JP2001247589A - 糖質アミジン誘導体 - Google Patents

糖質アミジン誘導体

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JP2001247589A JP2000062197A JP2000062197A JP2001247589A JP 2001247589 A JP2001247589 A JP 2001247589A JP 2000062197 A JP2000062197 A JP 2000062197A JP 2000062197 A JP2000062197 A JP 2000062197A JP 2001247589 A JP2001247589 A JP 2001247589A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 工業的に容易に製造可能な、選択的なグリコ
シダーゼ阻害効果を有し得る新規化合物及び前記新規化
合物を含むグリコシダーゼ阻害剤を提供すること。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される糖質誘導体
及び前記誘導体を含有する糖質分解酵素阻害剤。 (式中、a1及びa2のいずれか一方は水素原子であり、他
方は水酸基であり、a3及びa4のいずれか一方は水素原子
であり、他方は水酸基であり、a5及びa6のいずれか一方
は水素原子であり、他方は水酸基であり、b1及びb2は独
立に水素原子、CH2OH基又はCH3基を表し、Xはハロゲン
原子を表す。Rはベンジル基、フェニル基、フェニルエ
チル基、複素環基、置換ベンジル基、置換フェニル基、
置換フェニルエチル基、置換複素環基、直鎖状、分岐状
又は環状のアルキル基又はアルケニル基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グリコシダーゼ阻
害剤として有用な糖質アミジン誘導体及びそれを含むグ
リコシダーゼ阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】配糖体の加水分解に関与するグリコシダ
ーゼは、一般に酸触媒下、オキソカルベニウムカチオン
中間体を経て反応を触媒していると考えられている。こ
の種の酵素の阻害剤としては、例えば、各種グリコシダ
ーゼの阻害剤として、微生物又は植物起源のものや有機
合成により製造されたものなど多数が報告されている。
微生物又は植物起源のものとしてはノジリマイシン(T.N
iwa et al.、Agric.Biol.Chem. 34. 966(1970))、1-デ
オキシノジリマイシン(G.Legler et al.、Carbohydr.Re
s.、128 61(1984))、カスタノスペルミン(U.Fuhrann et
al.、Biochem.Biophys.Acta.825、95(1985))、2,5-ジ
ヒドロキシメチル-3,4-ジヒドロキシピロリジン(A.Welt
er et al.、Phytochem.15、747(1976))、バリダミン(S.
Ogawa et al.、J.Chem.Soc.Chem.Commun.、1843(1987))
などがある。また有機合成によるものとしてはアミノシ
クロペンタンポリオール(R.A.Farr et al.、Tetrahedro
n Lett.、31、7109(1990))、環状アミジン(G.Papandreo
u et al.、J.Am.Chem.Soc.、l15、l1682(1993))、環状
グアニジン(J.Lehmann et al.、Leiebigs Ann.Chem.、8
05(1994))、オキザジン(W.M.Best et al.、Abstract of
the 17th International Carbohydrates Symposium B
2.80、354(1994))、ファゴミン(N.Asano et al.、Carb
olydr.Res.、253、235(1994))、スワインソニン(G.P.
Kaushal,A.D.Elbein、Trends Glycosci.Glycotechno
l.、5、209(1993))、テトラゾール(tetrazole)誘導
体及びイミダゾール(imidazole)誘導体などが挙げら
れる。これら阻害剤は例外なく窒素原子を含む糖質アナ
ログである。
【0003】これら阻害糖質は酵素反応解析試薬、アフ
ィニティ担体、糖タンパク質糖鎖の機能・認識機構の解
析試薬など、様々な生化学的研究に用いることができる
有効な生理活性物質であり、更に医薬や農薬に利用する
試みも活発に行われるようになった。このように広い分
野で有効な利用が考えられる糖質分解酵素阻害剤は、微
生物若しくは植物から抽出するか、又は有機合成法によ
り製造されていた。しかし、微生物起源のものの場合、
微生物培養液から阻害剤を精製することは、非常に困難
である。又、植物起源のものは存在量も少なく植物から
抽出や精製することが困難である。いずれの場合も、工
業的製造法としてはコストや収量等の制約を受けるなど
の問題が多い。また従来のグリコシダーゼ阻害剤は、報
告されている多くが糖骨格に窒素原子を含む含窒素糖質
であり、酵素合成法あるいは有機合成法により調製する
ことは容易ではなかった。つまり、有機合成法の場合、
糖骨格に窒素原子を導入するためだけに数段階の有機合
成反応を行なう必要があり、工業的製法としては問題が
あった。上記の理由からこれまでは生化学的応用が可能
な糖質分解酵素阻害剤を工業的に製造することは困難で
あった。また、従来の含窒素糖質は、反応の中間体又は
遷移状態を模倣した構造のものが多かったが、それら
は、阻害活性は強いものの、酵素の基質選択性部位(グ
リコン部)に対応した選択的な阻害効果を発揮するもの
