JP2001249280A - 双眼鏡 - Google Patents

双眼鏡

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JP2001249280A
JP2001249280A JP2000063134A JP2000063134A JP2001249280A JP 2001249280 A JP2001249280 A JP 2001249280A JP 2000063134 A JP2000063134 A JP 2000063134A JP 2000063134 A JP2000063134 A JP 2000063134A JP 2001249280 A JP2001249280 A JP 2001249280A
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optical system
lens
frame
binoculars
diopter
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JP2000063134A
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Koji Funatsu
剛治 舩津
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Pentax Corp
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Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
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    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B23/00Telescopes, e.g. binoculars; Periscopes; Instruments for viewing the inside of hollow bodies; Viewfinders; Optical aiming or sighting devices
    • G02B23/16Housings; Caps; Mountings; Supports, e.g. with counterweight
    • G02B23/18Housings; Caps; Mountings; Supports, e.g. with counterweight for binocular arrangements

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 望遠鏡光学系の光軸方向の寸法を削減するこ
とで小型化を可能とした双眼鏡を提供する。 【解決手段】 双眼鏡1000は、右の望遠鏡光学系を
含む右鏡体300と左の望遠鏡光学系を含む左鏡体40
0を有し、左右の望遠鏡光学系において接眼レンズの光
軸方向の位置を対物レンズに対して同一の距離だけ連動
して調整する焦点調整機構が設けられている。また、左
の望遠鏡光学系における対物レンズと接眼レンズのレン
ズ間距離と前記右の望遠鏡光学系における対物レンズと
405Cの光軸方向の位置を調整する視度差調整機構
と、前記右の望遠鏡光学系における対物レンズ305C
の光軸方向の位置を調整する視度調整機構とが独立して
設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は視度調整機構を有す
る双眼鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に双眼鏡においては、左右の鏡体
にそれぞれ左右の望遠鏡光学系が設けられ、左右2つの
望遠鏡光学系はそれぞれ光軸方向に並べられた複数の光
学系から構成されている。上記複数の光学系とは、対物
光学系、接眼光学系などを含んで構成されている。焦点
調整は、2つの望遠鏡光学系のうちの一部の光学系を光
軸方向に左右連動して移動させることによって行なわれ
る。例えば、左右の接眼光学系を左右の対物光学系に対
して離間・接近させる。一方、双眼鏡の使用者の左右の
眼の視度差に対応して左右の望遠鏡光学系の視度を調整
する使用時視度調整は、左右2つの望遠鏡光学系の何れ
か一方の望遠鏡光学系における一部の光学系を光軸方向
に移動させることによって行なわれる。例えば、一方の
対物光学系を光軸方向に移動させる。このような双眼鏡
では、視度調整を行う方の望遠鏡光学系で視度調整のた
めに移動される光学系(対物光学系)の位置は、視度調
整を行わない方の望遠鏡光学系の光学系(対物光学系)
に対して、光軸方向の前後にそれぞれΔLの距離の範囲
で調整可能となるように、すなわち2ΔLの範囲で調整
可能に構成されている。また、双眼鏡の製造工程では、
左右の望遠鏡光学系の焦点位置が一致するように機械的
に位置決めを行って各望遠鏡光学系を組み立てるが、各
望遠鏡光学系の光学的な誤差によって各望遠鏡光学系の
焦点位置は微妙にずれてしまう。したがって、製造工程
において各望遠鏡光学系の焦点位置のずれを相殺する、
製造時視度調整のために、上記の使用時視度調整のため
の光学系の移動可能な範囲を、2ΔLに加えてさらに所
定量移動調整可能に構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、一方
の望遠鏡光学系の一部光学系のみの調整移動で、製造時
視度調整および使用時視度調整を行なえるようにする
と、この調整移動範囲が増えて、望遠鏡光学系の光軸方
向の移動寸法を確保しなくてはならない。このため、従
来の双眼鏡では、双眼鏡を小型化するために望遠鏡光学
系の光軸方向の寸法を削減することには限界があった。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発
明の目的は望遠鏡光学系の光軸方向の寸法を削減するこ
とで小型化を可能とした双眼鏡を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、左右2つの望
遠鏡光学系を備え、前記2つの望遠鏡光学系はそれぞれ
光軸方向に並べられた複数の光学系を有して構成される
双眼鏡において、前記望遠鏡光学系を構成する複数の光
学系のうち、一部の光学系が視度調整のために前記光軸
方向に移動可能に設けられた第1光学系として構成さ
れ、前記第1光学系を光軸方向に移動させることで前記
視度調整を行う視度調整機構が前記2つの望遠鏡光学系
にそれぞれ独立して設けられ、一方の前記望遠鏡光学系
の視度調整機構のみが、前記双眼鏡の外装部材の外方に
臨む形態で設けられ、手動調整操作可能な操作部材を有
することを特徴とする。
【0005】そのため、使用時視度調整を行うための第
1光学系の調整範囲を一方の望遠鏡光学系で確保し、製
造時視度調整を行うための第1光学系の調整範囲を他方
の望遠鏡光学系で確保することができる。このため、従
来と比較して左右の望遠鏡光学系の光軸方向の寸法を短
縮することができ、双眼鏡の小型化が可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本発明の双眼鏡の実
施の形態において右鏡体と左鏡体が閉じられ右接眼筒と
左接眼筒が収容された状態を示す外観図であり、図1
(A)は平面図、図1(B)は図1(A)を矢印A1方
向から見た状態を示す前面図、図1(C)は図1(A)
を矢印A2方向から見た状態を示す側面図である。図2
は図1と同じ状態を示す双眼鏡の外観図であり、図2
(A)は下面図、図2(B)は図2(A)を矢印A3方
向から見た状態を示す背面図である。図3は、本発明の
双眼鏡の実施の形態において右鏡体と左鏡体が開かれて
右接眼筒と左接眼筒が最も繰り出された状態を示す外観
図であり、図3(A)は平面図、図3(B)は図3
(A)を矢印B1方向から見た状態を示す前面図、図3
(C)は図3(A)を矢印B2方向から見た側面図、図
3(D)は図3(A)を矢印B3方向から見た側面図で
ある。図4は図3と同じ状態を示す双眼鏡の外観図であ
り、図4(A)は下面図、図4(B)は図4(A)を矢
印B4方向から見た状態を示す背面図、図4(C)は図
4(A)を矢印B5から見た状態を示す側面図である。
【0007】まず、図1、図2を参照して双眼鏡の全体
構成について説明する。なお、以下の説明において、双
眼鏡の左右方向は、双眼鏡の対物レンズが設けられてい
る方を前方、接眼レンズが設けられている方を後方とし
た状態で規定する。双眼鏡1000は、支持部100、
光学調整部200、右鏡体300、左鏡体400を備え
て構成されている。支持部100は、それぞれ望遠鏡光
学系を備える右鏡体300と左鏡体400の間に設けら
れこれらを支持するものである。支持部100には、視
度調整を行う際に操作される視度差化粧環106(特許
請求の範囲の第1偏心部材、手動調整操作可能な操作部
材に相当)が取着されており、支持部100に配設され
た光学調整部200は、これら左右の望遠鏡光学系の焦
点調整を行うときに操作する焦点調整環202と倍率調
整を行うときに操作するズーム調整環204を備えてい
る。
【0008】そして、右鏡体300と左鏡体400は、
支持部100によって幅方向(左右方向)、すなわち眼
幅方向に移動可能に支持されている。また、支持部10
0による各鏡体の支持は、支持部100を中心として右
鏡体300と左鏡体400が支持部100からそれぞれ
等しい距離だけ連動して移動するように行なわれるよう
になっている。焦点調整環202を回動すると、右鏡体
300と左鏡体400に設けられている望遠鏡光学系の
うち、接眼レンズおよび正立プリズムを保持する右移動
体303および右接眼筒304と、同様に接眼レンズお
よび正立プリズムを保持する左移動体403および左接
眼筒404とが光軸方向に移動して焦点調整が行われる
ように構成されている。また、ズーム調整環204を回
動すると、右鏡体300と左鏡体400に設けられてい
る望遠鏡光学系のうち、一部のレンズがその光軸方向に
移動して倍率調整が行なわれるように構成されている。
【0009】また、焦点調整環202とズーム調整環2
04は、双眼鏡1000を平面から見た状態で双眼鏡1
000の左右方向の中心線上において接眼筒寄りの箇
所、すなわち後方寄りの箇所に互いに隣接して設けられ
ており、前方に焦点調整環202が、その後方にズーム
調整環204が上記望遠鏡光学系の光軸と平行をなす同
一の軸線を中心として回動可能に設けられている。ま
た、焦点調整環202とズーム調整環204は、双眼鏡
1000の上方に臨む支持部100の箇所に設けられて
いる。また、視度差化粧環106は、平面から見た状態
で双眼鏡1000の左右方向の中心線上において双眼鏡
