JP2001239438A - 工作機械の熱変位補正方法、その装置、記憶媒体、及び工作機械における加工方法 - Google Patents

工作機械の熱変位補正方法、その装置、記憶媒体、及び工作機械における加工方法

Info

Publication number
JP2001239438A
JP2001239438A JP2000051742A JP2000051742A JP2001239438A JP 2001239438 A JP2001239438 A JP 2001239438A JP 2000051742 A JP2000051742 A JP 2000051742A JP 2000051742 A JP2000051742 A JP 2000051742A JP 2001239438 A JP2001239438 A JP 2001239438A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermal displacement
displacement
workpiece
machine tool
coordinates
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000051742A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideji Suzuki
秀治 鈴木
Hisashi Ukai
久 鵜飼
Haruhisa Yamashita
晴央 山下
Tadashi Yamashita
忠司 山下
Toshiyuki Suzuki
敏之 鈴木
Takayuki Suzuki
孝幸 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Enshu Ltd
Original Assignee
Enshu Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Enshu Ltd filed Critical Enshu Ltd
Priority to JP2000051742A priority Critical patent/JP2001239438A/ja
Publication of JP2001239438A publication Critical patent/JP2001239438A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、工作機械の熱変位を直接的
に非接触計測して、高精度且つ高速にワークを加工する
工作機械の熱変位補正方法、その装置、記憶媒体、及び
工作機械における加工方法を提供することである。 【解決手段】 主軸5の位置座標を非接触に検出する発
光部11、及び受光部12と、ワークWの加工前に検出
された主軸5の位置座標に基づいて熱変位補正時に座標
系を補正する基準となる基準座標を算出する変位座標出
力部16と、この基準座標を記憶する基準座標記憶部1
7と、ワークWの加工後に検出された主軸5の位置座標
に基づいて熱変位後の変位座標を算出する変位座標出力
部16と、基準座標と変位座標に基づいてワークWの加
工後における主軸5の熱変位補正値を算出する変位演算
部18と、この熱変位補正値に基づいて座標系を補正す
る補正指令部19aと、を備える構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械の熱変位
によるワークの加工誤差を低減する工作機械の熱変位補
正方法、その装置、記憶媒体、及び工作機械における加
工方法に係り、詳細には、熱変位を直接的に非接触計測
して加工精度を高める技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、金属材料を切削、研削、せん断す
ることにより、所要の形状、寸法、表面精度の製品を得
ることを目的とした工作機械が利用されている。この様
な工作機械の高速化、高機能化に伴い、メーカを対象と
する品質管理、品質保証の国際規格であるISO(Inte
rnational Organization for Standardization)に工具
を把持する主軸の熱変位測定を義務付ける項目が追加さ
れる等、工作機械の熱変位測定、及び補正が重要視され
ている。
【0003】この様な熱変位の主な発生要因として、例
えば主軸の回転や移動速度の変化に伴う機体の発熱、冷
暖房の使用による外気温の急激な変化等が挙げられる。
機体の発熱は、特にワーク加工の初期段階において顕著
であり、主軸を移動させるボールネジを膨張させるた
め、加工精度に影響を与える。また、工作機械の継続運
転に伴い、切粉対策として使用される大量の水溶性切削
油温が上昇することも要因の1つとして挙げられる。
【0004】これらの加工熱は、機体を構成する各部分
に伝わり機体を変形させる。加工熱は機体の熱伝導度や
設置環境等によって不均等なため、工作機械は各部分毎
に熱膨張が不均一となり歪む様に熱変形する。この熱変
形の偏差はワークの加工精度の悪化に直結するため、熱
変位対策は製品の品質を管理、維持する上で不可欠であ
る。しかし、機体の材質が鉄や合金等の鋳物である以
上、この様な熱変位を構造的に抑えることには限界があ
る。
【0005】そこで、従来より温度センサ、タッチセン
サ等を利用した熱変位補正方法が提案されている。例え
ば、温度センサによる熱変位補正では、熱変位の発生要
因に応じて分割した工作機械の各部分に温度変化を検出
する温度センサを配設し、機械運転に伴う温度変化を測
定する。その測定結果から機体の変形を想定する演算式
を作り、XYZ軸方向の熱変位として出力した値に基づ
いて熱変位補正を行う。
【0006】この様な熱変位補正装置として、例えば、
特開平8−215983号公報において、温度センサの
熱特性を利用した工作機械の熱変位補正方法、及びその
装置が開示されている。この熱変位補正方法では、発熱
の影響を受ける機体の温度変化を検出する温度センサの
熱特性を、主軸の熱変位時定数に一致する様に感度調節
し、温度センサの出力に対応する熱変位を計測する。そ
して、この熱変位と実熱変位との誤差を温度センサの出
力に伴うタイムラグを含んで演算し、演算結果に熱変位
に加算した合計値を用いてZ軸方向の移動量を補正す
る。
【0007】また、タッチセンサによる熱変位補正で
は、図19に示す様に主軸50を加工位置からタッチセ
ンサTまで〜の過程を経て移動させることにより、
熱変位の計測を行う。すなわち、ワークとそれを固定す
る治具は、通常載置台上の大部分を占有する。このた
め、主軸50は加工の妨げとならない様に、ワーク及び
治具を避けて可動領域A内の縁端部に設置されたタッチ
センサTに向かう。主軸50は、垂直移動、水平移動を
繰り返して移動することにより、タッチセンサTに接触
し、〜と逆の経路で再び加工位置に戻る。タッチセ
ンサTはこの動作を定期的に繰り返して熱変位を補正
し、工作機械の加工精度を高める。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
工作機械の熱変位補正方法、及び装置では、以下のよう
な問題があった。温度センサによる熱変位補正では、外
気温の変化や運転負荷等を含めた熱変位を完全に予測す
ることは事実上不可能であり、誤った予測により逆に精
度が低下することがあった。また、外気温度に適した機
体の熱変位時定数は、工作機械の構成に応じた実験を重
ねて確立された所定の演算式に基づいて、間接的に算出
されるため、精度の高い熱変位補正値を求めることは困
難だった。
【0009】更に、精度を向上させるために機体に多数
の温度センサを設置するが、切粉やクーラントの冷却液
の侵入を防止するため、設置する位置やスペースの確保
に様々な制約があった。また、多数の温度センサを取付
けても、演算回路の複雑化、運転負荷の増加等の問題が
あり、理想的な環境下での機械運用は難しかった。
【0010】タッチセンサによる熱変位補正では、主軸
の往復時間分ワークの加工を中断させたり、タッチセン
サへの衝突を緩和するため、主軸を減速させる必要があ
る。このため、主軸の長距離移動、速度低下等に伴い、
1回当りの熱変位測定に通常10秒程度の時間を要す
る。これは、測定回数が増加するに従ってワーク加工の
生産性に大きな影響を与える。
【0011】ワークの加工前に工作機械の慣らし運転を
行う方法も考え得るが、運転時間がロスタイムとなる。
また、ワーク加工中に機械が停止すると、主軸や載置台
を移動させるボールネジが冷めて縮むため、再度慣らし
運転をしなければならない。更に、加工の種類、設置環
境等に応じて、工作機械の熱変位が異なるため、状況に
応じた専用の慣らし運転を行うためには、事前に大量の
データを収集する必要があった。
【0012】本発明の課題は、工作機械に発生する熱変
位を直接的に非接触計測することで、実測熱変位データ
をリアルタイムに収集し、この実測熱変位データにより
高精度なワーク加工を可能とした工作機械の新規な熱変
位補正方法を提供することを第1の目的とする。更に、
上記実測熱変位データにより工作機械の熱変位補正方法
を実施するための熱変位補正装置を提供することを第2
の目的とする。更に、上記熱変位補正方法を合理的に実
施するプログラムコードを格納した記憶媒体を提供する
ことを第3の目的とする。そして、上記熱変位補正方法
を実施することで複数のワーク加工のサイクルタイムの
短縮化を可能とした加工方法を提供することを第4の目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
め、請求項1記載の発明は、被加工物(例えば、図1の
ワークW)を加工する工具(例えば、図1の工具7)を
備え、前記被加工物を所定の座標系に基づき相対的に移
動させて、工具により前記被加工物を加工する工作機械
(例えば、図1の工作機械100)の熱変位補正方法
(例えば、図3の熱変位補正処理)において、前記被加
工物の加工前と加工後における前記工作機械の熱変位す
る所定部分の位置座標に基づいて、加工後における前記
所定部分の熱変位補正値を算出する補正値算出工程(例
えば、図3のステップS4〜S14)と、前記補正値算
出工程にて算出された熱変位補正値に基づいて、前記座
標系を補正する補正工程(例えば、図3のステップS1
5)と、を含むことを特徴とする。
【0014】請求項1記載の発明によれば、被加工物を
加工する工具を備え、前記被加工物を所定の座標系に基
づき相対的に移動させて、工具により前記被加工物を加
工する工作機械の熱変位補正方法において、補正値算出
工程にて前記被加工物の加工前と加工後における前記工
作機械の熱変位する所定部分の位置座標に基づいて、加
工後における前記所定部分の熱変位補正値を算出し、補
正工程にて前記補正値算出工程で算出された熱変位補正
値に基づいて、前記座標系を補正する。
【0015】請求項7記載の発明は、被加工物(例え
ば、図1のワークW)を加工する工具(例えば、図1の
工具7)を備え、前記被加工物を所定の座標系に基づき
相対的に移動させて、工具により前記被加工物を加工す
る工作機械(例えば、図1の工作機械100)の熱変位
補正装置(例えば、図1の熱変位補正装置10)におい
て、前記被加工物の加工前と加工後に、前記工作機械の
熱変位する所定部分の位置座標を検出する座標検出手段
(例えば、図1の発光部11、及び受光部12)と、前
記座標検出手段により検出された前記位置座標に基づい
