JP2001232665A - 成形同時加飾成形品の製造方法 - Google Patents

成形同時加飾成形品の製造方法

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JP2001232665A
JP2001232665A JP2000042585A JP2000042585A JP2001232665A JP 2001232665 A JP2001232665 A JP 2001232665A JP 2000042585 A JP2000042585 A JP 2000042585A JP 2000042585 A JP2000042585 A JP 2000042585A JP 2001232665 A JP2001232665 A JP 2001232665A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャビティを有する金型内に加飾シートを設
置し、金型内に溶融樹脂を射出し、加飾シートと樹脂と
が一体化した成形品を得る成形同時加飾成形品の製造方
法において、金型のゲート径をa(mm)、ASTM
D1238に規定された試験法での試験温度T(℃)、
ピストンの押力P(N)におけるメルトフローレートを
b(g/10min)としたとき、1×10−5≦b/
(T×P)および0.25≦a×bの関係がともに成立
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、キャビティ内に
樹脂が十分に充填され、加飾シートにしわや損傷が生じ
ない優れた外観を有する成形同時加飾成形品を製造する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂成形品の表面を装飾する方法
として、加飾シートを利用した成形同時加飾法がある。
成形同時加飾法には、加飾シートとして転写材を用いた
成形同時転写法や、加飾シートとしてインサート材を用
いたインサート法がある。
【0003】成形同時転写法とは、基体シート上に、剥
離層、図柄層、接着層などからなる転写層を形成した転
写材を成形金型内に挟み込み、金型内に溶融樹脂を注入
し、冷却して樹脂成形品を得るのと同時に成形品表面に
転写材を接着した後、基体シートを剥離して、被転写物
面に転写層を転移して装飾を行う方法である。
【0004】インサート法とは、基体シート上に図柄層
などが形成されたインサート材を成形金型内に挟み込
み、金型内に溶融樹脂を注入し、冷却して樹脂成形品を
得るのと同時に成形品表面にインサート材を接着して装
飾を行う方法である。
【0005】成形同時転写法やインサート法は、印刷法
によって直接図柄を形成することが困難な形状の成形品
であっても図柄を形成することができるという特長を有
する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これらの成
形同時加飾法においては、溶融樹脂を注入する際に、加
飾シートにしわが生じたり部分的に損傷したりするとい
う問題点を有していた。
【0007】すなわち、成形用金型のゲートとしてピン
ポイントゲートがある。ピンポイントゲートを有する成
形用金型を用いると、成形品のゲート跡が小さくて目立
たず、ランナーを成形品から容易にもぎ取ることができ
るなどの利点を有する。しかし、シリンダ内でおよそ1
60〜280℃に加熱された高温の溶融樹脂が、ピンポ
イントゲートのように径の小さいゲート部分を流動する
ことによりゲート部分において摩擦熱が発生してさらに
高温となり、この高温の溶融樹脂が、成形用金型内に装
着した加飾シートに高圧で急激に衝突することにより、
加飾シートにしわが生じたり、加飾シートを構成する接
着層、図柄層、基体シートなどが部分的に溶融して飛散
するのである。しかも、ゲート径が小さいと樹脂の流量
が阻害されて成形品の末端まで樹脂が流れず、より高い
圧力をかけて樹脂を注入する必要があるため、いっそう
加飾シートにしわが生じたり損傷したりしやすいという
問題があった。
【0008】また、他のゲート形式として、成形後にゲ
ート処理の必要性はあるが大量に溶融樹脂を注入できる
サイドゲート、フィルムゲートなどがある。このような
比較的大きなゲート径を有する成形用金型を用いると、