1000の下方に臨む支持部100の対物レンズ寄りの
箇所、すなわち後方寄りの箇所に設けられている。した
がって、左右の鏡体を左右の手で保持したときに焦点調
整環202とズーム調整環204が左右何れの手からも
同じ距離にあるため、何れの手によっても操作すること
ができ、その操作性も従来に比較して向上される効果が
ある。また、この視度差化粧環106には外方に臨む箇
所に視度調整範囲の中間点(零点)を示す中間点マーク
106F、視度調整範囲の方向性を示すプラスマーク1
06G、マイナスマーク106Hが設けられている。そ
して、支持部100を構成する支持板102の下面には
上記各マーク106F、106G、106Hを合わせる
基準となる基準マーク102Cが形成されている。そし
て、視度差化粧環106の中間点マーク106Hを基準
マーク102Cに合わせたときに右鏡体と左鏡体の望遠
鏡光学系間における視度差が無い状態に調整されるよう
になっている。
【0010】次に、双眼鏡の各部の構成について説明す
る。図5は双眼鏡の一部を破断した状態を示す部分断面
図、図6は図5のXX線断面図、図7は双眼鏡の全体構
成を示す分解斜視図である。図8は支持部の一部を示す
分解斜視図、図9は支持部と光学調整部の一部を示す分
解斜視図、図10は光学調整部の構成を示す分解斜視
図、図11は光学調整部の一部と上板の構成を示す分解
斜視図である。図12は右鏡体の主として右外装部の構
成を示す分解斜視図、図13は右鏡体の主として右移動
体、右対物部、プリズム部の構成を示す分解斜視図、図
14は右鏡体の主として右対物部、第1レンズ部、第2
レンズ部の構成を示す分解斜視図である。図15は左鏡
体の主として左外装部の構成を示す分解斜視図、図16
は左鏡体の主として左対物部、第1レンズ部、第2レン
ズ部の構成を示す分解斜視図、図17は左鏡体の主とし
て第1レンズ部、第2レンズ部、接眼部の構成を示す分
解斜視図である。
【0011】まず、図7乃至図11を参照して支持部と
光学調整部の構成について説明する。支持部100は、
本体101、支持板102、底蓋103、上板104、
連動ギア105、右連動板109、左連動板110など
を備えて構成されている。また、上記底蓋103には、
後述する視度調整機構の一部を構成する視度差化粧環1
06、視度差偏心座107が取着されている。
【0012】支持板102は、矩形板状に形成され、長
手方向の縁部が双眼鏡の前後に、長手方向と直交する左
右方向の縁部が双眼鏡の左右にそれぞれ位置するように
配設されている。支持板102の上面の右側縁部の近傍
には前後方向に間隔をおいて2つの凸部102A1、1
02A2が、同様に支持板102の上面の左側縁部の近
傍には前後方向に間隔をおいて2つの凸部102B1、
102B2が突設されている。また、支持板102の上
面には、左右方向の中心線上に前後方向に間隔をおいて
2つの凸部102B3、102A3が突設され、前側の
凸部102B3と前側の縁部の間に円形の貫通孔102
Cが設けられ、2つの凸部102B3、102A3の間
にはねじ挿通孔102Dが貫通して設けられている。ま
た、支持板102の前縁部の近傍には左右方向の中心線
を挟んで右側と左側に厚さ方向に貫通する長孔102H
1、102I1が左右方向に延在してそれぞれ設けられ
ている。同様に支持板102の後縁部の近傍には左右方
向の中心線を挟んで右側と左側に厚さ方向に貫通する長
孔102H2、102I2が左右方向に延在してそれぞ
れ設けられている。さらに、支持板102の右縁部には
前後方向に間隔をおいて右方に開放された切欠102J
1、102J2がそれぞれ設けられ、左縁部には前後方
向に間隔をおいて左方に開放された切欠102K1、1
02K2がそれぞれ設けられている。
【0013】右連動板109は、矩形状の本体109A
と、本体109Aの左側縁部の後方寄りの箇所から左方
に延出された延出部109Bとを有している。本体10
9Aの前側、後側の縁部には、上記凸部102A1、1
02A2が挿通される左右方向に延在する案内溝109
A1、109A2が設けられ、延出部109Bには、上
記凸部102A3が挿通される左右方向に延在する案内
溝109B1が設けられている。また、本体109Aの
右縁部の前後の隅部にはねじ挿通孔109C1、109
C2が貫通して設けられ、本体109Aの左縁部の前後
の隅部にはねじ挿通孔109D1、109D2が貫通し
て設けられている。これらねじ挿通孔109C1、10
9C2の間隔は支持板102の長孔102H1、102
H2の間隔と同じになるように構成され、ねじ挿通孔1
09D1、109D2の間隔は支持板102の切欠10
2J1、102J2の間隔と同じになるように構成され
ている。
【0014】左連動板110は、矩形状の本体110A
と、本体110Aの右側縁部の前方寄りの箇所から右方
に延出された延出部110Bとを有している。本体11
0Aの前側、後側の縁部には、上記凸部102B1、1
02B2が挿通される左右方向に延在する案内溝110
A1、110A2が設けられ、延出部110Bには、上
記凸部102B3が挿通される左右方向に延在する案内
溝110B1が設けられている。また、本体110Aの
左縁部の前後の隅部にはねじ挿通孔110C1、110
C2が貫通して設けられ、本体110Aの右縁部の前後
の隅部にはねじ挿通孔110D1、110D2が貫通し
て設けられている。これらねじ挿通孔110C1、11
0C2の間隔は支持板102の長孔102I1、102
I2の間隔と同じになるように構成され、ねじ挿通孔1
10D1、110D2の間隔は支持板102の切欠10
2K1、102K2の間隔と同じになるように構成され
ている。
【0015】右連動板109の延出部109Bの前側の
縁部には左右方向に延在するラック109B2が、左連
動板110の延出部110Bの後側の縁部には左右方向
に延在するラック110B2がそれぞれ形成されてい
る。右連動板109は、それぞれ案内溝109A1、1
09A2、109B1が凸部102A1乃至102A3
に挿通された状態で、各凸部102A1乃至102A3
に設けられたねじ孔にワッシャ801を介してねじ80
2が螺合されることで支持板102に取着され、左右方
向に移動可能に支持される。
【0016】左連動板110についても同様であって、
それぞれ案内溝110A1、110A2、110B1が
凸部102B1乃至102B3に挿通された状態で、各
凸部102B1乃至102B3に設けられたねじ孔にワ
ッシャ801を介してねじ802が螺合されることで支
持板102に取着され、左右方向に移動可能に支持され
る。支持板102のねじ挿通孔102Dには、支持板1
02の下面側から挿通されたねじ803の軸部が挿通さ
れ、その軸部は、支持板102の上面側でギア105の
中心孔を挿通し後述する底蓋103のねじ孔103Aに
螺合するようになっている。そして、ギア105は上記
した右連動板109、左連動板110のラック109B
2、110B2の間に挟まれた状態で各ラック109B
2、110B2に噛合されるようになっている。
【0017】底蓋103は矩形板状を呈し、その長手方
向が前後方向に沿って支持板102の上方に配設されて
いる。底蓋103は、その下面と支持板102の上面と
の間に右連動板109の延出部109Bと左連動板11
0の延出部110Bを挟んだ状態で支持板102に位置
決めされ、後述するように本体101の下部と支持板1
02の上面との間に挟まれて固定されている。
【0018】なお、底蓋103の支持板102に対する
位置決めは次のように行われる。すなわち、底蓋103
の前方寄りの左右の縁部103Bが支持板102の上面
の貫通孔102Cの左右両側に前後方向に延在する凹溝
102Eに嵌合し、底蓋103の後側縁部の左右に形成
された切欠103Cが支持板102の上面の後側の縁部
近傍に支持板102の左右方向の中心線を挟むように設
けられた左右の凸部102Fにそれぞれ嵌合すること
で、底蓋103が支持板102に位置決めされるように
なっている。また、左右の凸部102Fの中心に上下方
向に貫通するねじ挿通孔102Gが設けられ、これらね
じ挿通孔102Gにはねじ806が挿通されるようにな
っている。
【0019】底蓋103には、ねじ孔103Aを挟んで
前方に2つ、後方に2つの凸部103Dが底蓋103の
厚さ方向の下方に向けて突設されている。各凸部103
Dは、互いに底蓋103の長手方向と直交する方向に延
在し、底蓋103の厚さ方向に貫通して形成された2つ
の長溝で挟まれた帯板状の部分で構成され、この帯板状
の部分の長手方向の中央が底蓋103の厚さ方向の下方
に向けて湾曲した形状となるように成形されている。こ
れら4つの凸部103Dは、右連動板109の延出部1
09Bと左連動板110の延出部110Bの上面に押圧
力を加え、これら右連動板109、左連動板110の左
右方向への移動時に摩擦力を与えるために設けられてい
る。この摩擦力によって、後述する各鏡体300、40
0の左右方向へ移動操作時の操作感を向上させることが
できるようになっている。
【0020】上記構成によれば、右連動板109のラッ
ク109B2と左連動板110のラック110B2がギ
ア105に噛合しているため、右連動板109と左連動
板110は、左右方向に沿って接近する方向、または離
間する方向に連動して移動する。また、ラック109B
2、ラック110B2、ギア105の歯のピッチは同一
となるように構成されているため、ギア105の回転中
心を中心として右連動板109と左連動板110は、左
右方向のそれぞれ反対方向に同一距離だけ移動するよう
になっている。
【0021】また、底蓋103の前側寄りの左右の凸部
103Bに挟まれた箇所には貫通孔103Gが設けられ
ている。視度差化粧環106は、直径が上記貫通孔10
3Gの内径よりも大きな円盤状の本体106Aと、本体
106Aの上部中央から上方に突設された軸部106B
(特許請求の範囲の第1偏心部材の第1軸部に相当)
と、軸部106Bにその軸線方向に沿って設けられたね
じ孔106Cを有して構成されている。そして、後述す
るように本体106Aが軸部106Bの軸線回りに回動
することで視度調整を行うようになっている。また、軸
部106Bの周囲にはこの軸部106Bを挟んで2つの
凹部106Dが設けられ、また、軸部106Bの周方向
に沿って円弧状の凹溝106Eが形成されている。ここ
で、凹部106D、凸部107Cはそれぞれ少なくとも
1つ以上あれば軸転駆動の伝達が可能である。
【0022】視度差偏心座107は、直径が上記貫通孔
103Gの内径よりも大きな円盤状の本体107A(特
許請求の範囲の第1偏心部材の第1偏心部に相当)と、
本体107Aの中心から偏心した箇所で厚さ方向に貫通
した偏心孔107Bと、視度差化粧環106の2つの凹
部106Dに嵌合する2つの凸部107Cとを備えて構
成されている。