て、加工後における前記所定部分の熱変位補正値を算出
する補正値算出手段(例えば、図1の変位演算部18)
と、前記補正値算出手段により算出された熱変位補正値
に基づいて、前記座標系を補正する補正手段(例えば、
図1の補正指令部19a)と、を備えることを特徴とす
る。
【0016】請求項7記載の発明によれば、被加工物を
加工する工具を備え、前記被加工物を所定の座標系に基
づき相対的に移動させて、工具により前記被加工物を加
工する工作機械の熱変位補正装置において、座標検出手
段は前記被加工物の加工前と加工後に、前記工作機械の
熱変位する所定部分の位置座標を検出し、補正値算出手
段は前記座標検出手段により検出された前記位置座標に
基づいて、加工後における前記所定部分の熱変位補正値
を算出し、補正手段は前記補正値算出手段により算出さ
れた熱変位補正値に基づいて、前記座標系を補正する。
【0017】この請求項1または7記載の発明によれ
ば、工作機械の所定部分の位置座標の移動量からその熱
変位を計測する。従って、熱変位を直接的に計測できる
ため、従来の温度センサを用いた予測演算による間接的
な熱変位計測に比べて、高精度な熱変位補正が可能とな
る。また、熱変位を非接触に計測できるため、タッチセ
ンサを用いた所定部分の移動による熱変位計測に比べ
て、高速な熱変位補正が可能となる。
【0018】請求項2記載の発明は、被加工物(例え
ば、図1のワークW)を加工する工具(例えば、図1の
工具7)を備え、前記被加工物を所定の座標系に基づき
相対的に移動させて、工具により前記被加工物を加工す
る工作機械(例えば、図1の工作機械100)の熱変位
補正方法(例えば、図3の熱変位補正処理)において、
前記工作機械の熱変位する所定部分の位置座標を非接触
に検出する座標検出工程(例えば、図4のステップS4
3)と、前記座標検出工程にて前記被加工物の加工前に
検出された前記所定部分の位置座標に基づいて、熱変位
補正時に前記座標系を補正する基準となる基準座標を算
出する基準座標算出工程(例えば、図4のステップS4
4)と、前記基準座標算出工程にて算出された基準座標
を記憶する基準座標記憶工程(例えば、図3のステップ
S5)と、前記座標検出工程にて前記被加工物の加工後
に検出された前記所定部分の位置座標に基づいて、熱変
位後の変位座標を算出する変位座標算出工程(例えば、
図3のステップS11)と、前記基準座標と前記変位座
標に基づいて、前記被加工物の加工後における前記所定
部分の熱変位補正値を算出する補正値算出工程(例え
ば、図3のステップS14)と、前記補正値算出工程に
て算出された熱変位補正値に基づいて、前記座標系を補
正する補正工程(例えば、図3のステップS15)と、
を含むことを特徴とする。
【0019】請求項2記載の発明によれば、被加工物を
加工する工具を備え、前記被加工物を所定の座標系に基
づき相対的に移動させて、工具により前記被加工物を加
工する工作機械の熱変位補正方法において、座標検出工
程にて前記工作機械の熱変位する所定部分の位置座標を
非接触に検出し、基準座標算出工程にて前記座標検出工
程にて前記被加工物の加工前に検出された前記所定部分
の位置座標に基づいて、熱変位補正時に前記座標系を補
正する基準となる基準座標を算出し、基準座標記憶工程
にて前記基準座標算出工程にて算出された基準座標を記
憶し、変位座標算出工程にて前記座標検出工程で前記被
加工物の加工後に検出された前記所定部分の位置座標に
基づいて、熱変位後の変位座標を算出し、補正値算出工
程にて前記基準座標と前記変位座標に基づいて、前記被
加工物の加工後における前記所定部分の熱変位補正値を
算出し、補正工程にて前記補正値算出工程で算出された
熱変位補正値に基づいて、前記座標系を補正する。
【0020】請求項8記載の発明は、被加工物(例え
ば、図1のワークW)を加工する工具(例えば、図1の
工具7)を備え、前記被加工物を所定の座標系に基づき
相対的に移動させて、工具により前記被加工物を加工す
る工作機械(例えば、図1の工作機械100)の熱変位
補正装置(例えば、図1の熱変位補正装置10)におい
て、前記工作機械の熱変位する所定部分(例えば、図1
の主軸5)の位置座標を非接触に検出する座標検出手段
(例えば、図1の発光部11、及び受光部12)と、前
記座標検出手段により前記被加工物の加工前に検出され
た前記所定部分の位置座標に基づいて、熱変位補正時に
前記座標系を補正する基準となる基準座標を算出する基
準座標算出手段(例えば、図1の変位座標出力部16)
と、前記基準座標算出手段により算出された基準座標を
記憶する基準座標記憶手段(例えば、図1の基準座標記
憶部17)と、前記座標検出手段により前記被加工物の
加工後に検出された前記所定部分の位置座標に基づい
て、熱変位後の変位座標を算出する変位座標算出手段
(例えば、図1の変位座標出力部16)と、前記基準座
標と前記変位座標に基づいて、前記被加工物の加工後に
おける前記所定部分の熱変位補正値を算出する補正値算
出手段(例えば、図1の変位演算部18)と、前記補正
値算出手段により算出された熱変位補正値に基づいて、
前記座標系を補正する補正手段(例えば、図1の補正指
令部19a)と、を備えることを特徴とする。
【0021】請求項8記載の発明によれば、被加工物を
加工する工具を備え、前記被加工物を所定の座標系に基
づき相対的に移動させて、工具により前記被加工物を加
工する工作機械の熱変位補正装置において、座標検出手
段は前記工作機械の熱変位する所定部分の位置座標を非
接触に検出し、基準座標算出手段は前記座標検出手段に
より前記被加工物の加工前に検出された前記所定部分の
位置座標に基づいて、熱変位補正時に前記座標系を補正
する基準となる基準座標を算出し、基準座標記憶手段は
前記基準座標算出手段により算出された基準座標を記憶
し、変位座標算出手段は前記座標検出手段により前記被
加工物の加工後に検出された前記所定部分の位置座標に
基づいて熱変位後の変位座標を算出し、補正値算出手段
は前記基準座標と前記変位座標に基づいて、前記被加工
物の加工後における前記所定部分の熱変位補正値を算出
し、補正手段は前記補正値算出手段により算出された熱
変位補正値に基づいて、前記座標系を補正する。
【0022】ここで、上記被加工物は、主として鉄また
は非鉄金属系の合金であり、例えば、鋳鉄、炭素鋼、ク
ロム鋼、銅合金、アルミニウム合金等が挙げられる。ま
た、工具用の部材としては、例えば、超硬合金、セラミ
ック、ダイヤモンド等が挙げられる。工具としては、例
えば、バイト、ドリル、フライス等が挙げられる。
【0023】また、工作機械は、主として回転運動によ
って切削、研削を行うもの、直線的往復運動によって切
削を行うものがある。前者としては、例えば、旋盤、ボ
ール盤、フライス盤、研削盤等が挙げられる。後者とし
ては、例えば、平削盤、形削盤、立削盤、歯車形削盤等
が挙げられる。
【0024】この請求項2または8記載の発明によれ
ば、所定部分の移動、回転等に伴って生じる加工熱によ
る変位を直接的に計測する機能を有する。このため、従
来の温度センサを用いた予測演算による間接的な熱変位
計測に比べて高精度な熱変位補正が可能となる。また、
非接触に検出された座標から所定部分の熱変位を計測す
る機能を有することにより、タッチセンサを用いた熱変
位計測の様に所定部分を移動させる時間を必要としな
い。このため、熱変位の単位計測時間が短くなり、計測
回数の増加に伴う加工時間の長期化を抑えた高速な熱変
位補正が可能となる。
【0025】請求項3記載の発明は、請求項2記載の工
作機械の熱変位補正方法において、前記変位座標の算出
による熱変位の計測時を所定の計測周期に到達したか否
かに基づいて決定する変位計測時決定工程(例えば、図
3のステップS9)、を更に含むことを特徴とする。
【0026】この請求項3記載の発明によれば、請求項
2記載の工作機械の熱変位補正方法において、変位計測
時決定工程にて前記変位座標の算出による熱変位の計測
時を所定の計測周期に到達したか否かに基づいて決定さ
れる。
【0027】請求項9記載の発明は、請求項8記載の工
作機械の熱変位補正装置において、前記変位座標の算出
による熱変位の計測時を所定の計測周期に到達したか否
かに基づいて決定する変位計測時決定手段(例えば、図
1の制御部2)、を更に備えることを特徴とする。
【0028】この請求項9記載の発明によれば、請求項
8記載の工作機械の熱変位補正装置において、変位計測
時決定手段は、前記変位座標の算出による熱変位の計測
時を所定の計測周期に到達したか否かに基づいて決定す
る。
【0029】この請求項3または9記載の発明によれ
ば、工作機械のユーザが自ら適切な計測時を考慮して補
正指令すること無く、常に一定の周期で熱変位を計測、
補正できる。このため、加工が比較的長時間に渡る場合
でも、安定した高精度な加工を実現できる。
【0030】更に、請求項4記載の発明のように、請求
項3記載の工作機械の熱変位補正方法において、前記変
位計測時決定工程(例えば、図3のステップS9)は、
熱変位の計測周期を、被加工物の加工完了、一定時間の
経過、前記所定部分の一定距離の移動、外気温度の変
化、機体の温度変化、切削油温の変化、前記所定部分の
温度変化等の所定条件に基づいて決定する。
【0031】更に、請求項10記載の発明のように、請
求項9記載の工作機械の熱変位補正装置において、前記
変位計測時決定手段(例えば、図1の制御部2)は、熱
変位の計測周期を、被加工物の加工完了、一定時間の経
過、前記所定部分の一定距離の移動、外気温度の変化、
機体の温度変化、切削油温の変化、前記所定部分の温度
変化等の所定条件に基づいて決定する構成としてもよ
い。
【0032】この請求項4または10記載の発明によれ
ば、工作機械の使用状態、被加工物の状態、加工内容等
の諸条件に応じて、より適切なタイミングで熱変位を計
測、補正できる。このため、加工が比較的長時間に渡る
場合でも、工作機械や被加工物の特性に合ったより高精
度な加工を実現できる。
【0033】請求項5記載の発明は、請求項2記載の工
作機械の熱変位補正方法において、前記基準座標、及び
前記変位座標の次元として、1〜3次元の中から任意の
1または複数の次元を選択する次元選択工程(例えば、
図3のステップS2)、を更に含むことを特徴とする。
【0034】この請求項5記載の発明によれば、請求項
2記載の工作機械の熱変位補正方法において、次元選択
工程にて、前記基準座標、及び前記変位座標の次元とし
て、1〜3次元の中から任意の1または複数の次元が選
択される。
【0035】請求項11記載の発明は、請求項8記載の
工作機械の熱変位補正装置において、前記基準座標、及
び前記変位座標の次元として、1〜3次元の中から任意
の1または複数の次元を選択する次元選択手段(例え
ば、図1の制御部2)、を更に備えることを特徴とす
る。
【0036】この請求項11記載の発明によれば、請求
項8記載の工作機械の熱変位補正装置において、次元選
択手段は、前記基準座標、及び前記変位座標の次元とし
て、1〜3次元の中から任意の1または複数の次元を選
択する。
【0037】なお、補正対象となる次元の選択は、工作
機械のユーザがマニュアルで指定する構成としてもよい
し、主軸や取付台の可動方向に応じて、工作機械が適切
な次元を自動選択する構成としてもよい。
【0038】この請求項5または11記載の発明によれ
ば、熱変位が予測される方向軸のみを対象とした熱変位
計測が可能となる。このため、3軸方向全ての熱変位を
