JP2001234934A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2001234934A
JP2001234934A JP2000045482A JP2000045482A JP2001234934A JP 2001234934 A JP2001234934 A JP 2001234934A JP 2000045482 A JP2000045482 A JP 2000045482A JP 2000045482 A JP2000045482 A JP 2000045482A JP 2001234934 A JP2001234934 A JP 2001234934A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部を潤滑剤含有ポリマー8aにより潤滑す
る場合でも、回転抵抗を小さく抑えて回転速度限界を向
上させ、更に、この潤滑剤含有ポリマー8aの脱落を防
止する。 【解決手段】内輪4の軸方向両端部外周面に、内輪軌道
3よりも直径方向外方に向け突出する、1対の鍔部7
a、7bを設ける。円環状の保持器6の内周面と上記内
輪4の外周面との間の空間に、潤滑剤と合成樹脂とを混
合したものを固化して成る潤滑剤含有ポリマー8aを充
填する。この潤滑剤含有ポリマー8aの一部は、上記各
鍔部7a、7bの内側面により軸方向端部を抑える。上
記保持器6の外径側の空間には、上記潤滑剤含有ポリマ
ー8aは充填しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明に係る転がり軸受は、工
作機械の主軸の回転支持部等の各種回転機械装置の回転
支持部に使用される転がり軸受の改良に関する。特に本
発明の転がり軸受は、内部に充填した潤滑剤含有ポリマ
ーにより、この内部を長期間に亙り効率良く潤滑するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来から、各種回転機械装置の回転支持
部に転がり軸受が使用されている。又、高荷重等を発生
する設備等の回転支持部には、高負荷能力を有する円筒
ころ軸受、或いは円すいころ軸受が使用されている。
又、この様な転がり軸受の内部に潤滑油を給油したり、
或は半固形状のグリースを充填する事で、この転がり軸
受の内部を潤滑する事が、従来から行なわれている。但
し、この様に潤滑油やグリースにより転がり軸受を潤滑
する場合、この潤滑油やグリースが転がり軸受の外部に
漏洩する事を防止する為、シール部材を設ける必要があ
る。この様にシール部材を設ける事は、転がり軸受のコ
ストが嵩む原因となる。又、この様なシール部材を設け
た場合でも、上記グリース等が転がり軸受の外部に漏洩
した場合には、このグリース等の補充が必要になる為、
ランニングコストが嵩む原因になる。そこで、この様な
問題を解決すべく、先に、特願平10−370549
号、特願平11−112637号に開示され、又は、特
開平10−89365号公報に記載されている様に、転
がり軸受の内部や、保持器の一部に、潤滑剤含有ポリマ
ーを充填する構造が考えられた。
【0003】
【先発明の説明】図5は、このうちの特願平10−37
0549号に開示された転がり軸受を示している。円す
いころ軸受である、この転がり軸受は、内周面に円すい
凹面状の外輪軌道1を有する外輪2と、外周面に円すい
凸面状の内輪軌道3を有する内輪4とを、互いに同心に
組み合わせて成る。この内輪4の軸方向一端面(図5の
右端面)は、上記外輪2の軸方向一端面よりも軸方向に
大きく突出している。これに対して、この外輪2の軸方
向他端面(図5の左端面)は、上記内輪4の軸方向他端
面よりも軸方向に少し突出している。そして、上記外輪
軌道1と内輪軌道3との間に、それぞれが転動体であ
る、複数個のころ5を転動自在に設けている。これら各
ころ5は、鋼板等の金属板をプレス成形して成る円環状
の保持器6に設けた複数のポケット10(図6参照)内
に、1個ずつ転動自在に保持している。この保持器6
は、部分円すい筒状の円筒部12と、この円筒部12の
小径側端縁から直径方向内方に折れ曲がった内向鍔部2
2とから成る。又、上記複数のポケット10は、上記円
筒部12の円周方向等間隔位置に設けている。
【0004】又、上記内輪4の両端部外周面に、直径方
向外方に突出する鍔部7a、7bを、それぞれ上記内輪
軌道3の軸方向両側に隣接する状態で全周に亙り設けて
いる。これら各鍔部7a、7bの内側面(各ころ5に対
向する側の面)は、複数のころ5の端面に対向させてい
る。そして、上記内輪4の外周面と外輪2の内周面との
間に潤滑剤含有ポリマー8を、この潤滑剤含有ポリマー
8により上記保持器6をこの保持器6の軸方向両端も含
めて覆う状態で充填している。この潤滑剤含有ポリマー
8は、ポリエチレンの如きポリオレフィン系樹脂等の合
成樹脂に、ポリα−オレフィン油の如きパラフィン系炭
化水素油等の潤滑剤を混ぜて調整した原料を、合成樹脂
の融点以上に加熱して可塑化し、その後冷却固化して成
