JP2001245656A - 新規微生物および当該微生物を利用した馬鈴薯そうか病防除方法 - Google Patents

新規微生物および当該微生物を利用した馬鈴薯そうか病防除方法

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JP2001245656A JP2000059338A JP2000059338A JP2001245656A JP 2001245656 A JP2001245656 A JP 2001245656A JP 2000059338 A JP2000059338 A JP 2000059338A JP 2000059338 A JP2000059338 A JP 2000059338A JP 2001245656 A JP2001245656 A JP 2001245656A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 畑地での実際の栽培においても用いうる、馬
鈴薯を含む農作物のそうか病防除方法を見出す。 【解決手段】 馬鈴薯を含む農作物のそうか病病原菌ス
トレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害することがで
き、かつバチラス・サブチリス(Bacillussu
btilis)SAM2266株、SAM2267株、
SAM2269株、またはSAM2270株の特性を有
する細菌、およびそのような細菌の少なくとも1種類
と、農業用資材とを含むことを特徴とする、馬鈴薯を含
む農作物のそうか病防除用組成物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、馬鈴薯を含む農作
物のそうか病の病原菌であるストレプトマイセス放線菌
に対する抗菌性を示す微生物、ならびに当該微生物を利
用した馬鈴薯を含む農作物のそうか病の防除方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】馬鈴
薯そうか病は本邦で古くから発生しているストレプトマ
イセス属放線菌の感染によって起こされる代表的な土壌
伝染性病害の一つであり、難防除性病害として広く知ら
れている。馬鈴薯そうか病に感染すると、馬鈴薯の表面
があばた状となり、更に澱粉含有量が減少するので、食
用、食品加工用としての商品価値が著しく低下する。近
年、馬鈴薯の用途が広がり、食用、食品加工用としての
需要が増加してきたため、発生被害が問題となってお
り、防除対策の確立が望まれている。
【0003】従来より、馬鈴薯そうか病に対する防除対
策としては、種芋をストレプトマイシン等の抗生物質で
消毒処理する方法や、クロルピクリンやペンタクロロニ
トロベンゼン等の合成薬剤を用いて土壌を殺菌消毒する
方法がとられてきた。
【0004】しかしながら、馬鈴薯そうか病の感染源は
主に土壌であるので、前者のように単に種芋を消毒する
だけでは顕著な効果が得られない。一方、後者のように
合成薬剤による土壌殺菌は、土壌伝染性の病原菌に拮抗
性を有し発病抑止能力示す土壌微生物までも殺菌してし
まい、かえって発病が助長される場合もある。また、土
壌中に有害な化学物質が蓄積されたり、更には薬剤散布
作業者の健康を損なう危険性がある等、薬害による労働
災害や環境破壊の原因になるという大きな問題がある。
【0005】他の防除策としては、そうか病病原菌であ
るストレプトマイセス放線菌の生育適性pH領域を外す
ために、土壌のpHを低下させる方法があるが、収量が
大きく低下したり、馬鈴薯の後に栽培する作物にも悪影
響を及ぼす等の問題があり、適用が極めて制限される。
【0006】そこで、上記のような問題を生じない植物
病害の防止策として、微生物を利用する生物学的防除の
方法があり、これまでに多くの事例が報告されている
が、馬鈴薯そうか病に対する生物学的防除の例は数少な
い。
【0007】馬鈴薯そうか病の生物学的防除例として
は、バチラスKF−44(Bacillus sp.K
F−44)菌株の懸濁液に馬鈴薯等の植物体を浸漬処理
する方法が特開平2−48509に示されている。ま
た、シュードモナス・フルオレッセンスバイオバーV
(Pseudomonas fluorescens
biovarV)、シュードモナス・フルオレッセンス
MD−4f(Pseudomonas fluores
cens MD−4f)、シュードモナスF13−1
(Pseudomonas sp. F13−1)、エ
ンテロバクター・アグロメランス 2−3B(Ente
robacter agglomerans sp.2
−3B、アシネトバクターM24−1(Acineto
bacter sp.M24−1)の少なくとも1種類
を含む懸濁液に種芋を浸漬したり、細菌を乾燥粉末又は
スラリーとして種芋に塗布或いは散布したり、馬鈴薯栽
培土壌に散布する方法が、特開平1−193203に報
告されている。
【0008】しかしながら、上記のいずれの微生物によ
る方法も、実験室段階では病原菌に対して抗菌性を発揮
するにも拘わらず、畑地での実際の栽培においては、馬
鈴薯そうか病の防除対策として全く用いられていない。
その原因としては、微生物を懸濁液又は多糖類等の担持
体に吸着させた状態で馬鈴薯表面、又は馬鈴薯栽培土壌
に散布する方法がとられているために、土着の微生物群
により生存を妨げられたり、環境条件が適合しなかった
りして、当該微生物は急速に生育力が低下し、必要な期
間土壌中に定着しないためと考えられる。また、前者
(特開平2−48509)においては、用いられている
バチルス属の菌学的性質の詳細が明らかではなく、特
に、生育適性pH領域が開示されておらず、そのため、
馬鈴薯の栽培等にとって適切な条件(特に、土壌pHお
よび温度)において用いうるものであるか否かは明らか
ではない。
【0009】また、ストレプトミセス エスピー CH
−33(Streptomycessp. CH−3
3)の培養物もしくはその処理物によって豚糞を処理す
ることを特徴とする抗植物病原性豚糞肥料の製造方法が
特開昭63−260886に示されている。しかしなが
ら、当該明細書中には、抗植物病原性豚糞肥料として使
用する際の、当該微生物の土壌定着性や菌数並びに栽培
結果について、なんら具体的に記載されていない。その
上に、ストレプトミセス エスピー CH−33の生育
温度が20〜35℃であることから、豚糞肥料の製造工
程で発生する熱で生育が抑制されたり死滅するなどする
ため、実用に必要な菌数を確保できないと考えられる。
【0010】本発明は、上記の現状に鑑み、薬害や環境
破壊の危険性が極めて小さく、経済的にも安価であり、
かつ畑地での実際の栽培においても用いうる馬鈴薯を含
む農作物のそうか病防除策として、微生物を利用する生
物学的防除方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、本発明者らは、馬鈴薯そうか病病原菌に対する抗
菌作用を有する新規微生物を見出した。また、当該微生
物を利用して、馬鈴薯そうか病病原菌に感染した土壌中
における微生物の定着性が良く、防除効果を長く維持す
ることが可能な、馬鈴薯そうか病の防除方法を見出し
て、本発明を完成させるに至った。
【0012】したがって本発明は、馬鈴薯を含む農作物
のそうか病病原菌ストレプトマイセス属放線菌の増殖を
阻害することができるバチラス属サブチリス種に属する
細菌(本明細書では、単に「本発明の細菌」ということ
もある。)を提供する。より詳細には、馬鈴薯を含む農
作物のそうか病病原菌ストレプトマイセス属放線菌の増
殖を阻害することができ、かつバチラス・サブチリス
(Bacillus subtilis)SAM226
6株、SAM2267株、SAM2269株、またはS
AM2270株の特性を有する細菌を提供する。本発明
はその中でも、バチラス・サブチリス(Bacillu
s subtilis)SAM2266株、SAM22
67株、SAM2269株、およびSAM2270株を
提供する。本明細書で、バチラス・サブチリス(Bac
illus subtilis)SAM2266株など
の「特性を有する」というとき、その特性は、菌学的な
性質を含む。SAM2266株、SAM2267株、S
AM2269株またはSAM2270株の特性を有する
というとき、各々の特性は、本明細書の表1に示されて
いる。
【0013】このような本発明の細菌は、例えば、1)
ウーロン茶抽出残滓、コーヒー抽出残滓、および汚泥を
乾物重量比で20:20:60の割合で混合した後、数
週間自然醗酵させ、得られた発酵物から定法に従ってコ
ロニーを単離し、2)得られた単離菌について、そうか