シリンダ内で160〜280℃に加熱された高温の溶融
樹脂が、大量に一度にキャビティ内に流入することにな
り、加飾シートにしわが生じたり、加飾シートの接着層
が溶融樹脂の熱量で溶かされて流されてしまって加飾シ
ートが成形樹脂と接着しなくなったり、溶融樹脂の熱量
で加飾シート自体が溶けるなどの損傷を受けたりすると
いう問題があった。
【0009】また、加飾シートとゲートとの距離が小さ
い場合は、高温高圧の溶融樹脂による衝撃の影響をより
大きく受けやすい。
【0010】このように、加飾シートの接着層、図柄
層、基体シートなどが、射出時の溶融樹脂の熱と圧力で
損傷を受け、接着不良、図柄の流れ、加飾シートのし
わ、溶融などを起こし、成形同時加飾成形品の外観に不
具合が生じるという問題があった。
【0011】したがって、この発明は、上記のような欠
点を解消し、キャビティ内に樹脂が十分に充填され、加
飾シートにしわや損傷が生じない優れた外観を有する成
形同時加飾成形品を容易に製造する方法を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の成形同時加飾
成形品の製造方法は、以上の目的を達成するために、つ
ぎのように構成した。
【0013】すなわち、この発明の成形同時加飾成形品
の製造方法は、キャビティを有する金型内に加飾シート
を設置し、金型内に溶融樹脂を射出し、加飾シートと樹
脂とが一体化した成形品を得る成形同時加飾成形品の製
造方法において、金型のゲート径をa(mm)、AST
M D1238に規定された試験法での試験温度T
(℃)、ピストンの押力P(N)におけるメルトフロー
レートをb(g/10min)としたとき、1×10
−5≦b/(T×P)および0.25≦a×bの関係が
ともに成立するように構成した。
【0014】また、上記の発明において、ゲートが、ゲ
ート径0.5〜5mmのピンポイントゲートであるよう
に構成してもよい。
【0015】また、上記の発明において、試験温度T
が、160〜280℃であるように構成してもよい。
【0016】また、上記の発明において、加飾シート
が、転写材またはインサート材であるように構成しても
よい。
【0017】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態について詳
しく説明する。
【0018】この発明の成形同時加飾成形品の製造方法
は、キャビティを有する金型内に加飾シートを設置し、
金型内に溶融樹脂を射出し、加飾シートと樹脂とが一体
化した成形品を得る成形同時加飾成形品の製造方法にお
いて、金型のゲート径をa(mm)、ASTM D12
38に規定された試験法での試験温度T(℃)、ピスト
ンの押力P(N)におけるメルトフローレートをb(g
/10min)としたとき、1×10−5≦b/(T×
P)および0.25≦a×bの関係がともに成立する方
法である。
【0019】可動型に取り付けられた加飾シート送り装
置で加飾シートが供給される場合、または、キャビティ
面積より加飾シートが大きい場合は、金型をスリープレ
ート方式の成形金型構造とするのが好ましい。また、キ
ャビティ面積より加飾シートが小さい場合または同程度
の場合は、ツープレート方式の成形金型構造でも適用可
能である。
【0020】この発明において、ゲートとは、金型内の
キャビティに成形機のシリンダー内で溶融された樹脂が
ノズルより射出され直接または金型内のランナー、スプ
ルーなどを経てキャビティに流入される口となる部分を
いう。ゲートの種類としては、その形状や配置される位
置によって、ピンポイントゲート、サイドゲート、フィ
ルムゲートなどに分類される。ピンポイントゲートは、
通常、円形であり、この場合ゲート径とはゲートの直径
をさす。また、ピンポイントゲートであっても何らかの
理由により楕円、その他の変形形状である場合、あるい
は、サイドゲート、フィルムゲートなどのゲートの形状
が円形でない場合は、ゲートの最小内径と最大外径の平
均をもって径とする。また、ゲートの形状が長方形であ
る場合は、対角線と短辺の平均をもって径とする。ゲー
トが多点の場合は、ゲート径の平均をもってゲート径と
する。ピンポイントゲート場合、ゲート径は0.5〜
5.0mmの範囲であるのが好ましい。ゲート径が0.