ではなかった。従って、工業的に製造が可能な比較的簡
単な構造を有し、かつ選択的な阻害効果を発揮し得る阻
害剤が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、工業的に容易に製造可能な、選択的なグリコシダー
ゼ阻害効果を有し得る新規化合物及び前記新規化合物を
含むグリコシダーゼ阻害剤を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは研究を重ね
た結果、基質であるグリコシドの構造を組み込んだ糖質
アミジン誘導体が、優れたグリコシダーゼの阻害活性を
有していることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明による糖質アミジン誘導体は、糖骨格に窒素原子
を有さないため、比較的簡便に有機合成法で製造するこ
とができる。また、本発明による阻害剤は、酵素の糖部
分の骨格を有し、基質と極めて近い構造であるので、酵
素の基質選択性に対応した選択的な酵素阻害効果を示す
ことが期待できる。
【0006】本発明は、下記一般式(1)で表される化
合物に関する。糖質アミジン誘導体
【化2】
【0007】一般式(1)中、a1及びa2のいずれか一方
は水素原子であり、他方は水酸基であり、a3及びa4のい
ずれか一方は水素原子であり、他方は水酸基であり、a5
及びa6のいずれか一方は水素原子であり、他方は水酸基
であり、b1及びb2は独立に水素原子、CH2OH基、又はCH3
基を表す。Xはハロゲン原子を表す。Rはベンジル基、フ
ェニル基、フェニルエチル基、複素環基、置換ベンジル
基、置換フェニル基、置換フェニルエチル基、置換複素
環基(これらの置換基は、アルキル基、アルコキシ基、
カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子、水酸基、ス
ルファニル基、アルキルスルファミル基、ホルミル基、
カルボモイル基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、
アシル基、スルホニル基を示す)、直鎖状、分岐状又は
環状のアルキル基又はアルケニル基を表す。
【0008】さらに本発明は、上記一般式(1)で表さ
れる糖質アミジン誘導体の少なくとも一種を有効成分と
して含有するグリコシダーゼ阻害剤に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】糖質アミジン誘導体 一般式(1)中のピラノース環において、a1及びa2のい
ずれか一方、a3及びa4のいずれか一方、並びにa5及びa6
のいずれか一方は水素原子であり、他方はそれぞれ水酸
基である。b1及びb2は独立に水素原子、CH2OH基、又はC
H3基である。前記ピラノース環の具体例を以下に示す。 グルコピラノース(a1=H,a2=OH,a3=OH,a4=H,a5=H,a6=O
H,b1=CH2OH,b2=H) マンノピラノース(a1=H,a2=OH,a3=OH,a4=H,a5=OH,a6=
H,b1=CH2OH,b2=H) ガラクトピラノース(a1=OH,a2=H,a3=OH,a4=H,a5=H,a6=
OH,b1=CH2OH,b2=H) キシロピラノース(a1=H,a2=OH,a3=OH,a4=H,a5=H,a6=O
H,b1=H,b2=H) フコピラノース(a1=H,a2=OH,a3=H,a4=OH,a5=OH,a6=H,b
1=H,b2=CH3) これら以外にも、例えば、アラビノピラノース、フルク
トピラノース、リボピラノース等のピラノース環もあ
る。また、一般式(1)中、Xはハロゲン原子であり、
具体的にはBr又はIから選ぶことができる。
【0010】上記一般式(1)で表される本発明の誘導
体は、α体又はβ体のいずれであることもでき、本発明
の誘導体の例を以下に示す。α-グルコピラノシルフェ
ニルアセチミダミドヨウ化水素酸塩、β-グルコピラノ
シルフェニルアセチミダミドヨウ化水素酸塩、α-マン
ノピラノシルフェニルアセチミダミドヨウ化水素酸塩、
β-マンノピラノシルフェニルアセチミダミドヨウ化水
素酸塩、α-ガラクトピラノシルフェニルアセチミダミ
ドヨウ化水素酸塩、β-ガラクトピラノシルフェニルア
セチミダミドヨウ化水素酸塩、α-キシロピラノシルフ
ェニルアセチミダミドヨウ化水素酸塩、β-キシロピラ
ノシルフェニルアセチミダミドヨウ化水素酸塩、α-フ
コピラノシルフェニルアセチミダミドヨウ化水素酸塩、
β-フコピラノシルフェニルアセチミダミドヨウ化水素
酸塩、α-グルコピラノシルフェニルアセチミダミド臭
化水素酸塩、β-グルコピラノシルフェニルアセチミダ
ミド臭化水素酸塩、α-マンノピラノシルフェニルアセ
チミダミド臭化水素酸塩、β-マンノピラノシルフェニ
ルアセチミダミド臭化水素酸塩、α-ガラクトピラノシ
ルフェニルアセチミダミド臭化水素酸塩、β-ガラクト
ピラノシルフェニルアセチミダミド臭化水素酸塩、α-
キシロピラノシルフェニルアセチミダミド臭化水素酸
塩、β-キシロピラノシルフェニルアセチミダミド臭化
水素酸塩、α-フコピラノシルフェニルアセチミダミド
臭化水素酸塩、β-フコピラノシルフェニルアセチミダ
ミド臭化水素酸塩
【0011】本発明のβ-グリコシルアミジン誘導体
は、有機合成法により合成することができる。具体的に
は、例えば、以下に反応式を示すように、無保護のアミ
ノ糖とチオイミデートとを、氷冷下で反応させるこ
とにより、一段階で容易に合成することができる。
【0012】
【化3】
【0013】上記合成に使用する無保護のアミノ糖
は、例えば、単糖とメタノール性アンモニアを反応させ
て生成することができる。使用する単糖は、糖アミジン
誘導体中のピラノース環の種類に応じて、例えば、グル
コース、マンノース、ガラクトース、キシロース又はフ