病病原菌に対する抗菌活性を、例えば実施例1に記載の
方法に従って評価し、そして抗菌活性を有するものを選
択することにより得ることができる。このようにして得
られた細菌を、さらに、ストレプトマイシンの入った寒
天培地上で培養することにより、ストレプトマイシン耐
性株として本発明の細菌を得てもよい。
【0014】さらに本発明は、上記で提案される細菌を
利用した、馬鈴薯を含む農作物のそうか病の防除方法お
よび、当該方法に使用される組成物を提供する。本明細
書でいう「そうか病の防除」とは、そうか病の病原菌で
あるストレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害する作用
に基づいて、そうか病を予防すること、そうか病の発生
を軽度および/または低頻度に抑えること、並びにそう
か病の進行を抑制することを含む。
【0015】
【発明の実施の形態】バチラス・サブチリスSAM22
66株、SAM2267株、SAM2269株、および
SAM2270株、並びにそれらの特性を有する細菌を
含む本発明の細菌は、馬鈴薯を含む農作物のそうか病病
原菌のストレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害する活
性を有することを特徴とする。これらの中から今回本発
明者らによって見い出されたSAM2269株およびS
AM2270株は、好ましい細菌である。さらに、それ
らを親株とし、親株と同様に馬鈴薯そうか病病原菌のス
トレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害する活性を有す
る変異種は、本発明の細菌に含まれる。その中でも、ス
トレプトマイシン耐性株であるSAM2266株および
SAM2267株は、ストレプトマイシン耐性という性
質を利用することにより土壌中に元から存在する他の細
菌との識別が容易であるため、栽培期間中の土壌におけ
る当該細菌の菌数の消長を的確に把握することができる
ので、実用上特に望ましい。本発明においてはこれらの
細菌を単独で使用することもでき、また同時に複数の株
を組合せて用いてもよい。
【0016】SAM2266株、SAM2267株、S
AM2269株およびSAM2270株の菌学的性質を
表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】本発明の細菌SAM2266株、SAM2
267株、SAM2269株およびSAM2270株
は、いずれも普通ブイヨン培地を用い、振とう培養する
ことができ、30℃で2日間、または37〜40℃で1
日培養することで、菌濃度として約109cfu/mLの菌液
を得ることができる。当該培養液は、菌の濃度を調整す
るために、遠心分離などで濃縮したり、適当な培地や希
釈液で希釈して用いることができる。また、凍結乾燥し
て保存することができる。
【0019】馬鈴薯を含む農作物のそうか病の防除の目
的で当該細菌を使用する方法として、例えば、1)当該
細菌の培養液や、当該細菌の凍結乾燥品を培地、緩衝
液、生理食塩水または水などに懸濁した懸濁液(例え
ば、107〜1011cfu/mL程度、好ましくは109〜10
10cfu/mL程度の菌液)に種芋を浸漬する方法や、2)前
記培養液または懸濁液を土壌に散布する方法(例えば、
107〜1011cfu/mL程度、好ましくは109〜1010cf
u/mL程度の菌液1Lを、土壌1m2に散布する)、3)
当該細菌を含む組成物を予め調製し、該組成物を土壌に
混合する方法などが挙げられる。組成物の調製には、前
述の前記培養液または懸濁液などを用いることができ
る。本発明の細菌は、農作物の栽培にとって適切な温度
・pHにおいても充分生育しうるものであるから、上記
1)および2)の方法で使用したとしても、土壌中に定
着してそうか病の防除の目的を達成しうると考えられ、
特に、2)の場合、前述の量の培養液または懸濁液を、
農作物の栽培開始前に土壌中に単回添加することで、農
作物の栽培期間中の継続的な抗菌効果を発揮しうる。し
かし、さらに土壌中への定着性を高めるためには、上記
3)の方法で本発明の細菌を使用することが好ましい。
【0020】本発明は、さらに上記で提案される細菌を
利用した、馬鈴薯そうか病の防除方法および当該方法に
使用される組成物を提供する。本発明の馬鈴薯そうか病
防除用の組成物とは、当該細菌の少なくとも1種類と、
農業用資材を含み、馬鈴薯そうか病防除に有効であるこ
とを特徴とする組成物である。農業用資材には、農作物
の栽培のために用いることのできる、土壌、バーミキュ
ライトなどの土壌代替物、土壌改良資材、肥料、食品産
業廃棄物などの有機質資材、およびこれらを発酵(好ま
しくは好気発酵)させた発酵物、並びにこれらの組み合
わせが含まれる。中でも食品産業廃棄物が好ましい。
【0021】食品産業廃棄物は、原料由来、製品中身由
来、製造工程由来または排水由来のもの等で、直接また
は醗酵などの処理を行った後に、土壌に還元できるもの
であれば、特に限定されない。例えば、ビール工場等か
ら排出される糖化残滓や酵母廃棄物、麦根(麦芽製造工
程で発生する麦芽由来の副産物)、ブドウの絞りかす、
活性炭および汚泥、並びにこれらの組み合わせなどが挙
げられる。中でも、コーヒー抽出残滓および/または茶
類抽出残滓は好適な例である。コーヒー抽出残滓または
茶類抽出残滓は、例えば、飲料製造工場、あるいは喫茶
店、ファーストフード店等の外食産業において発生す
る、コーヒーまたは茶類の抽出済みの残滓をいう。コー
ヒー抽出残滓または茶抽出残滓は、単独で、あるいは組
み合わせて用いることができる。
【0022】本発明の組成物においては、農業用資材と
して有機質資材の発酵物を用いることが好ましく、食品
産業廃棄物を鶏糞、汚泥あるいは米糠等と混合して、醗
酵させて得られるものを好適に用いることができる。食
品産業廃棄を醗酵させる方法としては、同様の目的で行
われる発酵のための通常の方法を用いることができる。
例えば、1)食品産業廃棄を自然堆積して適宜切替えを
行う、2)撹拌装置や通気装置のついた堆肥製造装置内
で好気的に行う、といった方法を適宜用いることができ
る。これらの食品産業廃棄物を醗酵させて得られる農業
用資材は、当該細菌の栄養分の供給源としてだけでな
く、当該細菌の定着、生育に適した環境を供給する。
【0023】また、本発明の組成物において、農業用資
材として有機質資材(好ましくは食品産業廃棄物)の発
酵物を用いる場合、本発明の細菌は醗酵後に混合されて
もよいが、当該細菌は45℃程度の高温でも充分に生育
することができるから、醗酵前または発酵期間中に混合
されてもよい。醗酵前あるいは発酵期間中に当該細菌を
食品産業廃棄物に添加することは、当該細菌の醗酵期間
中の増殖が期待でき、より少ない菌数から本発明の組成
物を得ることができるから、特に好ましい。醗酵後の有
機質資材に当該細菌を添加する場合、または発酵を行わ
ない農業用資材に添加する場合、その菌数は、当該細菌
が土壌中でそうか病病原菌に対する充分な抗菌活性を発
揮することができる量とする。好ましくは有機質資材の
乾燥重量1g当たり107セル以上、より好ましくは1
8セル以上である。
【0024】醗酵前に当該細菌を有機質資材(好ましく
は食品産業廃棄物)に添加する場合、その菌数は、好ま
しくは被処理物の乾燥重量1g当たり105セル以上、
より好ましくは107セル以上である。菌数が少なすぎ
る場合は、有機質資材中での定着性が悪くなり、ひいて
は施用後の土壌中での定着性も悪くなり、そうか病病原
菌に充分な抗菌活性を発揮することができないからであ
る。本発明の細菌を含んだ有機質資材(好ましくは食品
産業廃棄)の発酵は、上述の発酵方法を適宜用いること
ができる。
【0025】このようにして得られた本発明の組成物
は、農作物を栽培するための土壌に混合して用いること
ができる。本発明の細菌は、中性付近の土壌pHにおい
てもそうか病を抑制するので、そうか病病原菌の増殖を
抑えるためにpHを低くした土壌のみならず、農作物の
生育に適した中性付近のpHの土壌に混合して用いるこ
とができる。本発明の組成物の土壌への添加量は、土壌
中でそうか病病原菌に対する充分な抗菌活性を発揮する
ことができる量とする。1m2当たりの添加量は、組成
物中の当該細菌の密度にもよるが、好ましくは、0.1
〜10kg程度、より好ましくは1〜7kg程度とする
ことが望ましい。本発明の組成物は、本発明の細菌の土
壌への定着をより一層高めることから、上述の量の組成
物を農作物の栽培開始前に土壌中に単回添加するのみ
で、農作物の栽培期間中の継続的な抗菌効果を発揮しう
る。
