JP2001245487A - モータ制御装置 - Google Patents

モータ制御装置

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JP2001245487A
JP2001245487A JP2000371511A JP2000371511A JP2001245487A JP 2001245487 A JP2001245487 A JP 2001245487A JP 2000371511 A JP2000371511 A JP 2000371511A JP 2000371511 A JP2000371511 A JP 2000371511A JP 2001245487 A JP2001245487 A JP 2001245487A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外乱に対応して、高効率、低振動、低騒音か
つ信頼性の高いモータ駆動を実現するモータ制御装置を
提供する。 【解決手段】 本発明の実施の形態によるモータ制御装
置は、同期モータ1を間欠通電駆動するための間欠通電
駆動部8、同期モータ1を180度通電駆動するための
180度通電駆動部9、同期モータ1やインバータ回路
2の外乱(モータ駆動に影響を及ぼす外乱)を監視する
モータ外乱監視部6、およびモータ外乱監視部6の出力
により間欠通電駆動または180度通電駆動を選択する
駆動方式選択部7を備える。定常状態では、180度通
電駆動し、特異状態では、間欠通電駆動する。モータ駆
動方式を最適駆動方式に切換えることで、高効率、低振
動、低騒音かつ信頼性の高いモータ駆動を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石が装着さ
れたロータにより構成されている同期モータを位置セン
サレスで制御・駆動するモータ制御装置に関し、特に、
外乱に応じて同期モータの駆動方式を切換えて使用する
構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、モータロータ位置センサを用いず
に同期モータを制御・駆動するセンサレス駆動方式にお
いては、モータコイルへの通電を行なう際に、一定期間
の通電休止期間を設け、その間にモータの回転によって
モータコイルに発生する逆起電圧をモータコイル端子か
ら検出し、この逆起電圧からモータへの通電タイミング
を決定する間欠通電駆動が行なわれている。このような
通電駆動方式の中でも、通電角を120度とした、いわ
ゆる120度通電駆動方式が特に一般的である。
【0003】これに対し、3相のモータコイル中性点と
当該3相コイルと並列に抵抗を接続し、この中性点と抵
抗中性点との電圧を比較することでモータ起動電圧を検
出してモータへの通電タイミングを決定して駆動する方
法、モータ電流を高速演算することでモータ位置を検出
して通電タイミングを決定して駆動する方法、あるいは
モータ駆動電圧とモータ電流との位相差に基づいて通電
タイミングを決定して駆動する方法などにより、同期モ
ータを通電休止期間を設けずに駆動する、正弦波通電を
はじめとするいわゆる180度通電駆動がある。
【0004】一般的に、120度通電駆動に比べて、1
80度通電駆動方式の方が駆動波形の滑らかさからトル
ク変動、回転変動が少ない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、永久磁石ロ
ータ構造の同期モータにおいては、永久磁石位置に対応
して正確なタイミングでモータに通電を行なう、いわゆ
る通電タイミングの最適化がモータ駆動の絶対条件とな
っている。さらに、当該絶対条件に加えて高効率化、回
転の安定化のためには、通電タイミングを各回転条件ご
とに決まる最適値に設定することが必要である。
【0006】120度通電駆動をはじめとする間欠通電
駆動では、永久磁石磁束および電機子磁束に関する逆起
電圧を直接検出しており、実際に永久磁石位置すなわち
回転位置を検出している。このため、ノイズ除去などを
行ない検出精度を高めることで正確な通電タイミングで
のモータ駆動が可能となっている。つまり、モータ回転
位置を直接検出しているため、外乱が発生した場合でも
モータ停止などの不具合が生じにくい。
【0007】一方、位置センサレスの180度通電駆動
は、120度通電駆動をはじめとする間欠通電駆動に比
べて高効率、低騒音および低振動であるが、一般的に駆
動・制御が複雑で困難であるという課題が存在してい
る。これは、直接モータ回転位置を検出していないた
め、または通電タイミングの検出精度が低いためであ
り、外乱に対してモータ停止などの不具合が生じ易い。
【0008】たとえば、コイル中性点と抵抗中性点とを
比較することで通電タイミングを決定する180度通電
駆動方式では、駆動電圧の通電タイミングを制御する。
しかし、実際にモータトルクに起因するのはモータ電流
である。そして、休止期間を設けない180度通電駆動
では、永久磁石の逆起電圧とコイルインダクタンスとの
影響で、駆動電圧とモータ電流との間に位相差が生じて
しまう。これを通電タイミングとしてみると、モータ電
流は駆動電圧に対して感度が高くなってしまうことにな
る。実験では回転条件によっては間欠通電駆動時に比べ
2〜3倍感度が高くなるという結果が得られた。このた
め、非常に厳密な通電タイミング検出が要求されてしま
う。すなわち、180度通電駆動では、間欠通電駆動と
比べて2〜3倍の精度が必要になるということである。
【0009】また、モータ電流を高速演算によって解析
し、通電タイミングを決定する180度通電駆動方式で
は、通電タイミングの検出分解能は、モータ電流の検出
誤差、演算誤差、演算遅れ等から間欠通電駆動に比べて
電気角で5度程度悪化してしまうのが現状である。
【0010】さらに、モータ駆動電圧とモータ電流との
位相差に基づいて180度通電駆動を行なう方式では、
いわゆる強制励磁で時間経過とともに通電を切換えてい
き、このときのモータ電流位相差すなわち通電タイミン
グを制御する。ところが、モータ電流位相差の制御誤差
はそのまま通電タイミングの誤差となってしまう。この
ため、安定駆動およびモータ回転の維持のためには位相
差を厳密に制御しなくてはならず、外乱が発生していな
いときはよいが、外乱が発生したときに特に制御が不安
定になるという問題がある。なお、間欠通電駆動におけ
る通電タイミングは、検出される逆起電圧に依存してい
るので、制御性能にかかわらずいかなるときでも正確な
通電タイミングが実現できる。したがって、位相差制御
の場合には、間欠通電駆動に比べて正確で高度な制御が
求められる。
【0011】このように、180度通電駆動では正確で
かつ厳密な制御が求められるため、制御マージンを減少
させるような外乱要求が発生してしまうと、高効率な運
転が実現できないばかりではなく、モータ通電の脱調、
モータ停止といった問題が発生する確率が120度通電
駆動をはじめとする間欠通電駆動に比べて非常に高くな
る。
【0012】ここでいう外乱要因とは、装置あるいは同
期モータを駆動するインバータへの供給電源電圧の変
化、モータ回転数の変化および負荷トルクの変化などで
あり、一般的に見て180度通電駆動においては120
度通電駆動をはじめとする間欠通電駆動に比べて制御が
困難であるため、これら外乱に対するロバスト性も低い
傾向がある。
【0013】このように、180度通電駆動方式は、効
率、トルク変動、回転むら、騒音の面で優れているが、
制御ロバスト性が低い。また、180度通電駆動方式
は、各外乱要因への対策は、制御ゲインを上げるなどの
制御性能そのものを向上させることは行なわれているも
のの、これらでカバーしきれない外乱に対しては何ら回
避策がなく、モータの停止などが発生してしまうという
問題がある。
【0014】「電気車用制御装置(特開平10−341
594号公報)」には、120度通電駆動方式と180
度通電駆動方式とを切換える構成が開示されている(文
献1と称す)。
【0015】しかしながら、文献1に示される構成は、
180度通電駆動時にエンコーダ等の回転パルス発生手
段を使用する構成であり、モータ位置を検出する位置セ
ンサを必要とする。したがって、位置センサレスでモー
タを駆動する構成には適用不可能である。
【0016】また、文献1では、位置センサや回転パル
ス発生手段の出力が得られない場合に、120度通電駆
動方式に切換え、または、逆起電圧の検出が困難な低速
域では180度通電駆動、中高速域では120度通電駆
動と回転数によって一義的に駆動方式を切換えるもので
ある。したがって、モータ駆動に影響を及ぼす外乱の発
生状況に対応することができず、高効率、低騒音、低振
動かつ信頼性の高いモータ駆動を実現することはできな
い。
【0017】そこで、本発明は係る問題を解決するため
になされたものであり、その目的は、位置センサレス
で、外乱に対応して、高効率、低騒音、低振動かつ信頼
性の高いモータ駆動を実現することができるモータ制御
装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】この発明によるモータ制
御装置は、永久磁石が装着されたロータにより構成され
ている同期モータと同期モータを駆動する駆動手段と
を、位置センサレスで駆動および制御するモータ制御装
置において、同期モータを、180度通電駆動するため
の180度通電駆動手段と、同期モータを、通電休止期
間を設けた通電角180度未満の間欠通電駆動するため
の間欠通電駆動手段と、同期モータまたは前記駆動手段
の外乱を監視するモータ外乱監視手段と、モータ外乱監
視手段の出力に応じて、同期モータの駆動方式を前記1
80度通電駆動とするか、または間欠通電駆動とするか
を選択する駆動方式選択手段とを備える。
【0019】したがって、外乱に応じて、180度通電
駆動と間欠通電駆動とを適切に切換えることができる。
この結果、外乱の少ない定常状態時には、高効率、低騒
音、低振動のモータ駆動を実現し、外乱が検出される特
異状態時には、モータ停止などの不具合を生じさせず、
信頼性の高いモータ駆動を実現することができる。
【0020】好ましくは、間欠通電駆動手段の通電角
は、120度とする。したがって、各相に供給する駆動
電圧波形が作成しやすく、また、逆起電圧の検出間隔も
長くなるため検出の信頼性が向上する。
【0021】好ましくは、駆動手段は、同期モータを駆
動するインバータと、インバータに対して設けれる交流
電源電圧を供給するための交流電源供給部とを含み、モ