る。この様な潤滑剤含有ポリマー8は、所定の形状に形
成した状態で、上記内輪4の外周面と外輪2の内周面と
の間の空間に設置している。
【0005】又、図6は、前記特願平11−11263
7号に開示された転がり軸受を示している。円筒ころ軸
受である、この転がり軸受は、内輪4aの外周面に形成
した内輪軌道3a及び外輪2aの内周面に形成した外輪
軌道1aを、何れも円筒面状としている。又、これら内
輪軌道3aと外輪軌道1aとの間に、円環状の保持器6
aに設けた複数のポケット10により転動自在に保持し
た、それぞれが転動体である、円筒状のころ5a、5a
を設けている。又、上記外輪2aの軸方向両端部内周面
には直径方向内方に突出する鍔部9a、9bを、それぞ
れ全周に亙って設けている。これに対して、上記内輪4
aには、軸方向両端部のうち、一端部(図6の右端部)
の外周面のみに、直径方向外方に突出する鍔部7aを、
全周に亙って設けている。上記内輪4aの軸方向他端部
(図6の左端部)の外周面には、軸方向外端に向かう程
直径が小さくなる方向に傾斜した傾斜面11を形成して
いる。
【0006】そして、上記内輪4aの外周面と外輪2a
の内周面との間の空間に潤滑剤含有ポリマー8を、この
潤滑剤含有ポリマー8により上記保持器6aをこの保持
器6aの軸方向両端も含めて覆う状態で充填している。
又、この潤滑剤含有ポリマー8の軸方向両端面は、上記
内輪4aの両端部外周面及び上記外輪2aの両端部内周
面にそれぞれ形成した、断面円弧形の面取り(図示せ
ず)の軸方向内端縁よりも軸方向内側に位置させてい
る。
【0007】前述の特願平10−370549号に開示
された転がり軸受及び上述の特願平11−112637
号に開示された転がり軸受の何れにしても、外輪2(2
a)を内嵌支持した部材(ハウジング等)に対し、内輪
4(4a)を外嵌支持した部材(軸等)を、相対回転を
自在に支持できる。更に、この様な転がり軸受は、内部
に充填した潤滑剤含有ポリマ8ーから滲み出す潤滑剤に
より、潤滑すべき各部を潤滑できる。この為、潤滑油等
の漏れを防止する為にシール部材を設ける必要がなくな
り、しかも使用時にグリース等を補充する必要もなくな
る為、コスト低減を図れる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述の特願平10−3
70549号に開示された転がり軸受及び上述の特願平
11−112637号に開示された転がり軸受は、何れ
も次の様な問題を生じる可能性がある。 長期間に亙る使用により潤滑剤含有ポリマー8内の
油分が放出し、この潤滑剤含有ポリマー8が収縮する可
能性がある。上述した各出願に開示された構造では、外
輪2(2a)の内周面と内輪4(4a)の外周面との間
の空間のほぼ全域に亙り上記潤滑剤含有ポリマー8を充
填している。従って、上述の様にこの潤滑剤含有ポリマ
ー8が収縮すると、各ころ5(5a)と上記潤滑剤含有
ポリマー8との接触部で生じる摩擦が大きくなる。従っ
て、この様な場合には、転がり軸受の回転抵抗が大きく
なる。又、上記摩擦に基づく発熱が大きくなる為、この
発熱に起因して転がり軸受内の温度が上昇する。従っ
て、この転がり軸受自体と潤滑剤含有ポリマー8との使
用温度限界から、この転がり軸受の回転速度限界が低く
抑えられる。 内輪4(4a)の軸方向端部に鍔部7a、7bを設
ける場合、保持器6(6a)を構成し、各ころ5(5
a)を保持する為の円筒部12は、これら複数個のころ
5(5a)のピッチ円よりも外径側に設けるのが、一般
的である。この為、この様な構造では、上記保持器6の
円筒部12よりも外径側の空間の直径方向の厚さが、こ
の円筒部12よりも内径側の空間の直径方向の厚さより
も小さくなる。従って、上記潤滑剤含有ポリマー8の一
部を上記外径側の空間に迄充填した場合には、この空間
に充填した潤滑剤含有ポリマー8の直径方向の厚さが小
さくなって、この潤滑剤含有ポリマー8に亀裂を生じ易
くなる。又、仮に上記円筒部12を、上記ピッチ円より
も内径側に設けた場合でも、運転時に加わる遠心力によ
り、この円筒部12の外径側の空間に充填した潤滑剤含
有ポリマー8の一部に亀裂を生じる可能性がある。そし
て、この様な亀裂が生じて、この亀裂が更に進行した場
合には、上記円筒部12よりも外径側の空間に充填した
上記潤滑剤含有ポリマー8の一部が欠けて、欠けた部分
が転がり軸受の外部に脱落する可能性がある。この様に
脱落した場合には、脱落した破片が、ころ5(5a)の
転動面と内、外輪4、2(4a、2a)の周面との間に
噛み込んで転がり軸受の回転抵抗を急増させ、回転輪を
駆動する駆動モータの故障を招く可能性がある。本発明
の転がり軸受は、上述の様な事情に鑑みて、内部を滑剤
含有ポリマーにより潤滑する場合でも、回転抵抗を小さ
く抑えると共に、回転速度限界を向上させ、しかも潤滑
剤含有ポリマーの脱落を防止できる構造を実現すべく発
明したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の転がり軸受は、