【0026】細菌を培養した培養液から得られるそうか
病病原菌のストレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害す
る成分は、同様の目的で用いられる通常の手段に従っ
て、当該細菌の培養液を分離精製し、得られた画分につ
いて、そうか病病原菌に対する抗菌活性を、例えば実施
例1に記載の方法に従って評価し、そして抗菌活性を有
するものを選択することにより得ることができる。従っ
て、本発明は、本発明の細菌を培養した培養物から得る
ことのできる、馬鈴薯を含む農作物のそうか病病原菌ス
トレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害する成分をも提
供する。
【0027】なお、本発明の細菌、組成物および有効成
分は、ストレプトマイセス放線菌を病原菌とする農作物
のそうか病の防除に有用である。本発明でいう農作物に
は、テンサイ、ニンジン、大根および馬鈴薯など、そう
か病にかかりうるすべての農作物が含まれる。本発明
は、特にテンサイ、ニンジン、大根および馬鈴薯のそう
か病の防除に有用であり、馬鈴薯のそうか病の防除にと
りわけ有用である。
【0028】
【実施例】以下に具体的実施例により、本発明をさらに
詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0029】実施例1(馬鈴薯そうか病病原菌に対する
抗菌活性の評価方法:ペーパーディスク法) 本発明における馬鈴薯そうか病病原菌に対する抗菌活性
は以下の方法で評価した。寒天培地(培可溶性澱粉 1
0g、シュークロース 1g、酵母エキス 1g、KH
2PO4 0.1g、NaNO3 0.1g、KCl
0.1g、MgSO4・7H2O 0.1g、寒天 1
5gを蒸留水1L に溶解し、pH7.0に調整)に、
馬鈴薯そうか病病原菌であるストレプトマイセス・ター
ジディスカビース91SY−12(Streptomy
ces turgidiscabies 91SY−1
2、以後、91SY−12株)を混合した培地を入れた
シャーレ(直径85mm)の中央に、抗菌活性を評価する
微生物の菌液を含浸させたろ紙(直径8mm)をのせて
30℃で6日ないし11日間培養した後、生じる阻止円
の大きさを測定した(以後、ペーパーディスク法と称
す)。
【0030】実施例2(抗菌活性を有する菌の単離方
法) 馬鈴薯そうか病病原菌に対する抗菌活性を有する細菌
は、以下の方法で単離した。食品工場から排出されたウ
ーロン茶抽出残滓とコーヒー抽出残滓、それに、麦芽製
造工場(栃木県河内郡)より入手した汚泥を、乾物重量
比で20:20:60の割合で混合した後、9週間自然
醗酵させ、得られた有機質肥料から36個のコロニーを
単離した。得られた単離菌について上述のペーパーディ
スク法で、91SY−12株に対する抗菌活性を評価し
たところ、複数のバチラス属サブチリス種の細菌を含む
18種類の単離菌に91SY−12株に対して抗菌活性
が認められた。
【0031】実施例3(SAM2269株、SAM22
70株の単離方法) 実施例2で得られたの単離菌について、菌懸濁液を12
1℃で20分加熱処理した後の懸濁液、並びに口径0.
2μmの膜によるろ液について、上述の方法で馬鈴薯そ
うか病病原菌に対する抗菌活性を評価した。その結果、
Bacillus subtilis SAM2269
(以後、SAM2269株)およびBacillus
subtilis SAM2270(以後、SAM22
70株)の2種について、両試験液ともに強い抗菌活性
が認められた。SAM2269株の結果を図1に示す。
【0032】実施例4(ストレプトマイシン耐性株の単
離方法) 実施例3で得られた2種の菌株(SAM2269株、S
AM2270株)をストレプトマイシン10μg/mLの
入った普通ブイヨン寒天培地上で培養した。生じたコロ
ニーをストレプトマイシン耐性株とし、SAM2269
株を親株とするBacillus subtilis
SAM2266(以後、SAM2266株)と、SAM
2270株を親株とするBacillus subti
lisSAM2267(以後、SAM2267株)を得
た。これらの菌株のストレプトマイシン10μg/mLが
入った寒天培地上での増殖性を図2に示した。また、9
1SY−12株に対する抗菌活性は親株と同程度である
ことを確認した(図3)。
【0033】馬鈴薯そうか病病原菌に対する抗菌活性な
どから、上記の4種の菌株は従来知られていない新株で
あると推定し、このうちのSAM2267株を平成12
年2月29日付で、工業技術院生命工学工業技術研究所
に寄託した(寄託番号:FERM P−17761)
【0034】実施例5(増殖および抗菌活性に与えるp
Hの影響) SAM2266株およびSAM2267株の増殖および
抗菌活性に与えるpHの影響について調べた。菌の増殖
用の培地にはpHを6.0、7.0、8.0に調整した
普通ブイヨン培地を用い、37℃で振とう培養し、遠心
分離後フィルター除菌した上澄について、実施例1に記
載したペーパーディスク法で抗菌活性評価した。SAM
2266株の結果を図4に、SAM2267株の結果を
図5に示す。両菌株ともpH6.0〜8.0で増殖が旺
盛であり、調べたpH領域でともに増殖には大きな差異
は認められなかった(図4(A)および図5(A))。ま
た、細菌の増殖に伴なって抗菌活性が認められ、いずれ
のpHでも、24時間目ないし48時間目以降には強い
抗菌活性を示した(図4(B)および図5(B))。馬鈴
薯そうか病はpHが5.2以下では抑制され、それ以上
になると増加する傾向が知られている。しかし、pHが
5.2の土壌では馬鈴薯の収量が低減したり、馬鈴薯の
後に栽培する作物に悪影響を及すため、中性付近で馬鈴
薯そうか病を抑制する方法が望まれていた。本発明であ
るSAM2266株およびSAM2267株による馬鈴
薯そうか病抑制効果はpH8.0までは高く維持される
ことから、中性付近で馬鈴薯そうか病を抑制できること
が分かる。
【0035】実施例6(増殖および抗菌活性に与える培
養温度の影響) SAM2266株およびSAM2267株の増殖および
抗菌活性に与える培養温度の影響について調べた。温度
条件は、馬鈴薯を栽培する時期の土壌の温度範囲を考慮
して、17.3℃〜45℃の間の3水準とした。菌の増
殖用の培地には、普通ブイヨン培地を用い、各温度水準
で振とう培養し、遠心分離後フィルター除菌した上澄に
ついて、実施例1に記載したペーパーディスク法で抗菌
活性評価した。各温度条件で培養した場合の菌濃度を、
培養開始後48時間まで調べた。SAM2266株の結
果を図6(A)に示す。温度条件が37.5℃および4
5℃の場合、6時間目から菌濃度の上昇が認められた。
また、17.3℃の場合でも、12時間目以降に増殖す
ることが分かった。次に各温度で培養した場合の抗菌活
性について、培養開始後48時間まで調べた。培養菌液
を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)後、
フィルター除菌した試料について、ペーパーディスク法
を用いて、91SY−12株に対する抗菌活性を調べ
た。その結果、図6(B)に示すように、細菌の増殖に
伴なって抗菌活性が認められ、いずれも12時間ないし
48時間目には強い抗菌活性を示した。SAM2267
株についてはいずれの試験ともにSAM2266株と同
様であった。本発明の一つの形態として、当該細菌およ
び有機質資材を含むことを特徴とする組成物があるが、
その製造方法の一つとして、食品産業廃棄物を発酵させ
てコンポストを製造する際に、醗酵開始前に当該細菌を
添加するという方法が考えられる。SAM2266株、
SAM2267株ともに、37.5℃から45℃の高温
域にあっては増殖が旺盛であり、抗菌活性が高かったこ
とから、当該細菌は、醗酵中の組成物の中でも充分に増
殖できできることが分かった。また、少なくとも、1
7.3℃から45℃の範囲で当該細菌は増殖および抗菌
活性を示したことから、馬鈴薯を栽培する期間の土壌中
で継続的に抗菌効果を発揮できる。
【0036】実施例7(馬鈴薯そうか病防除用の組成物
の製造1) 土壌代替物であるバーミキュライトを用いて、馬鈴薯そ
うか病防除用の組成物を製造した。SAM2266株を
普通ブイヨン培地で30℃で2日間振とう培養し、次い
で遠心分離により濃縮し、菌濃度約1×1010cfu/mLの
菌液を得た。得られた菌液100mLをバーミキュライト
1Lに混合し、馬鈴薯そうか病防除用の組成物を得た。
【0037】実施例8(馬鈴薯そうか病防除用の組成物
の製造2) 食品産業廃棄物であるウーロン茶抽出残滓およびコーヒ
