JP2001249126A - 免疫状態の確認方法 - Google Patents

免疫状態の確認方法

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JP2001249126A JP2000060063A JP2000060063A JP2001249126A JP 2001249126 A JP2001249126 A JP 2001249126A JP 2000060063 A JP2000060063 A JP 2000060063A JP 2000060063 A JP2000060063 A JP 2000060063A JP 2001249126 A JP2001249126 A JP 2001249126A
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靖 高森
Junko Kishi
惇子 岸
Shoichi Takano
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ナチュラルキラー細胞や細胞傷害性Tリンパ球
自体の活性を指標とする、簡便かつ確実な免疫状態を確
認する方法を提供すること。 【解決手段】ナチュラルキラー細胞および/または細胞
傷害性Tリンパ球における殺細胞活性分子の発現レベル
を検出して、この検出結果と検体提供者の免疫状態を関
連づけて検体提供者の免疫状態を確認する免疫状態の確
認方法を提供することにより、上記の課題を解決し得る
ことを見出した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、癌や感染症の状態
に関連する免疫状態を確認する方法に関する発明であ
る。
【0002】
【従来の技術】癌や感染症に対する治療方針の決定のみ
ならず、治療を施した後の予後(治癒するか、慢性化・
悪性化するか)は、非常に重要な問題であり、これら
は、宿主の免疫状態、とりわけ、ナチュラルキラー細胞
(以下、NK細胞ともいう)・細胞傷害性Tリンパ球
(以下、CTLともいう)やヘルパーT細胞等の免疫細
胞の機能が正常であるか否かに大きく左右されると考え
られる。
【0003】免疫細胞の中でも、NK細胞やCTLは、
細胞内寄生病原体(ウイルス、クラミジア、結核菌等)
や腫瘍細胞を排除する生体防御機構において中心的役割
を果たしている。
【0004】よって、これらの感染症や腫瘍に対する治
療方針の決定や予後を予測する上で、患者のNK細胞な
いしCTLの機能が正常範囲にあるか否かに関して正確
な情報を得ることは、特に重要である。
【0005】現在、このNK細胞ないしCTLの機能に
関する試験として、「細胞傷害活性試験」が行われてい
る。細胞傷害活性試験は、主に、NK細胞やCTLの標
的細胞に対する細胞傷害活性の指標となるもので、細胞
性免疫能を測定する上では重要な試験である。この細胞
傷害性試験は、例えば、51Crでラジオアイソトープ標
識した特定の標的(K562細胞やMolt−4細胞
等)とリンパ球(エフェクター)とを混合し、その結
果、傷害を受けた細胞から遊離してくる51Crに由来す
るラジオアイソトープ量を測定することにより行われて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、細胞傷
害活性試験には、問題点も少なからず認められる。すな
わち、第一に、ラジオアイソトープを用いていることが
挙げられる。つまり、細胞傷害活性試験は、ラジオアイ
ソトープ実験室での作業となり、身体および周辺への放
射能汚染といった安全性における問題と、それに伴う試
薬類の購入ないし使用の制限といった問題が認められ、
必然的にかなりの制約が伴うこととならざるを得ない。
【0007】第二に、細胞傷害活性試験は、細胞と細胞
の混合系での試験であり、アッセイ間のバラツキが多
く、そのために、試験系を数多く設定する必要がある。
また、同一検体において、リンパ球と標的細胞の混合比
を複数種類設定する必要もある。つまり、細胞傷害性試
験においては、アッセイ数自体を多くせざるを得ないと
いう問題が認められる。
【0008】第三に、細胞傷害性試験では、細胞に対す
る傷害の程度を指標とする試験で、NK細胞やCTL自
体の活性を指標としていないので、この試験により得ら
