JP2001242319A - 光学フイルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学フイルム、偏光板および液晶表示装置

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JP2001242319A JP2000053991A JP2000053991A JP2001242319A JP 2001242319 A JP2001242319 A JP 2001242319A JP 2000053991 A JP2000053991 A JP 2000053991A JP 2000053991 A JP2000053991 A JP 2000053991A JP 2001242319 A JP2001242319 A JP 2001242319A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学的性質の制御が容易な光学フイルムを得
る。 【解決手段】 光学的等方性ポリマーマトリックスの内
部に光学的異方性物質の粒子または液滴が分散している
光学フイルムにおいて、光照射によって光学的異方性物
質の光学的異方性を発現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学的等方性ポリマー
マトリックスの内部に光学的異方性物質の粒子または液
滴が分散している光学フイルムおよびそれを用いた偏光
板と液晶表示装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】偏光は、横波としての光の重要な性質で
ある。太陽光のような自然光やランプのような通常の人
為的光源からの光は無偏光(ランダム偏光)であるが、
偏光板を用いることで偏光(直線偏光、円偏光、楕円偏
光)成分を取り出すことができる。取り出した偏光は、
様々な光学機器に利用できる。現在広く普及している液
晶表示装置は、偏光の性質を利用して画像を表示する装
置であるとも言える。広義の偏光板には、直線偏光板、
円偏光板および楕円偏光板が含まれる。ただし、通常の
(狭義の)偏光板は、直線偏光板を意味する。本明細書
においても、特に規定しない「偏光板」は、直線偏光板
を意味する。直線偏光板は、最も基本的な偏光板であ
る。円偏光板は、一般に、直線偏光板とλ/4板との積
層体である。楕円偏光板は、一般に、直線偏光板と他の
(λ/4板以外の)位相差板との積層体である。従っ
て、様々な(広義の)偏光板において、直線偏光板の光
学的な機能が重要である。
【0003】直線偏光板としては、一般にポリビニルア
ルコール系フイルムからなる光吸収型偏光板が用いられ
ている。ポリビニルアルコール系偏光板は、ヨウ素また
は二色性染料を吸着したポリビニルアルコール系フイル
ムを延伸することにより製造する。偏光板の透過軸(偏
光軸)は、フイルムの延伸方向に垂直な方向に相当す
る。光吸収型偏光板は、偏光軸に平行な直線偏光成分の
みを透過して、残りの直線偏光成分を吸収する。従っ
て、光の利用効率は、理論的に50%以下(実際には5
0%よりも低い値)である。
【0004】偏光板の光の利用効率を改善するため、光
吸収型偏光板に代えて、または光吸収型偏光板に加え
て、光散乱型偏光板を使用することが提案されている。
光散乱型偏光板も、光吸収型偏光板と同様に、偏光軸に
平行な直線偏光成分のみを透過する。ただし、光散乱型
偏光板では、偏光軸とは平行ではない偏光成分を吸収せ
ずに、前方もしくは後方に散乱し、再利用を可能にす
る。光散乱型偏光板を用いて光の利用効率を改善する方
法には、具体的には、複数の態様がある。
【0005】前方散乱光の偏光解消 光散乱型偏光板では、偏光軸と直交方向の偏光成分は前
方もしくは後方に散乱される。このうち、前方散乱され
た光が偏光解消され、前方散乱光の偏光方向が入射光の
偏光方向から回転することにより、光散乱型偏光板の偏
光軸方向の偏光成分が入射光よりも増加する。光散乱型
偏光子において、厚み方向に多数の粒子が存在する場合
には、多重散乱により偏光解消の程度が強くなる。この
ように、散乱型偏光板を使用する場合には、前方散乱光
の偏光解消により光吸収型偏光板のみを使用する場合よ
りも光の利用効率が向上する。
【0006】後方散乱光の再利用(偏光解消) 光散乱型偏光板の偏光軸と直交方向の偏光成分のうち後
方散乱された光は、後方散乱される際に偏光解消され
る。後方散乱された光は、光源であるバックライトの背
面に配置された反射板により反射され、再度光散乱型偏
光板に入射する。ここで、再入射する光は後方散乱する
際に偏光解消を受け、散乱型偏光板の偏光軸と平行方向
の偏光成分が生じており、この偏光成分は散乱型偏光子
を透過する。また、反射板が偏光解消性を有する場合に
は、反射時に偏光方向が回転し、散乱型偏光板の偏光軸
と平行方向の偏光成分が生じ、この偏光成分は散乱型偏
光子を透過する。このように、光散乱型偏光子による後
方散乱と反射板での反射を繰り返すことにより光の利用
効率を向上させることができる。
【0007】後方散乱光の再利用(偏光方向の回転) λ/4板と反射板とを配置した光学系に、λ/4板の遅
相軸と45゜をなすように直線偏光を入射させると、偏
光方向が入射光と90゜回転した反射光が戻ってくる。
光散乱型偏光板と反射板(バックライトの背面に配置)
との間に、λ/4板を光散乱型偏光板の偏光軸とλ/4
板の遅相軸とが45゜をなすように配置することによっ
て、上記と同じ効果が得られる。光散乱型偏光板におい
て後方散乱された光の偏光方向の分布は、光散乱型偏光
板の偏光軸と直交方向が大きい。この後方散乱された光
がλ/4板を透過して反射板により反射され再度、光散
乱型偏光板に入射する光の偏光方向の分布は、光散乱型
偏光板の偏光軸に平行方向に大きくなっており、偏光軸
に平行な偏光成分は光散乱型偏光板を透過する。このよ
うに、光散乱型偏光板と反射板との間にλ/4板を配置
することにより、光の利用効率を向上させることができ
る。
【0008】前方散乱と後方散乱の強度比は、分散粒子
