JP2001234001A - 難燃性樹脂組成物およびこれを用いた電線ケーブル - Google Patents

難燃性樹脂組成物およびこれを用いた電線ケーブル

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JP2001234001A
JP2001234001A JP2000047741A JP2000047741A JP2001234001A JP 2001234001 A JP2001234001 A JP 2001234001A JP 2000047741 A JP2000047741 A JP 2000047741A JP 2000047741 A JP2000047741 A JP 2000047741A JP 2001234001 A JP2001234001 A JP 2001234001A
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fatty acid
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Akinari Nakayama
明成 中山
Kiyoshi Watanabe
清 渡辺
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Hitachi Cable Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成型加工時における発熱と負荷が少なく、さら
に、力学的特性と耐光性に優れた難燃性樹脂組成物と、
これを使用した電線ケーブルを提供する。 【解決手段】オレフィン系ポリマ100重量部、金属水
酸化物30〜300重量部、カーボンブラックあるいは
着色顔料0.2〜15重量部、および多価アルコールの
複数の水酸基を少なくとも1つの水酸基を残して脂肪酸
によりエステル化した部分エステル化物0.1〜30重
量部を含む混合物によってシース4を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃性樹脂成物お
よびこれを用いた電線ケーブルに関し、特に、成型加工
時の発熱と負荷が少なく、力学的特性と耐光性に優れた
オレフィンポリマ系難燃性樹脂組成物と、この樹脂組成
物を絶縁体あるいは外装シースに使用した電線ケーブル
に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化合物を含まない難燃性樹脂組
成物として、オレフィン系ポリマをベースレジンとし、
金属水酸化物を難燃剤とした組成物が知られている。こ
の組成物におけるポリマとしては、難燃剤の高充填に配
慮して、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体等の共重合形式のものが使用
されるのが普通であり、一方、金属水酸化物としては、
水酸化マグネシウムあるいは水酸化アルミニウムが主に
使用されている。この難燃性樹脂組成物は、ハロゲンを
含む組成物のように火の作用時に毒性ガスを放出するこ
とがなく、従って、建物の床や天井等に布設される電線
ケーブルにとっては、最適の構成材となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のこのタ
イプの難燃性樹脂組成物によると、以下に示す問題を有
している。まず、溶融成型時の昇温が大きいことによ
る、金属水酸化物表面からの付着水の放出を原因とした
発泡の問題がある。この問題は、成型加工時に加わる剪
断力のための、金属水酸化物同士の摩擦によって生ずる
もので、成型体の品質への影響が大きい。
【0004】次に、難燃剤を高充填しなければならない
ことからくる、溶融粘度上昇による大きな加工負荷を原
因とした低い成型効率の問題があり、また、これを解決
するために滑剤を混入するときの力学的特性の低下の問
題、さらには、ベースポリマがオレフィン系ポリマであ
ることによる耐光性不足の問題がある。
【0005】従って、本発明の目的は、成型加工時にお
ける発熱と負荷が少ないうえに、力学的特性と耐光性に
優れる難燃性樹脂組成物と、この難燃性樹脂組成物を使
用した電線ケーブルを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、オレフィン系ポリマ100重量部、金属
水酸化物30〜300重量部、カーボンブラックあるい
