物)が多数発生する。かかる微細酸化物の個
数は、溶鋼中での全酸素量が高いほど多く、鋳造時の冷
却速度にも依存する傾向があった。そして、同一の母材
成分であっても、この微細酸化物の量が少ない材料は、
特に耐候性に優れることがわかり、微細酸化物を低減す
ることにより、耐候性の向上を図るこの発明に至った。
イト系ステンレス鋼の耐候性を改善するために検討した
ところ、鋼板表面の150 nm以下の微細な酸化物の密度が
耐候性に多大な影響を及ぼすことを見出した。詳述する
と、溶鋼中の酸素は、一般的には鋳造時の脱酸剤の添加
により酸化物の形態の非金属介在物となって、一部は鋼
中より分離されるとともに一部は鋼中に残留することが
知られている。しかしながら、発明者らの研究によれ
ば、鋳造時の冷却速度によっては、鋼中の酸素の一部は
鋳造時に安定な酸化物を形成せず、鋳造後の熱延時ある
いは焼鈍時に微細な酸化物を形成し、これらが耐候性に
大きな影響を及ぼすことが新たに判明したのである。す
なわち、鋳造時の表面冷却速度が速い場合は、鋼中の酸
素の一部は鋳造時には安定な酸化物とならず、その後の
熱延時あるいは焼鈍時に50〜100 nm程度の直径の酸化物
(微細酸化物)が多数発生する。かかる微細酸化物の個
数は、溶鋼中での全酸素量が高いほど多く、鋳造時の冷
却速度にも依存する傾向があった。そして、同一の母材
成分であっても、この微細酸化物の量が少ない材料は、
特に耐候性に優れることがわかり、微細酸化物を低減す
ることにより、耐候性の向上を図るこの発明に至った。
【0006】もっとも、溶鋼中の酸素の低減は、Al添加
などによる強脱酸にても可能である。とはいえ、このよ
うなAl添加等による強脱酸の場合は、脱酸により生じる
アルミナの大径介在物による表面疵が圧延後の鋼板に発
生し易く、表面の美麗さが必要となるステンレス鋼につ
いては好ましくない。そこで、この発明は、溶鋼中に多
少の酸素を含有していても、その後の酸化物の制御によ
り良好な耐候性を具備するオーステナイト系ステンレス
鋼とその製造方法である。
などによる強脱酸にても可能である。とはいえ、このよ
うなAl添加等による強脱酸の場合は、脱酸により生じる
アルミナの大径介在物による表面疵が圧延後の鋼板に発
生し易く、表面の美麗さが必要となるステンレス鋼につ
いては好ましくない。そこで、この発明は、溶鋼中に多
少の酸素を含有していても、その後の酸化物の制御によ
り良好な耐候性を具備するオーステナイト系ステンレス
鋼とその製造方法である。
【0007】すなわち、この発明は、C:0.15mass%以
下、Si:1.0 mass%以下、Mn:0.2 mass%以上、2.0 ma
ss%以下、Ni:6 mass%以上、13mass%以下、Cr:16ma
ss%以上,22mass%以下、P:0.015 mass%以上、0.04
5 mass%以下、N:0.3 mass%以下、S:0.02mass%以
下及びO:0.01mass%以下を含有し、残部は鉄及び不可
避的不純物からなり、かつ、表面における直径20〜150
nmの酸化物が10個/μm2以下であることを特徴とする耐
候性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板である。
下、Si:1.0 mass%以下、Mn:0.2 mass%以上、2.0 ma
ss%以下、Ni:6 mass%以上、13mass%以下、Cr:16ma
ss%以上,22mass%以下、P:0.015 mass%以上、0.04
5 mass%以下、N:0.3 mass%以下、S:0.02mass%以
下及びO:0.01mass%以下を含有し、残部は鉄及び不可
避的不純物からなり、かつ、表面における直径20〜150
nmの酸化物が10個/μm2以下であることを特徴とする耐
候性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板である。
【0008】また、この発明は、C:0.15mass%以下、
Si:1.0 mass%以下、Mn:0.2 mass%以上、2.0 mass%
以下、Ni:6 mass%以上、13mass%以下、Cr:16mass%
以上,22mass%以下、P:0.015 mass%以上、0.045 ma
ss%以下、N:0.3 mass%以下、S:0.02mass%以下及
びO:0.01mass%以下を含み、残部は鉄及び不可避的不
純物からなる鋼を鋳造するに当たり、1450℃〜1100℃に
おける鋳片表面の平均冷却速度を5 〜15℃/secの範囲に
する条件で鋳造することを特徴とする耐食性に優れるオ
ーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法である。
Si:1.0 mass%以下、Mn:0.2 mass%以上、2.0 mass%
以下、Ni:6 mass%以上、13mass%以下、Cr:16mass%
以上,22mass%以下、P:0.015 mass%以上、0.045 ma
ss%以下、N:0.3 mass%以下、S:0.02mass%以下及
びO:0.01mass%以下を含み、残部は鉄及び不可避的不