コース等から選ぶことができる。上記反応は、例えば、
前記単糖をメタノール性アンモニアに溶解し、室温で3
日間攪拌しながら行うことより無保護のアミノ糖を得
ることができる。得られた無保護のアミノ糖は、必要
により、チオイミデートとの反応の前に精製すること
ができる。無保護のアミノ糖の精製は、例えば、アル
コールからの結晶化によって行うことができる。
【0014】上記合成に使用するチオイミデートは、
例えば、チオイミデートのR基がベンジル基の場合に
は、ベンジルシアニドと硫化水素とを反応させて得たフ
ェニルチオアセタミドを、さらにハロゲン化メチルと反
応させる公知の方法によって得ることができる(A.E.S.F
airfull,J.L.Lowe,D.A.Peak,J.Chem.Soc.742-744(195
2))。ベンジルシアニドと硫化水素とは、反応溶媒中で
反応させることが好ましく、反応溶媒としては、ピリジ
ンを用いることができるが、ピリジンとトリエチルアミ
ンとの混合溶媒を用いることが、反応効率を高めるため
に特に好ましく、両溶媒の混合比は、ピリジン:トリエ
チルアミン=10:2〜10:3の範囲であることが好
ましい。ベンジルシアニドと硫化水素との反応は、例え
ば、上記反応溶媒を用いて室温攪拌下で、18〜24時
間反応させることによって行い、フェニルチオアセタミ
ドを得ることができる。さらに、得られたフェニルチオ
アセタミドをハロゲン化メチルと室温攪拌下で1〜12
時間反応させることにより、チオイミデートを得るこ
とができる。使用するハロゲン化メチルは、一般式
(1)中のXの種類に応じて適宜選択でき、例えば、沃
化メチル又は臭化メチルであることができる。反応溶媒
としてはアセトン、エタノールを用いることができる
が、アセトンを用いることが、反応速度、収率及び純度
の点で好ましい。得られたチオイミデートは、必要に
より、無保護のアミノ糖との反応前に精製することが
できる。得られたチオイミデートは、例えば、アセト
ン/エーテルを1:1の割合で混合した溶媒によって再
結晶を行い、精製することができる。尚、チオイミデー
トのR基がベンジル基以外の場合にも、原料は市販品か
ら容易に入手可能であり、上記と同様に合成することが
できる。
【0015】上記合成により得られたチオイミデート
及び無保護のアミノ糖は、混合することで反応し、目
的とするβ-グリコシルアミジン誘導体を得ることが
できる。チオイミデートと無保護のアミノ糖との混
合は、好ましくは、溶媒中で行われ、溶媒としては、例
えば、DMF(ジメチルホルムアミド)、ピリジン等を使
用することができる。但し、ピリジンを用いることが、
反応速度、収率及び後処理の簡便さの点で好ましい。チ
オイミデートとアミノ糖との反応は、氷冷下で2時
間攪拌しながら行うことが、収率向上の点で好ましい。
得られたβ-グリコシルアミジン誘導体は、必要によ
り、例えば、分取用逆相シリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(ODS)で精製することができる。
【0016】本発明のα-グリコシルアミジン誘導体
は、有機合成法で合成することができる。具体的には、
例えばピラノース環がグルコピラノースの場合、下記に
スキームを示す公知の方法に従って、β-D-グルコース
ペンタアセテートから、5段階反応によって合成する
ことができる(W.J.Hickinbottom,J.Chem.Soc.,1676-16
87(1929),Z.Gyorydeak,H.Paulsen,Liebigs Ann.Chem.,1
987-1991(1977),Y.Ichikawa,Y.Igarashi,M.Ichikawa,Y.
Suhara,J.Am.Chem.Soc.,120,3007-3018(1998))。β-D-
グルコースペンタアセテートは、市販品を入手できる
ほか、β-D-グルコースを、無水酢酸ナトリウム及び無
水酢酸を用いて常法によりアセチル化することでも得ら
れる。β-D-グルコースペンタアセテートは五塩化リ
ンで塩素化しクロル体とし、次いでアジ化ナトリウム
でアジド化し、得られたアジド体を脱保護(脱アセテ
ート)してアジド体を得た後、還元によりα-1-アミ
ン体とし、このα-1-アミン体とチオイミデート
とを反応させることで、目的とするN-α-D-グルコピラ
ノシルアセチミダミド臭化水素酸塩を得ることができ
る。グルコース以外の単糖であるマンノース、ガラクト
ース、キシロース及びフコース等を原料とする場合も同
様の工程を経て目的物を得ることができる。
【0017】
【化4】
【0018】糖質分解酵素阻害剤 本発明の糖質分解酵素阻害剤は、上記一般式(1)で表
される糖質アミジン誘導体の少なくとも一種を有効成分
として含む。上記一般式(1)で表される糖質アミジン
誘導体及び一般式(1)中の置換基a1〜a6、b1及びb2
びにXについては、上記本発明のにおいて記載した通り
である。
【0019】本発明の糖質アミジン誘導体は、例えば、
グルコシダーゼ、マンノシダーゼ、ガラクトシダーゼ、
キシロシダーゼ及びフコシダーゼ等のグリコシダーゼに
対する阻害活性を有する。本発明の糖質分解酵素阻害剤
は、糖質分解酵素であるグリコシダーゼの阻害剤として
有効であり、植物及び微生物由来のグリコシダーゼのい
ずれをも阻害することができる。また、本発明のグリコ
シダーゼ阻害剤は、通常、α体はα-グリコシダーゼの
阻害剤として、β-体はβ-グリコシダーゼの阻害剤とし
て使用する場合に特に良好な阻害効果を発揮する傾向が
あり、また、阻害対象である酵素(グリコシダーゼ)の
基質と同一のグリコシドをグリコン部として有する場合
に、良好な阻害効果を発揮する傾向がある。しかし、あ
る阻害剤を、同一の基質特異性を有するグリコシダーゼ
に対してそれぞれ使用した場合でも、酵素の起源の違い
によって発揮される阻害効果が異なる場合がある。例え