ータ外乱監視手段は、インバータにおける直流電源電圧
または交流電源電圧供給手段により供給される交流電源
電圧を監視する。
【0022】したがって、瞬時停電をはじめとする電源
電圧の変動を外乱発生と判断して、適切な駆動方式に切
換えることができる。この結果、電源電圧変動によって
発生してしまうモータ停止などの不具合を防止し、信頼
性の高いモータ駆動を実現できる。
【0023】好ましくは、モータ外乱監視手段は、同期
モータの回転数を監視する。したがって、モータ回転数
の変動を外乱発生と判断して、適切な駆動方式に切換え
ることができる。これにより、回転数変更などに伴うモ
ータ停止などの不具合を防止し、信頼性の高いモータ駆
動を実現できる好ましくは、モータ外乱監視手段は、同
期モータのトルクを監視する。したがって、負荷トルク
の変動を外乱発生と判断して、適切な駆動方式に切換え
ることができる。これにより、負荷トルク変動などに伴
うモータ停止などの不具合を防止し、信頼性の高いモー
タ駆動を実現できる。
【0024】好ましくは、モータ外乱監視手段は、同期
モータのモータ電流を監視する。したがって、モータ電
流の変動を外乱発生と判断して、適切な駆動方式に切換
えることができる。これにより、モータ電流の変動に伴
うモータ停止などの不具合を防止し、信頼性の高いモー
タ駆動を実現できる。
【0025】好ましくは、モータ外乱監視手段は、同期
モータの特定相の駆動電圧と同期モータのモータ電流と
の位相差を監視する。したがって、駆動電圧とモータ電
流との位相差の変動を外乱発生と判断して、適切な駆動
方式に切換えることができる。これにより、位相差の変
動に伴うモータ停止などの不具合を防止し、信頼性の高
いモータ駆動を実現できる。
【0026】好ましくは、モータ外乱監視手段は、同期
モータの駆動に影響を及ぼす外乱、または外乱と同期し
て変化する外乱信号のうち、いずれか1つ以上の外乱ま
たは外乱信号を監視する。したがって、同期モータの駆
動に影響を及ぼす外乱、または外乱に起因して変化する
信号の変動に基づき外乱の発生を検出し、適切な駆動方
式に切換えることができる。これにより、各種外乱の変
動などに伴うモータ停止などの不具合を防止し、信頼性
の高いモータ駆動を実現できる。
【0027】好ましくは、モータ外乱監視手段は、定常
状態であるか、特異状態であるかを検出し、駆動方式選
択手段は、モータ外乱監視手段において定常状態が検出
されているときには、180度通電駆動を、特異状態が
検出されているときには、間欠通電駆動を選択するよう
に切換えを行なう。
【0028】したがって、外乱の少ない定常状態では、
高効率、低騒音、低振動、かつ運転性能の高い180度
通電駆動を、外乱が大きい特異状態では、モータ停止な
どが少なく信頼性の高い間欠通電駆動を選択することが
できる。これにより、モータ駆動の高効率、低振動、低
騒音、高信頼性を実現することができる。
【0029】好ましくは、モータ外乱監視手段は定常状
態であるか、特異状態であるかを検出し、駆動方式選択
手段は、モータ外乱監視手段において、定常状態が検出
されているときには180度通電駆動を選択し、特異状
態が検出されると、間欠通電駆動を選択した後、所定時
間経過後に180度通電駆動を選択する。
【0030】したがって、外乱の少ない定常状態では、
高効率、低騒音、低振動、かつ運転性能の高い180度
通電駆動を、外乱が大きい特異状態では、モータ停止な
どが少なく信頼性の高い間欠通電駆動を選択し、外乱の
収まる所定期間後に180度通電駆動に復帰することが
できる。これにより、モータ駆動の高効率、低振動、低
騒音、高信頼性を実現することができる。
【0031】特に、特異状態とは、電源電圧の変動であ
る。したがって、瞬時停電をはじめとする電源電圧の変
動に基づき、適切な駆動方式に切換えることができる。
この結果、電源電圧変動によって発生してしまうモータ
停止などの不具合を防止し、信頼性の高いモータ駆動を
実現できる。
【0032】特に、特異状態とは、同期モータの回転数
の変更、または回転数の変動である。したがって、モー
タ回転数に基づき、適切な駆動方式に切換えることがで
きる。これにより、回転数変更などに伴うモータ停止な
どの不具合を防止し、信頼性の高いモータ駆動を実現で
きる。
【0033】特に、特異状態とは、同期モータのトルク
の変動である。したがって、負荷トルクの変動に基づ
き、適切な駆動方式に切換えることができる。これによ
り、負荷トルク変動などに伴うモータ停止などの不具合
を防止し、信頼性の高いモータ駆動を実現できる。
【0034】特に、特異状態とは、同期モータのモータ
電流の変動である。したがって、モータ電流の変動に基
づき、適切な駆動方式に切換えることができる。これに
より、モータ電流の変動に伴うモータ停止などの不具合
を防止し、信頼性の高いモータ駆動を実現できる。
【0035】特に、特異状態とは、同期モータの特定相
の駆動電圧と同期モータのモータ電流との位相差の変動
である。したがって、駆動電圧とモータ電流との位相差
の変動に基づき、適切な駆動方式に切換えることができ
る。これにより、位相差の変動に伴うモータ停止などの
不具合を防止し、信頼性の高いモータ駆動を実現でき
る。
【0036】特に、特異状態とは、同期モータのモータ
駆動において影響を及ぼす外乱または外乱と同期して変
化する外乱信号のうち、いずれか1つ以上外乱または外
乱信号の変動である。したがって、同期モータの駆動に
影響を及ぼす外乱、または外乱に起因して変化する信号
の変動に基づき、適切な駆動方式に切換えることができ
る。これにより、各種外乱の変動などに伴うモータ停止
などの不具合を防止し、信頼性の高いモータ駆動を実現
できる。
【0037】好ましくは、モータ外乱監視手段は、所定
のしきい値データに基づき定常状態か特異状態かを判定
し、所定のしきい値データは、同期モータの回転条件に
よって変更する。したがって、回転数や定常負荷トルク
等の回転条件によってしきい値データを切換えることが
できる。これにより、的確な通電駆動方式を選択するこ
とができる。
【0038】好ましくは、180度通電駆動から間欠通
電駆動への切換え時には、同期モータへの通電を休止す
る期間を設ける。したがって、間欠通電駆動への切換え
を確実に行なうことができる。
【0039】好ましくは、同期モータが低速に回転して
いる場合には、180度通電駆動から間欠通電駆動への
切換えを行なう際には、間欠通電駆動への移行後の回転
速度を180度通電駆動時の回転速度より上げる。した
がって、回転速度を上げることにより、間欠通電駆動の
通電タイミング検出が確実になるため、モータ駆動の信
頼性を高めることができる。
【0040】好ましくは、間欠通電駆動から、180度
通電駆動への切換え時には、切換え直前の通電タイミン
グに基づき、180度通電駆動の通電位相を決定する。
したがって、確実に駆動方式を切換えることができるの
で、駆動切換えの信頼性を高めることができる。
【0041】好ましくは、間欠通電駆動は、同期モータ
のモータ端子に発生する逆起電圧を検出することにより
通電切換えを行なう駆動方式である。これにより、外乱
の影響を受けずに、通電タイミングの検出が確実に行な
える。この結果、モータ駆動における信頼性を高めるこ
とができる。
【0042】好ましくは、180度通電駆動は、同期モ
ータにおける特定相のモータ端子に印加する駆動電圧
と、モータ端子に流れるモータ電流との位相差である電
流位相差情報を制御することによりモータ駆動を行なう
駆動方式である。したがって、簡単な構成および処理で
通電駆動することができ、低コスト化が実現される。
【0043】好ましくは、電流位相差情報は、同期モー
タにおける駆動電圧位相を基準とした第1の位相期間中
のモータ電流の積算値である第1のモータ電流面積と、
第2の位相期間中のモータ電流の積算値である第2のモ
ータ電流面積との比を算出することにより得られる。し
たがって、ゼロクロス検出よりも簡単な処理・かつ構成
で位相差情報を検出することができる。ノイズやモータ
電流の変動に対して誤動作を少なくすることができる。
【0044】特に、第1のモータ電流面積は、第1の位
相期間中のモータ電流を所定回数サンプリングし、サン
プリングされた電流サンプリングデータを積算して求
め、第2のモータ電流面積は、第2の位相期間中のモー
タ電流を所定回数サンプリングし、サンプリングされた
電流サンプリングデータを積算して求める。
【0045】したがって、モータ電流の面積を求め、そ
の比によって位相差情報を求めることができる。さら
に、この面積比検出において、複数回のサンプリングで
得られるモータ電流サンプリングデータを用いること
で、信頼性の高い位相差検出を簡単な処理で実現するこ
とができる。
【0046】好ましくは、モータ外乱監視手段は、しき
い値データに基づき定常状態であるかまたは特異状態で
あるかを判定し、モータ外乱監視手段に入力された外乱
または外乱信号に所定量を加算および減算した結果得ら
れる外乱加減算を、次回の外乱あるいは外乱信号入力時
の判定におけるしきい値データとして使用する。したが
って、突発的な外乱に対して的確な通電駆動方式を選択
することができる。
【0047】好ましくは、モータ外乱監視手段は、しき
い値データに基づき定常状態であるかまたは特異状態で
あるかを判定し、しきい値データとして、モータ外乱監
視手段に入力された外乱または外乱信号に所定量を加算
および減算した結果得られる外乱加減算と、外乱または
外乱信号の定常的な値から設定したしきい値データとを
使用する。これにより、さらに的確な通電駆動方式の選
択を実現できる。
【0048】好ましくは、モータ外乱監視手段は、定常
状態であるかまたは特異状態であるかを判定し、モータ
外乱監視手段における定常状態または特異状態の判定タ
イミングを、モータ回転に同期させる。したがって、モ
ータ回転中に周期的な変動が生じる場合であっても的確
な通電駆動方式を選択することができる。
【0049】モータ外乱監視手段に入力する外乱または
外乱信号は、同期モータのn回転分(前記nは、1以上
の整数)を平均化した値とする。したがって、モータ回
転中に周期的な変動が生じる場合であっても的確な通電
駆動方式を選択することができる。
【0050】好ましくは、モータ外乱監視手段を、前記
同期モータの加減速中にオフする。したがって、通電駆
動方式選択のための誤検出を防止でき、的確な通電駆動
方式の選択が実現できる。
【0051】このように本発明にかかるモータ制御装置
によれば、低騒音、低振動、高効率である正弦波通電を