内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周面に内輪軌道を
有する内輪と、これら内輪軌道と外輪軌道との間に転動
自在に設けられた複数個の転動体と、これら複数個の転
動体を転動自在に保持する保持器と、上記内輪の一部、
又はこの内輪とは別体の部材の一部に、上記内輪軌道の
少なくとも片側に隣接して、この内輪軌道の底面よりも
直径方向外方に突出する状態で設けられた鍔部と、上記
保持器の内周面と上記内輪の外周面との間で上記鍔部の
内側面により軸方向端部を仕切られた空間に少なくとも
その一部が入り込んだ、潤滑剤と合成樹脂とを混合した
ものを固化して成る潤滑剤含有ポリマーとを備える。
又、上記保持器の外径側の空間には、上記潤滑剤含有ポ
リマーを設けていない。
【0010】
【作用】上述の様に構成する本発明の転がり軸受の場合
には、保持器よりも内径側の空間のみに潤滑剤含有ポリ
マーを充填している為、内部をこの潤滑剤含有ポリマー
により潤滑しても、回転抵抗を小さく抑える事ができ
て、回転速度限界を向上させる事ができる。更に、上記
潤滑剤含有ポリマーが保持器の外径側から脱落する事が
ない。しかも本発明の場合には、この潤滑剤含有ポリマ
ーの外周面が保持器により抑え付けられた状態となるの
で、使用時に作用する遠心力に拘らず、上記潤滑剤含有
ポリマーに、亀裂等の破損が生じにくい。更には、上記
潤滑剤含有ポリマーのうちの少なくとも一部が、内輪の
端部に設けた鍔部の内側面により軸方向端部を抑えられ
る為、仮に、長期間に亙る使用によりこの潤滑剤含有ポ
リマーの一部に亀裂が生じ、この亀裂が進行した場合で
も、上記潤滑剤含有ポリマーが転がり軸受の外部に脱落
しにくい。この結果、この潤滑剤含有ポリマーの脱落し
た破片による故障の発生を防止できる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の形態の第
1例を示している。尚、本発明の転がり軸受の特徴は、
内部に潤滑剤含有ポリマー8aを充填する事により生じ
る不都合を防止すべく、この潤滑剤含有ポリマー8aを
充填する空間を規制した点にある。本例に於いて、その
他の部分の構造及び作用は、前述の図5に示した従来構
造の第1例とほぼ同様である為、同等部分には同一符号
を付して、重複する説明は省略若しくは簡略にし、以
下、本発明の特徴部分を中心に説明する。
【0012】円すいころ軸受である、本例の転がり軸受
は、外輪2と、内輪4と、それぞれが転動体である複数
個のころ5、5と、保持器6とを備える。特に、本発明
の転がり軸受の場合、上記内輪4の両端部外周面に、こ
の内輪4の外周面に設けた内輪軌道3の両側に隣接して
1対の鍔部7a、7bを、上記内輪軌道3よりも直径方
向外方に突出する状態で形成している。又、上記保持器
6を構成する円筒部12の内周面と上記内輪4の外周面
との間の空間に、潤滑剤とポリマーとを混合したものを
固化して成る潤滑剤含有ポリマー8aを充填している。
この潤滑剤含有ポリマー8aの一部で、円周方向に隣り
合うころ5、5同士の間に存在する部分は、上記両鍔部
7a、7bの内側面同士の間に存在する空間に進入して
いる。これに対して、上記保持器6よりも外径側の空間
には、上記潤滑剤含有ポリマー8aを充填していない。
尚、本例の場合には、上記保持器6の径を、上記ころ
5、5のピッチ円直径よりも大きくして、上記内輪4と
外輪2とのうち、外輪2の側に片寄せて設けている。従
って、上記保持器6の内周面と上記内輪4の外周面との
間の空間の直径方向の厚さは、上記保持器6の外周面と
上記外輪2の内周面との間の空間の直径方向の厚さより
も大きい。
【0013】尚、本発明で使用可能な潤滑剤含有ポリマ
ー8a、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブチレン、ポリメチルペンテン等の、基本的に同じ化学
構造を有するポリオレフィン系樹脂の群から選択された
合成樹脂に、潤滑剤としてポリα−オレフィン油の様な
パラフィン系炭化水素油、ナフテン系炭化水素油、鉱
油、ジアルキルジフェニルエーテル油の様なエーテル
油、フタル酸エステルの様なエステル油等から選択した
ものを、単独若しくは混合油の形で混ぜて調整した原料
を、上記合成樹脂の融点以上で加熱して可塑化し、その
後冷却し、所望の形状に固化したものである。又、上述
の様な潤滑剤には、予め酸化防止剤、錆止め剤、磨耗防
止剤、消泡剤、極圧剤等の各種添加剤を加える事もでき
る。
【0014】上記潤滑剤含有ポリマー8aの組成比は、
全重量に対してポリオレフィン系樹脂等の合成樹脂を1
0〜50重量%、潤滑剤を90〜50重量%とするのが
好ましい。この理由は次の通りである。
【0015】例えば、ポリオレフィン系樹脂が10重量
%未満の(潤滑剤が90重量%を越える)場合には、所
望の硬さ及び強度が得られず、転がり軸受の回転等によ
り上記潤滑剤含有ポリマー8aに負荷が加わった場合
