JPH10321025A - 円偏光分離層、光学素子、偏光光源装置及び液晶表示装置 - Google Patents

円偏光分離層、光学素子、偏光光源装置及び液晶表示装置

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JPH10321025A
JPH10321025A JP9145783A JP14578397A JPH10321025A JP H10321025 A JPH10321025 A JP H10321025A JP 9145783 A JP9145783 A JP 9145783A JP 14578397 A JP14578397 A JP 14578397A JP H10321025 A JPH10321025 A JP H10321025A
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直樹 高橋
Hironori Motomura
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正面輝度に寄与する垂直入射光の透過円偏光
特性を害することなく、斜め透過の楕円偏光を低減し、
かつその楕円偏光を正面輝度の向上に寄与しうる光に変
換できる円偏光分離層の開発。 【解決手段】 反射光の中心波長の相違が20nm以内の
コレステリック液晶層からなるベース層(11,13)
の間に、偏光状態を変化させる媒体(12,14)を配
置してなる円偏光分離層。 【効果】 垂直入射光は重畳の各コレステリック液晶層
を所定の円偏光として垂直透過し、一方のベース層を斜
め透過した楕円偏光は他方のベース層で全反射され、そ
の全反射光が再利用されて円偏光分離層より液晶表示装
置等の良視認に有効な正面方向の光とし出射し、正面輝
度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、光利用効率に優れて高輝
度の偏光光源装置や良視認の液晶表示装置を形成しうる
円偏光分離層及びそれを用いた光学素子に関する。
【0002】
【背景技術】従来、自然光を左右の円偏光に反射と透過
を介して分離するコレステリック液晶層からなる円偏光
分離層を用いた偏光光源が知られていた(特開昭59−
127019号公報、特開昭61−122626号公
報、特開昭63−121821号公報、特開平3−45
906号公報、特開平6−324333号公報、、特開
平7−35925号公報、特開平7−36025号公報
特開平7−36032号公報)。
【0003】しかしながら、円偏光分離層に垂直(正
面)入射した光は左右一方の円偏光として透過するもの
の、斜め入射した光は楕円偏光として透過し、これは1
/4波長板を介しても円偏光の如く直線偏光とならずに
楕円偏光状態を維持するため、偏光板に吸収される成分
を含有して光利用効率に乏しい問題点があった。
【0004】また円偏光分離層を斜め透過した楕円偏光
は、色変化を受けるため液晶表示装置等に適用した場合
に視角変化による色変化として視認性を低下させる光と
なると共に、円偏光分離層より垂直出射して液晶表示装
置等の良視認の確保に有効な正面輝度の向上に寄与しな
い問題点があった。
【0005】
【発明の技術的課題】本発明は、正面輝度に寄与する垂
直入射光の透過円偏光特性を害することなく、斜め透過
の楕円偏光を低減し、かつその楕円偏光を正面輝度の向
上に寄与しうる光に変換できる円偏光分離層の開発を課
題とする。
【0006】
【課題の解決手段】本発明は、反射光の中心波長の相違
が20nm以内のコレステリック液晶層からなるベース層
の間に、偏光状態を変化させる媒体を配置したことを特
徴とする円偏光分離層を提供するものである。
【0007】
【発明の効果】本発明によれば、垂直入射光は重畳の各
コレステリック液晶層を所定の円偏光として垂直透過し
て正面輝度の向上に寄与する。一方、片側のベース層を
斜め透過し、偏光状態を変化させる媒体に斜め入射した
楕円偏光は、その媒体を透過することにより偏光特性の
変換を受け、その一部の偏光の回転方向が逆転して次の
ベース層に斜め入射する際に全反射され、円偏光分離層
の透過が遮られる。前記の結果、正面輝度に寄与する垂
直入射光の透過円偏光特性を害することなく、液晶表示
装置等に適用した場合に視角変化による色変化として視
認性を低下させる斜め透過の楕円偏光を低減することが
できる。
【0008】他方、前記で全反射された偏光は、戻り光
として偏光状態を変化させる媒体を再透過する際に偏光
特性が再度逆転して入射側のベース層を透過し、円偏光
分離層より出射する。この出射光は、反射層を介し反射
させて再度円偏光分離層に入射させ、その間に拡散層を
介して拡散させることにより、その一部を円偏光分離層
に垂直入射させて正面方向の光として取り出すことがで
きる。その結果、一方のベース層を斜め透過した楕円偏
光を他方のベース層による全反射で透過を遮りつつ、そ
の全反射光を再利用して円偏光分離層より液晶表示装置
等の良視認に有効な正面方向の光が得られ、正面輝度を
向上させることができる。前記の結果、かかる円偏光分
離層を用いて光利用効率に優れる、特に正面輝度に優れ
る偏光光源装置を形成することができ、また1/4波長
板や偏光板等と組合せて明るくて視認性に優れる液晶表
示装置を得ることができる。
【0009】
【発明の実施形態】本発明の円偏光分離層は、反射光の
中心波長の相違が20nm以内のコレステリック液晶層か
らなるベース層の間に、偏光状態を変化させる媒体を配
置したものからなる。その例を図1(a)〜(d)に示
した。1が円偏光分離層であり、11,13がベース
層、12,14が偏光状態を変化させる媒体、15,1
6が外側配置のコレステリック液晶層である。
