JP2001253717A - 鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の製造法 - Google Patents

鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の製造法

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JP2001253717A JP2000066722A JP2000066722A JP2001253717A JP 2001253717 A JP2001253717 A JP 2001253717A JP 2000066722 A JP2000066722 A JP 2000066722A JP 2000066722 A JP2000066722 A JP 2000066722A JP 2001253717 A JP2001253717 A JP 2001253717A
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Kazuyuki Hayashi
一之 林
Hiroko Morii
弘子 森井
Mineko Osugi
峰子 大杉
Kikuo Okuyama
喜久夫 奥山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、分散性及び黒色度に優れた球状の
鉄−チタン複合酸化物粒子粉末を得ることができる鉄−
チタン複合酸化物粒子粉末の製造法に関するものであ
る。 【解決手段】 鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の製造法
とは、第一鉄塩水溶液、加水分解性有機チタン化合物及
び乳化剤を含有するエマルジョンを噴霧熱分解溶液とし
て用いて噴霧熱分解法により鉄−チタン複合酸化物粒子
粉末を得る鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の製造法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分散性及び黒色度に優
れた球状の鉄−チタン複合酸化物粒子粉末を得ることが
できる鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の製造法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】黒色の鉄−チタン複合酸化物粒子粉末
は、黒色顔料として知られており、塗料、印刷インキ、
プラスチック、フィルム及び化粧品等の着色剤として、
多くの用途を持つものであり、その製造法としては、水
熱処理によるイルメナイトの製造法(特開平1−298
028号公報)や加熱焼成によるイルメナイト及びシュ
ードブルッカイトの製造法(特開平3−2276号公
報)等が知られている。
【0003】現在、球状粒子粉末を製造する方法とし
て、噴霧熱分解法が知られている。
【0004】噴霧熱分解法とは、原料溶液をノズルや超
音波によって噴霧して微小液滴とし、該微小液滴の溶媒
の蒸発及び熱分解により目的の粒子粉末を得る製造法で
ある。
【0005】従来、噴霧熱分解法によってTiO粉末
を得る場合には、噴霧熱分解溶液のチタン原料としては
TiCl、TiCl、TiOSO、加水分解性有
機チタン化合物及びTi(OH)又はTiOを硝酸
や過酸化水素水を用いて錯体化して用いる方法が知られ
ている(特開平11−236607号公報、特開平11
−349330号公報等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】分散性及び黒色度に優
れた球状の鉄−チタン複合酸化物粒子粉末を噴霧熱分解
法によって製造することは現在最も要求されているとこ
ろであるが、未だ得られていない。
【0007】即ち、前記特開平1−298028号公報
や特開平3−2276号公報に記載の方法では、得られ
る鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の粒子形状は粒状であ
り、分散性が十分とは言い難いものである。
【0008】また、噴霧熱分解溶液のチタン原料として
TiCl、TiClを用いた場合には、得られた鉄
−チタン複合酸化物粒子粉末はClを不純物として含
んでおり、TiOSOを用いた場合には、加水分解を
起こしやすく、不安定であるとともに、得られた鉄−チ
タン複合酸化物粒子粉末はSO 2−を不純物として含
んでおり、不純物の少ない鉄−チタン複合酸化物粒子粉
末を得ることができない。一方、加水分解性の有機チタ
ン化合物をそのまま用いた場合には、加水分解を起こし
て沈殿物を生成するため、ノズルが詰まりやすく、ま
た、均一な組成を有する鉄−チタン複合酸化物粒子粉末
を得ることが困難となる。
【0009】また、前記特開平11−236607号公
報、特開平11−349330号公報に記載の噴霧熱分