のサイズや形状、ポリマーマトリックスと分散粒子との
屈折率比により制御することが可能である。光散乱型偏
光板については、特開平8−76114号、同9−27
4108号、同9−297204号、特表平11−50
2036号、同11−509014号の各公報および米
国特許5783120号、同5825543号、同58
67316号の各明細書に記載がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の光散乱型偏光板
のうち、特開平8−76114号、同9−274108
号、特表平11−502036号、同11−50901
4号の各公報および米国特許5867316号、同58
25543号、同5867316号の各明細書に開示さ
れている光散乱型偏光板は、光吸収型偏光板と同様にポ
リマーフイルムの延伸により製造している。ポリマーフ
イルムの延伸による製造方法では、フイルム面内の延伸
ムラが生じやすく、大面積に渡って均一な散乱特性をえ
ることが困難である。特表平11−502036号公報
記載の光散乱型偏光板は、ポリマーフイルム中に液晶を
分散し、電場または磁場を印加することにより、光学的
異方性物質(液晶)を配向させている。しかし、電場ま
たは磁場を大面積に均一に印加することは困難であり、
大面積に渡って均一な散乱特性を得ることは困難であ
る。以上のような光散乱特性の面内の不均一性は、液晶
表示装置の面内の輝度ムラにつながる。本発明の目的
は、光学的性質の制御が容易であり、かつ大面積に渡っ
て均一な散乱特性を示す光学フイルムを提供することで
ある。また本発明の目的は、偏光板の光の利用効率を改
善することでもある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(16)の光学フイルム、下記(17)〜(1
9)の偏光板および下記(20)の液晶表示装置により
達成された。 (1)光学的等方性ポリマーマトリックスの内部に光学
的異方性物質の粒子または液滴が分散している光学フイ
ルムであって、光照射によって光学的異方性物質の光学
的異方性が発現していることを特徴とする光学フイル
ム。 (2)照射した光が直線偏光である(1)に記載の光学
フイルム。 (3)光学的異方性物質が、照射した直線偏光の偏向方
向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きい
光学的異方性を有する(2)に記載の光学フイルム。 (4)光学的異方性物質が、照射した直線偏光の変更方
向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さい
光学的異方性を有する(2)に記載の光学フイルム。 (5)光学的等方性ポリマーマトリックスの屈折率と、
光学的異方性物質の屈折率との差が、偏光方向では0.
05以上、偏光方向と直交する方向では0.05未満で
ある(2)に記載の光学フイルム。 (6)光学的等方性ポリマーマトリックスの屈折率と、
光学的異方性物質の屈折率との差が、偏光方向では0.
05未満、偏光方向と直交する方向では0.05以上で
ある(2)に記載の光学フイルム。 (7)光学的等方性ポリマーマトリックスの平均屈折率
が、1.7以下である(1)に記載の光学フイルム。
【0011】(8)光学的異方性物質が、光反応性化合
物である(1)に記載の光学フイルム。 (9)光学的異方性物質が、光異性化化合物である
(1)に記載の光学フイルム。 (10)光学的異方性物質が、感光性物質と液晶との混
合物である(1)に記載の光学フイルム。 (11)感光性物質が、光反応性化合物である(10)
に記載の光学フイルム。 (12)感光性物質が、光異性化化合物である(10)
に記載の光学フイルム。 (13)光照射によって光学的異方性が発現している感
光性物質により、液晶が共通の方向に配向している(1
0)に記載の光学フイルム。 (14)重合反応により、液晶が共通の方向に配向して
いる状態で固定化されている(13)に記載の光学フイ
ルム。 (15)光学的異方性物質の粒子または液滴が、0.1
乃至10μmの平均粒径を有する(1)に記載の光学フ
イルム。 (16)光学的異方性物質の粒子または液滴が、実質的
に球形である(1)に記載の光学フイルム。
【0012】(17)光学的等方性ポリマーマトリック
スの内部に光学的異方性物質の粒子または液滴が分散し
ている光散乱型偏光板であって、直線偏光照射によって
光学的異方性物質の光学的異方性が発現しており、光学
的等方性ポリマーマトリックスの屈折率と、光学的異方
性物質の偏向方向の屈折率または偏向方向に直交する方
向の屈折率とが実質的に等しいことを特徴とする偏光
板。 (18)光学的等方性ポリマーマトリックスの内部に光
学的異方性物質の粒子または液滴が分散している光散乱
型偏光板と光吸収型偏光板とが積層されている偏光板で
あって、直線偏光照射によって光学的異方性物質の光学
的異方性が発現しており、光学的等方性ポリマーマトリ
ックスの屈折率と、光学的異方性物質の偏向方向の屈折
率または偏向方向に直交する方向の屈折率とが実質的に
等しく、光散乱型偏光板の透過軸と光吸収型偏光板の透
過軸とが実質的に平行であることを特徴とする偏光板。
【0013】(19)λ/4板、光学的等方性ポリマー
マトリックスの内部に光学的異方性物質の粒子または液
滴が分散している光散乱型偏光板、そして、光吸収型偏
光板がこの順に積層されている偏光板であって、直線偏
光照射によって光学的異方性物質の光学的異方性が発現
しており、光学的等方性ポリマーマトリックスの屈折率
と、光学的異方性物質の偏向方向の屈折率または偏向方
向に直交する方向の屈折率とが実質的に等しく、光散乱
型偏光板の透過軸と光吸収型偏光板の透過軸とが実質的
に平行であり、そして、これらの透過軸とλ/4板の遅
相軸との角度が、実質的に45゜であることを特徴とす
る偏光板。 (20)バックライトおよび偏光板を備えた液晶表示装
置であって、偏光板が、光学的等方性ポリマーマトリッ
クスの内部に光学的異方性物質の粒子または液滴が分散