【0010】コレステリック液晶層としては、グランジ
ャン配向により自然光を透過光と反射光として左右の円
偏光に分離する適宜なものを用いうる。ちなみにその具
体例としては、コレステリック液晶相を有する層、就中
コレステリック相を呈する液晶ポリマーからなる層を有
するシートや当該層をガラス板等の上に展開したシー
ト、あるいはコレステリック相を呈する液晶ポリマーか
らなるフィルムなどがあげられる。従ってコレステリッ
ク液晶層は、必要に応じ支持基材上に支持された状態で
重畳されていてもよい。
【0011】前記においてコレステリック液晶層は、可
及的に均一に配向していることが好ましい。均一配向の
コレステリック液晶層は、散乱のない反射光を提供し
て、液晶表示装置等の視野角の拡大に有利であり、特に
斜め方向からも直接観察される直視型液晶表示装置等の
形成に適している。
【0012】本発明による円偏光分離層は、反射光の中
心波長の相違が20nm以内のコレステリック液晶層から
なるベース層の間に、偏光状態を変化させる媒体を配置
して重畳することにより形成することができる。これに
より、一方のベース層を斜め透過した光の一部を他方の
ベース層を介して全反射させることが可能となる。その
全反射の達成性などの点より好ましいベース層間におけ
る反射光の中心波長の相違は、15nm以内、就中10nm
以内、特に5nm以内である。なお前記した反射光の中心
波長の相違が20nmを超えると、全反射条件を満足する
ベース層関係を形成しにくくなり、斜め入射光が透過し
やすくなる。
【0013】ベース層間に配置する、偏光状態を変化さ
せる媒体としては、例えば1/4波長板や1/2波長板
などの位相差板の如く偏光状態を変化させうる適宜なも
のを用いうる。就中、透過光の波長域を拡大する点など
より、コレステリック液晶層、特に反射光の中心波長が
少なくとも一方のベース層のそれと80nm以上相違する
コレステリック液晶層が好ましい。すなわち単層のコレ
ステリック液晶層では通例、選択反射性(円偏光二色
性)を示す波長域に限界があり、その限界は約100nm
の波長域に及ぶ広い範囲の場合もあるが、その波長範囲
でも液晶表示装置等に適用する場合に望まれる可視光の
全域には及ばないから、選択反射性(反射波長域)の異
なるコレステリック液晶層を重畳させて円偏光二色性を
示す波長域を拡大させ、可視光域の全域ないし可及的に
全域を反射波長域化する点よりコレステリック液晶層が
好ましく用いうる。
【0014】ベース層間に配置する偏光状態を変化させ
る媒体は、1層又は2層以上であってよい。ベース層間
に偏光状態を変化させる媒体として2層以上のコレステ
リック液晶層を配置する場合には、前記の点より反射波
長域、就中、反射光の中心波長が異なるコレステリック
液晶層の組合せとすることが好ましい。なおベース層間
には、偏光状態を変化させる媒体以外の適宜な光透過層
を配置してもよく、その光透過層は光学機能層であって
もよい。
【0015】また偏光状態を変化させる媒体としては、
一方のベース層を斜め透過した光の一部を他方のベース
層を介して全反射させる点などより、斜め透過光に対し
1/2波長板機能を示すものが好ましい。かかる1/2
波長板機能は、ベース層間に配置する偏光状態を変化さ
せる媒体の一部又は全体で達成されてよい。すなわち偏
光状態を変化させる媒体が1層の場合には、その1層が
1/2波長板機能を示すことが求められるが、偏光状態
を変化させる媒体が2層以上の場合には、その1層又は
2層以上がそれぞれ1/2波長板機能を示すものであっ
てもよいし、2層以上の全体で1/2波長板機能を示す
ものであってもよい。
【0016】なお上記のコレステリック液晶層の重畳に
よる反射波長域の拡大は、図1(c)、(d)に例示の
如く、ベース層11、13の外側に反射光の中心波長が
ベース層のそれと80nm以上相違するコレステリック液
晶層15,16を配置する方式にても達成することがで
きる。その場合、コレステリック液晶層はベース層の一
方又は両方に1層又は2層以上を重畳することができ
る。そしてこの場合にも、ベース層の一方又は両方に合
計2層以上のコレステリック液晶層を重畳するときに
は、反射波長域、就中、反射光の中心波長が異なるもの
の組合せとすることが好ましい。
【0017】上記において、重畳するコレステリック液
晶層は、各層で反射される円偏光の位相状態を揃えて各
波長域で異なる偏光状態となることを防止し、利用でき
る状態の偏光を増量する点より、同じ方向の円偏光を反
射するもの同士の組合せで用いることが好ましく、ベー
ス層間では全反射を達成するために同じ方向の円偏光を
反射するもの同士の組合せで用いることが必要である。
またコレステリック液晶層は、一方のベース層を除き反
射光の中心波長に基づいてその波長順序で重畳されてい
ることが大視野角時の波長シフトを抑制する点などより
好ましい。
【0018】コレステリック液晶には、適宜なものを用
いてよく、特に限定はない。従って、液晶配向性を付与
する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主
鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型などの種々のもの
を用いうる。位相差の大きいコレステリック液晶分子ほ
ど選択反射の波長域が広くなり、大視野角時の波長シフ
トに対する余裕などの点より好ましく用いうる。また重
さや自立性等の点よりは液晶ポリマーが好ましく用いう
る。さらに、その液晶ポリマーとしては、取扱い性や実
用温度での配向の安定性などの点より、ガラス転移温度
が30〜150℃のものが好ましく用いうる。
【0019】ちなみに、前記した主鎖型の液晶ポリマー
の例としては、屈曲性を付与するスペーサ部を必要に応