れる結果が、一体何を意味するのかが、あいまいであ
る。実際に、健常人より癌患者の方が、NK活性が高値
を示す例も報告されており、疾患との関連性もわかって
いない。
【0009】本発明が解決しようとする課題は、NK細
胞やCTL自体の活性を指標とする、簡便かつ確実な免
疫状態を確認する方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】最近の知見として、NK
細胞やCTLにより誘導される細胞死においては、種々
の顆粒タンパク質が標的細胞に向かって放出されること
が知られている。例えば、まず、パーフォリンが標的細
胞の膜透過性を高め、次に、グランザイムB等の一群の
殺細胞活性分子が標的細胞に入り、細胞死を誘導すると
考えられている。
【0011】本発明者は、このNK細胞やCTLが、標
的細胞に細胞死を惹き起こすために放出する一連の物
質、すなわち、殺細胞活性分子が、NK細胞やCTLの
状態を把握するための鍵となるのではないかと考え、鋭
意検討を重ねた。
【0012】その結果、殺細胞活性分子の発現レベルを
検出して、この検出結果を指標とすることで、NK細胞
やCTL自体の活性を把握して、検体提供者の免疫状態
を確認することが可能であることを見出した。
【0013】すなわち、本発明者は、本願において、N
K細胞および/またはCTLにおける殺細胞活性分子の
発現レベルを検出して、この検出結果と検体提供者の免
疫状態を関連づけて検体提供者の免疫状態を確認する、
免疫状態の確認方法(以下、本発明確認方法ともいう)
を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明において、検体提供者の免疫状態を
確認するための指標となる殺細胞活性分子は、NK細胞
やCTLが、癌細胞や感染微生物等の標的細胞を攻撃す
る際に、脱顆粒を起こして放出される分子であり、具体
的には、パーフォリン、グランザイムB、グラニュライ
シン等を挙げることができる。
【0015】パーフォリンは、前述したように、標的細
胞の膜透過性を高める殺細胞活性分子である。パーフォ
リンは、細胞傷害性顆粒に局在する分子量70万のタン
パク質で、脱顆粒後、標的細胞膜にポアを形成し、その
膜透過性を向上させることが知られている(C.C.L.u, et
al.,Immunol.Today 16,194-201(1995))。パーフォリン
に対する抗体は、現在までに報告されている知見を基
に、常法により調製することが可能であり、市販もされ
ている(Ancell 社等)。
【0016】グランザイムBは、細胞傷害性顆粒に局在
する分子量29万のセリンプロテアーゼで、特定のカス
パーゼを活性化し、細胞死を誘導することが知られてい
る(Darmon,A.J.et al.,Nature,377:446-448(1995))。グ
ランザイムBに対する抗体は、現在までに報告されてい
る知見を基に、常法により調製することが可能であり、
市販もされている(PHARMACELL 社等)。
【0017】グラニュライシンは、細胞傷害性顆粒に局
在する分子量15万のタンパク質で、顆粒内では切断さ
れて、主に分子量9万のタンパク質として存在してい
る。グラニュライシンには、細胞傷害活性と抗菌活性が
認められている(Pena SV.,et al.,J.Immunol.,158,2680
-2688(1995))。グラニュライシンに対する抗体も、現在
までに報告されている知見を基に、常法により調製する
ことが可能である(具体的には、後述する)。
【0018】本検出方法は、殺細胞活性分子として、単
一種類の殺細胞活性分子のみを選択して行うことも可能
であるが、複数種類の殺細胞活性分子を組み合わせて行
うことも可能である。単一種類の殺細胞活性分子を選択
する場合、グラニュライシンの発現レベルを検出するこ
とで、より的確に、検体提供者の免疫状態を把握するこ
とが可能であると考えられる。パーフォリンの発現レベ
ルが正常でも、グラニュライシンの発現レベルが低下し
ていれば、細胞死が効率的に誘導できず、パーフォリン
の発現レベルが低下している検体提供者は、グラニュラ
イシンの発現レベルも低下している割合が高いからであ
る。
【0019】しかしながら、個々の殺細胞活性分子が異
なる役割を細胞死において演じていることを考えると、
複数の殺細胞活性分子の発現レベルについて検出するこ
