JP2001248546A - 斜板式圧縮機の斜板における皮膜形成方法 - Google Patents
斜板式圧縮機の斜板における皮膜形成方法Info
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- JP2001248546A JP2001248546A JP2000058693A JP2000058693A JP2001248546A JP 2001248546 A JP2001248546 A JP 2001248546A JP 2000058693 A JP2000058693 A JP 2000058693A JP 2000058693 A JP2000058693 A JP 2000058693A JP 2001248546 A JP2001248546 A JP 2001248546A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】斜板のシューとの摺接面に対する金属材料皮膜
の形成技術としての汎用性に優れると共に、手間、時間
及びコストの効果的な削減が可能となる斜板式圧縮機の
斜板における皮膜形成方法を提供すること。 【解決手段】斜板ワーク10Wの被加工面32Bよりも
軟質な金属材料からなる供給体40を準備する。供給体
40を回転させた状態で斜板ワーク10Wの被加工面3
2Bに圧接させ、供給体40から斜板ワーク10Wに前
記金属材料の一部を転移させる。さらには斜板ワーク1
0Wを回転させることで、供給体40と被加工面32B
との間に同被加工面32Bの周方向への相対移動を生じ
させて、供給体40から環状の被加工面32B全体に金
属材料を順次転移してゆく。
の形成技術としての汎用性に優れると共に、手間、時間
及びコストの効果的な削減が可能となる斜板式圧縮機の
斜板における皮膜形成方法を提供すること。 【解決手段】斜板ワーク10Wの被加工面32Bよりも
軟質な金属材料からなる供給体40を準備する。供給体
40を回転させた状態で斜板ワーク10Wの被加工面3
2Bに圧接させ、供給体40から斜板ワーク10Wに前
記金属材料の一部を転移させる。さらには斜板ワーク1
0Wを回転させることで、供給体40と被加工面32B
との間に同被加工面32Bの周方向への相対移動を生じ
させて、供給体40から環状の被加工面32B全体に金
属材料を順次転移してゆく。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば空調装置の
冷凍サイクルを構成する斜板式圧縮機に用いられ、シュ
ーを介してピストンを連結する構成の斜板に関し、特
に、斜板におけるシューとの摺接面に金属材料よりなる
皮膜を形成するための皮膜形成方法に関する。
冷凍サイクルを構成する斜板式圧縮機に用いられ、シュ
ーを介してピストンを連結する構成の斜板に関し、特
に、斜板におけるシューとの摺接面に金属材料よりなる
皮膜を形成するための皮膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】斜板式圧縮機(以下単に圧縮機とする)
の内部機構を構成する斜板とシューとの間の摺動部位の
潤滑は、通常、その内部に保持された潤滑オイルを圧縮
機の運転に伴って流通するガス(例えばフロンガス等の
冷媒ガス)でミスト化し、そのミスト化したオイルを摺
動部位に搬送することでまかなわれている。しかし、圧
縮機を運転停止状態で長時間放置した後に再起動するよ
うな場合には、摺動部位に付着していた潤滑オイルが冷
媒ガスによって洗い流されていることが多い。
の内部機構を構成する斜板とシューとの間の摺動部位の
潤滑は、通常、その内部に保持された潤滑オイルを圧縮
機の運転に伴って流通するガス(例えばフロンガス等の
冷媒ガス)でミスト化し、そのミスト化したオイルを摺
動部位に搬送することでまかなわれている。しかし、圧
縮機を運転停止状態で長時間放置した後に再起動するよ
うな場合には、摺動部位に付着していた潤滑オイルが冷
媒ガスによって洗い流されていることが多い。
【0003】このため、圧縮機の起動後で冷媒ガスが圧
縮機に帰還してオイルのミスト化がすすむまでの期間
(1分程度)が、圧縮機の運転中にもかかわらず、潤滑
が必要な斜板とシューとの摺動部位がオイル不十分な状
態に陥る期間となる。よって、このようなオイル不十分
な期間においても摺動部位における最低限の潤滑を確保
するために、斜板のシューとの摺接面に皮膜を形成する
技術が従来より提案されている。そして、斜板のシュー
との摺接面に皮膜を施す技術に限ってみても種々の態様
がある。特許文献のみならず製品(斜板)に実用化され
ている皮膜形成技術としては、スズ等の電解又は無電解
メッキや、銅系又はアルミニウム系合金等の溶射技術が
ある。
縮機に帰還してオイルのミスト化がすすむまでの期間
(1分程度)が、圧縮機の運転中にもかかわらず、潤滑
が必要な斜板とシューとの摺動部位がオイル不十分な状
態に陥る期間となる。よって、このようなオイル不十分
な期間においても摺動部位における最低限の潤滑を確保
するために、斜板のシューとの摺接面に皮膜を形成する
技術が従来より提案されている。そして、斜板のシュー
との摺接面に皮膜を施す技術に限ってみても種々の態様
がある。特許文献のみならず製品(斜板)に実用化され
ている皮膜形成技術としては、スズ等の電解又は無電解
メッキや、銅系又はアルミニウム系合金等の溶射技術が
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スズ等
の電解又は無電解メッキでは数μm程度の極薄の皮膜を
形成する分にはさほどの困難はないが、数十μm以上と
いった比較的厚膜な皮膜を形成するのは必ずしも容易で
はない。また、メッキを実現するためには母材金属と付
着金属との電気化学的関係が問題となり常に採用できる
手法ではない。
の電解又は無電解メッキでは数μm程度の極薄の皮膜を
形成する分にはさほどの困難はないが、数十μm以上と
いった比較的厚膜な皮膜を形成するのは必ずしも容易で
はない。また、メッキを実現するためには母材金属と付
着金属との電気化学的関係が問題となり常に採用できる
手法ではない。
【0005】他方、粉末状の金属材料等を溶融状態とし
て火炎と共に被加工面に吹き付ける溶射技術によれば、
厚膜化とか電気化学的相性といった点での困難はあまり
ない。しかし、この溶射に際しては、溶射加工の不要な
部分へのマスキングを行う必要があり、そのことが作業
の手間、時間及びコストといった面で多くの問題を残し
ている。
て火炎と共に被加工面に吹き付ける溶射技術によれば、
厚膜化とか電気化学的相性といった点での困難はあまり
ない。しかし、この溶射に際しては、溶射加工の不要な
部分へのマスキングを行う必要があり、そのことが作業
の手間、時間及びコストといった面で多くの問題を残し
ている。
【0006】本発明の目的は、斜板のシューとの摺接面
に対する金属材料皮膜の形成技術としての汎用性に優れ
ると共に、手間、時間及びコストの効果的な削減が可能
となる斜板式圧縮機の斜板における皮膜形成方法を提供
することにある。
に対する金属材料皮膜の形成技術としての汎用性に優れ
ると共に、手間、時間及びコストの効果的な削減が可能
となる斜板式圧縮機の斜板における皮膜形成方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明においては、斜板ワークよりも軟質な
金属材料よりなる供給体を、斜板ワークにおいて環状摺
接面を含む環状の被加工面の一部に圧接させ、さらには
供給体と被加工面とを同被加工面の周方向に相対移動さ
せることで、供給体がその金属材料の一部を被加工面上
に順次転移させて皮膜を形成する工程を備えていること
を特徴としている。
に請求項1の発明においては、斜板ワークよりも軟質な
金属材料よりなる供給体を、斜板ワークにおいて環状摺
接面を含む環状の被加工面の一部に圧接させ、さらには
供給体と被加工面とを同被加工面の周方向に相対移動さ
せることで、供給体がその金属材料の一部を被加工面上
に順次転移させて皮膜を形成する工程を備えていること
を特徴としている。
