JP2001237459A - 半導体発光素子 - Google Patents

半導体発光素子

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JP2001237459A
JP2001237459A JP2001022018A JP2001022018A JP2001237459A JP 2001237459 A JP2001237459 A JP 2001237459A JP 2001022018 A JP2001022018 A JP 2001022018A JP 2001022018 A JP2001022018 A JP 2001022018A JP 2001237459 A JP2001237459 A JP 2001237459A
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cladding layer
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gap energy
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JP2001022018A
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Yukio Shakuda
幸男 尺田
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Rohm Co Ltd
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Rohm Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダブルヘテロ接合構造の半導体発光素子であ
って、発光効率が高く、かつ動作電圧が低い半導体発光
素子を提供する。 【構成】 n型クラッド層4と活性層5とp型クラッド
層6のサンドイッチ構造を少なくとも有し、前記活性層
のバンドギャップエネルギーが前記両クラッド層のバン
ドギャップエネルギーより小さい材料で形成されるダブ
ルヘテロ接合型の半導体発光素子であって、前記n型ク
ラッド層のバンドギャップエネルギーが前記p型クラッ
ド層のバンドギャップエネルギーより小さくなるように
前記両クラッド層の材料が選定されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体発光素子に関す
る。さらに詳しくは、動作電圧を低くして高輝度の発光
がえられる半導体発光素子に関する。
【0002】ここに半導体発光素子とは、pn接合また
はpinなどダブルヘテロ接合を有する発光ダイオード
(以下、LEDという)、スーパルミネッセントダイオ
ード(SLD)または半導体レーザダイオード(以下、
LDという)などの光を発生する半導体素子をいう。
【0003】
【従来の技術】従来青色のLEDは赤色や緑色に比べて
輝度が小さく実用化に難点があったが、近年チッ化ガリ
ウム系化合物半導体を用い、Mgをドーパントとした低
抵抗のp型半導体層がえられたことにより、輝度が向上
し脚光をあびている。
【0004】ここにチッ化ガリウム系化合物半導体と
は、III 族元素のGaとV族元素のNとの化合物または
III 族元素のGaの一部または全部がAl、Inなど他
のIII族元素と置換したものおよび/またはV族元素の
Nの一部がP、Asなど他のV族元素と置換した化合物
からなる半導体をいう。
【0005】従来のチッ化ガリウム系化合物半導体を用
いたLEDはつぎのように製造され、図4に完成したチ
ッ化ガリウム系化合物半導体のLEDのチップの斜視図
を示す。
【0006】まず、サファイア(Al23単結晶)など
からなる基板21に400〜700℃の低温で有機金属
化合物気相成長法(以下、MOCVD法という)により
キャリアガスH2 とともに有機金属化合物ガスであるト
リメチルガリウム(以下、TMGという)、アンモニア
(NH3)およびドーパントとしてのSiH4などを供給
し、n型のGaN層からなる低温バッファ層22を0.