ー抽出残滓を醗酵させたコンポストを用いて、馬鈴薯そ
うか病防除用の組成物を製造した。ウーロン茶抽出残
滓、コーヒー抽出残滓、汚泥を、36:36:28の比
率(乾物重量%)で混合し、約2ヶ月間、定期的に散
水、攪拌を行って醗酵熟成し、コンポストを製造した。
一方、SAM2267株を普通ブイヨン培地で37℃で
2日間振とう培養し、SAM2267株を普通ブイヨン
培地で30℃で2日間振とう培養し、次いで遠心分離に
より濃縮し、菌濃度約1×1010cfu/mLの菌液を得た。
得られた菌液100mLを前記のコンポスト1Lに混合し
て、馬鈴薯そうか病防除用の組成物を得た。
【0038】実施例9(馬鈴薯そうか病防除用の組成物
の製造3) ウーロン茶抽出残滓およびコーヒー抽出残滓を用いて、
発酵前に当該細菌を食品産業廃棄物に添加する方法によ
り、馬鈴薯そうか病防除用の組成物を製造した。ウーロ
ン茶抽出残滓、コーヒー抽出残滓、麦根および汚泥を、
18:18:40:24の比率(乾物重量%)で混合し
たものに、1g当りSAM2267株を108cfuとなる
ように添加して、約5ヶ月間、定期的に散水、攪拌を行
って醗酵熟成し、馬鈴薯そうか病防除用の組成物を製造
した。
【0039】実施例10(馬鈴薯そうか病の防除試験) 実施例9で得た本発明の馬鈴薯そうか病防除用の組成物
(以後、コンポストと称す)について、圃場での施肥試
験を実施した。実験圃場は北海道十勝農業試験場内(北
海道芽室市)で、そうか病病原菌(ストレプトマイセス
・タージディスカビース)で汚染されている試験区を用
いた。試験区に長さ約650cm、幅約60cmのレー
ンを6つ設けた。そのうちの3レーンをコンポスト施肥
区として、あらかじめ馬鈴薯用化成肥料を1レーン当り
430g混合した上で、本発明の組成物であるコンポス
トを1レーン当りに24kg、土壌に混合した。他の3
レーンはコントロール区とし、馬鈴薯用化成肥料を1レ
ーン当り430g混合した。種芋として、半分に切断し
た男爵イモを1週間室温で乾燥させたものを用い、5月
中旬に1レーン当り20個を、30cm間隔で植えた。
なお、コンポスト施肥区、コントロール区とも土壌pH
は6.5であった。8月中旬の収穫までの栽培方法は常
法に従った。収穫時に、収穫したイモについて、表面が
あばた状となっているかどうかを観察し、イモ60個そ
れぞれについて、表面にあばた状の病斑の数を評価し
た。その結果、表2に示すように、コンポスト施肥区に
ついては、病斑数が3個以内のイモが67%であり、コ
ントロール区の7%に比べ多かった。また、病斑数が2
1個以上のイモは、コンポスト施肥区では皆無であり、
コントロール区の65%に比して、大きく改善した。
【0040】
【表2】
【0041】従って、本発明の馬鈴薯そうか病防除用の
組成物は、馬鈴薯そうか病を防除する強い効果を有する
ことが分かった。さらに、その効果は、馬鈴薯そうか病
病原菌に感染しやすいといわれている発芽期を含め、栽
培期間を通じて持続したと考えられることから、当該細
菌は、馬鈴薯の栽培期間中、土壌中での繁殖を継続して
いたと思われる。そのことから、実施例6で示したよう
に、当該細菌自体の性質として馬鈴薯の栽培期間中の土
壌の温度域における生育能力が優れていることに加え、
食品産業廃棄物由来の有機質肥料といった有機質資材と
組み合わせることで、当該細菌にとって良好な育成環境
が整い、馬鈴薯の栽培期間中を通じて、土壌中での繁殖
を継続できたと考えられる。従って、本発明の馬鈴薯そ
うか病防除用の組成物は、馬鈴薯そうか病を防除する上
で、極めて有用な組成物であるといえる。
【0042】
【発明の効果】以上、記載したように、本発明は、馬鈴
薯そうかの病原菌の増殖を阻害する活性を有するSAM
2266株、SAM2267株、SAM2269株、ま
たはSAM2270株の特性を有する細菌を提供するも
のである。また、本発明の細菌と、土壌代替物、土壌改
良資材または有機質肥料等の農業用資材を含む、馬鈴薯
を含む農作物のそうか病防除用の組成物を提供する。 1)本発明の細菌は、pH4.8〜pH9.0の広いp
H域で生育可能であり、更に中性付近のpH域(pH
6.0〜pH8.0)において、旺盛に増殖し、且つ、
強い抗菌活性を示すので、農作物のそうか病防除効果を
有効に発揮しうる。また、45℃程度の高温の条件にお
いても増殖し、抗菌活性を有するので、馬鈴薯を栽培す
る期間(主として夏)の土壌中でも、継続的に抗菌効果
を発揮しうる。また、発酵前の農業用資材に混合するこ
とができる。 2)本発明の組成物は、本発明の細菌の土壌への定着を
より高め、本発明の細菌のそうか病防除効果をより高め
ることができる。 3)特に、食品産業廃棄物の醗酵物は、本発明の細菌の
増殖およびそうか病防除効果発揮のために至適な環境を
提供する。従って、本発明の細菌および食品産業廃棄物
の醗酵物を含む本発明の組成物は、本発明の細菌の土壌
への定着をよりいっそう高め、従来方法に比較して、畑
地での実際の栽培において、より効果的にそうか病を防
除することができる。 4)本発明の馬鈴薯を含む農作物のそうか病防除方法
は、薬害、環境破壊等の少ない経済的に優れたそうか病
防除方法であると考えられ、その有用性は多大である。
当該防除方法を用いる馬鈴薯を含む農作物の栽培方法
は、畑地での実際の栽培において有用な栽培方法であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が提供するSAM2266株について、
菌懸濁液を121℃で20分加熱処理した後の懸濁液、
および口径0.2μmの膜によるろ液について、馬鈴薯
そうか病病原菌に対する抗菌活性を検討した結果を示す
図である。
【図2】本発明が提供するSAM2269株およびSA
M2270株について、ストレプトマイシン添加培地に
おける増殖性を検討した結果を示す図である。
【図3】本発明が提供するSAM2269株およびSA
M2270株の増殖性について、菌懸濁液を121℃で
20分加熱処理した後の懸濁液、および口径0.2μm
の膜によるろ液について、馬鈴薯そうか病病原菌に対す
る抗菌活性を検討した結果を示す図である。
【図4】(A)は、SAM2266株の増殖性につい
て、培地中のpHの影響を検討した結果を示す図であ
る。(B)は、SAM2266株の抗菌活性について、
培地中のpHの影響を検討した結果を示す図である。
【図5】(A)は、SAM2267株の増殖性につい
て、培地中のpHの影響を検討した結果を示す図であ
る。(B)は、SAM2267株の抗菌活性について、
培地中のpHの影響を検討した結果を示す図である。
【図6】(A)は、SAM2266株の増殖性につい
て、培地温度の影響を検討した結果を示す図である。
(B)は、SAM2266株の抗菌活性について、培地
温度の影響を検討した結果を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年3月22日(2001.3.2
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 新規微生物および当該微生物を利用し
た馬鈴薯そうか病防除方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、馬鈴薯を含む農作
物のそうか病の病原菌であるストレプトマイセス放線菌
に対する抗菌性を示す微生物、ならびに当該微生物を利
用した馬鈴薯を含む農作物のそうか病の防除方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】馬鈴
薯そうか病は本邦で古くから発生しているストレプトマ
イセス属放線菌の感染によって起こされる代表的な土壌
伝染性病害の一つであり、難防除性病害として広く知ら
れている。馬鈴薯そうか病に感染すると、馬鈴薯の表面
があばた状となり、更に澱粉含有量が減少するので、食
用、食品加工用としての商品価値が著しく低下する。近
年、馬鈴薯の用途が広がり、食用、食品加工用としての
需要が増加してきたため、発生被害が問題となってお
り、防除対策の確立が望まれている。
【0003】従来より、馬鈴薯そうか病に対する防除対
策としては、種芋をストレプトマイシン等の抗生物質で
消毒処理する方法や、クロルピクリンやペンタクロロニ
トロベンゼン等の合成薬剤を用いて土壌を殺菌消毒する
方法がとられてきた。
【0004】しかしながら、馬鈴薯そうか病の感染源は
主に土壌であるので、前者のように単に種芋を消毒する
だけでは顕著な効果が得られない。一方、後者のように
合成薬剤による土壌殺菌は、土壌伝染性の病原菌に拮抗
性を有し発病抑止能力示す土壌微生物までも殺菌してし