計測する場合に比べて、熱変位補正の効率化、加工の高
速化を図ることができる。
【0039】更に、請求項6記載の発明のように、請求
項2記載の工作機械の熱変位補正方法において、前記座
標検出工程にて、前記所定部分の可動範囲内に有る任意
の複数点で前記所定部分の位置座標を検出してもよい。
【0040】更に、請求項14記載の発明のように、請
求項7記載の工作機械の熱変位補正装置において、前記
所定部分(例えば、図16のナット体9b)を前記工作
機械を構成する所定箇所に複数備える構成としてもよ
い。
【0041】この請求項6または14記載の発明によれ
ば、工作機械の複数点の熱変位を計測することが可能と
なり、熱変位を1点で計測する場合に比べてより高精度
に熱変位を計測できる。このため、補正精度、加工精度
を向上できる。特に、長尺の被加工物の様に部分毎に熱
変位が大きく異なる場合にその効果は顕著である。
【0042】更に、請求項12記載の発明のように、請
求項7記載の工作機械の熱変位補正装置において、前記
所定部分を前記工具が所定の位置に装着された主軸(例
えば、図1の主軸5)として構成してもよい。
【0043】この請求項12記載の発明によれば、回
転、移動に伴う熱変位の影響が大きい主軸を所定部分と
することにより、被加工物近傍の熱変位計測が可能とな
り、加工精度を一層向上できる。
【0044】更に、請求項13記載の発明のように、請
求項7記載の工作機械の熱変位補正装置において、前記
所定部分を前記被加工物を固設可能な取付台(例えば、
図13の載置台4)として構成してもよい。
【0045】この請求項13記載の発明によれば、被加
工物に直接接触する取付台を所定部分とすることによ
り、被加工物に極めて近い位置における熱変位計測が可
能となり、加工精度を一層向上できる。
【0046】更に、請求項15記載の発明のように、請
求項14記載の工作機械の熱変位補正装置において、前
記所定部分を主軸または取付台を1〜3次元の何れか1
方向に移動させる各軸移動体(例えば、図16のナット
体9b)として構成してもよい。
【0047】この請求項15記載の発明によれば、例え
ばナット体等の主軸や取付台を移動させる各軸移動体を
所定部分とし、その熱変位を直接且つ非接触に計測する
ことが可能となる。このため、可動部の熱変位をより直
接的に計測でき、1軸方向毎に個別の熱変位を計測でき
る。従って、主軸や取付台を所定部分とする場合に比べ
てより高精度な補正、加工を行うことができる。
【0048】更に、請求項16記載の発明のように、請
求項8記載の工作機械の熱変位補正装置において、前記
座標検出手段は、前記工作機械を構成する所定箇所に取
付けられ、光線を照射する発光部(例えば、図1の発光
部11)と、前記所定部分の所定の位置に取付けられ、
前記発光部から照射される光線を1点で受光する受光部
(例えば、図1の受光部12)と、から構成されるもの
としてもよい。
【0049】この請求項16記載の発明によれば、発光
部から照射される光線による各部の座標検出が可能とな
り、その座標の移動量から所定部分の熱変位を直接的に
計測できる。このため、温度センサを用いた工作機械の
様に、予測演算により熱変位を間接的に計測する場合に
比べて高精度な熱変位補正を実現できる。また、タッチ
センサを用いた熱変位計測の様に、所定部分を接触させ
る必要が無い為、所定部分への移動時間や測定時間を要
しない高速な加工が可能となる。更に、工作機械の所定
箇所に受発光部を配設するだけで座標検出手段を容易に
構成できる。
【0050】ここで、前記受光部は必ずしも所定部分に
取付けられるとは限らず、例えば、前記発光部を所定部
分に取付け、前記受光部を該発光部に略対向して位置す
る構成部分に取付けても、上記各手段または工程で熱変
位計測、及び補正は可能である。すなわち、発光部と受
光部の位置関係を逆にしても同様の効果が得られる。
【0051】更に、請求項17記載の発明のように、請
求項16記載の工作機械の熱変位補正装置において、前
記発光部(例えば、図15の発光部11)は、前記工作
機械を構成する所定の複数箇所に対を成して配設される
構成としてもよい。
【0052】この請求項17記載の発明によれば、受光
部は発光部から照射される光線を2点で受光することが
可能となり、2点の座標から演算により3次元方向の熱
変位を計測できる。このため、所定部分の移動方向に関
わらず高精度な熱変位補正を実現でき、加工精度を向上
できる。
【0053】請求項18記載の発明は、被加工物(例え
ば、図1のワークW)を加工する工具(例えば、図1の
工具7)を備え、前記被加工物を所定の座標系に基づき
相対的に移動させて、工具により前記被加工物を加工す
る工作機械(例えば、図1の工作機械100)を制御す
るためのコンピュータが実行可能なプログラムを格納し
た記憶媒体であって、前記工作機械の熱変位する所定部
分の位置座標を非接触に検出するためのプログラムコー
ドと、前記被加工物の加工前に検出された前記所定部分
の位置座標に基づいて、熱変位補正時に前記座標系を補
正する基準となる基準座標を算出するためのプログラム
コードと、前記基準座標を記憶させるためのプログラム
コードと、前記被加工物の加工後に検出された前記所定
部分の位置座標に基づいて、熱変位後の変位座標を算出
するためのプログラムコードと、前記基準座標と前記変
位座標に基づいて、前記被加工物の加工後における前記
所定部分の熱変位補正値を算出するためのプログラムコ
ードと、前記熱変位補正値に基づいて、前記座標系を補
正するためのプログラムコードと、を含むプログラムを
格納したことを特徴とする。
【0054】請求項18記載の発明の記憶媒体によれ
ば、被加工物を加工する工具を備え、前記被加工物を所
定の座標系に基づき相対的に移動させて、工具により前
記被加工物を加工する工作機械を制御するためのコンピ
ュータが実行可能なプログラムを格納した記憶媒体であ
って、前記工作機械の熱変位する所定部分の位置座標を
非接触に検出し、前記被加工物の加工前に検出された前
記所定部分の位置座標に基づいて、熱変位補正時に前記
座標系を補正する基準となる基準座標を算出し、この基
準座標を記憶させ、前記被加工物の加工後に検出された
前記所定部分の位置座標に基づいて、熱変位後の変位座
標を算出し、前記基準座標と前記変位座標に基づいて、
前記被加工物の加工後における前記所定部分の熱変位補
正値を算出し、この熱変位補正値に基づいて前記座標系
を補正する。
【0055】従って、所定部分の移動、回転等に伴って
生じる加工熱による変位を直接的に計測するプログラム
をコンピュータ上で実行できる。また、非接触に検出さ
れた座標から所定部分の熱変位を計測するプログラムを
コンピュータ上で実行できる。このため、熱変位の高精
度検出と演算処理の高速化が可能となり、被加工物を高
精度かつ高速に加工できる。
【0056】請求項19記載の発明は、被加工物を加工
する工具を備え、前記被加工物を所定の座標系に基づき
相対的に移動させて、工具により前記被加工物を加工す
る工作機械における加工方法において、前記被加工物の
加工前と加工後における、前記工作機械の熱変位する所
定部分の位置座標に基づいて、加工後における前記所定
部分の熱変位補正値を算出する補正値算出工程(例え
ば、図3のステップS4〜S14)と、前記補正値算出
工程にて算出された熱変位補正値に基づいて、前記座標
系を補正する補正工程(例えば、図3のステップS1
5)と、を含むことを特徴とする。
【0057】請求項19記載の発明の工作機械における
加工方法によれば、被加工物を加工する工具を備え、前
記被加工物を所定の座標系に基づき相対的に移動させ
て、工具により前記被加工物を加工する工作機械におけ
る加工方法において、補正値算出工程にて前記被加工物
の加工前と加工後における、前記工作機械の熱変位する
所定部分の位置座標に基づいて、加工後における前記所
定部分の熱変位補正値を算出し、補正工程にて前記補正
値算出工程で算出された熱変位補正値に基づいて、前記
座標系を補正する。
【0058】従って、所定位置の熱変位を直接的に計測
できるため、従来の温度センサを用いた予測演算による
間接的な熱変位計測に比べて、高精度な熱変位補正が可
能となり、加工精度を向上できる。また、所定位置の熱
変位を非接触に計測できるため、タッチセンサを用いた
所定部分の移動と該所定部分の接触測定による熱変位計
測に比べて、高速な熱変位検出と熱変位補正が可能とな
り、加工時間を短縮できる。特に、複数のワーク加工の
サイクルタイムの短縮化を実現できる。
【0059】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図18を参照して本
発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0060】まず、構成について説明する。図1は、本
発明を適用した一実施の形態における工作機械100を
示す正面図である。図1に示す様に工作機械100は、
制御部2、固定機体(ベッド)3、載置台(テーブル)
4、主軸5、主軸頭6、工具7により構成される。な
お、図1において、主軸5の軸線方向をZ軸とし、これ
に直交して直交座標系をなす各方向をX軸,Y軸とす
る。
【0061】制御部2は、固定機体3の右端部に立設さ
れて成り、前面部に操作パネル2a、表示パネル2bを
備える。操作パネル2aは、その表面にカーソル釦、数
字入力釦等の各種機能釦を備え、押下された釦の押下信
号を制御部2に出力する。例えば後述する熱変位補正処
理(図3参照)において、熱変位補正の対象となる座標
軸を指定する信号を制御部2へ出力する。
【0062】制御部2は、操作パネル2aから入力され
る各種指示に基づいて、記憶装置内に格納されている各
種制御プログラムの中から所定のプログラム或いはデー
タをRAM(図示略)内に一時的に格納する。また、制
御部2は、操作パネル2aからの入力指示に応じて記憶
装置内に格納されたプログラムに従って各種処理を実行
し、処理結果をRAM内に格納する。同時に、その処理
結果を表示パネル2bに表示させる。そして、RAMに
格納した処理結果を記憶装置内の所定の保存先に保存す
る。
【0063】また、制御部2は、ワーク加工プログラム
に基づいて主軸5、発光部11等の各部を集中制御する
と共に、ワークWの加工を開始または停止する。制御部
2は、例えば後述する熱変位補正処理(図3参照)にお
いて、ワーク加工プログラムを開始し、操作パネル2a
からの入力信号に基づいて補正対象軸を選択する。ま
た、制御部2は、基準座標記憶部17に記憶された各軸
の基準座標に基づいて主軸5を対応する軸方向に移動さ
せ、開閉筐体11bを開閉させる。
【0064】また、制御部2は、後述する熱変位補正処
理(図3参照)において、ワークWの種類や工作機械1
00の設置環境等の諸条件に応じて適切な熱変位計測周
期を算出し、その計測周期を適宜RAMに記憶、更新す
る。制御部2は、所定の計測周期の到達を判定し、到達
時に熱変位計測の開始を指示する信号を熱変位補正装置
10へ出力する。
【0065】固定機体3は、鉄等の鋳物から成り、制御
部2、載置台4等の各部を収容し、工作機械100の基
本部分を構成する。また、固定機体3の縁端部には、切
粉の外部への散乱を防止するスプラッシュカバー3aが
立設される。
【0066】載置台4は、固定機体3の略中央部に設け
られ、工具7によりワークWを加工可能な所定の位置に
固設される。載置台4は、左右端部2箇所に後述する1