01〜0.2μm程度形成し、ついで700〜1200
℃の高温で同じガスを供給し同じ組成のn型のGaNか
らなる高温バッファ層23を2〜5μm程度形成する。
【0007】ついで前述のガスにさらにトリメチルアル
ミニウム(以下、TMAという)の原料ガスを反応管内
に加え、n型ドーパントのSiを含有したn型Alz
1-zN(0<z≦1)層を成膜し、n型クラッド層2
4を0.1〜0.3μm程度形成する。
【0008】つぎに、バンドギャップエネルギーがクラ
ッド層のそれより小さくなる材料、たとえば前述の原料
ガスのTMAに代えてトリメチルインジウム(以下、T
MIという)を導入し、InyGa1-yN(0≦y≦1)
からなる活性層25を0.05〜0.1μm程度形成す
る。
【0009】さらに、n型クラッド層24の形成に用い
たガスと同じ原料ガスで不純物原料ガスをSiH4 に代
えてp型不純物としてのMgまたはZnをビスシクロペ
ンタジエニルマグネシウム(以下、Cp2Mgという)
またはジメチル亜鉛(以下、DMZnという)として加
えて反応管に導入し、p型クラッド層26であるp型A
lz Ga1-z N層を気相成長させる。ここでAlの組成
比zは製造上の容易さからn型クラッド層24のzと同
じ値になるように反応ガスを供給している。これらのn
型クラッド層24と活性層25とp型クラッド層26と
によりダブルヘテロ接合が形成される。
【0010】ついでキャップ層27形成のため、前述の
バッファ層23と同様の原料ガスで不純物原料ガスとし
てCp2MgまたはDMZnを供給してp型のGaN層
を0.3〜2μm程度成長させる。
【0011】そののち保護膜を設けてp型層のアニール
のための熱処理または電子線照射を行い、p型クラッド
層26およびキャップ層27の活性化を行う。
【0012】ついで、保護膜を除去したのち、n側の電
極を形成するため、レジストを塗布してパターニングを
行い、成長した各半導体層の一部をエッチング除去して
n型層であるクラッド層24またはバッファ層23を露
出させる。
【0013】ついで、Au、Alなどの金属膜をそれぞ
れ、たとえば蒸着、スパッタリングなどにより形成して
p側およびn側の両電極29、30をそれぞれ形成し、
ダイシングすることによりLEDチップを形成してい
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】従来のチッ化ガリウム
系化合物半導体において、ダブルヘテロ接合の半導体発
光素子は、発光効率が高いが動作電圧が高い。また、動
作電圧を低くするためにn型クラッド層とp型クラッド
層にバンドギャップエネルギーが小さい材料、すなわち
AlzGa1-zNのAl組成比zの小さい材料を用いる
と、動作電圧は低くなるが、活性層からp型クラッド層
への電子の流出が増え、発光効率が低下するという問題
がある。
【0015】本発明はこのような問題を解決し、ダブル
ヘテロ構造の半導体発光素子であって、発光効率が低下
せず、かつ、動作電圧が低い半導体発光素子を提供する
ことを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体発光素子
は、チッ化ガリウム系化合物半導体からなるn型クラッ
ド層と活性層とp型クラッド層のサンドイッチ構造を少
なくとも有し、前記活性層のバンドギャップエネルギー
が前記両クラッド層のバンドギャップエネルギーより小
さい材料で形成されるダブルヘテロ接合型の半導体発光
素子であって、前記n型クラッド層のバンドギャップエ
ネルギーと前記活性層のバンドギャップエネルギーとの
差が、前記p型クラッド層のバンドギャップエネルギー
と前記活性層のバンドギャップエネルギーとの差の1/
3〜1/2程度になるように、前記n型クラッド層がn
型AlxGa1-xN(0≦x≦0.5)からなり、前記活
性層がInyGa1-yN(0≦y≦1)からなり、前記p
型クラッド層がp型AlzGa1-zN(0<z≦1)から
なり、発光ダイオードを構成するように、前記両クラッ
ド層の材料が選定されてなる。
【0017】本発明の半導体発光素子は、請求項1記載
の半導体発光素子において、前記サンドイッチ構造が半
導体レーザを構成するように形成されている。
【0018】本発明の半導体発光素子は、請求項2記載
の半導体レーザにおいて、前記活性層の屈折率が前記両
クラッド層の屈折率より大きくなるように前記活性層お
よび両クラッド層の材料が選定されてなる。本発明の半
導体発光素子は、請求項2または3記載記載の半導体レ
ーザにおいて、前記n型クラッド層がn型AlxGa1-x
N(0≦x≦0.5)からなり、前記活性層がIny
1-yN(0≦y≦1)からなり、前記p型クラッド層
がp型AlzGa1-zN(0<z≦1)からなることを特
徴とする。本発明の半導体発光素子は、請求項2、3ま
たは4記載の半導体レーザにおいて、前記サンドイッチ
構造は基板上に設けられるとともに、該サンドイッチ構
造と前記基板とのあいだに少なくともGaNからなるバ
ッファ層が設けられてなることを特徴とする。本発明の
半導体発光素子は、請求項2、3、4または5記載の半
導体レーザにおいて、前記サンドイッチ構造は基板上に
設けられるとともに、該サンドイッチ構造の前記基板と
反対側の表面側に少なくともGaNからなるキャップ層
が設けられてなることを特徴とする。本発明の半導体発
光素子は、請求項6記載の半導体レーザにおいて、前記
キャップ層および前記サンドイッチ構造の一部がエッチ
ングされてメサ型形状にされてなることを特徴とする。
このように、半導体レーザでは、前記活性層の屈折率が
前記両クラッド層の屈折率より大きくなるように前記活
性層および両クラッド層の材料が選定される。また、前
記n型クラッド層がn型AlxGa1-xN(0≦x≦0.