に、初期の形状を維持するのが難しくなる。この為、所
定時間使用した後に、潤滑剤含有ポリマー8aを初期の
形状のもの(新品)に交換する必要が生じる等の不都合
を生じる可能性がある。これに対して、ポリオレフイン
系樹脂が50重量%を超える(潤滑剤が50重量%未満
の)場合は、転がり軸受内での潤滑剤の供給が少なくな
り、この転がり軸受の寿命が短くなる。そこで、上記潤
滑剤含有ポリマー8aの組成比を、好ましくは上述の様
にする事とした。
【0016】前記合成樹脂の群は、基本構造は同じでそ
の平均分子量が異なっており、700〜5×106 の範
囲に及ぶ。即ち、平均分子量が700〜1×104 であ
る、ワックス(例えば、ポリエチレンワックス)に分類
されるものと、平均分子量が1×104 〜1×106
ある、比較的低分子量のものと、平均分子量が1×10
6 〜5×106 である、超高分子量のものとを、単独若
しくは必要に応じ混合して用いる。比較的低分子量のも
のと潤滑剤とを組み合わせれば、或る程度の機械的強
度、潤滑剤供給能力、保油性を持つ潤滑剤含有ポリマー
8aを得られる。又、このうちの比較的低分子量のもの
の一部を、ワックスに分類されるものに置き換えると、
ワックスに分類されるものと、潤滑油との分子量の差が
小さい為に、合成樹脂と潤滑油との親和性が高くなり、
結果として潤滑剤含有ポリマー8aの保油性が向上し、
長時間に亙っての良好な潤滑剤の供給が可能になる。但
し、その反面、上記潤滑剤含有ポリマー8aの機械的強
度は低下する傾向になる。又、上記ワックスに分類され
る低分子量の合成樹脂としては、ポリエチレンワックス
の様なポリオレフィン系樹脂の他、融点が100〜13
0℃以上の範囲にある炭化水素系のもの(例えば、パラ
フィン系合成ワックス)も使用できる。
【0017】これに対して、比較的低分子量のものの一
部を超高分子量のものに置き換えると、超高分子量のも
のと潤滑油との分子量の差が大きい為に、合成樹脂と潤
滑油との親和性が低くなり、結果として保油性が低下
し、潤滑油含有ポリマー8aからの潤滑剤の滲み出しが
速くなる。この為、潤滑剤含有ポリマー8aから必要量
の潤滑剤を供給できる時間が短くなる為、転がり軸受の
寿命が短くなる。但し、この場合には、潤滑剤含有ポリ
マー8aの機械的強度は向上する。
【0018】潤滑剤含有ポリマー8aの成形性、機械的
強度、保油性、潤滑剤供給量のバランスを考慮すると、
この潤滑剤含有ポリマー8aの合成樹脂の組成比は、ワ
ックスに分類されるものを0〜5重量%、比較的低分子
量のものを8〜48%、超高分子量のものを2〜15重
量%とし、3つの樹脂分の合計を10〜50重量%(残
りの90〜50重量%が潤滑剤)とするのが好ましい。
【0019】又、上記潤滑剤含有ポリマー8aの機械的
強度の尺度の一つである、硬さ(HDA )は、本発明の
転がり軸受を構成する場合には、65〜85の範囲にす
る事が好ましく、より好ましくは、70〜80の範囲に
する。この理由は、上記硬さ(HDA )が65未満の場
合には、上記潤滑剤含有ポリマー8aの強度が弱くな
り、転がり軸受の回転によってこの潤滑剤含有ポリマー
8aが破損する可能性がある為である。反対に、上記硬
さ(HDA )が85を超える場合は、この潤滑剤含有ポ
リマー8aのころ5、5(転動体)を拘束する力が大き
くなり、それによって、転がり軸受の回転抵抗が大きく
なったり、この転がり軸受の回転により生じる発熱が大
きくなって、この転がり軸受内の温度が高くなる可能性
を生じる。
【0020】一方、本発明の転がり軸受に組み込む潤滑
剤含有ポリマー8aの機械的強度を向上させる為、前記
ポリオレフィン系樹脂に、以下の様な熱可塑性樹脂及び
熱硬化性樹脂を添加したものを使用する事もできる。
【0021】即ち、上記熱可塑性樹脂として、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルフォ
ン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、
ポリスチレン、ABS樹脂等の各樹脂を、単独で、又は
混合して用いる事ができる。更に、上記ポリオレフィン
系樹脂とそれ以外の樹脂とを、より均一な状態で分散さ
せる為に、必要に応じて適当な相溶化剤を加える事もで
きる。
【0022】又、潤滑剤含有ポリマー8aの機械的強度
を向上させる為に、充填剤を添加する事もできる。この
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、チタン酸カリウムウイスカーやホウ酸アルミニ
ウムウイスカー等の無機ウイスカー類、或はガラス繊維
や金属繊維等の無機繊維類及びこれらを布状に編組した
もの、又、有機化合物では、カーボンブラック、黒鉛粉
末、カーボン繊維、アラミド繊維やポリエステル繊維等
を使用できる。
【0023】更に、ポリオレフィン系樹脂の熱による劣
化を防止する目的で、N,N ’- ジフェニル-p- フェニル
ジアミン、 2,2 ’- メチレンビス(4-エチル-6-t- ブ