している光散乱型偏光板と光吸収型偏光板とからなり、
直線偏光照射によって光学的異方性物質の光学的異方性
が発現しており、光学的等方性ポリマーマトリックスの
屈折率と、光学的異方性物質の偏向方向の屈折率または
偏向方向に直交する方向の屈折率とが実質的に等しく、
光散乱型偏光板の透過軸と光吸収型偏光板の透過軸とが
実質的に平行であり、そして光吸収型偏光板が液晶セル
側となるように配置されていることを特徴とする液晶表
示装置。
【0014】
【発明の効果】本発明者の研究の結果、光学的等方性ポ
リマーマトリックスの内部に光学的異方性物質の粒子ま
たは液滴が分散している光学フイルムにおいて、光照射
によって光学的異方性物質の光学的異方性が発現できる
ことが判明した。光照射によれば、光学的異方性物質の
光学的異方性を正確に制御することができる。前記の光
学フイルムを光散乱型偏光板として用いるためには、あ
る一方向において光学的異方性物質の屈折率と、光学的
等方性ポリマーマトリックスの屈折率とが実質的に等し
くなるように、光学的異方性を正確に制御する必要があ
る。光照射による方法ならば、光学的異方性を正確かつ
容易に制御できる。また、本発明の光学フイルムは、延
伸処理を必要としないため、光学的異方性物質の粒子ま
たは液滴の形状も任意に設定できる(延伸処理を実施す
ると、粒子または液滴は針状になる)。光学的異方性物
質の粒子または液滴の形状による、光散乱の制御も可能
である。以上のように、本発明の光学フイルムでは、光
照射によって光散乱型偏光板として必要な光学的性質を
容易に達成することができる。必要な光学的性質を達成
した光散乱型偏光板を用いることで、偏光板の光の利用
効率を著しく改善することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、光学フイルムの基本的な
構成を示す断面模式図である。図1に示す光学フイルム
では、光学的等方性ポリマーマトリックス(1)の内部
に光学的異方性物質の粒子(2)が分散している。光学
的異方性物質の粒子(2)は、直線偏光(LP)の照射
により、光学的異方性が発現している。すなわち、光学
的異方性物質の偏向方向の屈折率(ne)が、偏向方向
に直交する方向の屈折率(no)よりも大きな(もしく
は小さな)値になっている。光学フイルムが光散乱型偏
光板として機能するためには、偏向方向もしくは偏向方
向と直交方向の一方において、光学的等方性ポリマーマ
トリックスの屈折率と光学異方性物質の屈折率とが実質
的に等しい値となることが必要である。屈折率が実質的
に等しい値となる方向(neまたはnoの方向)が、光
散乱型偏光板としての透過軸(偏光軸)に相当する。
【0016】[光学的等方性ポリマーマトリックス]本
明細書において、ポリマーマトリックスが光学的等方性
であるとは、光学的異方性が0.05未満であることを
意味する。光学的等方性ポリマーの例には、ポリオレフ
ィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリオレ
フィン誘導体(例、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リビニルアルコール、ノルボルネン樹脂)、ポリエステ
ル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリカーボネート)、セルロースエーテル、セ
ルロースエステル(例、セルロースアセテート)および
タンパク質(例、ゼラチン、カゼイン)が含まれる。ゼ
ラチンが特に好ましい。ただし、ゼラチンは自己支持性
が低いため、透明なポリマーフイルムを支持体として用
いて、その上にゼラチンを光学的等方性ポリマーマトリ
ックスとして含む層を設けることが好ましい。支持体と
して用いるポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリオ
レフィン誘導体、ポリエステル、セルロースエーテルお
よびセルロースエステルが好ましく、セルロースエステ
ルがさらに好ましく、セルロースアセテートが特に好ま
しい。ゼラチンを光学的等方性ポリマーマトリックスと
して含む層の厚さは、0.1乃至1000μmであるこ
とが好ましく、1乃至300μmであることがさらに好
ましい。
【0017】[光学的異方性物質]本明細書において、
光学的異方性物質は、0.05以上の光学的異方性を有
する物質を意味する。光学的異方性物質は、光照射する
ことにより光学的異方性が発現する。そのため、光学的
異方性物質には、感光性成分あるいは感光性官能基が含
まれている必要がある。光照射することにより光学的異
方性が発現する光学的異方性物質は、光反応性化合物と
光異性化化合物とに分類できる。光照射により発現され
た光学異方性を固定するためには、これらの化合物はポ
リマー、すなわち光反応性ポリマーまたは光異性化ポリ
マーであることが好ましい。光反応性ポリマーは、さら
に光二量化ポリマーと光分解ポリマーとに分類できる。
光二量化ポリマーは、光二量化型の感光性基を側鎖に有
する。光二量化型感光性基は、光(好ましくは紫外線)
の照射によって、二つの基の間に付加反応を起こして環
化する官能基である。この付加反応により、ポリマーが
二量化する。光二量化反応については、永松乾「感光性
高分子」(講談社、1977)に記載がある。
【0018】光二量化型感光性基は、(a)カルボニル
基または(b)エチレン不飽和結合と(c)芳香族基ま
たは(d)複素環基とを有することが好ましい。(a)
カルボニル基と(b)エチレン不飽和結合の双方を有す
ることが好ましい。従って、光二量化型感光性基として
は、(a)カルボニル基、(b)エチレン不飽和結合お
よび(c)芳香族基を有する官能基であることが好まし
い。(a)カルボニル基は、アシル基、アシルオキシ基
またはアルコキシカルボニル基に含まれていることが好
ましい。(b)エチレン性不飽和結合は、シス型よりも
トランス型の方が好ましい。複数のエチレン不飽和結合
が含まれる場合、それらは共役していることが好まし
い。(a)カルボニル基、(b)エチレン不飽和結合お