【0008】従って、供給体と斜板ワークとの圧接条件
や、供給体と被加工面との相対移動速度等を調節するこ
とにより、斜板ワークよりも軟質な金属材料の一部を供
給体側から被加工面上に適度に転移させ、この被加工面
上に所望の膜厚の金属材料皮膜を簡便かつ低コストで形
成することができる。
や、供給体と被加工面との相対移動速度等を調節するこ
とにより、斜板ワークよりも軟質な金属材料の一部を供
給体側から被加工面上に適度に転移させ、この被加工面
上に所望の膜厚の金属材料皮膜を簡便かつ低コストで形
成することができる。
【0009】ところが、例えば、被加工面が斜板摺接面
と完全に一致した領域として存在する斜板ワークに対し
て、柱状をなす供給体の端面を圧接させることで上述し
た皮膜形成工程を行なった場合、斜板摺接面(被加工
面)の外周縁部及び内周縁部において皮膜の密着性が低
下する問題を生じていた。密着性の悪い皮膜は、例え
ば、皮膜形成工程後の仕上げ研磨加工や、或いは圧縮機
の運転時におけるシューとの摺動により容易に剥がれて
しまう。その原因を探るべく、皮膜形成工程における各
段階での斜板ワークに対する供給体の圧接状態を調査し
た。この調査の結果、単に供給体を斜板ワークへ圧接さ
せた状態では、斜板ワークに接触する供給体端面の面圧
に、その柱状の中心側と外側とでバラつきが生じること
はほとんどなかった。
と完全に一致した領域として存在する斜板ワークに対し
て、柱状をなす供給体の端面を圧接させることで上述し
た皮膜形成工程を行なった場合、斜板摺接面(被加工
面)の外周縁部及び内周縁部において皮膜の密着性が低
下する問題を生じていた。密着性の悪い皮膜は、例え
ば、皮膜形成工程後の仕上げ研磨加工や、或いは圧縮機
の運転時におけるシューとの摺動により容易に剥がれて
しまう。その原因を探るべく、皮膜形成工程における各
段階での斜板ワークに対する供給体の圧接状態を調査し
た。この調査の結果、単に供給体を斜板ワークへ圧接さ
せた状態では、斜板ワークに接触する供給体端面の面圧
に、その柱状の中心側と外側とでバラつきが生じること
はほとんどなかった。
【0010】しかし、供給体の金属材料が斜板ワークへ
転移し始めると、供給体端面の面圧は中心側ほど高く、
逆に被加工面の外周縁部及び内周縁部に対応することと
なる外側ほど面圧が低くなっていることが分かった。供
給体端面において、面圧が低い部分(外側)から斜板ワ
ークに転移された金属材料は、被加工面に対する密着性
が悪いのは明らかである。
転移し始めると、供給体端面の面圧は中心側ほど高く、
逆に被加工面の外周縁部及び内周縁部に対応することと
なる外側ほど面圧が低くなっていることが分かった。供
給体端面において、面圧が低い部分(外側)から斜板ワ
ークに転移された金属材料は、被加工面に対する密着性
が悪いのは明らかである。
【0011】このように、皮膜形成中において、供給体
端面の面圧に柱状の中心側と外側とでバラつきが生じる
のは、軟化された金属材料の流動が、周囲を金属材料で
取り囲まれた中心側よりも周囲を開放された外側のほう
が激しいことが一つの要因であると推測される。金属材
料が流動することは、供給体を斜板ワークに対して押し
付ける力が金属材料を流動させるエネルギーに変換され
ていることを意味し、よって金属材料の流動が激しい供
給体端面の外側ほど、被加工面に対する押し付け力が弱
められているのである。
端面の面圧に柱状の中心側と外側とでバラつきが生じる
のは、軟化された金属材料の流動が、周囲を金属材料で
取り囲まれた中心側よりも周囲を開放された外側のほう
が激しいことが一つの要因であると推測される。金属材
料が流動することは、供給体を斜板ワークに対して押し
付ける力が金属材料を流動させるエネルギーに変換され
ていることを意味し、よって金属材料の流動が激しい供
給体端面の外側ほど、被加工面に対する押し付け力が弱
められているのである。
【0012】そこで、本発明においては、前記斜板ワー
クにおいて被加工面は、その外周縁部側及び内周縁部側
の少なくとも一方が環状摺接面からはみ出して設定され
ていることと、前記被加工面において環状摺接面からは
み出した領域に形成された皮膜を、斜板ワークから除去
する工程とを備えたことをさらなる特徴としている。
クにおいて被加工面は、その外周縁部側及び内周縁部側
の少なくとも一方が環状摺接面からはみ出して設定され
ていることと、前記被加工面において環状摺接面からは
み出した領域に形成された皮膜を、斜板ワークから除去
する工程とを備えたことをさらなる特徴としている。
【0013】つまり、被加工面の外周縁部及び内周縁部
において皮膜の密着性が悪くなることを予め見こして、
この被加工面の外周縁部側及び/又は内周縁部側を斜板
摺接面よりもはみ出して設定しているのである。そし
て、皮膜形成工程の後には、被加工面において斜板摺接
面からはみ出した領域に形成された皮膜を、言い換えれ
ば被加工面に形成された皮膜において密着性が悪い部分
を、斜板ワークから除去するのである。このようにして
得られた皮膜は、斜板摺接面の外周縁部及び/又は内周
縁部においても密着性が良好なものとなる。
において皮膜の密着性が悪くなることを予め見こして、
この被加工面の外周縁部側及び/又は内周縁部側を斜板
摺接面よりもはみ出して設定しているのである。そし
て、皮膜形成工程の後には、被加工面において斜板摺接
面からはみ出した領域に形成された皮膜を、言い換えれ
ば被加工面に形成された皮膜において密着性が悪い部分
を、斜板ワークから除去するのである。このようにして
得られた皮膜は、斜板摺接面の外周縁部及び/又は内周
縁部においても密着性が良好なものとなる。
【0014】請求項2の発明は請求項1において、前記
被加工面は、外周縁部側及び内周縁部側の両方が環状摺
接面からはみ出していることを特徴としている。この方
法によれば、被加工面の外周縁部及び内周縁部に形成さ
れた、密着性の悪いと推測される皮膜を全て除去するこ
ととなる。このようにして得られた皮膜は、斜板摺接面
の外周縁部及び内周縁部の両方においても密着性が良好
なものとなる。
被加工面は、外周縁部側及び内周縁部側の両方が環状摺
接面からはみ出していることを特徴としている。この方
法によれば、被加工面の外周縁部及び内周縁部に形成さ
れた、密着性の悪いと推測される皮膜を全て除去するこ
ととなる。このようにして得られた皮膜は、斜板摺接面
の外周縁部及び内周縁部の両方においても密着性が良好
なものとなる。
【0015】請求項3の発明は請求項1又は2の発明に
おいて、前記被加工面において環状摺接面からはみ出し
た領域は、同領域に形成された皮膜とともに斜板ワーク
から除去されることを特徴としている。
おいて、前記被加工面において環状摺接面からはみ出し
た領域は、同領域に形成された皮膜とともに斜板ワーク
から除去されることを特徴としている。
【0016】この方法によれば、被加工面を斜板摺接面
からはみ出させる構成のために設けられた部位(肉)を
斜板ワークから除去することとなり、別の見方をすれ
ば、皮膜形成工程時においてのみ存在意義のある部位
を、皮膜形成工程の後には斜板ワークから除去すること
となり、斜板の小型・軽量化を図ることができる。
からはみ出させる構成のために設けられた部位(肉)を
斜板ワークから除去することとなり、別の見方をすれ
ば、皮膜形成工程時においてのみ存在意義のある部位
を、皮膜形成工程の後には斜板ワークから除去すること
となり、斜板の小型・軽量化を図ることができる。
【0017】請求項4の発明は請求項1〜3のいずれか
において、前記供給体は回転しつつ斜板ワークの被加工
面に圧接されることを特徴としている。この方法によれ
ば、例えば柱状をなす供給体を採用しその端面を被加工
面に圧接させる場合、この供給体端面の外側において被
加工面の縁部に対応する部位が順次入れ替わり、金属材
料の斜板ワークへの転移に基づく供給体の消耗が、供給
体端面の外側において均一になされる。従って、供給体
が完全に消耗されるまでの間中、被加工面(特に外周縁
部側及び内周縁部側)に対する皮膜形成を安定して行い
得る。このことは、被加工面の外周縁部側及び/又は内
周縁部側における皮膜の密着性を向上させることにつな
がり、皮膜形成工程の後に斜板ワークから除去する皮膜
