JP2001232439A - 多段歯車の製造方法 - Google Patents

多段歯車の製造方法

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JP2001232439A JP2000042447A JP2000042447A JP2001232439A JP 2001232439 A JP2001232439 A JP 2001232439A JP 2000042447 A JP2000042447 A JP 2000042447A JP 2000042447 A JP2000042447 A JP 2000042447A JP 2001232439 A JP2001232439 A JP 2001232439A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 第1歯形及び第2歯形の金属組織のフローラ
イン切断をなくして強度を確保し、かつ両歯形の同心度
を確保して振動及び騒音を低減するとともに、歯車寿命
の延命化を図る。 【解決手段】 熱間鍛造工程3で第1歯形T1を歯車半
製品G´に熱間鍛造により成形した後、第1歯形冷間圧
縮加工工程5で歯車半製品G´をセット治具にセットし
て第1歯形T1を冷間圧縮加工し、その後、第2歯形回
転成形工程6で、第1歯形冷間圧縮加工後の歯車半製品
G´を上記セット治具にセットした状態で歯車回転軸心
回りに回転させながら、型ローラを歯車半製品G´の第
1歯形T1の隣に圧接させて回転させることで歯車半製
品G´に第2歯形T2を成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車の変速機
等に用いられる多段歯車の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】多段歯車として、例えば小径部にスプラ
イン歯形が、それに隣接する大径部にヘリカル歯形がそ
れぞれ周設された2段歯車があり、自動車の変速機等に
用いられている。
【0003】このような多段歯車は、例えば上述の如き
2段歯車を例に挙げると、通常、以下のようにして製造
される。
【0004】(a) 金属素材を歯形のない状態の歯車
形状に鍛造成形し、これに第1歯形及び第2歯形を共に
切削による機械加工により形成する。
【0005】(b) 金属素材を歯形のない状態の歯車
形状に鍛造成形し、これに第1歯形を鍛造により成形し
た後、第2歯形を切削による機械加工により形成する。
【0006】(c) 金属素材を歯形のない状態の歯車
形状に鍛造成形し、これに第1歯形及び第2歯形を共に
1工程で同時に鍛造により成形する(特公平6−984
50号公報、特公平7−29173号公報、特許第26
32620号公報及び特許第2879187号公報参
照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の
(a)の方法では、第1歯形及び第2歯形を共に切削に
よる機械加工により形成しているため、鍛造により形成
された金属組織のフローラインが切断されて強度が低下
する。また、第1歯形と第2歯形とを別々に機械加工す
るため、第1歯形と第2歯形との歯車回転軸心を合わせ
難く、振動及び騒音の原因になるばかりか、歯車寿命が
短くなる。
【0008】(b)の方法では、第1歯形は鍛造である
ため、金属組織のフローラインは切断されずにそのまま
残っているが、第2歯形は切削による機械加工であるた
め、上記の(a)と同様に、金属組織のフローラインが
切断されて強度が低下する。また、この場合にも、第1
歯形と第2歯形とを別々に加工するため、第1歯形と第
2歯形との歯車回転軸心を合わせ難く、振動及び騒音の
原因になるとともに、歯車寿命の短命化を招く。
【0009】(c)の方法では、第1歯形及び第2歯形
は共に鍛造であるため、金属組織のフローラインは切断
されることなくそのまま残っていて強度を確保すること
ができ、かつ第1歯形及び第2歯形は1工程で同時に成
形されるため、第1歯形と第2歯形との歯車回転軸心が
上記(a)及び(b)よりは狂わず、同心度が良くなる
という利点を有する。しかし、歯形形状や外径寸法の異
なる第1歯形と第2歯形を1つの金型で成形するのは、
型構造上難しく、したがって、各々の歯形を成形する2