対の発光部11が配設される。
【0067】主軸5は、略円柱状の剛性部材から成り、
載置台4の上方部に位置しZ軸方向に摺動可能な様に主
軸頭6に把持される。また、主軸5は、先端部に取替可
能な工具7が装着され、下端部1箇所の回転しない部位
に受光部12が取付けられている。主軸5は、主軸頭6
に取付けられた主軸モータ(図示略)により回転駆動さ
れ、主軸頭6のXYZ軸方向(以下、「3軸方向」と称
する。)への移動に伴って主軸頭6と共に同方向に移動
する。
【0068】主軸頭6は、機械の精度維持の為、円筒形
状の剛性部材から成る。主軸頭6は、主軸5をZ軸方向
に摺動可能な様に把持し、主軸5と共にXY軸方向に移
動可能である。すなわち、主軸頭6は、制御部2から出
力される制御信号に応じて主軸5を水平方向(XY軸方
向)または垂直方向(Z軸方向)に移動させる移動機構
である。
【0069】工具7は、ワークWの加工に十分な硬度を
有し、耐摩耗性に優れた超硬合金、セラミック等の金属
から成る刃物、砥石等から成る。工具7は、主軸5の先
端部に着脱可能に装着されワークWを切削または研削加
工する。
【0070】また、熱変位補正装置10は、発光部1
1、受光部12、電源部13、電流検出部14、電圧変
換部15、変位座標出力部16、基準座標記憶部17、
変位演算部18、NC(Numerical Control)制御部1
9より構成される。更に、NC制御部19は、補正指令
部19a、補正駆動部19bを有する。
【0071】発光部11は、図2に示す様に、発光器1
1a、開閉筐体11b、エアノズル11c、ソレノイド
11dより構成される。発光器11aは、載置台4の左
右端部2箇所に一対を成し、受光部12へのレーザ光が
照射可能な位置に固定的に配設され、受光部12に対し
てレーザ光Rを発する。
【0072】開閉筐体11bは、発光器11aを覆うケ
ース状の筐体であり、ワーク加工時に生じる切削から発
光器11aを保護する。また、開閉筐体11bは、後述
する加工処理プログラムの実行に際して所定のタイミン
グで開閉する。エアノズル11cは、発光器11aの周
囲に生じる切粉を先端部から発射される空気圧により除
去する。ソレノイド11dは、制御部2の入力信号に基
づいて所定のタイミングで開閉筐体11bを開閉させ
る。
【0073】受光部12は、PSD12a(図5参照)
を有し、発光器11aから照射される1対のレーザ光R
を1点ずつ受光する。電源部13は、発光器11aの発
光を維持するため、発光部11に電力を供給する。
【0074】電流検出部14は、PSD12aがレーザ
光Rの受光時に出力端子12eから出力される電流を検
出し電圧変換部15へ出力する。電圧変換部15は、出
力端子12eから入力される電流を電圧に変換し、その
電圧をOPアンプで演算可能に増幅して変位座標出力部
16へ出力する。
【0075】変位座標出力部16は、X軸変位座標出力
部16a、Y軸変位座標出力部16b、Z軸変位座標出
力部16cから構成される。X軸変位座標出力部16a
は、後述する変位座標の検出原理(図6参照)に従っ
て、電圧変換部15より出力される電圧値からワークW
の加工前のX軸基準座標を算出し、算出結果をX軸基準
座標記憶部17aへ出力する。
【0076】また、X軸変位座標出力部16aは、後述
する変位座標の検出原理(図6参照)に従って、電圧変
換部15より出力される電圧値からワークWの加工後の
X軸変位座標を算出し、算出結果をX軸変位演算部18
aへ出力する。この時、出力結果は座標電圧として表示
パネル2bにデジタル表示される。
【0077】同様に、Y軸変位座標出力部16bは、後
述する変位座標の検出原理(図6参照)に従って、電圧
変換部15より出力される電圧値からワークWの加工前
のY軸基準座標を算出し、算出結果をY軸基準座標記憶
部17bへ出力する。Y軸変位座標出力部16bは、後
述する変位座標の検出原理(図6参照)に従って電圧変
換部15より出力される電圧値からワークWの加工後の
Y軸変位座標を算出し、算出結果をY軸変位演算部18
bへ出力する。
【0078】同様に、Z軸変位座標出力部16cは、後
述する変位座標の検出原理(図7参照)に従って、電圧
変換部15より出力される電圧値からワークWの加工前
のZ軸基準座標を算出し、算出結果をZ軸基準座標記憶
部17cへ出力する。Z軸変位座標出力部16cは、後
述する変位座標の検出原理(図7参照)に従って電圧変
換部15より出力される電圧値からワークWの加工後の
Z軸変位座標を算出し、算出結果をZ軸変位演算部18
cへ出力する。なお、ここで算出される各座標は相対座
標であり、XYZの各方向軸は主軸5または載置台4の
移動方向、設置方向等の機械構成に応じて適宜変更可能
である。
【0079】基準座標記憶部17は、X軸基準座標記憶
部17a、Y軸基準座標記憶部17b、Z軸基準座標記
憶部17cから構成され、例えば1日、3ヶ月等の期間
毎に予め設定されたデータの書替可能な記憶装置であ
る。X軸基準座標記憶部17aは、X軸方向の熱変位算
出の基準となるX軸基準座標を常時記憶する。
【0080】同様に、Y軸基準座標記憶部17bは、Y
軸方向の熱変位算出の基準となるY軸基準座標を常時記
憶する。同様に、Z軸基準座標記憶部17cは、Z軸方
向の熱変位算出の基準となるZ軸基準座標を常時記憶す
る。
【0081】変位演算部18は、X軸変位演算部18
a、Y軸変位演算部18b、Z軸変位演算部18cから
構成される。X軸変位演算部18aは、X軸変位座標出
力部16aから出力されるX軸変位座標から、X軸基準
座標記憶部17aに記憶されるX軸基準座標を減算する
ことによりX軸方向の熱変位を計測し、両座標に変位が
有る場合、算出値を熱変位補正値として補正指令部19
aへ出力する。
【0082】同様に、Y軸変位演算部18bは、Y軸変
位座標出力部16bから出力されるY軸変位座標から、
Y軸基準座標記憶部17bに記憶されるY軸基準座標を
減算することによりY軸方向の熱変位を計測し、両座標
に変位が有る場合、算出値を熱変位補正値として補正指
令部19aへ出力する。
【0083】同様に、Z軸変位演算部18cは、Z軸変
位座標出力部16cから出力されるZ軸変位座標から、
Z軸基準座標記憶部17cに記憶されるZ軸基準座標を
減算することによりZ軸方向の熱変位を計測し、両座標
に変位が有る場合、算出値を熱変位補正値として補正指
令部19aへ出力する。
【0084】NC制御部19は、主軸5や載置台4等の
制御対象可動部の位置を自動的に制御し、補正指令部1
9a、補正駆動部19bを有する。補正指令部19a
は、変位演算部18から入力されるXYZの各軸方向毎
に算出された熱変位補正値に基づいて、主軸5を各軸方
向に移動させる基準となる座標系を補正する。
【0085】補正駆動部19bは、補正指令部19aか
ら熱変位補正の指令があると、補正指令部19aによっ
て補正された上記座標系に基づいて主軸5をサーボモー
タで移動制御させる。このため、主軸5の基準位置は常
にワーク加工前の初期値である基準座標の位置に保たれ
る。
【0086】なお、ワークWは、主として炭素鋼、クロ
ム鋼、銅合金等の鉄または非鉄金属系の合金から成る被
加工物である。ワークWは、載置台4の所定の位置に固
定的に載置され、工具7によって切削または研削加工さ
れる。
【0087】次に、図3〜図7を参照して動作を説明す
る。そして、図3〜図4は本発明に係る工作機械100
の熱変位補正処理を実行するフローチャートである。図
3は熱変位補正処理を示すフローチャートであり、図4
は主軸5の位置座標を検出する際に実行される座標算出
処理を示すフローチャートである。なお、以下のフロー
チャートにおいて基準座標は熱変位前の主軸5の座標を
表し、変位座標は熱変位後の主軸5の座標を表す。
【0088】まず、熱変位補正処理について説明する。
制御部2は、操作パネル2aから入力されるワーク加工
プログラムの開始指示に伴って、ワーク加工プログラム
を開始する(ステップS1)。次に、制御部2は、操作
パネル2aからの入力信号に基づいて、3つの軸方向
(次元)から熱変位補正の対象となる軸方向を1または
複数選択する(ステップS2)。この時、選択される軸
方向は1軸(X,Y,Z軸)、2軸(XY,YZ,ZX
軸)、3軸(XYZ軸)の中から任意に選択可能であ
る。
【0089】次に、制御部2は、主軸5を基準座標記憶
部17に予め記憶された基準座標に対応する基準位置へ
移動させる(ステップS3)。次に、制御部2は、図4
において後述する主軸5の基準座標の算出処理を実行し
(ステップS4)、変位座標出力部16で算出された基
準座標を基準座標記憶部17に記憶させる(ステップS
5)。
【0090】次に、制御部2は、ワークWの種類や工作
機械100の設置環境に応じた適切な熱変位の計測周期
を算出し(ステップS6)、算出結果に基づいてRAM
内の計測周期を更新、記憶する(ステップS7)。次
に、制御部2は、ワークWの加工を開始する(ステップ
S8)と同時に計測周期の到達待機状態に入る。
【0091】次いで、制御部2は、計測周期に到達した
か否かを判定する(ステップS9)。ここで、計測周期
に到達した場合(ステップS9;Yes)、制御部2
は、基準座標記憶部17に予め記憶された基準座標に基
づいて主軸5を基準位置へ移動させる(ステップS1
0)。なお、ステップS9において計測周期に未到達の
場合(ステップS9;No)、再度ステップS8に戻り
それ以降の処理を繰り返し実行する。
【0092】次に、熱変位補正装置10は、図4におい
て後述する主軸5の変位座標の計測処理を実行する(ス
テップS11)。すなわち、熱変位補正装置10は、電
流検出部14の出力電流を電圧変換部15で電圧に変換
後、増幅し変位座標出力部16へ変位座標として出力す
る。出力結果は座標電圧として表示パネル2bにデジタ
ル表示される。
【0093】次に、変位座標出力部16は、基準座標記
憶部17に記憶されている基準座標と、変位座標出力部
16から出力された熱変位座標と、を比較し両座標の変
位を計測する(ステップS12)。
【0094】次に、制御部2は、両座標の変位の有無を
判定し(ステップS13)、変位が有れば(ステップS
13;Yes)、変位演算部18に上記変位に基づく熱
変位補正値を算出させる(ステップS14)。次に、補
正指令部19aは、算出された補正値に基づいて主軸5
を各軸方向に移動させる際の基準となる座標系を補正す
る(ステップS15)。そして、補正駆動部19bは、
補正された座標系に基づいて主軸5の基準位置が常にワ
ーク加工前の基準座標の位置を保つ様に、主軸5を移動
制御する(ステップS16)。
【0095】そして、再度ステップS8に戻りそれ以降
の処理を実行する。なお、ステップS13において、制
御部2が両座標の変位無しと判定した場合(ステップS
13;No)、再度ステップS8に戻りそれ以降の処理
を実行する。
【0096】次に、図4を参照して主軸5の座標算出処
理について説明する。まず、制御部2は、1対の発光部
21にレーザ光Rを照射させる(ステップS41)。受
光部22は、2本のレーザ光Rを受光する(ステップS
42)と、変位座標出力部16は、レーザ光Rの受光位
置座標を検出する(ステップS43)。そして、変位座
標出力部16は、検出結果に基づいて主軸5の3軸方向
の座標(基準座標または変位座標)を算出し(ステップ
S44)、次処理へ移行する。
【0097】次に、図5を参照してPSD12aを利用
した座標検出原理について説明する。PSD(Position