の量を少なく設定できて、材料無駄を抑制することがで
きる。
において、前記供給体は回転しつつ斜板ワークの被加工
面に圧接されることを特徴としている。この方法によれ
ば、例えば柱状をなす供給体を採用しその端面を被加工
面に圧接させる場合、この供給体端面の外側において被
加工面の縁部に対応する部位が順次入れ替わり、金属材
料の斜板ワークへの転移に基づく供給体の消耗が、供給
体端面の外側において均一になされる。従って、供給体
が完全に消耗されるまでの間中、被加工面(特に外周縁
部側及び内周縁部側)に対する皮膜形成を安定して行い
得る。このことは、被加工面の外周縁部側及び/又は内
周縁部側における皮膜の密着性を向上させることにつな
がり、皮膜形成工程の後に斜板ワークから除去する皮膜
の量を少なく設定できて、材料無駄を抑制することがで
きる。
【0018】請求項5の発明は請求項1〜4の発明にお
いて、前記斜板ワークの被加工面は一軸線を中心とした
この一軸線に直交する環状の面であり、斜板ワークがこ
の一軸線を中心として回転することで、供給体と被加工
面とが同被加工面の周方向に相対移動されることを特徴
としている。
いて、前記斜板ワークの被加工面は一軸線を中心とした
この一軸線に直交する環状の面であり、斜板ワークがこ
の一軸線を中心として回転することで、供給体と被加工
面とが同被加工面の周方向に相対移動されることを特徴
としている。
【0019】この方法によれば、例えば供給体を回転
(自転)させることを必須とした場合、斜板ワークを回
転させずに供給体を自転させつつ斜板ワークの一軸線周
りで公転させるような、構成や調整が複雑となりがちな
多軸機構を必要としない。
(自転)させることを必須とした場合、斜板ワークを回
転させずに供給体を自転させつつ斜板ワークの一軸線周
りで公転させるような、構成や調整が複雑となりがちな
多軸機構を必要としない。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、空調装置の冷凍
サイクルを構成する斜板式圧縮機の斜板における皮膜形
成方法に具体化した一実施形態について説明する。
サイクルを構成する斜板式圧縮機の斜板における皮膜形
成方法に具体化した一実施形態について説明する。
【0021】(斜板式圧縮機)図1に示すように容量可
変型の斜板式圧縮機(以下単に圧縮機とする)は、シリ
ンダブロック1と、その前端に接合されたフロントハウ
ジング2と、シリンダブロック1の後端に弁形成体3を
介して接合されたリヤハウジング4とを備え、これらは
複数の通しボルト(図示略)により相互に接合固定され
て圧縮機のハウジングを構成する。
変型の斜板式圧縮機(以下単に圧縮機とする)は、シリ
ンダブロック1と、その前端に接合されたフロントハウ
ジング2と、シリンダブロック1の後端に弁形成体3を
介して接合されたリヤハウジング4とを備え、これらは
複数の通しボルト(図示略)により相互に接合固定され
て圧縮機のハウジングを構成する。
【0022】前記ハウジング内には、クランク室5、吸
入室6及び吐出室7が区画されている。シリンダブロッ
ク1には複数のシリンダボア1a(一つのみ図示)が形
成され、各ボア1aには片頭型のピストン8が往復動可
能に収容されている。吸入室6及び吐出室7は、弁形成
体3に設けられた各種フラッパ弁を介して各ボア1aと
選択的に連通可能となっている。
入室6及び吐出室7が区画されている。シリンダブロッ
ク1には複数のシリンダボア1a(一つのみ図示)が形
成され、各ボア1aには片頭型のピストン8が往復動可
能に収容されている。吸入室6及び吐出室7は、弁形成
体3に設けられた各種フラッパ弁を介して各ボア1aと
選択的に連通可能となっている。
【0023】前記クランク室5内には駆動軸9が回転可
能に支持され、又、カムプレートたる斜板10が収容さ
れている。斜板10の中央部には挿通孔10aが貫設さ
れ、この挿通孔10aに駆動軸9が挿通されている。こ
の斜板10は、ヒンジ機構13及びラグプレート11を
介して駆動軸9に作動連結され、駆動軸9と同期回転可
能でかつ駆動軸9の軸線方向への摺動を伴いながら駆動
軸9に対し傾動可能となっている。そして、斜板10の
外周部が前後一対のシュー20A,20Bを介して各ピ
ストン8の端部に摺動自在に係留されることで、全ての
ピストン8が斜板10に作動連結されている。
能に支持され、又、カムプレートたる斜板10が収容さ
れている。斜板10の中央部には挿通孔10aが貫設さ
れ、この挿通孔10aに駆動軸9が挿通されている。こ
の斜板10は、ヒンジ機構13及びラグプレート11を
介して駆動軸9に作動連結され、駆動軸9と同期回転可
能でかつ駆動軸9の軸線方向への摺動を伴いながら駆動
軸9に対し傾動可能となっている。そして、斜板10の
外周部が前後一対のシュー20A,20Bを介して各ピ
ストン8の端部に摺動自在に係留されることで、全ての
ピストン8が斜板10に作動連結されている。
【0024】前記駆動軸9とともに所定角度に傾斜した
斜板10が回転すると、各ピストン8が斜板10の傾斜
角に対応したストロークで往復動され、各ボア1aで
は、吸入室6(吸入圧Ps領域)からの冷媒ガスの吸
入、吸入冷媒ガスの圧縮、及び吐出室7(吐出圧Pd領
域)への圧縮済み冷媒ガスの吐出が順次繰り返される。
斜板10が回転すると、各ピストン8が斜板10の傾斜
角に対応したストロークで往復動され、各ボア1aで
は、吸入室6(吸入圧Ps領域)からの冷媒ガスの吸
入、吸入冷媒ガスの圧縮、及び吐出室7(吐出圧Pd領
域)への圧縮済み冷媒ガスの吐出が順次繰り返される。
【0025】前記斜板10は、傾斜角減少バネ14によ
ってシリンダブロック1に接近する方向(傾斜角減少方
向)に付勢されている。ただし、例えば駆動軸9上に固
定されたサークリップ15で斜板10の傾斜角減少方向
への傾動を規制することで斜板10の最小傾斜角θmi
n(例えば3〜5°)が制限される。他方、斜板10の
最大傾斜角θmaxは、例えば斜板10のカウンタウェ
イト部10bがラグプレート11の規制部11aに当接
することで制限される。
ってシリンダブロック1に接近する方向(傾斜角減少方
向)に付勢されている。ただし、例えば駆動軸9上に固
定されたサークリップ15で斜板10の傾斜角減少方向
への傾動を規制することで斜板10の最小傾斜角θmi
n(例えば3〜5°)が制限される。他方、斜板10の
最大傾斜角θmaxは、例えば斜板10のカウンタウェ
イト部10bがラグプレート11の規制部11aに当接
することで制限される。
【0026】前記斜板10の傾斜角は、斜板10の回転
時に生じる遠心力に基づく回転運動のモーメント、傾斜
角減少バネ14の付勢作用に基づくバネ力によるモーメ
ント、ピストン8の往復慣性力によるモーメント、ガス
圧によるモーメント等の各種モーメントの相互バランス
に基づいて決定される。
時に生じる遠心力に基づく回転運動のモーメント、傾斜
角減少バネ14の付勢作用に基づくバネ力によるモーメ
ント、ピストン8の往復慣性力によるモーメント、ガス
圧によるモーメント等の各種モーメントの相互バランス
に基づいて決定される。
【0027】前述したガス圧によるモーメントとは、シ
リンダボア1aの内圧とピストン8の背圧にあたるクラ
ンク室5の内圧(クランク圧Pc)との相互関係に基づ
いて発生するモーメントであり、クランク圧Pcに応じ
て傾斜角の減少方向にも増大方向にも作用する。図1の
斜板式圧縮機では、詳述しない制御弁16を用いてクラ
ンク圧Pcを調節することで前記ガス圧によるモーメン
トを適宜変更し、斜板10の傾斜角を最小傾斜角θmi
nと最大傾斜角θmaxとの間の任意の角度θに設定で
きるようになっている。
リンダボア1aの内圧とピストン8の背圧にあたるクラ
ンク室5の内圧(クランク圧Pc)との相互関係に基づ
いて発生するモーメントであり、クランク圧Pcに応じ
て傾斜角の減少方向にも増大方向にも作用する。図1の
斜板式圧縮機では、詳述しない制御弁16を用いてクラ
ンク圧Pcを調節することで前記ガス圧によるモーメン
トを適宜変更し、斜板10の傾斜角を最小傾斜角θmi
nと最大傾斜角θmaxとの間の任意の角度θに設定で