つの金型を別々に用意してこれを組み合わせて用いるの
が一般的であり、このため、第1歯形と第2歯形との歯
車回転軸心に微少ではあるが軸心ずれが生ずることがあ
り、これが原因で振動及び騒音、歯車寿命の短命化を招
く。
【0010】この発明はかかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、第1歯形及び第2歯
形の金属組織のフローライン切断をなくして強度を確保
し、かつ上記両歯形の同心度を確保して振動及び騒音を
低減するとともに、歯車寿命の延命化を図ることであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この発明は、熱間鍛造、冷間圧縮加工及び回転成形
を組み合わせたことを特徴とする。
【0012】具体的には、この発明は、複数の歯形が歯
車回転軸心方向に隣接して多段に周設された多段歯車の
製造方法を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0013】すなわち、請求項1に記載の発明は、第1
歯形を歯車半製品に熱間鍛造により成形する熱間鍛造工
程と、上記熱間鍛造後の歯車半製品をセット治具にセッ
トして上記第1歯形を冷間圧縮加工する第1歯形冷間圧
縮加工工程と、第1歯形冷間圧縮加工後の歯車半製品を
上記セット治具にセットした状態で歯車回転軸心回りに
回転させ、型ローラを上記回転する歯車半製品の第1歯
形の隣に圧接させて歯車半製品の回転力を型ローラに伝
達して型ローラを回転させることで上記歯車半製品に第
2歯形を回転成形する第2歯形回転成形工程とを備えて
いることを特徴とする。
【0014】上記の構成により、請求項1に記載の発明
では、第1歯形は熱間鍛造及び冷間圧縮加工により成形
され、第2歯形は回転成形により成形されるため、共に
切削加工の如き金属組織のフローライン切断がなくフロ
ーラインはそのまま残っており、高強度の多段歯車が得
られる。また、第1歯形及び第2歯形は共通のセット治
具にセットされて成形されるため、つまり、第1歯形を
冷間圧縮加工した後、第1歯形成形時に用いたセット治
具に歯車半製品をセットして第2歯形を回転成形する手
順を踏むため、歯形毎に別々に用意した金型を組み合わ
せて用いる場合の如きに軸心ずれが第1歯形及び第2歯
形に生じず、第1歯形及び第2歯形の同心度が確保さ
れ、これにより、振動及び騒音が発生せず、歯車寿命も
延びる。また、回転成形により第2歯形の真円度が確保
される。
【0015】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、第2歯形回転成形後、第2歯形を冷間
圧縮加工する第2歯形冷間圧縮加工工程を備えているこ
とを特徴とする。
【0016】上記の構成により、請求項2に記載の発明
では、万が一、回転成形により第2歯形の噛合面で成形
精度にムラが生じていても、この成形ムラは次工程であ
る冷間圧縮工程で補正されて第2歯形が高精度に仕上げ
られる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図面に基づいて説明する。
【0018】図1はこの発明の実施の形態に係る多段歯
車の製造方法による製造工程図を示し、本例では、多段
歯車としての2段歯車G(図6参照)を製造する場合を
例示する。この2段歯車Gは、ボス部g1、小径部g2
及び大径部g3が歯車回転軸心方向に連続して成形され
ているとともに、歯車回転軸心に貫通孔g4が成形され
ている。上記小径部g2にはスプライン歯形からなる第
1歯形T1が、上記大径部g3にはヘリカル歯形からな
る第2歯形T2がそれぞれ成形され、2つの第1歯形T
1及び第2歯形T2が歯車回転軸心方向に隣接して2段
に周設されている。
【0019】上記2段歯車Gは、図1に示す製造工程を
経て製造される。
【0020】その製造方法を説明するに、まず、棒材切
断工程1で、SC鋼、SCM鋼、SNCM鋼、SNC鋼
及びSCR鋼等の鋼材からなる棒材を切断し、得ようと
する2段歯車Gの寸法に見合った素材A1を得る。
【0021】次いで、加熱工程2で、上記素材A1をそ
の種類、寸法及び重量に応じて予め設定された温度で熱
間鍛造に適した温度になるように加熱する。
【0022】その後、熱間鍛造工程3の据込み工程3−