は着色顔料0.2〜15重量部、および多価アルコール
の複数の水酸基を少なくとも1つの水酸基を残して脂肪
酸によりエステル化した部分エステル化物0.1〜30
重量部から成る組成を有することを特徴とする難燃性樹
脂組成物を提供するものである。
【0007】また、本発明は、上記の目的を達成するた
め、難燃性の被覆を有する電線ケーブルにおいて、前記
難燃性の被覆は、オレフィン系ポリマ100重量部、金
属水酸化物30〜300重量部、カーボンブラックある
いは着色顔料0.2〜15重量部、および多価アルコー
ルの複数の水酸基を少なくとも1つの水酸基を残して脂
肪酸によってエステル化した部分エステル化物0.1〜
30重量部から成る混和物の押出成型体より構成される
ことを特徴とする電線ケーブルを提供するものである。
【0008】上記のオレフィン系ポリマとしては、低密
度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超
低密度ポリエチレン、エチレン−メチルメタクリレート
共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エ
チレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート
共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−
ブテン−ヘキセン三元共重合体、エチレン−プロピレン
−ジエン三元共重合体、エチレン−オクテン共重合体、
ポリプロピレン、エチレン共重合ポリプロピレン、エチ
レン−プロピレン共重合体、ポリ−4−メチル−ペンテ
ン−1、マレイン酸グラフト低密度ポリエチレン、マレ
イン酸グラフト直鎖状低密度ポリエチレン、マレイン酸
グラフトエチレン−メチルアクリレート共重合体、マレ
イン酸グラフトエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−エチルアクリ
レート−無水マレイン酸三元共重合体等が挙げられ、こ
れらは、単独あるいは2種以上が混合されて使用され
る。
【0009】金属水酸化物としては、水酸化マグネシウ
ム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、カルシ
ウムアルミネート水和物、水酸化カルシウム、水酸化バ
リウム、ハードクレー等が使用される。なかでも、水酸
化マグネシウムの使用が難燃化上好ましく、特に、平均
粒子径が8μmの以下の水酸化マグネシウムを使用する
と、引き落としをかけた外装シースの押し出し時に、粗
粒径による凹凸が表面に現れないので有利である。
【0010】本発明において、これらの金属水酸化物の
配合量をオレフィン系ポリマ100重量部に対して30
〜300重量部に限定する理由は、30重量部未満で
は、充分な難燃性を確保できないためであり、一方、3
00重量部を超えると、機械的強度が急激に低下すると
ともに、成型加工時の発熱と負荷が大きくなることによ
る。
【0011】難燃剤として、酸化金属化合物やリン化合
物を併用することは可能である。酸化金属化合物として
は、酸化アンチモン、酸化アルミニウム、および酸化マ
グネシウム等が使用され、リン化合物としては、赤リ
ン、フォスフェートエステル、フォスフォネート、およ
びフォスフォリネン等が使用される。特に、赤リンを併
用することは、難燃化上好ましい。
【0012】カーボンブラックあるいは着色顔料は、組
成物中への紫外線の透過によるオレフィン系ポリマの劣
化を防ぐことを目的として配合され、配合による効果
は、部分エステル化物との併用のときに顕著に向上す
る。部分エステル化物の後述する作用によって金属水酸
化物がポリマ中に均一に分散する結果、破壊の核となる
金属水酸化物の凝集体が存在しなくなるため、劣化時に
おける機械的特性の極端な低下が抑制されるようにな
り、従って、このことと、カーボンブラックあるいは着
色顔料による紫外線遮蔽効果が相剰的に作用することに
よって、優れた耐光性を確保することが可能となる。
【0013】カーボンブラックとしては、ファーネスブ
ラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が
使用され、これらは、黒色をはじめとして、灰、茶、
青、赤、緑等の着色を行うときの差し色として有効であ
る。着色顔料としては、無機質および有機質のいずれも
使用可能であり、無機質顔料としては、酸化チタン
(白)、ニッケルチタンイエロー(黄)、クロムチタン