【0023】視度差化粧環106の軸部106Bは裏蓋
103の下方から貫通孔103Gに挿通され、視度差偏
心座107の偏心孔107Bに挿通される。この状態
で、視度差偏心座107の2つの凸部107Cが視度差
化粧環106の2つの凹部106Dにそれぞれ嵌合して
いる。そして、視度差偏心座107の偏心孔107B
に、ばねワッシャ804を介してねじ805が挿通さ
れ、そのねじ805の軸部が視度差化粧環106の軸部
106Bに形成されたねじ孔106Cに螺合することで
視度差偏心座107は、底蓋103を介して視度差化粧
環106に取着されている。また、図6にも示されてい
るように、この状態で視度差化粧環106の本体106
Aは、支持板102の貫通孔102Cを介して支持板1
02の下面から外方に臨んだ状態となっている。また、
視度差偏心座107に取着された視度差化粧環106
は、支持板102の左右方向の中心線上の前側寄りの箇
所に位置している。
【0024】また、底蓋103の下面の貫通孔103G
の周縁部には、貫通孔103Gの周方向に延在する凸条
が形成されており、視度差化粧環106の上部の凹溝1
06Eと嵌合した状態で回動可能となるように構成され
ている。そして、凸条の周方向の端部に視度差化粧環1
06の凹溝106Eの周方向の端部が当接することで視
度差化粧環106の回動量が規制されるようになってい
る。視度差化粧環106と視度差偏心座107は、凹部
106Dと凸部107Cが嵌合することによって、軸部
106Bの回転方向には一体的に固定されるが、軸部1
06Bの軸線方向には互いに移動可能となるように構成
されている。
【0025】また、裏蓋103の上面の貫通孔103G
の周縁部には、貫通孔103Gの周方向に間隔をおいて
延在する複数の凹凸形状からなるクリック用係合部10
3Hが形成され、視度差偏心座107が回動する際に、
この視度差偏心座107の下面に設けられた凸部と上記
クリック用係合部103Hとが係脱することで視度差化
粧環106を回動操作したときにクリック感を与えるよ
うになっている。この際、上記ばねワッシャ804は視
度差偏心座107の本体107Aの下面を上記クリック
用係合部103Hに向けて押圧する作用を果たしてい
る。
【0026】図9、図10に示されているように、本体
101は、矩形状の前壁101Aと後壁101B、これ
ら前壁101Aと後壁101Bの右側部と左側部を接続
する矩形状の右壁101Cと左壁101Dを備えて構成
されている。本体101の上部と下部は矩形状に開口さ
れている。本体101の下部は底蓋103によって覆わ
れた状態で支持板102に取着される。すなわち、4つ
のねじ806が、支持板102に形成された4つのねじ
挿通孔102Gを挿通して本体101の下部の四隅に形
成された4つのねじ孔101Eにそれぞれ螺合されてい
る。上板104は、支持板102とほぼ同じ大きさの矩
形板状を呈し、本体101の上部を覆うように取着され
る。すなわち、4つのねじ807が、上板104に形成
された4つのねじ挿通孔104Aを挿通して本体101
の下部の四隅に形成された4つのねじ孔101Fにそれ
ぞれ螺合されている。上板104の左右方向の中心線上
の後方寄りの箇所には、後述する焦点調整環202、ズ
ーム調整環204の外周部の一部をそれぞれ外方に臨ま
せるための開口104B、104Cが設けられている。
【0027】また、本体101の前壁101Aの前面と
後壁101Bの後面には、それぞれ矩形状の化粧板10
1I、銘板101Jが接着されている。
【0028】上述した支持部100によれば、本体10
1、支持板102、底蓋103、上板104は一体的に
固定されて構成されている。そして、右連動板109と
左連動板110は、支持板102によって左右方向に移
動可能に支持されている。
【0029】次に、光学調整部200の構成について説
明する。光学調整部200は、上述した本体101に組
み込まれた、主軸201、焦点調整環202、ズーム調
整環204、移動軸206、カム環207、第1レンズ
コマ208、第2レンズコマ209、カム枠210、コ
マ案内軸211、212、第1レンズ連動板213、第
2レンズ連動板214、押え板(羽根)215、移動体
連動軸216などを備えて構成されている。
【0030】主軸201は、その軸線が後述する鏡体3
00、400の光軸と平行をなすように延在した状態
で、その前端と後端がそれぞれ本体101の前壁101
Aと後壁101Bに設けられた軸受部によって軸支され
ている。後述するように焦点調整環202とズーム調整
環204は主軸201の軸線を中心として回動可能に設
けられている。また、前述した視度差化粧環106は、
主軸201の軸線と直交する軸線回りに回動可能に設け
られている。主軸201の前端部分の外周面には、軸線
方向に沿って延在する凹溝201Aが周方向に間隔をお
いて形成されている。この凹溝201Aは後述するカム
環207の孔部207Aに形成されている凸条207B
に嵌合されるようになっている。
【0031】ズーム調整環204は、環状に形成された
本体204Aと、本体204Aの外周部に装着されたゴ
ム環204Bとから構成されている。本体204Aは、
その内周部の孔部204A1に主軸201の後端部が挿
通された状態でねじ808によって主軸201に一体的
に取着されている。
【0032】カム環207は、軸方向と周方向に厚みを
有する円筒壁状に形成され、孔部207Aには、前述し
た主軸201の凹溝201Aに嵌合する凸条207Bが
軸線に沿って形成され、この内周面207Aに主軸20
1が挿通された状態で主軸201に沿って移動可能に、
かつ、主軸201の周方向には回転不能に主軸201に
よって支持されている。カム環207の外周面207C
には、2つの第1カム溝207Dと2つの第2カム溝2
07Eが形成されている。
【0033】移動軸206は、後方側に設けられた円筒
状の第1軸部206Aと、前方側に設けられた第2軸部
206Bと、第1、第2軸部の間に形成されたフランジ
部206Cと、これら第1軸部206A、フランジ部2
06C、第2軸部206Bを移動軸206の軸線方向に
貫通する孔部206Dとを備えて構成されている。孔部
206Dの内径は、主軸201が挿通された状態で主軸
201が回転可能となるように形成されている。
【0034】第1軸部206Aの外周面には、らせん状
の案内溝206A1が形成されており、この案内溝20
6A1は、前方側から順に第1軸部206Aの軸線方向
のピッチが広い第1溝部206A11と、第1溝部20
6A11に接続され第1軸部206Aの軸線方向のピッ
チが狭い第2溝部206A12とから構成されている。
焦点調整環202は、環状の本体202Aと、本体20
2Aの外周部に装着されたゴム環202Bとから構成さ
れている。また、焦点調整環202とズーム調整環20
4の外径、すなわちゴム環202B、204Bの外径は
ほぼ同じ寸法となるように構成されている。本体202
Aの内周面202A1には、上記案内溝206A1に係
合する2つのボール203を自転可能に、かつ、軸線回
りには移動不能に保持する保持部202A11が軸線を
中心として互いに対向する箇所に設けられている。
【0035】カム枠210は、ほぼ環状を呈し、その内
部210Aには、軸線を挟んで対称的な位置に軸21
1、212が軸線と平行に延在した状態で保持されてお
り、第1レンズコマ208、第2レンズコマ209がそ
れぞれ軸211、212に沿って移動可能に設けられて
いる。カム枠210は、本体101の右壁101Cの内
側面と左壁101Dの内側面によって主軸201の軸線
方向(前後方向)に移動可能にかつ軸線回り方向に回転
不能に支持されている。カム環207の孔部207Aに
は、移動軸206の第2軸部206Bが挿通され、カム
環207は第2軸部206Bによって回転可能に支持さ
れている。そして、カム枠210は、カム環207を収
容した状態で移動軸206のフランジ部206Cに3つ
のねじ809で取着されており、カム枠210と移動軸
206は一体的に固定されている。すなわち、カム枠2
10の環状部210Aの右腕部210C1と左腕部21
0C2の後端部には、後方に臨む位置に後方に臨むねじ
孔210C11、210C21が設けられている。ま
た、連結腕部210Dの後方に面した部分には、後方に
臨む不図示のねじ孔が設けられている。これらねじ孔2
10C11、210C21、および後方に臨む不図示の
ねじ孔に、図11にも示されているように、移動軸20
6のフランジ部206Cに設けられたねじ挿通孔206
C1、206C2、206C3を挿通したねじ809が
それぞれ螺合されることで、カム枠210が移動軸20
6に取着されるようになっている。さらに、連結腕部2
10Dの後端部には下方に臨むねじ孔210D1が設け
られている。
【0036】また、第1レンズコマ208は、カム環2
07の第1カム溝207Dに係合する2つのボール21
0Bを第1カム溝207Dとの間に自転可能に保持する
保持部(球面状凹部)を有している。一方、第2レンズ
コマ209は、カム環207の第2カム溝207Eに係
合する2つのボール210Bを第2カム溝207Eとの
間に自転可能に保持する保持部を有している。そして、
主軸201が回動してカム枠210に保持されているカ
ム環207が回動すると、カム環207の第1、第2カ
ム溝207D、207Eがカム枠210に対して回動す
る。この回動によって、第1レンズコマ208と第2レ
ンズコマ209はカム枠210内で軸線方向に沿って移
動する。ここで、第1レンズコマ208と第2レンズコ
マ209は、カム枠210内の左右箇所でカム環207
を挟むように支持配置され、それぞれ光軸方向に沿って
互いに逆向きに移動し、結果として、第1レンズコマ2
08と第2レンズコマ209の光軸方向における移動範
囲が互いに重複するように構成されている。
【0037】押え板215は、矩形板状を呈し、厚さ方
向に貫通した孔215Bが設けられている。そして、こ
の孔215Bを挿通したねじ810がカム枠210の底
壁に螺合することでカム枠210に取着されている。し
たがって、押え板215は、移動軸206、カム環20
7、カム枠210と一体的に前後方向に移動可能に設け
られている。そして、押え板215と、本体101の底
壁との間には、第1レンズ連動板213と第2レンズ連
動板214が配設されている。第1レンズ連動板213
は、第1レンズコマ208に対してねじ811によって
取着され、この第1レンズコマ208と一体的に移動す
るように構成されている。第2レンズ連動板214は、
第2レンズコマ209に対してねじ812によって取着
され、この第2レンズコマ209と一体的に移動するよ
うに構成されている。
【0038】第1レンズ連動板213は、第1レンズコ
マ208に連結される矩形板状の第1中央部213A
と、第1中央部213Aの左右の縁部からいったん下方
に向けて屈曲されてから左右方向に直線状に左右に延在