純物からなる鋼を鋳造するに当たり、1450℃〜1100℃に
おける鋳片表面の平均冷却速度を5 〜15℃/secの範囲に
する条件で鋳造することを特徴とする耐食性に優れるオ
ーステナイト系ステンレス鋼板の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】この発明において各成分の組成範
囲を限定した理由について説明する。 ●C:0.15mass%以下 C量が0.15mass%を超えると、応力腐食割れ感受性が高
まる。したがって、この発明ではC:0.15mass%以下に
限定する。 ●Si:1.0mass %以下 Siは、脱酸剤として有用であるが、Si量が1.0mass %を
超えると熱間加工性が劣化することから、上限を1.0mas
s %とした。下限は、脱酸に必要な量とする。 ●Mn:0.2mass %以上、2.0mass %以下 Mnは、オーステナイト相(γ相)安定化成分であり、Mn
量が0.2mass %未満では、γ相が維持できず加工性が劣
化する。また、Mn量が2.0mass %を超えると熱間加工性
が劣化することから、0.2 〜2.0mass %の範囲とする。
囲を限定した理由について説明する。 ●C:0.15mass%以下 C量が0.15mass%を超えると、応力腐食割れ感受性が高
まる。したがって、この発明ではC:0.15mass%以下に
限定する。 ●Si:1.0mass %以下 Siは、脱酸剤として有用であるが、Si量が1.0mass %を
超えると熱間加工性が劣化することから、上限を1.0mas
s %とした。下限は、脱酸に必要な量とする。 ●Mn:0.2mass %以上、2.0mass %以下 Mnは、オーステナイト相(γ相)安定化成分であり、Mn
量が0.2mass %未満では、γ相が維持できず加工性が劣
化する。また、Mn量が2.0mass %を超えると熱間加工性
が劣化することから、0.2 〜2.0mass %の範囲とする。
【0010】●Ni:6mass %以上、13mass%以下 Niは、オースナナイト相(γ相)安定化成分であって、
オーステナイト系ステンレス鋼に必須の成分であり、Ni
量が6mass %未満ではγ相が維持できず加工性が劣化す
る。一方、Niを13mass%を超えて含有させても特性の向
上は見られず、むしろ、経済的に不利である。 ●Cr:16mass%以上、22mass%以下 Crは、耐食性を向上させるためにステンレス鋼に必須の
成分であり、Cr量が16mass%未満ではステンレス鋼とし
て基本的な耐食性が劣化する。一方、Cr量が、22mass%
を超えると、γ相が維持できず加工性が劣化する。
オーステナイト系ステンレス鋼に必須の成分であり、Ni
量が6mass %未満ではγ相が維持できず加工性が劣化す
る。一方、Niを13mass%を超えて含有させても特性の向
上は見られず、むしろ、経済的に不利である。 ●Cr:16mass%以上、22mass%以下 Crは、耐食性を向上させるためにステンレス鋼に必須の
成分であり、Cr量が16mass%未満ではステンレス鋼とし
て基本的な耐食性が劣化する。一方、Cr量が、22mass%
を超えると、γ相が維持できず加工性が劣化する。
【0011】 ●P:0.015mass %以上、0.045mass %以下 Pは不純物成分であり耐食性などを劣化させる。そのた
め、できるだけ少ない量であることが望ましいが、P量
を0.015mass %未満にするには、脱りん処理を十二分に
行う必要があり、そのためにコストアップを招く。この
発明では、後述するように鋼中酸化物の制御により耐食
性を向上させていることから、P量は、0.045mass %ま
では許容でき、この0.045mass %を超えると耐食性を顕
著に損なうことから、上限を0.045mass %とした。 ●S:0.02mass%以下 Sは、孔食の原因となるので好ましくなく、0.02mass%
を超えると良好な耐孔食性が得られないことから、上限
を0.02mass%とする。 ●N:0.3mass %以下 N量が0.3mass %を超えると、鋳造時にNの固溶限界に
近づき、鋳片内で気泡を生じさせることからピンホール
欠陥などが発生するために正常な鋳片を得難いことか
ら、上限を0.3mass %とした。 ●O:0.01mass%以下 Oは、微細酸化物の発生源であって、この発明では微細
酸化物を低減することにより耐食性を向上させているこ
とから、O量も少ないほうが望ましい。もっとも、O量
が0.01mass%以下であれば、微細酸化物の制御により良
好な耐候性を発揮させることができる。鋳造速度の変化
などにより制御できるO量は0.01mass%が限界であり、
0.01mass%を超えると耐候性に優れる鋼板が得難い。
め、できるだけ少ない量であることが望ましいが、P量
を0.015mass %未満にするには、脱りん処理を十二分に
行う必要があり、そのためにコストアップを招く。この
発明では、後述するように鋼中酸化物の制御により耐食
性を向上させていることから、P量は、0.045mass %ま
では許容でき、この0.045mass %を超えると耐食性を顕