解法では、TiOの出発原料として加水分解性有機チ
タンを一度加水分解し、得られたTiOを錯体化して
用いており、工業的とは言い難いものである。
【0010】そこで、本発明は、分散性及び黒色度に優
れた球状の鉄−チタン複合酸化物粒子粉末を噴霧熱分解
法によって工業的に製造することを技術的課題とする。
【0011】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0012】即ち、本発明は、第一鉄塩水溶液、加水分
解性有機チタン化合物及び乳化剤を含有するエマルジョ
ンを噴霧熱分解溶液として用いて噴霧熱分解法により鉄
−チタン複合酸化物粒子粉末を得ることを特徴とする鉄
−チタン複合酸化物粒子粉末の製造法である。
【0013】本発明の構成を詳述すれば、次の通りであ
る。
【0014】本発明に用いる噴霧熱分解溶液は、第一鉄
塩水溶液、加水分解性有機チタン化合物及び乳化剤を含
有するエマルジョンを用いる。
【0015】第一鉄塩水溶液としては、硝酸第一鉄水溶
液、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を用いるこ
とができるが、得られる鉄−チタン複合酸化物粒子粉末
の純度を考慮した場合、硝酸第一鉄水溶液が好ましい。
【0016】加水分解性有機チタン化合物としては、下
記化1に示すチタンテトラアルコキシド又は化2に示す
チタンクロルアルコキシド等を用いることができるが、
得られる鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の純度を考慮し
た場合、好ましくはチタンテトラアルコキシドであり、
チタンテトライソプロポキシド(TTIP)及びチタン
テトラノルマルプロポキシドがより好ましい。
【0017】
【化1】Ti(OR) R:C〜Cのアルキル基
【0018】
【化2】TiCl(OR)4−n R:C〜Cのアルキル基 n:1又は2
【0019】乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、
カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及び両性
界面活性剤等の乳化能を持つ各種界面活性剤を用いるこ
とができる。得られる鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の
純度を考慮すると、カルボン酸型両性界面活性剤、非イ
オン性界面活性剤等の構成元素中にアルカリ金属やSO
2−、P等を含まないものが好ましく、HLBが8〜
18の非イオン性界面活性剤がより好ましい。
【0020】乳化剤の添加量は、加水分解性有機チタン
化合物に対して0.5〜20重量%が好ましい。
【0021】乳化剤の添加量が0.5重量%未満の場合
には、加水分解性有機チタン化合物に対する乳化剤の量
が少なすぎるため、加水分解性有機チタン化合物の加水
分解を抑制することができず、均一な組成を有する鉄−
チタン複合酸化物粒子粉末を得ることが困難となる。2
0重量%を超える場合には、加水分解抑制効果が飽和し
ており必要以上に添加する意味がない。加水分解性有機
チタン化合物の加水分解抑制効果及び工業的生産性を考
慮すれば、乳化剤の添加量は加水分解性有機チタン化合
物に対して、1〜10重量%がより好ましい。
【0022】噴霧熱分解溶液は、(1)乳化剤を添加し
た水溶液を、ホモミクサーを用いて撹拌しながら加水分
解性有機チタン化合物を滴下してエマルジョン溶液とし
た後、あらかじめ作製しておいた第一鉄塩水溶液と加水
分解性有機チタン化合物のエマルジョン溶液とを混合す
ることにより作製する方法、又は、(2)第一鉄塩水溶
液に乳化剤を添加して、ホモミクサーを用いて撹拌しな
がら加水分解性有機チタン化合物を滴下してエマルジョ
ン溶液とすることにより作製する方法によって作製する
ことができる。
【0023】第一鉄塩溶液と加水分解性有機チタン化合
物の混合割合は、目的とする化合物に合わせて変化させ
ればよいが、モル比でFe/Ti=10/90〜90/
10が好ましい。得られる鉄−チタン複合酸化物粒子粉
末の黒色度を考慮した場合、Fe/Ti=20/80〜
80/20が好ましく、より好ましくはFe/Ti=3
0/70〜70/30である。
【0024】噴霧熱分解溶液の濃度は、原料溶液中に鉄
とチタンの合計で0.001〜0.5mol/lが好ま
しい。0.001mol/l未満の場合には、得られる
鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の粒子サイズが小さくな
りすぎるため好ましくない。0.5mol/lを超える
場合には、粒子サイズが大きくなり、粒度分布が悪くな
る傾向にあるので好ましくない。より好ましくは0.0
05〜0.4mol/lである。
【0025】噴霧熱分解法では、噴霧した液滴径に依存
して得られる鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の粒子径が