はじめとする180度通電駆動におけるモータ駆動を行
なう際に、180度通電駆動の優位性を保ちつつ、なお
かつ各外乱によって180度通電駆動による制御・駆動
が不能となった場合でも、間欠通電駆動に切換えること
で、効率低下あるいはモータ回転を停止させることなく
モータ回転を維持することができる。これにより、モー
タを含める装置全体としての信頼性を高めることが可能
となる。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態による
構成を図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一
部分には同一符号または記号を付し、その説明を省略す
る。
【0053】本発明の実施の形態によるモータ制御装置
について、図1を用いて説明する。図1において、1
は、同期モータ、2は、同期モータ1を駆動するインバ
ータ回路、3は、AC電源を直流に変換してインバータ
回路2に直流電流を供給するコンバータ回路(図中記号
AC−DC)、4は、AC電源、5は、同期モータ1を
駆動・制御する制御マイコンである。
【0054】さらに、図1において、6は、同期モータ
1またはインバータ回路2から外乱を示す信号を入力
し、駆動状態を監視するモータ外乱監視部、7は、モー
タ外乱監視部6の出力に基づき、駆動方式を決定する駆
動方式選択部、8は、同期モータ1を通電角180度未
満の通電休止期間を設けた間欠通電駆動とするため、通
電タイミングの設定や駆動電圧(PWMデューティ)基
準値の設定などの制御を行なう間欠通電駆動部、9は、
同期モータ1を180度通電駆動するため、通電タイミ
ングの設定や駆動電圧(PWMデューティ)基準値の設
定などの制御を行なう180度通電駆動部、10は、駆
動方式選択部7の選択結果に応じて、選択された駆動方
式によるPWMデューティ基準値および通電タイミング
をPWM作成/各相分配部11に入力するためのスイッ
チ、11は、インバータ回路2の各モータ駆動素子を駆
動するためのPWM信号を各駆動素子ごとに作成し出力
するPWM作成/各相分配部である。
【0055】なお、インバータ回路2への電源供給は、
可変電源供給方式である、いわゆるPAM方式としても
よい。
【0056】モータ外乱監視部6で検出された同期モー
タ1またはインバータ回路2などの外乱によって、同期
モータ1を間欠通電駆動するか、180度通電駆動する
かを駆動方式選択部7で選択する。
【0057】モータ外乱監視部6に入力する同期モータ
1またはインバータ回路2などの外乱を示す信号は、モ
ータ制御・駆動においての制御変数に影響を及ぼす、す
なわち外乱となるものである。これらはたとえば、イン
バータ回路2の各駆動素子の電源である直流電源電圧、
同期モータ1の回転数、同期モータ1に発生する負荷ト
ルクおよびこれらに付随して変化するモータコイルのモ
ータ電流、駆動電圧とモータ電流との位相差などであ
る。
【0058】なお、これらを直接検出する必要はなく、
他の外乱要素でもよく、上記した情報以外の付随する外
乱情報であってもよい。通常、これらの外乱情報は、定
常値がどのくらい変動したかが重要なパラメータである
ことが多く、モータ外乱監視部6においてこれらの値の
変動を検出することが望ましい。
【0059】本発明の実施の形態によるモータ制御装置
は、各種外乱に対して、その都度適切な、すなわち制御
性能のよい、さらに言い換えれば当該外乱に対してモー
タが停止してしまうなどの不具合が生じない駆動方式を
選択してモータ駆動を行なう。これにより、信頼性の高
い効果的なモータ運動を実現する。
【0060】なお、効率の向上、トルク変動、振動、騒
音の抑制のためには、180度通電駆動として、駆動波
形の滑らかな変化が実現できる正弦波通電であることが
望ましい。
【0061】また、間欠通電駆動の駆動波形としては、
通電角を180度未満として駆動波形中に通電休止期間
を設け、その間に発生する逆起電圧が検出できればいか
なる駆動波形であってもかまわない。たとえば、120
度通電駆動は、完全二相通電であり、矩形波通電が可能
であるため、各相に供給する駆動波形が作成しやすいと
いう利点がある。
【0062】ここで、各相の駆動波形について説明す
る。図2は、180度通電駆動の一例である正弦波通電
の駆動波形を示す図である。図3は、間欠通電駆動の一
例である矩形波120度通電の駆動波形を示す図であ
る。また、図4は、間欠通電駆動の他の一例である15
0度通電駆動の駆動波形を示す図である。図2〜4で
は、インバータ回路2の駆動素子を駆動する信号(PW
M作成/各相分配部11の出力)を各コイル端子ごとに
アナログ値で示している。なお、実際の通電期間中の駆
動波形はPWM波形であり、通電期間中にPWMデュー
ティは変更される。各図において、横軸はコイル通電電
気角、縦軸は電圧にそれぞれ対応している。駆動対象と
なるモータのコイルは、U相、V相、W相の3相であ
る。
【0063】図2に示されるように、180度通電駆動
方式においては、各相は正弦波形通電をしており、たと
えばU相コイルを基準とすると、V相、W相に対する通
電波形は、U相に対する通電波形と120度または24
0度の位相差を有している。
【0064】図3に示されるように、120度矩形波通
電駆動方式においては、各相ともに、120度期間は矩
形波通電をしており、残りの60度期間は通電休止期間
となる。たとえばU相コイルを基準とすると、V相、W
相は、U相に対して120度または240度の位相差を
有している。
【0065】図4に示されるように、150度矩形波通
電駆動方式においては、各相ともに、150度期間は矩
形波通電をしており、残りの30度期間が通電休止期間
となる。
【0066】ここで、180度通電駆動中に外乱が発生
したときのU相コイル端子の実際のモータ電流波形を、
図5および図6を用いて説明する。図5および図6にお
ける実験では、正弦波180度通電駆動とし、モータ回
転数は3000rpm、定常負荷トルクは約1.5Nm
とした。
【0067】図5は、約0.5Nmのトルク変動を発生
させるパルスを与えたときのモータ電流波形を示してい
る。図5に示されるように、トルク変動を発生すると、
モータ電流波形の振幅が大きくなってしまい、さらに変
動が収まった直後も正弦波波形が乱れていることがわか
る。
【0068】図6は、インバータ回路2の直流電源電圧
が変動したときのモータ電流波形を示すものである。図
6に示される実験では、直流電源電圧は約20V変動し
ている。図6に示されるように、直流電源電圧が変化し
ても、負荷トルクが変化したときと同様にモータ電流が
乱れてしまうことがわかる。
【0069】これは、トルク変動によって通電タイミン
グが瞬時的に変化してしまい、正確な通電タイミングで
の駆動がなされないためである。なお、図5および図6
の実験とも、外乱変動による悪影響は、制御が追いつか
ず、適切な通電タイミングでの駆動ができないことによ
る効率の低下などの発生のみに留まっている。しかしな
がら、これよりも各外乱変動量が大きくなる、またはさ
らに変動終了までの時間が長くなるとモータ回転を続け
ることができずモータが停止してしまう。
【0070】これは、180度通電駆動の各駆動方法
が、上述したように制御の困難性から制御ロバスト性が
低く、外乱に対して影響を受けやすいという特性を有し
ているためである。
【0071】このように外乱の影響を受けやすいという
一方で、180度通電駆動、とりわけ正弦波180度通
電駆動は、駆動波形の滑らかさからモータ騒音や振動が
低く、巻線使用率の高さから高効率が可能であるという
利点がある。このため、上記外乱が存在しない場合に
は、回転性能の高い180度通電駆動によるモータ運動
を行なうことが望ましい。
【0072】一方、120度通電駆動をはじめとする間
欠通電駆動では、モータ電流を通電しない休止期間を設
け、純粋にモータ回転位置を表わす逆起電圧を検出す
る。このため、トルク変動などの外乱が発生しても回転
速度が変動することはあるものの、通電タイミングが大
きく変化してしまうことは少ない。したがって、180
度通電駆動に比べて、外乱などによってモータが停止し
てしまうなどの不具合が生じる確率が低く、モータ駆動
に関する信頼性は高い。
【0073】そこで、本発明の実施の形態によるモータ
制御装置は、外乱の発生していない、または外乱が少な
い定常状態時には、回転性能の高い180度通電駆動
を、外乱が検出される、または外乱が大きい特異状態時
には、信頼性の高い間欠通電駆動を選択する。
【0074】ここで、モータ外乱監視部6および駆動方
式選択部7の処理内容を、図7〜図10のフローチャー
トを用いて説明する。なお、これらの処理は、駆動電圧
(PWMデューティ)基準値の作成タイミング、または
PWMキャリヤ周期ごとに行なわれ、通常、制御マイコ
ンの割込によって処理が開始される。
【0075】まず、現在が180度通電駆動であるとき
の処理を説明する。図7は、180度通電駆動時におけ
る処理内容を示している。まず、ステップS71で、外
乱信号が、その許容変化量を示すしきい値データと比較
される。
【0076】ここで外乱信号とは、上記の負荷トルク変
動を示す信号、電源電圧を示す信号などが挙げられる。
負荷トルクの変動を示す信号としては、トルクセンサの
信号、あるいは図5から明らかなようにモータ電流の振
幅の変動を示す信号、駆動電圧に対するモータ電流の位
相差を示す信号、またはトルク変動に伴って発生する回
転速度変動であってもよい。また、回転速度変動情報を
入力した場合、同期モータの無理な加減速時におけるモ
ータ通電の不良にも対応することが可能になる。また、
電源電圧を示す信号とは、直流電源を抵抗分割した電圧
値などでもよく、AC電源電圧を示す値であってもよ
い。
【0077】さらにこのような外乱信号は、1入力だけ
に留まらず、複数の信号を入力することにより、さらに
厳密にモータ駆動を監視することができる。
【0078】しきい値データには、外乱に対して180
度通電駆動が大きな効率低下を生じない、またはモータ
停止が発生しないような変化量を示す値が設定されてい
る。図5および図6の結果を例に挙げれば、負荷トルク
変動については、モータ回転を維持できる0.5Nmに
対応する値を、直流電源電圧変動については、20Vに
対応する値を設定すればよい。
【0079】なお、しきい値データは、定常回転数、定
常負荷トルクによって異なることがあり、各回転条件に
よって値を切換えるようにすればより効果的な通電駆動
選択を行なうことが可能となる。さらに、定常値に対す