5)からなり、前記活性層がInyGa1-yN(0≦y≦
1)からなり、前記p型クラッド層がp型AlzGa1-z
N(0<z≦1)からなる構成にすることができる。前
記サンドイッチ構造は基板上に設けられるとともに、該
サンドイッチ構造と前記基板とのあいだに少なくともG
aNからなるバッファ層が設けられていることが、クラ
ッド層の歪を緩和することができ、クラッド層での結晶
欠陥や転位の発生を防止することができるとともに、半
導体層の抵抗を下げられるため好ましい。また、該サン
ドイッチ構造の前記基板と反対側の表面側に少なくとも
GaNからなるキャップ層が設けられる構造にすること
ができる。さらに、前記キャップ層および前記サンドイ
ッチ構造の一部がエッチングされてメサ型形状にされる
ことにより、メサ型の半導体レーザがえられる。
【0019】本発明の半導体発光素子によれば、n型ク
ラッド層にp型クラッド層よりバンドギャップエネルギ
ーの小さい材料を用いているため、n型クラッド層から
活性層への電子の注入は低電圧で容易になされる。一方
p型クラッド層は従来と同様にバンドギャップエネルギ
ーが大きい材料が用いられているため、活性層からp型
クラッド層への電子の逃げは少なく、活性層内での電子
と正孔の再結合に寄与する。また、正孔については電子
よりも有効質量が大きいため、n型クラッド層のバンド
ギャップエネルギーが小さくても活性層に注入された正
孔のn型クラッド層側への逃げは少ない。そのため正孔
のムダもなく活性層内での再結合に寄与し、n型クラッ
ド層のバンドギャップエネルギーが小さくなった分だけ
動作電圧を低くすることができ、従来と同程度の輝度の
発光をする。
【0020】n型クラッド層のバンドギャップエネルギ
ーの小さくできる割合は、正孔の有効質量が電子の3倍
程度であるため、1/3程度まで下げることができ、n
型クラッド層と活性層との差がp型クラッド層と活性層
とのバンドギャップエネルギー差より小さくその差の1
/3以上、好ましくは1/2程度にすることができ、A
zGa1-zN材料をクラッド層に用いれば、Alの比率
zをp型クラッド層のAlの比率の半分以下にすること
ができ、動作電圧を5〜10%低下させることができ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】つぎに添付図面を参照しながら本
発明の半導体発光素子を説明する。
【0022】図1は本発明の半導体発光素子の一実施例
であるメサ型形状の半導体レーザチップの断面説明図、
図2はその製造工程図、図3は本発明の半導体発光素子
のn型クラッド層、活性層およびp型クラッド層の禁制
帯を主としたエネルギーバンド図の概略図である。
【0023】図1において、1はサファイア(Al2 O
3 単結晶)などの基板で、n型GaNからなり、0.0
1〜0.2μm程度の低温バッファ層2、n型GaNか
らなり、2〜3μm程度の高温バッファ層3、n型でバ
ンドギャップエネルギー(禁制帯幅)がp型クラッド層
より小さい材料、たとえばAlxGa1-xN(0≦x≦
0.5、たとえばx=0.07)からなり、0.1〜
0.3μm程度のn型クラッド層4、ノンドープまたは
n型もしくはp型で両クラッド層よりバンドギャップエ
ネルギーが小さく、かつ、屈折率が大きい材料、たとえ
ばInyGa1-yN(0≦y≦1)からなり、0.05〜
0.1μm程度の活性層5、p型AlzGa1 -zN(0<
z≦1、2x≦z、たとえばz=0.15)からなり
0.1〜0.3μm程度のp型クラッド層、p型GaN
からなり、0.3〜2μm程度のキャップ層7が順次積
層され、キャップ層7上にAuなどからなるp側電極
8、積層された半導体層の一部がエッチング除去されて
露出した高温バッファ層3上にAlなどからなるn側電
極9が形成され、さらに電流ストライプを形成するた
め、キャップ層7およびp型クラッド層の一部がエッチ
ングされてメサ型形状にされ、半導体レーザのチップが
形成されている。
【0024】本発明の半導体発光素子は前述の半導体レ
ーザの実施例で示されるように、n型クラッド層4のバ
ンドギャップエネルギーがp型クラッド層6のバンドギ