する第1腕部213Bとが一体的に形成されて構成され
ている。第1中央部213Aには、第1レンズコマ20
8の取付部208Aが挿通係合してねじ811で取着さ
れる貫通孔をもつコマ係合部213Cが設けられてい
る。また、右側と左側の第1腕部213Bの第1中央部
213Aに接合された部分の下方に臨む箇所には前記軸
線に沿って延在する凸条からなる被案内部が設けられて
いる。すなわち、右側と左側の第1腕部213Bは、被
案内部の箇所から右方向と左方向に延出されている。こ
れら被案内部は前述した本体101の案内部101C
2、101D2にそれぞれ係合された状態で光軸方向に
移動可能に支持されている。また、第1中央部213A
は、その厚さ方向の下面と上面がそれぞれ押え板215
と本体101の底部との間に挟まれた状態で前後方向に
移動可能に支持されている。また、係合腕部213Bの
右端部と左端部には、腕の延在方向に沿って凹溝213
Dが形成されており、これら2つの長溝213Dには、
後述する右と左の望遠鏡光学系の第1レンズ部307、
407が左右方向に移動可能な状態で係合されるように
構成されている。
【0039】第2レンズ連動板214は、第2レンズコ
マ209に前後方向に摺動係合される矩形板状の第2中
央部214Aと、第2中央部214Aの左右の縁部から
いったん下方に向けて屈曲されてから左右方向に直線状
に左右に延在する第2腕部214Bとが一体的に形成さ
れて構成されている。第2中央部214Aには、この第
2中央部214Aから前方に延出した延出部が設けら
れ、この延出部の前方寄りの箇所に第2レンズコマ20
9の取付部209Aに係合してねじ812で取着される
コマ係合部214Cが設けられている。延出部214A
は、その下面の後方部分が第2中央部214Aの上面に
摺接されており、延出部214Aの下面と第2中央部2
14Aの上面の高さ方向の位置が同一となっている。ま
た、右側と左側の第2腕部214Bの第2中央部214
Aに接合された部分の下方に臨む箇所には前記軸線に沿
って延在する凸条からなる被案内部が設けられている。
すなわち、右側と左側の第2腕部214Bは、被案内部
の箇所から右方向と左方向に延出されている。これら被
案内部は前述した本体101の案内部101C2、10
1D2にそれぞれ係合された状態で光軸方向に移動可能
に支持されている。また、第2中央部214Aは、その
厚さ方向の下面と上面がそれぞれ押え板215と本体1
01の底部との間に挟まれた状態で前後方向に移動可能
に支持されている。また、第2腕部214Bの右端部と
左端部には、腕の延在方向に沿って凹溝214Dが形成
されており、これら2つの凹溝214Dには、後述する
右と左の望遠鏡光学系の第2レンズ部308、408が
左右方向に移動可能な状態で係合されるように構成され
ている。第1、第2レンズ連動板213、214は、押
え板215と本体101の底部の間に挟まれた状態で第
1レンズ連動板213が光軸方向の前方、第2レンズ連
動板214が光軸方向の後方に位置し、かつ、第1中央
部213Aの上面に第2中央部214Aの延出部214
A1が当接した状態で配設されている。そして、この状
態で、第1、第2腕部213D、214Dは、互いの高
さ方向の位置がほぼ同一となるように、且つ、第1、第
2中央部213A、214Aの高さ方向の位置がほぼ同
一となるように構成されている。
【0040】また、押え板215の前方寄りの箇所に
は、左右方向に貫通する孔部215Aが形成されてお
り、移動体連動軸216は、孔部215Aに挿通され右
側と左側の部分が押え板215の左右の縁部から外方に
延在した状態で押え板215に保持されている。そし
て、後述する右と左の接眼レンズ部を保持する右移動体
303と左移動体403には、移動体連動軸216に対
してその軸線方向に移動可能に係合される係合部303
A1、403A1が設けられ、右移動体303と左移動
体403は、上記移動体連動軸216に沿って左右方向
に移動可能に支持されると共に、移動体連動軸216と
一体的に前後方向に移動するように構成されている。
【0041】本体101には、焦点調整環202を収容
した状態でこの焦点調整環202を回転可能にかつ軸線
方向に移動不能に支持する第1収容部101Gと、ズー
ム調整環204を収容した状態でこのズーム調整環20
4を回転可能にかつ軸線方向に移動不能に支持する第2
収容部101Hとが軸線方向に間隔をおいて形成されて
いる。第1収容部101Gは前方の壁部101G1と後
方の壁部101G2に挟まれて構成され、第2収容部1
01Hは上記壁部101G2と本体101の後壁101
Bとに挟まれて構成されている。
【0042】上記構成によれば、焦点調整環202が回
動されないでズーム調整環204が回動されると、ズー
ム調整環204に固定された主軸201が回動される。
すると、主軸201の前端に固定されたカム環207が
カム枠210の内部で回動される。これにより、カム環
207の外周面に形成された第1、第2カム溝207
D、207Eがカム枠210に対して回動する。する
と、各ボール210Bに係合した第1レンズコマ20
8、第2レンズコマ209は、それぞれ第1、第2カム
溝207D、207Eの回動に連動して軸211、21
2に案内されて主軸201の軸線方向に沿って移動され
る。この際、第1レンズコマ208と第2レンズコマ2
09が軸線方向、すなわち光軸方向に沿って互いに逆方
向に移動することは前述したとおりである。
【0043】一方、ズーム調整環204が回動されない
で焦点調整環202が回動されると、主軸201は回動
されず、焦点調整環204のみが回動される。すると、
焦点調整環202の本体202Aに係合しているボール
203が主軸201の軸線方向には移動されず、移動軸
206の案内溝206A1に係合した状態で軸線回り方
向に回動する。これにより、移動軸206とこれに一体
的に固定されたカム枠210は、本体101の内部で主
軸201の軸線方向に沿って移動される。前述したよう
に、この案内溝206A1はピッチが広い第1溝部20
6A11と、第1溝部206A11に接続されピッチが
狭い第2溝部206A12とから構成されている。この
ため、ボール204Bが第1溝部206A21の範囲を
移動している状態と、第2溝部206A12の範囲を移
動している状態とでは、焦点調整環202の同一の回転
角度に対する移動軸206とカム枠210の移動量は、
前者が後者よりも大となるようになっている。これは、
前者の範囲で、鏡体の一部を迅速に沈胴させ、後者の範
囲で、接眼レンズの対物レンズに対する距離の調整、す
なわち焦点調整を細かく行わせるためである。
【0044】次に、右鏡体300と左鏡体400の構成
について説明する。なお、右鏡体300と左鏡体400
を構成する各部品は、主としてその形状が左右対称に構
成されている点が異なり、機能的には同一であることが
多い。したがって、以下では、特に左右で機能が異なる
部品を除き、右鏡体側の部品について説明することで左
鏡体側の部品の説明を兼ねることにする。また、以下に
説明するように、右の鏡体の部品は300番台、左の鏡
体の部品は400番台の番号を付し、右と左の鏡体を構
成する部品のうち、互いに対応する部品の下2桁の番号
および英字を共通に付す。
【0045】図5に示されているように、右鏡体300
は、右枠301、右枠蓋302、右移動体303、右接
眼筒304、右対物部305、プリズム部306、第1
レンズ部307、第2レンズ部308、接眼部309、
右外装部310などを備えて構成されている。まず、右
鏡体300の構成を概略的に説明すると、右枠301に
取着された右枠蓋302、右対物部305、右外装部3
10は、前述した右連動板109(図7参照)に取着さ
れ、右連動板109と共に左右方向に移動可能となるよ
うに構成されている。
【0046】また、右移動体303は、右枠301に対
して前後方向にスライド移動可能に設けられている。右
移動体303の前部にはプリズム部306が取着され、
右移動体303の後部には右接眼筒304が取着され、
右接眼筒304の後部には接眼部309が取着されてい
る。さらに、右移動体303と右接眼筒304の間に
は、第1レンズ部307と第2レンズ部308が前後方
向にスライド移動可能に設けられている。すなわち、右
側の望遠鏡光学系を構成する対物部305、プリズム部
306、第1レンズ部307、第2レンズ部308、接
眼部309のうち、対物部305は、右枠301に取着
され、プリズム部306、第1レンズ部307、第2レ
ンズ部308、接眼部309は、右移動体303に取着
されている。したがって、右枠301に対して右移動体
303が前後方向にスライド移動することによって、対
物部305と、プリズム部306、第1レンズ部30
7、第2レンズ部308、接眼部309との間の距離、
すなわち焦点位置が調整されるように構成されている。
【0047】次に、図8、図12乃至図14を参照して
右鏡体300の構成についてさらに詳細に説明する。右
枠301は、その後部右側の高さ方向の中間の箇所に右
側の案内軸301Aの後部を保持する保持部301Bが
設けられ、この保持部301Bの下方に右枠301を右
連動板109に取着するねじが螺合されるねじ孔301
Cが設けられている(矢印B参照)。図8を参照して右
枠301の右連動板109に対する取付について詳しく
説明する。ねじ820、820が支持板102の長孔1
02H1、102H2と右連動板109のねじ挿通孔1
09C1、109C2を介して右枠301の後部に設け
られたねじ孔(図略)と後述する枠蓋302のねじ孔
(図略)に螺合される。この際、ねじ820、820の
頭部は支持板102の長孔102H1、102H2内に
位置した状態でこれら長孔の縁部に干渉することなく左
右方向への移動が可能となるように構成されている。ま
た、ねじ821、821が右連動板109のねじ挿通孔
109D1、109D2を介して右枠301に設けられ
た前後のねじ孔(前方のねじ孔は上記ねじ孔301Cに
相当)に螺合される。この際、ねじ821、821の頭
部は支持板102の切欠102J1、102J2内の位
置まで移動することが可能であり、かつ、これら切欠の
縁部に干渉することなく左右方向への移動が可能となる
ように構成されている。このようにねじ820、821
によって右枠301は右連動板109に取着されてい
る。
【0048】なお、後述する左枠401(図15参照)
の左連動板110に対する取付も上記と同様であるた
め、ここで説明する。すなわち、ねじ822、822が
支持板102の長孔102I1、102I2と左連動板
110のねじ挿通孔110C1、110C2を介して後
述する左枠401の後部に設けられたねじ孔(図略)と
後述する枠蓋402のねじ孔(図略)に螺合される。こ
の際、ねじ822、822の頭部は支持板102の長孔
102I1、102I2内に位置した状態で、これら長