ば、β-グルコピラノシルフェニルアセチミダミド臭化
水素酸塩は、酵母起源のα-D-グルコシダーゼに対して
は、強い阻害効果を示すが、アスペルギルス・ニーガー
(Aspergillus niger)やバチルス属(Basillus sp.)起源
のものには弱い阻害しか示さない。
【0020】また、阻害剤がβ体であってもα体の酵素
に対して阻害効果を示すこともある。例えばβ-グルコ
ピラノシルフェニルアセチミダミド臭化水素酸塩は、β
-グルコシダーゼに対して顕著な阻害効果を発揮する
が、α-グルコシダーゼに対しても阻害効果を発揮し得
る。また、β-グルコピラノシルフェニルアセチミダミ
ド臭化水素酸塩は、β-グルコシダーゼの中でもアスペ
ルギルス・ニーガー(Aspergillus niger)起源のもの
に対して強い阻害効果を示し、トリコデルマ・ビリデ
(Trichoderma viride)起源やアーモンド起源のにも阻
害効果を有する。β-ガラクトピラノシルフェニルアセ
チミダミド臭化水素酸塩は、例えば、β-グルコシダー
ゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ及びβ
-キシロシダーゼに対する阻害効果を示す。また、β-キ
シロピラノシルフェニルアセチミダミド臭化水素酸塩
は、β-キシロシダーゼだけでなく、β-グルコシダーゼ
に対しても阻害効果を示す場合がある。
【0021】本発明の糖質分解酵素阻害剤は、使用する
対象によって異なるが、例えば、水溶液として使用する
場合、上記本発明の糖質アミジン誘導体を0.0000
1〜10重量%の範囲で含有するものであることができ
る。
【0022】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。 (実施例1)N-β-D-グルコピラノシルアセチミダミドヨウ化水素酸
塩の有機合成 (1) 1−アミノ糖の合成 以下にβ-グルコピラノシルアミンの合成方法を示す。
【化5】 無水メタノール100mlを耐圧ガラス瓶に入れ、ドライア
イス−エタノール冷却下でアンモニアガスを通した。メ
タノール溶液が150mlになったところでアンモニアガス
を止めて、D−グルコース10を36.2g(0.2mol)入れ、溶
けるまで攪拌した。瓶を閉めて、室温で3日間放置し
た。次にドライアイス−エタノール冷却下で瓶を開け
て、室温で1日放置しアンモニアを気化させた。できた
結晶を濾過し、メタノールで洗浄し、デシケ一夕で乾燥
し、β-グルコピラノシルアミン11を19.5g得た(収率5
4%)。1 H-NMR(400MHz,D2O)δ4.10(d,J=8.9Hz,lH,H-1),3.88(d
d,J=12.2,2.2Hz,lH,H-6a),3.69(dd,J=12.2,6.lHz,lH,H-
6b),3.48(dd,J=9.2,9.2Hz,lH,H-3),3.43(ddd,J=9.8,6.
1,2.2Hz,lH,H-5),3.37(dd,J=9.2,9.8Hz,lH,H-4),3.16(d
d,J=8.9,9.2Hz,lH,H-2).13C-NMR(100MHz,D20)δ87.9(C-
l),79.8(C-5),79.5(C-3),77.1(C-2),72.7(C-4),63.8(C-
6).元素分析Calcd.for C6H13NO5:C,40.22;H,7.31;N,7.8
2.Found:C,40.04;H,7.40;N,7.72.
【0023】(2) チオイミデートの合成 以下にフェニルチオアセタミドの合成方法を示す。
【化6】 ベンジルシアニド12 23.43g(0.2mol)をピリジン(100m
l)とトリエチルアミン(28.8ml)に溶かし、硫化水素ガス
(13g,0.38mol)を通した。室温で反応24時間後、濃縮乾
固し、ベンゼン150mlに溶解し、150mlのヘキサンを徐々
に加えて、一晩経過後濾過し、フェニルチオアセタミド
13の結晶15g得た(収率50%)。濾液を濃縮し、50ml
のエーテルに溶解した後、2N塩酸(50ml)、飽和炭酸水
素ナトリウム水溶液(50ml)及び飽和塩化ナトリウム水
溶液(50ml)で洗浄後、芒硝乾燥した。濃縮後、ベンゼ
ン/エーテルで再結晶し(1:1,50ml)、フェニルチオア
セタミド13の第2結晶4.6gを得た(収率15%)。フ
ェニルチオアセタミド13の総収量は19.6g、総収率は
65%であった。1 H-NMR(200MHz,CDC13,TMS)8.1,6.8(2H,br.s,NH2),7.2-
7.4(5H,m,H-4,5 and 6),4.08(2H,s,H-2).13C-NMR(50MH
z,CDC13,TMS)207.4(C-1),134.9(C-3),129.4(C-5),129.3
(C-4),-128.0(C-6),52.0(C-2).IR(KBr)ν3000-3400,162
0,1435,1320,1220,945,780,730,690cm-1.M.p.96.3-96.9
゜;元素分析Calc.H,6.00%;C,63.54%;N,9.26%.Found H,
5.96%;C,63.63%;N,9.25%.
【0024】以下にS-メチルフェニルチオアセチミデー
トヨウ化水素酸塩の合成方法を示す。
【化7】 フェニルチオアセタミド13 3g(0.O198mol)を無水ア
セトン(10ml)に溶かし、氷冷下で沃化メチルをゆっくり
加え、室温で1時間反応後濾過し、生じた結晶をアセト
ン、エーテルで洗った後、乾燥し針状の結晶としてS-メ
チルフェニルチオアセチミデートヨウ化水素酸塩14
5.28g得た(収率91%)。1 H-NMR(200MHz,CDC13,TMS) 9-11(2H,br.,NH2),7.3-7.5
(5H,m,H-4,5 and 6),4.46(2H,s,H-2),2.89(3H,s,H-7).