著に損なうことから、上限を0.045mass %とした。 ●S:0.02mass%以下 Sは、孔食の原因となるので好ましくなく、0.02mass%
を超えると良好な耐孔食性が得られないことから、上限
を0.02mass%とする。 ●N:0.3mass %以下 N量が0.3mass %を超えると、鋳造時にNの固溶限界に
近づき、鋳片内で気泡を生じさせることからピンホール
欠陥などが発生するために正常な鋳片を得難いことか
ら、上限を0.3mass %とした。 ●O:0.01mass%以下 Oは、微細酸化物の発生源であって、この発明では微細
酸化物を低減することにより耐食性を向上させているこ
とから、O量も少ないほうが望ましい。もっとも、O量
が0.01mass%以下であれば、微細酸化物の制御により良
好な耐候性を発揮させることができる。鋳造速度の変化
などにより制御できるO量は0.01mass%が限界であり、
0.01mass%を超えると耐候性に優れる鋼板が得難い。
【0012】 ●表面の直径20〜150 nmの酸化物が10個/ μm2以下 表面における直径20〜150 nmという、微細酸化物が10個
/μm2以下の範囲であれば耐候性に優れる鋼板が得られ
る。図1に、同一鋼種について微細酸化物数を種々に変
化させたときにの発銹状況について示す。この図1よ
り、酸化物の個数が10個/μm2以下の場合に、良好な耐
候性が得られていることが分かる。したがって、この発
明では微細酸化物量を10個/μm2以下とする。より好ま
しくは、9個/μm2以下である。さらに好ましくは8個
/μm2以下である。なお、酸化物の主成分はMn、Cr、T
i、Alなどである。
/μm2以下の範囲であれば耐候性に優れる鋼板が得られ
る。図1に、同一鋼種について微細酸化物数を種々に変
化させたときにの発銹状況について示す。この図1よ
り、酸化物の個数が10個/μm2以下の場合に、良好な耐
候性が得られていることが分かる。したがって、この発
明では微細酸化物量を10個/μm2以下とする。より好ま
しくは、9個/μm2以下である。さらに好ましくは8個
/μm2以下である。なお、酸化物の主成分はMn、Cr、T
i、Alなどである。
【0013】このような、微細酸化物の制御をするため
に、この発明の製造方法では、この発明の鋼成分組成に
なる素材鋼片を鋳造するに当たり、鋼片表面の冷却速度
を、1450〜1100℃の間の平均冷却速度が5 ℃/s以上15℃
/s以下にする条件で行う。1450〜1100℃の温度範囲にお
ける冷却速度が15℃/sを超える急冷却では、微細酸化物
が多数発生し耐候性が劣化する。一方、5 ℃/s未満で
は、大量生産を考慮した場合、鋳造に多大の時間を要す
ることになり生産性を阻害する。上述した条件に従う鋳
造後は、常法に従い圧延を行って鋼板とすればよい。
に、この発明の製造方法では、この発明の鋼成分組成に
なる素材鋼片を鋳造するに当たり、鋼片表面の冷却速度
を、1450〜1100℃の間の平均冷却速度が5 ℃/s以上15℃
/s以下にする条件で行う。1450〜1100℃の温度範囲にお
ける冷却速度が15℃/sを超える急冷却では、微細酸化物
が多数発生し耐候性が劣化する。一方、5 ℃/s未満で
は、大量生産を考慮した場合、鋳造に多大の時間を要す
ることになり生産性を阻害する。上述した条件に従う鋳
造後は、常法に従い圧延を行って鋼板とすればよい。
【0014】
【実施例】表1に示す成分組成の溶鋼から鋳造する際、
表1に示す1450〜1100℃の表面冷却速度条件で鋳造し
た。この鋳造時の冷却速度は、鋳型との表面にあらかじ
め熱電対を設置して測定した。また、冷却速度の変化は
水冷鋳型の冷却水量と鋳型厚みを調整することにより変
化させた。これらの鋼塊を1200〜1300℃で加熱の後、熱
間圧延に供し、その後、1100℃で焼鈍してから酸洗し、
次いで冷延、1050℃の焼鈍、酸洗を施して、板厚1.2mm
の冷延板を作成した。
表1に示す1450〜1100℃の表面冷却速度条件で鋳造し
た。この鋳造時の冷却速度は、鋳型との表面にあらかじ
め熱電対を設置して測定した。また、冷却速度の変化は
水冷鋳型の冷却水量と鋳型厚みを調整することにより変
化させた。これらの鋼塊を1200〜1300℃で加熱の後、熱
間圧延に供し、その後、1100℃で焼鈍してから酸洗し、
次いで冷延、1050℃の焼鈍、酸洗を施して、板厚1.2mm
の冷延板を作成した。
【0015】
【表1】
【0016】かくして得られた冷延板について、耐候性
調査を行い、その結果を表1に併記する。なお、耐孔食
性調査は、表面を400 番研磨仕上げの後、湾岸地域にて
6 カ月間暴露後、表面の発銹状況を、ステンレス協会技
術委員会腐食専門委員会編「ステンレス鋼の表面さび発
生程度評価のための標準写真(SA RN )」と比較して10
段階評価した。また、表面酸化物の個数調査は、アセチ
ルアセトン系溶液にて鋼板表面から介在物を抽出し、5
万倍の倍率の電子顕微鏡にて単位面積当たりの酸化物の
個数を測定した。このとき、成分の同定はEDX で実施し
た。
調査を行い、その結果を表1に併記する。なお、耐孔食
性調査は、表面を400 番研磨仕上げの後、湾岸地域にて
6 カ月間暴露後、表面の発銹状況を、ステンレス協会技