チルフェノール)等の老化防止剤、又、光による劣化を
防止する目的で、2-ヒドロキシ-4-n- オクトキシベンゾ
フェノン、2-(2 ’- ヒドロキシ -3 ’-t- ブチル-5’
- メチル -フェニル)-5- クロロベンゾトリアゾール等
の紫外線吸収剤を添加する事もできる。
【0024】以上の全ての添加剤(ポリオレフィン系樹
脂と潤滑剤以外)の添加量としては、添加剤全体とし
て、成形原料全量の20重量%以下である事が、潤滑剤
の供給能力を維持する上で好ましい。
【0025】本発明の転がり軸受に組み込む潤滑剤含有
ポリマー8aを構成する為に用いる事のできるポリマー
材料としては、前述した様なポリオレフィン系樹脂をベ
ースにしたものの他、射出成形可能な熱可塑性樹脂も使
用できる。そして、この熱可塑性樹脂のうちで、含油量
を多くできるものとしては、例えば、ポリエステル系エ
ラストマー等がある。又、ポリマー材料として、熱可塑
性樹脂の他、ポリウレタン、ポリウレアエラストマー等
の熱硬化性樹脂を用いる事もできる。
【0026】このうち、ポリウレタンを用いる場合は、
潤滑剤としてグリースを用い、反応原料となるイソシア
ネート基を含有するウレタンプレポリマーと、アミン系
硬化剤とを、それぞれグリースと均一に混合した後、或
は何れか一方のみをグリースに均一に混合した後、2つ
の混合物同士、或は1つの混合物と他の物質とを更に混
合し、この混合したものを転がり軸受に充填する。そし
て、必要に応じてこの混合したものを加熱して反応さ
せ、グリースを含有させた状態で硬化させる。
【0027】一方、ポリウレアエラストマーを用いる場
合は、分子鎖にソフトセグメントを含有する芳香族ポリ
アミン化合物及び芳香族ジアミンの混合物から成るアミ
ン成分を、これと相溶性のある潤滑油、或はこの潤滑油
を基油とするグリースと均一に混合して混合物とする。
そして、この混合物に、更にポリイソシアナート成分を
加えて混合し、目的の形状の金型に充填する。そして、
必要に応じてこの混合したものを加熱して反応させ、潤
滑剤を含有させた状態で硬化させる。
【0028】上述の様な潤滑剤含有ポリマー8aとし
て、例えば次の組成のものを使用できる。 高密度ポリエチレン(比較的低分子量のものに分類される)−−10重量%超高
分子量ポリエチレン(超高分子量のものに分類される)−−12.5重量%ポリ
エチレンワックス(ワックスに分類される) −−2.5重量%鉱油
−−75重量% 又、得られる潤滑剤含有ポリマー8aの硬さ(HDA
は、75とする。
【0029】又、本発明の転がり軸受の内部に潤滑剤含
有ポリマー8aを充填するには、例えば、図1に示す様
に、前記内輪4及び保持器6の軸方向両側に設けた1対
の治具23a、23bにより、上記潤滑剤含有ポリマー
8aを充填すべき空間を両側から挟持し、この状態で、
潤滑剤含有ポリマー8aを射出成形する。この際、上記
1対の治具23a、23bのうちの射出側の治具とし
て、円周方向複数個所にゲートとなる貫通孔を設けたも
のを用いる。又、上記潤滑剤含有ポリマー8aを充填す
る前には、予め転がり軸受を通常の方法により組み立て
た後、この転がり軸受に通常の脱脂洗浄を施す。そし
て、脱脂洗浄後に、上記内輪4の外周面、外輪2の内周
面、各ころ5、5の表面、及び保持器6の表面に、離型
剤、或はグリースを塗布し、これら各部に離型剤、或は
グリースの塗膜(被膜)を形成する。
【0030】このうち、離型剤としては、弗素系離型剤
を好適に用いる事ができる。具体的には、炭素数4〜2
0のパーフロオロアルキル基含有リン酸エステル又はそ
の塩とシリコンオイルとの混合物(例えば、特公昭53
−23270号公報、特公昭53−23271号公報に
記載のもの)、炭素数4〜20のパーフロオロアルキル
基含有リン酸エステル又はその塩とシリコンワニスとの
混合物(例えば、特公昭57−48035号公報に記載
のもの)、パーフロオロアルキル基含有ポリエーテル化
合物とシリコンオイル等との混合物(例えば、特公昭5
9−32513号公報に記載のもの)、パーフロオロア
ルキル基含有ウレタン化合物とオルガノシルセスキオキ
サンのラダー重合体等との混合物(例えば、特開昭63
−104804号公報に記載のもの)等を挙げる事がで
きる。又、上記混合物に於いて、シリコン化合物を含有
しないものも使用できる。更に、弗素系離型剤は、上記
化合物を主成分とし、適当な溶媒(例えば、水、イソオ
クタン、HCFC−141b等)を含有したものとする
事もできる。
【0031】一方、上記グリースは、その種類は特に限
定されるものではないが、前述した潤滑剤含有ポリマー
8aを構成する合成樹脂及び潤滑剤との親和性を考慮す
る事が好ましい。つまり、本発明の転がり軸受に組み込
む潤滑剤含有ポリマー8aは、充填の際、一度溶融状態
になるが、その際、この潤滑剤含有ポリマー8aを構成
する合成樹脂と潤滑剤とが相溶した状態になり、合成樹
脂はこの合成樹脂と相溶性を有する他の成分を最も取り
込み易い状態となる。従って、各ころ5、5の表面に成