13C-NMR(50MHz,CDq3,TMS)196.5(C-1),131.7(C-3),129.8
(C-5,7),129,2(C-4,8),128.8(C-6),42.8(C-2),18.2(C-
9).IR(KBr)ν2900-3100,1580,1500,1420,805,700cm-1.
M.p.138.3-139.2゜;元素分析Calcd.H,4.13%;C,36.84%;
N,4.78%.Found H,3.91%;C,36,82%;N,4.85%.
【0025】(3) グリコシルアミジン沃化水素酸塩
の合成 以下にN-β-D-グルコピラノシルフェニルアセチミダミ
ドヨウ化水素酸塩の合成方法を示す。
【化8】 β-グルコピラノシルアミン11の結晶0.90g(5mmol)をD
MF(10ml)に溶かし、氷冷下でS-メチルフェニルチオアセ
チミデートヨウ化水素酸塩14 1.54g(5.2mmol)を入
れ、氷冷下で2時間反応させた。反応混合物を減圧濃縮
し、残査をエーテル、クロロホルムで順次洗浄した。油
状残査を水(2ml)に溶かして中圧分取用逆相ODSカラム
(ODS-S-50D;山善製)に供し、水で溶出し(6ml/mi
n)、生成物の画分を凍結乾燥して、N-β-D-グルコピラ
ノシルフェニルアセチミダミドヨウ化水素酸塩15を1.
69g得た(収率80%)。1 H-NMR(200MHz,CD3OD,TMS)δ7.35-7.45(m,5H,H-4〜6),
4.74(d,J=8.6Hz,1H,H-1'),3.88(dd,J=12.0,2.0Hz,1H,H-
6'b),3.88(s,2H,H-2),3.68(dd,J=12.0,5.2Hz,1H,H-6'
a),3.29-3.55(m,4H,H-2'〜5').13C-NMR(50MHz,CD3OD,TM
S) δ169.6(C-1),134.0(C-3),130.2(C-5),129.8(C-4),1
29.1(C-6),83.3(C-1'),79.8(C-5'),78.5(C-3'),73.5(C-
2'),70.7(C-4'),62.2(C-6'),39.8(C-2).IR(KBr)ν3000-
3500,1670,1615,1070,690cm-1.FABMS〔M+H〕+=297.144
2,-0.8 mmu for C14H21N205.
【0026】(実施例2)N-β-D-ガラクトピラノシルフェニルアセチミダミドヨ
ウ化水素酸塩及びN-β-D-キシロピラノシルフェニルア
セチミダミドヨウ化水素酸塩の有機合成 実施例1において、β−D-グルコピラノシルアミンをβ
−D−ガラクトピラノシルアミン又はβ−D−キシロピラ
ノシルアミンに変更したのみで、その他の手順は実施例
1の記載と同様に行い、N-β-D-ガラクトピラノシルフ
ェニルアセチミダミドヨウ化水素酸塩16及びN-β-D-
キシロピラノシルフェニルアセチミダミドヨウ化水素酸
17を得た。化合物16 1 H-NMR(200MHz,CD3OD,TMS)δ7.30-7.40(m,5H,H-4〜6),
4.64(d,J=8.7Hz,1H,H-1'),3.90(d,J=3.2Hz,1H,H-6'b),
3.86(s,2H,H-2),3.66-3.81(m,4H,H-2'〜4',6'a),3.54(d
d,J=9.4,3.2Hz,1H,H-5').13C-NMR(50MHz,CD3OD,TMS) δ
169.5(C-1),134.1(C-3),130.2(C-5),129.8(C-4),129.1
(C-6),83.9(C-1'),87.6(C-5'),75.2(C-3'),70.6(C-2'),
70.1(C-4'),62.4(C-6'),39.8(C-2).IR(KBr)ν3000-350
0,1670,1615,1070,700cm-1.FABMS〔M+H〕+=297.1440,-
1.0 mmu for C14H21N205.化合物17 1 H-NMR(400MHz,CD3OD,TMS)δ7.33-7.39(m,5H,H-4〜6),
4.66(d,J=8.2Hz,1H,H-1'),3.88(dd,J=11.2,5.1Hz,1H,H-
5'b),3.87(s,2H,H-2),3.53(ddd,J=10.4,8.7,5.1Hz,1H,H
-4'),3.42(dd,J=9.0,8.7Hz,1H,H-3'),3.39(dd,J=11.2,1
0.4Hz,1H,H-5'),3.37(dd,J=8.7,8.2Hz,1H,H-2').13C-NM
R(50MHz,CD3OD,TMS)δ169.6(C-1),134.2(C-3),130.2(C-
5),129.6(C-4),129.1(C-6),83.7(C-1'),78.4(C-3'),73.
4(C-2'),70.4(C-4'),68.7(C-5'),39.8(C-2).IR(KBr)ν3
000-3500,1670,1615,1050,690cm-1.FABMS〔M+H〕+=267.
1338,-0.7 mmu for C13H19N204.