Sensitive Light Detector)12aは、フォトダイオ
ードを応用した受光素子であり、受光部12に内蔵され
る。PSD12aは、スポット状のレーザ光Rの照射位
置の中心点(以下、「入射点」と称する。)を2次元的
に検出する。
【0098】図5(a)は、PSD12aを対角線で2
分した断面図である。図5(a)に示す様に、PSD1
2aは平板状の半導体基板である。表面にP層12b、
中間にI層12c、裏面にN層12dを形成した3層か
ら構成される。
【0099】図5(b)は、PSD12aの斜視図であ
る。図5(b)に示す様に、2対の電極(E1,E2)、
(E3,E4)が共にP層12b側に1対の各電極が互い
に交叉する様に形成され、各電極に挟まれた基板の表面
と裏面にそれぞれ反対導電型の抵抗層が形成されてい
る。
【0100】P層12bにレーザ光Rの光子が入射する
と、入射点には光エネルギに比例した正の電荷が生じ、
N層12dには負の電荷が生じる。発生した電荷は、光
電流としてP層12bを通過し、P層12bの対角線上
の角部2箇所に設けられた1対の電極(E1,E2)から
分割電流(I1 ,I2)として各々出力される。ここ
で、電極E1,E2間におけるP層12bの抵抗値分布は
均一である為、光電流は入射点Gから電極E1,E2まで
の各距離(抵抗値)に反比例する。
【0101】以下に、入射点GのX座標の算出方法を説
明する。電極E1,E2間の距離をL、PSD12aの電
気的中心位置をC、Cと入射点G間の距離をX、電極E
1,E2の出力電流を各々I1,I2、共通電極E0から出
力される電流をI0、とすると、I1,I2は、電極E1
2からGまでの抵抗値Rに反比例するから次式
(1)、(2)が成立する。 I1=I0(L/2−X)/L ・・・(1) I2=I0(L/2+X)/L ・・・(2)
【0102】ここで、I0=I1+I2であるから、
(1)、(2)式よりXが次式(3)の様に求まる。 X=L(I2−I1)/2(I1+I2) ・・・(3) また、同様に入射点GのY座標も次式(4)の様に求ま
る。 Y=L(I4−I3)/2(I3+I4) ・・・(4)
【0103】この様に、PSD12aは、Cを原点とす
る入射点GのX座標、Y座標を簡単な演算により検出可
能である。なお、変位座標出力部16は、2対の電極
(E1,E2)、(E3,E4)の出力電流の大きさとは無
関係に電圧変換後の比率で演算するため、入射光量の変
化による影響を受け難い正確な座標を算出できる。
【0104】次に、図6を参照してX,Y軸方向の変位
算出方法について説明する。図6において、1対の発光
部11が照射するレーザ光Rの為す受光部11側の角度
をφ、2本のレーザ光Rの入射点A,Bの座標をそれぞ
れ(XA,YA)、(XB,YB)とする。また、熱変位前
のレーザ光Rの入射点A1,B1の座標をそれぞれ
(X 1,Y1)、(X2,Y2)とし、熱変位後のレーザ光
Rの入射点A2,B2の座標をそれぞれ(X3,Y3)、
(X4,Y4)とする。
【0105】X軸方向の変位Xは、A1,B1の中点座標
から次式(5)の様に求まる。同様に、Y軸方向の変位
Yは、A2,B2の中点座標から次式(6)の様に求ま
る。 X=(X3+X4)/2−(X1+X2)/2 ・・・(5) Y=(Y3+Y4)/2−(Y1+Y2)/2 ・・・(6)
【0106】上述の原理により、工作機械100の熱変
位する所定部分である主軸5にPSD12aを取付ける
ことによって、レーザ光Rの入射点A,BのXY軸方向
の変位が求まる。この変位は主軸5自体の変位でもある
ため、主軸5のXY軸方向の熱変位補正値も同時に算出
可能である。
【0107】ここで、本実施の形態では、発光部11を
2箇所に設け、2点の入射点の中点から変位を計測する
構成としたが、発光部11を1箇所とし、1点の入射点
から変位を計測する構成としてもXY軸方向の変位は求
まる。
【0108】次に、図7を参照してZ軸方向の変位算出
方法について説明する。図7において、1対の発光部1
1が照射するレーザ光Rの為す受光部11側の角度を
φ、熱変位前の入射点A3,B3の座標をそれぞれ
(X5,Y5)、(X6,Y6)とし、熱変位後の入射点A
4,B4の座標をそれぞれ(X7,Y7)、(X8,Y8)と
する。また、X6−X5より求まるA3,B3間の距離をZ
3、X8−X7より求まるA4,B 4間の距離をZ4とする
と、Z軸方向の変位Zは、次式(7)の様に求まる。
【0109】tan(φ/2)=((Z4−Z3)/2)
÷Zより、 Z=(Z4−Z3)/2tan(φ/2) ・・・(7) すなわち、所定部分である主軸5にPSD12aを取付
けることによって、レーザ光Rの入射点A3,B3のZ軸
方向の変位が求まる。この変位は主軸5自体の変位でも
あるため、同時に主軸5のZ軸方向の熱変位補正値を算
出できる。
【0110】上述の原理により、所定部分である主軸5
にPSD12aを取付けることによって、レーザ光Rの
入射点A3,B3のZ軸方向の変位が求まる。この変位は
主軸5自体の変位でもあるため、主軸5のZ軸方向の熱
変位補正値も同時に算出可能である。
【0111】次に、図8は、熱変位の計測開始条件と計
測対象軸の対応関係を表すマトリクスを示す図である。
制御部2は、このマトリクスに基づいて図3のステップ
S6に示した計測周期の算出及び更新を行う。
【0112】図8において、◎は○と比較してより適性
度が高いことを示す。すなわち、如何なる計測開始条件
であっても1〜3次元の全座標軸の変位計測は可能であ
る。特に、外気温度の変化、機体温度の変化を計測開始
条件とする場合は、全座標軸において高精度な変位計測
を行うことができる。また、殆どの計測開始条件におい
て、全座標軸の変位計測が最適であることがわかる。
【0113】この様に、工作機械100はワークWの加
工完了、一定時間の経過、加工、工具の交換等に伴う主
軸5の一定距離の移動、外気温度の変化、固定機体3の
温度変化、切削油温度の変化、主軸5の温度変化、各軸
移動体の温度変化等の諸条件に応じて熱変位の計測周期
を適宜変更可能に構成されている。
【0114】ワークWの加工完了では、通常個数単位の
加工終了毎に計測を開始するが、ワークWのサイズに合
わせて部分加工の終了毎に計測を開始してもよい。ま
た、時間経過、距離移動、温度変化では、数値設定を任
意に変更できる構成としてもよい。更に、多様な計測開
始条件を任意に組み合わせて計測頻度を増やすことによ
り、より高精度な熱変位計測を行うことも勿論可能であ
る。
【0115】図9は、各種熱変位補正方法に応じた3軸
方向の熱変位の時間的推移を示す特性図である。図9に
おいて、横軸はワーク加工プログラムの実行開始からの
経過時間(単位:min)を表し、縦軸は各軸方向の加工
誤差(単位:μ)を表す。この図9に示す様に、温度セ
ンサを用いた従来の補正方法に比べて1/10以下とい
う高精度で熱変位補正を実施可能である。また、加工時
間の経過に伴う加工誤差の増加率も極めて小さい。
【0116】上述の様に、本発明を適用した工作機械1
00の熱変位補正装置10によれば、主軸5の回転しな
い部分に取付けられた受光部12で変位座標を検出す
る。この変位座標と予め記憶された基準座標から熱変位
を計測し、ワーク座標系の補正値を決定する。このた
め、直接的に計測された熱変位に基づいて補正制御する
ことが可能となり、温度センサを用いた予測演算による
熱変位補正方法に比べて高精度にワークWを加工でき
る。また、非接触計測された座標から簡単な演算式で相
対的な熱変位を求めるため、タッチセンサを用いた熱変
位補正方法に比べて高速にワークWを加工できる。
【0117】また、本発明の記憶媒体によれば、被加工
物を加工する工具を備え、前記被加工物を所定の座標系
に基づき相対的に移動させて、工具により前記被加工物
を加工する工作機械を制御するためのコンピュータが実
行可能なプログラムを格納した記憶媒体であって、前記
工作機械の熱変位する所定部分の位置座標を非接触に検
出し、前記被加工物の加工前に検出された前記所定部分
の位置座標に基づいて、熱変位補正時に前記座標系を補
正する基準となる基準座標を算出し、この基準座標を記
憶させ、前記被加工物の加工後に検出された前記所定部
分の位置座標に基づいて、熱変位後の変位座標を算出
し、前記基準座標と前記変位座標に基づいて、前記被加
工物の加工後における前記所定部分の熱変位補正値を算
出し、この熱変位補正値に基づいて前記座標系を補正す
る。
【0118】従って、所定部分の移動、回転等に伴って
生じる加工熱による変位を直接的に計測するプログラム
をコンピュータ上で実行できる。また、非接触に検出さ
れた座標から所定部分の熱変位を計測するプログラムを
コンピュータ上で実行できる。このため、熱変位の高精
度検出と演算処理の高速化が可能となり、被加工物を高
精度かつ高速に加工できる。
【0119】更に、本発明の工作機械における加工方法
によれば、被加工物を加工する工具を備え、前記被加工
物を所定の座標系に基づき相対的に移動させて、工具に
より前記被加工物を加工する工作機械における加工方法
において、補正値算出工程にて前記被加工物の加工前と
加工後における、前記工作機械の熱変位する所定部分の
位置座標に基づいて、加工後における前記所定部分の熱
変位補正値を算出し、補正工程にて前記補正値算出工程
で算出された熱変位補正値に基づいて、前記座標系を補
正する。
【0120】従って、所定位置の熱変位を直接的に計測
できるため、従来の温度センサを用いた予測演算による
間接的な熱変位計測に比べて、高精度な熱変位補正が可
能となり、加工精度を向上できる。また、所定位置の熱
変位を非接触に計測できるため、タッチセンサを用いた
所定部分の移動と該所定部分の接触測定による熱変位計
測に比べて、高速な熱変位検出と熱変位補正が可能とな
り、加工時間を短縮できる。特に、複数のワーク加工の
サイクルタイムの短縮化を実現できる。
【0121】以上、本発明を適用した熱変位補正装置1
0の代表的な実施の形態について説明したが、次に、図
10〜図18を参照して、上記熱変位補正処理と座標算
出処理を利用した他の実施の形態について説明する。
【0122】他の実施の形態における工作機械100の
全体構造は、上記実施の形態において詳述した工作機械
100と主要構成、及び動作を同一とするため、その細
部構成の図示及び説明は省略する。また、図10〜図1
8において、図1の工作機械100と同一の構成部分に
は同一符合を付し、特に構成、及び効果を異にする部分
について詳細に説明する。
【0123】図10は、発光部11をスプラッシュガー
ド3aの裏面に配設した工作機械110を示す図であ
る。同図(a)は正面図であり、同図(b)は平面図で
ある。両図に示す様に、1対の発光部11は主軸5を覆
うように固定機体3に立設されたスプラッシュカバー3
aの背面2箇所に配設される。また、発光部11の照射
方向には開閉板11bが設けられる。開閉板11bは、
制御部2の開閉信号に基づいて、熱変位の計測周期の到
達、終了毎に開閉動作を繰り返す。このため、発光部1
1への切粉の侵入を最小限に抑えることができる。特に
ワークWのサイズが大きい場合でも、載置台4の縁端部
に配設する場合に比べて、発光部11が主軸5の水平移
動を妨げることが少ない。
【0124】図11は、発光部11を工具マガジン8内
に配設した工作機械120を示す図である。同図(a)
は正面図であり、同図(b)は平面図である。両図に示