5mmに満たないと、溶融樹脂がゲート部分で固化して
しまい、ほとんどのケースで成形樹脂が充填不足にな
る。また、ゲート径aが5.0mmを越えると、ゲート
カット作業の労力が多大になる。特に、充填不足もな
く、加飾シートを損傷させ難く、ゲートカットしやすい
ゲート径は、0.8〜2.0mmである。
【0021】溶融樹脂としては、請求項1の条件を満た
すものであればとくに限定されないが、ABS樹脂、A
S樹脂、PP樹脂、PC樹脂、PS樹脂、PMMA樹
脂、PE樹脂、PBT樹脂、PET樹脂、各種熱可塑性
エラストマー樹脂などを主成分とするものを用いること
ができる。ここで、主成分にするとは、これらの樹脂が
溶融樹脂中に51%重量以上含有することをいう。
【0022】AS樹脂はアクリロニトリル・スチレンを
成分とした共重合体樹脂、ABS樹脂はアクリロニトリ
ル・スチレン・ブタジエンを成分とした共重合体樹脂を
一般に指すが、AS樹脂にゴム成分のブタジエンなどを
熱分散により含有したものでもよい。
【0023】なお、これらは樹脂単体で使用される場合
が一般的であるが、他の樹脂とのポリマーアロイや混合
物としても使用可能である。たとえば、ポリプロピレン
(PP)樹脂とポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピ
レン(PP)樹脂とオレフィン系ゴム、ポリカーボネー
ト(PC)樹脂とポリブチレンテレフタレート(PB
T)樹脂、ABS樹脂とポリカーボネート(PC)樹
脂、ポリカーボネート(PC)樹脂とポリアミド(P
A)樹脂、ABS樹脂と塩化ビニル樹脂、ポリエステル
系熱可塑性エラストマー樹脂とポリウレタン熱可塑性エ
ラストマー樹脂などのポリマーアロイや混合物を使用す
ることができる。これらの成分の配合比は特に規定され
るものではない。
【0024】その他、樹脂の充填剤、着色剤などは、主
成分以外の総重量が49%以下となる範囲で含有可能で
ある。
【0025】充填剤としては、シリカ、タルクなどの無
機粉末充填剤や、ガラス繊維、カーボン繊維、ステンレ
スなどの金属繊維など繊維状充填剤などを用いることが
できる。しかし、これらの充填剤は、成形品となったと
きの物理的強度を増すため使用されるが、メルトフロー
を悪くする(小さくする)方向に働くため、成形同時加
飾成形法においてはしわを発生させるため、できるだけ
少ない量にとどめるのが好ましい。
【0026】メルトフローレート(MFR)はメルトイ
ンデックス(MI)ともいわれ、樹脂の流れやすさの指
標であり、金型内で溶融状態にあるとき、値の大きいも
のほど流れやすいと判断できる。
【0027】メルトフローレートは、ASTM D12
38によって規定された試験法で測定できるものであ
り、押出し型プラストメーターを用いて、一定の温度お
よび圧力でオリフィスから押出された樹脂量を10分間
当たりのグラム数に換算して表し、g/10minを単
位として示される数値である。
【0028】一般に、メルトフローレートの値が小さい
樹脂は、流動性が悪く、成形同時加飾成形法に使用する
と、高温のためより加飾シートが延びやすい状態とあい
まって、キャビティ内で摩擦により加飾シートを伸ば
し、金型の端面で加飾シートが余ってしわになるという
問題が起きやすい。
【0029】ここで、金型のゲート径をa(mm)、A
STM D1238に規定された試験法での試験温度T
(℃)、ピストンの押力P(N)におけるメルトフロー
レートをb(g/10min)としたとき、1×10
−5≦b/(T×P)および0.25≦a×bの関係が
成立することが重要である。すなわち、溶融した高温樹
脂がキャビティに注入充填される際に、成形用金型内に
装着した加飾シートにしわや損傷が生じる問題は、溶融
樹脂が注入される際の流量とキャビティ内の流れやすさ
に依存することを見出した。特に、シリンダ内で溶融さ
れ190〜260℃の温度で溶融樹脂が射出される場
合、溶融樹脂が射出される流量はゲート径に依存し、か
つ、キャビティ内の流量はキャビティ内を流れる樹脂の
流れやすさに依存することが判明した。
【0030】より具体的には、金型のゲート径a(m
m)、ASTM D1238に規定された試験法での試
験温度T(℃)、ピストンの押力P(N)におけるメル
トフローレートb(g/10min)が上記の関係を満
たすことによって、加飾シートが溶融樹脂の圧力や熱に
よってしわが生じたり損傷したりしないものとなる。b
/(T×P)が1×10−5以上でないと、キャビティ
に溶融樹脂を充填するのにかなり高温の試験温度にする
か高圧のピストン押力にしなければならず、そのような
条件下では耐熱性に極めて優れた加飾シートでなければ
溶融してしまう恐れがある。また、a×bが0.25以
上でないと、溶融樹脂がキャビティに入る前にゲート部
分で冷却固化してしまい、充填できなくなる恐れがあ
る。したがって、上記2つの条件の両方を満たさない
と、汎用の材料から構成される加飾シートでは、成形同
時加飾成形品を得ることが困難になる。
【0031】また、試験温度Tとしては、160〜28
0℃であるのが好ましい。試験温度Tが160℃に満た
ないと、溶融樹脂の流動が悪くなり成形品にショートが
生じたり加飾シートの密着不良が生じたりする恐れがあ