孔の縁部に干渉することなく左右方向への移動が可能と
なるように構成されている。また、ねじ823、823
が左連動板110のねじ挿通孔110D1、110D2
を介して左枠401に設けられた前後のねじ孔(図略)
に螺合される。この際、ねじ823、823の頭部は支
持板102の切欠102K1、102K2内の位置まで
移動することが可能であり、かつ、これら切欠の縁部に
干渉することなく左右方向への移動が可能となるように
構成されている。このようにねじ822、823によっ
て左枠401は左連動板110に取着されている。
【0049】右鏡体300の構成の説明に戻る。右枠3
01は、その後部左側の高さ方向の中間の箇所に左側の
案内軸301Dの後部を保持する保持部301Eが設け
られている(矢印A参照)。右枠301の前部寄りの右
側の壁部の高さ方向の中間の箇所にはねじ孔301Fが
設けられ、このねじ孔301Fに螺合するねじ814の
頭部と右側の壁部との間に案内軸301Aの前部が挟ま
れることでこの案内軸301Aが保持されている。
【0050】右枠301の前部の壁部の右上の箇所には
ねじ孔301Gが設けられている。そして、右枠蓋30
2のねじ挿通孔302Aを介してねじ814がねじ孔3
01Gに螺合することで右枠蓋302が右枠301の前
部に取着されている。そして、この右枠蓋302によっ
て案内軸301Dの前部が保持されるようになってい
る。さらに、右枠蓋302の前部にはねじ孔302Bが
設けられており、ねじ815が右外装310Aの前壁3
10A2に設けられているねじ挿通孔310A22を介
してねじ孔302Bに螺合することで右枠蓋302を介
して右枠301の前部と右外装310Aの前壁310A
2が固定されるようになっている。
【0051】また、ねじ816が右外装310Aの右側
壁310A4に設けられているねじ挿通孔310A41
を介して右枠301のねじ孔301Fの上方の箇所に螺
合することで右枠301の右側部と右外装310Aの右
側壁310A4が固定されるようになっている。また、
右枠301の後部左側の壁部にはねじ孔301Hが設け
られており、ねじ817が右外装310Aの後壁310
A3に設けられているねじ挿通孔310A32を介して
ねじ孔301Hに螺合することで右枠301の後部と右
外装310Aの後壁310A3が固定されるようになっ
ている。また、右枠301の後部左側の壁部には後方に
臨む孔部301Jが設けられており、この孔部301J
に次に述べる右後カバー310Cの嵌合凸部310C2
が嵌合されるようになっている。
【0052】右外装部310は、右外装310A、右前
カバー310B、右後カバー310Cなどから構成され
ている。右外装310Aは、底壁310A1と、底壁3
10A1の前後と右の縁部からそれぞれ起立された前壁
310A2、後壁310A3、右側壁310A4と、そ
れらの上部を接続する上壁310A5とから構成されて
いる。
【0053】前壁310A2には、後述する対物レンズ
305Cを外方に臨ませるための開口310A21が形
成され、後壁310A3には、後述する接眼レンズのう
ちの第3レンズ309Cを含む右接眼筒304を進退挿
通するための開口310A31が形成されている。ま
た、上壁310A5の右縁の後方寄りの箇所には前述し
た焦点調整環202、ズーム調整環204を外方に臨ま
せるための凹状の切欠310A51が形成されている。
右前カバー310Bは、開口310B1を上記開口31
0A21に一致させた状態で両面テープ310Dによっ
て前壁310A2の前面側に取着されている。
【0054】また、右後カバー310Cは、開口310
C1を上記開口310A31に一致させた状態で両面テ
ープ310Eによって後壁310A3の後面側に取着さ
れている。なお、図5、図12に示されているように、
右外装310Aの後壁310A3には、右枠301の孔
部301Jに対応した位置に貫通孔310A33が設け
られており、右後カバー310Cの嵌合凸部310C2
が上記貫通孔310A33を介して右枠310の孔部3
01Jに嵌合されることで、右後カバー310Cが右枠
310と右外装310Aに対して位置決めされるように
なっている。また、右外装310Aの底壁310A1の
左縁部の前寄りの箇所には半円形の凹部310A11が
形成されている。この凹部310A11は、視度差化粧
環106と底壁310A1が干渉しないように設けられ
ている。
【0055】対物部305は、右対物枠305A、対物
押え環305B、対物レンズ305Cなどから構成され
ている。右対物枠305Aは、円筒壁状の本体305A
1と、本体305A1の右側部に設けられた第1保持部
305A2と、本体305A1の左側部から後方に延在
する第2保持部305A3と、第2保持部305A3の
前部から左側方に延在する係合部305A4とから構成
されている。本体305A1の内周部は対物レンズ30
5Cの外周縁部を保持するように構成され、この内周部
に形成された雌ねじに対物押え環305Bの外周部に形
成された雄ねじを螺合させることで対物レンズ305C
を本体305A1と対物押え環305Bによって保持す
るようになっている。
【0056】第1保持部305A2は、前述した案内軸
301Aを保持した状態で案内軸301Aの軸線方向に
移動可能に設けられている。第2保持部305A3には
軸受孔305A31が軸心を前後方向に向けて設けら
れ、この軸受孔305A31に案内軸301Dが挿通さ
れている。そして、第2保持部305A3は、案内軸3
01Dを保持した状態で案内軸301Dの軸線方向に移
動可能に設けられている。このため、対物枠305A
は、案内軸301A、301Dに沿って前後方向に移動
可能となるように構成されている。したがって、右対物
枠305Aに保持されている対物レンズ305Cは、右
枠301に対する光軸方向の位置が案内軸301A、3
01Dの軸線方向上の任意の位置に設定することができ
るように構成されている。
【0057】また、係合部305A4は、矩形板状を呈
しその前縁と後縁から下方に向けて係合壁部305A4
1がそれぞれ起立されている。これら2つの係合壁部3
05A41は、互いに間隔をおいて平行をなした状態で
左右方向に延在して設けられている。そして、これら2
つの係合壁部305A41の間には視度差偏心座107
の外周面が挟まれた状態で設けられおり、視度差偏心座
107が回動すると、偏心して回動する視度差偏心座1
07の外周面に各係合壁部305A41が当接して前後
方向に移動されるようになっている。ここで、図18、
図19、図20は、それぞれ双眼鏡の視度差化粧環10
6の中間点マーク106F、プラスマーク106G、マ
イナスマーク106Hの位置を支持板102に設けられ
た基準マーク102Cの位置に合わせるように視度差化
粧環106を調整したときの底面図である。たとえば、
図18と図6に示す右鏡体の側面図に示されているよう
に、視度差偏心座107が回動されると、右対物枠30
5Aは案内軸301A、301Dと一体的に案内軸30
1A、301Dの軸線方向(光軸方向)に沿って前後に
移動され、対物レンズの光軸方向の位置が調整できるよ
うになっている。つまり、右対物枠305Aの右枠30
1に対する移動は、視度差偏心座107が右対物枠30
5Aの係合壁部305A41に係合した状態で、この視
度差偏心座107が視度差化粧環106の軸部106B
を中心として回動することで右対物枠305Aが視度差
偏心座107に連動することで行なわれる。また、図4
に示されているように、視度差化粧環106の中間点マ
ーク106Fの位置を支持板102に設けられた基準マ
ーク102Cの位置に合わせるように視度差化粧環10
6を調整したときに、右対物枠305Aの右枠301に
対する調整範囲の中間点に右対物枠305Aが位置する
ように構成されている。ここで、視度差化粧環106と
視度差偏心座107は、支持板102に固定された底蓋
103に回動可能に支持されている。すなわち、視度差
差偏心座107が回動されると、右対物枠305Aは案
内軸301A、301Dと一体的に案内軸301A、3
01Dの軸線方向(光軸方向)に沿って前後に移動され
るようになっている。
【0058】右移動体303は、矩形状の底壁303A
と、底壁303Aの後縁部から起立された後壁303B
と、底壁303Aの左縁部から起立された側壁303C
とを備えている。底壁303Aの左側縁の前後方向にお
けるほぼ中央には左右方向に延在する係合部303A1
が設けられており、この係合部303A1は、前述した
移動体連動軸216に対してその軸線方向に移動可能に
係合されるようになっている。後壁303Bはその中央
に円形の孔部303B1が設けられている。底壁303
Aの右縁部には、案内軸301Aが挿通される軸受部3
03Dが設けられ、側壁303Bの下部には、案内軸3
01Dが挿通される軸受部303Eが設けられている。
したがって、右移動体303は、軸受部303D、30
3Eがそれぞれ案内軸301A、301Dに案内される
ことで前後方向に移動可能に保持されている。
【0059】プリズム部306は、ホルダ306A、中
間板306B、ホルダ蓋306C、微動板306D、第
1プリズム306E、第2プリズム(ダハプリズム)3
06Fなどから構成されている。ホルダ306Aは、第
1プリズム306Eと第2プリズム306Fの上面およ
び底面を保持する上壁306A1および底壁306A2
と、上壁306A1および底壁306A2の後縁を接続
する矩形状の後壁306A3とを備えて構成されてい
る。
【0060】正立プリズムを構成する第1プリズム30
6Eと第2プリズム306Fは、この順番で光線が通過
するように構成されており、第1プリズム306Eの出
射面と第2プリズム306Fの入射面との間に中間板3
06Bが配置された状態でホルダ306Aの上壁306
A1および底壁306A2に接着されて固定されてい
る。ホルダ蓋306Cは、ホルダ306Aの上壁306
A1および底壁306A2の前縁と側縁を接続するよう
に、前壁306C1および前壁の左右の縁部から後方に
起立された右と左の側壁306C2、306C3から構
成され、第1プリズム306Eの入射面に対向する前壁
306C1には光が通過する開口306C11が設けら
れている。
【0061】ホルダ306Aの後壁306A3にも第2
プリズム306Fから出射される光が通過する開口が設
けられている。ホルダ306Aの後壁306A3の後面
と移動体303の後壁303Bとの間には微動板306
Dが配設されており、その中央には光が通過する開口3
06D1が設けられている。ホルダ306Aの後壁30
6A3には、上記した開口を挟んだ2箇所に後方に臨ん
でねじ孔306A31が形成されている。そして、2つ
のねじ815がばねワッシャ816、ワッシャ817を
介して移動体303の後壁303Bに設けられたねじ挿