す様に、工具マガジン8は、加工条件に応じて交換され
る工具7を複数収納する円盤型ケースであり、固定機体
3の左端部にZ軸を中心軸として回転可能に設けられ
る。工具マガジン8は、制御部2から入力される制御信
号に基づいて、回転駆動または停止し、上記加工条件に
応じて工具7を交換する。
【0125】カバー8aは、工具マガジン8の周辺部で
発光部11の照射方向に、開閉可能に設けらる。カバー
8aは、制御部2の開閉信号に基づいて、熱変位の計測
周期の到達、終了毎に開閉動作を繰り返す。そして、1
対の発光部11は工具マガジン8の縁端部2箇所に配設
される。このため、発光器11aへの切粉の侵入を最小
限に抑えることができる。特にワークWのサイズが大き
い場合でも、載置台4の縁端部に配設する場合に比べ
て、発光部11が主軸5の水平移動を妨げることが少な
い。
【0126】また、ワークWは相対的に3軸方向に移動
可能な構成であればよい。例えば図12の工作機械13
0の様に、載置台4のXY軸方向への移動に伴ってワー
クWが移動し、主軸5はZ軸方向に移動する構成として
も同様の効果が得られる。更に、図13に示す工作機械
140の様に、発光部11と受光部12の取付位置を反
対にする構成にしても同様の効果が得られる。この様
に、発光部11は工作機械の固定部分に配設されるとは
限らず、受光部12は工作機械の可動部分に取付られる
とは限らない。
【0127】図14は、載置台4を回転可能に取付けた
工作機械150を示す図である。同図(a)は正面図で
あり、同図(b)は載置台4の外観斜視図である。両図
に示す様に、1対の発光部11が配設された載置台4は
X軸方向の回転軸Sを中心に回転可能に取付けられる。
このため、加工熱に伴う入射点のずれを補正できる。
【0128】図15は、発光部11を2対設けた工作機
械160の加工部を示す図である。同図(a)は発光部
11をワークの両端2箇所(加工開始点、停止点)に1
対ずつ取付け、受光部12を主軸5に取付けた正面図で
ある。また、同図(b)は発光部11を主軸5に取付
け、受光部12をワークの両端2箇所に取付けた正面図
である。
【0129】両図において、主軸5の基準座標は加工前
と加工後の2箇所で定まっている。このため、2箇所で
熱変位を計測することが可能となり、補正精度をより向
上できる。また、特に長尺のワークWの加工を行う場合
でも、加工精度の低下を抑えることができる。
【0130】なお、発光部11及び受光部12は3箇所
以上に設ける構成にしてもよい。例えば図16(a)
は、発光部11を3箇所に取り付けた工作機械170を
示す側面図である。同図(a)において、サーボモータ
9は工作機械170の所定の位置3箇所に設けられ、制
御部2の指令に基づいて駆動または停止することによ
り、ボールネジ9aを所定量回動させる。
【0131】ボールネジ9aは、ナット体9bをX,
Y,Zの各軸方向に摺動可能な様にサーボモータ9の回
転軸の延長線上3箇所に取付けられる。ボールネジ9a
は、サーボモータ9の駆動に伴って、各軸方向を中心に
正逆両方向に所定量回動する。ナット体9bは、主軸頭
6等の可動部の受光部側側面の略中央位置3箇所に固定
的に配設され、ボールネジ9aを回動可能に把持する。
ナット体9bは、ボールネジ9aの回動または停止に伴
って所定の軸方向に移動または停止する。
【0132】同図(b)は、発光部11の取付部分を示
す拡大図である。同図(b)に示す様に、発光部11は
ナット体9bの縁端部1箇所に取り付けられる。受光部
12は、発光部11に対向し、レーザ光Rを受光可能な
位置に取り付けられる。なお、発光部11と受光部12
の取付位置を反対にすることも勿論可能である。
【0133】このため、3軸方向の移動体の熱変位を各
々別に計測することが可能となり、演算により3軸同時
に計測する場合に比べて、より高精度な熱変位補正を実
現できる。また、ワークWの加工位置から離れた位置に
受発光部を取付けるため、シャッタ、エアノズル等の切
粉除去手段を備える必要がない。
【0134】なお、本発明は、上記実施の形態における
記述内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸
脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、図17に
示す工作機械(旋盤)180の様に回転チャック5aに
ワークWを取付け、刃物台6aにバイト7aを設ける構
成としてもよい。また、本発明は、図18に示す工作機
械190の様に主軸5、及び主軸頭6を横方向に向けて
コラム9に配置した横置型の工作機械にも適用可能であ
る。なお、ワークWは固定した治具台4aに取付けられ
ている。
【0135】また、以上の実施の形態では3軸方向の熱
変位を同時計測する構成としたが、本発明はこれに限定
されるものではない。例えば、操作パネル2aからの補
正対象軸の指定に基づいて、3軸(XYZ軸)方向の中
から任意の1軸(X,Y,Z軸)、または2軸(XY,
YZ,ZX軸)方向を選択し、選択された軸方向の熱変
位のみ計測する構成としてもよい。この場合、1または
2軸方向の熱変位計測が選択された際には、レーザ光R
を1本としても熱変位計測は可能である。
【0136】また、受光部12がレーザ光Rを1点で受
光する構成とすれば、XY軸方向の熱変位計測時に2点
の中点を求める演算が不要となり、熱変位補正値をより
高速に算出できる。更に、熱変位補正装置10は工作機
械と別体として構成してもよい。また、受発光部の取付
位置や配置数、工作機械各部の詳細動作等についても本
発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意であり、その他構成
部材の材質等についても適宜変更可能である。
【0137】
【発明の効果】請求項1記載の発明の工作機械の熱変位
補正方法によれば、工作機械の所定部分の位置座標の移
動量からその熱変位を計測する。従って、熱変位を直接
的に計測できるため、従来の温度センサを用いた予測演
算による間接的な熱変位計測に比べて、高精度な熱変位
補正が可能となる。また、熱変位を非接触に計測できる
ため、タッチセンサを用いた所定部分の移動による熱変
位計測に比べて、高速な熱変位補正が可能となる。
【0138】請求項2記載の発明の工作機械の熱変位補
正方法によれば、所定部分の移動、回転等に伴って生じ
る加工熱による変位を直接的に計測する機能を有する。
このため、従来の温度センサを用いた予測演算による間
接的な熱変位計測に比べて高精度な熱変位補正が可能と
なる。また、非接触に検出された座標から所定部分の熱
変位を計測する機能を有することにより、タッチセンサ
を用いた熱変位計測の様に所定部分を移動させる時間を
必要としない。このため、熱変位の単位計測時間が短く
なり、計測回数の増加に伴う加工時間の長期化を抑えた
高速な熱変位補正が可能となる。
【0139】請求項3記載の発明の工作機械の熱変位補
正方法によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、
工作機械のユーザが自ら適切な計測時を考慮して補正指
令すること無く、常に一定の周期で熱変位を計測、補正
できる。このため、加工が比較的長時間に渡る場合で
も、安定した高精度な加工を実現できる。
【0140】請求項4記載の発明の工作機械の熱変位補
正方法によれば、請求項3記載の発明の効果に加えて、
工作機械の使用状態、被加工物の状態、加工内容等の諸
条件に応じて、より適切なタイミングで熱変位を計測、
補正できる。このため、加工が比較的長時間に渡る場合
でも、工作機械や被加工物の特性に合ったより高精度な
加工を実現できる。
【0141】請求項5記載の発明の工作機械の熱変位補
正方法によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、
熱変位が予測される方向軸のみを対象とした熱変位計測
が可能となる。このため、3軸方向全ての熱変位を計測
する場合に比べて、熱変位補正の効率化、加工の高速化
を図ることができる。
【0142】請求項6記載の発明の工作機械の熱変位補
正方法によれば、請求項2記載の発明の効果に加えて、
工作機械の複数点の熱変位を計測することが可能とな
り、熱変位を1点で計測する場合に比べてより高精度に
熱変位を計測できる。このため、補正精度、加工精度を
向上できる。特に、長尺の被加工物の様に部分毎に熱変
位が大きく異なる場合にその効果は顕著である。
【0143】請求項7記載の発明の工作機械の熱変位補
正装置によれば、工作機械の所定部分の位置座標の移動
量からその熱変位を計測する。従って、熱変位を直接的
に計測できるため、従来の温度センサを用いた予測演算
による間接的な熱変位計測に比べて、高精度な熱変位補
正が可能となる。また、熱変位を非接触に計測できるた
め、タッチセンサを用いた所定部分の移動による熱変位
計測に比べて、高速な熱変位補正が可能となる。
【0144】請求項8記載の発明の工作機械の熱変位補
正装置によれば、所定部分の移動、回転等に伴って生じ
る加工熱による変位を直接的に計測する機能を有する。
このため、従来の温度センサを用いた予測演算による間
接的な熱変位計測に比べて高精度な熱変位補正が可能と
なる。また、非接触に検出された座標から所定部分の熱
変位を計測する機能を有することにより、タッチセンサ
を用いた熱変位計測の様に所定部分を移動させる時間を
必要としない。このため、熱変位の単位計測時間が短く
なり、計測回数の増加に伴う加工時間の長期化を抑えた
高速な熱変位補正が可能となる。
【0145】請求項9記載の発明の工作機械の熱変位補
正装置によれば、請求項8記載の発明の効果に加えて、
工作機械のユーザが自ら適切な計測時を考慮して補正指
令すること無く、常に一定の周期で熱変位を計測、補正
できる。このため、加工が比較的長時間に渡る場合で
も、安定した高精度な加工を実現できる。
【0146】請求項10記載の発明の工作機械の熱変位
補正装置によれば、請求項9記載の発明の効果に加え
て、工作機械の使用状態、被加工物の状態、加工内容等
の諸条件に応じて、より適切なタイミングで熱変位を計
測、補正できる。このため、加工が比較的長時間に渡る
場合でも、工作機械や被加工物の特性に合ったより高精
度な加工を実現できる。
【0147】請求項11記載の発明の工作機械の熱変位
補正装置によれば、請求項8記載の発明の効果に加え
て、熱変位が予測される方向軸のみを対象とした熱変位
計測が可能となる。このため、3軸方向全ての熱変位を
計測する場合に比べて、熱変位補正の効率化、加工の高
速化を図ることができる。
【0148】請求項12記載の発明の工作機械の熱変位
補正装置によれば、請求項7記載の発明の効果に加え
て、回転、移動に伴う熱変位の影響が大きい主軸を所定
部分とすることにより、被加工物近傍の熱変位計測が可
能となり、加工精度を一層向上できる。
【0149】請求項13記載の発明の工作機械の熱変位
補正装置によれば、請求項7記載の発明の効果に加え
て、被加工物に直接接触する取付台を所定部分とするこ
とにより、被加工物に極めて近い位置における熱変位計
測が可能となり、加工精度を一層向上できる。
【0150】請求項14記載の発明の工作機械の熱変位
補正装置によれば、請求項7記載の発明の効果に加え
て、所定部分が複数備えられるため、工作機械の複数点
の熱変位を計測することが可能となり、熱変位を1点で
計測する場合に比べてより高精度に熱変位を計測でき