る。また、試験温度Tが280℃を越えると、樹脂ヤケ
が起こって成形品に着色が生じたり、炭化が生じてシリ
ンダ内に樹脂かすが残ったりする恐れがある。また、加
飾シートが溶融する恐れもある。なお、溶融樹脂はシリ
ンダー内で溶融され、一般的には射出成形機のノズル指
示温度より10〜40℃程度高い状態にある。そして、
溶融樹脂はノズルを経て金型内に注入される際に10〜
40℃程度の温度降下があると考えられる。したがっ
て、射出成形機のノズル指示温度は、注入直前の樹脂の
温度、すなわち試験温度Tを示しているとみなしてよ
い。
【0032】また、加飾シートとゲートとの距離は、一
般に、加飾シートに近接しない方が好ましい。
【0033】加飾シートとしては、転写材やインサート
材を用いることができる。
【0034】転写材は、基体シート上に、剥離層、図柄
層、接着層などからなる転写層が設けられたものであ
る。
【0035】基体シートの材質としては、ポリプロピレ
ン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系
樹脂などの樹脂シートなど、通常の転写材の基体シート
として用いるものを使用することができる。また、基体
シートの表面が微細な凹凸を有する場合は、転写層に凹
凸が写し取られ、艶消しやへアラインなどの表面形状を
表現することができる。
【0036】基体シートからの転写層の剥離性がよい場
合には、基体シート上に転写層を直接設ければよい。基
体シートからの転写層の剥離性を改善するためには、基
体シート上に転写層を設ける前に、離型層を全面的に形
成してもよい。
【0037】剥離層は、基体シートまたは離型層上に全
面的に形成する。剥離層は、成形同時転写後に基体シー
トを剥離した際に、基体シートまたは離型層から剥離し
て被転写物の最外面となる層である。剥離層の材質とし
ては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化
ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などのほか、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体系樹脂などのコポリマーを用いるとよい。
剥離層に硬度が必要な場合には、紫外線硬化性樹脂など
の光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの放射線硬化性
樹脂、熱硬化性樹脂などを選定して用いるとよい。剥離
層は、着色したものでも、未着色のものでもよい。剥離
層の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコー
ト法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷
法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
【0038】図柄層は、剥離層の上に、通常は印刷層と
して形成する。印刷層の材質としては、ポリビニル系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル
系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系
樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステ
ル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、
適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色
インキを用いるとよい。印刷層の形成方法としては、オ
フセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法な
どの通常の印刷法などを用いるとよい。印刷層は、表現
したい図柄に応じて、全面的に設ける場合や部分的に設
ける場合もある。
【0039】また、図柄層は、金属薄膜層からなるも
の、あるいは印刷層と金属薄膜層との組み合わせからな
るものでもよい。金属薄膜層は、図柄層として金属光沢
を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッター
リング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成
する。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、
ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウ
ム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合
金または化合物を使用する。金属薄膜層は部分的に形成
してもよい。また、金属薄膜層を設ける際に、他の転写
層と金属薄膜層との密着性を向上させるために、前アン
カー層や後アンカー層を設けてもよい。
【0040】接着層は、被転写物上に上記の各層を接着