よび(c)芳香族基を有する官能基では、主鎖−(a)
−(b)−(c)の順序で結合していることが好まし
い。上記(a)、(b)および(c)を有する官能基の
例には、シンナモイルおよびフェニルマレイミドが含ま
れる。
【0019】主鎖と側鎖はエステル結合で結合してお
り、(a)カルボニル基はエステル結合に含まれている
ことが好ましい。(b)エチレン不飽和結合、(c)芳
香族基および(d)複素環基は、置換基を有していても
よい。置換基の例には、アルキル基(例、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ヘキシル)、アルコキシ基
(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、
アルケニル基(例、アリル)、アルケニルオキシ基
(例、アリルオキシ)、アリール基(例、フェニル)、
アリールオキシ基(例、フェノキシ)、シアノ、アルコ
キシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキ
シカルボニル基)、ヒドロキシ、アルキル置換アミノ基
(例、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ)およびニトロ
が含まれる。置換基としては、炭素原子数が1乃至6の
アルキル基、炭素原子数が1乃至6のアルコキシ基、シ
アノ基、炭素原子数が1乃至6のアルコキシカルボニル
基が好ましい。
【0020】光二量化型感光性基を側鎖に有するポリマ
ー(光二量化ポリマー)は、様々な方法で合成できる。
例えば、感光性基と重合性基とを有する化合物(モノマ
ー)を重合させることにより、ポリマーを合成すること
ができる。重合性基としては、アクリロイル基またはメ
タクリロイル基が好ましい。(メタ)アクリロイル基
は、ラジカル重合反応によって、容易にポリマーを合成
できる。また、ヒドロキシ、カルボキシル、アミノある
いはシアネートのような重合性基の縮重合反応によるポ
リエステル、ポリアミド、ポリイミドあるいはポリウレ
タンであってもよい。これらの縮重合の場合は、モノマ
ー中に少なくとも二つの重合性基が必要である。また、
感光性基を有する化合物と、ポリマーとを反応させて、
感光性基を有すポリマーを得ることもできる。感光性基
を有する化合物と反応させるポリマーとしては、ポリビ
ニルアルコールおよびポリ(メタ)アクリル酸が好まし
い。ポリマー(主鎖)と化合物(側鎖)との結合は、エ
ーテル結合、エステル結合またはアミド結合であること
が好ましい。代表的な光二量化ポリマーは、ポリビニル
シンナメートである。光二量化ポリマーを用いる代わり
に、感光性基を有する化合物をポリマー(バインダー)
中に分散して用いてもよい。バインダーとして用いるポ
リマーは、(メタ)アクリル系ポリマー、ポリエステル
またはポリウレタンであることが好ましい。感光性基を
有する化合物をバインダー中に分散してから、重合開始
剤を用いて重合させてもよい。
【0021】光分解ポリマーの例には、ポリイミドが含
まれる。光分解型ポリイミドについては、特開平5−3
4699号、同6−289399号、同8−12279
2号の各公報および第22回液晶討論会講演予稿集、1
672頁A17(1996)に記載がある。光分解ポリマーよ
りも光二量化ポリマーの方が好ましい。
【0022】光異性化化合物は、一般にフォトクロミッ
ク化合物として知られている。光異性化化合物は、光の
作用で化学構造に変化が生じ、それにより光に対する挙
動(例えば色調)も変化する化合物である。一般に、そ
れらの変化は可逆的である。光異性化化合物には、アゾ
ベンゼン化合物(K. Ichimura et al., Langmuir,vol.
4, page 1214 (1988);K. Aoki et al., Langmuir, vo
l. 8, page 1007 (1992);Y. Suzuki et al., Langmui
r, vol. 8, page 2601 (1992);K. Ichimuraet al., Ap
pl. Phys. Lett., vol. 63, No. 4, page 449 (1993);
N. Ishizuki,Langmuir, vol. 9, page 3298 (1993) ;
N. Ishizuki, Langmuir, vol. 9, page 857 (1993))、
ヒドラゾノ−β−ケトエステル化合物(S. Yamamura et
al.,Liquid Crystals, vol. 13, No. 2, page 189 (19
93))、スチルベン化合物(市村國宏他、高分子論文
集、第47巻、10号、771頁(1990))およびスピロ
ピラン化合物(K. Ichimura et al., Chemistry Letter
s, page 1063 (1992) ;K.Ichimura et al., Thin Soli
d Films, vol. 235, page 101 (1993) )が含まれる。
【0023】C=C、C=NまたはN=Nからなる二重
結合構造を含む光異性化化合物が、特に好ましい。二重
結合構造を有するフォトクロミック化合物は、下記
(1)および(2)の必須要素と、下記(3)〜(5)
の任意要素からなる。 (1)C=C、C=NまたはN=Nからなる二重結合構
造 (2)上記(1)の結合の両側に(直結しなくてもよ
く)存在する環状構造 (3)任意の(1)と(2)との間の連結基 (4)任意の(1)の炭素原子の置換基 (5)任意の(2)の環状構造の置換基 上記(1)の二重結合構造は、シス型よりもトランス型
が好ましい。二重結合構造は、分子内に二つ以上存在し
ていてもよい。複数の二重結合構造は、共役の関係にあ
ることが好ましい。上記(2)の環状構造の例には、ベ
ンゼン環、ナフタレン環および含窒素複素環(例、ピリ
ジニウム環、ベンゾピリジニウム環)が含まれる。含窒
素複素環の場合、環を構成する(窒素原子ではなく)炭
素原子が(1)の二重結合構造の炭素原子または窒素原