ャップエネルギーより小さく、かつ、これらのバンドギ
ャップエネルギーが活性層5のバンドギャップエネルギ
ーより大きい材料で両クラッド層4、6および活性層5
が形成されていることに特徴がある。
【0025】電子と正孔の再結合を効率よく行わせ、発
光効率を上げるため、バンドギャップエネルギーの大き
い材料からなるクラッド層によりバンドギャップエネル
ギーの小さい材料からなる活性層5を挟み込むダブルヘ
テロ接合構造の半導体発光素子が半導体レーザや高輝度
のLEDに用いられている。クラッド層にバンドギャッ
プエネルギーが大きい材料を使用すると電子や正孔の閉
じ込め効果が大きくなりムダなく発光に寄与するが動作
電圧が高くなり、実際には活性層からの電子や正孔の漏
れが無視できる程度のバンドギャップエネルギーの材料
が選定されている。しかしpn接合に比べ動作電圧は高
くなる。本発明ではこの電子や正孔の漏れが無視できる
程度を維持しながら動作電圧を低下させることができる
ようにしたものである。すなわち、正孔の有効質量は電
子の有効質量の3倍程度と大きく、バンドギャップエネ
ルギーが小さくても電子よりも漏れが小さくなる。その
ため、n型クラッド層にp型クラッド層のバンドギャッ
プエネルギーより小さいバンドギャップエネルギーの材
料を用いることにより、電子の活性層への注入は低電圧
で行え、活性層からの正孔の漏れを防止できるようにし
たものである。
【0026】前述の図1の半導体レーザのエネルギーバ
ンド図の概略図を示した図3を参照しながら本発明の作
用を詳説する。図3において、Vは価電子帯、Fは禁制
帯、Cは伝導帯のエネルギー帯をそれぞれ示し、Aはn
型GaNからなる高温バッファ層3、Bはn型Al0.07
Ga0.93Nからなるn型クラッド層4、DはInyGa
1-yNからなる活性層5、GはAl0.15Ga0.85Nから
なるp型クラッド層、Jはp型GaNからなるキャップ
層7の範囲のエネルギーバンドをそれぞれ示している。
【0027】本実施例の半導体レーザは、図3に示され
るように、Bで示されるn型クラッド層のバンドギャッ
プエネルギーがGで示されるp型クラッド層のバンドギ
ャップエネルギーより小さく形成されている。破線B1
で示したものが、従来の構造でp型クラッド層と同じバ
ンドギャップエネルギーのばあいを示す。
【0028】この構成で、p側電極8とn側電極9との
あいだに電圧が印加されると電子Eはn型GaN(高温
バッファ層A)側からp側に流れ、活性層の伝導帯K1
内に流れ込む。この際n型クラッド層のバンドギャップ
エネルギーが低いため、電子Eは活性層の伝導帯K1 内
に流れ易く、低い電圧でも活性層に電子が供給される。
また活性層の伝導帯K1 内に流れ込んだ電子Eはp側電
極に引張られるが、p型クラッド層のバンドギャップエ
ネルギーが大きいため、活性層内に閉じ込められる。一
方、正孔Hはp型GaN(コンタクト層J)側からn側
に流れ、活性層の価電子帯K2 内に流れ込む。活性層の
価電子帯K2 内に流れ込んだ正孔Hはn側電極に引張ら
れるが、正孔Hの有効質量は電子の有効質量の3倍程度
と大きく、n型クラッド層Bのバンドギャップエネルギ
ーが低くても乗り越えることができず活性層の価電子帯
内に有効に閉じ込められる。その結果、活性層内で電子
と正孔の再結合が効率的に行われ、高い発光効率がえら
れる。
【0029】以上のように本発明によれば、n型クラッ
ド層のバンドギャップエネルギーがp型クラッド層のそ
れより小さくなるように各半導体層を選定しているた
め、低い電圧で活性層への電子の注入を行うことができ
るとともに、無効電流を増加させず、発光効率を向上す
ることができる。n型クラッド層のバンドギャップエネ
ルギーをp型クラッド層のそれより小さくする程度は活
性層のバンドギャップエネルギーにより定まり、活性層
とのバンドギャップエネルギーの差でp型層のばあいの
1/3〜1/2程度低く、すなわち1/3〜1/2程度
になるようにすればよい。
【0030】一般式AlpGaqIn1-p-qN(0≦p<
1、0<q≦1、0<p+q≦1)からなるチッ化ガリ
ウム系化合半導体を用いてバンドギャップエネルギーを