じ介してパラ置換環状化合物等からなるメソゲン基を結
合した構造を有する、例えばポリエステル系やポリアミ
ド系、ポリカーボネート系やポリエステルイミド系など
のポリマーがあげられる。
【0020】また側鎖型の液晶ポリマーの例としては、
ポリアクリレートやポリメタクリレート、ポリシロキサ
ンやポリマロネート等を主鎖骨格とし、側鎖として共役
性の原子団からなるスペーサ部を必要に応じ介してパラ
置換環状化合物等からなる低分子液晶化合物(メソゲン
部)を有するもの、低分子カイラル剤含有のネマチック
系液晶ポリマー、キラル成分導入の液晶ポリマー、ネマ
チック系とコレステリック系の混合液晶ポリマーなどが
あげられる。
【0021】前記の如く、例えばアゾメチン形やアゾ
形、アゾキシ形やエステル形、ビフェニル形やフェニル
シクロヘキサン形、ビシクロヘキサン形の如きパラ置換
芳香族単位やパラ置換シクロヘキシル環単位などからな
るネマチック配向性を付与するパラ置換環状化合物を有
するものにても、不斉炭素を有する化合物等からなる適
宜なキラル成分や低分子カイラル剤等を導入する方式な
どによりコレステリック配向性のものとすることができ
る(特開昭55−21479号公報、米国特許明細書第
5332522号等)。なおパラ置換環状化合物におけ
るパラ位における末端置換基は、例えばシアノ基やアル
キル基、アルコキシ基などの適宜なものであってよい。
【0022】またスペーサ部としては、屈曲性を示す例
えばポリメチレン鎖−(CH2n−やポリオキシメチレ
ン鎖−(CH2CH2O)m−などがあげられる。スペー
サ部を形成する構造単位の繰返し数は、メソゲン部の化
学構造等により適宜に決定され、一般にはポリメチレン
鎖の場合にはnが0〜20、就中2〜12、ポリオキシ
メチレン鎖の場合にはmが0〜10、就中1〜3であ
る。
【0023】なお上記した主鎖型液晶ポリマーの調製は
例えば、成分モノマーをラジカル重合方式やカチオン重
合方式やアニオン重合方式等により共重合させる、通例
のポリマー合成に準じた適宜な方式で行うことができ
る。また側鎖型液晶ポリマーの調製も例えば、アクリル
酸やメタクリル酸のエステルの如きビニル系主鎖形成用
モノマーに必要に応じスペーサ基を介してメソゲン基を
導入したモノマーをラジカル重合法等によりポリマー化
するモノマー付加重合方式や、ポリオキシメチルシリレ
ンのSi−H結合を介し白金系触媒の存在下にビニル置
換メソゲンモノマーを付加反応させる方式、主鎖ポリマ
ーに付与した官能基を介し相関移動触媒を用いたエステ
ル化反応によりメソゲン基を導入する方式や、マロン酸
の一部に必要に応じスペーサ基を介してメソゲン基を導
入したモノマーとジオールとを重縮合反応させる方式な
どの適宜な方式で行うことができる。
【0024】上記において、成膜性や良好なモノドメイ
ン状態のグランジャン配向性、配向処理の短時間性やガ
ラス状態への安定した固定性、コレステリック相の螺旋
ピッチの制御性、薄くて軽くピッチ等の配向状態が実用
温度で変化しにくく、耐久性や保存安定性に優れる円偏
光分離層の形成性などの点より好ましく用いうる液晶ポ
リマーは、下記の一般式(a)で表わされるモノマー単
位と、一般式(b)で表わされるモノマー単位を成分と
する共重合体、就中、一般式(a)のモノマー単位60
〜95重量%と、一般式(b)のモノマー単位40〜5
重量%からなる共重合体を成分とするものである(特願
平7−251818号)。
【0025】一般式(a): (ただし、R1は水素又はメチル基、mは1〜6の整
数、X1はCO2基又はOCO基であり、p及びqは1又
は2で、かつp+q=3を満足する。) 一般式(b): (ただし、R2は水素又はメチル基、nは1〜6の整
数、X2はCO2基又はOCO基、X3は−CO−R3又は
−R4であり、そのR34であり、R5は下記のものである。)
【0026】前記の一般式(a)、一般式(b)で表わ
されるモノマー単位を形成しうるアクリル系モノマー
は、適宜な方法で合成することができる。その例として
は、先ずエチレンクロロヒドリンと4−ヒドロキシ安息
香酸を、ヨウ化カリウムを触媒としてアルカリ水溶液中
で加熱還流させてヒドロキシカルボン酸を得た後、それ
をアクリル酸又はメタクリル酸と脱水反応させて(メ
タ)アクリレートとし、その(メタ)アクリレートを4
−シアノ−4'−ヒドロキシビフェニルでDCC(ジシ
クロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(ジメチルア
ミノピリジン)の存在下にエステル化することにより一
般式(a)に属するモノマーを得る方法があげれる。
【0027】また、一般式(b)に属するアクリル系モ
ノマーの合成例としては、先ずヒドロキシアルキルハラ
イドと4−ヒドロキシ安息香酸を、ヨウ化カリウムを触
媒としてアルカリ水溶液中で加熱還流させてヒドロキシ
カルボン酸を得た後、それをアクリル酸又はメタクリル
酸と脱水反応させて(メタ)アクリレートとしその(メ
タ)アクリレートを、4位にR3基含有のCO基を有す
るフェノールでDCCとDMAPの存在下にエステル化
する方法や、前記の脱水反応後その(メタ)アクリレー
トを4位に不斉炭素基を有するフェノールでDCCとD
MAPの存在下にエステル化する方法などがあげられ
る。
【0028】従って、前記の一般式(a)や一般式
(b)に属する他のモノマーも、目的の導入基を有する
適宜な原料を用いて上記に準じて合成することができ
る。なお前記の4位にR3基含有のCO基を有するフェ
ノールは、例えば先ずクロロ蟻酸メチルと4−ヒドロキ
シ安息香酸をアルカリ水溶液中で反応させてカルボン酸
とし、それをオキサリルクロリドで酸クロライドとした
後、ピリジン/テトラヒドロフラン中でH−R3と反応