【0027】(実施例3)N-β-D-グルコピラノシルフェニルアセチミダミド臭化
水素酸塩の有機合成 (1) チオイミデートの合成 実施例1と同様の方法により合成したフェニルチオアセ
タミド13 3.02gを臭化メチルを氷冷下で吹き込んだ無
水アセトン(28ml)に溶かした。室温で12時間反応後濾過
し、生じた結晶をアセトン、エーテルで洗った後、乾燥
し針状の結晶としてS-メチルフェニルチオアセチミデー
ト臭化水素酸塩20 4.76gを得た(収率97%)。1 H-NMR(200MHz,CDC13,TMS) 12.50,11.75(2H,br.,NH2),
7.3-7.5(5H,m,H-4,5 and 6),4.38(2H,s,H-2),2.86(3H,
s,H-7).13C-NMR(50MHz,CDCl3,TMS)195.4(C-1),132.1(C-
3),129.7(C-5,7),129,2(C-4,8),128.6(C-6),43.0(C-2),
17.0(C-9).IR(KBr)ν2900-3100,1580,1500,1420,805,70
0cm-1.M.p.147.9-148.4゜;元素分析Calcd.H,4.91%;C,4
3.91%;N,5.69%.Found H,4.97%;C,43.86%;N,5.55%. (2) グリコシルアミジン臭化水素酸塩の合成 実施例1と同様の方法で合成したβ-グルコピラノシル
アミン11 0.90mg(5mmol)の結晶をピリジン(20ml)
に溶かし、氷冷下でS-メチルフェニルチオアセチミデー
ト臭化水素酸塩20 1.27g(5.15mmol)を入れ、氷冷
下で2時間反応させた。反応混合物を減圧濃縮し、残査
を水(3ml)に溶かして、中圧分取用逆相ODSカラム(ODS-
S-50D;山善製)に供し、水で溶出し(5ml/min)、生成
物の画分を凍結乾燥して、N-β-D-グルコピラノシルフ
ェニルアセチミダミド臭化水素酸塩21を1.8g得た(収
率96%)。1 H-NMR(400MHz,D2O,TSP)δ7.39-7.49(m,5H,H-4〜6),4.8
7(d,J=8.5Hz,1H,H-1'),3.97(s,2H,H-2),3.89(dd,J=12.
4,2.2Hz,1H,H-6'b),3.75(dd,J=12.4,5.2Hz,1H,H-6'a),
3.60(ddd,J=9.7,5.2,2.2Hz,1H,H-5'),3.45-3.58(m,3H,H
-2'〜4').13C-NMR(50MHz,D2O,TSP)δ171.4(C-1),134.5
(C-3),131.8(C-5),131.5(C-4),130.9(C-6),83.8(C-1'),
80.1(C-5'),78.6(C-3'),74.0(C-2'),71.2(C-4'),62.8(C
-6'),41.0(C-2).IR(KBr)ν3200(br),1670,1610,1030cm
-1.FABMS〔M+H〕+=297.1450,-0.1 mmufor C14H21N205.
元素分析Calcd.for C14H21BrN2O5・0.4H2O:C,43.74%;H,
5.72%;N,7.29%.Found H,5.77%;C,43.68%;N,7.31%.
【0028】(実施例4)N-β-D-ガラクトピラノシルフェニルアセチミダミド臭
化水素酸塩及びN-β-D-キシロピラノシルフェニルアセ
チミダミド臭化水素酸塩の有機合成 実施例3において、β-グルコピラノシルアミン11
β-ガラクトピラノシルアミン又はβ-キシロピラノシル
アミンに変更したのみで、その他の手順は実施例3の記
載と同様に行い、N-β-D-ガラクトピラノシルフェニル
アセチミダミド臭化水素酸塩22及びN-β-D-キシロピ
ラノシルフェニルアセチミダミド臭化水素酸塩23を得
た。化合物22 1 H-NMR(200MHz,D2O,TSP)δ7.40-7.50(m,5H,H-4〜6),4.8
1(d,J=8.4Hz,1H,H-1'),4.01(d,J=3.0Hz,1H,H-6'b),3.98
(s,2H,H-2),3.84(d,J=5.6Hz,1H,H-6'a),3.70-3.80(m,4
H,H-2'〜5').13C-NMR(50MHz,D2O,TSP)δ171.4(C-1),13
4.5(C-3),131.8(C-5),131.6(C-4),130.9(C-6),84.4(C-
1'),79.5(C-5'),75.5(C-3'),71.4(C-2'),70.9(C-4'),6
3.3(C-6'),41.0(C-2).IR(KBr)ν3200(br),1670,1610,10
60cm-1.FABMS〔M+H〕+=297.1460,+1.0 mmu for C14H21N
205. 元素分析Calcd. for C14H21BrN2O5・0.6H2O:H,5.7
7%;C,43.33%;N,7.22%.Found H,5.74%;C,43.25%;N,7.19
%.化合物23 1 H-NMR(200MHz,D2O,TSP)δ7.40-7.50(m,5H,H-4〜6), 4.
82(d,J=8.4Hz,1H,H-1'),3.99(dd,J=11.6,5.3Hz,1H,H-5'
b),3.96(s,2H,H-2),3.41-3.80(m,4H,H-2'〜5').13C-NMR
(50MHz,D2O,TSP)δ171.5(C-1),134.5(C-3),131.8(C-5),
131.5(C-4),130.9(C-6),84.4(C-1'),78.6(C-3'),73.9(C
-2'),71.0(C-4'),69.4(C-5'),40.9(C-2).IR(KBr)ν3200
(br),1670,1610,1040cm-1.FABMS〔M+H〕+=267.1359,+1.
4 mmu for C13H19N204.元素分析Calcd. for C13H19BrN2
O4・0.55H2O:H,5.67%;C,43.72%;N,7.84%.Found H,5.59
%;C,43.56%;N,7.93%.