きるようになっている。
【0028】(斜板)図1及び図2に示すように、前記
斜板10の外周部のフロント側及びリヤ側にはそれぞれ
環状の摺接面30A,30Bが形成されている。フロン
ト側及びリヤ側の環状摺接面30A,30Bは、前記一
対のシュー20A,20Bとそれぞれ摺接する。
斜板10の外周部のフロント側及びリヤ側にはそれぞれ
環状の摺接面30A,30Bが形成されている。フロン
ト側及びリヤ側の環状摺接面30A,30Bは、前記一
対のシュー20A,20Bとそれぞれ摺接する。
【0029】前記斜板10には、その回転時の遠心力に
基づく回転運動のモーメントを適正に発生させるため
に、比較的重い鉄系材料(例えばFCD700等の鋳
鉄)が用いられている。他方、シュー20A,20Bに
は、その機械的強度等を配慮して同じく鉄系材料(例え
ば軸受鋼)が用いられている。同種の金属材料からなる
斜板10とシュー20A,20Bを過酷な条件で摺接さ
せると、いわゆる「ともがね現象」による焼き付きを生
じてしまうので、この実施形態では、図2に示すように
斜板10の前記摺接面30A,30B上に、シュー20
A,20Bとの接触摺動性を改善するための摺動層とし
ての皮膜31A,31Bが形成されている。
基づく回転運動のモーメントを適正に発生させるため
に、比較的重い鉄系材料(例えばFCD700等の鋳
鉄)が用いられている。他方、シュー20A,20Bに
は、その機械的強度等を配慮して同じく鉄系材料(例え
ば軸受鋼)が用いられている。同種の金属材料からなる
斜板10とシュー20A,20Bを過酷な条件で摺接さ
せると、いわゆる「ともがね現象」による焼き付きを生
じてしまうので、この実施形態では、図2に示すように
斜板10の前記摺接面30A,30B上に、シュー20
A,20Bとの接触摺動性を改善するための摺動層とし
ての皮膜31A,31Bが形成されている。
【0030】前記各皮膜31A,31Bは、斜板10の
母材やシュー20A,20Bを構成する鉄系材料とは種
類の異なる金属材料からなっている。皮膜31A,31
Bを構成する金属材料としては、例えば珪素含有のアル
ミニウム合金やアルミニウムと珪素との金属間化合物
(以下両者を含めて「Al−Si系金属材料」と呼ぶ)
が挙げられる。アルミニウム系材料としてのAl−Si
系金属材料では、珪素含有量に応じて材料としての硬度
や融点等の物性が種々変化するが、ここで使用するAl
−Si系金属材料は、珪素含有量が10〜20重量%
(好ましくは15〜18重量%)のものである。
母材やシュー20A,20Bを構成する鉄系材料とは種
類の異なる金属材料からなっている。皮膜31A,31
Bを構成する金属材料としては、例えば珪素含有のアル
ミニウム合金やアルミニウムと珪素との金属間化合物
(以下両者を含めて「Al−Si系金属材料」と呼ぶ)
が挙げられる。アルミニウム系材料としてのAl−Si
系金属材料では、珪素含有量に応じて材料としての硬度
や融点等の物性が種々変化するが、ここで使用するAl
−Si系金属材料は、珪素含有量が10〜20重量%
(好ましくは15〜18重量%)のものである。
【0031】このように、Al−Si系金属材料からな
る皮膜31A,31Bを形成することで、前記ともがね
現象による焼き付きが防止されるのみならず、斜板10
とシュー20A,20Bとの接触摺動性が改善される。
すなわち、皮膜31A,31Bの形成によって、斜板1
0とシュー20A,20Bとの間にはオイルレス環境下
においても一定の潤滑性が確保される。斜板10やシュ
ー20A,20Bに用いられている鉄系材料が非常に硬
くて融点も千数百度以上と比較的高いのに対し、皮膜3
1A,31Bを構成する前記Al−Si系金属材料は、
前記鉄系材料に比して相対的に柔らかくかつ融点も60
0〜700℃程度と前記鉄系材料に比して低い。Al−
Si系金属材料の前記鉄系材料との物性上の差異が接触
摺動性の改善に寄与していることは間違いないが、それ
に留まらず、以下に説明する皮膜形成方法を採用する上
でも両者の物性上の差異が重要な意味を持つ。
る皮膜31A,31Bを形成することで、前記ともがね
現象による焼き付きが防止されるのみならず、斜板10
とシュー20A,20Bとの接触摺動性が改善される。
すなわち、皮膜31A,31Bの形成によって、斜板1
0とシュー20A,20Bとの間にはオイルレス環境下
においても一定の潤滑性が確保される。斜板10やシュ
ー20A,20Bに用いられている鉄系材料が非常に硬
くて融点も千数百度以上と比較的高いのに対し、皮膜3
1A,31Bを構成する前記Al−Si系金属材料は、
前記鉄系材料に比して相対的に柔らかくかつ融点も60
0〜700℃程度と前記鉄系材料に比して低い。Al−
Si系金属材料の前記鉄系材料との物性上の差異が接触
摺動性の改善に寄与していることは間違いないが、それ
に留まらず、以下に説明する皮膜形成方法を採用する上
でも両者の物性上の差異が重要な意味を持つ。
【0032】(斜板における皮膜形成方法)次に、斜板
10の摺接面30A,30Bへの皮膜形成手順について
具体的に説明する。
10の摺接面30A,30Bへの皮膜形成手順について
具体的に説明する。
【0033】○斜板ワーク 図3及び図4に示すように、皮膜形成に供される斜板ワ
ーク10Wは、外周部のフロント側及びリヤ側にそれぞ
れ軸線Lを中心とした環状の被加工面32A,32Bを
有している。このフロント側及びリヤ側の被加工面32
A,32Bは、同じ軸線Lを中心としたフロント側及び
リヤ側の斜板摺接面30A,30B(図3においてはリ
ヤ側摺接面30Bを網線にて示す)とそれぞれ同一平面
上に存在してなおかつこの斜板摺接面30A,30Bを
含む構成である。斜板ワーク10Wにおいてフロント側
及びリヤ側の被加工面32A,32Bは、それぞれ外周
縁部32A−1,32B−1側及び内周縁部32A−
2,32B−2側が斜板摺接面30A,30Bからはみ
出して設定されている。
ーク10Wは、外周部のフロント側及びリヤ側にそれぞ
れ軸線Lを中心とした環状の被加工面32A,32Bを
有している。このフロント側及びリヤ側の被加工面32
A,32Bは、同じ軸線Lを中心としたフロント側及び
リヤ側の斜板摺接面30A,30B(図3においてはリ
ヤ側摺接面30Bを網線にて示す)とそれぞれ同一平面
上に存在してなおかつこの斜板摺接面30A,30Bを
含む構成である。斜板ワーク10Wにおいてフロント側
及びリヤ側の被加工面32A,32Bは、それぞれ外周
縁部32A−1,32B−1側及び内周縁部32A−
2,32B−2側が斜板摺接面30A,30Bからはみ
出して設定されている。
【0034】従って、図5に示すように、前記斜板ワー
ク10Wは、斜板10においては存在しない、被加工面
32A,32Bにおける斜板摺接面30A,30Bから
外周側へのはみ出し領域、及び斜板摺接面30A,30
Bから内周側へのはみ出し領域をそれぞれ存在させるた
めに、後述する斜板成形工程において除去されることと
なる、第1〜第3除去肉部33〜35を有している。
ク10Wは、斜板10においては存在しない、被加工面
32A,32Bにおける斜板摺接面30A,30Bから
外周側へのはみ出し領域、及び斜板摺接面30A,30
Bから内周側へのはみ出し領域をそれぞれ存在させるた
めに、後述する斜板成形工程において除去されることと
なる、第1〜第3除去肉部33〜35を有している。
【0035】前記第1除去肉部33は、フロント側及び
リヤ側の被加工面32A,32Bにおいて、フロント側
及びリヤ側の斜板摺接面30A,30Bよりも外周側へ
のはみ出し領域を存在させる。第2除去肉部34は、フ
ロント側被加工面32Aにおいて、フロント側斜板摺接
面30Aよりも内周側へのはみ出し領域を存在させる。
第3除去肉部35は、リヤ側被加工面32Bにおいて、
リヤ側斜板摺接面30Bよりも内周側へのはみ出し領域
を存在させる。
リヤ側の被加工面32A,32Bにおいて、フロント側
及びリヤ側の斜板摺接面30A,30Bよりも外周側へ
のはみ出し領域を存在させる。第2除去肉部34は、フ
ロント側被加工面32Aにおいて、フロント側斜板摺接
面30Aよりも内周側へのはみ出し領域を存在させる。
第3除去肉部35は、リヤ側被加工面32Bにおいて、