まい、かえって発病が助長される場合もある。また、土
壌中に有害な化学物質が蓄積されたり、更には薬剤散布
作業者の健康を損なう危険性がある等、薬害による労働
災害や環境破壊の原因になるという大きな問題がある。
【0005】他の防除策としては、そうか病病原菌であ
るストレプトマイセス放線菌の生育適性pH領域を外す
ために、土壌のpHを低下させる方法があるが、収量が
大きく低下したり、馬鈴薯の後に栽培する作物にも悪影
響を及ぼす等の問題があり、適用が極めて制限される。
【0006】そこで、上記のような問題を生じない植物
病害の防止策として、微生物を利用する生物学的防除の
方法があり、これまでに多くの事例が報告されている
が、馬鈴薯そうか病に対する生物学的防除の例は数少な
い。
【0007】馬鈴薯そうか病の生物学的防除例として
は、バチラスKF−44(Bacillus sp.K
F−44)菌株の懸濁液に馬鈴薯等の植物体を浸漬処理
する方法が特開平2−48509に示されている。ま
た、シュードモナス・フルオレッセンスバイオバーV
(Pseudomonas fluorescens
biovarV)、シュードモナス・フルオレッセンス
MD−4f(Pseudomonas fluores
cens MD−4f)、シュードモナスF13−1
(Pseudomonas sp. F13−1)、エ
ンテロバクター・アグロメランス2−3B(Enter
obacter agglomerans sp.2−
3B、アシネトバクターM24−1(Acineto
bacter sp.M24−1)の少なくとも1種類
を含む懸濁液に種芋を浸漬したり、細菌を乾燥粉末又は
スラリーとして種芋に塗布或いは散布したり、馬鈴薯栽
培土壌に散布する方法が、特開平1−193203に報
告されている。
【0008】しかしながら、上記のいずれの微生物によ
る方法も、実験室段階では病原菌に対して抗菌性を発揮
するにも拘わらず、畑地での実際の栽培においては、馬
鈴薯そうか病の防除対策として全く用いられていない。
その原因としては、微生物を懸濁液又は多糖類等の担持
体に吸着させた状態で馬鈴薯表面、又は馬鈴薯栽培土壌
に散布する方法がとられているために、土着の微生物群
により生存を妨げられたり、環境条件が適合しなかった
りして、当該微生物は急速に生育力が低下し、必要な期
間土壌中に定着しないためと考えられる。また、前者
(特開平2−48509)においては、用いられている
バチルス属の菌学的性質の詳細が明らかではなく、特
に、生育適性pH領域が開示されておらず、そのため、
馬鈴薯の栽培等にとって適切な条件(特に、土壌pHお
よび温度)において用いうるものであるか否かは明らか
ではない。
【0009】また、ストレプトミセスCH−33(St
reptomyces sp. CH−33)の培養物
もしくはその処理物によって豚糞を処理することを特徴
とする抗植物病原性豚糞肥料の製造方法が特開昭63−
260886に示されている。しかしながら、当該明細
書中には、抗植物病原性豚糞肥料として使用する際の、
当該微生物の土壌定着性や菌数並びに栽培結果につい
て、なんら具体的に記載されていない。その上に、スト
レプトミセスCH−33の生育温度が20〜35℃であ
ることから、豚糞肥料の製造工程で発生する熱で生育が
抑制されたり死滅するなどするため、実用に必要な菌数
を確保できないと考えられる。
【0010】本発明は、上記の現状に鑑み、薬害や環境
破壊の危険性が極めて小さく、経済的にも安価であり、
かつ畑地での実際の栽培においても用いうる馬鈴薯を含
む農作物のそうか病防除策として、微生物を利用する生
物学的防除方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、本発明者らは、馬鈴薯そうか病病原菌に対する抗
菌作用を有する新規微生物を見出した。また、当該微生
物を利用して、馬鈴薯そうか病病原菌に感染した土壌中
における微生物の定着性が良く、防除効果を長く維持す
ることが可能な、馬鈴薯そうか病の防除方法を見出し
て、本発明を完成させるに至った。
【0012】したがって本発明は、馬鈴薯を含む農作物
のそうか病病原菌ストレプトマイセス属放線菌の増殖を
阻害することができるバチラス属サブチリス種に属する
細菌(本明細書では、単に「本発明の細菌」ということ
もある。)を提供する。より詳細には、馬鈴薯を含む農
作物のそうか病病原菌ストレプトマイセス属放線菌の増
殖を阻害することができ、かつバチラス・サブチリス
(Bacillus subtilis)SAM226
6株、SAM2267株、SAM2269株、またはS
AM2270株の特性を有する細菌を提供する。本発明
はその中でも、バチラス・サブチリス(Bacillu
s subtilis)SAM2266株、SAM22
67株、SAM2269株、およびSAM2270株を
提供する。本明細書で、バチラス・サブチリス(Bac
illus subtilis)SAM2266株など
の「特性を有する」というとき、その特性は、菌学的な
性質を含む。SAM2266株、SAM2267株、S
AM2269株またはSAM2270株の特性を有する
というとき、各々の特性は、本明細書の表1に示されて
いる。
【0013】このような本発明の細菌は、例えば、1)
ウーロン茶抽出残滓、コーヒー抽出残滓、および汚泥を
乾物重量比で20:20:60の割合で混合した後、数
週間自然醗酵させ、得られた酵物から定法に従ってコ
ロニーを単離し、2)得られた単離菌について、そうか
病病原菌に対する抗菌活性を、例えば実施例1に記載の
方法に従って評価し、そして抗菌活性を有するものを選
択することにより得ることができる。このようにして得
られた細菌を、さらに、ストレプトマイシンの入った寒
天培地上で培養することにより、ストレプトマイシン耐
性株として本発明の細菌を得てもよい。
【0014】さらに本発明は、上記で提案される細菌を
利用した、馬鈴薯を含む農作物のそうか病の防除方法お
よび、当該方法に使用される組成物を提供する。本明細
書でいう「そうか病の防除」とは、そうか病の病原菌で
あるストレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害する作用
に基づいて、そうか病を予防すること、そうか病の発生
を軽度および/または低頻度に抑えること、並びにそう
か病の進行を抑制することを含む。
【0015】
【発明の実施の形態】バチラス・サブチリスSAM22
66株、SAM2267株、SAM2269株、および
SAM2270株、並びにそれらの特性を有する細菌を
含む本発明の細菌は、馬鈴薯を含む農作物のそうか病病
原菌のストレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害する活
性を有することを特徴とする。これらの中から今回本発
明者らによって見い出されたSAM2269株およびS
AM2270株は、好ましい細菌である。さらに、それ
らを親株とし、親株と同様に馬鈴薯そうか病病原菌のス
トレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害する活性を有す
る変異種は、本発明の細菌に含まれる。その中でも、ス
トレプトマイシン耐性株であるSAM2266株および
SAM2267株は、ストレプトマイシン耐性という性
質を利用することにより土壌中に元から存在する他の細
菌との識別が容易であるため、栽培期間中の土壌におけ
る当該細菌の菌数の消長を的確に把握することができる
ので、実用上特に望ましい。本発明においてはこれらの
細菌を単独で使用することもでき、また同時に複数の株
を組合せて用いてもよい。
【0016】SAM2266株、SAM2267株、S
AM2269株およびSAM2270株の菌学的性質を
表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】本発明の細菌SAM2266株、SAM2
267株、SAM2269株およびSAM2270株
は、いずれも普通ブイヨン培地を用い、振とう培養する
ことができ、30℃で2日間、または37〜40℃で1
日培養することで、菌濃度として約109cfu/mLの菌液
を得ることができる。当該培養液は、菌の濃度を調整す
るために、遠心分離などで濃縮したり、適当な培地や希
釈液で希釈して用いることができる。また、凍結乾燥し
て保存することができる。
【0019】馬鈴薯を含む農作物のそうか病の防除の目
的で当該細菌を使用する方法として、例えば、1)当該
細菌の培養液や、当該細菌の凍結乾燥品を培地、緩衝
液、生理食塩水または水などに懸濁した懸濁液(例え