イエロー(黄)、酸化鉄〔黄〜赤(弁柄)〜黒(鉄
黒)〕、亜鉛フェライト(茶)、群青(青)、コバルト
ブルー(青)、酸化クロム(緑)、スピネルグリーン
(緑)等が使用され、なかでも酸化チタンは、白色のほ
かに、灰、茶、青、赤、緑、黄等に着色する際の差し色
として併用すると有効である。ルチル型とアナターゼ型
があるなかで、ルチル型の酸化チタンは、耐光性に特に
優れているので、黒色を除くすべての色の着色時に併用
することが好ましい。
【0014】有機質顔料としては、モノアゾ顔料、ジス
アゾ顔料、縮合アゾ顔料(以上黄〜赤)等のアゾ系、あ
るいはキナクリドン(赤〜紫)、ジオキサジン(紫)、
イソインドリノン(黄)、ペリレン(橙〜赤)、フタロ
シアニン(青〜緑)等の多環系などが使用される。但
し、ノンハロゲンの観点からすると、塩素等によってハ
ロゲン化されているイソインドリノン、塩素化フタロシ
アニン等の使用は避けることが好ましい。
【0015】カーボンブラックあるいは着色顔料の配合
量は、オレフィン系ポリマ100重量部に対して0.2
〜15重量部に限定する必要があり、配合量が0.2重
量部を下廻ると、耐光性の改善効果に充分な結果が得ら
れず、一方、15重量部を超えると、引張強度の低下を
招くようになるので避ける必要がある。
【0016】本発明において、部分エステル化物を混入
する理由は、成型加工時における組成物の発熱を抑制す
るためである。この物質が分子中に脂肪酸と水酸基を有
する結果、脂肪酸の部分がオレフィン系ポリマ中に拡散
する一方で、水酸基が金属水酸化物の表面に吸着するよ
うになり、従って、これにより成型加工時の金属水酸化
物同士の衝突による内部摩擦は抑制され、発熱が防がれ
ることになる。
【0017】また、水酸基を金属水酸化物に吸着させ、
かつ脂肪酸をポリマ中に拡散させた部分エステル化物が
組成中に存在することは、金属水酸化物とポリマの相溶
性を高めることになり、従って、これによる粘度低下に
基づいた加工時の負荷低減と、それによる押出等の成型
効率向上の効果をもたらすようになる。なお、この部分
エステル化物は、組成物の混練時に金属水酸化物の表面
に速やかに分散して吸着する性質を有するため、この物
質が存在することによって、ポリマ中での会合によりミ
セルを形成して組成物の強度を低下させるようなことは
ない。むしろ、金属水酸化物の表面状態によっては、オ
レフィン系ポリマとの密着が高くなるため、強度を向上
させるように作用する。
【0018】以上に述べような部分エステル化物による
効果を得るためには、配合量の下限値と上限値をオレフ
ィン系ポリマ100重量部に対してそれぞれ0.1重量
部と30重量部に設定する必要がある。配合量が0.1
重量部未満では、上記した発熱抑制効果と成型効率向上
効果に充分なものが得られず、逆に、30重量部を超過
すると、余剰となった部分エステル化物がオレフィン系
ポリマ中で会合し、ミセルを形成して強度を低下させる
ようになる。
【0019】部分エステル化物の合成に使用される多価
アルコールとしては、エチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ト
リメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニ
トール、ソルビトール、あるいはソルビタン等が使用さ
れ、一方、これらの水酸基の一部をエステル化するため
の脂肪酸としては、たとえば、炭素数が8〜30の高級
脂肪酸が使用される。
【0020】具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン
酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシ
ン酸等の飽和高級脂肪酸、あるいはオレイン酸、リノー
ル酸、リノレン酸、エルカ酸、アラキドン酸等の不飽和
高級脂肪酸が使用される。
【0021】脂肪酸は、脂肪酸鎖長が長いほど樹脂分と
の相溶性が良好であり、なかでも、炭素数が18〜28
のステアリン酸よりモンタン酸までを用いるときには、
組成物の強度が高くなるとともに、加工時の発熱抑制効
果が大きくなる。炭素数が18より少なくなると、強度
向上効果が不充分となり、逆に28を超えると、発熱抑
制の効果が小さくなるので好ましくない。
【0022】部分エステル化物は、その多価アルコール
の複数の水酸基のうちの1〜2個がエステル化されてい
ることが好ましく、たとえば、多価アルコールが2価の