小さくするにはpを小さく、すなわちAlの組成比を小
さくし、またはp+qを小さく、すなわちInの組成比
を大きくすることによりえられる。そのためクラッド層
のバンドギャップエネルギーが活性層のそれより大き
く、かつ、n型クラッド層のバンドギャップエネルギー
がp型クラッド層のそれより小さくなるようにAlおよ
びInの組成比を調整することにより、所望のバンドギ
ャップエネルギーの半導体層がえられる。
【0031】また、図1に示される実施例は半導体レー
ザであるため、活性層内に光も閉じ込めて発振させる必
要があり、クラッド層の屈折率が活性層のそれより小さ
くなるようにしたが、LEDのばあいは必ずしもその必
要はない。しかし、前述の組成比でAlの組成比を大き
くすると屈折率は小さくなる。
【0032】つぎに、図2を参照しながら、図1に示さ
れた半導体レーザの製法を説明する。
【0033】まず、図2(a)に示されるように、サフ
ァイアなどからなる基板1に、MOCVD法によりたと
えばn型GaNなどのチッ化ガリウム系化合物半導体か
らなる低温バッファ層2を0.01〜0.2μm程度成
長し、ついで700〜1200℃程度の高温で同じ組成
のn型のGaNからなる高温バッファ層3を2〜5μm
程度形成する。
【0034】つぎに、さらにTMIを供給して、たとえ
ばn型Alx Ga1-x N(0≦x≦0.5、たとえばx
=0.07)からなるn型クラッド層4を0.1〜0.
3μm程度形成する。そののち、TMAに代えてTMI
を供給しノンドープまたはn型もしくはp型のIny
1-yN(0≦y≦1、たとえば、y=0.06)から
なる活性層5を0.05〜0.1μm程度の厚さに成長
させる。ついで、n型クラッド層4の形成に用いた原料
ガスと同じ原料ガスを用い、TMAをn型クラッド層4
のばあいの倍程度の20〜100sccmの流量で反応
管に供給してp型クラッド層6であるp型AlzGa1-z
N(0<z≦1、2x≦z、たとえばz=0.15)層
を0.1〜0.3μm程度形成する。さらにバッファ層
3の成膜と同じ原料ガスを供給してp型のGaNからな
るキャップ層7を0.3〜2μmの厚さ成膜する。
【0035】前述のバッファ層3やクラッド層4をn型
に形成するためには、Si、Ge、TeをSiH4、G
eH4、TeH4などの不純物原料ガスとして反応ガス内
に混入し、クラッド層6やキャップ層7をp型に形成す
るためには、MgやZnをCp2MgやDMZnの有機
金属ガスとして原料ガスに混入する。ただしn型のばあ
いは不純物を混入しなくても、成膜時にNが蒸発し易く
自然にn型になるため、その性質を利用してもよい。
【0036】そののちSiO2やSi34などの保護膜
10を半導体層の成長層表面全面に設け(図2(b)参
照)、400〜800℃、20〜60分間程度のアニー
ルを行い、p型層であるp型クラッド層6およびキャッ
プ層7の活性化を行う。
【0037】アニールが完了すると、図2(c)に示さ
れるように、レジスト膜11などのマスクを設けてn型
のクラッド層4またはn型の高温バッファ層3が露出す
るまで、積層された半導体層をエッチングする。このエ
ッチングは、たとえばCl2およびBCl3 の混合ガス
の雰囲気の下で反応性イオンエッチングにより行われ
る。
【0038】ついでAu、Alなどの金属膜をスパッタ
リングなどにより形成し、積層された化合物半導体層の
表面でp型層に電気的に接続されるp側電極8、露出し
た高温バッファ層3表面でn型層に電気的に接続される
n側電極9を形成し、キャップ層7およびp型クラッド
層6の一部をメサエッチングする(図1参照)。
【0039】つぎに、各チップにダイシングして、半導
体レーザチップが形成される。
【0040】前記実施例ではメサ型形状の電流ストライ
プ構造の半導体レーザについて説明したが、電流制限層
埋込型など種々の構造の半導体レーザやダブルヘテロ接
合構造のLEDなどのチッ化ガリウム系化合物半導体を
用いた半導体発光素子についても本発明を適用できる。
さらに半導体材料も前記実施例組成の材料に限定され
ず、前記AlpGaqIn1-p-qNのNの一部または全部