1で、上記加熱された素材A1を圧搾して据込み成形
し、据込み成形品(ブランク材)A2とする。
【0023】しかる後、熱間鍛造工程3の予備成形工程
3−2で、上記据込み成形品A2を塑性変形させて歯車
形状に予備成形し、外形が完成品としての2段歯車Gに
類似した歯車半製品G´とする。この段階では、ボス部
g1、小径部g2、大径部g3及び貫通孔g4が成形さ
れているだけであり、第1歯形T1及び第2歯形T2は
未だ成形されていない。以下、第1歯形T1及び第2歯
形T2が共に成形されるまでのものを歯車半製品G´と
称呼する。
【0024】次に、熱間鍛造工程3の第1歯形成形工程
3−3で、スプライン歯形である第1歯形T1を上記歯
車半製品G´の小径部g2に熱間鍛造により成形する。
【0025】その後、焼準・焼鈍等の熱処理工程4を経
て第1歯形冷間圧縮加工工程5で上記第1歯形T1を冷
間圧縮加工する。図2は第1歯形冷間圧縮加工装置11
を示す。この第1歯形冷間圧縮加工装置11は、上記第
1歯形T1を有する歯車半製品G´をセットする円筒状
のセット治具12を備え、このセット治具12は軸心回
りに正逆回転可能なスピンドル13に回転一体に支持さ
れ、図示しないモータの起動により上記スピンドル13
を正逆回転させることでセット治具12を正逆回転させ
るようになっている。ただし、セット治具12を回転さ
せるのは、次工程である第2歯形回転成形工程6のとき
だけであり、この第1歯形冷間圧縮加工工程5ではセッ
ト治具12は回転させない。上記セット治具12には収
容凹部14が形成され、この収容凹部14中心は上記ス
ピンドル13の回転軸心に合致している。上記収容凹部
14には、上記歯車半製品G´の第1歯形T1に対応し
たスプライン歯形の第1歯形成形部14a、ボス部g1
に対応する形状のテーパ面14b及びエジェクタ収容部
14cが上から順に形成され、上記エジェクタ収容部1
4cには、第1歯形T1を冷間圧縮加工した後の歯車半
製品G´をセット治具12から取り出すためのエジェク
タ15が図示しないエジェクタピンの突き上げ作動によ
り上動可能に配置されている。上記セット治具12の上
方には、ロッド16a下端に図示しないベアリングを介
して押圧部16bを有するプッシャ16が図示しない昇
降機構により昇降可能に配置され、このプッシャ16の
軸心は上記スピンドル13の回転軸心に合致し、上記歯
車半製品G´をセット治具12にセットして上記押圧部
16bで上方から歯車半製品G´を押圧した状態で歯車
半製品G´の回転を許容するようになっているが、上述
の如くこの第1歯形冷間圧縮加工工程5ではセット治具
12は回転させず、歯車半製品G´を第1歯形T1成形
のためにセット治具12に対して圧入させるだけであ
る。
【0026】そして、上記熱処理工程4を経て第1歯形
冷間圧縮加工工程5に搬入された歯車半製品G´のボス
部g1をセット治具12の収容凹部14に入れて歯車半
製品G´をセット治具12にセットし、プッシャ16を
下降させて歯車半製品G´を上方から加圧し、第1歯形
T1をセット治具12の第1歯形成形部14aに圧入
し、これにより、第1歯形T1を冷間圧縮加工により塑
性変形させて圧縮成形し、第1歯形T1を正規の寸法に
仕上げる。
【0027】このように、第1歯形T1を熱間鍛造及び
冷間圧縮加工により成形するので、切削加工の如き金属
組織のフローラインが切断されることなくそのまま残っ
ており、フローライン切断による強度低下をなくすこと
ができる。
【0028】これに続いて、第2歯形回転成形工程6
で、ヘリカル歯形である第2歯形T2を上記歯車半製品
G´の大径部g3に回転成形する。図3は上記第1歯形
冷間圧縮加工装置11の側方に配置された第2歯形回転
成形装置21を示す。この第2歯形回転成形装置21
は、第2歯形T2を成形するための型ローラ22を備
え、この型ローラ22は、4個のローラ構成部材23,
24,25,26を共通の回転軸27に一体となって回
転するように組み付けて構成されている。上記各ローラ
構成部材23,24,25,26の外周には、歯丈(歯
溝)の異なるヘリカル歯形の第1〜4段階歯形成形部2
3a,24a,25a,26aが1つずつ形成され、上
記ローラ構成部材23,24,25,26は、第1〜4
段階歯形成形部23a,24a,25a,26aの歯丈