させてR3基を導入し、ついでそれをアンモニア水で処
理して保護基を除去する方法などにより、また4位に不
斉炭素基を有するフェノールは、例えば4−ヒドロキシ
ベンズアルデヒドと(S)−(−)−1−フェニルエチ
ルアミンをトルエン中で共沸脱水する方法などにより得
ることができる。
【0029】上記した共重合体は、その一般式(b)で
表わされるモノマー単位の含有率を変えることでコレス
テリック液晶の螺旋ピッチを変化させることができる。
従って、一般式(b)で表わされるモノマー単位の含有
率の制御で円偏光二色性を示す波長を調節でき、可視光
域の光に対して円偏光二色性を示す光学素子も容易に得
ることができる。
【0030】液晶ポリマーによるコレステリック液晶層
の形成は、従来の配向処理に準じた方法で行うことがで
きる。ちなみにその例としては、支持基材上にポリイミ
ドやポリビニルアルコール、ポリエステルやポリアリレ
ート、ポリアミドイミドやポリエーテルイミド等の膜を
形成してレーヨン布等でラビング処理した配向膜、又は
SiOの斜方蒸着層、又は延伸処理による配向膜等から
なる適宜な配向膜の上に液晶ポリマーを展開してガラス
転移温度以上、等方相転移温度未満に加熱し、液晶ポリ
マー分子がグランジャン配向した状態でガラス転移温度
未満に冷却してガラス状態とし、当該配向が固定化され
た固化層を形成する方法などがあげられる。
【0031】前記の支持基材としては、例えばトリアセ
チルセルロースやポリビニルアルコール、ポリイミドや
ポリアリレート、ポリエステルやポリカーボネート、ポ
リスルホンやポリエーテルスルホン、アモルファスポリ
オレフィンや変性アクリル系ポリマー、エポキシ系樹脂
の如きプラスチックからなる単層又は積層フイルム、あ
るいはガラス板などの適宜なものを用いうる。薄型化等
の点よりは、プラスチックフィルムが好ましく、また偏
光状態の変化の防止による光の利用効率の向上などの点
よりは複屈折による位相差が可及的に小さいものが好ま
しい。
【0032】液晶ポリマーの展開は、例えば液晶ポリマ
ーの溶媒による溶液をスピンコート法やロールコート
法、フローコート法やプリント法、ディップコート法や
流延成膜法、バーコート法やグラビア印刷法等の適宜な
方法で薄層展開し、それを必要に応じ乾燥処理する方法
などにより行うことができる。前記の溶媒としては、例
えば塩化メチレンやシクロヘキサノン、トリクロロエチ
レンやテトラクロロエタン、N−メチルピロリドンやテ
トラヒドロフランなどの適宜なものを用いうる。
【0033】また液晶ポリマーの加熱溶融物、好ましく
は等方相を呈する状態の加熱溶融物を前記に準じ展開
し、必要に応じその溶融温度を維持しつつ更に薄層に展
開して固化させる方法などの、溶媒を使用しない方法、
従って作業環境の衛生性等が良好な方法によっても液晶
ポリマーを展開させることができる。なお液晶ポリマー
の展開に際しては、薄型化等を目的に必要に応じて配向
膜を介したコレステリック液晶層の重畳方式なども採る
ことができる。
【0034】液晶ポリマーの展開層を配向させるための
加熱処理は、上記した如く液晶ポリマーのガラス転移温
度から等方相転移温度までの温度範囲、すなわち液晶ポ
リマーが液晶相を呈する温度範囲に加熱することにより
行うことができる。また配向状態の固定化は、ガラス転
移温度未満に冷却することで行うことができ、その冷却
条件については特に限定はない。通例、前記の加熱処理
を300℃以下の温度で行いうることから、自然冷却方
式が一般に採られる。
【0035】支持基材上に形成した液晶ポリマーの固化
層は、支持基材との一体物としてそのまま円偏光分離層
に用いうるし、支持基材より剥離してフィルム等からな
る円偏光分離層として用いることもできる。フィルム等
からなる支持基材との一体物として形成する場合には、
偏光の状態変化の防止性などの点より、位相差が可及的
に小さい支持基材を用いることが好ましい。
【0036】コレステリック液晶層の厚さは、配向の乱
れや透過率低下の防止、選択反射の波長範囲(反射波長
域)の広さなどの点より、0.5〜50μm、就中1〜
30μm、特に1.5〜10μmが好ましい。また円偏光
分離層の薄型化等の点より2層のコレステリック液晶層
の合計厚が1〜50μm、就中2〜30μm、特に3〜1
0μmであることが好ましい。さらに支持基材を有する
場合には、その基材を含めた合計厚が20〜200μ
m、就中25〜150μm、特に30〜100μmである
ことが好ましい。円偏光分離層の形成に際しては、コレ
ステリック液晶層に安定剤や可塑剤、あるいは金属類な
どからなる種々の添加剤を必要に応じて配合することが
できる。
【0037】本発明において用いる円偏光分離層は、例
えば低分子量体からなるコレステリック液晶層をガラス
やフィルム等の透明基材で挾持したセル形態、液晶ポリ
マーからなるコレステリック液晶層を透明基材で支持し
た形態、コレステリック液晶層の液晶ポリマーフィルム
からなる形態、それらの形態物を適宜な組合せで重畳し
た形態などの適宜な形態とすることができる。
【0038】前記の場合、コレステリック液晶層をその
強度や操作性などに応じて1層又は2層以上の支持基材
で保持することもできる。2層以上の支持基材を用いる
場合には、偏光の状態変化を防止する点などより例えば
無配向のフィルムや、配向しても複屈折の小さいトリア
セテートフィルムなどの如く位相差が可及的に小さいも
のが好ましく用いうる。薄型化等の点より好ましい形態
は、透明基材で支持した形態や液晶ポリマーのフィルム
からなる形態などである。
【0039】本発明による円偏光分離層は、ベース層と
なるコレステリック液晶層を反射光の中心波長が異なる
組合せで2対以上含む状態に形成することもできる。な
おコレステリック液晶層の重畳には、製造効率や薄膜化