子と結合することが好ましい。ベンゼン環が特に好まし
い。
【0024】上記(3)の連結基の例には、−NH−お
よび−CO−が含まれる。ただし、(3)の連結基がな
く、(1)と(2)とが直結していることが好ましい。
上記(4)の置換基の例には、アリール基(例、フェニ
ル)およびシアノが含まれる。ただし、(4)の置換基
がなく、二重結合構造に含まれる炭素原子が、(2)と
の結合以外は無置換(−CH=CH−または−CH=N
−)であることが好ましい。上記(5)の置換基の例に
は、アルコキシ基(例、メトキシ、ヘキシルオキシ)、
シアノ、アルキル基(例、ブチル、ヘキシル)およびア
ルキルアミノ基(例、ジメチルアミノ)を挙げることが
できる。(2)の環状構造がベンゼン環の場合、パラ位
に置換基が結合することが好ましい。なお、後述するよ
うに、フォトクロミック化合物をポリマーに化学的結合
させて使用する場合は、ポリマーに化学的結合させるた
めの官能基を、(5)の置換基として光異性化化合物に
導入する。
【0025】光異性化化合物は、ポリマーに化学的に結
合させて用いることが好ましい。使用するポリマーは、
親水性ポリマー(例、ゼラチン、ポリビニルアルコー
ル)であることが好ましい。ポリビニルアルコールが特
に好ましく用いられる。光異性化化合物とポリマーとの
反応は、ポリマーの種類(特に官能基の種類)に応じて
決定する。ポリビニルアルコールのような水酸基を有す
るポリマーの場合は、酸ハライドと水酸基との反応を利
用して、光異性化化合物をポリマーと結合させることが
できる。具体的には、ハロゲン化アシル基(−COX、
Xはハロゲン)を、光異性化化合物に置換基として導入
し、ハロゲン化アシル基とポリマーの水酸基との反応
(Ph−COX+HO−Pl→Ph−CO−O−Pl+
HX、Phは光異性化化合物、Plはポリマーの主鎖)
により化学的に結合させる。
【0026】以上の光学的異方性物質(光反応性化合物
または光異性化化合物)と液晶とを併用しても(混合物
として用いても)よい。液晶としては、棒状液晶性分子
が好ましく用いられる。棒状液晶性分子としては、アゾ
メチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフ
ェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサ
ンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシク
ロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アル
コキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン
類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニ
トリル類が好ましい。なお、棒状液晶性分子には、金属
錯体も含まれる。棒状液晶性分子については、季刊化学
総説第22巻液晶の化学(1994年)日本化学会編の
第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハ
ンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に
記載がある。
【0027】棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001
乃至0.7であることが好ましい。棒状液晶性分子は、
重合性基を有することが好ましい。重合性基としては、
不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基が好
ましく、不飽和重合性基がさらに好ましく、エチレン性
不飽和重合性基が最も好ましい。棒状液晶性分子は、短
軸方向に対してほぼ対称となる分子構造を有することが
好ましい。そのためには、棒状分子構造の両端に重合性
基を有することが好ましい。以下に、棒状液晶性分子の
例を示す。
【0028】
【化1】
【0029】
【化2】
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】
【化6】
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
【化9】
【0037】
【化10】
【0038】
【化11】
【0039】
【化12】
【0040】
【化13】
【0041】[光学フイルム]光学フイルムの製造で
は、光学的等方性ポリマーマトリックス中に、光学的異
方性物質の粒子または液滴を分散する。粒子または液滴
の平均粒径は、0.1乃至10μmであることが好まし
く、0.2乃至8μmであることがさらに好ましく、
0.3乃至6μmであることが最も好ましい。粒子また
は液滴は、実質的に球状であることが好ましい。実質的
に球状であるとは、平均アスペクト比が2以下であるこ
とを意味する。光学的等方性ポリマーマトリックス中の
光学的異方性物質の割合は、1乃至60重量%であるこ
とが好ましく、2乃至50重量%であることがより好ま
しく、3乃至40重量%であることがさらに好ましく、
4乃至30重量%であることが最も好ましい。
【0042】光学的等方性ポリマーマトリックス中に、
光学的異方性物質の粒子または液滴を分散してから、光
を照射する。照射する光は、直線偏光であることが好ま
しい。また、なるべく単一方向から光を照射することも
好ましい。単一方向とは、フイルム平面(光の方向をフ
イルム平面に投影した向き)において単一の方向である
ことを意味し、フイルム平面に対して水平または垂直の
方向も含む。
【0043】光学的異方性物質の感光性基は、紫外線照
射により光学的異方性が発現することが好ましい。紫外
線の波長は、320nm以下(遠赤外線)であることが
好ましい。光源としては、水銀灯、キセノン灯、蛍光
灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプおよび不活