る変動量の割合としてしきい値データを用い、この変動
量としきい値データとを比較するように構成してもよ
い。
【0080】なお、ステップS71の比較処理は、検出
ノイズの影響を除去するために、比較結果が複数回連続
していることを検出するようにすれば信頼性がさらに高
まる。
【0081】ステップS71において外乱信号がしきい
値データを超えていなかった場合には、ステップS72
の処理に移る。ステップS72においては、外乱が少な
く180度通電駆動が可能な状態であるとして、180
度通電駆動を継続する信号を出力する。
【0082】外乱信号がしきい値データを超えていた場
合、ステップS73の処理に移る。ステップS73にお
いては、外乱が大きく180度通電駆動が不可能な状態
であるとして、後述する間欠通電駆動に移行する処理
(切換え)が行なわれる。以上で処理を終了する。
【0083】上記処理の内容を、図19を用いて説明す
る。図19においては、外乱信号として駆動電圧に対す
るモータ電流の位相差情報を使用するものとする。これ
は、位相差によってモータ駆動を制御する場合に、その
位相差情報を外乱信号として使用することができ、効率
的な方法といえるからである。
【0084】図19には、電源電圧が変動したときの電
源電圧波形、モータ電流波形、外乱信号として駆動電圧
に対するモータ電流の位相差情報、モータ外乱監視部6
の出力、および駆動方式選択部7の選択状態を示してい
る。
【0085】外乱発生により位相差情報が変動する。モ
ータ外乱監視部6は、位相差情報が設定されたしきい値
データを超えると、出力を変化させる。駆動方式選択部
7は、モータ外乱監視部6の出力が変化したことを受け
て、駆動方式を選択するための信号を出力する。
【0086】モータ外乱監視部6の最も簡単な構成は、
ある一定期間出力値をホールドする機能を備えた外乱信
号としきい値データとを比較するコンパレータによるも
のであり、さらに比較結果の平均化などを行なう構成な
どを取入れることで高精度化が図れる。なお、後述する
間欠通電駆動から180度通電駆動への復帰についても
同様な構成で処理を行なえばよい。
【0087】次に、現在が間欠通電駆動であるときの処
理状況について説明する。図8は、間欠通電駆動時にお
ける処理内容を示している。ステップS81では、外乱
信号がしきい値データで表わされる値よりも小さくなっ
たか否かが判断される。なお外乱信号、しきい値データ
については、上述したとおりである。
【0088】外乱信号がしきい値データ内に収まらなか
った場合、ステップS82の処理に移る。ステップS8
2では、外乱が大きい状態であると判断して、間欠通電
駆動を継続する信号が出力される。
【0089】外乱信号がしきい値データ内に収まった場
合、ステップS83の処理に移る。ステップS83で
は、外乱が小さい状態であると判断して、後述する18
0度通電駆動に復帰する処理(切換え)が行なわれる。
以上で処理を終了する。
【0090】ここで、しきい値データの別の設定方法お
よびそれによる処理の流れについて説明する。外乱信号
として電源電圧、駆動電圧に対するモータ電流の位相差
などを用いた場合、同期モータ1の回転数、負荷トルク
によって外乱信号の値がその都度変化してしまうことが
ある。これは、たとえば、外乱信号に直流成分遮断フィ
ルタを設けていない時などが考えられる。
【0091】したがって、図19のように定常値をもと
にしきい値データを設定した場合、外乱信号と定常値と
がずれていると正確な外乱が検出できないという不都合
が生じる。
【0092】たとえば、図20に示す例では、a点で大
きな外乱信号の変動が発生しているが、外乱は検出され
ない。また、b点では、小さい外乱であるにも関わらず
外乱が発生したと誤検出してしまう。
【0093】そこで、図21に示すように、外乱信号の
入力ごとに当該入力に対して所定量を加減算して外乱加
減値を算出し、当該外乱加減値を次回の外乱信号入力で
のしきい値データとして使用する。この結果、正確な外
乱発生検出、正確な通電駆動方法の選択が実現できる。
【0094】外乱加減値による処理の流れについて、図
22を用いて説明する。現在が180度通電駆動である
とする。図22を参照して、ステップS221では、外
乱信号Sdとしきい値データ+Sr,−Srとを比較す
る。比較処理の結果、外乱信号Sdがしきい値データを
越えていれば、ステップS73で間欠通電駆動が選択さ
れ、図10の処理が行なわれる。
【0095】一方、外乱信号Sdがしきい値データ内に
入っていれば、ステップS72に移り、180度通電駆
動を継続する。そして、ステップS72またはS73か
らステップS222に移り、外乱信号Sdに所定値Sv
を加減算した外乱加減値を計算し、これを新たなしきい
値データ+Sr,―Srとする。
【0096】図22では、現在が180度通電駆動であ
る場合の処理の流れを示しているが、間欠通電駆動であ
っても同様の処理を行なえばよいことは言うまでもな
い。なお、所定値Svは、たとえば、180度通電駆動
で外乱によって同期モータ1が停止しないような値を実
験的に求めて設定すればよい。
【0097】外乱加減値をしきい値データとする方法
と、図19に示すような定常値から設定したしきい値デ
ータを使用する方法とを併用するようにしておけば、さ
らに効果的である。
【0098】たとえば、外乱信号が定常値からずれてい
るようであれば、図22で説明したような外乱加減値か
らしきい値データを求める方法が有効である。一方、外
乱信号の定常値からのずれが少ないと分かった場合に
は、定常値から設定したしきい値データを使用した方が
外乱加減値の計算処理を省けるので処理が簡素化でき
る。なお、外乱信号と定常値とのずれは、たとえば、外
乱信号を所定回数取込み平均化した値と定常値とを比較
すればよい。
【0099】あるいは、複数の外乱信号を使用して外乱
監視を行なう場合には、定常値からのずれが少ないなど
といった外乱信号の性質によって、どちらのしきい値デ
ータを使用するかを選択するようにしておけば効率的か
つ効果的な処理が実現できる。
【0100】間欠通電駆動時における他の処理の一例に
ついて、図9を用いて説明する。図9に示される処理
は、図8に示されるステップS81に代わり、ステップ
S91の処理を含む。ステップS91では、外乱信号が
発生してから所定時間経過したか否かが検出される。外
乱信号が発生してから所定時間が経過した場合には、ス
テップS83に移り180度通電駆動に復帰する処理
(切換え)が行なわれる。外乱信号が発生してから所定
期間が経過していない場合には、ステップS82に移
り、間欠通電駆動を選択(継続)する。
【0101】一般に、外乱は、瞬時停電・負荷の切換え
など瞬間的に発生し、その後はもとに戻る、または新た
な値を保持することが多い。すなわち、瞬間的な変動が
収まれば、その後は定常状態に復帰する。したがって、
たとえば2秒などの一定期間経過後は、180度通電駆
動に復帰するように処理してもかまわない。
【0102】このように、負荷トルク、回転数、電源電
圧、またはこれらに付随する信号を監視し、これらの信
号の変化量を許容値と比較することにより、適切な駆動
方式、すなわち外乱が少ない定常状態時には180度通
電駆動を、外乱が多い特異状態時には間欠通電駆動を選
択するように処理をする。これにより、高効率、低騒
音、低振動でかつ信頼性の高いモータ運動を実現するこ
とができる。
【0103】続いて、間欠通電駆動への移行処理ステッ
プS73、および180度通電駆動への復帰処理ステッ
プS83について説明する。図10は、図7に示される
180度通電駆動から間欠通電駆動へ移行するステップ
S73における処理を示している。ステップS101で
は、同期モータの全コイル端子への通電をオフする。こ
れは、180度通電駆動では休止期間がないためコイル
端子からは正確な逆起電圧が検出できなかったが、全コ
イル端子をオフすることで純粋な逆起電圧を検出して正
確なモータ回転位置を検出するためである。
【0104】ステップS102では、逆起電圧を検出
し、逆起電圧パルスの入力を検出する。そして、パルス
入力があるまで逆起電圧の検出を繰返す。
【0105】なお、180度通電駆動によるコイル端子
電圧の影響を完全になくして正確な回転位置検出を行な
うため、パルス入力を2回程度検出し、2回目の検出を
正確なパルス検出とすることで正確性を高めることがで
きる。検出回数を増加させるほど正確性は高まるが、こ
の間はモータ通電をオフしている。このため、検出回数
を増加させすぎるとモータが停止してしまうことも懸念
される。実験的には、2回程度の検出が最適であった。
【0106】逆起電圧パルスが検出された場合、ステッ
プS103の処理に移る。ステップS103では、逆起
電圧パルスに応じて、図3や図4に示されるような波形
で通電相を切換えていく間欠通電駆動を選択し、同期モ
ータを駆動する。以上で処理を終了する。
【0107】なお、効率を向上させるなどの目的で通電
タイミングを逆起電圧パルスから進ませる/遅らせる場
合には、調整後の逆起電圧パルスを使用して上記処理を
行なえばよい。
【0108】なお、移行時における駆動電圧(PWMデ
ューティ)基準値は、180度通電駆動時の値を考慮し
て設定すればよい。
【0109】低速時においては、回転速度に比例して発
生する逆起電圧が低いため正確に移行できないことが考
えられる。しかしながら、間欠通電駆動への移行直後の
駆動を、駆動電圧(PWMデューティ)基準値を高く設
定し、高速回転にすることでこの問題を回避することが
できる。あるいは、極低速域では、間欠通電駆動への移
行が非常に困難になるため、同期モータによっては移行
を禁止することも必要である。
【0110】実験によると、移行直後に高速回転が必要
な回転数は500〜1000rpmであり、移行が困難
となる極低速回転数は500rpm以下であった。な
お、この回転数は逆起電圧の振幅、S/Nなどに左右さ
れるため、これらを考慮して設定することが望ましい。
【0111】180度通電駆動から間欠通電駆動への移
行を実験した結果について、図11に示すモータ電流波
形を用いて説明する。本実験では、回転数は3000r
pm、負荷トルクは1.5Nmであった。外乱であるイ
ンバータ回路2の電源電圧変動の発生に応じて、間欠通
電駆動に移行させたときの各種波形を示している。な
お、間欠通電駆動として120度通電駆動を使用してい
る。
【0112】図11に示されるように、移行時において
は、すべてのコイル端子への通電がオフされ、確実に間
欠通電駆動へ移行していることがわかる。このように、