る。このため、補正精度、加工精度を向上できる。特
に、長尺の被加工物の様に部分毎に熱変位が大きく異な
る場合にその効果は顕著である。
【0151】請求項15記載の発明の工作機械の熱変位
補正装置によれば、請求項14記載の発明の効果に加え
て、例えばナット体等の主軸や取付台を移動させる各軸
移動体を所定部分とし、その熱変位を直接且つ非接触に
計測することが可能となる。このため、可動部の熱変位
をより直接的に計測でき、1軸方向毎に個別の熱変位を
計測できる。従って、主軸や取付台を所定部分とする場
合に比べてより高精度な補正、加工を行うことができ
る。
【0152】請求項16記載の発明の工作機械の熱変位
補正装置によれば、請求項8記載の発明の効果に加え
て、発光部から照射される光線による各部の座標検出が
可能となり、その座標の移動量から所定部分の熱変位を
直接的に計測できる。このため、温度センサを用いた工
作機械の様に、予測演算により熱変位を間接的に計測す
る場合に比べて高精度な熱変位補正を実現できる。ま
た、タッチセンサを用いた熱変位計測の様に、所定部分
を接触させる必要が無い為、移動時間や測定時間を要し
ない高速な加工が可能となる。更に、工作機械の所定箇
所に受発光部を配設するだけで座標検出手段を容易に構
成できる。
【0153】請求項17記載の発明の工作機械の熱変位
補正装置によれば、請求項16記載の発明の効果に加え
て、受光部は発光部から照射される光線を2点で受光す
ることが可能となり、2点の座標から演算により3次元
方向の熱変位を計測できる。このため、所定部分の移動
方向に関わらず高精度な熱変位補正を実現でき、加工精
度を向上できる。
【0154】請求項18記載の発明の記憶媒体によれ
ば、所定部分の移動、回転等に伴って生じる加工熱によ
る変位を直接的に計測するプログラムをコンピュータ上
で実行できる。また、非接触に検出された座標から所定
部分の熱変位を計測するプログラムをコンピュータ上で
実行できる。このため、熱変位の高精度検出と演算処理
の高速化が可能となり、被加工物を高精度かつ高速に加
工できる。
【0155】請求項19記載の発明の工作機械における
加工方法によれば、所定位置の熱変位を直接的に計測で
きるため、従来の温度センサを用いた予測演算による間
接的な熱変位計測に比べて、高精度な熱変位補正が可能
となり、加工精度を向上できる。また、所定位置の熱変
位を非接触に計測できるため、タッチセンサを用いた所
定部分の移動と該所定部分の接触測定による熱変位計測
に比べて、高速な熱変位検出と熱変位補正が可能とな
り、加工時間を短縮できる。特に、複数のワーク加工の
サイクルタイムの短縮化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施の形態の工作機械の構
成を示す正面図である。
【図2】図1の発光部の構成を示す側面図である。
【図3】図1の工作機械の熱変位補正処理を示すフロー
チャートである。
【図4】図1の主軸の座標算出処理を示すフローチャー
トである。
【図5】PSDの構成を示す図であり、(a)はPSD
の構成を示す側面図であり、(b)は斜視図である。
【図6】PSDのXY軸方向の変位算出原理を示す模式
図である。
【図7】PSDのZ軸方向の変位算出原理を示す模式図
である。
【図8】熱変位の計測開始条件と計測対象軸の対応関係
を表すマトリクスを示す図である。
【図9】各種熱変位補正方法に応じた3軸方向の熱変位
の時間的推移を示す特性図である。
【図10】発光部をスプラッシュガードの裏面に配設し
た工作機械を示す図であり、(a)は正面図であり、
(b)は平面図である。
【図11】発光部を工具マガジン内部に配設した工作機
械を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平
面図である。
【図12】載置台をXY軸方向に移動可能な工作機械を
示す図である。
【図13】発光部と受光部の取付位置を反対にした工作
機械を示す図である。
【図14】載置台を回転可能に取付けた工作機械を示す
図であり、(a)は正面図であり、(b)は載置台の外
観斜視図である。
【図15】発光部を2対設けた工作機械の加工部を示す
図であり、(a)は発光部をワークの両端2箇所に取付
けた正面図であり、(b)は発光部の取付位置を反対に
した正面図である。
【図16】発光部を3箇所に取り付けた工作機械を示す
図であり、(a)は側面図であり、(b)は発光部の取
付部分の拡大図である。
【図17】主軸をワークの下方に設けた工作機械の加工
部分を示す図であり、(a)は発光部が1対の加工部分
を示す図であり、(b)は発光部が2対の加工部分を示
す図である。
【図18】本発明を適用した横置型の工作機械の側面図
である。
【図19】タッチセンサを利用した従来の熱変位補正方
法を示す図であり、(a)は主軸の側面図、(b)は平
面図である。
【符号の説明】
100 工作機械 2 制御部 2a 操作パネル 2b 表示パネル 3 固定機体 3a スプラッシュカバー 4 載置台 4a 治具 5 主軸 5a 回転チャック 6 主軸頭 6a 刃物台 7 工具 7a バイト 8 工具マガジン 8a 工具カバー 9 サーボモータ 9a ボールネジ 9b ナット体 10 熱変位補正装置 11 発光部 11a 発光器 11b 開閉筐体 11c エアノズル 11d ソレノイド 12 受光部 12a PSD 12b P層 12c I層 12d N層 12e 出力端子 13 電源部 14 電流検出部 15 電圧変換部 16 変位座標出力部 16a X軸変位座標出力部 16b Y軸変位座標出力部 16c Z軸変位座標出力部 17 基準座標記憶部 17a X軸基準座標記憶部 17b Y軸基準座標記憶部 17c Z軸基準座標記憶部 18 変位演算部 18a X軸変位演算部 18b Y軸変位演算部 18c Z軸変位演算部 19 NC制御部 19a 補正指令部 19b 補正駆動部 R レーザ光 S 回転軸 T タッチセンサ W ワーク
フロントページの続き (72)発明者 山下 晴央 静岡県浜松市高塚町4888番地 エンシュウ 株式会社内 (72)発明者 山下 忠司 静岡県浜松市高塚町4888番地 エンシュウ 株式会社内 (72)発明者 鈴木 敏之 静岡県浜松市高塚町4888番地 エンシュウ 株式会社内 (72)発明者 鈴木 孝幸 静岡県浜松市高塚町4888番地 エンシュウ 株式会社内 Fターム(参考) 3C001 KA05 KB10 TA02 TB10 5H269 AB01 AB26 CC02 DD01 EE05 FF06 NN07 QC01 QC03 9A001 BB02 BB03 HH34 JJ46 KK37 KK54 LL09

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被加工物を加工する工具を備え、前記被加
    工物を所定の座標系に基づき相対的に移動させて、工具
    により前記被加工物を加工する工作機械の熱変位補正方
    法において、 前記被加工物の加工前と加工後における、前記工作機械
    の熱変位する所定部分の位置座標に基づいて、加工後に
    おける前記所定部分の熱変位補正値を算出する補正値算
    出工程と、 前記補正値算出工程にて算出された熱変位補正値に基づ
    いて、前記座標系を補正する補正工程と、 を含むことを特徴とする工作機械の熱変位補正方法。
  2. 【請求項2】被加工物を加工する工具を備え、前記被加
    工物を所定の座標系に基づき相対的に移動させて、工具
    により前記被加工物を加工する工作機械の熱変位補正方
    法において、 前記工作機械の熱変位する所定部分の位置座標を非接触
    に検出する座標検出工程と、 前記座標検出工程にて前記被加工物の加工前に検出され
    た前記所定部分の位置座標に基づいて、熱変位補正時に
    前記座標系を補正する基準となる基準座標を算出する基
    準座標算出工程と、 前記基準座標算出工程にて算出された基準座標を記憶す
    る基準座標記憶工程と、 前記座標検出工程にて前記被加工物の加工後に検出され
    た前記所定部分の位置座標に基づいて、熱変位後の変位
    座標を算出する変位座標算出工程と、 前記基準座標と前記変位座標に基づいて、前記被加工物
    の加工後における前記所定部分の熱変位補正値を算出す
    る補正値算出工程と、 前記補正値算出工程にて算出された熱変位補正値に基づ
    いて、前記座標系を補正する補正工程と、 を含むことを特徴とする工作機械の熱変位補正方法。
  3. 【請求項3】前記変位座標の算出による熱変位の計測時
    を所定の計測周期に到達したか否かに基づいて決定する
    変位計測時決定工程、 を更に含むことを特徴とする請求項2記載の工作機械の
    熱変位補正方法。
  4. 【請求項4】前記変位計測時決定工程は、熱変位の計測
    周期を、被加工物の加工完了、一定時間の経過、前記所
    定部分の一定距離の移動、外気温度の変化、機体の温度
    変化、切削油温の変化、前記所定部分の温度変化等の諸
    条件の中から少なくとも1つの条件に基づいて決定する
    ことを特徴とする請求項3記載の工作機械の熱変位補正
    方法。
  5. 【請求項5】前記基準座標、及び前記変位座標の次元と
    して、1〜3次元の中から任意の1または複数の次元を
    選択する次元選択工程、 を更に含むことを特徴とする請求項2記載の工作機械の
    熱変位補正方法。
  6. 【請求項6】前記座標検出工程は、前記所定部分の可動
    範囲内の任意の複数点にて前記所定部分の位置座標を検
    出することを特徴とする請求項2記載の工作機械の熱変
    位補正方法。
  7. 【請求項7】被加工物を加工する工具を備え、前記被加
    工物を所定の座標系に基づき相対的に移動させて、工具
    により前記被加工物を加工する工作機械の熱変位補正装
    置において、 前記被加工物の加工前と加工後に、前記工作機械の熱変
    位する所定部分の位置座標を検出する座標検出手段と、 前記座標検出手段により検出された前記位置座標に基づ
    いて、加工後における前記所定部分の熱変位補正値を算
    出する補正値算出手段と、 前記補正値算出手段により算出された熱変位補正値に基
    づいて、前記座標系を補正する補正手段と、 を備えることを特徴とする工作機械の熱変位補正装置。
  8. 【請求項8】被加工物を加工する工具を備え、前記被加
    工物を所定の座標系に基づき相対的に移動させて、工具
    により前記被加工物を加工する工作機械の熱変位補正装
    置において、 前記工作機械の熱変位する所定部分の位置座標を非接触
    に検出する座標検出手段と、 前記座標検出手段により前記被加工物の加工前に検出さ
    れた前記所定部分の位置座標に基づいて、熱変位補正時
    に前記座標系を補正する基準となる基準座標を算出する
    基準座標算出手段と、 前記基準座標算出手段により算出された基準座標を記憶
    する基準座標記憶手段と、 前記座標検出手段により前記被加工物の加工後に検出さ
    れた前記所定部分の位置座標に基づいて、熱変位後の変
    位座標を算出する変位座標算出手段と、 前記基準座標と前記変位座標に基づいて、前記被加工物
    の加工後における前記所定部分の熱変位補正値を算出す
    る補正値算出手段と、 前記補正値算出手段により算出された熱変位補正値に基