などの点より液晶ポリマーの使用が特に有利である。重
畳処理は、単なる重ね置きや、粘着剤等の接着剤を介し
た接着などの適宜な方式を採ることができる。
【0040】本発明においては、円偏光分離層に対して
拡散層や1/4波長板や偏光板等の適宜な光学層の1種
又は2種以上を配置して種々の光学素子を形成すること
ができる。その例を図2、図3、図4に示した。2が拡
散層、3が1/4波長板、4が偏光板である。
【0041】拡散層は、上記したように斜め入射光を円
偏光分離層のベース層で全反射させてなる戻り光の進路
変更を目的とし、この場合には円偏光分離層の光源光入
射側に設けられる。拡散層は、例えば粒子分散樹脂層の
形成方式、サンドブラストや化学エッチング等の表面凹
凸化処理による方式、機械的ストレスや溶剤処理等によ
るクレイズ発生方式、所定の拡散構造を設けた金型によ
る転写形成方式などの任意な方式で、円偏光分離層への
塗布層や拡散シートなどとして適宜に形成することがで
きる。
【0042】また拡散層は、光学素子からの出射光を平
準化して明暗ムラを抑制し、液晶セルに適用した場合に
画素との干渉でモアレによるギラギラした視認が生じる
ことの防止などを目的に配置することもできる。この場
合には、円偏光分離層の1/4波長板付設側やそれに設
けた1/4波長板や偏光板の間、あるいは偏光板の上面
などの、円偏光分離層や1/4波長板や偏光板等に隣接
した適宜な位置に1層又は2層以上を配置することがで
きる。円偏光分離層より出射した光の偏光状態の維持性
などの点より好ましく用いうる拡散層は、位相差が波長
633nmの垂直入射光、好ましくは入射角30度以内の
入射光に基づいて30nm以下、就中0〜20nmのもので
ある。
【0043】1/4波長板は、直線偏光変換手段として
機能するものであり、円偏光分離層より出射した円偏光
が1/4波長板に入射して位相変化を受け、その位相変
化が1/4波長に相当する波長の光は直線偏光に変換さ
れ、他の波長光は楕円偏光に変換される。変換された楕
円偏光は、前記の直線偏光に変換された光の波長に近い
ほど扁平な楕円偏光となる。かかる結果、偏光板を透過
しうる直線偏光成分を多く含む状態の光が1/4波長板
より出射されることとなる。
【0044】従って図例の如く1/4波長板3は、円偏
光分離層1の光出射側に配置される。なおコレステリッ
ク液晶層が一方のベース層を除き反射光の中心波長の順
序で重畳されているいる場合には、上記した波長シフト
の抑制などの点よりその長波長のコレステリック液晶層
側を光出射側とすることが好ましい。前記の如く1/4
波長板を介して直線偏光成分の多い状態に変換すること
により、偏光板を透過しやすい光とすることができる。
この偏光板は、例えば液晶表示装置の場合、液晶セルに
対する視野角の変化で発生する偏光特性の低下を防止し
て表示品位を維持する光学層や、より高度な偏光度を実
現して、よりよい表示品位を達成する光学層などとして
機能するものである。
【0045】すなわち前記において、偏光板を用いず
に、円偏光分離層よりの出射偏光をそのまま液晶セルに
入射させて表示を達成することは可能であるが、偏光板
を介することで前記した表示品位の向上等をはかりうる
ことから必要に応じて偏光板が用いられる。その場合
に、偏光板に対する透過率の高いほど表示の明るさの点
より有利であり、その透過率は偏光板の偏光軸(透過
軸)と一致する偏光方向の直線偏光成分を多く含むほど
高くなるので、それを目的に直線偏光変換手段を介して
円偏光分離層よりの出射偏光を所定の直線偏光に変換す
るものである。
【0046】1/4波長板としては、円偏光分離層より
出射した円偏光を、1/4波長の位相差に相当して直線
偏光を多く形成しうると共に、他の波長の光を前記直線
偏光と可及的にパラレルな方向に長径方向を有し、かつ
可及的に直線偏光に近い扁平な楕円偏光に変換しうるも
のが好ましい。かかる1/4波長板を用いることによ
り、その出射光の直線偏光方向や楕円偏光の長径方向が
偏光板の透過軸と可及的に平行になるように配置して、
偏光板を透過しうる直線偏光成分の多い状態の光を得る
ことができる。
【0047】1/4波長板は、1層又は2層以上の位相
差板の重畳層として形成することができる。1層の位相
差板からなる1/4波長板の場合には、複屈折の波長分
散が小さいものほど波長毎の偏光状態の均一化をはかる
ことができて好ましい。一方、位相差板の重畳化は、波
長域における波長特性の改良に有効であり、その組合せ
は波長域などに応じて適宜に決定してよい。
【0048】ちなみに可視光域の光に対し波長範囲や変
換効率等の点より好ましく用いうる単層型の1/4波長
板としては、その位相差が小さいもの、就中100〜1
80nm、特に110〜150nm以下の位相差を与えるも
のである。また2層以上の位相差板からなる1/4波長
板とする場合には、100〜180nmの位相差を与える
層を1層以上の奇数層で含む、200nm以上の位相差を
与える層との組合せとすることが波長特性等の点より好
ましい。
【0049】1/4波長板を形成する位相差板は、適宜
な材質で形成でき、透明で均一な位相差を与えるものが
好ましい。一般には、例えばポリカーボネートやポリス
ルホン、ポリエステルやポリメチルメタクリレート、ポ
リアミドやポリビニールアルコール等の適宜なプラスチ
ックからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィ
ルムなどが用いられる。
【0050】上記の図4に例示の如く1/4波長板3の
上には必要に応じて偏光板4を設けることができる。か
かる形態の光学素子は、その偏光板を液晶セルの光源側
の偏光板として利用することができる。また偏光板は、
円偏光分離層に1/4波長板を介することなく配置して
