JP2001247392A - 徐放性肥料の製造方法及び徐放性肥料 - Google Patents

徐放性肥料の製造方法及び徐放性肥料

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JP2001247392A JP2000055622A JP2000055622A JP2001247392A JP 2001247392 A JP2001247392 A JP 2001247392A JP 2000055622 A JP2000055622 A JP 2000055622A JP 2000055622 A JP2000055622 A JP 2000055622A JP 2001247392 A JP2001247392 A JP 2001247392A
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Katsuhisa Kamio
克久 神尾
Masahiro Okuya
正宏 奥谷
Iwao Kuroda
巌 黒田
Kazuo Hosoda
和夫 細田
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Miyoshi Yushi KK
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
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Miyoshi Yushi KK
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
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    • C05G5/00Fertilisers characterised by their form
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 肥料製造時に有機溶媒を用いることなく、優
れた徐放性肥料を製造する方法及び環境に対する影響の
少ない優れた徐放性肥料を提供する。 【解決手段】 本発明は、脂肪族ポリエステル系生分解
性樹脂及び/又はアセチルセルロース系生分解性樹脂の
水系分散体を肥料表面に塗布、乾燥して生分解性樹脂と
肥料とを複合化するか、脂肪族ポリエステル系生分解性
樹脂及び/又はアセチルセルロース系生分解性樹脂の水
系分散体と肥料を混合した後、乾燥して生分解性樹脂と
肥料とを複合化することにより、徐放性肥料を製造する
方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、徐放性肥料の製造
方法及び徐放性肥料に関する。
【0002】
【従来の技術】作物に対する肥料の過剰作用や、河川、
湖沼等に流出した肥料成分による富栄養化等の問題を防
止するために、肥料作用を遅効性乃至緩効性とした徐放
性肥料が用いられるようになっている。
【0003】従来、徐放性肥料としては、ポリエチレン
等の高分子やワックス等を肥料と複合化したり、肥料表
面を高分子等で被覆したもの等が知られていた。しかし
ながら、上記ポリエチレン等の高分子を用いた徐放性肥
料は、環境に対する負荷が大きいという問題があり、ワ
ックスを用いた徐放性肥料は徐放効果が充分ではないと
いう問題があった。このため、近年は環境に対する負荷
の少ない生分解性樹脂と肥料を複合化したり、肥料表面
を生分解性樹脂で被覆した徐放性肥料が用いられるよう
になってきた。
【0004】例えば特開平7−315976号には、粒
状肥料表面を脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂の被膜
で被覆した徐放性肥料が開示され、また特開平5−97
561号には、肥料表面に生分解性樹脂と水溶性高分子
の被膜を形成した徐放性肥料が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記何
れの徐放性肥料も、生分解性樹脂により肥料を被覆する
ために、生分解性樹脂をトルエンや、クロロホルム、四
塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン等の有
機溶媒に溶解又は分散させて用いるため、肥料製造時の
作業環境や、自然環境へ悪影響を及ぼす懸念があるとと
もに、使用した有機溶媒の回収、処理等の煩雑な作業を
必要とするため、製造コストが高く、製造効率が悪いと
いう問題があった。
【0006】本発明は上記の点に鑑みなされたもので、
肥料製造時に有機溶媒を用いることなく、優れた徐放性
肥料を製造する方法及び環境に対する影響の少ない優れ
た徐放性肥料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち本発明の徐放性肥料
の製造方法は、脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂及び
/又はアセチルセルロース系生分解性樹脂の水系分散体
を、肥料表面に塗布、乾燥して生分解性樹脂と肥料を複
合化することを特徴とする。また本発明方法は、脂肪族
ポリエステル系生分解性樹脂及び/又はアセチルセルロ