をAsおよび/またはPなどで置換した材料やヒ化ガリ
ウム系化合物半導体を用いた半導体発光素子でも同様に
本発明を適用できる。
【0041】
【発明の効果】本発明の半導体発光素子によれば、n型
クラッド層のバンドギャップエネルギーがp型クラッド
層のバンドギャップエネルギーよりも小さくなるように
半導体材料が選定されているため、無効電流が少なく、
かつ、低い動作電圧で高輝度の発光をさせることがで
き、発光効率の高い半導体発光素子をうることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体発光素子の一実施例の断面説明
図である。
【図2】図1の製造工程を示す断面説明図である。
【図3】本発明の半導体発光素子の一実施例のクラッド
層および活性層の禁制帯を主としたエネルギーバンド図
である。
【図4】従来の半導体発光素子の一例を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 基板 4 n型クラッド層 5 活性層 6 p型クラッド層
【手続補正書】
【提出日】平成13年3月30日(2001.3.3
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体発光素子
は、n型AlxGa1-xN(0≦x≦0.5)層と、p型AlzGa1-zN(0
<z≦1)層とでInyGa1-yN(0≦y≦1)層をはさんだサン
ドイッチ構造を有し、前記n型AlxGa1-xN層のバンドギ
ャップエネルギーが前記p型AlxGa1-xN層のそれより小
さくすると共に、正孔の有効質量が電子の有効質量より
も大きいことを利用してInyGa1-yN層から前記n型AlxGa
1-xN層への正孔の漏れを防止できるように、Alおよび
Inの組成比を調整して、無効電流を増大させないよう
に構成されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】本発明の半導体発光ダイオードは、請求項
1記載の半導体発光素子において前記n型AlxGa1-xN層
は、n側電極に接続されており、前記n側電極との間に
GaNからなるバッファ層が介在せしめられていること
を特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】本発明の半導体発光ダイオードは、基板
と、前記基板上に設けられるn型GaNからなるバッファ層
と、前記バッファ層上に設けられるn型AlxGa1-zN(0≦x
≦0.5)層と、前記n型 AlxGa1-xN層上に設けられるIny
Gal-yN(O≦y≦1)層と、前記InyGa1-yN層上に設けら
れるp型AlzGal-zN(0<z≦1、 2x≦z)とを有し、n型A
lxGa1-xN層のバンドギャップエネルギーがp型AlxGa1-x
N層のそれより小さくすると共に、正孔の有効質量が電
子の有効質量よりも大きいことを利用してInyGa 1-yN層
から前記n型AlxGa1-xN層への正孔の漏れを防止できる
ように、AlおよびInの組成比を調整して、無効電流
を増大させないようにしたダブルヘテロ接合型の発光ダ
イオードを構成している。本発明の半導体レーザは、n
型AlxGa1-xN(0≦x≦0.5)層と、p型AlzGa1-zN(0<z≦
1、2x≦z)層とでInyGa1-yN (0≦y≦1)層をはさんだ
サンドイッチ構造を有し、前記n型AlxGa1-xN層のバン
ドギャップエネルギーがp型AlxGa1-xN層のそれより小
さくすると共に、正孔の有効質量が電子の有効質量より
も大きいことを利用してInyGa1-yN層から前記n型AlxG
a1-xN層への正孔の漏れを防止できるように、Alおよ
びInの組成比を調整して、無効電流を増大させないよ
うにし、かつInyGa1-yN層の膜厚がレーザ発振が可能と
なる程度であることを特徴とする。本発明の半導体レー
ザは、請求項4記載の半導体レーザにおいて、前記サン
ドイッチ構造は基板上に設けられると共に、前記サンド
イッチ構造と前記基板とのあいだに少なくともGaNか
らなるバッファ層が設けられてなる。本発明の半導体レ