膜されたグリースと樹脂とが相溶性がある場合には、グ
リースが、溶融した合成樹脂に取り込まれてしまい、潤
滑剤含有ポリマー8aが上記各ころ5、5に接触して固
化する可能性が高くなる。この場合には、これら各ころ
5、5の回転が拘束され、グリース被膜を設けた事によ
る回転抵抗低減効果があまり発揮されなくなる可能性が
ある。
【0032】従って、本発明に於いては、潤滑剤含有ポ
リマー8aを構成する合成樹脂及び潤滑剤とグリースと
は、相溶性が低い組み合わせにする事が好ましい。例え
ば、上記潤滑剤含有ポリマー8aの合成樹脂がポリオレ
フィン系樹脂の場合には、被膜用のグリースとしては、
炭化水素系の化合物と相溶性の殆どない弗素グリース
(増ちょう剤:PTFE、基油:パーフルオロポリエー
テル)、シリコングリース(増ちょう剤:リチウム石け
ん、基油:フェニルメチルポリシロキサン、ジメチルポ
リシロキサン)、フロロシリコーングリース(増ちょう
剤:リチウム石けん、基油:フロロシリコーン)等が最
も好適である。又、潤滑剤含有ポリマー8aの合成樹脂
が、その他の炭化水素系であっても、被覆用のグリース
として、その極性が高い事で相溶性が低いエステル油を
基油とするエステルグリース(増ちょう剤:ウレア、リ
チウム石けん等)、ペンタフェニルエーテル・テトラフ
ェニルエーテル等のポリフェニルエーテルを基油とする
ポリフェニルエーテル系グリース(増ちょう剤:ペント
ナイト等)を使用する事もできる。
【0033】又、潤滑剤含有ポリマー8aの合成樹脂が
ポリエステル系エラストマー、ポリウレアエラストマ
ー、ポリウレタン等の様に極性の高い炭化水素系の化合
物の場合には、被覆用のグリースとして、この様な炭化
水素系の化合物と相溶性の殆どない弗素系グリース、シ
リコングリース、フロロシリコーングリース等が最も好
適に使用できる。炭化水素系のグリースは、上述のもの
とは逆に、極性の低い鉱油、ポリα−オレフィン油、オ
クタデシルジフェニルエーテル等の様に長い炭化水素鎖
が付いたフェニルエーテル、エイコシルナフタレンの様
に長い炭化水素鎖が付いたナフタレンを基油として、ウ
レア、リチウム石けん等を増ちょう剤とする相溶性が低
いものを使用する事ができる。
【0034】前記離型剤の塗膜を形成する場合には、例
えば、弗素系離型剤をそのまま、或は適当な希釈剤(例
えば、水、イソオクタン、HCFC−141b等)で希
釈して、前記内輪4の外周面、外輪2の内周面、ころ
5、5の表面、及び保持器6の表面の各部にスプレーや
刷毛により塗布するか、或は転がり軸受を、上記離型剤
を含む溶媒又は分散液中に浸漬する等の方法で行なう。
この際、離型剤の塗布量は、特に限定しないが、0.1
〜1.0μm程度の膜厚となる様に均一に塗布する事が
好ましい。
【0035】又、前記グリースの被膜(塗膜)を形成す
る方法も特に限定されないが、例えば、転がり軸受中に
グリースを少量充填した後、この転がり軸受を回転させ
て、上記外輪2の内周面、内輪4の外周面、ころ5、5
の表面、及び保持器6の表面の各部に上記グリースの被
膜を形成する方法がある。その他の方法としては、グリ
ースを、基油が溶解し、増ちょう剤が均一に分布する様
な溶剤に適当な濃度で溶かしてから、その溶液中に転が
り軸受を浸漬させた後、乾燥させて溶剤を除去する事で
上記被膜を形成する方法がある。尚、上記グリースの被
膜の膜厚は、10〜1000μmにする事が好ましい。
【0036】上述の様に構成する本発明の転がり軸受の
場合には、保持器6の内径側の空間のみに潤滑剤含有ポ
リマー8aを充填している為、この潤滑剤含有ポリマー
8aにより内部を潤滑しても、回転抵抗を小さく抑える
事ができる。即ち、転がり軸受の長期間の使用により、
上記潤滑剤含有ポリマー8aの油分が放出して、この潤
滑剤含有ポリマー8aが収縮しても、この潤滑剤含有ポ
リマー8aと各ころ5、5とが接触する部分が小さい
為、この接触により生じる回転抵抗を小さくできる。し
かも、この接触する部分が小さい為、上記各ころ5、5
と潤滑剤含有ポリマー8aとの摩擦に起因する発熱を小
さく抑える事ができて、転がり軸受の回転速度限界を向
上させる事ができる。
【0037】更に、本発明の場合には、上記潤滑剤含有
ポリマー8aが保持器6の外径側から脱落する事がな
い。しかも本発明の場合には、この潤滑剤含有ポリマー
8aの外周面が上記保持器6の内周面に密接し、この保
持器6により抑え付けられた状態となっているので、使
用時に作用する遠心力に拘らず、上記潤滑剤含有ポリマ
ー8aに、亀裂等の損傷が発生しにくい。更には、上記
潤滑剤含有ポリマー8aの一部が、内輪4の軸方向一端
部に設けた大径側の鍔部7aの内側面(図1の左側面)
により軸方向一端(図1の右端)を抑えられる為、仮に
長期間に亙る使用によりこの潤滑剤含有ポリマー8aの
一部に亀裂が生じ、この亀裂が進行した場合でも、上記
潤滑剤含有ポリマー8aを転がり軸受の軸方向一端側か
ら外部に脱落しにくくする事ができる。この結果、本発
明によれば、この潤滑剤含有ポリマー8aの脱落した破