性ガスレーザーが好ましい。光源から出射された紫外線
は、偏光素子を利用して紫外線偏光とする。偏光素子
は、プリズム系素子(例、グラントムソンプリズム)ま
たはブリュースター角を利用した反射型偏光子であるこ
とが好ましい。なお、不活性ガスレーザーを光源とする
紫外線は偏光となっている場合がある。その場合には、
偏光素子は不要である。
【0044】露光量は、1mJ/cm2 以上であること
が好ましく、10mJ/cm2 乃至上10J/cm2
あることがさらに好ましい。露光強度は、20乃至20
00mW/cm2 であることが好ましく、40乃至10
00mW/cm2 であることがさらに好ましく、80乃
至500mW/cm 2 であることが最も好ましい。短時
間で光学的異方性を発現させるために、加熱しながら光
を照射してもよい。
【0045】偏向方向の屈折率(ne)と偏向方向と直
交方向の屈折率(no)との差の絶対値|ne−no|
は0.05以上であることが好ましく、0.07以上で
あることがさらに好ましく、0.1以上であることが最
も好ましい。ポリマーマトリックスの屈折率異方性は
0.05未満であることが好ましい。偏向方向もしくは
偏向方向と直交方向の一方において、ポリマーマトリッ
クスと光学的異方性物質の屈折率が実質的に等しい値と
なることが必要である。屈折率が実質的に等しいとは、
屈折率の差が0.05未満(好ましくは0.01未満)
であることを意味する。
【0046】偏向方向もしくは偏向方向と直交方向の一
方において、ポリマーマトリックスと光学的異方性物質
の屈折率が実質的に等しい値となることにより、光学フ
ィルムが光散乱型偏光板として機能する。ポリマーマト
リックスと光学的異方性物質の屈折率が実質的に等しい
値となる方向が、光散乱型偏光板としての透過軸(偏光
軸)に相当する。
【0047】光散乱型偏光板へ入射する光に対する反射
率を低下させることにより、バックライト光の利用効率
を向上させることができる。ポリマーマトリックスの平
均屈折率nは1.7以下であることが好ましく、1.6
以下であることがさらに好ましく、1.55以下である
ことが最も好ましい。ここで、平均屈折率nは下記式で
表される。 n=(nx+ny+nz)/3 nx:面内の遅相軸方向の屈折率、ny:面内の進相軸
方向の屈折率、nz:厚み方向の屈折率。
【0048】光散乱型偏光板は、一般に光吸収型偏光板
と積層して用いられる。光散乱型偏光板の透過軸と光吸
収型偏光板の透過軸とが実質的に平行になるように配置
する。光散乱型偏光板および光吸収型偏光板は、さらに
λ/4板と積層することで、積層体を円偏光板として機
能させることができる。円偏光板では、光散乱型偏光板
および光吸収型偏光板の透過軸とλ/4板の遅相軸との
角度が、実質的に45゜になるように配置する。
【0049】
【実施例】[実施例1] (屈折率の測定)光学フイルムの製造後では屈折率の測
定が難しいため、製造前に光学的等方性ポリマーマトリ
ックスと光学的異方性物質との屈折率を測定した。ゼラ
チン(ポリマーマトリックス)10重量部を水90重量
部に加え、加熱しながら溶解した。得られた溶液を高屈
折率ガラス上に塗布し、乾燥した。形成したゼラチン膜
の屈折率をナトリウムのD線においてアッベ屈折計で測
定したところ、いずれの方向の屈折率も1.54であっ
た。下記の光反応性化合物(光二量化ポリマー)をジク
ロロメタンに溶解して30重量%溶液を調製した。溶液
を高屈折率ガラス上に塗布し、乾燥した後、室温で波長
365nmの直線偏光(200mW/cm2 )を10秒
間照射した。形成した光反応性化合物の被膜の屈折率を
アッベ屈折計で測定したところ、偏向方向の屈折率(n
e)は1.64、偏向方向と直交する方向の屈折率(n
o)は1.54であった。
【0050】
【化14】
【0051】(光学フイルムの作製)ゼラチン10重量
部を水90重要部に加え、加熱しながら溶解した。得ら
れた溶液に、上記の光反応性化合物の30重量%ジクロ
ロメタン溶液2重量部を添加し、ホモジナイザーを用い
て乳化した。トリアセチルセルロースフイルム(支持
体)に、ゼラチン下塗り層を設けた。ゼラチン下塗り層
の上に、得られた乳化液を塗布し、乾燥した。形成した
厚さ30μmの被膜に、室温で波長365nmの直線偏
光(200mW/cm2 )を10秒間照射し、光学フイ
ルムを作製した。
【0052】(透過率の測定)作製した光学フイルム
と、市販の光吸収型直線偏光板とを接着剤を介して積層
し、液晶表示装置用バックライトの上に配置した。光学
フイルムの透過軸(ゼラチンの屈折率と光反応性化合物
の屈折率とが実質的に等しくなる方向)と光吸収型直線
偏光板の透過軸とは、平行になるように配置した。その
状態で透過率を測定したところ、45%であった。
【0053】[実施例2] (屈折率の測定)下記の光異性化化合物(フォトクロミ
ック化合物を結合したポリマー)をシクロヘキサノンに
溶解して30重量%溶液を調製した。溶液を高屈折率ガ
ラス上に塗布し、乾燥した後、室温で波長435nmの
直線偏光(200mW/cm2 )を10秒間照射した。
形成した光異性化化合物の被膜の屈折率をアッベ屈折計
で測定したところ、偏向方向の屈折率(ne)は1.5
4、偏向方向と直交する方向の屈折率(no)は1.6
2であった。
【0054】
【化15】
【0055】(光学フイルムの作製)ゼラチン10重量
部を水90重要部に加え、加熱しながら溶解した。得ら
れた溶液に、上記の光異性化化合物の30重量%シクロ
ヘキサノン溶液2重量部を添加し、ホモジナイザーを用
いて乳化した。トリアセチルセルロースフイルム(支持
体)に、ゼラチン下塗り層を設けた。ゼラチン下塗り層
の上に、得られた乳化液を塗布し、乾燥した。形成した
厚さ30μmの被膜に、室温で波長435nmの直線偏
光(200mW/cm2 )を10秒間照射し、光学フイ
ルムを作製した。
【0056】(透過率の測定)作製した光学フイルム
と、市販の光吸収型直線偏光板とを接着剤を介して積層
し、液晶表示装置用バックライトの上に配置した。光学
フイルムの透過軸(ゼラチンの屈折率と光異性化化合物