アルコールのときには1個の水酸基、3価以上のアルコ
ールのときには1個あるいは2個の水酸基がエステル化
される。3個以上の水酸基をエステル化したものは、脂
肪酸が水酸基を取り囲むことによる立体障害が生じ、水
酸基の極性効果が低くなって金属水酸化物への吸着性が
低下するようになるので好ましくない。
【0023】部分エステル化物の具体例としては、たと
えば、エチレングリコールモノステアリン酸エステル、
プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、グリ
セリンモノステアリン酸エステル、グリセリンジステア
リン酸エステル、グリセリンジオレイン酸エステル、ペ
ンタエリスリトールモノベヘニン酸エステル、ソルビト
ールモノパルミチン酸エステル、ソルビトールジモンタ
ン酸エステル、あるいはソルビタンモノステアリン酸エ
ステル等を挙げることができる。
【0024】成型機よりの成型体の離型性を高めるため
に、脂肪酸アミドを加える実施態様は有効である。良好
な離型性は、成型時の負荷低減の効果をもたらすので、
押出等の成型速度を向上させるように作用する。脂肪酸
アミドとしては、脂肪酸の炭素数が8〜30の高級脂肪
酸のモノアミドあるいはビスアミドであることが好まし
く、具体的には、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミ
ド、ベヘン酸アミド等のモノアミド、あるいはメチレン
ビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミ
ド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド等のビスアミド
等が使用され、さらには、エチレンビスヒドロキシステ
アリン酸アミド等のヒドロキシ脂肪酸アミドなどが使用
される。
【0025】脂肪酸アミドの配合量は、オレフィン系ポ
リマ100重量部に対して0.1〜30重量部の範囲に
設定することが必要であり、0.1重量部未満では配合
による効果が得られず、一方、30重量部を超えると、
余剰となった脂肪酸アミドがポリマ中で会合してミセル
を形成し、強度の低下を招くようになる。
【0026】脂肪酸金属塩、シラン系またはチタネート
系カップリング剤、あるいはアクリル樹脂等による表面
処理を配合剤に施すことによって耐水性の向上を図るこ
とは可能であり、また、必要に応じて、組成物中に、酸
化防止剤、滑剤、界面活性剤、軟化剤、可塑剤、無機充
填剤、相溶化剤、安定剤、架橋剤、紫外線吸収剤、光安
定剤等の添加物を加えることも可能である。なお、本発
明の難燃性樹脂組成物を電線ケーブルに適用するときの
構成対象としては、絶縁体、シース、あるいはこれらの
双方のいずれでもよい。
【0027】
【発明の実施の形態】次に、本発明による難燃性樹脂組
成物および電線ケーブルの実施の形態を説明する。表1
〜3に示される実施例および比較例ごとに、130℃に
予熱した3リットル容量のニーダにポリマと各配合剤を
投入して15分間混練した後、その一部をプレス成型す
ることによって試験用シートを作成する一方、得られた
混練物よりペレットを作成し、このペレットを使用して
試験用ケーブルを製造した。
【0028】図1は、製造された試験用ケーブルの構成
を示し、1は1.25mm2 の導体2上に外径が2.3
mmとなるようにポリエチレン絶縁体3を被覆した絶縁
線心、4はポリプロピレンの介在物5とともに対撚りさ
れた絶縁線心1、1上に形成された厚さが1mmのシー
スを示す。表1の実施例および比較例の組成物がシース
4に適用され、それぞれ170℃の温度と10m/mi
nの速度のもとに押し出された。
【0029】表1に、以下の試験条件による特性試験結
果を示す。 ◇引張特性 厚さが1mmの試験用シートより打ち抜いたダンベルを
使用し、JISC3005に基づく引張試験を行った。
7.5MPa以上の引張強さと300%以上の伸びを目
標値とした。 ◇耐光性 キセノンランプ促進耐光性試験機(コフォメグラ社製3
000e)を使用して試験用シートに2000時間の紫
外線照射を行った後、JIS C3005に基づいく引
張試験を行った。50%以上の伸びを目標値とした。
【0030】◇加工時発熱性 温度を160℃、ロータ回転を120rpmに設定した
密閉式ミキサー(東洋精機社製ラボプラストミルミキサ
ーR−60)にペレットを投入してロータを10分間回
転させたときの組成物の温度を測定した。ミキサーを押