片による故障の発生を防止できる。更に、本例の場合に
は、上記内輪4の軸方向両端に設けた鍔部7a、7bの
内側面同士の間に存在する空間に、上記潤滑剤含有ポリ
マー8aの内径寄り部分の一部で、円周方向に隣り合う
ころ5、5同士の間に存在する部分を進入させている。
従って、この潤滑剤含有ポリマ8aの一部の軸方向両端
部を上記1対の鍔部7a、7bの内側面により抑えられ
て、上記潤滑剤含有ポリマー8aを転がり軸受の軸方向
端部から外部に脱落しにくくできる。更に、本例の場
合、前記保持器6の円筒部12の小径側端部に直径方向
内方に向け突出する状態で設けた内向鍔部22の内側面
によっても、上記潤滑剤含有ポリマー8aの軸方向端部
を抑えられる為、この潤滑剤含有ポリマー8aを転がり
軸受の軸方向端側から外部に、より脱落しにくくでき
る。
【0038】次に、図2は、本発明の実施の形態の第2
例を示している。本例の場合は、上述した第1例の場合
と異なり、円筒ころ軸受に本発明を適用している。即
ち、本例の場合、内輪4bの外周面に形成した内輪軌道
3aと、外輪2aの内周面に形成した外輪軌道1aと
は、何れも円筒面状としている。そして、これら内輪軌
道3aと外輪軌道1aとの間に、それぞれが円柱状であ
る複数個のころ5a、5aを転動自在に設けている。
又、上記外輪2aの軸方向両端部には、直径方向内方に
突出する鍔部9a、9bを、それぞれ全周に亙り設けて
いる。これに対して、上記内輪4bは、軸方向両端部の
うち、一端部(図2の右端部)のみに、直径方向外方に
突出する鍔部7aを全周に亙り設けている。上記内輪4
bの軸方向他端部(図2の左端部)外周面には鍔部を形
成せず、この内輪4bの全長を上記外輪2aの全長より
も短くしている。そして、この外輪2aの軸方向他端部
(図2の左端部)の内径側に円輪状の鍔輪13を、上記
内輪4bの軸方向他端面に突き合わせる状態で配置して
いる。本例の場合には、この鍔輪13の外径側端部で上
記内輪軌道3aよりも直径方向外方に向け突出する部分
が、請求項に記載した鍔部に相当する。
【0039】又、上記各ころ5a、5aは、円環状の保
持器6bにより転動自在に保持している。この保持器6
bは、それぞれが銅合金製である、第一素子14と第二
素子15とを、互いに組み合わせて結合する事により構
成している。このうちの第一素子14は、円輪部16と
複数本の柱部17とから成り、この円輪部16の軸方向
片側面(図2の右側面)で円周方向等間隔位置に上記複
数本の柱部17を、それぞれ軸方向に突出する状態で形
成している。これら各柱部17の軸方向長さは、上記各
ころ5a、5aの軸方向長さよりも僅かに大きい。そし
て、上記第一素子14と、全体を円輪状に形成して成る
上記第二素子15とを、上記各柱部17の側面に、上記
第二素子15の片側面を突き当てる状態で組み合わせて
いる。そして、上記複数本の柱部17と、上記第二素子
15との円周方向複数個所を、それぞれ軸方向に貫通す
る状態で設けた複数本のピン18により結合している。
この状態で、上記第一素子14の円輪部16の片側面
と、上記各柱部17の円周方向側面と、上記第二素子1
5の片側面とにより四方を囲まれた部分が、上記各ころ
5a、5aを転動自在に保持する為のポケット10とな
る。又、上記保持器6bの両端部外周面を、上記外輪2
aの軸方向両端部に設けた各鍔部9a、9bの一部内周
面に接触或は近接対向させる事により、この保持器6b
のラジアル方向の位置決めを、外輪案内により図ってい
る。
【0040】特に、本例の場合、上記保持器6bの中間
部内周面と、上記内輪軌道3aの外周面と、上記内輪4
bの鍔部7aの内側面と、上記鍔輪13の外径側端部内
側面と、上記各ころ5a、5bの転動面の一部とにより
その周囲を囲まれた空間に、潤滑剤含有ポリマー8aを
充填している。例えば、この潤滑剤含有ポリマー8aの
充填作業は、図2に示す様に、1対の治具23a´、2
3b´により、上記潤滑剤含有ポリマー8aを充填すべ
き空間を両側から挟持した状態で行なう。
【0041】上述の様に構成する本例の場合は、この潤
滑剤含有ポリマー8aの軸方向両端面の大部分が、上記
鍔部7aの内側面及び鍔輪13の外径側端部内側面によ
り抑えられる為、この潤滑剤含有ポリマー8aの一部が
転がり軸受外に脱落する事を、上述した第1例の場合よ
りも、より確実に防止できる。その他の構成及び作用に
就いては、上述した第1例の場合と同様である。
【0042】次に、図3は、本発明の実施の形態の第3
例を示している。本例の場合、円筒状の各ころ5a、5
aを転動自在に保持する保持器6aを、前述した従来構
造の第2例の場合と同様に、鋼板等の金属板をプレス成
形して成る、プレス保持器としている。この様な保持器
6aは、円筒部19と、この円筒部19の軸方向両端縁
から直径方向外方或は直径方向内方に向け、それぞれ突
出する状態で設けた、外向鍔部20及び内向鍔部21と
から成る。そして、上記保持器6aの軸方向一端部(図
3の左端部)に設けた外向鍔部20の軸方向外端縁か