ーザは、請求項4または5記載の半導体レーザにおい
て、前記サンドイッチ構造は基板上に設けられると共
に、前記サンドイッチ構造の前記基板と反対側の表面側
に少なくともGaNからなるキャップ層が設けられてな
る。本発明の半導体レーザは、請求項6記載の半導体レ
ーザにおいて、前記キャップ層および前記サンドイッチ
構造の一部がエッチングされてメサ形状にされてなる。
本発明の半導体レーザは、基板と、前記基板上に設けら
れるn型GaNからなるバッファ層と、前記バッファ層上に
設けられ、n型AlxGa1-zN(0≦x≦0.5)層と、前記n型
AlxGa1-xN層上に設けられるInyGal-yN(O≦y≦1)層
と、前記InyGa1-yN層上に設けられるp型AlzGal-zN(0
<z≦1)N層と、前記p型 AlxGa1-xN層上に設けられ、p
型GaNからなるキャップ層とを有し、n型AlxGa1-xN
層のバンドギャップエネルギーがp型AlxGa1-xN層のそ
れより小さくすると共に、正孔の有効質量が電子の有効
質量よりも大きいことを利用してInyGa1-yN層から前記
n型Al xGa1-xN層への正孔の漏れを防止できるように、
AlおよびInの組成比を調整して、無効電流を増大さ
せないようにしたことを特徴とする。
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
説明する。 半導体レーザでは、前記活性層の屈折率が前
記両クラッド層の屈折率より大きくなるように前記活性
層および両クラッド層の材料が選定される。また、前記
n型クラッド層がn型AlxGa1-xN(0≦x≦0.
5)からなり、前記活性層がInyGa1-yN(0≦y≦
1)からなり、前記p型クラッド層がp型AlzGa1-z
N(0<z≦1)からなる構成にすることができる。前
記サンドイッチ構造は基板上に設けられるとともに、該
サンドイッチ構造と前記基板とのあいだに少なくともG
aNからなるバッファ層が設けられていることが、クラ
ッド層の歪を緩和することができ、クラッド層での結晶
欠陥や転位の発生を防止することができるとともに、半
導体層の抵抗を下げられるため好ましい。また、該サン
ドイッチ構造の前記基板と反対側の表面側に少なくとも
GaNからなるキャップ層が設けられる構造にすること
ができる。さらに、前記キャップ層および前記サンドイ
ッチ構造の一部がエッチングされてメサ型形状にされる
ことにより、メサ型の半導体レーザがえられる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】本発明の半導体発光素子によれば、n型ク
ラッド層にp型クラッド層よりバンドギャップエネルギ
ーの小さい材料を用いているため、n型クラッド層から
活性層への電子の注入は低電圧で容易になされる。一方
p型クラッド層は従来と同様にバンドギャップエネルギ
ーが大きい材料が用いれているため、活性層からp型ク
ラッド層への電子の逃げは少なく、活性層内での電子と
正孔の再結合に寄与する。また、正孔については電子よ
りも有効質量が大きいため、n型クラッド層のバンドギ
ャップエネルギーが小さくても活性層に注入された正孔
のn型クラッド層側への逃げは少ない。そのため正孔の
ムダもなく活性層内での再結合に寄与する。また、n型
クラッド層のバンドギャップエネルギーが小さくなった
分だけ動作電圧を低くすることができ、従来と同程度の
輝度の発光をする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】 つぎに添付図面を参照しながら本発明の半
導体発光素子を説明する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】電子と正孔の再結合を効率よく行わせ、発
光効率を上げるため、バンドギャップエネルギーの大き
い材料からなるクラッド層によりバンドギャップエネル
ギーの小さい材料からなる活性層5を挟み込むダブルヘ
テロ接合構造の半導体発光素子が半導体レーザや高輝度
のLEDに用いられている。クラッド層にバンドギャッ
プエネルギーが大きい材料を使用すると電子や正孔の閉
