JP2001250964A

JP2001250964A - 太陽電池の光照射試験方法

Info

Publication number: JP2001250964A
Application number: JP2000058932A
Authority: JP
Inventors: Shinji Hayashi; 伸二林
Original assignee: Fuji Electric Co Ltd
Current assignee: Fuji Electric Co Ltd
Priority date: 2000-03-03
Filing date: 2000-03-03
Publication date: 2001-09-14

Abstract

(57)【要約】【課題】特別に設計した照明器具によらず汎用の照明
器具を用いて、大面積の太陽電池照射面における照射強
度を実用上許容できる程度に均一化することが可能な太
陽電池の光照射試験方法を提供する。【解決手段】ランプ３とランプ周辺背後部に配設され
被試験体に対向して凹面を有する反射鏡４とからなる少
なくとも１つの光源から、平面上に配置された被試験体
としての太陽電池に対して光を照射して、太陽電池の性
能試験や信頼性試験等を行う太陽電池の光照射試験方法
において、被試験体の照射面における照射強度を実用上
許容できる程度に均一化するために、反射鏡４の凹面は
多面体から形成されたものとし、この多面体の複数の面
の内、比較的拡散光の発生が少なく集中光の発生が多い
所定の複数の反射面４ｂ，４ｃに、反射率を低減するた
めの表面処理を施した後、光照射試験を行うこととす
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、太陽電池の光照
射試験方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在、環境保護の立場から、クリーンな
エネルギーの研究開発が進められている。中でも、太陽
電池はその資源（太陽光）が無限であること、無公害で
あることから注目を集めている。同一基板上に形成され
た複数の太陽電池素子が、直列接続されてなる太陽電池
の代表例は、薄膜太陽電池である。

【０００３】上記の薄膜太陽電池は、フレキシブルな電
気絶縁性フィルム基板上に、薄膜の第１電極層（下電極
層）、光電変換層および第２電極層（透明電極層）を積
層してなる光電変換素子が複数形成されている。ある光
電変換素子の第１電極と隣接する光電変換素子の第２電
極を電気的に接続することを繰り返すことにより、最初
の光電変換素子の第１電極と最後の光電変換素子の第２
電極とに必要な電圧を出力させることができる。

【０００４】ところで、前記太陽電池の開発および製造
においては、太陽電池に太陽光を模擬した光を照射して
その性能試験や信頼性試験を行う光照射試験が必要であ
る。従来、この太陽電池の光照射試験方法としては、図
３に示すように、平面上に配置された被試験体としての
太陽電池１の光照射面１ａに対して、ランプ３とランプ
周辺背後部に配設され太陽電池１に対向して凹面を有す
る反射鏡４とからなる複数の光源２から光を照射して、
性能試験や信頼性試験等を行う方法が実施されている。
太陽電池の光照射用ランプ３としては、高輝度で広いス
ペクトルを持ったキセノンランプやメタルハライドラン
プが用いられる。

【０００５】最近、住宅用太陽電池の需要拡大に伴い、
数kWの大面積太陽電池モジュールに対応した光照射試験
が必要となってきている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記のよう
なランプを使った汎用の照明器具は、例えば競技場のよ
うに広範囲ではあるが遠距離の照明を対象としており、
近距離の照明には適さない。また、数cm²の面積を照射
する光照射装置は単一のランプと反射鏡とを組み合わせ
ることにより比較的簡単に構成できるが、数十cm²や1m²
以上の面積を照射する場合には、後述するように、照射
面全体で均一な照度を保つことは困難である。

【０００７】太陽光は、光源が極めて遠い距離にあるた
め広い面積で均一な照度になっているが、これを模擬す
る光照射装置の場合には、光源との距離を数メートル以
内にする必要があり、均一な範囲を例えば照度の面積分
布を±10％以内に限定しても一光源の場合数十cm²の範
囲に限られる。