もよく、この場合には円偏光分離層を透過した円偏光を
偏光板を介し直接直線偏光化する。
【0051】偏光板としては、適宜なものを用いうるが
一般には、偏光フィルムからなるものが用いられる。偏
光フィルムの例としては、ポリビニルアルコール系や部
分ホルマール化ポリビニルアルコール系、エチレン・酢
酸ビニル共重合体系部分ケン化物の如き親水性高分子の
フィルムにヨウ素等の二色性染料を吸着させて延伸した
もの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビ
ニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルムなどが
あげられる。
【0052】円偏光分離層に付設する偏光板としては、
二色性染料を含有するタイプのものが偏光度等の点より
特に好ましく用いられる。偏光フィルムの厚さは通例5
〜80μmであるが、これに限定されない。用いる偏光
板は、偏光フィルムの片面又は両面を透明保護層等で被
覆したものなどであってもよい。
【0053】本発明による円偏光分離層や光学素子は、
偏光光源装置の形成に好ましく用いうる。偏光光源装置
の形成は、光源の上に円偏光分離層や光学素子を配置す
ることにより行うことができる。なお図2の如く外表面
に拡散層2を有する光学素子の場合にはその拡散層側に
光源が配置され、図3や図4の如く円偏光分離層が1/
4波長板3等を有する場合には、その1/4波長板等を
有しない側に光源が配置される。
【0054】図5に偏光光源装置5の例を示した。これ
は、円偏光分離層を光学素子として用いた場合を示して
おり、51が導光板、52が光源である。導光板51
は、側面に配置した光源52からの入射光を上面(円偏
光分離層側)より出射して光源52と一体的に機能し、
円偏光分離層に対して光を供給する光源として機能する
ものである。
【0055】前記の偏光光源装置5によれば、光源52
からの入射光が導光板51の上面より出射し、その垂直
方向の光は、出射面側に配置した円偏光分離層1に入射
して左右一方の円偏光が透過し、他方の円偏光が反射さ
れて戻り光として導光板51に再入射する。導光板に再
入射した光は、下面の反射層54で反射されて再び円偏
光分離層1に入射し、透過光と反射光(再々入射光)に
再度分離される。
【0056】一方、円偏光分離層1に斜め入射して上記
したベース層で全反射された戻り光も、導光板下面の反
射層54に入射して反射され、再び拡散層2を介して円
偏光分離層1に入射する。その場合、再入射光の一部は
拡散層2を介した拡散で円偏光分離層に垂直入射しうる
光に変換され、前記した垂直方向の光と同様に挙動す
る。残る光は、再び斜め入射光として挙動する。従って
斜め入射光の戻り光の内、拡散で円偏光分離層に垂直入
射しうる光に変換される割合が多いほど正面輝度を向上
させることができる。
【0057】上記のように偏光光源装置における光源と
しては、光利用効率の向上などの点より、側面に配置し
た光源からの入射光を上下面の一方より出射する導光板
型のものが好ましく用いられる。その導光板としては、
適宜なものを用いうるが一般には、いずれか一方が出射
面となる上下面、及び上下面間の少なくとも一側面から
なる入射面を有する板状物からなるものが用いられる。
【0058】導光板の形態は、出射面よりの出射効率に
優れその出射光が出射面に対する垂直性に優れて有効利
用しやすく、また円偏光分離層を介した再入射光の出射
効率にも優れてその出射方向の初期出射方向との近似性
などの点より、微細なプリズム状凹凸、就中、長辺面と
短辺面からなる凸部又は凹部を周期的に有する構造が好
ましい(特願平7−321036号)。さらに入射面に
対向する側端部の厚さが入射面のそれよりも薄いもの、
就中50%以下の厚さであるものが好ましい。
【0059】前記の入射面に対する対向側端部の薄型化
は、入射面より入射した光が伝送端としての当該対向側
端部に至るまでに、プリズム状凹凸面の短辺面に効率よ
く入射し、その反射を介し出射面より出射して入射光を
目的面に効率よく供給できる点で有利である。またかか
る薄型化構造とすることで導光板を軽量化でき、例えば
プリズム状凹凸面が直線状の場合、均一厚の導光板の約
75%の重量とすることができる。
【0060】プリズム状凹凸面における凸部又は凹部の
ピッチは、出射光がその凸部又は凹部を介し通例ストラ
イプ状に放出されるため明暗ムラの抑制や液晶セルとの
モアレの防止などの点より小さいほど好ましい。製造精
度等を考慮した好ましい凸部又は凹部の周期は、500
μm以下、就中300μm以下、特に5〜200μmであ
る。
【0061】導光板は、光源の波長領域に応じそれに透
明性を示す適宜な材料にて形成しうる。ちなみに可視光
域では、例えばポリメチルメタクリレートの如きアクリ
ル系樹脂、ポリカーボネートやポリカーボネート・ポリ
スチレン共重合体の如きポリカーボネート系樹脂、エポ
キシ系樹脂等で代表される透明樹脂やガラスなどの如く
約400〜700nmの波長範囲で透明性を示すものがあ
げられる。
【0062】導光板は、適宜な方法で形成したものであ
ってよい。量産性等の点より好ましい製造方法として
は、例えば熱や紫外線ないし放射線等で重合処理しうる
液状樹脂を、所定のプリズム状凹凸を形成しうる型に充
填ないし流延して重合処理する方法や、熱可塑性樹脂を
所定のプリズム状凹凸を形成しうる金型に加熱下に押付
けて形状を転写する方法、加熱溶融させた熱可塑性樹脂
あるいは熱や溶媒を介して流動化させた樹脂を所定の形
状に成形しうる金型に充填する射出成形等の方法などが
あげられる。
【0063】導光板は、例えば光の伝送を担う導光部に
プリズム状凹凸面形成用のシートを接着したものの如