とが、より的確に検体提供者の免疫状態を確認すること
ができると考えられる。特に、細胞膜の透過性を向上さ
せる役割を演じ、いわば、露払い的な役割を行うと考え
られているパーフォリンと、細胞内において細胞死を誘
導すると考えられ得るグラニュライシン等の発現レベル
を双方検出することは、本検出方法の好適な態様の一つ
である。
【0020】NK細胞および/またはCTLにおける殺
細胞活性分子の発現レベルの検出は、例えば、検体中の
NK細胞および/またはCTLを分離して、この分離物
における殺細胞活性分子の発現レベルを検出することに
よって行うことができる。
【0021】本発明検出方法において用いる検体は、少
なくとも、NK細胞および/またはCTLが含まれてい
る検体、すなわち、血液検体である。血液検体から、常
法により、NK細胞および/またはCTLを含む画分を
分離して、これを殺細胞活性分子の発現レベルの検出に
用いることができる。
【0022】殺細胞活性分子の発現レベルの検出手段
は、特に限定されず、例えば、NK細胞および/または
CTLを直接用い得るフローサイトメトリー解析;ウエ
スタンブロット法による解析;可溶化物等を用いるEI
A法やRIA法によつ解析;PCR法等の遺伝子増幅法
を用いた遺伝子解析等を例示することができる。これら
の検出手段の中でも、その簡便性と正確性故に、フロー
サイトメトリー解析を選択することが好適である。
【0023】かかるフローサイトメトリー解析をする際
には、特定の殺細胞活性分子に対する蛍光分析を試みる
と同時に、特定の殺細胞活性分子に対するマーカーによ
り、特定の殺細胞活性分子を分別することが好ましい。
【0024】例えば、NK細胞に対するマーカーとし
て、CD16、CD56等を、CTLに対するマーカー
として、CD3、CD8等を挙げることができる。フロ
ーサイトメトリー解析をはじめ、殺細胞活性分子の発現
レベルを検出する際には、対象となる殺細胞活性分子に
対する抗体を用いるべきことが多い。このような抗体の
調製は、上述したように、常法により行うことができ
る。
【0025】典型的には、殺細胞活性分子に対するポリ
クローナル抗体は、選択した殺細胞活性分子の全部また
は一部を免疫抗原として、免疫した動物に由来する免疫
血清から製造することができる。
【0026】殺細胞活性分子に対するモノクローナル抗
体は、上記のポリクローナル抗体と同様の方法で、免疫
した動物の免疫細胞と動物の骨髄腫細胞とのハイブリド
ーマを作出し、これにより殺細胞活性分子を認識する抗
体を産生するクローンを選択し、このクローンを培養す
ることにより製造することができる。
【0027】また、免疫される動物も特に限定されるも
のではなく、マウス,ラット等を広く用いることができ
るが、モノクローナル抗体を製造する場合には、細胞融
合に用いる骨髄腫細胞との適合性を考慮して選択するこ
とが望ましい。
【0028】免疫は一般的方法により、例えば上記免疫
抗原を免疫の対象とする動物に静脈内,皮内,皮下,腹
腔内注射等で投与することにより行うことができる。よ
り具体的には、上記免疫抗原を所望により通常のアジュ
バントと併用して、免疫の対象とする動物に2〜14日
毎に上記手段により数回投与し、ポリクローナル抗体製
造のための免疫血清またはモノクローナル抗体製造のた
めの免疫細胞、例えば免疫後の脾臓細胞を得ることがで
きる。
【0029】モノクローナル抗体を製造する場合、この
免疫細胞と細胞融合する他方の親細胞としての骨髄腫細
胞としては、既に公知のもの、例えばSP2/0−Ag
14,P3−NS1−1−Ag4−1,MPC11−4
5,6.TG1.7(以上、マウス由来);210.R
CY.Ag1.2.3(ラット由来);SKO−00
7,GM15006TG−A12(以上、ヒト由来)等
を用いることができる。
【0030】上記免疫細胞とこの骨髄腫細胞との細胞融
合は、通常公知の方法、例えばケーラーとミルシュタイ
ンの方法(Kohler,G. and Milstein,C.,Nature,256,495
(1975))等に準じて行うことができる。
【0031】より具体的には、この細胞融合は、通常公
知の融合促進剤、例えばポリエチレングリコール(PE
G),センダイウイルス(HVJ)等の存在下におい
て、融合効率を向上させるためにジメチルスルホキシド