リヤ側斜板摺接面30Bよりも内周側へのはみ出し領域
を存在させる。
【0036】○皮膜形成工程 この工程においてはリヤ側被加工面32Bへの皮膜形成
についてのみ説明し、フロント側被加工面32Aへの皮
膜形成については、リヤ側被加工面32Bと同様な手順
で行われるため説明は省略する。
についてのみ説明し、フロント側被加工面32Aへの皮
膜形成については、リヤ側被加工面32Bと同様な手順
で行われるため説明は省略する。
【0037】まず、図3に示すような供給体40を一つ
準備する。この供給体40はその全体が前記Al−Si
系金属材料からなると共に、円柱状をなしている。その
円柱状の供給体40の一端面41は、斜板ワーク10W
の環状面である被加工面32Bの幅(環状面を構成する
外形線の半径と内形線の半径との差)よりも大きな直径
を有する円となっている。
準備する。この供給体40はその全体が前記Al−Si
系金属材料からなると共に、円柱状をなしている。その
円柱状の供給体40の一端面41は、斜板ワーク10W
の環状面である被加工面32Bの幅(環状面を構成する
外形線の半径と内形線の半径との差)よりも大きな直径
を有する円となっている。
【0038】図4に示すように、斜板ワーク10Wを回
転保持機構51(二点鎖線で概念的に示す)にセットす
ると共に、供給体40をスライド・回転保持機構52
(二点鎖線で概念的に示す)にセットする。なお、斜板
ワーク10Wの被加工面32Bには、皮膜形成の前処理
としてショットブラスト等による粗面処理が施されてい
る。
転保持機構51(二点鎖線で概念的に示す)にセットす
ると共に、供給体40をスライド・回転保持機構52
(二点鎖線で概念的に示す)にセットする。なお、斜板
ワーク10Wの被加工面32Bには、皮膜形成の前処理
としてショットブラスト等による粗面処理が施されてい
る。
【0039】前記回転保持機構51は第1モータM1に
作動連結されており、この第1モータM1の駆動力に基
づいて、保持した斜板ワーク10Wを軸線Lを中心とし
て回転させる。斜板ワーク10Wを回転保持機構51に
セットした状態では、環状の被加工面32Bは前記軸線
Lを取り囲むと共にその軸線Lに直交する面として存在
する。さらに被加工面32Bの一部は、供給体端面41
から離間した状態でそれに対向する。
作動連結されており、この第1モータM1の駆動力に基
づいて、保持した斜板ワーク10Wを軸線Lを中心とし
て回転させる。斜板ワーク10Wを回転保持機構51に
セットした状態では、環状の被加工面32Bは前記軸線
Lを取り囲むと共にその軸線Lに直交する面として存在
する。さらに被加工面32Bの一部は、供給体端面41
から離間した状態でそれに対向する。
【0040】前記スライド・回転保持機構52は、前後
スライド手段53及び第2モータM2に作動連結されて
おり、この前後スライド手段53の動作により、保持し
た供給体40を斜板ワーク10Wに対して接近、圧接お
よび離間させるとともに、第2モータM2の駆動力に基
づいて供給体40を軸線L’を中心として回転させる。
スライド手段53及び第2モータM2に作動連結されて
おり、この前後スライド手段53の動作により、保持し
た供給体40を斜板ワーク10Wに対して接近、圧接お
よび離間させるとともに、第2モータM2の駆動力に基
づいて供給体40を軸線L’を中心として回転させる。
【0041】前記供給体40の端面41は、軸線L’に
直交する面として存在し、この供給体40をスライド・
回転保持機構52にセットした状態では、その端面41
と斜板ワーク10Wの被加工面32Bとは平行状態とな
っている。また、供給体40をスライド・回転保持機構
52にセットした状態では、供給体40の軸線L’と前
記軸線Lとは偏心関係にあり、供給体40を斜板ワーク
10Wに向けて前進させたときに、その端面41が被加
工面32Bの一部に対して、その外周縁部32B−1及
び内周縁部32B−2から若干はみ出す位置で接合可能
となっている(図3において二点鎖線(41)で示す状
態)。
直交する面として存在し、この供給体40をスライド・
回転保持機構52にセットした状態では、その端面41
と斜板ワーク10Wの被加工面32Bとは平行状態とな
っている。また、供給体40をスライド・回転保持機構
52にセットした状態では、供給体40の軸線L’と前
記軸線Lとは偏心関係にあり、供給体40を斜板ワーク
10Wに向けて前進させたときに、その端面41が被加
工面32Bの一部に対して、その外周縁部32B−1及
び内周縁部32B−2から若干はみ出す位置で接合可能
となっている(図3において二点鎖線(41)で示す状
態)。
【0042】そして、前記斜板ワーク10W及び供給体
40をそれぞれの機構51,52にセットした後、第2
モータM2及びスライド・回転保持機構52により供給
体40を所定の回転数(例えば1500rpm)で回転
させる。つまり、供給体40を自転させる。供給体40
の回転を維持しながら、前後スライド手段53によって
スライド・回転保持機構52と共に供給体40を斜板ワ
ーク10Wに向けて前進(接近)させる。そして、端面
41が斜板ワーク10Wの被加工面32Bに接合した後
も供給体40を被加工面32Bに押し付けることによ
り、供給体端面41の被加工面32Bに対する押圧力を
増して所定圧力(例えば18MPa)に到達させる。つ
まり、供給体端面41を被加工面32Bに対して所定圧
力で圧接する。
40をそれぞれの機構51,52にセットした後、第2
モータM2及びスライド・回転保持機構52により供給
体40を所定の回転数(例えば1500rpm)で回転
させる。つまり、供給体40を自転させる。供給体40
の回転を維持しながら、前後スライド手段53によって
スライド・回転保持機構52と共に供給体40を斜板ワ
ーク10Wに向けて前進(接近)させる。そして、端面
41が斜板ワーク10Wの被加工面32Bに接合した後
も供給体40を被加工面32Bに押し付けることによ
り、供給体端面41の被加工面32Bに対する押圧力を
増して所定圧力(例えば18MPa)に到達させる。つ
まり、供給体端面41を被加工面32Bに対して所定圧
力で圧接する。
【0043】この供給体端面41と斜板ワーク10Wの
被加工面32Bとの圧接状態で、第1モータM1及び回
転保持機構51により斜板ワーク10Wを所定の回転数
(例えば1rpm)で回転させる。つまり、供給体40
を、斜板ワーク10W上の或る位置から見て軸線L周り
でゆっくりと(供給体40の自転と比較して)公転させ
る。言い換えれば、供給体40と被加工面32Bとを、
同被加工面32Bの延在方向(周方向)に相対移動させ
る。
被加工面32Bとの圧接状態で、第1モータM1及び回
転保持機構51により斜板ワーク10Wを所定の回転数
(例えば1rpm)で回転させる。つまり、供給体40
を、斜板ワーク10W上の或る位置から見て軸線L周り
でゆっくりと(供給体40の自転と比較して)公転させ
る。言い換えれば、供給体40と被加工面32Bとを、
同被加工面32Bの延在方向(周方向)に相対移動させ
る。
【0044】従って、主として供給体40の高速回転に
より、圧接状態にある供給体端面41と斜板ワーク10
Wの被加工面32Bとの間で摩擦発熱が生じ、この摩擦
発熱により供給体40の端面41付近が軟化して被加工
面32Bに転移される。さらには斜板ワーク10Wの回
転に応じて、被加工面32Bにおける供給体端面41の
圧接位置が、被加工面32Bの延在方向に連続的に変化
することで、軟化した供給体40の端面41付近が擦り
切られるようにして、被加工面32Bにおける供給体端
面41との圧接跡に順次取り残されてゆく。
より、圧接状態にある供給体端面41と斜板ワーク10
Wの被加工面32Bとの間で摩擦発熱が生じ、この摩擦
発熱により供給体40の端面41付近が軟化して被加工
面32Bに転移される。さらには斜板ワーク10Wの回
転に応じて、被加工面32Bにおける供給体端面41の
圧接位置が、被加工面32Bの延在方向に連続的に変化
することで、軟化した供給体40の端面41付近が擦り
切られるようにして、被加工面32Bにおける供給体端
面41との圧接跡に順次取り残されてゆく。