全コイル端子への通電を休止する期間を設けることで、
逆起電圧の正確な検出が可能となり、間欠通電駆動への
移行処理が確実に行なえ、信頼性を高めることができ
る。
【0113】次に、図8および図9における間欠通電駆
動から180度通電駆動へ復帰するステップS83の処
理について、図12を用いて説明する。ステップS12
1では、通電タイミングから現在の通電位相を算出す
る。これは、たとえば120度通電駆動であれば、U相
コイル端子からV相コイル端子へ通電を開始した時点で
は、正弦波波形が正弦波位相で何度に相当するかを計算
することで求めることができる。
【0114】ステップS122では、計算された位相で
正弦波データを設定する。ステップS123では、一度
すべてのコイル端子への通電をオフする。これは、復帰
時に通電を切換えるに際して、間欠通電駆動の影響を完
全に除去するためである。
【0115】ステップS124では、180度通電駆動
を選択して復帰処理を終了する。なお、復帰時における
駆動電圧(PWMデューティ)基準値は、間欠通電駆動
時の値を考慮して設定すればよい。
【0116】間欠通電駆動から180度通電駆動への移
行を実験した実験結果について、図13を用いて説明す
る。本実験では、回転数は3000rpm、負荷トルク
は1.5Nmであった。間欠通電駆動には、120度通
電駆動を使用している。図13には、外乱が減少あるい
は所定時間が経過したことに対して、180度通電駆動
に復帰したときのモータ電流波形を示している。
【0117】図13に示されるように、復帰時において
は位相情報が引き継がれ、正確な位相で確実に180度
通電駆動に復帰していることがわかる。
【0118】このように、間欠通電駆動の位相情報を計
算して、180度通電駆動の通電位相の設定の際にこれ
を参考にすることで、モータ駆動動作の信頼性を高める
ことができる。
【0119】ところで、モータ外乱監視部6での外乱信
号としきい値データとの比較処理(すなわち外乱検出)
を上記したようにPWMキャリア周期ごとに行なうこと
で、早急な外乱検出が実現される。しかしながら、モー
タ回転に同期した負荷トルク変動などの外乱が発生して
いる場合には、モータ回転に同期して外乱検出を行った
方が正確な検出が行なえる。
【0120】エアコン用コンプレッサ駆動用モータを例
にとると、シングルロータリーコンプレッサなどではモ
ータの1回転に同期した負荷トルク変動が非常に大きく
発生することが知られている。
【0121】これら負荷トルク変動はモータ回転中に定
常的に発生するものであり、モータ駆動が停止してしま
うものではないことが多く、これら負荷トルク変動を外
乱とみなしてしまうと本来の外乱に対する処理に影響を
及ぼし、不要な通電駆動方法の切換えが生じてしまう。
【0122】モータ回転に同期して変動する外乱信号と
定常値に基づき設定したしきい値データとの関係を、図
23に示す。図23に示す場合、負荷トルク変動により
外乱信号がしきい値データ内で変化してしまい、外乱検
出の正確性が低下してしまう。したがって、しきい値デ
ータ作成時にこの負荷トルク変動分を考慮しなくてはな
らず、余計な処理が必要となってしまう。
【0123】また、このような負荷トルク変動を有する
ものは、負荷トルクが変動する箇所もモータ回転に同期
していることが多く、PWMキャリア周期毎に外乱検出
を行なわなければならない事は少ない。たとえば、図2
3に示す場合であれば、負荷トルク変動がピークとなる
点P(変動ピーク点)は、負荷トルク変動が顕著に発生
する箇所であるので、この変動ピーク点Pで外乱検出を
することで効率的な外乱検出ができる。
【0124】次に示すモータ制御装置は、これらに着目
したもので外乱検出をモータの回転に同期させて行な
う。モータ回転に同期した外乱検出を行なうモータ制御
装置の一例を、図24を用いて説明する。図24に示す
モータ制御装置は、モータ外乱監視部6に代わりモータ
外乱監視部61を含む。
【0125】モータ外乱監視部61には、モータ回転の
特定の位置を示す信号を含むモータ回転情報が入力され
ている。モータ外乱監視部61では、モータ回転情報に
したがって外乱検出を行なう。これにより、正確な外乱
検出を実現する。
【0126】好ましくは、当該モータ回転情報として、
図23の変動ピーク点Pを示す場所に対応した情報を入
力すれば、外乱検出の正確性が向上できる。あるいは、
モータ回転情報をもとに外乱信号を同期モータ1の1回
転分取込み、外乱信号のピーク点を検出し、このピーク
点で外乱検出しても同様に正確な外乱検出が実現でき
る。
【0127】なお、モータ回転情報として、同期モータ
1の回転軸に取付けたセンサの出力するセンサ信号を用
いてもよいし、モータ電流、モータ駆動電圧などモータ
駆動に使用している情報を使用すれば新たな回路を追加
する必要がなく、コストアップを防ぐことができる。
【0128】上述したモータ回転に同期した負荷トルク
変動などに対しては、次の図25に示す構成を用いても
効果的である。モータ回転に同期し外乱検出を行なうモ
ータ制御装置の他の一例を、図25を用いて説明する。
図25に示すモータ制御装置は、モータ外乱監視部61
と外乱信号とモータ回転情報とを入力に受ける外乱平均
部12とを含む。
【0129】外乱平均部12は、同期モータ1のn回転
分(nは、1以上の整数)の外乱信号を平均化する。外
乱平均部12で外乱信号をモータの回転に同期して平均
化し、この平均化した値をモータ外乱監視部61に入力
して、上記と同様の外乱検出処理を行なう。
【0130】外乱信号を平均化することにより、モータ
1の回転中の変動を除去することができる。これによ
り、上記した場合と同様に正確な外乱検出が実現でき
る。
【0131】以上説明したモータ外乱監視部6、61に
よる外乱検出は、モータ回転中、常に行なうものである
が、モータ運転の状況によっては外乱検出を行なわない
ほうが望ましい場合もある。
【0132】ここで、外乱信号としてモータ電流を用い
た場合の外乱検出状況について、図26を用いて説明す
る。図26では、定常値をもとに設定したしきい値デー
タとモータ電流(外乱信号)との関係が示されている。
図中、期間T1では、モータ回転が加速中であり、期間
T2では、モータ回転が減速中である。外乱信号が変動
している箇所があるが、これはモータ回転を上昇(すな
わち加速)あるいは下降(すなわち減速)させた箇所で
ある。
【0133】通常、モータ回転を加減速させるとモータ
電流が変化することが知られている。加速時には、現回
転数で回転を持続しようとするモータイナーシャに打ち
勝って回転を上昇させるために定常時に比べて多くのモ
ータ電流が必要になる。逆に、減速時には、モータは現
回転数で回転を持続しようとするためモータ電流を定常
時より落として回転数を下げている。
【0134】したがって、モータ回転を加減速させると
図26のようなモータ電流の変動が発生してしまい、外
乱検出の誤検出が発生してしまうのである。
【0135】なお、当然ながらモータ回転加減速時にし
きい値データを新たに設定してもよい。しかしながらモ
ータ回転加減速時の外乱信号の変動は制御系の特性など
と深く関わっており,正確なしきい値データの設定は困
難である。
【0136】そこで、次に示すモータ制御装置はこれら
に着目したものでモータ回転の加減速中に外乱検出処理
をオフさせる。モータ回転の加減速中に外乱検出処理を
オフさせるモータ制御装置の一例を、図27を用いて説
明する。図27に示すモータ制御装置は、モータ外乱監
視部6に代わりモータ外乱監視部62を含む。
【0137】モータ外乱監視部62には、モータ回転速
度指令が入力されている。モータ外乱監視部62は、モ
ータ回転速度指令に変化があった場合にモータ回転の加
減速が起こっていると判断して外乱検出処理をオフす
る。
【0138】モータ回転速度指令は、モータ駆動で使用
している目標回転数情報を用いればよい。これによっ
て、正確な外乱検出が実現できる。
【0139】次に、間欠通電駆動部8によるモータ駆動
の代表的な構成について、図14を用いて説明する。図
14において、141は、モータコイル端子の信号をフ
ィルタリングし、基準電圧比較を行なって同期モータ1
の回転位置を検出する磁極位置検出部、142は、同期
モータ1の目標回転数情報を格納する目標速度情報格納
部、143は、磁極位置検出部141の周期情報と目標
速度情報格納部142の目標周期情報との誤差を計算す
る加算器、144は、加算器143の出力する誤差を増
幅する速度制御ゲイン部である。
【0140】速度制御ゲイン部144の出力はPWMデ
ューティ基準値として、磁極位置検出部141の位置信
号は通電タイミングとして、PWM作成/各相分配部1
1に入力される。インバータ回路2は、PWM作成/各
相分配部11から駆動信号を受ける。これに基づき同期
モータ1が駆動される。
【0141】120度通電駆動の場合、図3に示される
ように各モータコイル端子には休止期間が存在し、この
休止期間にはモータロータの永久磁石の移動・回転によ
って逆起電圧が発生する。この休止期間中に現れる逆起
電圧波形は通電タイミングによってずれている。したが
って、モータコイル端子からモータ回転位置であるモー
タロータの磁極位置を検出することが可能となる。
【0142】磁極位置検出部141におけるフィルタリ
ングとしては、1次遅れのローパスフィルタを、電圧比
較としてはモータコイル端子の中間電位との比較を行な
うことが簡単かつ確実である。進み位相あるいは遅れ位
相で通電を行なう場合、磁極位置検出信号パルスをタイ
マなどでカウントして、所望の通電タイミングを求めて
位置信号として出力する。磁極位置検出部141は、フ
ィルタリングなどの複雑な処理が必要であり、電圧変換
も必要であることから、制御マイコン5内で行なわず外
部の回路で構成してもよい。
【0143】磁極位置検出部141は、上述した構成に
限定されず、フィルタリングを行なわずにモータコイル
端子信号をそのまま基準電圧と比較し、PWM成分、ノ
イズ成分を除去して、モータ回転位置を検出するように
構成してもよい。
【0144】このような間欠通電駆動部8を用いること
により、モータコイル端子に発生する逆起電圧から確実
にモータ回転位置を検出することができるため、信頼性
の高いモータ駆動が実現できる。
【0145】続いて、180度通電駆動部9によるモー
タ駆動の構成を、図15を用いて説明する。上述したよ
うに、180度通電駆動では、モータ電流の演算による
もの、中性点を利用するもの等があるが、図15に示さ
れる駆動電圧とモータ電流との位相差に基づく、いわゆ