するものである。接着層としては、被転写物の素材に適
した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。たと
えば、被転写物の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリ
ル系樹脂を用いるとよい。また、被転写物の材質がポリ
フェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボ
ネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン
系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のある
アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹
脂などを使用すればよい。さらに、被転写物の材質がポ
リプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹
脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴ
ム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層の
形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート
法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、
スクリーン印刷法などの印刷法がある。また、上記材質
よりなる接着性を持つシートをラミネート法などにより
貼り合せて接着層とすることも可能である
【0041】転写層の構成は、上記した態様に限定され
るものではなく、たとえば、図柄層の材質として被転写
物との接着性に優れたものを使用する場合には、接着層
を省略することができる。また、図柄層に隠蔽が必要な
場合は、隠蔽層を設けてもよい。隠蔽層は、図柄層と同
様にして形成するとよい。
【0042】次に、前記した転写材を用い、射出成形に
よる成形同時転写法を利用して被転写物である樹脂成形
品の面に装飾を行う方法について説明する。
【0043】まず、可動型と固定型とからなる成形用金
型内に転写材を送り込む。その際、枚葉の転写材を1枚
づつ送り込んでもよいし、長尺の転写材の必要部分を間
欠的に送り込んでもよい。長尺の転写材を使用する場
合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、転写材
の図柄層と成形用金型との見当が一致するようにすると
よい。また、転写材を間欠的に送り込む際に、転写材の
位置をセンサーで検出した後に転写材を可動型と固定型
とで固定するようにすれば、常に同じ位置で転写材を固
定することができ、図柄層の位置ずれが生じないので便
利である。
【0044】成形用金型を閉じた後、固定型に設けたゲ
ートより溶融樹脂を金型内に射出充満させ、被転写物を
形成するのと同時にその面に転写材を接着させる。
【0045】被転写物である樹脂成形品を冷却した後、
成形用金型を開いて樹脂成形品を取り出す。最後に、転
写材の基体シートを剥離する。このようにして、転写層
のみを成形品に転移することで、成形同時加飾成形品を
得ることができる。
【0046】また、インサート材を得るには、次のよう
な方法で行うとよい。
【0047】インサート材は、基体シート上に少なくと
も図柄層を有するものである。基体シートとしては、転
写材の場合と同様のものを用いるとよい。また、図柄層
は、転写材の場合と同様のものを用いるとよい。また、
接着層は、転写材の場合と同様のものを用いるとよい。
したがって、インサート材は、転写材と比較すると、剥
離層を有しない点で相違するものである。
【0048】以上のようにしてインサート材を得ること
ができる。次に、インサート材の使用方法について説明
する。
【0049】インサート材を、インサート材送り装置な
どを使用して、ゲートを有するコア型と、凹部を有する
キャビティ型との間に配置し、クランプなどの手段でキ
ャビティ型内または周囲に固定する。成形形状が深絞り
である場合、熱源によりインサート材を加熱軟化させる
とともにキャビティ型側から真空吸引してキャビティ型
の表面に密着させてもよい。キャビティ型とコア型を型
締めし、インサート材とコア型との間に密閉空間を形成
する。この空間に溶融樹脂を射出する。溶融樹脂として
は、転写材を用いた場合と同様のものを用いるとよい。
キャビティ型とコア型を型開きすれば、インサート材と
成形樹脂とが一体化した成形品を得ることができる。
【0050】また、次のようにしてインサート成形をす
ることができる。まず、インサート材を、深絞りのため
の凹部を有する予備成形型にクランプなどの手段で固定
し、次に、熱源によりインサート材を加熱軟化させると
ともに予備成形型側から真空吸引して予備成形型の表面
に密着させる。次いで真空吸引を解除し、予備成形型か
らインサート材を取り出す。このようにして、深絞り加
工したインサート材を得ることができる。次いで、予備
成形したインサート材を、ゲートを有するコア型と、深