の屈折率とが実質的に等しくなる方向)と光吸収型直線
偏光板の透過軸とは、平行になるように配置した。その
状態で透過率を測定したところ、44.5%であった。
【0057】[実施例3] (屈折率の測定)実施例1で用いた光反応性化合物(光
二量化ポリマー)10重量部および棒状液晶性分子(N
26)90重量部を混合した。混合物をジクロロメタン
に溶解して、30重量%溶液を調製した。溶液を高屈折
率ガラス上に塗布し、乾燥した後、室温で波長365n
mの直線偏光(200mW/cm2 )を10秒間照射し
た。さらに、波長310nmの非偏光(200mW/c
2 )を10秒間照射して、棒状液晶性分子の配向状態
を固定した。形成した被膜の屈折率をアッベ屈折計で測
定したところ、偏向方向の屈折率(ne)は1.66、
偏向方向と直交する方向の屈折率(no)は1.54で
あった。
【0058】(光学フイルムの作製)ゼラチン10重量
部を水90重要部に加え、加熱しながら溶解した。得ら
れた溶液に、上記の光反応性化合物10重量部および棒
状液晶性分子(N26)90重量部からなる混合物の3
0重量%ジクロロメタン溶液2重量部を添加し、ホモジ
ナイザーを用いて乳化した。トリアセチルセルロースフ
イルム(支持体)に、ゼラチン下塗り層を設けた。ゼラ
チン下塗り層の上に、得られた乳化液を塗布し、乾燥し
た。形成した厚さ30μmの被膜に、室温で波長365
nmの直線偏光(200mW/cm2 )を10秒間照射
した。さらに、波長310nmの非偏光(200mW/
cm2 )を10秒間照射して、棒状液晶性分子の配向状
態を固定し、光学フイルムを作製した。
【0059】(透過率の測定)作製した光学フイルム
と、市販の光吸収型直線偏光板とを接着剤を介して積層
し、液晶表示装置用バックライトの上に配置した。光学
フイルムの透過軸(ゼラチンの屈折率と光反応性化合物
の屈折率とが実質的に等しくなる方向)と光吸収型直線
偏光板の透過軸とは、平行になるように配置した。その
状態で透過率を測定したところ、46%であった。
【0060】[実施例4] (屈折率の測定)実施例2で用いた光異性化化合物(フ
ォトクロミック化合物を結合したポリマー)10重量部
および棒状液晶性分子(N26)90重量部をシクロヘ
キサノンに溶解して30重量%溶液を調製した。溶液を
高屈折率ガラス上に塗布し、乾燥した後、室温で波長4
35nmの直線偏光(200mW/cm2 )を10秒間
照射した。偏光照射後、130℃で30分間加熱した。
さらに、波長310nmの非偏光(200mW/c
2 )を10秒間照射して、棒状液晶性分子の配向状態
を固定した。形成した光異性化化合物の被膜の屈折率を
アッベ屈折計で測定したところ、偏向方向の屈折率(n
e)は1.54、偏向方向と直交する方向の屈折率(n
o)は1.65であった。
【0061】(光学フイルムの作製)ゼラチン10重量
部を水90重要部に加え、加熱しながら溶解した。得ら
れた溶液に、上記の光異性化化合物10重量部および棒
状液晶性分子(N26)90重量部からなる混合物の3
0重量%シクロヘキサノン溶液2重量部を添加し、ホモ
ジナイザーを用いて乳化した。トリアセチルセルロース
フイルム(支持体)に、ゼラチン下塗り層を設けた。ゼ
ラチン下塗り層の上に、得られた乳化液を塗布し、乾燥
した。形成した厚さ30μmの被膜に、室温で波長43
5nmの直線偏光(200mW/cm2 )を10秒間照
射した。偏光照射後、130℃で30分間加熱した。さ
らに、波長310nmの非偏光(200mW/cm2
を10秒間照射して、光学フイルムを作製した。
【0062】(透過率の測定)作製した光学フイルム
と、市販の光吸収型直線偏光板とを接着剤を介して積層
し、液晶表示装置用バックライトの上に配置した。光学
フイルムの透過軸(ゼラチンの屈折率と光異性化化合物
の屈折率とが実質的に等しくなる方向)と光吸収型直線
偏光板の透過軸とは、平行になるように配置した。その
状態で透過率を測定したところ、45.5%であった。
【0063】[実施例5] (円偏光板の作製)実施例2で作製した光学フイルム
と、市販の光吸収型直線偏光板とを接着剤を介して積層
した。さらに、λ/4板を光学フイルム側に積層して円
偏光板を作製した。光学フイルムの透過軸(ゼラチンの
屈折率と光異性化化合物の屈折率とが実質的に等しくな
る方向)と光吸収型直線偏光板の透過軸とは、平行にな
るように配置した。これらの透過軸とλ/4板の遅相軸
とは、同一平面で45゜の角度で交差するように配置し
た。円偏光板のλ/4板側を液晶表示装置用バックライ
トの上に配置した。その状態で透過率を測定したとこ
ろ、49%であった。
【0064】[参考例]市販の光吸収型直線偏光板を、
液晶表示装置用バックライトの上に配置した。その状態
で透過率を測定したところ、41%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学フイルムの基本的な構成を示す断面模式図
である。
【符号の説明】
1 光学的等方性ポリマーマトリックス 2 光学的異方性物質の粒子 LP 直線偏光 ne 光学的異方性物質の偏向方向(の屈折率) no 偏向方向に直交する方向(の屈折率)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/13 505 G02F 1/13 505 4J002 1/1334 1/1334 1/1335 510 1/1335 510 1/13357 C08L 1:08 // C08L 1:08 G02F 1/1335 530 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA42 BB44 BB48 BB49 BC05 BC22 2H088 EA47 GA10 HA15 HA28 2H089 HA04 JA06 QA16 SA02 UA09 2H091 FA08X FA08Z FB02 FB12 FC23 JA02 KA01 4F071 AA02 AA09 AC10 AC12 AE22 AH16 BA04 BB02 BC01 4J002 AA011 AA012 AB021 BB001 BQ002 CF001 CM042 ER006 ET006 EU096 EZ006 FD206