ば、107〜1011cfu/mL程度、好ましくは109〜10
10cfu/mL程度の菌液)に種芋を浸漬する方法や、2)前
記培養液または懸濁液を土壌に散布する方法(例えば、
107〜1011cfu/mL程度、好ましくは109〜1010cf
u/mL程度の菌液1Lを、土壌1m2に散布する)、3)
当該細菌を含む組成物を予め調製し、該組成物を土壌
に混合する方法などが挙げられる。組成物の調製には、
前述の前記培養液または懸濁液などを用いることができ
る。本発明の細菌は、農作物の栽培にとって適切な温度
・pHにおいても充分生育しうるものであるから、上記
1)および2)の方法で使用したとしても、土壌中に定
着してそうか病の防除の目的を達成しうると考えられ、
特に、2)の場合、前述の量の培養液または懸濁液を、
農作物の栽培開始前に土壌中に単回添加することで、農
作物の栽培期間中の継続的な抗菌効果を発揮しうる。し
かし、さらに土壌中への定着性を高めるためには、上記
3)の方法で本発明の細菌を使用することが好ましい。
【0020】本発明は、さらに上記で提案される細菌を
利用した、馬鈴薯そうか病の防除方法および当該方法に
使用される組成物を提供する。本発明の馬鈴薯そうか病
防除用の組成物とは、当該細菌の少なくとも1種類と、
農業用資材を含み、馬鈴薯そうか病防除に有効であるこ
とを特徴とする組成物である。農業用資材には、農作物
の栽培のために用いることのできる、土壌、バーミキュ
ライトなどの土壌代替物、土壌改良資材、肥料、食品産
業廃棄物などの有機質資材、およびこれらを酵(好ま
しくは好気酵)させた酵物、並びにこれらの組み合
わせが含まれる。中でも食品産業廃棄物が好ましい。
【0021】食品産業廃棄物は、原料由来、製品中身由
来、製造工程由来または排水由来のもの等で、直接また
は醗酵などの処理を行った後に、土壌に還元できるもの
であれば、特に限定されない。例えば、ビール工場等か
ら排出される糖化残滓や酵母廃棄物、麦根(麦芽製造工
程で発生する副産物)、ブドウの絞りかす、活性炭およ
び汚泥、並びにこれらの組み合わせなどが挙げられる。
中でも、コーヒー抽出残滓および/または茶類抽出残滓
は好適な例である。コーヒー抽出残滓または茶類抽出残
滓は、例えば、飲料製造工場、あるいは喫茶店、ファー
ストフード店等の外食産業において発生する、コーヒー
または茶類の抽出済みの残滓をいう。コーヒー抽出残滓
または茶抽出残滓は、単独で、あるいは組み合わせて用
いることができる。
【0022】本発明の組成物においては、農業用資材と
して有機質資材の酵物を用いることが好ましく、食品
産業廃棄物を鶏糞、汚泥あるいは米糠等と混合して、醗
酵させて得られるものを好適に用いることができる。食
品産業廃棄を醗酵させる方法としては、同様の目的で
行われる酵のための通常の方法を用いることができ
る。例えば、1)食品産業廃棄を自然堆積して適宜切
替えを行う、2)撹拌装置や通気装置のついた堆肥製造
装置内で好気的に行う、といった方法を適宜用いること
ができる。これらの食品産業廃棄物を醗酵させて得られ
る農業用資材は、当該細菌の栄養分の供給源としてだけ
でなく、当該細菌の定着、生育に適した環境を供給す
る。
【0023】また、本発明の組成物において、農業用資
材として有機質資材(好ましくは食品産業廃棄物)の
酵物を用いる場合、本発明の細菌は醗酵後に混合されて
もよいが、当該細菌は45℃程度の高温でも充分に生育
することができるから、醗酵前または酵期間中に混合
されてもよい。醗酵前あるいは酵期間中に当該細菌を
食品産業廃棄物に添加することは、当該細菌の醗酵期間
中の増殖が期待でき、より少ない菌数から本発明の組成
物を得ることができるから、特に好ましい。醗酵後の有
機質資材に当該細菌を添加する場合、または酵を行わ
ない農業用資材に添加する場合、その菌数は、当該細菌
が土壌中でそうか病病原菌に対する充分な抗菌活性を発
揮することができる量とする。好ましくは有機質資材の
乾燥重量1g当たり107セル以上、より好ましくは1
8セル以上である。
【0024】醗酵前に当該細菌を有機質資材(好ましく
は食品産業廃棄物)に添加する場合、その菌数は、好ま
しくは被処理物の乾燥重量1g当たり105セル以上、
より好ましくは107セル以上である。菌数が少なすぎ
る場合は、有機質資材中での定着性が悪くなり、ひいて
は施用後の土壌中での定着性も悪くなり、そうか病病原
菌に充分な抗菌活性を発揮することができないからであ
る。本発明の細菌を含んだ有機質資材(好ましくは食品
産業廃棄)の酵は、上述の酵方法を適宜用いるこ
とができる。
【0025】このようにして得られた本発明の組成物
は、農作物を栽培するための土壌に混合して用いること
ができる。本発明の細菌は、中性付近の土壌pHにおい
てもそうか病を抑制するので、そうか病病原菌の増殖を
抑えるためにpHを低くした土壌のみならず、農作物の
生育に適した中性付近のpHの土壌に混合して用いるこ
とができる。本発明の組成物の土壌への添加量は、土壌
中でそうか病病原菌に対する充分な抗菌活性を発揮する
ことができる量とする。1m2当たりの添加量は、組成
物中の当該細菌の度にもよるが、好ましくは、0.1
〜10kg程度、より好ましくは1〜7kg程度とする
ことが望ましい。本発明の組成物は、本発明の細菌の土
壌への定着をより一層高めることから、上述の量の組成
物を農作物の栽培開始前に土壌中に単回添加するのみ
で、農作物の栽培期間中の継続的な抗菌効果を発揮しう
る。
【0026】細菌を培養した培養液から得られるそうか
病病原菌のストレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害す
る成分は、同様の目的で用いられる通常の手段に従っ
て、当該細菌の培養液を分離精製し、得られた画分につ
いて、そうか病病原菌に対する抗菌活性を、例えば実施
例1に記載の方法に従って評価し、そして抗菌活性を有
するものを選択することにより得ることができる。従っ
て、本発明は、本発明の細菌を培養した培養物から得る
ことのできる、馬鈴薯を含む農作物のそうか病病原菌ス
トレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害する成分をも提
供する。
【0027】なお、本発明の細菌、組成物および有効成
分は、ストレプトマイセス放線菌を病原菌とする農作物
のそうか病の防除に有用である。本発明でいう農作物に
は、テンサイ、ニンジン、大根および馬鈴薯など、そう
か病にかかりうるすべての農作物が含まれる。本発明
は、特にテンサイ、ニンジン、大根および馬鈴薯のそう
か病の防除に有用であり、馬鈴薯のそうか病の防除にと
りわけ有用である。
【0028】
【実施例】以下に具体的実施例により、本発明をさらに
詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定さ
れるものではない。
【0029】実施例1(馬鈴薯そうか病病原菌に対する
抗菌活性の評価方法:ペーパーディスク法) 本発明における馬鈴薯そうか病病原菌に対する抗菌活性
は以下の方法で評価した。寒天培地(可溶性澱粉 10
g、シュークロース 1g、酵母エキス 1g、KH2
PO4 0.1g、NaNO3 0.1g、KCl
0.1g、MgSO4・7H2O 0.1g、寒天 15
gを蒸留水1L に溶解し、pH7.0に調整)に、馬鈴
薯そうか病病原菌であるストレプトマイセス・タージデ
ィスカビース91SY−12(Streptomyce
s turgidiscabies 91SY−12、
以後、91SY−12株)を混合した培地を入れたシャ
ーレ(直径85mm)の中央に、抗菌活性を評価する微生
物の菌液を含浸させたろ紙(直径8mm)をのせて30
℃で6日ないし11日間培養した後、生じる阻止円の大
きさを測定した(以後、ペーパーディスク法と称す)。
【0030】実施例2(抗菌活性を有する菌の単離方
法) 馬鈴薯そうか病病原菌に対する抗菌活性を有する細菌
は、以下の方法で単離した。食品工場から排出されたウ
ーロン茶抽出残滓とコーヒー抽出残滓、それに、麦芽製
造工場(栃木県河内郡)より入手した汚泥を、乾物重量
比で20:20:60の割合で混合した後、9週間自然
醗酵させ、得られた有機質肥料から36個のコロニーを
単離した。得られた単離菌について上述のペーパーディ
スク法で、91SY−12株に対する抗菌活性を評価し
たところ、複数のバチラス属サブチリス種の細菌を含む
18種類の単離菌に活性が認められた。
【0031】実施例3(SAM2269株、SAM22
70株の単離方法) 実施例2で得られたの単離菌について、菌懸濁液を12
1℃で20分加熱処理した後の懸濁液、並びに口径0.