通孔303B2と微動板306Dに設けられたねじ挿通
孔306D2を介してホルダ306Aの後壁306A3
の2箇所のねじ孔に螺合することでホルダ306Aが移
動体303に一体的に固定されている。
【0062】また、移動体303の後壁303Bの上
縁、左縁、下縁から後方に向けてそれぞれ突片303B
3が延出されており、これらの突片303B3にはその
厚さ方向にねじ孔303B31が形成されている。右接
眼筒304は、底壁304Aと、底壁304Aの右縁、
左縁、後縁からそれぞれ起立された右側壁304B、左
側壁304C、後壁304Dと、これら右側壁304
B、左側壁304C、後壁304Dの上部を接続する上
壁304Eとから構成されている。底壁304A、右壁
304B、左壁304C、上壁304Eの前縁の部分は
移動体303の後壁303Bが嵌合されるように構成さ
れており、底壁304A、右壁304B、上壁304E
の前縁寄りの箇所にはそれぞれねじ挿通孔304Fが設
けられている。そして、3つのねじ818が各ねじ挿通
孔304Fを介して後壁303Bの各突片303B3に
形成されたねじ孔303B31に螺合することで移動体
303の後壁303Bが右接眼筒304に固定されるよ
うになっている。したがって、右接眼筒304とプリズ
ム部306は、移動体303に一体的に固定されてお
り、これら右接眼筒304、プリズム部306、移動体
303は、右枠301および対物部305に対して案内
軸301A、301Dに沿って光軸方向に移動可能に設
けられている。
【0063】移動体303の後壁303Bの後面と、右
接眼筒304の後壁304Dの前面との間には、互いに
平行をなす2つの案内軸311が前後方向、すなわち光
軸方向に沿って延在した状態で設けられている。第1レ
ンズ部307は、第1レンズ枠307Aと第1レンズ3
07Bから構成されている。第1レンズ枠307Aは、
円筒壁状の本体307A1と、本体307A1の下縁部
から前方に延出された係合用腕部307A2と、本体3
07A1の右縁部と左縁部からそれぞれ後方に延出され
た軸受用腕部307A3、307A4とから構成されて
いる。
【0064】第1レンズ枠307Aの本体307A1の
内周部には第1レンズ307Bの外周縁部が保持され
る。係合用腕部307A2の先端下部には、前述した第
1レンズ連動板213の右側の腕部213Bに設けられ
ている凹溝213Dに係合する係合凸部307A21が
設けられている。係合凸部307A21は凹溝213D
に係合した状態で前後方向には移動不能に、かつ、左右
方向には移動可能となるように構成されている。本体3
07A1の軸受用腕部307A3には案内軸311が挿
通される軸受孔307A11が設けられている。また、
軸受用腕部307A4には案内軸311が挿通される軸
受孔307A41が設けられている。したがって、本体
307A1は、各案内軸311が挿通される軸受孔30
7A11、307A41によって各案内軸311に対し
て前後方向に移動可能に保持されている。
【0065】第2レンズ部308は、第2レンズ枠30
8Aと第2レンズ押え環308Bと第2レンズ308C
とから構成されている。第2レンズ枠308Aは、円筒
壁状の本体308A1と、本体308A1の下縁部から
前方に延出された係合用腕部308A2と、本体308
A1の右縁部に設けられた軸受部308A3と、本体3
08A1の左縁部に設けられた軸受部308A4とから
構成されている。第2レンズ枠308Aの本体308A
1の内周部は第2レンズ308Cの外周縁部を保持する
ように構成され、この内周部に形成された雌ねじに第2
レンズ押え環308Bの外周部に形成された雄ねじを螺
合させることで第2レンズ308Cを本体308A1と
第2レンズ押え環308Bによって保持するようになっ
ている。
【0066】係合用腕部308A2の先端下部には、前
述した第2レンズ連動板214の右側の腕部214Bに
設けられている凹溝214Dに係合する係合凸部308
A21が設けられている。係合凸部308A21は凹溝
214Dに係合した状態で前後方向には移動不能に、か
つ、左右方向には移動可能となるように構成されてい
る。本体308A1の軸受部308A3には案内軸31
1が挿通される軸受孔308A31が設けられている。
また、軸受部308A4には案内軸311が挿通される
軸受孔308A41、308A42が前後に間隔をおい
て設けられている。したがって、本体308A1は、各
案内軸311が挿通される軸受部308A31、308
A41、308A42によって各案内軸311に対して
前後方向に移動可能に保持されている。
【0067】接眼部309は、接眼レンズ枠309A、
接眼レンズ押え環309B、第3レンズ309C、目当
て309Dから構成されている。接眼レンズ枠309A
の内周部は第3レンズ309Cの外周縁部を保持するよ
うに構成され、この内周部に形成された雌ねじ309A
1に接眼レンズ押え環309Bの外周部に形成された雄
ねじ309B1を螺合させることで第3レンズ309C
を接眼レンズ枠309Aと接眼レンズ押え環309Bに
よって保持するようになっている。そして、右接眼筒3
04の後壁304Dには後壁304Dの厚さ方向に貫通
する孔が構成され、その孔の内周部に雌ねじが形成され
ることで取付部304D1が設けられている。そして、
この取付部304D1の雌ねじに、接眼レンズ枠309
Aの外周部に形成された雄ねじ309A2が螺合される
ことで接眼レンズ枠309Aが取付部304D1に取着
されるようになっている。
【0068】右接眼筒304の底壁304Aの上面に
は、第1レンズ枠307Aの係合用腕部307A2の後
方寄りの部分の移動を前後方向に許容する逃げ溝304
A1が前後方向に延在して形成されている。さらに、第
2レンズ枠308Aの係合用腕部308A2の後方寄り
の部分の移動を前後方向に許容する逃げ溝304A2が
上記逃げ溝304A1の左側に前後方向に延在して形成
されている。
【0069】また、図19に示されているように、第1
レンズ枠307Aの係合用腕部307A2の前方寄りの
部分と、第2レンズ枠308Aの係合用腕部308A2
の前方寄りの部分とは、右接眼筒304の底壁304A
の前縁から前方に延出されている。そして、移動体30
3の底壁303Aの下面には、第1レンズ枠307Aの
係合用腕部307A2の前方寄りの部分を前後方向に案
内する案内溝303A2が前後方向に延在して形成され
るとともに、第2レンズ枠308Aの係合用腕部308
A2の前方寄りの部分を前後方向に案内する案内溝30
3A3が前後方向に延在して形成されている。
【0070】したがって、第1レンズ枠307Aの係合
用腕部307A2と第2レンズ枠308Aの係合用腕部
308A2は、移動体303と右接眼筒304によって
前後方向に移動可能に保持されている。上記第1レンズ
枠307Aと第2レンズ枠308Aとが互いに接近する
方向または離間する方向に移動することで対物レンズ3
05C、プリズム部306、第1レンズ307、第2レ
ンズ308、第3レンズ309によって構成される望遠
鏡光学系の倍率が変更されるように構成されている。す
なわち、この望遠鏡光学系において、対物レンズは対物
レンズ305Cによって構成されており、接眼レンズは
第1レンズ307、第2レンズ308、第3レンズ30
9によって構成されている。そして、接眼レンズのう
ち、第1レンズ307と第2レンズ308を光軸方向に
互いに接離する方向に移動させることで望遠鏡光学系の
倍率が変更される。
【0071】次に、左鏡体400を構成する要素のう
ち、右鏡体300を構成する要素と異なる構成を有する
左枠401と左対物枠405Aについて説明する。図1
5に示されているように左枠401は、先に説明した右
枠301と同様に、その後部左側の高さ方向の中間の箇
所に左側の案内軸401Aの後部を保持する保持部40
1Bが設けられている。また、左枠401の前部寄りの
左側の壁部の高さ方向の中間の箇所にはねじ孔401F
が設けられ、このねじ孔401Fに螺合するねじ813
の頭部と左側の壁部との間に案内軸401Aの前部が挟
まれることでこの案内軸401Aが保持されている。左
枠401の前部寄りの左側の壁部の下部には、左枠40
1を左連動板110に取着するねじが螺合されるねじ孔
401Cが設けられている(矢印D参照)。左枠401
には、その後部右側の高さ方向の中間の箇所に右側の案
内軸401D(図16)の後部を保持する保持部401
Eが設けられている(矢印C参照)。
【0072】右枠401の前部の壁部の右上の箇所には
ねじ孔401Gが設けられている。そして、左枠蓋40
2のねじ挿通孔402Aを介してねじ814がねじ孔4
01Gに螺合することで左枠蓋402左枠401の前部
に取着されている。そして、この左枠蓋402によって
案内軸401Dの前部が保持されるようになっている。
さらに、左枠蓋402の前部にはねじ孔402Bが設け
られており、ねじ815が左外装410Aの前壁410
A2に設けられているねじ挿通孔410A22を介して
ねじ孔402Bに螺合することで左枠蓋402を介して
左枠401の前部と左外装410Aの前壁410A2が
固定されるようになっている。
【0073】また、ねじ816が左外装410Aの左側
壁410A4に設けられているねじ挿通孔410A41
を介して左枠401のねじ孔401Fの上方の箇所に設
けられているねじ孔401Iに螺合することで左枠40
1の左側部と左外装410Aの左側壁410A4が固定
されるようになっている。また、左枠401の後部右側
の壁部にはねじ孔401Hが設けられており、ねじ81
7が左外装410Aの後壁410A3に設けられている
ねじ挿通孔を介してねじ孔401Hに螺合することで左
枠401の後部と左外装410Aの後壁410A3が固
定されるようになっている。
【0074】さらに、左枠401の左右の側壁の上部は
ほぼ矩形状の上壁401Jによって接続されており、こ
の上壁401Jの左側前部には平面から見て正円を呈し
上下方向に貫通する円孔部401Kが設けられている。
この円孔部401Kの下方には、後述する左対物枠40
5Aに設けられた係合部405A4が円孔部401Kに
臨むように位置している。
【0075】図16に示されているように左対物枠40
5Aは、円筒壁状の本体405A1と、本体405A1
の左側部に設けられた第1保持部405A2と、本体4
05A1の右側部から後方に延在する第2保持部405
A3とから構成されている。本体405A1の内周部は
対物レンズ405Cの外周縁部を保持するように構成さ
れ、この内周部に形成された雌ねじに対物押え環405
Bの外周部に形成された雄ねじを螺合させることで対物
レンズ405Cを本体405A1と対物押え環405B
によって保持するようになっている。
【0076】第1保持部405A2は、案内軸401A
をその軸線方向に移動可能に保持するように構成されて