【0045】斜板ワーク10Wが少なくとも1回転すれ
ば、被加工面32B全体に対して供給体40からの金属
材料転移が一通り行われ、この被加工面32B全体には
必要膜厚(例えば50μm)に後加工での削り代(例え
ば20〜50μm)を加味した膜厚(例えば70〜10
0μm)のAl−Si系金属材料からなる皮膜31Bが
形成される。被加工面32B全体に皮膜31Bが形成さ
れた後には、スライド・回転保持機構52と共に供給体
40が斜板ワーク10Wから後退(離間)される。
ば、被加工面32B全体に対して供給体40からの金属
材料転移が一通り行われ、この被加工面32B全体には
必要膜厚(例えば50μm)に後加工での削り代(例え
ば20〜50μm)を加味した膜厚(例えば70〜10
0μm)のAl−Si系金属材料からなる皮膜31Bが
形成される。被加工面32B全体に皮膜31Bが形成さ
れた後には、スライド・回転保持機構52と共に供給体
40が斜板ワーク10Wから後退(離間)される。
【0046】○斜板成形工程 上記皮膜形成工程を経た斜板ワーク10Wは、その被加
工面32A,32Bの外周縁部32A−1,32B−1
及び内周縁部32A−2,32B−2における皮膜31
A,31Bの密着性が、その他の部位と比較して悪い。
その理由については「課題を解決する手段」の項におい
て、本実施形態の供給体40の態様(柱状をなしこの柱
状の端面41を以って斜板10の被加工面32A,32
Bに圧接する構成)を例示して詳述した。
工面32A,32Bの外周縁部32A−1,32B−1
及び内周縁部32A−2,32B−2における皮膜31
A,31Bの密着性が、その他の部位と比較して悪い。
その理由については「課題を解決する手段」の項におい
て、本実施形態の供給体40の態様(柱状をなしこの柱
状の端面41を以って斜板10の被加工面32A,32
Bに圧接する構成)を例示して詳述した。
【0047】従って、図5において点線で示すように、
本工程においては、被加工面32A,32Bに形成され
た皮膜31A,31Bにおいて密着性が悪い部分を、斜
板ワーク10Wから除去するようにしている。つまり、
被加工面32A,32Bに形成された皮膜31A,31
Bにおいて、斜板摺接面30A,30Bよりも外周側に
はみ出した部分、及び斜板摺接面30A,30Bよりも
内周側にはみ出した部分がそれぞれ斜板ワーク10Wか
ら除去される。
本工程においては、被加工面32A,32Bに形成され
た皮膜31A,31Bにおいて密着性が悪い部分を、斜
板ワーク10Wから除去するようにしている。つまり、
被加工面32A,32Bに形成された皮膜31A,31
Bにおいて、斜板摺接面30A,30Bよりも外周側に
はみ出した部分、及び斜板摺接面30A,30Bよりも
内周側にはみ出した部分がそれぞれ斜板ワーク10Wか
ら除去される。
【0048】前記皮膜31A,31Bの除去は、斜板ワ
ーク10Wから上述した第1〜第3除去肉部33〜35
を、切削加工や研磨加工等によって除去することで行わ
れる。つまり、被加工面32A,32Bにおいて斜板摺
接面30A,30Bからはみ出した領域は、同領域に形
成された皮膜31A,31Bとともに斜板ワーク10W
から除去されることとなる。
ーク10Wから上述した第1〜第3除去肉部33〜35
を、切削加工や研磨加工等によって除去することで行わ
れる。つまり、被加工面32A,32Bにおいて斜板摺
接面30A,30Bからはみ出した領域は、同領域に形
成された皮膜31A,31Bとともに斜板ワーク10W
から除去されることとなる。
【0049】○仕上げ工程 前記皮膜31A,31Bの必要膜厚(例えば50μm)
は、斜板成形工程の後加工として、切削加工あるいは研
磨加工を施すことにより調節される。
は、斜板成形工程の後加工として、切削加工あるいは研
磨加工を施すことにより調節される。
【0050】上記構成の本実施形態においては次のよう
な効果を奏する。 (1)本実施形態の方法によれば、簡便な手順で短時間
のうちに、斜板ワーク10Wの被加工面32A,32B
に対してAl−Si系金属材料からなる皮膜31A,3
1Bを効率的に形成することができる。 (2)この方法では、斜板ワーク10Wに対する供給体
40の圧接時に特に大きな騒音を発することも無い。こ
のため、騒音等による作業環境悪化の心配がない。 (3)この方法では、被加工面32A,32Bに対する
皮膜31A,31Bの付与は、第一義的には圧接転移に
よる物理接着であり、厳格な化学的親和性が要求されな
いため、皮膜の形成技術としての汎用性に優れている。 (4)この方法によれば、皮膜31A,31Bの被加工
面32A,32Bに対する密着性が格段に向上する。そ
の理由は定かではないが、斜板ワーク10Wに供給体4
0を圧接するときの押圧力とその時に発生する摩擦熱の
影響で、供給体40側の金属材料が原子レベルで斜板ワ
ーク10Wの内部に一部拡散し、斜板ワーク10Wの被
加工面32A,32Bと皮膜31A,31Bとの接触域
にミクロな拡散層が結果的に形成されるためと考えられ
る。その他の理由としては、皮膜形成の前処理として被
加工面32A,32Bに粗面処理を施すことで、この被
加工面32A,32Bの皮膜31A,31Bに対する接
触面積が増大されていることが挙げられる。 (5)この方法によれば、被加工面32A,32Bの一
部に圧接転移した供給体40の金属材料を、擦り切るよ
うな形で供給体40から確実に断ち切って、被加工面3
2A,32Bにおける供給体40との圧接跡に確実に取
り残しておくことができる。従って、供給体40から所
定量の金属材料を確実に被加工面32A,32Bへ転移
させることができ、環状の被加工面32A,32B全体
に所望の厚みの皮膜31A,31Bを得ることができ
る。 (6)この方法によれば、供給体40として単なる円柱
状のものを採用することができる。例えば、円柱状の供
給体40は、現在の市場において金属組織が均一なもの
を安価に入手することができ、これは良質な皮膜31
A,31Bを安価に得ることにつながる。 (7)この方法に供される斜板ワーク10Wは、その被
加工面32A,32Bの外周縁部32A−1,32B−
1及び内周縁部32A−2,32B−2において皮膜3
1A,31Bの密着性が悪くなることを予め見こして、
この被加工面32A,32Bの外周縁部32A−1,3
2B−1側及び内周縁部32A−2,32B−2側を斜
板摺接面30A,30Bよりもはみ出させている。そし
て、斜板成形工程においては、被加工面32A,32B
の斜板摺接面30A,30Bからはみ出した領域に形成
された皮膜31A,31Bを、言い換えれば皮膜31
A,31Bにおいて密着性が悪い部分を、斜板ワーク1
0Wから除去するようにしている。このようにして得ら
れた皮膜31A,31Bは、斜板摺接面30A,30B
の外周縁部30A−1,30B−1及び内周縁部30A
−2,30B−2においても密着性が良好なものとな
る。 (8)皮膜31A,31Bの形成中において供給体40
は、回転(自転)しつつ斜板ワーク10Wの被加工面3
2A,32Bに圧接される。従って、供給体端面41の
外側において、被加工面32A,32Bの縁部32A−
1,32B−1,32A−2,32B−2に対応する部
位が順次入れ替わり、金属材料の斜板ワーク10Wへの
転移に基づく供給体40の消耗が、供給体端面41の外
側において均一になされる。その結果、供給体40が完
全に消耗されるまでの間中、斜板ワーク10Wに対する
(特に被加工面32A,32Bの縁部32A−1,32
B−1,32A−2,32B−2側に対する)皮膜形成
を安定して行い得る。
な効果を奏する。 (1)本実施形態の方法によれば、簡便な手順で短時間
のうちに、斜板ワーク10Wの被加工面32A,32B
に対してAl−Si系金属材料からなる皮膜31A,3
1Bを効率的に形成することができる。 (2)この方法では、斜板ワーク10Wに対する供給体
40の圧接時に特に大きな騒音を発することも無い。こ
のため、騒音等による作業環境悪化の心配がない。 (3)この方法では、被加工面32A,32Bに対する
皮膜31A,31Bの付与は、第一義的には圧接転移に
よる物理接着であり、厳格な化学的親和性が要求されな