2μmの膜によるろ液について、上述の方法で馬鈴薯そ
うか病病原菌に対する抗菌活性を評価した。その結果、
Bacillus subtilis SAM2269
(以後、SAM2269株)およびBacillus
subtilis SAM2270(以後、SAM22
70株)の2種について、両試験液ともに強い抗菌活性
が認められた。SAM2269株の結果を図1に示す。
【0032】実施例4(ストレプトマイシン耐性株の単
離方法) 実施例3で得られた2種の菌株(SAM2269株、S
AM2270株)をストレプトマイシン10μg/mLの
入った普通ブイヨン寒天培地上で培養した。生じたコロ
ニーをストレプトマイシン耐性株とし、SAM2269
株を親株とするBacillus subtilis
SAM2266(以後、SAM2266株)と、SAM
2270株を親株とするBacillus subti
lis SAM2267(以後、SAM2267株)を得
た。これらの菌株のストレプトマイシン10μg/mLが
入った寒天培地上での増殖性を図2に示した。また、9
1SY−12株に対する抗菌活性は親株と同程度である
ことを確認した(図3)。
【0033】馬鈴薯そうか病病原菌に対する抗菌活性な
どから、上記の4種の菌株は従来知られていない新株で
あると推定し、このうちのSAM2267株を平成12
年2月29日付で、工業技術院生命工学工業技術研究所
に寄託した(寄託番号:FERM P−17761)
【0034】実施例5(増殖および抗菌活性に与えるp
Hの影響) SAM2266株およびSAM2267株の増殖および
抗菌活性に与えるpHの影響について調べた。菌の増殖
用の培地にはpHを6.0、7.0、8.0に調整した
普通ブイヨン培地を用い、37℃で振とう培養し、遠心
分離後フィルター除菌した上澄について、実施例1に記
載したペーパーディスク法で抗菌活性評価した。SA
M2266株の結果を図4に、SAM2267株の結果
を図5に示す。両菌株ともpH6.0〜8.0で増殖が
旺盛であり、調べたpH領域でともに増殖には大きな差
異は認められなかった(図4(A)および図5(A))。
また、細菌の増殖に伴なって抗菌活性が認められ、いず
れのpHでも、24時間目ないし48時間目以降には強
い抗菌活性を示した(図4(B)および図5(B))。馬
鈴薯そうか病はpHが5.2以下では抑制され、それ以
上になると増加する傾向が知られている。しかし、pH
が5.2の土壌では馬鈴薯の収量が低減したり、馬鈴薯
の後に栽培する作物に悪影響を及すため、中性付近で馬
鈴薯そうか病を抑制する方法が望まれていた。本発明で
あるSAM2266株およびSAM2267株による馬
鈴薯そうか病抑制効果はpH8.0までは高く維持され
ることから、中性付近で馬鈴薯そうか病を抑制できるこ
とが分かる。
【0035】実施例6(増殖および抗菌活性に与える培
養温度の影響) SAM2266株およびSAM2267株の増殖および
抗菌活性に与える培養温度の影響について調べた。温度
条件は、馬鈴薯を栽培する時期の土壌の温度範囲を考慮
して、17.3℃〜45℃の間の3水準とした。菌の増
殖用の培地には、普通ブイヨン培地を用い、各温度水準
で振とう培養し、遠心分離後フィルター除菌した上澄に
ついて、実施例1に記載したペーパーディスク法で抗菌
活性評価した。各温度条件で培養した場合の菌濃度
を、培養開始後48時間まで調べた。SAM2266株
の結果を図6(A)に示す。温度条件が37.5℃およ
び45℃の場合、6時間目から菌濃度の上昇が認められ
た。また、17.3℃の場合でも、12時間目以降に増
殖することが分かった。次に各温度で培養した場合の抗
菌活性について、培養開始後48時間まで調べた。培養
菌液を遠心分離(10,000rpm、10分、4℃)
後、フィルター除菌した試料について、ペーパーディス
ク法を用いて、91SY−12株に対する抗菌活性を調
べた。その結果、図6(B)に示すように、細菌の増殖
に伴なって抗菌活性が認められ、いずれも12時間ない
し48時間目には強い抗菌活性を示した。SAM226
7株についてはいずれの試験ともにSAM2266株と
同様であった。本発明の一つの形態として、当該細菌お
よび有機質資材を含むことを特徴とする組成物がある
が、その製造方法の一つとして、食品産業廃棄物を
させてコンポストを製造する際に、醗酵開始前に当該細
菌を添加するという方法が考えられる。SAM2266
株、SAM2267株ともに、37.5℃から45℃の
高温域にあっては増殖が旺盛であり、抗菌活性が高かっ
たことから、当該細菌は、醗酵中の組成物の中でも充分
に増殖できできることが分かった。また、少なくとも、
17.3℃から45℃の範囲で当該細菌は増殖および抗
菌活性を示したことから、馬鈴薯を栽培する期間の土壌
中で継続的に抗菌効果を発揮できる。
【0036】実施例7(馬鈴薯そうか病防除用の組成物
の製造1) 土壌代替物であるバーミキュライトを用いて、馬鈴薯そ
うか病防除用の組成物を製造した。SAM2266株を
普通ブイヨン培地で30℃で2日間振とう培養し、次い
で遠心分離により濃縮し、菌濃度約1×1010cfu/mLの
菌液を得た。得られた菌液100mLをバーミキュライト
1Lに混合し、馬鈴薯そうか病防除用の組成物を得た。
【0037】実施例8(馬鈴薯そうか病防除用の組成物
の製造2) 食品産業廃棄物であるウーロン茶抽出残滓およびコーヒ
ー抽出残滓を酵させたコンポストを用いて、馬鈴薯そ
うか病防除用の組成物を製造した。ウーロン茶抽出残
滓、コーヒー抽出残滓、汚泥を、36:36:28の比
率(乾物重量%)で混合し、約2ヶ月間、定期的に散
水、攪拌を行って醗酵熟成し、コンポストを製造した。
一方、SAM2267株を普通ブイヨン培地で37℃で
2日間振とう培養し、次いで遠心分離により濃縮し、菌
濃度約1×1010cfu/mLの菌液を得た。得られた菌液1
00mLを前記のコンポスト1Lに混合して、馬鈴薯そう
か病防除用の組成物を得た。
【0038】実施例9(馬鈴薯そうか病防除用の組成物
の製造3) ウーロン茶抽出残滓およびコーヒー抽出残滓を用いて、
酵前に当該細菌を食品産業廃棄物に添加する方法によ
り、馬鈴薯そうか病防除用の組成物を製造した。ウーロ
ン茶抽出残滓、コーヒー抽出残滓、麦根および汚泥を、
18:18:40:24の比率(乾物重量%)で混合し
たものに、1g当りSAM2267株を108cfuとなる
ように添加して、約5ヶ月間、定期的に散水、攪拌を行
って醗酵熟成し、馬鈴薯そうか病防除用の組成物を製造
した。
【0039】実施例10(馬鈴薯そうか病の防除試験) 実施例9で得た本発明の馬鈴薯そうか病防除用の組成物
(以後、コンポストと称す)について、圃場での施肥試
験を実施した。実験圃場は北海道十勝農業試験場内(北
海道芽室市)で、そうか病病原菌(ストレプトマイセス
・タージディスカビース)で汚染されている試験区を用
いた。試験区に長さ約650cm、幅約60cmのレー
ンを6つ設けた。そのうちの3レーンをコンポスト施肥
区として、あらかじめ馬鈴薯用化成肥料を1レーン当り
430g混合した上で、本発明の組成物であるコンポス
トを1レーン当りに24kg、土壌に混合した。他の3
レーンはコントロール区とし、馬鈴薯用化成肥料を1レ
ーン当り430g混合した。種芋として、半分に切断し
た男爵イモを1週間室温で乾燥させたものを用い、5月
中旬に1レーン当り20個を、30cm間隔で植えた。
なお、コンポスト施肥区、コントロール区とも土壌pH
は6.5であった。8月中旬の収穫までの栽培方法は常
法に従った。収穫時に、収穫したイモについて、表面が
あばた状となっているかどうかを観察し、イモ60個そ
れぞれについて、表面にあばた状の病斑の数を評価し
た。その結果、表2に示すように、コンポスト施肥区に
ついては、病斑数が3個以内のイモが67%であり、コ
ントロール区の7%に比べ多かった。また、病斑数が2
1個以上のイモは、コンポスト施肥区では皆無であり、