いる。さらに詳しく説明すると、第1保持部405A2
は、本体405A1の左側の縁部から外方に向けて突設
された2つの保持片405A21、405A22から構
成されている。保持片405A21、405A22は案
内軸401Aの外周を上下から挟むように構成され、上
側の保持片405A21にはねじ挿通孔405A211
が設けられ、下側の保持片405A22にはねじ孔が設
けられている。左対物枠405が左枠401に組み込ま
れた状態で、上記ねじ挿通孔405A211は、対物枠
405に設けられた長孔401Lを介して上方に臨むよ
うになっている(図15)。そして、保持片405A2
1、405A22によって案内軸401Aが挟まれるこ
とで第1保持部405A2が案内軸401Aに沿って移
動可能となるように構成されている。
【0077】第2保持部405A3には軸受孔405A
31が軸心を前後方向に向けて設けられ、この軸受孔4
05A31に案内軸401Dが挿通されている。そし
て、第2保持部405A3は、案内軸401Dの軸線方
向に移動可能に保持するように構成されている。
【0078】このため、対物枠405Aは、互いに平行
配置される案内軸401A、401Dに沿って前後方向
に移動可能に保持されている。また、左対物枠405A
は、ねじ819が保持片405A21のねじ挿通孔40
5A211を介して保持片405A22のねじ孔に螺合
して保持片405A21、405A22で案内軸401
Aを挟み込むことによって左対物枠405Aの案内軸4
01A、401Dに沿った前後方向の位置を固定するこ
とができるようになっている。この際、図21(A)に
示されているように、左枠401の長孔401Lを介し
てねじ819の頭部が上方に臨んだ状態となっている。
【0079】また、左対物枠405Aの本体405A1
の左側側部の上部には、係合部405A4が設けられて
いる。係合部405A4は、前後方向に並列に間隔をお
いて本体405A1の外方に突設された2つの突片40
5A41、405A42から構成されている。両突片間
には左右方向に延在する凹溝が形成される。
【0080】そして、図22に示す一部を破断した左鏡
体の正面図に示すように、調整用治具1(特許請求の範
囲の第2偏心部材に相当)を左枠401の円孔部401
Kを介して左対物枠405Aの係合部405A4に係合
させ、この調整用治具を回動することで左対物枠405
Aを前後方向に移動させ、左対物レンズ405Cの位置
を調整できるようになっている。すなわち、図22に示
されているように、調整用治具1は、断面円形を呈する
軸状の本体部1A(特許請求の範囲の第2軸部に相当)
と、本体部1Aの先端に本体部1Aの中心軸に対して偏
心した位置から中心軸と平行な方向に向けて突設された
断面円形を呈する軸状の偏心部1B(特許請求の範囲の
第2偏心部に相当)とを有して構成されている。上記偏
心部1Bの径は上記本体部1Aの径よりも小となるよう
に構成されている。
【0081】上記本体部1Aは、円孔部401Kに挿抜
可能に構成され、本体部1Aの円孔部401Kに接する
外周の径は円孔部401Kの径よりもやや小さい径とな
るように構成され、本体部1Aが円孔部401Kを挿通
して本体部1Aの外周が円孔部401Kの縁部に当接す
ることで本体部1Aの中心軸回りに回動されるように設
けられている。そして、図21(B)に示されているよ
うに、本体部1Aを円孔部401Kに挿通し偏心部1B
を左対物枠405Aの係合部405A4に係合させた状
態で調整用治具1を回動すると、偏心部1Bが本体部1
Aの中心軸を中心にして偏心した状態で回動すること
で、この偏心部1Bに係合された左対物枠405Aが偏
心部に連動して前後方向に移動されるようになってい
る。
【0082】次に、上述のように構成された双眼鏡の製
造工程における対物レンズの位置の調整について説明す
る。まず、双眼鏡1000の製造工程において、左枠4
01に左外装410Aが取着されていない段階で、左鏡
体400の望遠鏡光学系における対物レンズの位置の調
整を行う。なお、後述するように、右鏡体300の望遠
鏡光学系の対物レンズの位置の調整については双眼鏡1
000が完成した後、使用者が必要に応じて適宜行うこ
とができるが、左鏡体400の望遠鏡光学系の対物レン
ズの位置の調整については製造工程で一旦調整を行った
後は調整が不能となるようになっている。
【0083】まず、右鏡体の望遠鏡光学系において視度
調整を行う。視度差化粧環106の中間点マーク106
Fを支持板102に設けられた基準マーク102Cの位
置に合わせるように視度差化粧環106を調整する(図
4参照)。これにより、右対物枠305Aが視度調整可
能な範囲の中間点に位置決めされる。次に、前述したよ
うに調整用治具を用いて左鏡体400の左対物枠405
Aの光軸方向の位置を調整する。そして、この状態でね
じ819を左対物枠405Aの保持片405A22のね
じ孔に螺合して左対物枠405Aを案内軸401Aに固
定し、左対物枠405Aの左枠401に対する光軸方向
の位置を固定する。これにより、製品完成後には、左対
物枠405Aの左枠401に対する光軸方向の位置、す
なわち対物レンズの位置が固定される。この状態で左右
の望遠鏡光学系のピント状態がそれぞれ一致することに
なり、左鏡体の望遠鏡光学系に対して右鏡体の望遠鏡光
学系の視度調整範囲が前後にわたって確保される。
【0084】したがって、作業時視度調整を行うための
対物レンズの位置の調整範囲を左鏡体の望遠鏡光学系で
確保し、使用時視度調整を行うための対物レンズの位置
の調整範囲を右鏡体の望遠鏡光学系で確保する。このた
め、左右の望遠鏡光学系の光軸方向の寸法を短縮するこ
とができる。
【0085】次に、上述のように構成された双眼鏡10
00を使用する際の動作について説明する。まず、図
1、図2に示されているように双眼鏡1000の右鏡体
300と左鏡体400が閉じられた状態で右接眼筒30
4と左接眼筒404が外装に収容された状態、すなわち
沈胴状態にあるものとする。使用者は、右の手で右鏡体
300を左の手で左鏡体400をそれぞれ支える。この
際、右手と左手の親指が右外装と左外装の底壁下面を、
右手と左手の他の指が右外装と左外装の上壁上面を、そ
れぞれ下方と上方から挟んで保持することになる。
【0086】ここで、焦点調整環202とズーム調整環
204が双眼鏡1000の左右方向の中心線上に設けら
れている主軸201に、すなわち同一軸線上で隣接して
配設されているため、右手と左手の何れかの人差し指ま
たは中指によってこれら焦点調整環202とズーム調整
環204を回動する場合、右手と左手の何れの指であっ
ても容易に回動の操作が行える利点がある。そして、焦
点調整環202を指によって所定方向に回動させると、
本体202Aと一体的に軸線方向に延設したアーム20
2A1が回動され、アーム202A1の孔状の係合部20
2A11に係合されたボール203が移動軸206の第
1軸部206Aに2条ネジ状に形成されている案内溝2
06A1に沿って移動する。移動軸206のフランジ部
206Cの右側と左側に設けられた凸部206C4、2
06C5は、本体101の右壁101Cと左壁101D
に前後方向に延在して設けられた案内溝部101C1
1、101D11に沿って移動される。そして、各凸部
206C1、206C2が段部101C12、101D
12に当接することで移動軸206の前側位置が規制さ
れ、各凸部206C4、206C5が本体101の後方
の壁部101G1に当接することで後側位置が規制され
る。なお、ボール203がピッチの広い第1溝部206
A11に沿って移動している範囲では焦点調整環202
の回転量に対して移動軸206の移動量が大きく、ボー
ル203がピッチの狭い第2溝部206A12に移動し
ている範囲では焦点調整環202の回転量に対して移動
軸206の移動量が小さくなる。
【0087】カム枠210を取着した移動軸206には
押え板215が一体的に取着され、この押え板215に
は移動体連動軸216が一体的に取着されている。した
がって、移動軸206の移動に連動して右移動体306
と左移動体406が後方に移動される。この結果、右接
眼筒304と左接眼筒404が双眼鏡1000の後方か
ら突出される。この状態で接眼部309、409を両眼
でのぞき、遠方の物体を見ながら右と左の視野が重なっ
て一つになるように右鏡体300と左鏡体400を左右
方向に開くことで眼幅調整を行う。前述したように、右
外装310Aと左外装410Aはそれぞれ右連動板10
9と左連動板110に固定されている。したがって、右
鏡体300と左鏡体400は左右方向に沿って接近する
方向、または離間する方向に連動して移動し、また、双
眼鏡1000の左右方向の中心に対して左右方向に同一
距離だけ移動するため、眼幅調整が容易に行える。左連
動板110の左右方向への移動時に摩擦力が付与される
ことで、眼幅調整時の操作感を向上させることができ
る。
【0088】なお、焦点調整は、焦点調整環202を回
動することで行なわれる。すなわち、焦点調整環202
を回動することで、一体的に固定された右移動体303
と右接眼筒304と接眼部309が右対物枠305Aに
対して光軸方向に移動される。つまり、プリズム部30
6と第1レンズ307Bと第2レンズ308Cと第3レ
ンズ309Cが対物レンズ305Cに対して接離する方
向に移動することで焦点調整が行われる。左鏡体400
においてもこれと同様の焦点調整の動作が同時に行われ
ることはもちろんである。
【0089】また、倍率調整は、ズーム調整環204を
回動することで行なわれる。すなわち、ズーム調整環2
04を回動することで、主軸201が回動されカム環2
07がカム枠210に対して回動する。すると、カム環
207の第1カム溝207Dと第2カム溝207Eにボ
ール210Bを介して係合された第1レンズコマ20
8、第2レンズコマ209がそれぞれ接離する方向に移
動される。その結果、第1レンズコマ208、第2レン
ズコマ209に取着された第1レンズ連動板213、第
2レンズ連動板214と、これら第1レンズ連動板21
3、第2レンズ連動板214に係合された第1レンズ枠
307A、第2レンズ枠308Aとは第1レンズコマ2
08、第2レンズコマ209と連動して互いに接離する
方向に移動される。すなわち、第1レンズ307B、第
2レンズ308Cが互いに接離することで対物レンズ3
05C、プリズム部306、第1レンズ307B、第2
レンズ308C、第3レンズ309Cによって構成され
る望遠鏡光学系の倍率が変更される。左鏡体400にお
いても右鏡体300と同様の構成によってズーム調整の
動作が同時に行われることはもちろんである。
【0090】次に、視度調整の動作について説明する。
まず、左眼だけで左鏡体400の第3レンズ409Cを
のぞいて焦点調整環202を回動して遠方のある目標物
にピントが合うように焦点調整を行う。次に、右眼で右