ら、上記円筒部19の軸方向他端縁(図3の右端縁)迄
の部分の内周面と、内輪4b及び鍔輪13の外周面と、
上記各ころ5a、5aの転動面とにより周囲を囲まれる
空間内に、潤滑剤含有ポリマー8aを充填している。こ
の様な本例の場合には、転がり軸受の軸方向他側(図3
の右側)から外部に上記潤滑剤含有ポリマー8aが脱落
する事は、上記保持器6aの軸方向他端部に設けた内向
鍔部21によっても防止される。その他の構成及び作用
に就いては、上述した第2例の場合と同様である為、同
等部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0043】次に、図4は、本発明の実施の形態の第4
例を示している。本例の場合は、上述した第2例及び第
3例の場合と異なり、内輪4aの片側に鍔輪13(図
2、3)を設けていない。そして、この鍔輪13を省略
した分、上記内輪4aの軸方向長さを大きくして、外輪
2aの軸方向長さと同じとしている。又、この内輪4a
の軸方向一端部(図4の左端部)外周面には鍔部を設け
ず、この部分に、軸方向外端に向かう程直径が小さくな
る方向に傾斜した傾斜面11を形成している。そして、
保持器6aの軸方向他端部(図4の右端部)に設けた外
向鍔部20の軸方向外端縁から、この保持器6aの中間
部に設けた円筒部19の軸方向一端縁(図4の左端縁)
迄の部分の内周面と、上記内輪4aの外周面と、ころ5
a、5aの転動面の一部とで周囲を囲まれる空間内に、
潤滑剤含有ポリマー8aを充填している。その他の構成
及び作用に就いては、上述した第3例の場合と同様であ
る為、同等部分には同一符号を付して重複する説明は省
略する。
【0044】尚、上述した各例に於いては、本発明を円
筒或は円すいころ軸受に適用した場合に就いて説明した
が、本発明の対象となる転がり軸受はこの様なころ軸受
に限定されるものではなく、玉軸受等、ころ軸受以外の
他の転がり軸受も、その対象となる。例えば、転がり軸
受を、深溝型のラジアル玉軸受とした場合には、潤滑剤
含有ポリマー8aの少なくとも一部を、保持器の内周面
と、内輪の外周面に形成した断面円弧状の内輪軌道の外
周面と、玉の転動面との間の空間に充填する。従って、
この場合には、上記内輪の一部で、上記内輪軌道の両側
に隣接して、この内輪軌道の底面よりも直径方向外方に
向け突出する状態で設けた部分が、請求項に記載した鍔
部に相当する。
【0045】
【発明の効果】本発明の転がり軸受は、以上に述べた通
り構成され作用するので、内部を潤滑剤含有ポリマーに
より潤滑する場合でも、回転抵抗を小さく抑えると共
に、回転速度限界を向上させる事ができる。更に、潤滑
剤含有ポリマーの脱落を防止できる為、この潤滑剤含有
ポリマーの脱落した破片による故障の発生を防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。
【図2】同第2例を示す断面図。
【図3】同第3例を示す断面図。
【図4】同第4例を示す断面図。
【図5】従来構造の第1例を示す断面図。
【図6】同第2例を示す断面図。
【符号の説明】
1、1a 外輪軌道 2、2a 外輪 3、3a 内輪軌道 4、4a、4b 内輪 5、5a ころ 6、6a、6b 保持器 7a、7b 鍔部 8、8a 潤滑剤含有ポリマー 9a、9b 鍔部 10 ポケット 11 傾斜面 12 円筒部 13 鍔輪 14 第一素子 15 第二素子 16 円輪部 17 柱部 18 ピン 19 円筒部 20 外向鍔部 21 内向鍔部 22 内向鍔部 23a、23a´、23b、23b´ 治具

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周
    面に内輪軌道を有する内輪と、これら内輪軌道と外輪軌
    道との間に転動自在に設けられた複数個の転動体と、こ
    れら複数個の転動体を転動自在に保持する保持器と、上
    記内輪の一部、又はこの内輪とは別体の部材の一部に、
    上記内輪軌道の少なくとも片側に隣接して、この内輪軌
    道の底面よりも直径方向外方に突出する状態で設けられ
    た鍔部と、上記保持器の内周面と上記内輪の外周面との
    間で上記鍔部の内側面により軸方向端部を仕切られた空
    間に少なくともその一部が入り込んだ、潤滑剤と合成樹
    脂とを混合したものを固化して成る潤滑剤含有ポリマー
    とを備え、上記保持器の外径側の空間には上記潤滑剤含
    有ポリマーを設けていない転がり軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20220121501A (ko) * 2021-02-25 2022-09-01 건영산업 주식회사 롤링진동 흡수형구조의 쇽업소버 스트럿 마운팅

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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