コントロール区の65%に比して、大きく改善した。
【0040】
【表2】
【0041】従って、本発明の馬鈴薯そうか病防除用の
組成物は、馬鈴薯そうか病を防除する強い効果を有する
ことが分かった。さらに、その効果は、馬鈴薯そうか病
病原菌に感染しやすいといわれている発芽期を含め、栽
培期間を通じて持続したと考えられることから、当該細
菌は、馬鈴薯の栽培期間中、土壌中での繁殖を継続して
いたと思われる。そのことから、実施例6で示したよう
に、当該細菌自体の性質として馬鈴薯の栽培期間中の土
壌の温度域における生育能力が優れていることに加え、
食品産業廃棄物由来の有機質肥料といった有機質資材と
組み合わせることで、当該細菌にとって良好な生育環境
が整い、馬鈴薯の栽培期間中を通じて、土壌中での繁殖
を継続できたと考えられる。従って、本発明の馬鈴薯そ
うか病防除用の組成物は、馬鈴薯そうか病を防除する上
で、極めて有用な組成物であるといえる。
【0042】
【発明の効果】以上、記載したように、本発明は、馬鈴
薯そうかの病原菌の増殖を阻害する活性を有するSAM
2266株、SAM2267株、SAM2269株、ま
たはSAM2270株の特性を有する細菌を提供するも
のである。また、本発明の細菌と、土壌代替物、土壌改
良資材または有機質肥料等の農業用資材を含む、馬鈴薯
を含む農作物のそうか病防除用の組成物を提供する。 1)本発明の細菌は、pH4.8〜pH9.0の広いp
H域で生育可能であり、更に中性付近のpH域(pH
6.0〜pH8.0)において、旺盛に増殖し、且つ、
強い抗菌活性を示すので、農作物のそうか病防除効果を
有効に発揮しうる。また、45℃程度の高温の条件にお
いても増殖し、抗菌活性を有するので、馬鈴薯を栽培す
る期間(主として夏)の土壌中でも、継続的に抗菌効果
を発揮しうる。また、酵前の農業用資材に混合するこ
とができる。 2)本発明の組成物は、本発明の細菌の土壌への定着を
より高め、本発明の細菌のそうか病防除効果をより高め
ることができる。 3)特に、食品産業廃棄物の醗酵物は、本発明の細菌の
増殖およびそうか病防除効果発揮のために至適な環境を
提供する。従って、本発明の細菌および食品産業廃棄物
の醗酵物を含む本発明の組成物は、本発明の細菌の土壌
への定着をよりいっそう高め、従来方法に比較して、畑
地での実際の栽培において、より効果的にそうか病を防
除することができる。 4)本発明の馬鈴薯を含む農作物のそうか病防除方法
は、薬害、環境破壊等の少ない経済的に優れたそうか病
防除方法であると考えられ、その有用性は多大である。
当該防除方法を用いる馬鈴薯を含む農作物の栽培方法
は、畑地での実際の栽培において有用な栽培方法であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が提供するSAM2266株について、
菌懸濁液を121℃で20分加熱処理した後の懸濁液、
および口径0.2μmの膜によるろ液について、馬鈴薯
そうか病病原菌に対する抗菌活性を検討した結果を示す
図である。
【図2】本発明が提供するSAM2269株およびSA
M2270株について、ストレプトマイシン添加培地に
おける増殖性を検討した結果を示す図である。
【図3】本発明が提供するSAM2269株およびSA
M2270株の増殖性について、菌懸濁液を121℃で
20分加熱処理した後の懸濁液、および口径0.2μm
の膜によるろ液について、馬鈴薯そうか病病原菌に対す
る抗菌活性を検討した結果を示す図である。
【図4】(A)は、SAM2266株の増殖性につい
て、培地中のpHの影響を検討した結果を示す図であ
る。(B)は、SAM2266株の抗菌活性について、
培地中のpHの影響を検討した結果を示す図である。
【図5】(A)は、SAM2267株の増殖性につい
て、培地中のpHの影響を検討した結果を示す図であ
る。(B)は、SAM2267株の抗菌活性について、
培地中のpHの影響を検討した結果を示す図である。
【図6】(A)は、SAM2266株の増殖性につい
て、培地温度の影響を検討した結果を示す図である。
(B)は、SAM2266株の抗菌活性について、培地
温度の影響を検討した結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C05G 3/02 C05G 3/02 C12N 1/00 C12N 1/00 S 1/02 1/02 //(C12N 1/20 (C12N 1/20 C12R 1:125) C12R 1:125) Fターム(参考) 4B065 AA19X AA50X AC14 AC15 AC20 BA22 BB26 BC02 BC03 BD15 BD22 BD43 CA47 4H011 AA01 BA01 BB21 BC22 BC23 DA01 DC05 DD04 DG06 4H061 AA01 AA04 CC42 DD07 EE66 HH44 KK02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 馬鈴薯を含む農作物のそうか病病原菌ス
    トレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害することができ
    るバチラス(Bacillus)属に属するサブチリス
    (subtilis)種であるバチラス・サブチリス
    (Bacillus subtilis)細菌。
  2. 【請求項2】 細菌が、バチラス・サブチリス(Bac
    illus subtilis)SAM2266株、S
    AM2267株、SAM2269株、またはSAM22
    70株の特性を有する細菌である、請求項1記載の細
    菌。
  3. 【請求項3】 馬鈴薯を含む農作物のそうか病病原菌ス
    トレプトマイセス属放線菌の増殖を阻害するための、請
    求項1または請求項2記載の細菌の使用。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の細菌の少
    なくとも1種類と、農業用資材とを含むことを特徴とす
    る、馬鈴薯を含む農作物のそうか病防除用組成物。
  5. 【請求項5】 農業用資材が食品産業廃棄物である請求
    項4記載の組成物。
  6. 【請求項6】 食品産業廃棄物がコーヒー抽出残滓およ
    び/または茶類抽出残滓である請求項5記載の組成物。
  7. 【請求項7】 農業用資材または食品産業廃棄物が醗酵
    されたものであることを特徴とする、請求項4ないし6
    のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1または請求項2記載の細菌を、
    発酵前に農業用資材または食品産業廃棄物に添加するこ
    とを特徴とする請求項7記載の組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1または請求項2記載の細菌の少
    なくとも1種類の細菌の存在下でそうか病を防除しつつ
    馬鈴薯を含む農作物を栽培することによる、馬鈴薯を含
    む農作物の生産方法。
  10. 【請求項10】 請求項4ないし8のいずれか1項に記
    載の組成物の存在下でそうか病を防除しつつ馬鈴薯を含
    む農作物を栽培することによる、馬鈴薯を含む農作物の
    生産方法。
  11. 【請求項11】 細菌または組成物を、農作物の栽培開
    始前に土壌中に添加することを特徴とする、請求項9ま
    たは請求項10記載の生産方法
  12. 【請求項12】 請求項1または請求項2記載の細菌を
    培養した培養物から得ることのできる、馬鈴薯を含む農
    作物のそうか病病原菌ストレプトマイセス属放線菌の増
    殖を阻害する成分。
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