変化するため、液滴の大きさが均一になるように噴霧す
る。具体的には、2流体ノズル、超音波又は静電気等の
方法によって液滴をつくることができ、好ましくは超音
波によって噴霧する方法である。
【0026】得られた液滴は、キャリアガスによって加
熱炉中に噴霧される。キャリアガスの種類は不活性ガス
であれば特に限定されるものではなく、好ましくは窒素
である。キャリアガスの流速は1.0〜10cm/se
cが好ましい。
【0027】加熱炉は、5段以上設けることが好まし
く、3段以降で最高温度に達するように温度勾配を持た
せることが好ましい。1段から高温で加熱した場合に
は、急激な反応が生じるため緻密な粒子粉末を得ること
が困難となる。加熱炉の温度は、具体的には1段目が2
00〜400℃であり、2段目が450〜650℃、3
段目以降が750〜1000℃とすることが好ましい。
【0028】また、加熱炉の1段の長さLと炉芯管の直
径Dの比L/Dは5以上であることが好ましい。L/D
が5未満の場合には、1つの加熱炉に滞留する時間が短
くなるため得られる鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の粒
度分布が悪くなる。工業的な生産性を考慮した場合、L
/Dの上限値は50である。
【0029】熱分解が終了した鉄−チタン複合酸化物粒
子粉末は、電気集じん機等によって集めることができ
る。
【0030】得られた鉄−チタン複合酸化物粒子粉末
は、球状を呈し、平均粒子径が0.01〜1.0μm、
好ましくは0.05〜0.8μmであり、粒度分布が
2.0以下、好ましくは1.8以下であり、BET比表
面積値が1〜100m/g、好ましくは1.5〜80
/gであって、密度が3.3〜4.3g/cm
ある。また、黒色度L値は上限値が20であり、好ま
しくは19.5であり、結晶性は4000以上が好まし
い。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は、
次の通りである。
【0032】粒子粉末の平均粒子径は、電子顕微鏡写真
(×10,000)を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍
に拡大した写真に示される粒子約350個について、粒
子径を測定し、その平均値で示した。
【0033】粒子粉末の粒子径の幾何標準偏差値は下記
の方法により求めた値で示した。即ち、前記拡大写真に
示される粒子の粒子径を測定した値を、その測定値から
計算して求めた粒子の実際の粒子径と個数から、統計学
的手法に従って、対数正規確率紙上の横軸に粒子径を、
縦軸に所定の粒子径区間のそれぞれに属する粒子の累積
個数(積算フルイ下)を百分率でプロットした。そして
このグラフから粒子の累積個数が50%及び84.13
%のそれぞれに相当する粒子径の値を読み取り、幾何標
準偏差値=(積算フルイ下84.13%における粒子
径)/(積算フルイ下50%における粒子径(幾何平均
径))に従って算出した値で示した。幾何標準偏差値が
1に近いほど、粒子の粒子径の粒度が優れていることを
意味する。
【0034】比表面積値はBET法により測定した値で
示した。
【0035】粒子に含有されているFe量及びTi量
は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業
(株)製)を使用し、JIS K0119の「けい光X
線分析通則」に従って測定した。
【0036】粉体の密度は、「マルチボリューム 密度
計 1305型」(マイクロメリティクス社製)を用い
て求めた。
【0037】鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の黒色度
は、試料0.5gとヒマシ油0.7mlとをフーバー式
マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリ
アラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャスト
コート紙上に150μm(6mil)のアプリケーター
を用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作
製し、該塗料片について、「ポータブル分光色彩計 カ
ラーガイド45/0」(ビックケミー・ジャパン(株)
製)を用いてJIS Z 8729に定めるところに従
って表色指数L値を測定した値で示した。
【0038】鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の結晶性
は、「X線回折装置 RAD−IIA」(理学電機工業
(株)製)(管球:Fe)を使用し、2θが3〜105
°の範囲で測定し、得られた最強線のピーク強度で示し
た。
【0039】塗料粘度については、後述する処方によっ
て調製した塗料の25℃における塗料粘度をE型粘度計
(コーンプレート型粘度計)EMD−R((株)東京計