絞りのための凹部を有するキャビティ型との間に配置
し、クランプなどの手段でキャビティ型内または周囲に
固定する。次に、キャビティ型とコア型を型締めし、イ
ンサート材とコア型との間に密閉空間を形成する。この
空間に溶融樹脂を射出し、キャビティ型とコア型を型開
きすれば、インサート材と成形樹脂とを一体化すること
ができる。
【0051】
【実施例】(実施例1)厚さ0.08mmのポリエチレ
ンテレフタレートフィルムを基体シートとし、その上
に、接着強固なインキを用いて、中央に透明な窓部を有
し、その周囲に隠蔽色のパターンおよび文字からなる図
柄を有するように8色で図柄層をグラビア印刷法によっ
て形成し、さらに接着層としてABS樹脂に接着する接
着剤を印刷して厚さ0.1mmのインサートフィルムを
得て加飾シートとした。
【0052】加飾シートを銘版パネルを作成するスリー
プレート方式の金型内に挟み込み、インサート成形を行
った。ゲートとしては、パネル裏面に直径0.8mmの
円形のピンポイントゲートを有するものを使用した(a
=0.8)。
【0053】射出成形工程で、シリンダ内で240℃に
溶融したABS樹脂をゲートを通じて金型内に射出して
成形同時加飾成形品を得た。ここで用いたABS樹脂の
メルトフローレートbは、ASTM D1238の試験
方法において試験温度220℃、ピストンの押力100
N下で25g/10minであった(T=220、P=
100、b=25)。
【0054】この場合、b/(T×P)≒1.1×10
−3およびa×b=20となった。このようにして得た
成形同時加飾成形品は、加飾シートにしわが生じず、ま
た、接着層、図柄層に損傷なく図柄の崩れも生じなかっ
た。
【0055】(比較例)ABS樹脂にガラス繊維を加え
たものを用いたほかは実施例1と同様にして成形同時加
飾成形品を得た。ガラス繊維入りのABS樹脂のメルト
フローレートbは、ASTM D1238の試験方法に
おいて試験温度220℃、ピストンの押力100N下で
0.3g/10minであった(T=220、P=10
0、b=0.3)。
【0056】この場合、b/(T×P)≒1.4×10
−5およびa×b=0.24となった。このようにして
得た成形同時加飾成形品は、樹脂が十分に充填されにく
く、射出圧を上げることにより樹脂が製品形状にまで充
填できたが、加飾シートにしわが生じ、また、加飾シー
トの接着層、図柄層に損傷が起こって図柄の崩れも生じ
た。
【0057】(実施例2)次にゲート径aを0.84m
mに拡大したほかは比較例と同様にして成形同時加飾成
形品を得た(a=0.84)。
【0058】この場合、b/(T×P)≒1.4×10
−5およびa×b≒0.25となった。このようにして
得た成形同時加飾成形品は、加飾シートにしわが生じ
ず、また、接着層、図柄層に損傷なく図柄の崩れも生じ
ないものであった。
【0059】
【発明の効果】この発明は、前記した構成からなるの
で、次のような効果を有する。
【0060】この発明の成形同時加飾成形品の製造方法
は、キャビティを有する金型内に加飾シートを設置し、
金型内に溶融樹脂を射出し、加飾シートと樹脂とが一体
化した成形品を得る成形同時加飾成形品の製造方法にお
いて、金型のゲート径をa(mm)、ASTM D12
38に規定された試験法での試験温度T(℃)、ピスト
ンの押力P(N)におけるメルトフローレートをb(g
/10min)としたとき、1×10−5≦b/(T×
P)および0.25≦a×bの関係がともに成立するの
で、キャビティ内に樹脂が十分に充填され、加飾シート
にしわや損傷が生じない優れた外観を有する成形同時加
飾成形品を容易に得ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャビティを有する金型内に加飾シート
    を設置し、金型内に溶融樹脂を射出し、加飾シートと樹
    脂とが一体化した成形品を得る成形同時加飾成形品の製
    造方法において、金型のゲート径をa(mm)、AST
    M D1238に規定された試験法での試験温度T
    (℃)、ピストンの押力P(N)におけるメルトフロー
    レートをb(g/10min)としたとき、1×10
    −5≦b/(T×P)および0.25≦a×bの関係が
    ともに成立することを特徴とする成形同時加飾成形品の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 ゲートが、ゲート径0.5〜5mmのピ
    ンポイントゲートである請求項1記載の成形同時加飾成
    形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 試験温度Tが、160〜280℃である
    請求項1〜2のいずれかに記載の成形同時加飾成形品の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 加飾シートが、転写材またはインサート
    材である請求項1〜3のいずれかに記載の成形同時加飾
    成形品の製造方法。
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