【0029】(比較例)N-β-D-グルコピラノシルフェニルアセトアミドの有機
合成
【化9】 N-ヒドロキシサクシニアミド31 2.53g(22mmol)を
ジクロロメタン30mlに溶解し、トリエチルアミン3.0ml
を加え、次いでフェニルアセチルクロライド30 3.1g
(20mmol)を加えて室温で6時間反応させた。反応混合
物を濃縮後、酢酸エチル100mlに溶解し、氷冷下した0.5
N塩酸(70ml)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml
×2)、飽和塩化ナトリウム水溶液(30ml)の順で洗浄
した。芒硝乾燥後濃縮し、フェニル酢酸N-ヒドロキシサ
クシニアミドエステル32の結晶3.73gを得た(収率80
%)。β-グルコシルアミン33 0.18g(1mmol)をピ
リジン2mlとトリエチルアミン0.3gの混合物に溶解し、
フェニル酢酸N-ヒドロキシサクシニアミドエステル32
0.25g(1.05mmol)を加えて、室温で24時間反応させ
た。反応混合物を濃縮後、50%メタノール水溶液2mlに
溶解し、中圧分取用逆相ODSカラム(ODS-S-50シリー
ズ;山善製)に供し、メタノールのグラジエント(50〜
100%)で溶出し(4ml/min)、100%メタノール画分でN
-β-D-グルコピラノシルフェニルアセトアミド34を溶
出し、凍結乾燥後、N-β-D-グルコピラノシルフェニル
アセトアミド34 0.25gを得た(収率82%)。 m.p.200℃,1H-NMR(400MHz,D2O,TSP)δ7.31-7.42(m,5H,H
-4〜6),4.97(d,J=9.2Hz,1H,H-1'),3.85(dd,J=12.4,1.8H
z,1H,H-6'b),3.70(dd,J=12.4,5.1Hz,1H,H-6'a),3.67(s,
2H,H-2),3.54(dd,J=9.2,9.2Hz,1H,H-3')3.50(ddd,J=9.
2,5.1,1.8Hz,1H,H-5'),3.42(dd,J=9.2,9.2Hz,1H,H-4'),
3.41(dd,J=9.2,9.2Hz,1H,H-2').13C-NMR(50MHz,D2O,TS
P)δ178.3(c-1),136.9(c-3),131.8(c-5),131.4(c-4,8),
129.9(c-6),81.9(c-1')80.0(c-5'),79.0(c-3'),74.3(c-
2'),71.7(c-4'),63.0(c-6'),44.7(c-2).IR(KBr)νmax 3
300(br),1650,1530,1350,1250,1030,700cm-1. FABMS〔M
+H〕 +=298.1298,+0.7 mmu for C14H20N06. 元素分析Cal
cd.H,6.44%;C,56.56%;N,4.71%.Found H,6.60%;C,56.68
%;N,4.44%.
【0030】(実施例5)実施例1〜4で合成した糖質
アミジン誘導体の各種グリコシダーゼに対する阻害効果
を測定した。 <試料> 1.アミジン及びアミド誘導体 N-β-D-グルコピラノシルフェニルアセチミダミド臭
化水素酸塩 (0.4水和物);化合物21、以下、Glc-β-amidineと
記載。 N-β-D-ガラクトピラノシルフェニルアセチミダミド
臭化水素酸塩16 (0.6水和物);化合物22、以下、Gal-β-amidineと
記載。 N-β-D-キシロピラノシルフェニルアセチミダミド臭
化水素酸塩 (0.55水和物);化合物23、以下、Xyl-β-amidineと
記載。 N-β-D-グルコピラノシルフェニルアセトアミド(比
較例) ;以下、Glc-β-amideと記載。 2.酵素 β-D-グルコシダーゼ(アスペルギルス・ニーガー(A
spergillus niger)起源),クロマトグラフィー精製
品,(基質;pNP-β-Glc,pH5.0,30℃) β-D-グルコシダーゼ(トリコデルマ・ビリデ(Trich
oderma viride)起源), クトマトグラフィー精製品
(基質;pNP-β-Glc,pH5.0,30℃) β-D-グルコシダーゼ(アーモンド起源), クロマト
グラフィー精製品, SIGMA社製,(基質;pNP-β-Glc,pH
5.0,37℃) α-D-グルコシダーゼ(アスペルギルス・ニーガー(A
spergillus niger)起源),クロマトグラフィー精製
品(基質;pNP-α-Glc,pH4.2,37℃) α-D-グルコシダーゼ(基質;バチルス属(Bacillus
sp.)起源),東洋紡(株)製,製品名AGH-211 (pNP-α-G
lc,pH7.0,37℃) α-D-グルコシダーゼ(酵母起源),オリエンタル酵
母(株)(基質;pNP-α-Glc,pH 6.0,25℃) β-D-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス・オリザエ
(Aspergillus oryzae)起源), SIGMA社製 (基質;oN
P-β-Gal, pH 4.5, 30℃) β-D-ガラクトシダーゼ(大腸菌起源), SIGMA社製
(基質;oNP-β-Gal, pH 7.3, 37℃) β-D-ガラクトシダーゼ(アスペルギルス・ニーガー
(Aspergillus niger)起源),SIGMA社製 (基質;oNP
-α-Gal,pH 4.0,25℃) (株)β-D-キシロシダーゼ(アスペルギルス・プルベル
レンタス(Aspergillus pulverulentus)起源),天野製
薬(株)製ヘ゜クチナーセ゛Gの部分精製品(基質;pNP-β-Xyl,p
H4.0,40℃)
【0031】1.Km値 各種pNP(p-ニトロフェニル)又はoNP(o-ニトロフェニ
ル)-グリコピラノシドを基質として終濃度1/2〜2 Km
となるように、50 mM各種緩衝液に溶解し、適当濃度に
希釈した酵素液を50μl添加し、総液量1000μlとした。
30℃で10min反応させた後、1M 炭酸ナトリウム500μlを
添加し405nmの吸光度を測定した(pNP;ε=17.8125 cm2/