器製)を用いて、ずり速度D=1.92 sec−1
おける値を求めた。
【0040】鉄−チタン複合酸化物粒子粉末を用いた塗
料の黒色度は、後述組成の塗料を塗布して得られた塗布
膜について、「ポータブル分光色彩計 カラーガイド4
5/0」(ビックケミー・ジャパン(株)製)を用いて
JIS Z 8729に定めるところに従って表色指数
値を測定した値で示した。
【0041】塗布膜の光沢度は、上記測定用塗布片を
「グロスメーター UGV−5D」(スガ試験機(株)
製)を用いて入射角60°の時の光沢度で示した。光沢
度が高いほど、鉄−チタン複合酸化物粒子粉末を配合し
た塗料の分散性が優れていることを示す。
【0042】<鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の製造>
水に硝酸第一鉄を溶解し0.08mol/lの水溶液と
した。別に、水にチタンテトライソプロポキシド(TT
IP)と非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンノニ
ルフェニルエーテル、エマルゲン910(商品名):花
王株式会社)を加えホモミクサー(特殊機化工業(株)
製)を用いて激しく撹拌混合し、0.08mol/lの
エマルジョン溶液を用意した。これらを攪拌しながら同
量の両溶液を徐々に混合し、Fe/Ti比が1.0のエ
マルジョン溶液を作製した。
【0043】上記エマルジョン溶液500mlを分取
し、超音波型噴霧器に入れた。超音波強度を50mWと
し、エマルジョン溶液の液面から、エアロゾルが発生し
ていることを確認した後、キャリアガスとして窒素を使
用し、管内の流速が5cm/secになるように、セラ
ミック製加熱管に導入した。尚、用いた加熱炉のL/D
は30であった。
【0044】加熱炉の一段目から五段目までの加熱温度
をそれぞれ300℃、600℃、800℃、800℃、
800℃とし、エアロゾル中の溶剤を徐々に蒸発させた
後、熱処理を行って、エアロゾル中で熱分解反応を生じ
させた。
【0045】加熱炉出口に電気集塵器を設置して粒子を
捕集した。このとき集塵機入口のエアロゾルに対し、直
流5000Vの電圧によるコロナ放電処理を行い、強制
的に荷電させて、電気集塵器での捕集効率を高めた。
【0046】得られた粒子粉末は球状を呈しており、平
均粒子径が0.51μm、幾何標準偏差が1.52、B
ET比表面積値が7.0m/g、Fe/Ti比が1.
01、結晶性が8800、黒色度L値が18.0であ
った。
【0047】図1に、上記で得られた球状鉄−チタン複
合酸化物粒子粉末の電子顕微鏡写真(30,000倍)
を示す。該写真により真球状粒子が得られていることが
確認できる。
【0048】使用例 <溶剤系塗料の製造>上記で得られた鉄−チタン複合酸
化物粒子粉末10gとアミノアルキッド樹脂及びシンナ
ーとを下記割合で配合して3mmφガラスビーズ90g
とともに140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペ
イントシェーカーで90分間混合分散し、ミルベースを
作製した。
【0049】 鉄−チタン複合酸化物粒子粉末: 12.2重量部、 アミノアルキッド樹脂: 19.5重量部、 (アミラックNo.1026:関西ペイント(株)製) シンナー: 7.3重量部。
【0050】上記ミルベースを用いて、下記割合となる
ようにアミノアルキッド樹脂を配合し、ペイントシェー
カーで更に15分間混合分散して、鉄−チタン複合酸化
物粒子粉末を含む溶剤系塗料を得た。
【0051】 ミルベース: 39.0重量部、 アミノアルキッド樹脂: 61.0重量部。 (アミラックNo.1026:関西ペイント(株)製)
【0052】得られた溶剤系塗料の塗料粘度は2,30
1cPであった。
【0053】次いで、上記溶剤系塗料をキャストコート
紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用い
て塗布した塗布膜(塗膜厚み:約30μm)の光沢度は
97%であり、黒色度L値は18.1であった。
【0054】
【作用】本発明において最も重量な点は、第一鉄塩水溶
液、加水分解性有機チタン化合物及び乳化剤を含むエマ
ルジョンを噴霧熱分解溶液として用いることによって、
分散性及び黒色度に優れ、球状の鉄−チタン複合酸化物
粒子粉末を得ることができるという事実である。
【0055】従来、噴霧熱分解法のチタン塩水溶液とし
ては、TiCl、TiCl及びTiOSOが用い
られてきたが、TiCl、TiClを出発原料とし
て用いた場合には、得られた鉄−チタン複合酸化物粒子
粉末はClを不純物として含んでおり、TiOSO
を用いた場合には加水分解を起こしやすく、不安定であ
るとともに、得られた鉄−チタン複合酸化物粒子粉末は
SO 2−を不純物として含んでおり、不純物の少ない
鉄−チタン複合酸化物粒子粉末を得ることができなかっ
た。また、加水分解性の有機チタン化合物を用いた場合
には、加水分解を起こして沈殿物を生成するため、ノズ