鏡体300の第3レンズ309Cをのぞいた状態で視度
差化粧環106を回動して上記目標物がはっきり見える
ように調整する。すなわち、視度差化粧環106を回動
して視度差偏心座107を回動させ、右枠301に対す
る対物レンズ305Cの光軸方向の位置を任意の位置に
調整することで視度差の調整を行うことができる。使用
者が同一であれば、一度視度差を調整した後は焦点調整
を行うだけでよい。視度差化粧環106は、支持板10
2の左右方向の中心線上の前側寄りの箇所に位置してい
るため、左右何れかの手の例えば親指で容易に回動操作
することができる。また、視度差化粧環106は、支持
板102の中心線上の前側寄りの箇所に設けられている
ので、焦点調整やズーム調整を操作可能な把持状態での
親指の位置からは十分離間している。このため、不用意
に親指が視度差化粧環106に接触するなどして視度調
整が狂うといったことを防止することができる。
【0091】以上詳述したように本実施の形態によれ
ば、次のような作用効果を奏することができる。双眼鏡
の使用者の左右の眼の視度差に対応して左右の望遠鏡光
学系の視度を調整する使用時視度調整を一方の望遠鏡光
学系の視度調整機構で行い、製造工程において各望遠鏡
光学系の焦点位置のずれを相殺するための製造時視度調
整を他方の望遠鏡光学系の視度調整機構で行うことがで
きる。したがって、使用時視度調整を行うための第1光
学系(本例では対物レンズ)の調整範囲を一方の望遠鏡
光学系で確保し、製造時視度調整を行うための第1光学
系の調整範囲を他方の望遠鏡光学系で確保することがで
きる。このため、従来と違って左右何れか一方の望遠鏡
光学系が使用時視度調整および製造時視度調整を行うた
めの光学系の移動範囲を確保する必要が無く、左右の望
遠鏡光学系の光軸方向の寸法を短縮することができ、双
眼鏡の小型化が可能となる。
【0092】なお、本実施の形態においては、調整用治
具と左対物枠405Aによって本発明の視度調整機構が
構成され、視度差化粧環106、視度差偏心座107、
右対物枠305Aによって本発明の視度調整機構が構成
されている。また、右枠301、左枠401によって特
許請求の範囲の支持部材が構成され、左外装部410に
よって特許請求の範囲の外装部材が構成されている。ま
た、対物レンズ305C、405Cと対物枠305A、
405Aによって特許請求の範囲の第1光学系が構成さ
れ、プリズム部306、406、第1乃至第3レンズ部
307乃至309、407乃至409によって特許請求
の範囲の第2光学系が構成されている。すなわち、本実
施の形態では、第1光学系を対物光学系、第2光学系を
接眼光学系としたが、これと逆に、第1光学系を接眼光
学系、第2光学系を対物光学系としてもよい。また、第
1光学系は対物光学系または接眼光学系を構成する複数
の光学系の一部であってもよい。
【0093】
【発明の効果】本発明は、望遠鏡光学系を構成する複数
の光学系のうち、一部の光学系が視度調整のために前記
光軸方向に移動可能に設けられた第1光学系として構成
され、前記第1光学系を光軸方向に移動させることで前
記視度調整を行う視度調整機構が前記2つの望遠鏡光学
系にそれぞれ独立して設けられ、一方の前記望遠鏡光学
系の視度調整機構にのみ、前記双眼鏡の外装部材の外方
に臨む形態で設けられ、手動調整操作可能な操作部材を
有することを特徴とする。そのため、双眼鏡の使用者の
左右の眼の視度差に対応して左右の望遠鏡光学系の視度
を調整する使用時視度調整を一方の望遠鏡光学系の視度
調整機構で行い、製造工程において各望遠鏡光学系の焦
点位置のずれを相殺するための製造時視度調整を他方の
望遠鏡光学系の視度調整機構で行うことができる。した
がって、使用時視度調整を行うための第1光学系の調整
範囲を一方の望遠鏡光学系で確保し、製造時視度調整を
行うための第1光学系の調整範囲を他方の望遠鏡光学系
で確保することができる。このため、従来と違って左右
何れか一方の望遠鏡光学系が使用時視度調整および製造
時視度調整を行うための光学系の移動範囲を確保する必
要が無く、左右の望遠鏡光学系の光軸方向の寸法を短縮
することができ、双眼鏡の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の双眼鏡の実施の形態において右鏡体と
左鏡体が閉じられ右接眼筒と左接眼筒が収容された状態
を示す外観図であり、図1(A)は平面図、図1(B)
は図1(A)を矢印A1方向から見た状態を示す前面
図、図1(C)は図1(A)を矢印A2方向から見た状
態を示す側面図である。
【図2】図1と同じ状態を示す双眼鏡の外観図であり、
図2(A)は下面図、図2(B)は図2(A)を矢印A
3方向から見た状態を示す背面図である。
【図3】本発明の双眼鏡の実施の形態において右鏡体と
左鏡体が開かれて右接眼筒と左接眼筒が最も繰り出され
た状態を示す外観図であり、図3(A)は平面図、図3
(B)は図3(A)を矢印B1方向から見た状態を示す
前面図、図3(C)は図3(A)を矢印B2方向から見
た側面図、図3(D)は図3(A)を矢印B3方向から
見た側面図である。
【図4】図3と同じ状態を示す双眼鏡の外観図であり、
図4(A)は下面図、図4(B)は図4(A)を矢印B
4方向から見た状態を示す背面図、図4(C)は図4
(A)を矢印B5から見た状態を示す側面図である。
【図5】双眼鏡の一部を破断した状態を示す部分断面図
である。
【図6】図5のXX線断面図である。
【図7】双眼鏡の全体構成を示す分解斜視図である。
【図8】支持部の一部を示す分解斜視図である。
【図9】支持部と光学調整部の一部を示す分解斜視図で
ある。
【図10】光学調整部の構成を示す分解斜視図である。
【図11】光学調整部の一部と上板の構成を示す分解斜
視図である。
【図12】右鏡体の主として右外装部の構成を示す分解
斜視図である。
【図13】右鏡体の主として右移動体、右対物部、プリ
ズム部の構成を示す分解斜視図である。
【図14】右鏡体の主として第1レンズ部、第2レンズ
部、接眼部の構成を示す分解斜視図である。
【図15】左鏡体の主として左外装部の構成を示す分解
斜視図である。
【図16】左鏡体の主として左対物部、第1レンズ部、
第2レンズ部の構成を示す分解斜視図である。
【図17】左鏡体の主として第1レンズ部、第2レンズ
部、接眼部の構成を示す分解斜視図である。
【図18】視度差化粧環の中間点マークを基準マークの
位置に合わせた状態における双眼鏡の底面図である。
【図19】視度差化粧環のプラスマークを基準マークの
位置に合わせた状態における双眼鏡の底面図である。
【図20】視度差化粧環のマイナスマークを基準マーク
の位置に合わせた状態における双眼鏡の底面図である。
【図21】作業時視度調整の動作の説明図であり、図2
1(A)は左鏡体の一部を破断した平面図、図21
(B)は治具挿入状態を説明するための要部拡大図であ
る。
【図22】作業時視度調整の動作を説明する一部を破断
した左鏡体の正面図である。
【符号の説明】
1000 双眼鏡 106 視度差化粧環 107 視度差偏心座 300 右鏡体 301 右枠 305C 対物レンズ 400 左鏡体 405C 対物レンズ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右2つの望遠鏡光学系を備え、 前記2つの望遠鏡光学系はそれぞれ光軸方向に並べられ
    た複数の光学系を有して構成される双眼鏡において、 前記望遠鏡光学系を構成する複数の光学系のうち、一部
    の光学系が視度調整のために前記光軸方向に移動可能に
    設けられた第1光学系として構成され、 前記第1光学系を光軸方向に移動させることで前記視度
    調整を行う視度調整機構が前記2つの望遠鏡光学系にそ
    れぞれ独立して設けられ、 一方の前記望遠鏡光学系の視度調整機構にのみ、前記双
    眼鏡の外装部材の外方に臨む形態で設けられ、手動調整
    操作可能な操作部材を有する、 ことを特徴とする双眼鏡。
  2. 【請求項2】 前記2つの望遠鏡光学系のうち他方の望
    遠鏡光学系の視度調整機構は、視度調整が行われた後で
    前記第1光学系の前記光軸方向の位置が固定されるよう
    に構成されていることを特徴とする請求項1記載の双眼
    鏡。
  3. 【請求項3】 前記2つの望遠鏡光学系は前記第1光学
    系と独立して設けられた第2光学系をそれぞれ備え、前
    記2つの第2光学系は焦点調整のために前記光軸方向に
    連動して移動可能に設けられていることを特徴とする請
    求項1または2記載の双眼鏡。
  4. 【請求項4】 前記第1光学系は対物光学系であり、前
    記第2光学系は接眼光学系であることを特徴とする請求
    項3記載の双眼鏡。
  5. 【請求項5】 前記一方の望遠鏡光学系の視度調整機構
    は、第1軸部と該第1軸部に対して偏心した第1偏心部
    とが一体的に設けられた第1偏心部材が前記第1軸部を
    中心として回動可能に設けられ、前記第1偏心部は前記
    第1光学系に係合して設けられ、前記第1光学系の前記
    光軸方向への移動は、前記第1偏心部材が前記第1光学
    系に係合した状態で前記第1軸部を中心として回動する
    ことで前記第1光学系が前記第1偏心部に連動すること
    によって行なわれることを特徴とする請求項1乃至4に
    何れか1項記載の双眼鏡。
  6. 【請求項6】 前記操作部材は前記第1偏心部材によっ
    て構成されることを特徴とする請求項5記載の双眼鏡。
  7. 【請求項7】 前記他方の望遠鏡光学系の視度調整機構
    は、第2軸部と該第2軸部に対して偏心した第2偏心部
    とが一体的に設けられた第2偏心部材が前記第2軸部を
    中心として回動可能に設けられ、前記第2偏心部は前記
    第1光学系のに係合可能に設けられ、前記第1光学系の
    前記光軸方向への移動は、前記第2偏心部材が前記第1
    光学系に係合した状態で前記第2軸部を中心として回動
    することで前記第1光学系が前記第2偏心部に連動する
    ことによって行なわれることを特徴とする請求項1乃至
    6に何れか1項記載の双眼鏡。
  8. 【請求項8】 前記他方の望遠鏡光学系の第1光学系を
    前記光軸方向に移動可能に支持する支持部材が設けら
    れ、前記支持部材に前記第2軸部を回動可能に支持する
    軸受孔が設けられ、前記第2偏心部材の回動は前記第2
    軸部が前記軸受孔に支持された状態で行なわれることを
    特徴とする請求項7記載の双眼鏡。
  9. 【請求項9】 前記第2偏心部材は前記第2軸部が前記
    軸受孔に対して挿抜可能に設けられていることを特徴と
    する請求項8記載の双眼鏡。
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