出機等の成型機に見立てた試験であり、組成物の温度が
200℃以下を目標値とした。
【0031】◇加工時負荷 上記の加工時発熱試験におけるロータの負荷トルクを測
定し、3kgf・m以下を目標値とした。 ◇難燃性 試験用ケーブルを対象としてJIS C3005に基づ
く60度傾斜燃焼試験を行った。30秒間接炎した後の
延焼時間ガ5回平均で60秒以下のものを合格とした。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】表1〜3によれば、実施例が、引張強さと
伸びの力学的特性、耐光性、および難燃性に優れている
とともに、加工時における発熱および負荷の抑制効果に
おいても優れた特性を示しているのに比べ、比較例1〜
11は、これらの諸特性のいずれかにおいて不満足な結
果を示している。
【0036】即ち、カーボンブラックあるいは着色顔料
を含まない比較例1と4は、耐光性に劣り、部分エステ
ル化物を含まない比較例1〜3は、加工時の発熱と負荷
が大きい。また、金属水酸化物の量が本発明の上限と下
限を外れる比較例5と6は、引張強さと加工時における
発熱および負荷抑制の効果において前者が劣り、難燃性
において後者が劣っている。さらに、着色顔料の配合量
が本発明の上限と下限を外れる比較例8と9は、それぞ
れ前者が引張強さ、後者が耐光性において不満足な結果
しか示していない。
【0037】また、部分エステル化物の量を本発明の規
定の上限より多くした比較例10は、引張強さにおいて
特性が劣り、一方、下限未満とした比較例11は、加工
時の発熱および負荷を上昇させる結果を招いている。そ
して、部分エステル化物を配合せずに滑剤を配合した比
較例7の場合には、引張強さと加工時の発熱抑制効果が
不足しており、このように比較例の組成物は、そのいず
れもが不満足な結果しか示していない。
【0038】表1〜3を考察するとき、実施例2と比較
例2の間、および実施例3と比較例3の間における耐光
性の対比は重要である。実施例2と比較例2は、いずれ
も1重量部のカーボンブラックを含むものであるが、前
者の紫外線照射後の伸びが490%もの高いレベルを示
しているのに比べ、後者のそれは130%にとどまって
いる。このような顕著な耐光性の差は、着色剤として同
量のルチル型酸化チタンを混入した実施例3と比較例3
の間にも認めることができる。いずれのケースも、部分
エステル化物の有無による差であり、カーボンブラック
あるいは着色顔料と部分エステル化物が、耐光性におい
てこのように顕著な相剰作用を示すことは、本発明によ
ってはじめて解明された事実である。金属水酸化物を難
燃剤として含み、オレフィン系ポリマをベースレジンと
した難燃性樹脂組成物にとって、この効果の発見は重要
である。
【0039】表1の実施例1〜7によれば、加工時の組
成物の温度とトルクが、エステル化に使用された脂肪酸
の炭素数増に伴って上昇することが示されている。これ
らの特性に加えて相対的な引張強度を考慮したとき、脂
肪酸の好ましい炭素数は、18〜28であることを表1
は示している。一方、炭素数が18〜28の脂肪酸でエ
ステル化された部分エステル化物を含む実施例2〜8に
よると、モノあるいはジエステル化の実施例2〜7とト
リエステル化の実施例8を比較したとき、実施例8の加
工時の発熱とトルクが高く、引張強さも低いことが認め
られる。
【0040】以上の事実は、多価アルコールの複数の水
酸基の1〜2個を18〜28の炭素数の脂肪酸によって
エステル化した部分エステル化物を使用することが、本
発明にとって好ましい実施態様となることを示している
ものである。
【0041】実施例9〜12に脂肪酸アミドを含む例が
示されている。脂肪酸アミドには、組成物の滑性を高め
て成型機の金属面よりの離型を良好にする作用があり、
従って、これを混入することは、成型加工時のトルクを
下げることにつながる。実施例9〜12のトルクは、い
ずれも低いレベルに抑えられており、脂肪酸アミドの混
入効果が現れている。
【0042】図2は、本発明の組成物をシースの構成材
に適用した他のケーブルの例を示す。(a)はシース4
の下に押さえテープ6を巻き付けた例、(b)は対撚り
された絶縁線心1上に充実型のシース4を被覆した例、
(c)は絶縁線心1の対撚り体の複数本をポリプロピレ
ンの介在物5とともに撚り合わせた上にシース4を被覆
した例である。いずれのケーブルの場合も図1と同様
に、絶縁体3等の内部部材は、シース4によって燃焼か