【０００８】照射面積を大きくして照度を均一にするた
めには複数光源を併置する必要があるが、この場合、小
さな光源を多数個使う必要があり、太陽電池の試験に必
要な照度を得るのは困難であり、装置が複雑になって実
用的ではない。大面積の太陽電池を照射する場合には、
高輝度の光源を複数個（場合によっては一個）用いて、
近距離の照射面を照射する装置が必要であるが、この場
合においても、大面積を有する被試験体の照射面全体に
おける照射強度を均一にすることは、下記の理由から困
難である。

【０００９】通常ランプは点光源と考えられ、照射面に
対して必要な照度を得るために反射鏡を用いて集光させ
る図３のような構造を持った光源を用いる。この場合反
射鏡の構造を工夫することにより光源に種々の指向性を
持たせることができるが、太陽光のような平行光線には
ならず、特に照射面が近距離にある場合には、照射面の
照度分布が一様にはならない。複数の光源を併置して照
射した場合でも、照射面積は広がるが照度分布に関して
は同様である。実用的には、太陽電池の試験の場合、照
度分布を例えば±10％以内にすればよい。反射鏡の構造
設計を特別に行うことにより、これを実現することは不
可能とはいえないが、構造の複雑さおよびコストの観点
から極めて困難である。

【００１０】この発明は、上記に鑑みてなされたもの
で、この発明の課題は、特別に設計した照明器具によら
ず汎用の照明器具を用いて、大面積の太陽電池照射面に
おける照射強度を実用上許容できる程度に均一化するこ
とが可能な太陽電池の光照射試験方法を提供することに
ある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、この発明は、ランプとランプ周辺背後部に配設され
被試験体に対向して凹面を有する反射鏡とからなる少な
くとも１つの光源から、平面上に配置された被試験体と
しての太陽電池に対して光を照射して、太陽電池の性能
試験や信頼性試験等を行う太陽電池の光照射試験方法に
おいて、前記被試験体の照射面における照射強度を実用
上許容できる程度に均一化するために、前記反射鏡の凹
面は多面体から形成されたものとし、この多面体の複数
の面の内、比較的拡散光の発生が少なく集中光の発生が
多い所定の複数の面に、反射率を低減するための表面処
理を施した後、光照射試験を行うこととする（請求項
１）。

【００１２】上記のように、反射面の反射率を部分的に
調整（低減）することにより照射面の照度分布を調整す
ることができる。反射鏡の役割を考えると、これはラン
プからの光を反射面上に分布した無数の点光源に変換す
る装置であると考えることができる。従ってこの反射面
上に分布した無数の点光源の輝度分布を調整することに
より被照射面での照度分布を均一にすることが可能にな
る。

【００１３】前記発明の実施態様としては、下記の方法
が好適である。即ち、前記請求項１に記載の光照射試験
方法において、表面処理は、黒体テープを添付する処理
とする（請求項２）、または、前記請求項１に記載の光
照射試験方法において、表面処理は、黒体塗料を塗布す
る処理とする（請求項３）。

【００１４】上記のように、テープを所定の反射面に部
分的に貼付けることにより、反射面の反射率の分布を調
整して、結果的に照射面の照度が均一になるようにでき
る。また所定の反射面に塗料を塗布して同様の効果を持
たせることができる。所定の面における前記反射率の低
減は、その面の光の吸収率や散乱率の向上によって実現
できると考えられ、前記実施態様の方法以外に、所定の
面を粗面として光を散乱させ拡散光を発する面とするな
ど、この発明の技術思想の範囲内で様々な方法を採用し
得る。

【００１５】

【発明の実施の形態】図面に基づき、本発明の実施の形
態について以下に述べる。

【００１６】図１は、請求項１の発明に関わる実施形態
の概念的説明図であり、図１（ａ）は、従来の光源の構
成と光ビームの照射状況を示し、図１（ｂ）は、この発
明に関わる反射鏡の部分拡大模式図を示す。また、図２
は、この発明に関わる光源４を正面からみた概略平面図
を示す。

【００１７】光源は、例えばメタルハライドランプ３
と、反射鏡４とからなり、反射鏡は、反射面４ａ，４
ｂ，４ｃを含む。通常の汎用投光器は、競技場等の照明
を行うもので、その反射鏡は、図１（ａ）に示すよう
に、集中光（ビーム）を作るように設計されている。そ
のため１ｍ程度の近距離で使うと直径数ｃｍのスポット
が発生して均一な照射光が得られない。