等の補助剤を必要に応じて添加した通常の培養培地中で
行い、ハイブリドーマを調製する。
【0032】所望のハイブリドーマの分離は、通常の選
別用培地、例えばHAT(ヒポキサンチン,アミノプテ
リンおよびチミジン)培地で培養することにより行うこ
とができる。すなわち、この選別用培地において目的と
するハイブリドーマ以外の細胞が死滅するのに十分な時
間をかけて培養することによりハイブリドーマの分離を
行うことができる。このようにして得られるハイブリド
ーマは、通常の限界希釈法により目的とするモノクロー
ナル抗体の検索および単一クローン化に供することがで
きる。
【0033】目的とするモノクローナル抗体産生株の検
索は、例えばELISA法,プラーク法,スポット法,
凝集反応法,オクタロニー法,RIA法等の一般的な検
索法に従い行うことができる。
【0034】このようにして得られる殺細胞活性分子を
認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ
は、通常の培地で継代培養することが可能であり、さら
に液体窒素中で長時間保存することもできる。
【0035】ハイブリドーマからのモノクローナル抗体
の採取は、ハイブリドーマを常法に従って培養して、そ
の培養上清として得る方法や、ハイブリドーマをこのハ
イブリドーマに適合性が認められる動物に投与して増殖
させ、その腹水として得る方法等を用いることができ
る。
【0036】上述のようにして得られるポリクローナル
抗体およびモノクローナル抗体は、更に塩析,ゲル濾過
法,アフィニティクロマトグラフィー等の通常の手段に
より精製することができる。
【0037】このようにして得られるポリクローナル抗
体ないしモノクローナル抗体は、選択した殺細胞活性分
子に特異反応性を有する抗体である。また、かかる殺細
胞活性分子に対するポリクローナル抗体ないしモノクロ
ーナル抗体に、必要に応じて標識処理、すなわち、酵素
標識処理、蛍光標識処理、アイソトープ標識処理等を、
常法に従い行うことができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、こ
の実施例により、本発明の技術的範囲は限定されない。 〔参考例〕 グラニュライシンに対するポリクローナル
抗体の作製 グラニュライシンの部分アミノ酸配列(29アミノ酸)
(J.Immunol.,158:2680-2688(1997)):Arg Thr Gly Ar
g Ser Arg Trp Arg Asp Val Cys Arg Asn PheMet Arg A
rg Tyr Gln Ser Arg Val Thr Gln Gly Leu Val Ala Gly
(N5−1:配列番号1)の傘貝ヘモシアニンとの結
合体を、ウサギに常法に従って免疫し、抗血清を得た。
得られた抗血清について、硫安沈澱およびプロテインG
カラムによる精製を行い、さらに上記の合成ペプチド
(N5−1)を結合したカラムによるアフィニティーク
ロマトグラフィーによる精製を行い、グラニュライシン
に対するポリクローナル抗体(抗N5−1抗体)を得
た。
【0039】〔試験例〕 フローサイトメトリー法によ
る免疫状態の確認 健常者8名、癌患者8名から、新鮮末梢血を3mLずつ採
取し、そのリンパ球を、リューコセップカラム(グライ
ナー社製)およびセパレートL(ムトウ化学社製)を用
いて分離し、リンパ球の表面抗原であるCD3とCD1
6を、それぞれ、Peridinin chlorophyll protein(PerC
P)標識CD3モノクローナル抗体とFITC標識CD16モ
ノクローナル抗体(両モノクローナル抗体共、ファーミ
ンジエン社製)で染色した。
【0040】次に、各検体提供者のリンパ球を、4%パ
ラフォルムアルデヒド/PBS(−)で固定後、0.5
%Tween20/PBS(−)で膜透過性を高めた
後、グラニュライシンに対しては、上記の抗N5−1抗
体を10μg/mLで反応させ(コントロールとしてノーマ
ルラビットIgG を10μg/mLで反応させた)、次いで、
抗N5−1抗体が結合したグラニュライシンに、Phycoe
rythrin(PE) 標識抗ラビット抗体を結合させた。そし
て、その蛍光を、フローサイトメトリーによって、グラ
ニュライシンとして検出した。
【0041】パーフォリンに対しては、PE標識抗パー