ルが詰まりやすく、また、均一な組成を有する鉄−チタ
ン複合酸化物粒子粉末を得ることが困難であるため、一
度加水分解させた後、H等を用いて錯体を作製し
て用いるなど、工業的に問題があった。
【0056】そこで、本発明においては、チタン塩溶液
としてCl、SO 2−などを含有しない加水分解性
有機チタン化合物を選択し、また、加水分解性有機チタ
ン化合物の加水分解反応を抑制するために乳化剤を添加
しエマルジョン溶液とすることによって、噴霧熱分解溶
液として沈殿を生じない溶液を作成することができた。
【0057】また、本発明においては、加熱炉の段数を
多くして温度調節をより厳密に行い、更に、加熱炉の3
段以降で最高温度になるように温度調節することによっ
て、球状粒子で粒度分布及び分散性に優れた粒子粉末を
得ることができたものと推測している。
【0058】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0059】実施例1〜4、比較例1、2、参考例1、
2:出発原料の種類及び濃度、原料混合比、乳化剤の種
類及び添加量、原料混合比、キャリアガスの種類及び流
速、加熱炉の温度及びL/Dを種々変化させた以外は、
前記発明の実施の形態と同様にして鉄−チタン複合酸化
物粒子粉末を得た。
【0060】このときの製造条件を表1に、得られた鉄
−チタン複合酸化物粒子粉末の諸特性を表2に示す。
【0061】尚、チタン原料のTTIPはチタンテトラ
イソプロポキシドを表し、乳化剤の種類のAは非イオン
性界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル、エマルゲン910(商品名):花王株式会社)で
あり、Bは非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレン
アルコール、エマルミン180(商品名):三洋化成工
業株式会社)を表す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】比較例2(特開平1−298028号公報
実施例1の方法で得た鉄−チタン複合酸化物粒子粉
末) FeSO 0.2mol、TiCl 0.2mol
とNaCO 0.55molとを混合して全容量を
300mlとしたpH8.3のアルカリ性Fe(OH)
懸濁液をオートクレーブに投入した後、200℃まで
加熱し、機械的に撹拌しつつこの温度で5時間保持し、
黒色沈殿を生成させた。室温まで冷却後、黒色沈殿を常
法によりろ別、水洗、乾燥して鉄−チタン複合酸化物粒
子粉末を得た。
【0065】得られた鉄−チタン複合酸化物粒子粉末の
諸特性を表2に示す。
【0066】使用例1〜4、比較使用例1、2、参考使
用例1、2:表2に示した諸特性を有する鉄−チタン複
合酸化物粒子粉末を用いて前記発明の実施の形態と同様
にして塗料を得た。このときの製造条件及び得られた塗
膜の諸特性を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
【発明の効果】本発明によれば、分散性及び黒色度に優
れた球状の鉄−チタン複合酸化物粒子粉末を工業的に容
易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態で得られた鉄−チタン複合酸
化物粒子粉末の粒子形状を示す透過型電子顕微鏡写真
(30,000倍)
フロントページの続き (72)発明者 奥山 喜久夫 広島県東広島市鏡山1丁目4番1号広島大 学工学部内 Fターム(参考) 4G002 AA06 AB07 AD04 AE01 4J037 AA14 AA21 DD05 DD24 EE15 EE26 EE47 FF05 FF15

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一鉄塩水溶液、加水分解性有機チタン
    化合物及び乳化剤を含有するエマルジョンを噴霧熱分解
    溶液として用いて噴霧熱分解法により鉄−チタン複合酸
    化物粒子粉末を得ることを特徴とする鉄−チタン複合酸
    化物粒子粉末の製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6953504B2 (en) 2003-08-26 2005-10-11 Titan Kogyo Kabushiki Kaisha Black pigment powder having a low value of magnetization, process for producing the same, and applications thereof
JP2006027921A (ja) * 2004-07-12 2006-02-02 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd 黒色複合酸化鉄粒子

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