いため、皮膜の形成技術としての汎用性に優れている。 (4)この方法によれば、皮膜31A,31Bの被加工
面32A,32Bに対する密着性が格段に向上する。そ
の理由は定かではないが、斜板ワーク10Wに供給体4
0を圧接するときの押圧力とその時に発生する摩擦熱の
影響で、供給体40側の金属材料が原子レベルで斜板ワ
ーク10Wの内部に一部拡散し、斜板ワーク10Wの被
加工面32A,32Bと皮膜31A,31Bとの接触域
にミクロな拡散層が結果的に形成されるためと考えられ
る。その他の理由としては、皮膜形成の前処理として被
加工面32A,32Bに粗面処理を施すことで、この被
加工面32A,32Bの皮膜31A,31Bに対する接
触面積が増大されていることが挙げられる。 (5)この方法によれば、被加工面32A,32Bの一
部に圧接転移した供給体40の金属材料を、擦り切るよ
うな形で供給体40から確実に断ち切って、被加工面3
2A,32Bにおける供給体40との圧接跡に確実に取
り残しておくことができる。従って、供給体40から所
定量の金属材料を確実に被加工面32A,32Bへ転移
させることができ、環状の被加工面32A,32B全体
に所望の厚みの皮膜31A,31Bを得ることができ
る。 (6)この方法によれば、供給体40として単なる円柱
状のものを採用することができる。例えば、円柱状の供
給体40は、現在の市場において金属組織が均一なもの
を安価に入手することができ、これは良質な皮膜31
A,31Bを安価に得ることにつながる。 (7)この方法に供される斜板ワーク10Wは、その被
加工面32A,32Bの外周縁部32A−1,32B−
1及び内周縁部32A−2,32B−2において皮膜3
1A,31Bの密着性が悪くなることを予め見こして、
この被加工面32A,32Bの外周縁部32A−1,3
2B−1側及び内周縁部32A−2,32B−2側を斜
板摺接面30A,30Bよりもはみ出させている。そし
て、斜板成形工程においては、被加工面32A,32B
の斜板摺接面30A,30Bからはみ出した領域に形成
された皮膜31A,31Bを、言い換えれば皮膜31
A,31Bにおいて密着性が悪い部分を、斜板ワーク1
0Wから除去するようにしている。このようにして得ら
れた皮膜31A,31Bは、斜板摺接面30A,30B
の外周縁部30A−1,30B−1及び内周縁部30A
−2,30B−2においても密着性が良好なものとな
る。 (8)皮膜31A,31Bの形成中において供給体40
は、回転(自転)しつつ斜板ワーク10Wの被加工面3
2A,32Bに圧接される。従って、供給体端面41の
外側において、被加工面32A,32Bの縁部32A−
1,32B−1,32A−2,32B−2に対応する部
位が順次入れ替わり、金属材料の斜板ワーク10Wへの
転移に基づく供給体40の消耗が、供給体端面41の外
側において均一になされる。その結果、供給体40が完
全に消耗されるまでの間中、斜板ワーク10Wに対する
(特に被加工面32A,32Bの縁部32A−1,32
B−1,32A−2,32B−2側に対する)皮膜形成
を安定して行い得る。
【0051】このことは、被加工面32A,32Bの外
周縁部32A−1,32B−1側及び内周縁部32A−
2,32B−2側における皮膜31A,31Bの密着性
を向上させることにつながり、斜板成形工程において斜
板ワーク10Wから除去する皮膜31A,31Bの量、
ひいては第1〜第3除去肉部33〜35の量を少なく設
定できて、材料(皮膜構成材料及び斜板構成材料)の無
駄を抑制することができる。
周縁部32A−1,32B−1側及び内周縁部32A−
2,32B−2側における皮膜31A,31Bの密着性
を向上させることにつながり、斜板成形工程において斜
板ワーク10Wから除去する皮膜31A,31Bの量、
ひいては第1〜第3除去肉部33〜35の量を少なく設
定できて、材料(皮膜構成材料及び斜板構成材料)の無
駄を抑制することができる。
【0052】また、供給体40の回転は高速でなされて
おり、この供給体40の高速回転を主要因として金属材
料が昇温軟化される。従って、例えば、供給体40を低
速で回転させ、大重量の(言い換えれば軸振れが生じ易
い)斜板ワーク10Wを高速で回転させる場合と比較し
て、斜板ワーク10Wの回転軸線Lの安定化、ひいては
皮膜形成の安定化を図り得る。 (9)皮膜31A,31Bの形成中において斜板ワーク
10Wは、軸線Lを中心として回転され、この斜板ワー
ク10Wの回転によって、供給体40と被加工面32
A,32Bとが同被加工面32A,32Bの周方向に相
対移動される。従って、例えば、後の別例において述べ
るように、斜板ワーク10Wを回転させずに、供給体4
0を自転させつつ斜板ワーク10Wの軸線L周りで公転
させるような、構成や調整が複雑となりがちな多軸機構
を必要としない。
おり、この供給体40の高速回転を主要因として金属材
料が昇温軟化される。従って、例えば、供給体40を低
速で回転させ、大重量の(言い換えれば軸振れが生じ易
い)斜板ワーク10Wを高速で回転させる場合と比較し
て、斜板ワーク10Wの回転軸線Lの安定化、ひいては
皮膜形成の安定化を図り得る。 (9)皮膜31A,31Bの形成中において斜板ワーク
10Wは、軸線Lを中心として回転され、この斜板ワー
ク10Wの回転によって、供給体40と被加工面32
A,32Bとが同被加工面32A,32Bの周方向に相
対移動される。従って、例えば、後の別例において述べ
るように、斜板ワーク10Wを回転させずに、供給体4
0を自転させつつ斜板ワーク10Wの軸線L周りで公転
させるような、構成や調整が複雑となりがちな多軸機構
を必要としない。
【0053】本発明の趣旨から逸脱しない範囲で以下の
態様でも実施できる。 ・上記斜板成形工程において、被加工面32A,32B
の斜板摺接面30A,30Bからはみ出した領域に形成
された皮膜31A,31Bのみを除去すること。つま
り、被加工面32A,32Bにおいて、斜板摺接面30
A,30Bからはみ出した領域(第1〜第3除去肉部3
3〜35)はそのまま斜板10に残しておくこと。 ・フロント側及びリヤ側の被加工面32A,32Bの一
方においてのみ、斜板摺接面30A,30Bからはみ出
した領域に形成された皮膜31A,31Bを除去するこ
と。 ・被加工面32A,32Bにおいて、斜板摺接面30
A,30Bから外周側にはみ出した領域に形成された皮
膜31A,31B及び内周側にはみ出した領域に形成さ
れた皮膜31A,31Bの一方のみを除去すること。 ・斜板ワーク10Wにおいて、被加工面32A,32B
の外周縁部32A−1,32B−1側及び内周縁部32
A−2,32B−2側の一方のみを、斜板摺接面30
A,30Bからはみ出させること。 ・斜板ワーク10Wにおいて、フロント側被加工面32
A及びリヤ側被加工面32Bの一方のみを、斜板摺接面
30A,30Bからはみ出させること。 ・供給体40として、アルミニウム系材料に代えて、銅
系材料を使用してもよい。 ・アルミニウム系材料よりなる斜板10においてその製
造方法に具体化すること。 ・供給体40を低速で回転させ、斜板ワーク10Wを高
速で回転させること。つまり、供給体40の昇温軟化
を、主として斜板ワーク10Wの高速回転に期待するこ
と。 ・斜板ワーク10Wを回転させずに、自転する供給体4
0をさらには軸線Lを中心として公転させること。 ・供給体40を回転させずに、斜板ワーク10Wを高速
回転させること。 ・供給体40を予め加熱して昇温軟化させた状態で、皮
膜形成に供すること。このようにすれば、供給体40の
昇温軟化を摩擦発熱にそれ程期待しなくともよく、供給
体40から斜板ワーク10Wの被加工面32A,32B
への金属材料転移を速やかに行なうことができ、皮膜3
1A,31Bの短時間形成に貢献される。また、このよ
うな手法を採用した時、皮膜31A,31Bの摺接面3
0A,30Bに対する密着性が格段に向上するという効
果が発見された。
態様でも実施できる。 ・上記斜板成形工程において、被加工面32A,32B
の斜板摺接面30A,30Bからはみ出した領域に形成
された皮膜31A,31Bのみを除去すること。つま
り、被加工面32A,32Bにおいて、斜板摺接面30
A,30Bからはみ出した領域(第1〜第3除去肉部3