ら守られる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による難燃
性樹脂組成物および電線ケーブルによれば、オレフィン
系ポリマ100重量部、金属水酸化物30〜300重量
部、カーボンブラックあるいは着色顔料0.2〜15重
量部、および多価アルコールの複数の水酸基を少なくと
も1つの水酸基を残して脂肪酸によりエステル化した部
分エステル化物0.1〜30重量部から成る組成を有
し、これを被覆した構成を有するため、成型加工時の発
熱と負荷が少なく、さらに、力学的特性と耐光性に優れ
た難燃性組成物と電線ケーブルを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電線ケーブルの実施の形態を示す
説明図。
【図2】本発明による電線ケーブルの他の実施の形態を
示す説明図。
【符号の説明】
1 絶縁線心 2 導体 3 絶縁体 4 シース 5 介在物 6 押さえテープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 3/00 H01B 3/00 A 3/44 3/44 F M 7/295 7/34 B Fターム(参考) 4J002 BB031 BB051 BB061 BB071 BB091 BB121 BB141 BB151 BB171 BN051 BN071 BN121 DA037 DE066 DE076 DE086 DE097 DE107 DE117 DE137 DE146 DE286 DJ036 EB147 EH058 EP019 EP029 EQ017 EU027 EU217 EU237 FA086 FD097 FD130 FD136 FD169 FD178 GQ01 5G303 AA06 AB20 BA12 CA01 CA09 CB01 CB17 CC08 CD07 5G305 AA02 AA14 AB15 AB25 AB28 AB36 BA15 BA22 BA24 CA01 CB08 CB17 CC01 CC03 CD13 CD20 5G315 CA03 CB02 CC08 CD02 CD14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オレフィン系ポリマ100重量部、金属水
    酸化物30〜300重量部、カーボンブラックあるいは
    着色顔料0.2〜15重量部、および多価アルコールの
    複数の水酸基を少なくとも1つの水酸基を残して脂肪酸
    によりエステル化した部分エステル化物0.1〜30重
    量部から成る組成を有することを特徴とする難燃性樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】前記組成は、0.1〜30重量部の脂肪酸
    アミドを含むことを特徴とする請求項1項記載の難燃性
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記部分エステル化物は、前記多価アルコ
    ールの複数の水酸基の1〜2個が18〜28の炭素数を
    有する脂肪酸によりエステル化されたものであることを
    特徴とする請求項1項あるいは2項記載の難燃性樹脂組
    成物。
  4. 【請求項4】難燃性の被覆を有する電線ケーブルにおい
    て、 前記難燃性の被覆は、オレフィン系ポリマ100重量
    部、金属水酸化物30〜300重量部、カーボンブラッ
    クあるいは着色顔料0.2〜15重量部、および多価ア
    ルコールの複数の水酸基を少なくとも1つの水酸基を残
    して脂肪酸によりエステル化した部分エステル化物0.
    1〜30重量部から成る混和物の押出成型体より構成さ
    れることを特徴とする電線ケーブル。
  5. 【請求項5】前記難燃性の被覆は、0.1〜30重量部
    の脂肪酸アミドを含む前記混和物の押出成型体より構成
    されることを特徴とする請求項4項記載の電線ケーブ
    ル。
  6. 【請求項6】前記難燃性の被覆は、前記多価アルコール
    の複数の水酸基の1〜2個が18〜28の炭素数を有す
    る脂肪酸によりエステル化された前記部分エステル化物
    を含む前記混和物の押出成型体より構成されることを特
    徴とする請求項4項あるいは5項記載の電線ケーブル。
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