じ込め効果が大きくなりムダなく発光に寄与するが動作
電圧が高くなり、実際には活性層からの電子や正孔の漏
れが無視できる程度のバンドギャップエネルギーの材料
が選定されている。しかしpn接合に比べ動作電圧は高
くなる。本発明ではこの電子や正孔の漏れが無視でき
。そしてまた動作電圧を低下させることができる
なわち、正孔の有効質量は電子の有効質量の3倍程度と
大きく、バンドギャップエネルギーが小さくても電子よ
りも漏れが小さくなる。そのため、n型クラッド層にp
型クラッド層のバンドギャップエネルギーより小さいバ
ンドギャップエネルギーの材料を用いることにより、電
子の活性層への注入は低電圧で行える。また、活性層か
らの正孔の漏れを防止できる
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】
【発明の効果】本発明の半導体発光素子によれば、n型
クラッド層のバンドギャップエネルギーがp型クラッド
層のバンドギャップエネルギーよりも小さくなるように
半導体材料が選定されているため、無効電流が少ない
また、低い動作電圧で高輝度の発光をさせることができ
。従って、発光効率の高い半導体発光素子をうること
ができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チッ化ガリウム系化合物半導体からなる
    n型クラッド層と活性層とp型クラッド層のサンドイッ
    チ構造を少なくとも有し、前記活性層のバンドギャップ
    エネルギーが前記両クラッド層のバンドギャップエネル
    ギーより小さい材料で形成されるダブルヘテロ接合型の
    半導体発光素子であって、前記n型クラッド層のバンド
    ギャップエネルギーと前記活性層のバンドギャップエネ
    ルギーとの差が、前記p型クラッド層のバンドギャップ
    エネルギーと前記活性層のバンドギャップエネルギーと
    の差の1/3〜1/2程度になるように、前記n型クラ
    ッド層がn型AlxGa1-xN(0≦x≦0.5)からな
    り、前記活性層がInyGa1 -yN(0≦y≦1)からな
    り、前記p型クラッド層がp型AlzGa1-zN(0<z
    ≦1)からなり、発光ダイオードを構成するように、前
    記両クラッド層の材料が選定されてなる半導体発光素
    子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体発光素子におい
    て、前記サンドイッチ構造が半導体レーザを構成するよ
    うに形成されてなる半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 前記活性層の屈折率が前記両クラッド層
    の屈折率より大きくなるように前記活性層および両クラ
    ッド層の材料が選定されてなる請求項2記載の半導体レ
    ーザ。
  4. 【請求項4】 前記n型クラッド層がn型AlxGa1-x
    N(0≦x≦0.5)からなり、前記活性層がIny
    1-yN(0≦y≦1)からなり、前記p型クラッド層
    がp型AlzGa1-zN(0<z≦1)からなる請求項2
    または3記載の半導体レーザ。
  5. 【請求項5】 前記サンドイッチ構造は基板上に設けら
    れるとともに、該サンドイッチ構造と前記基板とのあい
    だに少なくともGaNからなるバッファ層が設けられて
    なる請求項2、3または4記載の半導体レーザ。
  6. 【請求項6】 前記サンドイッチ構造は基板上に設けら
    れるとともに、該サンドイッチ構造の前記基板と反対側
    の表面側に少なくともGaNからなるキャップ層が設け
    られてなる請求項2、3、4または5記載の半導体レー
    ザ。
  7. 【請求項7】 前記キャップ層および前記サンドイッチ
    構造の一部がエッチングされてメサ型形状にされてなる
    請求項6記載の半導体レーザ。
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