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的等方性ポリマーマトリックスの内
    部に光学的異方性物質の粒子または液滴が分散している
    光学フイルムであって、光照射によって光学的異方性物
    質の光学的異方性が発現していることを特徴とする光学
    フイルム。
  2. 【請求項2】 照射した光が直線偏光である請求項1に
    記載の光学フイルム。
  3. 【請求項3】 光学的異方性物質が、照射した直線偏光
    の偏向方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率より
    も大きい光学的異方性を有する請求項2に記載の光学フ
    イルム。
  4. 【請求項4】 光学的異方性物質が、照射した直線偏光
    の偏向方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率より
    も小さい光学的異方性を有する請求項2に記載の光学フ
    イルム。
  5. 【請求項5】 光学的等方性ポリマーマトリックスの屈
    折率と、光学的異方性物質の屈折率との差が、偏光方向
    では0.05以上、偏光方向と直交する方向では0.0
    5未満である請求項2に記載の光学フイルム。
  6. 【請求項6】 光学的等方性ポリマーマトリックスの屈
    折率と、光学的異方性物質の屈折率との差が、偏光方向
    では0.05未満、偏光方向と直交する方向では0.0
    5以上である請求項2に記載の光学フイルム。
  7. 【請求項7】 光学的等方性ポリマーマトリックスの平
    均屈折率が、1.7以下である請求項1に記載の光学フ
    イルム。
  8. 【請求項8】 光学的異方性物質が、光反応性化合物で
    ある請求項1に記載の光学フイルム。
  9. 【請求項9】 光学的異方性物質が、光異性化化合物で
    ある請求項1に記載の光学フイルム。
  10. 【請求項10】 光学的異方性物質が、感光性物質と液
    晶との混合物である請求項1に記載の光学フイルム。
  11. 【請求項11】 感光性物質が、光反応性化合物である
    請求項10に記載の光学フイルム。
  12. 【請求項12】 感光性物質が、光異性化化合物である
    請求項10に記載の光学フイルム。
  13. 【請求項13】 光照射によって光学的異方性が発現し
    ている感光性物質により、液晶が共通の方向に配向して
    いる請求項10に記載の光学フイルム。
  14. 【請求項14】 重合反応により、液晶が共通の方向に
    配向している状態で固定化されている請求項13に記載
    の光学フイルム。
  15. 【請求項15】 光学的異方性物質の粒子または液滴
    が、0.1乃至10μmの平均粒径を有する請求項1に
    記載の光学フイルム。
  16. 【請求項16】 光学的異方性物質の粒子または液滴
    が、実質的に球形である請求項1に記載の光学フイル
    ム。
  17. 【請求項17】 光学的等方性ポリマーマトリックスの
    内部に光学的異方性物質の粒子または液滴が分散してい
    る光散乱型偏光板であって、直線偏光照射によって光学
    的異方性物質の光学的異方性が発現しており、光学的等
    方性ポリマーマトリックスの屈折率と、光学的異方性物
    質の偏向方向の屈折率または偏向方向に直交する方向の
    屈折率とが実質的に等しいことを特徴とする偏光板。
  18. 【請求項18】 光学的等方性ポリマーマトリックスの
    内部に光学的異方性物質の粒子または液滴が分散してい
    る光散乱型偏光板と光吸収型偏光板とが積層されている
    偏光板であって、直線偏光照射によって光学的異方性物
    質の光学的異方性が発現しており、光学的等方性ポリマ
    ーマトリックスの屈折率と、光学的異方性物質の偏向方
    向の屈折率または偏向方向に直交する方向の屈折率とが
    実質的に等しく、光散乱型偏光板の透過軸と光吸収型偏
    光板の透過軸とが実質的に平行であることを特徴とする
    偏光板。
  19. 【請求項19】 λ/4板、光学的等方性ポリマーマト
    リックスの内部に光学的異方性物質の粒子または液滴が
    分散している光散乱型偏光板、そして、光吸収型偏光板
    がこの順に積層されている偏光板であって、直線偏光照
    射によって光学的異方性物質の光学的異方性が発現して
    おり、光学的等方性ポリマーマトリックスの屈折率と、
    光学的異方性物質の偏向方向の屈折率または偏向方向に
    直交する方向の屈折率とが実質的に等しく、光散乱型偏
    光板の透過軸と光吸収型偏光板の透過軸とが実質的に平
    行であり、そして、これらの透過軸とλ/4板の遅相軸
    との角度が、実質的に45゜であることを特徴とする偏
    光板。
  20. 【請求項20】 バックライトおよび偏光板を備えた液
    晶表示装置であって、偏光板が、光学的等方性ポリマー
    マトリックスの内部に光学的異方性物質の粒子または液
    滴が分散している光散乱型偏光板と光吸収型偏光板とか
    らなり、直線偏光照射によって光学的異方性物質の光学
    的異方性が発現しており、光学的等方性ポリマーマトリ
    ックスの屈折率と、光学的異方性物質の偏向方向の屈折
    率または偏向方向に直交する方向の屈折率とが実質的に
    等しく、光散乱型偏光板の透過軸と光吸収型偏光板の透
    過軸とが実質的に平行であり、そして光吸収型偏光板が
    液晶セル側となるように配置されていることを特徴とす
    る液晶表示装置。
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