ース系生分解性樹脂の水系分散体を肥料と混合した後、
乾燥して生分解性樹脂と肥料を複合化する方法を包含す
る。本発明方法において、分散安定化剤として分子量3
0万以上のアニオン性高分子化合物又は、分子量30万
以上のカチオン性高分子化合物を含む脂肪族ポリエステ
ル系生分解性樹脂及び/又はアセチルセルロース系生分
解性樹脂の水系分散体を用いることが好ましい。また本
発明は、上記のようにして得られる徐放性肥料を包含す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明において脂肪族ポリエステ
ル系生分解性樹脂としては、例えば例えばポリ乳酸、乳
酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリブチ
レンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブ
チレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル、ポリカプ
ロラクトン、カプロラクトンと他のヒドロキシカルボン
酸との共重合体、ポリヒドロキシブチレート、ヒドロキ
シブチレートと他のヒドロキシカルボン酸との共重合
体、ポリヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ酪酸と他のヒドロ
キシカルボン酸との共重合体等が挙げられ、これらは単
独又は2種以上を混合して用いることができる。またア
セチルセルロース系生分解性樹脂としては、例えばアセ
チルセルロース、アセチルブチルセルロース、アセチル
プロピオニルセルロース等が挙げられるが、引っ張り強
さ、硬度等の物理的特性と生分解性が良好である点でア
セチルセルロースが特に好ましい。この場合のアセチル
セルロースのアセチル化度は特に限定されないが、40
〜70%程度のものが好ましい。アセチル化度が40%
未満であると、アセチルセルロース系樹脂の特長が少な
くなる虞れがあり、アセチル化度が70%を超える場合
には、生分解性が徐々に低下する虞れがある。
【0009】本発明方法は、上記脂肪族ポリエステル系
生分解性樹脂及び/又はアセチルセルロース系生分解性
樹脂を水分散体として用い、この水系分散体を肥料表面
に塗布、乾燥するか、あるいは水系分散体を肥料と混合
した後、乾燥することにより、肥料と生分解性樹脂を複
合化して徐放性肥料を得る方法である。
【0010】肥料としては、硫安、硝安、尿素等の窒素
系化学肥料、過燐酸石灰、溶成燐肥等の燐酸系化学肥
料、硫酸カリ、塩化カリ等のカリ系化学肥料や、燐安、
燐酸カリ等の複合化学肥料、油粕、骨粉、魚粉、鶏糞、
牛糞等の有機肥料、石灰系肥料、マンガン系肥料、ホウ
素系肥料、微量成分系肥料等が挙げられる。本発明方法
において用いる上記肥料は、粉末状、粒状、ブロック
状、塊状、液状、スラリー状等の任意の形態のものを使
用することができるが、複合化が容易である点で固体状
肥料が好ましい。
【0011】本発明において用いる脂肪族ポリエステル
系生分解性樹脂及び/又はアセチルセルロース系生分解
性樹脂の水系分散体中には、分散安定化剤として分子量
30万以上のアニオン性高分子化合物又は、分子量30
万以上のカチオン性高分子化合物を含有することが好ま
しい。これらの分散安定化剤を用いると、従来から分散
安定化剤として用いられている比較的低分子量の界面活
性剤や保護コロイドに比べ、少ない使用量で脂肪族ポリ
エステル系生分解性樹脂及び/又はアセチルセルロース
系生分解性樹脂を効果的に分散安定化することができ、
生分解性樹脂の耐水性を低下させることがないため徐放
性のコントロールが容易となる利点がある。また界面活
性剤等の分散安定化剤を多量に使用する場合のように、
雨水等によって界面活性剤が土中に流出して環境汚染を
生じる等の虞れも少なくて済む利点がある。更に必要に
応じて肥料のブロッキング防止及び徐放性向上の目的
で、クレー、タルク、カオリン、シリカ及びその塩、ケ
イソウ土、炭酸カルシウム、金属酸化物等の無機物質粉
末や、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ラ
イスワックス、木ロウ、ホホバ固体ロウ等の植物系天然
ワックス、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ等の動物系天然
ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン
等の鉱物系天然ワックス、パラフィンワックス、マイク
ロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系天然
ワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワ
ックス等の合成ワックスや、硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ
油誘導体等の水素化ワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸
塩等を配合しても良い。また原料として用いる肥料が液
体肥料の場合、上記無機物質粉末、植物系天然ワック
ス、動物系天然ワックス、石油系天然ワックス、合成ワ