フォリンモノクローナル抗体(Ancell社製)を反応させ
た(コントロールとしてPE標識ノーマルマウスIgG を
反応させた)。そして、そのPEによる蛍光を、フロー
サイトメトリーによって、パーフォリンとして検出し
た。
【0042】結果を、第1図〜第4図に示す。結果の検討1 パーフォリンのみに着目すると、健常人8名には、パー
フォリンの発現レベルの低下は認められなかったが、癌
患者8名中2名に、パーフォリンの発現レベルの低下が
認められた。
【0043】第1図は、このパーフォリンの発現レベル
の低下が認められた癌患者2名のフローサイトメトリー
の結果を示している〔癌患者1,癌患者2〕。また、比
較のために、健常人2名の結果をピックアップして示し
ている〔健常人1,健常人2〕。
【0044】第1図では、横軸にNKマーカーであるC
D16についての蛍光強度(FITCによる蛍光)を示
し、縦軸にパーフォリンについての蛍光強度(PEによ
る蛍光)を示した、フローサイトメトリーの結果を示し
ている。
【0045】健常者1および健常者2では、NK細胞
(FITCによる蛍光が認められた図中の縦線よりも右
側の群)において、パーフォリンの発現レベルを示すP
Eの蛍光強度が一定レベルであった。これに対して、癌
患者では、NK細胞におけるパーフォリンの発現レベル
が低下しており、特に、癌患者2では、この発現レベル
が低下していることが判明した。
【0046】結果の検討2 癌患者8名中、上記の癌患者1・2を除く6名では、パ
ーフォリンの発現レベルの低下が殆ど認められなかっ
た。
【0047】しかしながら、これらのパーフォリンの発
現レベルの低下が認められなかった癌患者6名につい
て、グラニュライシンの発現レベルの低下を検討したと
ころ、これら6名全員のグラニュライシンの発現レベル
が低下していることがわかった。
【0048】第2図は、横軸にNKマーカーであるCD
16についての蛍光強度(FITCによる蛍光)を示
し、縦軸にパーフォリン(左側)およびグラニュライシ
ン(右側)についての蛍光強度(共にPEによる蛍光)
を示した、フローサイトメトリーの結果を示している。
【0049】健常者3(健常人8名のうち、健常人1・
2を除く6名から無作為に抽出した)では、NK細胞
(FITCによる蛍光が認められた図中の縦線よりも右
側の群)においても、CTL(前記縦線よりも左側の
群)においても、パーフォリン(上段)およびグラニュ
ライシン(下段)の発現レベルを示すPEの蛍光強度が
一定レベルであった。これに対して、癌患者3(癌患者
8名のうち、癌患者1・2を除く6名から無作為に抽出
した)では、パーフォリンの発現レベルは、健常人3と
ほどんど変わらないレベルであったが、グラニュライシ
ンの発現レベルは、明らかに低下していることが明らか
になった。
【0050】第3図と第4図は、健常人8名のうち、健
常人1・2を除く6名と、癌患者8名のうち、癌患者1
・2を除く6名全員の、パーフォリンの発現レベルとグ
ラニュライシンの発現レベルを図示したものである(第
4図は、第3図の結果を健常人と癌患者についの平均を
求めた結果を示している)。第3図、第4図共、左側の
淡色のグラフ棒がパーフォリンの発現レベルを示し、右
側の白抜きのグラフ棒がグラニュライシンの発現レベル
を示している。また、第3図、第4図共、縦軸は、CD
16に対して陽性であるリンパ球(NK細胞に該当す
る)において、パーフォリンまたはグラニュライシンが
陽性であるものの割合(%)である。
【0051】第3図と第4図から、健常人は、パーフォ
リン、グラニュライシンの発現レベルは、共に低下が認
められなかったが、癌患者においては、パーフォリンの
発現レベルの低下が認められなくても、グラニュライシ
ンの有意な発現レベルの低下が認められたことがわかる
〔癌患者1・2のグラニュライシンの発現レベルも有意
に低下していた(図示せず)〕。
【0052】一般に、細胞死には、パーフォリンが働く
ことが不可欠ではある(Science,vol286,1957-1959(199
9))が、パーフォリンだけでは効率良く誘導されず、他
の殺細胞活性分子が働いてはじめて完全に誘導される。
事実、免疫療法等により、NK細胞やCTLの細胞傷害
のレベルは、細胞傷害活性試験によって良好であると判
断されているにもかかわらず、予後が良好でない癌患者