る位相差制御は構成および処理が簡単であり、低コスト
化が実現できるという利点を有している。
【0146】ところで、位相差制御では、処理の簡単な
モータ電流のゼロクロスを検出する方式が一般的である
が、図15を用いて説明する方式によれば、ゼロクロス
検出よりも信頼性が高く、確実な駆動を実現することが
できる。
【0147】図15において、151は、モータコイル
端子U相、V相、W相の各相の中での特定相(図におい
ては、U相)に流れるモータ電流を検出する電流セン
サ、152は、検出されたモータ電流を、所定量増幅お
よびオフセット計算してモータ電流信号を出力するモー
タ電流検出アンプ部である。この電流センサ151、モ
ータ電流検出アンプ部152は、制御マイコン5内で構
成するより、外部回路で構成した方が簡易的であるし、
実用的である。153は、モータ電流信号を所定のタイ
ミングでアナログ/デジタル変換して取込み、位相差情
報を算出して出力する位相差検出部、154は、目標と
する位相差情報(目標位相差情報)を格納した目標位相
差情報格納部である。
【0148】位相差検出部153は、2つのモータ駆動
電圧位相期間ごとにモータ電流を複数回サンプリングし
て積算し、各位相期間におけるモータ電流信号面積を算
出する。そして、位相差情報として、これらモータ電流
信号面積の面積比を算出し、出力する。
【0149】回転条件やモータ電流のひずみによって最
高効率の通電タイミングが変化するので、目標位相差情
報は、回転条件等によって随時設定できるように構成さ
れることが好ましい。
【0150】図15に示される155は、目標位相差情
報と位相差検出部153から出力される位相差情報との
誤差データを算出する加算器、156は、加算器155
において算出された誤差データに対して比例誤差データ
および積算誤差データを算出しデューティ基準値を出力
するPI演算部である。PI制御を用いることにより、
位相差の残留誤差をゼロに制御することができる。
【0151】さらに図15において、157は、同期モ
ータの回転数指令を設定する回転数設定部、158は、
所定のデータ個数で構成された正弦波データテーブル、
159は、正弦波データ作成部である。正弦波データ作
成部159は、回転数指令と時間経過とに従って正弦波
データテーブル158からモータコイル端子U相、V
相、W相の各相に対応した正弦波データを読出し、U相
の正弦波データからU相のモータ駆動電圧位相情報を出
力する。
【0152】電流センサ151の一例としては、コイル
素子とホール素子とで構成された、いわゆる電流センサ
でもよく、またカレントトランス等であってもよい。ま
た、本発明の実施の形態では、複数相のうちの1の特定
相(U相)についてモータ電流を検出しているが、これ
に限定されず、各相のモータ電流を検出するように構成
してもよい。この場合、さらに高精度のモータ駆動を実
現することが可能となる。
【0153】正弦波データは、予め格納した正弦波デー
タテーブル158に基づき作成せずに、演算によって作
成するようにしてもよい。
【0154】また、図15においては、180度通電駆
動として、正弦波通電駆動の場合の構成を示した。正弦
波通電駆動によると、正弦波波形を用いることにより滑
らかなモータ電流の供給が可能となるため、振動、騒音
を少なくすることができる。しかしながら、駆動波形は
正弦波形に限定されず、モータロータの磁束分布に合わ
せたモータ電流が得られるような駆動波形通電を用いれ
ば、より高効率の駆動が可能となる。
【0155】上述したように、位相差検出部153にお
いては、2つのモータ駆動電位位相期間で検出された2
つのモータ電流信号面積の面積比を計算し、この結果を
位相差情報として出力する。位相差検出部153から出
力される位相差情報と、目標位相差情報との誤差量に対
し、PI演算が行なわれる。PWM作成/各相分配部1
1では、PI演算部156の出力であるデューティ基準
値と、別途回転数指令から求められる正弦波データとか
ら、その都度の出力デューティを計算する。このように
して計算された値によりインバータ回路2を介してモー
タコイルを制御することにより、同期モータ1を駆動す
る。
【0156】すなわち、図15に示される構成は、モー
タ駆動電圧(出力デューティ)に対するモータ電流位相
差を一定に制御するための位相差制御フィードバックに
よって、駆動電圧の大きさ(PWMデューティのデュー
ティ幅)を決定し、同期モータ1を所望の回転数で回転
させるために所望の周波数で出力される正弦波データに
よって回転数を決定する。これによって、所望の位相差
および所望の回転数でモータを駆動・制御することがで
きる。
【0157】なお、起動は、各相に強制的に通電し回転
磁界を与えていく、強制励磁で行ない、通常駆動時には
上記手法により制御を行なえばよい。また、上述のよう
に位相差を制御してもよい。
【0158】ここで、上述した位相差制御により同期モ
ータ1が駆動・制御できることを、IPM(Interior P
ermanent Magnet)モータでの実験結果をもとに説明す
る。
【0159】永久磁石をロータ内部に詰込んだ形状のい
わゆるIPMモータの場合、磁石磁束とコイル電流とに
伴って発生する、いわゆるマグネットトルクと、ロータ
形状によってモータコイルのインダクタンスが変化する
ことを利用したリダクタンストルクとを利用する。マグ
ネットトルクとリダクタンストルクとの和が最大となる
ロータとステータとの相対位置は、回転条件によって変
化する。このIPMモータを高効率に駆動させるために
は、前記ロータとステータとの相対位置を検出し、最適
な位置関係でモータコイルに通電を行なうための通電タ
イミングの最適化が必要である。また同期モータの場
合、効率を考えず単に駆動させる場合でも通電タイミン
グをある範囲の値にしておかなければ、ブレーキトルク
が発生してモータが停止してしまうことがある。たとえ
ば、間欠通電駆動では、ロータとステータとの相対位置
を検出するために逆起電圧を利用している。
【0160】本発明の実施の形態による位相差制御に基
づき同期モータを駆動させた実験における実験結果につ
いて、図16を用いて説明する。図16における縦軸は
位相差情報、横軸はモータ回転位置を示すエンコーダで
測定したロータとステータとの相対位置に対応してい
る。本実験の回転条件は、回転数が1000rpmであ
り、負荷トルクが15kgf・cmであった。
【0161】本発明の実施の形態による位相差制御は、
直接ロータとステータとの相対位置を検出するものでは
ない。しかしながら、図16に示されるように、位相差
情報と、ロータとステータとの相対位置との関係は、ほ
ぼ比例関係にあることがわかる。したがって、位相差情
報を所定の値に制御することで、間接的にロータとステ
ータとの相対位置を制御することができることになり、
目標とする位相差情報を最適化することで最高の効率が
得られる通電タイミングでモータを駆動することができ
ることがわかる。
【0162】図16と同様の実験条件において、駆動電
圧(PWMデューティ基準値)と位相差情報との関係を
測定した結果を、図17を用いて説明する。図17にお
いて、縦軸は位相差情報、横軸はモータ駆動電圧(デュ
ーティ基準値)に対応している。図17に示されるよう
に、位相差情報とモータ駆動電圧とはほぼ比例関係にあ
ることがわかる。したがって、駆動電圧(PWMデュー
ティ基準値)を増減することにより、位相差情報が制御
できることがわかる。
【0163】すなわち、一定の回転数時に駆動電圧(デ
ューティ基準値)を増減させると電流/電圧位相差(位
相差情報)が変化するのであり、本発明の実施の形態の
構成により位相差情報によって駆動電圧(デューティ基
準値)を増減させる位相差制御フィードバックループが
有効であることがわかる。
【0164】また、上記実験結果から、実際のモータ電
流は純粋な正弦波でなく歪み成分が重畳されているにも
かかわらず、位相差制御が可能であることがわかる。さ
らに、2つの位相期間におけるモータ電流信号面積比に
基づく位相差情報の検出精度は、充分であることがわか
る。また、ゼロクロスなどのモータ電流のある1点を検
出するような位相差検出方法に比べ、上記課題が解消さ
れ、検出精度が高まることは言うまでもない。
【0165】なお、これらの実験結果の各特性はほぼ比
例と見られるが、厳密には完全な直線上にデータが乗る
わけではない。これは、測定誤差の他にモータ電流の歪
みが原因になるためと考えられる。このため、位相差制
御系の制御系ゲインが位相差の値によって変化してしま
うが、この非線形性を見越して制御系としてのゲインを
設定すればよく、位相差の値によって制御系のゲインを
変更すればさらに高精度な制御系が構成できる。
【0166】また、回転条件によっても各特性の傾きが
変化することが考えられるが、回転条件による制御系ゲ
インの変化量を見越して制御系を構成すればよく、回転
条件によって制御系のゲインを変更すればさらに高精度
な制御系が構成できる。
【0167】なお、本実験においては、モータ電流検出
アンプ部152として反転増幅器を使用した。
【0168】次に、位相差制御における回転数の設定に
ついて正弦波データテーブルを使用して設定する方法と
PWM出力とについて説明する。
【0169】本発明の実施の形態による位相差制御方式
は、逆起電圧パルスなどを検出して、速度制御を行なう
方式とは異なり、モータ回転数は、モータコイルに通電
する正弦波電圧(PWM)の周波数で決定される、いわ
ゆる強制励磁駆動である。
【0170】正弦波データテーブル158には、連続的
にD/A出力すると正弦波波形が出力されるデータ列が
格納されている。たとえば、1周期分が360個の正弦
波データで構成されているとすると、それぞれの正弦波
データは電気角で1度ごとに対応する値となる。以下、
正弦波データテーブルについては、1周期分として36
0個の正弦波データが格納されているものとし、PWM
キャリア周波数は3kHzとし、また1相について正弦
波2周期で同期モータ1が1回転するものとする。
【0171】正弦波180度通電の場合、モータ駆動電
圧(出力デューティ)を正弦波波形にする必要があるた
め、PWMキャリア周期ごとに正弦波データを更新する
必要がある。また、同期モータ1回転分には、360×
2=720回の更新が必要である。
【0172】ここで、PWMキャリア周期ごとに正弦波
データテーブルの参照データを1づつ更新していくとす
れば、PWMキャリア周期は1/3000=0.333
msecなので、1回転には720×0.333=0.