μmol,oNP;ε=4.5 cm2/μmol)。最小二乗法により各
種基質濃度でのp-あるいはo-ニトロフェノールの生成速
度v0を算出しミカエリスの速度式からKmを求めた。その
測定条件及び結果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】2.50%阻害濃度(IC50) IC50は、各種pNP-あるいはoNP-グリコピラノシドを基質
とし(測定時の基質濃度は表1. IC50測定濃度参照)、表
1と同様に50 mM各種緩衝液に溶解し、4種類のアミジン
誘導体を0〜2.5mMの範囲で6点の濃度になるよう添加し
た後、適当濃度に希釈した酵素液を50μl添加し、総液
量1000μlとした。30℃で10min反応させた後、1M 炭酸
ナトリウム500μlを添加し405nmの吸光度を測定した(p
NP;ε=17.8125 cm2/μmol,oNP;ε=4.5 cm2/μmol)。
最小二乗法により各種基質濃度でのp-あるいはo-ニトロ
フェノールの生成速度v0を算出し、阻害剤濃度と1/v0
プロットからIC50(mM)を求めた。測定結果を表2に示
す。
【0034】
【表2】
【0035】3.阻害定数(Ki)と阻害形式 阻害定数(Ki)と阻害形式は、基質濃度をIC50測定条件
と同様及び2倍にして後は同様の操作を行った。2種の
基質濃度においてそれぞれ1/v0と阻害剤濃度をフ゜ロット
し、その交点からKiと阻害形式を求めた。その結果を表
3に示した。
【0036】
【表3】
【0037】表2及び3の結果から、Glc-β-amidine
は、Glc-β-amideと比較して10 3〜104倍強くβ-D
-グルコシダーゼを阻害した。またGal-β-amidine
、Xyl-β-amidine23もそれぞれ対応するβ-D-ガラ
クトシダーゼ、β-D-キシロシダーゼを最も強く阻害し
た(Ki =10-5〜10-6(M)オーダー)。
【0038】さらに、表2及び3の結果から、各阻害剤
の、アスペルギルス・ニーガー(Aspergillus niger)起
源のβ-D-グルコシダーゼに対する阻害効果を比較する
と、Glc-β-amidine21は、Gal-β-amidine22の約1
4倍、、Xyl-β-amidine23の約103倍強い阻害効果
を示した。即ち、本発明による阻害剤は、酵素を選択的
に阻害し得ることが確認された。
【0039】Glc-β-amidine21は、α-D-グルコシダ
ーゼの中で、酵母起源のものについでは弱い阻害活性を
有するが、アスペルギルシ・ニーガー(Aspergillus nig
er)や、バチルス属(Basillus sp.)起源のものには、
阻害活性を有さなかった。しかし、Gal-β-amidine22
は、アスペルギルス・ニーガー(Aspergillus niger)起
源のα-D-ガラクトシダーゼに対しても阻害活性を有し
た。即ち、アミジンがβ-結合していても、対応するα-
グリコシダーゼの起源によっては阻害活性を有すること
が判明した。尚、本発明による阻害剤の阻害形式はすべ
て拮抗型阻害であった。
【0040】
【発明の効果】一般式(1)で表される糖質アミジン誘
導体は、基質であるグリコシドの構造を組み込んだ新規
化合物であって、グリコシダーゼに対して非常に強力な
阻害効果を発揮するものである。さらに、本発明による
糖質アミジン誘導体は、糖骨格に窒素原子を有さないた
め、比較的簡便に有機合成法で製造することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される糖質誘導
    体。 【化1】 (式中、a1及びa2のいずれか一方は水素原子であり、他
    方は水酸基であり、a3及びa4のいずれか一方は水素原子
    であり、他方は水酸基であり、a5及びa6のいずれか一方
    は水素原子であり、他方は水酸基であり、b1及びb2は独
    立に水素原子、CH 2OH基又はCH3基を表し、Xはハロゲン
    原子を表す。Rはベンジル基、フェニル基、フェニルエ
    チル基、複素環基、置換ベンジル基、置換フェニル基、
    置換フェニルエチル基、置換複素環基(これらの置換基
    は、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシル基、ニト
    ロ基、ハロゲン原子、水酸基、スルファニル基、アルキ
    ルスルファミル基、ホルミル基、カルボモイル基、シア
    ノ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、スルホニル
    基を示す)、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は
    アルケニル基を表す。)
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、ピラノース環が
    グルコピラノース、マンノピラノース、ガラクトピラノ
    ース、キシロピラノース、又はフコピラノースである請
    求項1記載の糖質誘導体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の一般式(1)
    で表される糖質誘導体を含有する糖質分解酵素阻害剤。
  4. 【請求項4】 糖質分解酵素がα-グリコシダーゼ又は
    β-グリコシダーゼである請求項3に記載の阻害剤。
  5. 【請求項5】 糖質分解酵素がα-グルコシダーゼ、β
    −グルコシダーゼ、α-マンノシダーゼ、β−マンノシ
    ダーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダー
    ゼ、α-キシロシダーゼ、β−キシロシダーゼ、α-フコ
    シダーゼ又はβ-フコシダーゼである請求項3に記載の
    阻害剤。
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