3〜35)はそのまま斜板10に残しておくこと。 ・フロント側及びリヤ側の被加工面32A,32Bの一
方においてのみ、斜板摺接面30A,30Bからはみ出
した領域に形成された皮膜31A,31Bを除去するこ
と。 ・被加工面32A,32Bにおいて、斜板摺接面30
A,30Bから外周側にはみ出した領域に形成された皮
膜31A,31B及び内周側にはみ出した領域に形成さ
れた皮膜31A,31Bの一方のみを除去すること。 ・斜板ワーク10Wにおいて、被加工面32A,32B
の外周縁部32A−1,32B−1側及び内周縁部32
A−2,32B−2側の一方のみを、斜板摺接面30
A,30Bからはみ出させること。 ・斜板ワーク10Wにおいて、フロント側被加工面32
A及びリヤ側被加工面32Bの一方のみを、斜板摺接面
30A,30Bからはみ出させること。 ・供給体40として、アルミニウム系材料に代えて、銅
系材料を使用してもよい。 ・アルミニウム系材料よりなる斜板10においてその製
造方法に具体化すること。 ・供給体40を低速で回転させ、斜板ワーク10Wを高
速で回転させること。つまり、供給体40の昇温軟化
を、主として斜板ワーク10Wの高速回転に期待するこ
と。 ・斜板ワーク10Wを回転させずに、自転する供給体4
0をさらには軸線Lを中心として公転させること。 ・供給体40を回転させずに、斜板ワーク10Wを高速
回転させること。 ・供給体40を予め加熱して昇温軟化させた状態で、皮
膜形成に供すること。このようにすれば、供給体40の
昇温軟化を摩擦発熱にそれ程期待しなくともよく、供給
体40から斜板ワーク10Wの被加工面32A,32B
への金属材料転移を速やかに行なうことができ、皮膜3
1A,31Bの短時間形成に貢献される。また、このよ
うな手法を採用した時、皮膜31A,31Bの摺接面3
0A,30Bに対する密着性が格段に向上するという効
果が発見された。
【0054】上記実施形態から把握できる技術的思想に
ついて記載する。 (1)皮膜は斜板とシューとの接触摺動性を改善するた
めのものである請求項1〜5のいずれかに記載の斜板に
おける皮膜形成方法。
ついて記載する。 (1)皮膜は斜板とシューとの接触摺動性を改善するた
めのものである請求項1〜5のいずれかに記載の斜板に
おける皮膜形成方法。
【0055】(2) 斜板は鉄系材料により構成され、
供給体はアルミニウム系材料又は銅系材料により構成さ
れている請求項1〜5のいずれかに記載の斜板における
皮膜形成方法。
供給体はアルミニウム系材料又は銅系材料により構成さ
れている請求項1〜5のいずれかに記載の斜板における
皮膜形成方法。
【0056】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の方法によれ
ば、斜板のシューとの摺接面に対する金属材料皮膜の形
成技術としての汎用性に優れると共に、皮膜形成作業の
手間、時間及びコストの効果的な削減が可能となるとい
う優れた効果を奏する。
ば、斜板のシューとの摺接面に対する金属材料皮膜の形
成技術としての汎用性に優れると共に、皮膜形成作業の
手間、時間及びコストの効果的な削減が可能となるとい
う優れた効果を奏する。
【0057】また、本発明の方法により得られた皮膜
は、斜板摺接面の外周縁部及び/又は内周縁部において
も密着性が良好なものとなる。
は、斜板摺接面の外周縁部及び/又は内周縁部において
も密着性が良好なものとなる。
【図1】 容量可変型の斜板式圧縮機の縦断面図。
【図2】 シューと接する斜板の外周部付近を拡大して
示す断面図。
示す断面図。
【図3】 斜板ワークのリヤ面及び供給体の全体を示す
正面図及び斜視図。
正面図及び斜視図。
【図4】 皮膜形成装置を概念的に示す図。
【図5】 斜板ワークの外周部付近を示す断面図。
8…ピストン、10…斜板、10W…斜板ワーク、20
A,B…シュー、30A,B…摺接面、31A,B…皮
膜、32A,B…被加工面、32A−1,B−1…被加
工面の外周縁部、32A−2,B−2…被加工面の内周
縁部、40…供給体。
A,B…シュー、30A,B…摺接面、31A,B…皮
膜、32A,B…被加工面、32A−1,B−1…被加
工面の外周縁部、32A−2,B−2…被加工面の内周
縁部、40…供給体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩間 和明 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 小鉄 泰生 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 吉田 貴司 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 Fターム(参考) 3H076 AA06 BB19 BB26 BB50 CC99
Claims (5)
- 【請求項1】 斜板式圧縮機に用いられ、シューを介し
てピストンを連結する斜板において、 前記シューとの環状摺接面に金属材料よりなる皮膜を形
成するための皮膜形成方法であって、 斜板ワークよりも軟質な金属材料よりなる供給体を、斜
板ワークにおいて環状摺接面を含む環状の被加工面の一
部に圧接させ、さらには供給体と被加工面とを同被加工
面の周方向に相対移動させることで、供給体がその金属
材料の一部を被加工面上に順次転移させて皮膜を形成す
る工程と、 前記斜板ワークにおいて被加工面は、その外周縁部側及
び内周縁部側の少なくとも一方が環状摺接面からはみ出
して設定されていることと、 前記被加工面において環状摺接面からはみ出した領域に
形成された皮膜を、斜板ワークから除去する工程とから
なることを特徴とする斜板における皮膜形成方法。 - 【請求項2】 前記被加工面は、外周縁部側及び内周縁
部側の両方が環状摺接面からはみ出している請求項1に
記載の斜板における皮膜形成方法。 - 【請求項3】 前記被加工面において環状摺接面からは
み出した領域は、同領域に形成された皮膜とともに斜板
ワークから除去される請求項1又は2に記載の斜板にお
ける皮膜形成方法。 - 【請求項4】 前記供給体は回転しつつ斜板ワークの被
加工面に圧接される請求項1〜3のいずれかに記載の斜
板における皮膜形成方法。 - 【請求項5】 前記斜板ワークの被加工面は一軸線を中
心としたこの一軸線に直交する環状の面であり、斜板ワ
ークがこの一軸線を中心として回転することで、供給体
と被加工面とが同被加工面の周方向に相対移動される請
求項1〜4のいずれかに記載の斜板における皮膜形成方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000058693A JP2001248546A (ja) | 2000-03-03 | 2000-03-03 | 斜板式圧縮機の斜板における皮膜形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000058693A JP2001248546A (ja) | 2000-03-03 | 2000-03-03 | 斜板式圧縮機の斜板における皮膜形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001248546A true JP2001248546A (ja) | 2001-09-14 |
Family
ID=18579254
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000058693A Pending JP2001248546A (ja) | 2000-03-03 | 2000-03-03 | 斜板式圧縮機の斜板における皮膜形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001248546A (ja) |
-
2000
- 2000-03-03 JP JP2000058693A patent/JP2001248546A/ja active Pending
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