ックス、水素化ワックス、高級脂肪酸、高級脂肪酸塩等
を担体とし、これに液体肥料を担持させることができ
る。
【0012】上記分散安定化剤として用いるアニオン性
高分子化合物としては、不飽和モノカルボン酸系単量
体、不飽和ジカルボン酸系単量体、不飽和スルホン酸系
単量体等の単量体の単独重合体やこれら単量体相互の共
重合体、これら不飽和モノカルボン酸系単量体、不飽和
ジカルボン酸系単量体、不飽和スルホン酸系単量体等の
単量体と、共重合可能な他の単量体(以下、単に他の単
量体と呼ぶ。)との共重合体等が挙げられる。不飽和モ
ノカルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、クロトン酸やこれらの酸の中和物、部分中和物等
が挙げられ、不飽和ジカルボン酸系単量体としては、マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸やこれ
らの酸の中和物、部分中和物等が挙げられ、不飽和スル
ホン酸系単量体としては、ビニルスルホン酸、アリルス
ルホン酸、メタクリルスルホン酸、スチレンスルホン
酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホエチル
マレイミド、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパン
スルホン酸やこれらの中和物、部分中和物等が挙げられ
る。
【0013】アニオン性高分子化合物として、上記不飽
和モノカルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量
体、不飽和スルホン酸系単量体等の単量体と他の単量体
との共重合体を用いる場合、他の単量体としては特に制
限はないが、例えば(メタ)アクリルアミド、イソプロ
ピルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のア
ミド系単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
スチレン、2−メチルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性
単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポ
リプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ア
リルアルコール、ポリエチレングリコールモノアリルエ
ーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテ
ル、3−メチル−3−ブテン−1−オール(イソプレノ
ール)、ポリエチレングリコールモノイソプレノールエ
ーテル、ポリプロピレングリコールモノイソプレノール
エーテル、3−メチル−2−ブテン−1−オール(プレ
ノール)、ポリエチレングリコールモノプレノールエス
テル、ポリプロピレングリコールモノプレノールエステ
ル、2−メチル−3−ブテン−2−オール(イソプレン
アルコール)、ポリエチレングリコールモノイソプレン
アルコールエーテル、ポリプロピレングリコールモノイ
ソプレンアルコールエーテル、N−メチロール(メタ)
アクリルアミド、グリセロールモノアリルエーテル、ビ
ニルアルコール等の水酸基含有単量体、(メタ)アクリ
ルアミドメタンホスホン酸、(メタ)アクリルアミドメ
タンホスホン酸メチルエステル、2−(メタ)アクリル
アミド−2−メチルプロパンホスホン酸等のリン含有単
量体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート、エトキシプロピレングリコール(メタ)アクリ
レート等を挙げることができる。
【0014】またアニオン性高分子化合物は、前記不飽
和カルボン酸系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体、
不飽和スルホン酸系単量体の単独重合体や、これらの単
量体相互の共重合体、これらの単量体と共重合可能な他
の単量体との共重合体を、シュウ酸、マロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸等の二塩基酸類や、これ
ら二塩基酸類のアルキルエステル類、ヘキサメチレンジ
イソシアネートグリシジルエーテル、ジフェニルメタン
ジイソシアネート等のジイソシアネート類、エチレング
リコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、オルソフタル酸ジグリシジル
エーテル等のジエポキシ類、ソルビタンポリグリシジル
エーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエー
テル等のポリグリシジルエーテル類、尿素、グアニジン
類、二塩基酸ジハライド、ジアルデヒド等で架橋したも
のでも良い。
【0015】アニオン性高分子化合物は、通常、適当な
塩基性化合物の塩として用いるのが好ましく、このよう
な塩基性化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、ア
ルカリ土類金属の水酸化物、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミ
ン化合物、アンモニア等が用いられる。
【0016】アニオン性高分子化合物としては、上記し
たものの中から平均分子量30万以上のものを選択して
用いる。上記アニオン性高分子化合物のうち、メタクリ
ル酸やその中和物の少なくとも一種を主成分とする重合
体が好ましい。
【0017】一方、分散安定化剤として用いるカチオン
性高分子化合物としては、メタクリル酸ジメチルアミノ
エチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリ
ル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸ジメチルアミ
ノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル
酸ジメチルアミノプロピル、ジメチルアミノメチルメタ
クリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミ
ド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチ
ルアミノメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチル
アクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミ
ド等のカチオン性アクリル系モノマーや、これらカチオ
ン性アクリル系モノマーにハロゲン化アルキル、ジアル
キル硫酸、モノクロル酢酸等を反応して得られる、例え
ばメタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド
塩、メタクリル酸ジエチルアミノエチルジメチル硫酸
塩、メタクリル酸ジメチルアミノプロピルクロル酢酸塩
等の4級アンモニウム塩モノマー等のカチオン性アクリ
ルモノマーの単独重合体や共重合体等が挙げられる。
【0018】更には、アクリル酸アルキルエステル、ア
クリル酸ヒドロキシアルキルエステル、アクリル酸ポリ
オキシエチレンエステル、アクリル酸アルコキシポリオ
キシエチレンエステル、メタクリル酸アルキルエステ
ル、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、メタク
リル酸ポリオキシエチレンエステル、メタクリル酸アル
コキシポリオキシエチレンエステル、アクリルアミド、
メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチル
アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチ
ルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、メチ
ロールアクリルアミド、モルホリルアクリルアミド等の
アクリルモノマー、エチルビニルエーテル、ヒドロキシ
ブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニル
エーテル、メトキシトリエチレングリコールビニルエー
テル等のビニルエーテル類、ヒドロキシエチルアリルエ
ーテル、テトラエチレングリコールアリルエーテル、メ
トキシエチレングリコールアリルエーテル等のアリルエ
ーテル類、酢酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、ピバリ
ン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、ビニルピ
リジン、ビニルイミダゾール、メチルビニルイミダゾー
ル等のビニルアミン類、ジアリルアンモニウムクロライ
ド、或いは前記カチオン性アクリルモノマーと共重合可
能な不飽和結合を有するモノマーと、前記カチオン性ア
クリルモノマーとの共重合体等のアクリル系ポリマー等
が挙げられる。
【0019】更にアクリル系ポリマー以外のカチオン性
高分子化合物として、ポリエチレンイミン、ポリプロピ
レンイミン、ポリ−3−メチルプロピルイミン、ポリ−
2−エチルプロピルイミン等の環状イミンの重合体、ポ
リビニルアミン、ポリアリルアミン等の不飽和アミンの
重合体等や、これらの4級アンモニウム塩等のカチオン
性ポリマーも使用できる。またこれらのカチオン性ポリ
マーに、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アシル
基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシアルキル基等
を付加したものでも良い。アルキル基はアルキルハライ
ドを、ヒドロキシアルキル基は1,2−エポキシアルカ
ンを、アシル基は脂肪酸又はアシルハライドを、ポリオ
キシアルキレン基は酸化エチレンや酸化プロピレンを、
カルボキシアルキル基はモノクロル酢酸やアクリル酸等
を、それぞれカチオン性ポリマーと反応させることによ
り付加させることができる。
【0020】カチオン性高分子化合物は、上記カチオン
性ポリマーをシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸等の二塩基酸類や、これら二塩基酸類の