    づいて、前記座標系を補正する補正手段と、 を備えることを特徴とする工作機械の熱変位補正装置。
  9. 【請求項9】前記変位座標の算出による熱変位の計測時
    を所定の計測周期に到達したか否かに基づいて決定する
    変位計測時決定手段、 を更に備えることを特徴とする請求項8記載の工作機械
    の熱変位補正装置。
  10. 【請求項10】前記変位計測時決定手段は、熱変位の計
    測周期を、被加工物の加工完了、一定時間の経過、前記
    所定部分の一定距離の移動、外気温度の変化、機体の温
    度変化、切削油温の変化、前記所定部分の温度変化等の
    諸条件の中から少なくとも1つの条件に基づいて決定す
    ることを特徴とする請求項9記載の工作機械の熱変位補
    正装置。
  11. 【請求項11】前記基準座標、及び前記変位座標の次元
    として、1〜3次元の中から任意の1または複数の次元
    を選択する次元選択手段、 を更に備えることを特徴とする請求項8記載の工作機械
    の熱変位補正装置。
  12. 【請求項12】前記所定部分は、前記工具が所定の位置
    に装着された主軸であることを特徴とする請求項7記載
    の工作機械の熱変位補正装置。
  13. 【請求項13】前記所定部分は、前記被加工物を固設可
    能な取付台であることを特徴とする請求項7記載の工作
    機械の熱変位補正装置。
  14. 【請求項14】前記所定部分は、前記工作機械を構成す
    る所定箇所に複数備えられることを特徴とする請求項7
    記載の工作機械の熱変位補正装置。
  15. 【請求項15】前記所定部分は、主軸または取付台を1
    〜3次元の何れか1方向に移動させる各軸移動体である
    ことを特徴とする請求項14記載の工作機械の熱変位補
    正装置。
  16. 【請求項16】前記座標検出手段は、前記工作機械を構
    成する所定箇所に取付けられ、光線を照射する発光部
    と、前記所定部分の所定の位置に取付けられ、前記発光
    部から照射される光線を1点で受光する受光部と、から
    構成されることを特徴とする請求項8記載の工作機械の
    熱変位補正装置。
  17. 【請求項17】前記発光部は、前記工作機械を構成する
    所定の複数箇所に対を成して配設されることを特徴とす
    る請求項16記載の工作機械の熱変位補正装置。
  18. 【請求項18】被加工物を加工する工具を備え、前記被
    加工物を所定の座標系に基づき相対的に移動させて、工
    具により前記被加工物を加工する工作機械を制御するた
    めのコンピュータが実行可能なプログラムを格納した記
    憶媒体であって、 前記工作機械の熱変位する所定部分の位置座標を非接触
    に検出するためのプログラムコードと、 前記被加工物の加工前に検出された前記所定部分の位置
    座標に基づいて、熱変位補正時に前記座標系を補正する
    基準となる基準座標を算出するためのプログラムコード
    と、 前記基準座標を記憶させるためのプログラムコードと、 前記被加工物の加工後に検出された前記所定部分の位置
    座標に基づいて、熱変位後の変位座標を算出するための
    プログラムコードと、 前記基準座標と前記変位座標に基づいて、前記被加工物
    の加工後における前記所定部分の熱変位補正値を算出す
    るためのプログラムコードと、 前記熱変位補正値に基づいて、前記座標系を補正するた
    めのプログラムコードと、 を含むプログラムを格納したことを特徴とする記憶媒
    体。
  19. 【請求項19】被加工物を加工する工具を備え、前記被
    加工物を所定の座標系に基づき相対的に移動させて、工
    具により前記被加工物を加工する工作機械における加工
    方法において、 前記被加工物の加工前と加工後における、前記工作機械
    の熱変位する所定部分の位置座標に基づいて、加工後に
    おける前記所定部分の熱変位補正値を算出する補正値算
    出工程と、 前記補正値算出工程にて算出された熱変位補正値に基づ
    いて、前記座標系を補正する補正工程と、 を含むことを特徴とする工作機械における加工方法。
JP2000051742A 2000-02-28 2000-02-28 工作機械の熱変位補正方法、その装置、記憶媒体、及び工作機械における加工方法 Pending JP2001239438A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000051742A JP2001239438A (ja) 2000-02-28 2000-02-28 工作機械の熱変位補正方法、その装置、記憶媒体、及び工作機械における加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000051742A JP2001239438A (ja) 2000-02-28 2000-02-28 工作機械の熱変位補正方法、その装置、記憶媒体、及び工作機械における加工方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001239438A true JP2001239438A (ja) 2001-09-04

Family

ID=18573357

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000051742A Pending JP2001239438A (ja) 2000-02-28 2000-02-28 工作機械の熱変位補正方法、その装置、記憶媒体、及び工作機械における加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001239438A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008246621A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Brother Ind Ltd 工作機械、熱膨張補正用制御プログラム及び記憶媒体
JP2009279727A (ja) * 2008-05-26 2009-12-03 Murata Mach Ltd ワーク寸法計測装置および工作機械
JP2016140924A (ja) * 2015-01-30 2016-08-08 ファナック株式会社 工作機械の熱変位補正装置
JP2018051725A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 三菱重工工作機械株式会社 工具の刃先位置計測方法及び工作機械
WO2019237317A1 (zh) * 2018-06-15 2019-12-19 巨轮中德机器人智能制造有限公司 智能温升热补偿矿物铸件床身

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008246621A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Brother Ind Ltd 工作機械、熱膨張補正用制御プログラム及び記憶媒体
JP2009279727A (ja) * 2008-05-26 2009-12-03 Murata Mach Ltd ワーク寸法計測装置および工作機械
JP2016140924A (ja) * 2015-01-30 2016-08-08 ファナック株式会社 工作機械の熱変位補正装置
US10095215B2 (en) 2015-01-30 2018-10-09 Fanuc Corporation Thermal displacement correction apparatus for machine tool
JP2018051725A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 三菱重工工作機械株式会社 工具の刃先位置計測方法及び工作機械
WO2019237317A1 (zh) * 2018-06-15 2019-12-19 巨轮中德机器人智能制造有限公司 智能温升热补偿矿物铸件床身

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1989019B1 (en) Method and apparatus for a displacement correction for a machine tool
US7245983B2 (en) Method and apparatus for correcting thermal displacement of machine tool
JPH11156672A (ja) 数値制御装置及びこれを備えた工作機械
JP2942547B2 (ja) 工作機械の熱変位補正方法および装置
KR101533303B1 (ko) 공작 기계
Shinno et al. Sensor-less monitoring of cutting force during ultraprecision machining
JP2002224936A (ja) ツールプリセッタ及び工具補正量算出方法
JP2002144191A (ja) 工作機械
JP2001239438A (ja) 工作機械の熱変位補正方法、その装置、記憶媒体、及び工作機械における加工方法
JP6168396B2 (ja) 工作機械
KR20150041328A (ko) 공작기계의 열변위 보정 파라메터 자동 변환 장치 및 변환 방법
JP2009279727A (ja) ワーク寸法計測装置および工作機械
US20100186210A1 (en) Method for in situ machining of a large dimension part with a parallel architecture machine
JP2019188505A (ja) 工作機械
JPH08174320A (ja) 一定深さ加工装置及び加工方法
CN114509992A (zh) 操作装置与两个工件在相对运动中的间距补偿方法
JP5531640B2 (ja) 工作機械の送り制御装置
JP2003094290A (ja) 工作機械及びその熱変位補正方法
JP2002210635A (ja) 電動チャックによる工作物寸法の計測方法
JP2649283B2 (ja) ロボットの加工制御方法
JP7155843B2 (ja) 工作機械及び加工方法
JP2006297597A (ja) 工作機械の制振装置
JP4242229B2 (ja) 工作機械の熱変位補正方法およびその装置
JPS63295160A (ja) 工作機械における工具摩耗量の計測方法
JP2020059071A (ja) 工作機械及び加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070131

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081010

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081028

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090407