も少なからず認められるのは、前述した通りである。こ
れは、まさに、細胞傷害試験が、パーフォリンによる細
胞傷害レベルのみを反映していることに起因しているも
のとも考えられる。本検出方法では、NK細胞やCTL
におけるパーフォリンの発現レベルのみならず、グラニ
ュライシン等の他の殺細胞活性分子の発現レベルをも、
簡便に確認することができるので、検体提供者の真の免
疫状態を把握し、本検出方法を行った後の治療計画を的
確に立案することが可能となる。
【0053】すなわち、これらの結果より、本検出方法
により、検体提供者の免疫状態を、簡便かつ的確に確認
することが可能であることが示された。
【0054】
【発明の効果】本発明により、検体提供者の免疫状態
を、簡便かつ的確に確認することが可能な手段が提供さ
れる。
【0055】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> BML, INC. <120> Method of Confirming Immune State <130> pbm46 <140> <141> <160> 1 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 29 <212> PRT <213> Homo sapiens <400> 1 Arg Thr Gly Arg Ser Arg Trp Arg Asp Val Cys Arg Asn Phe Met Arg 1 5 10 15 Arg Tyr Gln Ser Arg Val Thr Gln Gly Leu Val Ala Gly 20 25
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸にNKマーカーであるCD16についての
蛍光強度を示し、縦軸にパーフォリンについての蛍光強
度を示した、フローサイトメトリーの結果を示す図面で
ある。
【図2】横軸にNKマーカーであるCD16についての
蛍光強度を示し、縦軸にパーフォリンまたはグラニュラ
イシンについての蛍光強度を示した、フローサイトメト
リーの結果を示す図面である。
【図3】健常人とパーフォリンの発現レベルの低下が認
められなかった癌患者に対して、グラニュライシンの発
現レベルについての検討を行った結果を、検体提供者個
々に対して図示した図面である。
【図4】健常人とパーフォリンの発現レベルの低下が認
められなかった癌患者に対して、グラニュライシンの発
現レベルについての検討を行った結果を、検体提供者全
員の結果を総合して検討した図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸 惇子 京都府京都市左京区田中門前町103−5 財団法人ルイ・パストゥール医学研究セン ター内 (72)発明者 高野 昇一 埼玉県川越市的場1361番地1 株式会社ビ ー・エム・エル総合研究所内 Fターム(参考) 2G045 AA02 AA25 AA26 AA40 CA01 CA18 DA36 DA77 DA78 FA37 FB03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナチュラルキラー細胞および/または細
    胞傷害性Tリンパ球における殺細胞活性分子の発現レベ
    ルを検出して、この検出結果と検体提供者の免疫状態を
    関連づけて検体提供者の免疫状態を確認する、免疫状態
    の確認方法。
  2. 【請求項2】 殺細胞活性分子が、グラニュライシン、
    パーフォリンおよびグランザイムBからなる群から選ば
    れる1種または2種以上である、請求項1記載の免疫状
    態の確認方法。
  3. 【請求項3】 殺細胞活性分子が、グラニュライシンで
    ある、請求項1記載の免疫状態の確認方法。
  4. 【請求項4】 ナチュラルキラー細胞および/または細
    胞傷害性Tリンパ球における殺細胞活性分子の発現レベ
    ルを、フローサイトメトリー解析により検出して、この
    検出結果と検体提供者の免疫状態を関連づけて検体提供
    者の免疫状態を確認する、請求項1〜3のいずれかの請
    求項記載の免疫状態の確認方法。
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