アルキルエステル類、ヘキサメチレンジイソシアネート
グリシジルエーテル、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト等のジイソシアネート類、エチレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジル
エーテル、オルソフタル酸ジグリシジルエーテル等のジ
エポキシ類、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリ
メチロールプロパンポリグリシジルエーテル等のポリグ
リシジルエーテル類、尿素、グアニジン類、二塩基酸ジ
ハライド、ジアルデヒド等で架橋したものでも良い。
【0021】本発明において、カチオン性高分子化合物
としてカチオン性アクリル系モノマーと他のモノマーと
の共重合体を用いる場合、カチオン性高分子化合物中に
おけるカチオン性アクリル系モノマーの含有率は30モ
ル%以上であることが好ましい。カチオン性高分子化合
物は、通常、適当な酸性化合物の塩として用いるのが好
ましく、このような酸性化合物としては、塩酸、硫酸、
蟻酸、リン酸等の無機酸、酢酸、蓚酸、酒石酸、リンゴ
酸、安息香酸等の有機酸のいずれでも良いが、中でも酢
酸、リン酸、乳酸が安全性、価格、熱安定性、着色性等
の面で好ましい。本発明においてカチオン性高分子化合
物としては、上記した化合物のなかから、平均分子量3
0万以上の化合物を選択して用いる。
【0022】本発明において上記したカチオン性高分子
化合物うち、メタクリル酸ジメチルアミノエチルやその
塩等のモノマー、或いはこれらモノマーの4級塩の少な
くとも一種を主成分とする重合体が好ましい。
【0023】本発明において分散安定化剤として、上記
した平均分子量30万以上のカチオン性高分子化合物又
は平均分子量30万以上のアニオン性高分子化合物とと
もに、ポリビニルアルコールを併用することができる。
ポリビニルアルコールとしては、鹸化度が70〜90
%、平均分子量が5〜30万のものが好ましい。尚、上
記カチオン性高分子化合物、アニオン性高分子化合物、
ポリビニルアルコールの平均分子量は、数平均分子量を
意味する。またポリビニルアルコールの鹸化度は、ポリ
ビニルアルコールの水酸基価から算出することができ
る。
【0024】上記脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂及
び/又はアセチルセルロース系生分解性樹脂の水系分散
体は、例えば攪拌装置を有する密閉槽内に、脂肪族ポリ
エステル系生分解性樹脂及び/又はアセチルセルロース
系生分解性樹脂、必要により、分子量30万以上のアニ
オン系高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ポリビ
ニルアルコール等と水を同時に仕込み、加熱攪拌しなが
ら加圧して生分解性樹脂を分散させる加圧分散法、加圧
下で保持されている熱水中に、生分解性樹脂、アニオン
系高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ポリビニル
アルコール等を含む溶融物を添加攪拌して生分解性樹脂
を分散させる直接分散法、生分解性樹脂の有機溶媒溶液
を、アニオン系高分子化合物、カチオン性高分子化合
物、ポリビニルアルコール等を含む水溶液中に添加攪拌
して分散させた後、有機溶媒を除去する方法、生分解性
樹脂を加熱溶融させ、これにアニオン系高分子化合物、
カチオン性高分子化合物、ポリビニルアルコール等を含
む水溶液を添加攪拌して生分解性樹脂を水に分散させる
転相法等により得ることができる。
【0025】本発明の徐放性肥料は、上記脂肪族ポリエ
ステル系生分解性樹脂及び/又はアセチルセルロース系
生分解性樹脂の水系分散体を、肥料に塗布したり、肥料
と混合した後、乾燥することにより得られる。脂肪族ポ
リエステル系生分解性樹脂及び/又はアセチルセルロー
ス系生分解性樹脂の水系分散体を肥料に塗布する方法と
しては、流動あるいは転動状態の肥料に、水系分散体を
噴霧して添加すると同時に高速熱風を吹き付け、水分を
瞬時に乾燥除去する等の方法が挙げられる。また肥料と
水系分散体とをリボンブレンダー、ミキサー等で混合し
た後、あるいは直接押出成形機内で混練してストランド
状に成形した後、ペレタイザー等の造粒装置で造粒して
から、熱風乾燥する等の方法を採用することができる。
乾燥温度は肥料の耐熱性、脂肪族ポリエステル系生分解
性樹脂及び/又はアセチルセルロース系生分解性樹脂の
耐熱温度以下の温度範囲であって、可能な限り高い温度
とすることが、樹脂被膜の耐水性、強度等が向上するた
め好ましい。
【0026】上記のようにして得られた徐放性肥料は、
粉体状、粒状、小塊状、小片状等の任意の形態であって
良いが、これらをプレス成形する等により、更に大径の
粒状、球状、角状、柱状、板状等とすることもできる。
【0027】本発明で用いる生分解性樹脂には、肥料表
面での水系分散体の造膜性を向上させるため、或いは肥
料と混合し乾燥した後の生分解性樹脂と肥料との接着性
を向上させるために、必要に応じて可塑剤を添加するの
が好ましい。好ましい可塑剤としては、多価アルコール
類、脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族アルコールエス