24secが必要であり、約250rpmの回転数で回
転することになる。つまり、モータ回転数は、モータの
構造的なものを除外すると、PWMキャリア周波数と正
弦波データテーブルの参照データの更新間隔とで決ま
る。また、たとえばコイル相数が3相であれば、それぞ
れの相のデータは、電気角で120度づつずらした正弦
波データを参照すればいい。なお、その都度正弦波演算
を行って、正弦波データを作成してもよい。
【0173】求まった各相ごとの正弦波データは、位相
差制御によって算出されたデューティ基準値と乗算され
る。いわゆるPWM波形発生器などのPWM作成部は、
乗算された値を受けて、PWM波形を出力する。PWM
波形発生器は、たとえばPWMキャリア周期で三角波を
作成し、この三角波の波高値と前記乗算された値とを比
較し、比較結果に基づいてハイ/ロウ出力する。
【0174】このPWM波形発生器は、専用のICで用
意されている、あるいは制御用マイコンの機能として設
けられていることが多く、これらを利用することで各駆
動素子に対応したPWM波形が簡単に得られる。
【0175】続いて、位相差情報の検出からデューティ
基準値の算出までの処理、構成について説明する。
【0176】図18は、位相差情報の検出について説明
するための図である。U相のモータ電流はゼロレベルを
中心としたほぼ正弦波状の波形とする。このモータ電流
をモータ電流検出アンプ部152によって増幅、オフセ
ット設定して、モータ電流信号を作成する。これは、モ
ータ電流を、図示しないA/D変換器の変換可能電圧範
囲(たとえば、0V〜+5V)に合せるために行なわれ
る。
【0177】また、U相のモータ駆動電圧位相情報は、
正弦波データ作成部159においてU相の正弦波データ
から作成される。なお、モータ駆動電圧位相情報は、実
際には正弦波波形とする必要はなく、位相情報だけが分
かっていればよい。
【0178】位相差検出部153には、図18のような
モータ電流信号およびモータ駆動電圧位相情報が入力さ
れる。位相差検出部153では、モータ駆動電圧位相情
報から、あらかじめ決定された所定の位相期間におい
て、所定のサンプリング位相(サンプリングタイミン
グ)で、1位相期間あたりn回(図18の場合、2
回)、モータ電流信号をサンプリングする。
【0179】たとえば、位相期間θ0であれば、サンプ
リングタイミングs0、s1で、モータ電流信号(I
0、I1)をサンプリングする。位相期間θ1であれ
ば、サンプリングタイミングs2、s3で、モータ電流
信号(I2、I3)をサンプリングする。位相期間θ2
であれば、サンプリングタイミングs4、s5で、モー
タ電流信号(I4、I5)をサンプリングする。位相期
間θ3であれば、サンプリングタイミングs6、s7
で、モータ電流信号(I6、I7)をサンプリングす
る。
【0180】たとえば、あらかじめ決定された所定の位
相期間をθ0、θ1とすると、位相期間θ0、θ1のそ
れぞれにおいて、サンプリングされた電流サンプリング
データを積算し、モータ電流信号面積Is0、Is1を
算出する(Is0=I0+I1、Is1=I2+I
3)。
【0181】そして、各モータ電流信号面積Is0、I
s1の比を計算して。これを位相差情報とする。サンプ
リングタイミングs0〜s3の間隔を一定にすることで
処理を簡素化することができる。
【0182】なお、あらかじめ決定された所定の位相期
間がθ2、θ3であれば、位相期間θ2、θ3のそれぞ
れにおいて、サンプリングされた電流サンプリングデー
タを積算し、モータ電流信号面積Is2、Is3を算出
する(Is2=I4+I5、Is3=I6+I7)。そ
して、各モータ電流信号面積Is2、Is3の比を計算
する。
【0183】位相期間は、図18に示されるとおり、駆
動電圧電気角90度、またあるいはその反転である27
0度を中心としたほうが、目標値の設定などで有利であ
る。なお、位相差情報は複数回平均化したほうが信頼性
が高くなる。
【0184】このように、180度通電駆動の駆動方式
として、モータ駆動電圧とモータ電流との位相差を検出
する構成とすることで、処理、回路を簡単に実現するこ
とができる。また、モータ電流の面積を求め、その比に
よって位相差情報を求めることで、信頼性の高い位相差
検出が実現できる。さらに、この面積比検出において、
複数回のサンプリングで得られるモータ電流サンプリン
グデータを用いることで、信頼性の高い位相差検出を簡
単な処理で実現することができる。
【0185】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した実施の形態の説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0186】
【発明の効果】このように、本発明によるモータ制御装
置によれば、180度通電駆動と間欠通電駆動とを外乱
によって適切に切換えることができる。これにより、定
常状態時には、高効率、低騒音、低振動のモータ駆動を
実現し、特異状態時には、モータ停止などの不具合を生
じさせず、信頼性の高いモータ駆動を実現することがで
きる。
【0187】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、間欠通電駆動手段の通電角を120度通電駆動とす
る。これにより、各相に供給する駆動電圧波形が作成し
やすくなる。また、逆起電圧の検出間隔も長くなるた
め、検出の信頼性が向上する。
【0188】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、瞬時停電をはじめとする電源電圧の変動を監視し、
この変動を外乱発生と判断して、適切な駆動方式に切換
える。これにより、電源電圧変動によって発生してしま
うモータ停止などの不具合を防止し、信頼性の高いモー
タ駆動を実現できる。
【0189】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、モータ回転数の変動を監視し、この変動を外乱発生
と判断して、適切な駆動方式に切換える。これにより、
回転数変更または変動などに伴うモータ停止などの不具
合を防止し、信頼性の高いモータ駆動を実現できる。
【0190】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、負荷トルクの変動を監視し、この変動を外乱発生と
判断して、適切な駆動方式に切換える。これにより、負
荷トルク変動に伴うモータ停止などの不具合を防止し、
信頼性の高いモータ駆動を実現できる。
【0191】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、モータ電流の変動を監視し、この変動を外乱発生と
判断して、適切な駆動方式に切換える。これにより、モ
ータ電流の変動に伴うモータ停止などの不具合を防止
し、信頼性の高いモータ駆動を実現できる。
【0192】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、駆動電圧とモータ電流との位相差の変動を監視し、
この変動を外乱発生と判断して、適切な駆動方式に切換
える。これにより、位相差の変動に伴うモータ停止など
の不具合を防止し、信頼性の高いモータ駆動を実現でき
る。
【0193】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、同期モータの駆動に影響を及ぼす外乱、または外乱
に起因して変化する信号の変動を監視し、この変動を外
乱発生と判断して、適切な駆動方式に切換えることがで
きる。これにより、各種外乱の変動などに伴うモータ停
止などの不具合を防止し、信頼性の高いモータ駆動を実
現できる。
【0194】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、外乱の少ない定常状態では、高効率、低騒音、低振
動、かつ運転性能の高い180度通電駆動を、外乱が大
きい特異状態では、モータ停止などが少なく信頼性の高
い間欠通電駆動を選択することで、モータ駆動の高効
率、低振動、低騒音、高信頼性を実現することができ
る。
【0195】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、どのような回転条件でモータが駆動されていても、
的確に駆動方式を切換えることができ、駆動切換えの信
頼性を高めることができる。
【0196】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、確実に駆動方式を切換えることができるので、駆動
切換えの信頼性を高めることができる。
【0197】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、逆起電圧を検出することができる、間欠通電駆動の
通電タイミング検出が確実になる。このため、モータ駆
動の信頼性を高めることができる。
【0198】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、ゼロクロス検出よりも簡単な処理・かつ構成で位相
差情報を検出することができる。ノイズやモータ電流の
変動に対して誤動作を少なくすることができる。また、
モータ電流の面積を求め、その比によって位相差情報を
求めることで、信頼性の高い位相差検出が実現できる。
特に、この面積比検出において、複数回のサンプリング
で得られるモータ電流サンプリングデータを用いること
で、信頼性の高い位相差検出を簡単な処理で実現するこ
とができる。
【0199】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、モータ外乱監視手段に入力された外乱または外乱信
号に所定量を加算および減算した結果得られる外乱加減
算を、次回の外乱あるいは外乱信号入力時の判定におけ
るしきい値データとして使用することができる。したが
って、外乱信号が定常値からずれているような場合、定
常値をもとにしたしきい値データより正確な外乱検出が
実現できる。これにより、信頼性の高いモータ駆動が実
現できる。
【0200】また、本発明によるモータ制御装置によれ
ば、モータ外乱監視手段における定常状態または特異状
態の判定タイミングを、モータ回転に同期させることが
できる。したがって、モータ1回転中における外乱変動
が大きい場合であっても、正確な外乱検出が実現でき
る。これにより、信頼性の高いモータ駆動が実現でき
る。
【0201】さらに、本発明によるモータ制御装置によ
れば、モータ加減速時の外乱検出をオフすることで外乱
検出の誤検出を防止でき、正確な外乱検出が実現でき
る。これにより、信頼性の高いモータ駆動が実現でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態によるモータ制御装置に
ついて説明するための図である。
【図2】 180度通電駆動の一例である正弦波通電の
駆動波形を示す図である。
【図3】 間欠通電駆動の一例である矩形波120度通
電の駆動波形を示す図である。
【図4】 間欠通電駆動の他の一例である150度通電
駆動の駆動波形を示す図である。
【図5】 トルク変動を発生させるパルスを与えたとき
のモータ電流波形を示す図である。
【図6】 インバータ回路2の直流電源電圧の変動に対
するモータ電流波形を示す図である。
【図7】 間欠通電駆動時におけるモータ外乱監視部6
および駆動方式選択部7の処理の流れを示すフローチャ
ートである。
【図8】 間欠通電駆動時におけるモータ外乱監視部6
および駆動方式選択部7の処理の流れを示すフローチャ
ートである。
【図9】 間欠通電駆動時におけるモータ外乱監視部6
および駆動方式選択部7の処理の流れを示すフローチャ
ートである。
【図10】 180度通電駆動から間欠通電駆動へ移行
する処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】 180度通電駆動から間欠通電駆動への移
行を実験した実験結果を示す図である。
【図12】 間欠通電駆動から180度通電駆動へ復帰
する処理の流れを説明するためのフローチャートであ
る。
【図13】 間欠通電駆動から180度通電駆動への移
行を実験した実験結果を示す図である。
【図14】 間欠通電駆動部8の具体的な構成の一例に
ついて説明するための図である。
【図15】 180度通電駆動部9の具体的な構成の一
例について説明するための図である。
【図16】 位相差制御に基づき同期モータを駆動させ
る実験で得られた実験結果を示す図である。