く、異種材料の積層体などとして形成されていてもよ
く、1種の材料による一体的単層物として形成されてい
る必要はない。上記した導光板では、短辺面と長辺面の
面積比や傾斜角、プリズム状凹凸面の形状や曲率等の制
御に基づいて出射光の角度分布や面内分布等の特性を調
節することができる。
【0064】導光板の厚さは、使用目的による導光板の
サイズや光源の大きさなどにより適宜に決定することが
できる。液晶表示装置等に用いる場合の導光板の一般的
な厚さは、その入射面に基づき20mm以下、就中0.1
〜10mm、特に0.5〜8mmである。
【0065】導光板の出射面の対向面に配置する反射層
54は、メッキ層や金属蒸着層、金属箔や金属蒸着シー
ト、メッキシートなどにより適宜に形成でき、導光板の
当該対向面に一体化されていてもよいし、反射シート等
として重ね合されていてもよく、本発明にては適宜な配
置形態を採ることができる。反射を介して円偏光を反転
させる点よりは金属反射面が好ましい。
【0066】また反射層の表面に例えば微細凹凸構造を
付与するなどして光拡散型の反射層とした場合には、円
偏光分離層のベース層を介して全反射させた戻り光を拡
散させるための拡散層を省略した形態の偏光光源装置と
することもできる。この場合には、当該光拡散型の反射
層に前記戻り光の拡散による進路変更を兼ねさせること
ができる。
【0067】導光板型の光源は、図5に例示の如く通
例、導光板51の入射面に光源52を配置することによ
り形成される。その光源としては適宜なものを用いうる
が、例えば(冷,熱)陰極管等の線状光源や発光ダイオ
ード等の点光源、あるいはその線状又は面状等のアレイ
体などが好ましく用いうる。当該バックライトの形成に
際しては、必要に応じて図例の如く、線状光源からの発
散光を導光板の側面に導くために光源を包囲する光源ホ
ルダ53や、光の出射方向制御用のプリズムシートなど
の適宜な補助手段を配置した組合せ体とすることもでき
る。
【0068】偏光光源装置の形成に好ましく用いうる導
光板は、側面よりの入射光を高い効率で出射面より出射
させ、その出射光が高い指向性、就中、出射面に対する
垂直性に優れる指向性を示すと共に、円偏光分離層を介
した再入射光の再出射効率に優れ、その再出射光の指向
性と出射角度が初期出射光の指向性と出射角度に可及的
に一致し、かつ円偏光分離層を介した再入射光を少ない
反射繰返し数で、就中、反射の繰返しなく出射するよう
にしたものである。
【0069】上記のように本発明による偏光光源装置
は、円偏光分離層による反射光(再入射光)を偏光変換
による出射光として再利用することで反射ロス等を防止
し、その出射光を必要に応じ1/4波長板等を介し直線
偏光成分をリッチに含む光状態に変換して偏光板を透過
しやすくし吸収ロスを防止すると共に、円偏光分離層の
ベース層を介して全反射させた戻り光の一部を拡散によ
り進路変更させて円偏光分離層より再度出射させて光利
用効率の向上、特に正面輝度の向上を図るようにしたも
のである。
【0070】従って本発明による偏光光源装置は、上記
の如く光の利用効率に優れて明るく、出射光の垂直性に
優れて明暗ムラの少ない光を提供し、大面積化等も容易
であることより液晶表示装置等におけるバックライトシ
ステムなどとして種々の装置に好ましく用いることがで
きる。
【0071】図6に本発明による偏光光源装置5をバッ
クライトシステムに用いた液晶表示装置6を例示した。
61が液晶セル、62が上側の偏光板、63が拡散板で
ある。下側の偏光板4や拡散板63は必要に応じて設け
られる。液晶表示装置は一般に、液晶シャッタとして機
能する液晶セルとそれに付随の駆動装置、偏光板、バッ
クライト、及び必要に応じての補償用位相差板等の構成
部品を適宜に組立てることなどにより形成される。本発
明においては、上記した偏光光源装置を用いる点を除い
て特に限定はなく、従来に準じて形成することができ
る。特に、直視型の液晶表示装置を好ましく形成するこ
とができる。
【0072】従って用いる液晶セルについては特に限定
はなく、適宜なものを用いうる。就中、偏光状態の光を
液晶セルに入射させて表示を行うものに有利に用いら
れ、例えばツイストネマチック液晶やスーパーツイスト
ネマチック液晶を用いた液晶セル等に好ましく用いうる
が、非ツイスト系の液晶や二色性染料を液晶中に分散さ
せたゲストホスト系の液晶、あるいは強誘電性液晶を用
いた液晶セルなどにも用いうる。液晶の駆動方式につい
ても特に限定はない。
【0073】なお高度な直線偏光の入射による良好なコ
ントラスト比の表示を得る点よりは偏光板として、特に
バックライト側の偏光板として、上記した如く例えばヨ
ウ素系や染料系の吸収型直線偏光子などの如く偏光度の
高いものを用いた液晶表示装置が好ましい。液晶表示装
置の形成に際しては、例えば視認側の偏光板の上に設け
る拡散板やアンチグレア層、反射防止膜や保護層や保護
板、あるいは液晶セルと偏光板の間に設ける補償用位相
差板などの適宜な光学層を適宜に配置することができ
る。
【0074】前記の補償用位相差板は、複屈折の波長依
存性などを補償して視認性の向上等をはかることを目的
とするものである。本発明においては、視認側又は/及
びバックライト側の偏光板と液晶セルの間等に必要に応
じて配置される。なお補償用位相差板としては、波長域
などに応じて適宜なものを用いることができ、1層又は
2層以上の重畳層として形成されていてよい。補償用位
相差板は、上記した直線偏光変換用の位相差板で例示の
延伸フィルムなどとして得ることができる。
【0075】本発明において、上記した偏光光源装置や
液晶表示装置を形成する光学素子ないし部品は、全体的
又は部分的に積層一体化されて固着されていてもよい
し、分離容易な状態に配置したものであってもよい。
【0076】