テル、脂肪族ポリエステル、ヒドロキシ多塩基酸エステ
ル、エポキシ系動植物油、エポキシ系脂肪酸エステル、
リン酸エステルなどが挙げられる。
【0028】上記可塑剤として用いる多価アルコール類
としては、エチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコー
ル、グリセリン等が挙げられる。脂肪族カルボン酸エス
テルとしては、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチ
ル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、セバ
シン酸ジオクチル、オレイン酸ブチル等が挙げられる。
脂肪族アルコールエステルとしては、ジエチレングリコ
ールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテー
ト、トリエチレングリコールジアジペート、トリアセチ
ン等が挙げられる。脂肪族ポリエステルとしては、アジ
ピン酸とエチレングリコールの縮重合体、アジピン酸と
プロピレングリコールの縮重合体、セバシン酸とプロピ
レングリコールの縮重合体等が挙げられる。ヒドロキシ
多塩基酸エステルとしては、アセチルリシノール酸メチ
ル、アセチルリシノール酸ブチル、アセチルクエン酸ト
リブチル、アセチルクエン酸トリオクチル、クエン酸ト
リエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリオクチル
等が挙げられる。エポキシ系動植物油としては、エポキ
シ化ダイズ油、エポキシ化菜種油、エポキシ化アマニ油
等が挙げられる。エポキシ系脂肪酸エステルとしては、
エポキシ化ダイズ油脂肪酸ブチルエステル、エポキシ化
菜種油脂肪酸ブチルエステル、エポキシ化アマニ油脂肪
酸ブチルエステル等が挙げられる。リン酸エステルとし
ては、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸
トリクレシル等が挙げられる。これらの可塑剤は単独で
用いてもよく、2種以上を混合して用いることも出来
る。
【0029】可塑剤の添加は、生分解性樹脂の水系分散
体製造時に行っても、或いは肥料と生分解性樹脂を複合
化する際に行ってもよく、例えば、生分解性樹脂を水系
分散体とする前に、生分解性樹脂と可塑剤とを押出成形
機などで混合しても良く、水系分散体製造時に有機溶媒
を用いる場合には、有機溶剤中に樹脂と共に溶解して混
合しても良い。また、押出成形機中で肥料と生分解性樹
脂を混練する場合には押し出し前の混合時に添加しても
良い。
【0030】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。 実施例1〜5 温風乾燥機で予め80℃に加温した平均粒径5mmの粒
状尿素肥料を、逆円錐形の底部を持つ噴流被覆装置に仕
込み、底部より80℃の熱風を送って噴流撹拌させた。
次いで熱風中に生分解性樹脂の水系分散体を噴霧し、噴
流撹拌されている粒状尿素肥料に付着せしめ、同時に水
分を除去乾燥させて被覆し、更に噴流被覆装置の底部よ
り120℃の熱風を送って完全に水分を除去乾燥させる
と同時に、粒状尿素肥料表面に生分解性樹脂を可塑化融
着させ、生分解性樹脂の被膜を有する徐放性肥料を得
た。生分解性樹脂被膜による被覆量は尿素肥料重量に対
して10重量%であった。尚、生分解性樹脂の水系分散
体は、表1に示す生分解性樹脂、可塑剤、分散安定化
剤、酢酸エチル、イオン交換水を、ホモミキサーを装備
したオートクレーブ中に仕込み、120℃に加熱して1
000r.p.m.で3分間撹拌した後、40℃まで急
冷し、その後減圧下に酢酸エチルを除去することにより
得た。またカチオン性高分子化合物を用いた場合、pH
が6を超えている時には酢酸でpHを6に調整し、アニ
オン性高分子化合物を用いた場合、pHが8未満の時に
は水酸化ナトリウムでpHを8に調整してから加熱撹拌
した。
【0031】得られた各水系分散体中に分散している生
分解性樹脂の粒子径を比較するため、水系分散体製造直
後に粒度分布測定装置(堀場製作所株式会社製:LA−
910型粒度分布測定装置)にて分散している生分解性
樹脂の粒子径を測定した。またこの水系分散体を、20
℃と40℃の雰囲気下で保持し、それぞれの温度におけ
る水系分散体の経時安定性を評価した。これらの結果を
表1にあわせて示す。
【0032】表1に示した水系分散体の安定性は、10
0mlのスクリュー管に水系分散体50mlを入れ、2
0℃と40℃の恒温槽中で静置した後、1カ月後及び2
カ月後の分散状態を目視観察し、 ◎・・・分離が認められない。 ○・・・分離は認められるが、沈殿物の発生は認められ
ない。 △・・・分離・沈降が認められるが、スクリュー管の横
倒し、立て直し操作を10回繰り返すと、再分散して均
一となる。 ×・・・分離・沈降が認められると共に沈降物がハード
ケーキ状となり、スクリュー管の横倒し、立て直し操作
を10回繰り返しても再分散しない。として評価した。
【0033】
【表1】
【0034】上記表1における生分解性樹脂、分散安定
化剤としては、以下のものを用いた。 生分解性樹脂A:脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂
(ポリカプロラクトン系生分解性樹脂):ダイセル化学
工業株式会社製:セルグリーンPH−4 生分解性樹脂B:脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂
(ポリカプロラクトン系生分解性樹脂):ダイセル化学
工業株式会社製:セルグリーンPH−5 生分解性樹脂C:脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂
(ポリ乳酸系生分解性樹脂):株式会社島津製作所製:
ラクティ#9000
【0035】分散安定化剤A:メタクリル酸ジメチル
アミノエチル/アクリルアミド(重量比で80:20)
共重合体(カチオン化度64%、平均分子量600万) 分散安定化剤B:メタクリル酸ジエチルアミノエチル
/アクリルアミド/メタクリルアミド(重量比で93:
5:2)共重合体(カチオン化度84%、平均分子量5
00万) 分散安定化剤C:アクリル酸ジメチルアミノエチル/
アクリルアミド/メタクリルアミド(重量比で33:3
9:28)共重合体(カチオン化度20%、平均分子量
20万) 分散安定化剤D:アクリルアミド/メタクリル酸(重
量比で90:10)共重合体(平均分子量2100万) 分散安定化剤E:アクリルアミド/メタクリルアミド
/メタクリル酸(重量比で55:10:35)共重合体
(平均分子量1600万) 分散安定化剤F:アクリルアミド/メタクリル酸/ア
クリル酸(重量比で70:10:20)共重合体(平均
分子量20万) 分散安定化剤G:ポリビニルアルコール(鹸化度8
1.1%、平均分子量22万)
【0036】得られた徐放性肥料からの肥料成分の溶出
試験及び生分解性試験を以下のようにして行った。結果
を表1にあわせて示す。
【0037】肥料成分の溶出試験(水中溶出試験) 徐放性粒状尿素肥料10gを25℃の水500ml中に
浸漬し、2日、10日、20日、40日後に、水中に溶
出した尿素量を窒素分析により求め、得られた溶出尿素
量を、徐放性肥料中の全尿素量で除し、各経過日数での
溶出率とした。
【0038】生分解性試験 徐放性粒状尿素肥料10gのそれぞれの粒子に、ミシン
針(オルガン株式会社製:オルガン7号)で2箇所に微
細な穴をあけた後、ゆっくりと撹拌された50℃の温水
中に入れて24時間撹拌し、徐放性肥料中有の尿素全量
を水中に全量溶出させた。次いで尿素成分を溶出させた
後の徐放性肥料(生分解性樹脂分)をポリプロピレン製
ネットに入れたものを各試料10個ずつ調製し、これを
岩倉市内の土中30cmに埋設し、2ヶ月毎に1つづつ
取り出して水洗した後、10メッシュの篩いに通し、全
量が篩いを通過した時点の月数を生分解性所要期間とし
た。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法は肥
料に生分解性樹脂を塗布した後乾燥する、或いは肥料と
生分解性樹脂とを混合した後乾燥するなどの方法で肥料
と生分解性樹脂を複合化する際に、従来の生分解性樹脂
の有機溶媒溶液を用いる方法に比較して、肥料製造時の
作業環境や、自然環境へ悪影響を及ぼす虞れが少なく、
有機溶媒の回収や処理等の煩雑な作業が省略できる利点
がある。また生分解性樹脂を水に分散させる時に有機溶
媒を用いることがあっても、回収、処理が容易であり、
従来の方法に比較して製造コストの低減化、製造効率の
向上を図ることができる。また本発明の徐放性肥料は従
来に比して安価に提供されるとともに、環境に対する負
荷の少ない優れた徐放性肥料である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 巌 愛知県岩倉市野寄町西出1番地の1 ミヨ シ油脂株式会社名古屋工場内 (72)発明者 細田 和夫 愛知県岩倉市野寄町西出1番地の1 ミヨ シ油脂株式会社名古屋工場内 Fターム(参考) 4H061 AA01 AA02 DD04 DD18 DD19 EE35 FF15 HH03 LL12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂及び
    /又はアセチルセルロース系生分解性樹脂の水系分散体
    を肥料表面に塗布、乾燥し、生分解性樹脂と肥料とを複
    合化することを特徴とする徐放性肥料の製造方法。
  2. 【請求項2】 脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂及び
    /又はアセチルセルロース系生分解性樹脂の水系分散体
    と肥料を混合した後、乾燥し、生分解性樹脂と肥料とを
    複合化することを特徴とする徐放性肥料の製造方法。
  3. 【請求項3】 分散安定化剤として分子量30万以上の
    アニオン性高分子化合物、または分子量30万以上のカ
    チオン性高分子化合物を含む、脂肪族ポリエステル系生
    分解性樹脂及び/又はアセチルセルロース系生分解性樹
    脂の水系分散体を用いる請求項1または2記載の徐放性
    肥料の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の方法によ
    って得られた徐放性肥料。
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