【図17】 駆動電圧(PWMデューティ基準値)と位
相差情報との関係を測定した実験の実験結果を示す図で
ある。
【図18】 位相差情報検出について説明するための図
である。
【図19】 電源電圧が変動した場合のモータ外乱監視
部6の出力と駆動方式選択部7の出力とを説明するため
の図である。
【図20】 外乱信号が変動した場合における外乱信号
と定常値をもとに設定したしきい値データとの関係を示
す図である。
【図21】 外乱信号が変動した場合における外乱信号
と外乱加減値(しきい値データ)との関係を示す図であ
る。
【図22】 外乱加減値を基準とした外乱検出処理の流
れを説明するためのフローチャートである。
【図23】 モータ回転に同期した変動を持つ外乱信号
と定常値に基づき設定したしきい値データとの関係を示
す図である。
【図24】 本発明の実施の形態によるモータ回転に同
期した外乱検出を行なうモータ制御装置の構成例を示す
図である。
【図25】 本発明の実施の形態によるモータ回転に同
期した外乱検出を行なうモータ制御装置の他の構成例を
示す図である。
【図26】 定常値をもとに設定したしきい値データと
モータ電流(外乱信号)との関係を示す図である。
【図27】 本発明の実施の形態によるモータ回転の加
減速中に外乱検出をオフするモータ制御装置の構成例を
示す図である。
【符号の説明】
1 同期モータ、2 インバータ回路、3 コンバータ
回路、4 AC電源、5 制御マイコン、6,61,6
2 モータ外乱監視部、7 駆動方式選択部、8 間欠
通電駆動部、9 180度通電駆動部、10 スイッ
チ、11 PWM作成/各相分配部、12 外乱平均
部、141 磁極位置検出部、142 目標速度情報格
納部、143 加算器、144 速度制御ゲイン部、1
51 電流センサ、152 モータ電流検出アンプ部、
153 位相差検出部、154 目標位相差情報格納
部、157 回転数設定部、158 正弦波データテー
ブル、159 正弦波データ作成部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H560 BB04 BB07 BB12 DA13 DC01 DC02 DC03 DC13 EB01 EC01 EC02 EC07 EC10 RR01 RR04 SS07 UA02 XA02 XA12

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 永久磁石が装着されたロータにより構成
    されている同期モータと前記同期モータを駆動する駆動
    手段とを、位置センサレスで駆動および制御するモータ
    制御装置において、 前記同期モータを、180度通電駆動するための180
    度通電駆動手段と、 前記同期モータを、通電休止期間を設けた通電角180
    度未満の間欠通電駆動するための間欠通電駆動手段と、 前記同期モータまたは前記駆動手段の外乱を監視するモ
    ータ外乱監視手段と、 前記モータ外乱監視手段の出力に応じて、前記同期モー
    タの駆動方式を前記180度通電駆動とするか、または
    前記間欠通電駆動とするかを選択する駆動方式選択手段
    とを備える、モータ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記間欠通電駆動手段の通電角は、12
    0度であることを特徴とする、請求項1に記載のモータ
    制御装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動手段は、 前記同期モータを駆動するインバータと、 前記インバータに対して設けれる、交流電源電圧を供給
    するための交流電源供給部とを含み、 前記モータ外乱監視手段は、 前記インバータにおける直流電源電圧または前記交流電
    源供給手段により供給される交流電源電圧を監視するこ
    とを特徴とする、請求項1または2に記載のモータ制御
    装置。
  4. 【請求項4】 前記モータ外乱監視手段は、 前記同期モータの回転数を監視することを特徴とする、
    請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  5. 【請求項5】 前記モータ外乱監視手段は、 前記同期モータのトルクを監視することを特徴とする、
    請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  6. 【請求項6】 前記モータ外乱監視手段は、 前記同期モータのモータ電流を監視することを特徴とす
    る、請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  7. 【請求項7】 前記モータ外乱監視手段は、 前記同期モータの特定相の駆動電圧と前記同期モータの
    モータ電流との位相差を監視することを特徴とする、請
    求項1または2に記載のモータ制御装置。
  8. 【請求項8】 前記モータ外乱監視手段は、 前記同期モータの駆動に影響を及ぼす外乱、または前記
    外乱と同期して変化する外乱信号のうち、いずれか1つ
    以上の前記外乱または前記外乱信号を監視することを特
    徴とする、請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  9. 【請求項9】 前記モータ外乱監視手段は、 定常状態であるか、特異状態であるかを検出し、 前記駆動方式選択手段は、 前記モータ外乱監視手段において前記定常状態が検出さ
    れているときには、前記180度通電駆動を、前記特異
    状態が検出されているときには、前記間欠通電駆動を選
    択するように切換えを行なうことを特徴とする、請求項
    1ないし8のいずれかに記載のモータ制御装置。
  10. 【請求項10】 前記モータ外乱監視手段は、 定常状態であるか、特異状態であるかを検出し、 前記駆動方式選択手段は、 前記モータ外乱監視手段において、前記定常状態が検出
    されているときには前記180度通電駆動を選択し、前
    記特異状態が検出されると、前記間欠通電駆動を選択し
    た後、所定時間経過後に前記180度通電駆動を選択す
    ることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれかに記
    載のモータ制御装置。
  11. 【請求項11】 前記特異状態とは、 電源電圧の変動であることを特徴とする、請求項9また
    は10に記載のモータ制御装置。
  12. 【請求項12】 前記特異状態とは、 前記同期モータの回転数の変更、または前記回転数の変
    動であることを特徴とする、請求項9または10に記載
    のモータ制御装置。
  13. 【請求項13】 前記特異状態とは、 前記同期モータのトルクの変動であることを特徴とす
    る、請求項9または10に記載のモータ制御装置。
  14. 【請求項14】 前記特異状態とは、 前記同期モータのモータ電流の変動であることを特徴と
    する、請求項9または10に記載のモータ制御装置。
  15. 【請求項15】 前記特異状態とは、 前記同期モータの特定相の駆動電圧と前記同期モータの
    モータ電流との位相差の変動であることを特徴とする、
    請求項9または10に記載のモータ制御装置。
  16. 【請求項16】 前記特異状態とは、 前記同期モータのモータ駆動において影響を及ぼす外乱
    または前記外乱と同期して変化する外乱信号のうち、い
    ずれか1つ以上外乱または外乱信号の変動であることを
    特徴とする、請求項9または10に記載のモータ制御装
    置。
  17. 【請求項17】 前記モータ外乱監視手段は、 所定のしきい値データに基づき前記定常状態か前記特異
    状態かを判定し、 前記所定のしきい値データは、 前記同期モータの回転条件によって変更することを特徴
    とする、請求項9または10に記載のモータ制御装置。
  18. 【請求項18】 前記180度通電駆動から前記間欠通
    電駆動への切換え時には、前記同期モータへの通電を休
    止する期間を設けることを特徴とする、請求項1ないし
    17のいずれかに記載のモータ制御装置。
  19. 【請求項19】 前記同期モータが低速に回転している
    場合には、前記180度通電駆動から前記間欠通電駆動
    への切換えを行なう際には、前記間欠通電駆動への移行
    後の回転速度を前記180度通電駆動時の回転速度より
    上げることを特徴とする、請求項18に記載のモータ制
    御装置。
  20. 【請求項20】 前記間欠通電駆動から、前記180度
    通電駆動への切換え時には、前記切換え直前の通電タイ
    ミングに基づき、前記180度通電駆動の通電位相を決
    定することを特徴とする、請求項1ないし17のいずれ
    かに記載のモータ制御装置。
  21. 【請求項21】 前記間欠通電駆動は、前記同期モータ
    のモータ端子に発生する逆起電圧を検出することにより
    通電切換えを行なう駆動方式であることを特徴とする、
    請求項1ないし20のいずれかに記載のモータ制御装
    置。
  22. 【請求項22】 前記180度通電駆動は、前記同期モ
    ータにおける特定相のモータ端子に印加する駆動電圧
    と、前記モータ端子に流れるモータ電流との位相差であ
    る電流位相差情報を制御することによりモータ駆動を行
    なう駆動方式であることを特徴とする、請求項1ないし
    21のいずれかに記載のモータ制御装置。
  23. 【請求項23】 前記電流位相差情報は、前記同期モー
    タにおける駆動電圧位相を基準とした第1の位相期間中
    のモータ電流の積算値である第1のモータ電流面積と、
    第2の位相期間中のモータ電流の積算値である第2のモ
    ータ電流面積との比を算出することにより得られること
    を特徴とする、請求項22に記載のモータ制御装置。
  24. 【請求項24】 前記第1のモータ電流面積は、前記第
    1の位相期間中の前記モータ電流を所定回数サンプリン
    グし、前記サンプリングされた電流サンプリングデータ
    を積算して求め、前記第2のモータ電流面積は、前記第
    2の位相期間中の前記モータ電流を所定回数サンプリン
    グし、前記サンプリングされた電流サンプリングデータ
    を積算して求めることを特徴とする、請求項23に記載
    のモータ制御装置。
  25. 【請求項25】 前記モータ外乱監視手段は、 しきい値データに基づき定常状態であるかまたは特異状
    態であるかを判定し、 前記モータ外乱監視手段に入力された外乱または外乱信
    号に所定量を加算および減算した結果得られる外乱加減
    算を、次回の外乱あるいは外乱信号入力時の前記判定に
    おける前記しきい値データとして使用することを特徴と
    する、請求項1ないし16のいずれかに記載のモータ制
    御装置。
  26. 【請求項26】 前記モータ外乱監視手段は、 しきい値データに基づき定常状態であるかまたは特異状
    態であるかを判定し、 前記しきい値データとして、前記モータ外乱監視手段に
    入力された外乱または外乱信号に所定量を加算および減
    算した結果得られる外乱加減算と、前記外乱または外乱
    信号の定常的な値から設定したしきい値データとを使用
    することを特徴とする、請求項1ないし16のいずれか
    に記載のモータ制御装置。
  27. 【請求項27】 前記モータ外乱監視手段は、 定常状態であるかまたは特異状態であるかを判定し、 前記モータ外乱監視手段における定常状態または特異状
    態の判定タイミングを、モータ回転に同期させることを
    特徴とする、請求項1ないし16のいずれかに記載のモ
    ータ制御装置。
  28. 【請求項28】 前記モータ外乱監視手段に入力する外
    乱または外乱信号は、前記同期モータのn回転分(前記
    nは、1以上の整数)を平均化した値とすることを特徴
    とする、請求項1ないし16のいずれかに記載のモータ
    制御装置。
  29. 【請求項29】 前記モータ外乱監視手段を、前記同期
    モータの加減速中にオフすることを特徴とする、請求項
    1ないし16のいずれかに記載のモータ制御装置。
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