【実施例】
参考例 ガラス転移温度が異なる4種のアクリル系主鎖の側鎖型
コレステリック液晶ポリマーを、厚さ30μmのトリア
セチルセルロースフィルムのポリイミドラビング処理面
にスピンコート方式で成膜後(厚さ2μm)、所定温度
に加熱して急冷し、鏡面状の選択反射状態を呈して左円
偏光を透過し、選択反射の中心波長が470nm、550
nm、640nm又は770nmである4種のコレステリック
液晶層を得た。
【0077】実施例1 参考例で得た選択反射の中心波長が640nmのコレステ
リック液晶層からなるベース層の間に、選択反射の中心
波長が470nmと550nmのコレステリック液晶層を配
置して接着積層し、円偏光分離板を得た。
【0078】次に、前記の円偏光分離板における選択反
射の中心波長が550nmのコレステリック液晶層に近い
側に、正面位相差が140nmの1/4波長板を接着し、
その1/4波長板の上に直線偏光面に透過軸を一致させ
て偏光板を接着し、光学素子を得た。
【0079】実施例2 実施例1に準じて、選択反射の中心波長が470nm、5
50nm、640nm、470nm、550nm、640nmの6
層のコレステリック液晶層を当該順序で順次積層した円
偏光分離板を得、それを用いて光学素子を得た。
【0080】実施例3 実施例1に準じて、選択反射の中心波長が470nm、5
50nm、640nm、770nm、470nm、550nm、6
40nmの7層のコレステリック液晶層を当該順序で順次
積層した円偏光分離板を得、それを用いて光学素子を得
た。
【0081】比較例1 実施例1に準じて、選択反射の中心波長が470nm、5
50nm、640nmの3層のコレステリック液晶層を当該
順序で順次積層した円偏光分離板を得、それを用いて光
学素子を得た。
【0082】比較例2 実施例1に準じて、選択反射の中心波長が470nm、5
50nm、640nm、770nmの4層のコレステリック液
晶層を当該順序で順次積層した円偏光分離板を得、それ
を用いて光学素子を得た。
【0083】評価試験 下面に微細プリズム構造を形成した導光板の側面に直径
3mmの冷陰極管を配置し、銀蒸着のポリエステルフィル
ムからなる光源ホルダにて冷陰極管を包囲し、導光板の
下面に銀蒸着のポリエステルフィルムからなる反射シー
トを配置してなるサイドライト型の面光源装置の上面
に、シリカ粒子を含有して表面が微細凹凸構造の拡散シ
ートを配置し、その上に実施例、比較例で得た光学素子
をその偏光板を上側にして配置し、偏光光源装置を得
た。
【0084】次に、前記の偏光光源装置における偏光板
の上面に、市販のTFT型液晶パネルを配置して液晶表
示装置を得、輝度計(トプコン社製、BM−5)を用い
てバックライト点灯時のパネル垂直方向における正面輝
度を調べた。結果を次表に示した。
【0085】
【図面の簡単な説明】
【図1】円偏光分離層例の断面図
【図2】光学素子例の断面図
【図3】他の光学素子例の断面図
【図4】さらに他の光学素子例の断面図
【図5】偏光光源装置例の断面図
【図6】液晶表示装置例の断面図
【符号の説明】
1:円偏光分離層 11,13:コレステリック液晶層からなるベース層 12,14:偏光状態を変化させる媒体 15,16:コレステリック液晶層からなる外部配置層 2:拡散層 3:1/4波長板 4:偏光板 5:偏光光源装置 51:導光板 52:光源 54:反射層 6:液晶表示装置

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反射光の中心波長の相違が20nm以内の
    コレステリック液晶層からなるベース層の間に、偏光状
    態を変化させる媒体を配置したことを特徴とする円偏光
    分離層。
  2. 【請求項2】 請求項1において、偏光状態を変化させ
    る媒体が1層又は2層以上のコレステリック液晶層から
    なり、そのコレステリック液晶層の反射光の中心波長
    が、少なくとも一方のベース層のそれと80nm以上相違
    するものである円偏光分離層。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、一方又は両方
    のベース層の外側に反射光の中心波長がベース層のそれ
    と80nm以上相違する1層又は2層以上のコレステリッ
    ク液晶層を有する円偏光分離層。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3において、ベース層間に
    配置のコレステリック液晶層が斜め透過光に対し1/2
    波長板機能を示すものである円偏光分離層。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4に記載の円偏光分離層の一
    方に拡散層を有することを特徴とする光学素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4に記載の円偏光分離層の一
    方に1/4波長板を有することを特徴とする光学素子。
  7. 【請求項7】 請求項6において、1/4波長板の上側
    に、二色性染料含有の偏光板を有する光学素子。
  8. 【請求項8】 反射層を有する光源の上方に、請求項1
    〜4に記載の円偏光分離層又は請求項5〜7に記載の光
    学素子を有することを特徴とする偏光光源装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の偏光光源装置における
    円偏光分離層の上方に液晶セルを有することを特徴とす
    る液晶表示装置。
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