【００１８】前述のように、反射鏡４は多面体で凹凸が
あり、図１（ａ）に示すように、拡散光Ａの発生を多く
含む面４ａと集中光Ｂの発生を多く含む面４ｂとがあ
る。この集中光の発生を多く含む面４ｂ、即ち、図１
（ｂ）および図２において、網掛けを施した部分の三角
形（４ｂの部分）に合せて、例えば後述する黒体テープ
を貼り（または黒体塗料を塗り）、強い反射を押さえる
ことにより、スポット光の発生を防いで均一な照射光を
作る。

【００１９】

【実施例】上記実施の形態において、具体的には、反射
面４ｂには黒体テープを貼り、反射面４ｃには黒体塗料
をスプレーにより塗布した。黒体テープとしては、タス
コジャパン株式会社製の形式TH-2B-5を用いた。この黒
体テープの放射率は、0.93であり、耐熱温度は３００℃
である。また、黒体スプレーとしては、タスコジャパン
株式会社製の形式TH1-1Bを用いた。この黒体スプレーの
放射率は、0.94であり、耐熱温度は５００℃である。反
射面４ｃは、面積が大きく取り外し可能であるので、処
理が簡便な黒体スプレーを用いた。光源はかなり高温と
なるため、黒体テープおよび黒体塗料は、耐熱性が必要
であり、実施例に用いたものは、十分な耐熱性を有す
る。

【００２０】ランプ３としては、メタルハライドランプ
（1500W,光束125000lm）を用い、図３に示すように、前
記反射鏡を備えた光源２を１０個併置することにより、
光源から約１mの距離にある１m×３mの照射面を１kW/m²
±10％の照度にすることができた。

【００２１】

【発明の効果】この発明によれば前述のように、ランプ
とランプ周辺背後部に配設され被試験体に向かって凹面
を有する反射鏡とからなる少なくとも１つの光源から、
平面上に配置された被試験体としての太陽電池に対して
光を照射して、太陽電池の性能試験や信頼性試験等を行
う太陽電池の光照射試験方法において、前記被試験体の
照射面における照射強度を実用上許容できる程度に均一
化するために、前記反射鏡の凹面は多面体から形成され
たものとし、この多面体の複数の面の内、比較的拡散光
の発生が少なく集中光の発生が多い所定の複数の面に、
反射率を低減するための表面処理を施した後、光照射試
験を行うこととしたので、特別に設計した照明器具によ
らず汎用の照明器具を用いて、大面積の太陽電池照射面
における照射強度を実用上許容できる程度（±10％）に
均一化することが可能な太陽電池の光照射試験方法を提
供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態の概念的説明図

【図２】この発明の実施例の光源を正面からみた概略平
面図

【図３】従来の太陽電池の光照射試験方法の説明図

【符号の説明】３：ランプ、４：反射鏡、４ａ，４ｂ，４ｃ：反射面、
Ａ：拡散光、Ｂ：集中光。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ランプとランプ周辺背後部に配設され被
試験体に対向して凹面を有する反射鏡とからなる少なく
とも１つの光源から、平面上に配置された被試験体とし
ての太陽電池に対して光を照射して、太陽電池の性能試
験や信頼性試験等を行う太陽電池の光照射試験方法にお
いて、前記被試験体の照射面における照射強度を実用上
許容できる程度に均一化するために、前記反射鏡の凹面
は多面体から形成されたものとし、この多面体の複数の
面の内、比較的拡散光の発生が少なく集中光の発生が多
い所定の複数の面に、反射率を低減するための表面処理
を施した後、光照射試験を行うことを特徴とする太陽電
池の光照射試験方法。
【請求項２】請求項１に記載の光照射試験方法におい
て、前記表面処理は、黒体テープを添付する処理である
ことを特徴とする太陽電池の光照射試験方法。
【請求項３】請求項１に記載の光照射試験方法におい
て、前記表面処理は、黒体塗料を塗布する処理であるこ
とを特徴とする太陽電池の光照射試験方法。