術委員会腐食専門委員会編「ステンレス鋼の表面さび発
生程度評価のための標準写真(SA RN )」と比較して10
段階評価した。また、表面酸化物の個数調査は、アセチ
ルアセトン系溶液にて鋼板表面から介在物を抽出し、5
万倍の倍率の電子顕微鏡にて単位面積当たりの酸化物の
個数を測定した。このとき、成分の同定はEDX で実施し
た。
【0017】表1から、酸化物の密度が小さい発明鋼
は、耐候性に優れることが明らかである。また、図2に
示すとおり、鋳造時表面冷却速度が15℃/s以下では微
細介在物の発生が抑制されることから、その結果、表1
に示すとおり同溶鋼成分であっても高い耐候性が得られ
ることが明らかである。
は、耐候性に優れることが明らかである。また、図2に
示すとおり、鋳造時表面冷却速度が15℃/s以下では微
細介在物の発生が抑制されることから、その結果、表1
に示すとおり同溶鋼成分であっても高い耐候性が得られ
ることが明らかである。
【0018】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、微細酸化物
の制御により耐候性を向上させたオーステナイト系ステ
ンレス鋼板が得られる。
の制御により耐候性を向上させたオーステナイト系ステ
ンレス鋼板が得られる。
【図1】 微細酸化物の個数と発銹レベルとの関係を示
す図である。
す図である。
【図2】 鋳片表面の平均冷却速度と微細酸化物の個数
との関係を示す図である。
との関係を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4E004 KA12 KA20 MC02 NC02
Claims (2)
- 【請求項1】C:0.15mass%以下、 Si:1.0 mass%以下、 Mn:0.2 mass%以上、2.0 mass%以下、 Ni:6 mass%以上、13mass%以下、 Cr:16mass%以上,22mass%以下、 P:0.015 mass%以上、0.045 mass%以下、 N:0.3 mass%以下、 S:0.02mass%以下及び O:0.01mass%以下 を含有し、残部は鉄及び不可避的不純物からなり、か
つ、表面における直径20〜150 nmの酸化物が10個/μm2
以下であることを特徴とする耐候性に優れるオーステナ
イト系ステンレス鋼板。 - 【請求項2】 C:0.15mass%以下、 Si:1.0 mass%以下、 Mn:0.2 mass%以上、2.0 mass%以下、 Ni:6 mass%以上、13mass%以下、 Cr:16mass%以上,22mass%以下、 P:0.015 mass%以上、0.045 mass%以下、 N:0.3 mass%以下、 S:0.02mass%以下及び O:0.01mass%以下 を含み、残部は鉄及び不可避的不純物からなる鋼を鋳造
するに当たり、1450℃〜1100℃における鋳片表面の平均
冷却速度を5 〜15℃/secの範囲にする条件で鋳造するこ
とを特徴とする耐食性に優れるオーステナイト系ステン
レス鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000064982A JP2001254146A (ja) | 2000-03-09 | 2000-03-09 | 耐候性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000064982A JP2001254146A (ja) | 2000-03-09 | 2000-03-09 | 耐候性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板とその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001254146A true JP2001254146A (ja) | 2001-09-18 |
Family
ID=18584583
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000064982A Pending JP2001254146A (ja) | 2000-03-09 | 2000-03-09 | 耐候性に優れるオーステナイト系ステンレス鋼板とその製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001254146A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN108994268A (zh) * | 2018-09-03 | 2018-12-14 | 本钢板材股份有限公司 | 一种550MPa级热轧集装箱用耐候钢及其制造方法 |
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-
2000
- 2000-03-09 JP JP2000064982A patent/JP2001254146A/ja active Pending
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