(歯溝)が型ローラ22全体から見て4段階にわたって
次第に高くなる(深くなる)ように組み付けられてい
る。この型ローラ22は、歯丈(歯溝)が下方から上方
に次第に高くなる(深くなる)ようにコの字形の支持部
材28に回転軸27を介して取り付けられ、上記支持部
材28は、セット治具12に接離可能な支柱29にガイ
ドレール30及びスライダ31を介して昇降可能に支持
されている。ここでは、上記支柱29及び支持部材28
の移動手段は省略しているが、周知の流体圧シリンダ等
を用いればよい。これにより、上記型ローラ22は、セ
ット治具12の回転軸心方向及びこれと直交する方向に
移動可能になっており、セット治具12の回転軸心と直
交する方向に接近することにより歯車半製品G´の大径
部g3に圧接され、歯車半製品G´の回転力が伝達され
ることで回転軸27回りに回転するようになっている。
図3は第2歯形T2を回転成形した後の状態を示す。
【0029】そして、上記第1歯形冷間圧縮加工工程5
で第1歯形T1を冷間圧縮加工した後の歯車半製品G´
を上記セット治具12にセットした状態でスピンドル1
3の回転により歯車回転軸心回りに回転させ、この状態
で、上記型ローラ22を下降させて歯丈の最も低い第1
段階歯形成形部23aを上記歯車半製品G´の大径部g
3外周に対応させる。続いて、上記支柱29を歯車半製
品G´に接近させて歯車半製品G´の大径部g3外周に
上記型ローラ22の第1段階歯形成形部23aを圧接さ
せる。これにより、上記歯車半製品G´の回転力が型ロ
ーラ22に伝達されて型ローラ22が回転しながら上記
第1段階歯形成形部23aで上記歯車半製品G´の大径
部g3外周にこの第1段階歯形成形部23aに対応する
歯丈の最も低いヘリカル歯形の第1段階歯形t1を成形
する(図4(a)参照)。この操作を歯丈の低い方から
高い方へと順に繰り返すことで歯車半製品G´の大径部
g3外周に歯丈の異なるヘリカル歯形の第1〜4段階歯
形t2,t3,t4(T2)を段階的に成形し(図4
(b),(c),(d)参照)、図6に示すように、第
1歯形(スプライン歯形)T1及び第2歯形(ヘリカル
歯形)T2が歯車回転軸心方向に隣接して2段に周設さ
れた2段歯車Gを得る。なお、上記型ローラ22の各第
1〜4段階歯形成形部23a,24a,25a,26a
で各第1〜4段階歯形t1,t2,t3,t4(T2)
を段階的に成形する際、セット治具12を所定周期で正
逆回転駆動させ、成形される各第1〜4段階歯形成形部
23a,24a,25a,26aの噛合面である両側面
の成形精度を良くするようにする。つまり、この第2歯
形回転成形工程6では、歯車半製品G´及び型ローラ2
2を回転させながら成形する方法であるため、成形され
る各第1〜4段階歯形t1,t2,t3,t4(T2)
の噛合面である両側面に対して型ローラ22の各第1〜
4段階歯形成形部23a,24a,25a,26aの当
たりが均等になり難く、各第1〜4段階歯形t1,t
2,t3,t4(T2)の噛合面で成形精度にムラが生
ずることがあり、これを補正するためである。
【0030】このように、第2歯形T2を回転成形によ
り成形するので、第1歯形T1と同様、切削加工の如き
金属組織のフローラインが切断されることなくそのまま
残っており、フローライン切断による強度低下をなくす
ことができ、高強度の2段歯車Gを得ることができる。
【0031】また、第1歯形T1を成形した歯車半製品
G´をその際に用いたのと同じセット治具12にセット
して第2歯形T2を回転成形する手順を踏むので、歯形
毎に別々に用意した金型を組み合わせて用いる場合の如
きに軸心ずれが第1歯形T1及び第2歯形T2に生じ
ず、第1歯形T1と第2歯形T2との歯車回転軸心が狂
わず同心度を良くすることができ、振動及び騒音をなく
すことができるとともに、歯車の寿命を長くすることが
できる。また、第2歯形T2を回転成形するので、第2
歯形T2の真円度を確保することができる。
【0032】その後、型ローラ22をセット治具12か
ら遠ざけた状態で、プッシャ16を上昇作動させて2段
歯車Gに対する押圧力を解除し、その状態からエジェク
タ15を突き上げ作動させて上記2段歯車Gをセット治
具12から取り出し、第2歯形冷間圧縮加工工程7に搬
入して上記第2歯形T2を冷間圧縮加工する。図5は第
2歯形冷間圧縮加工装置41を示す。この第2歯形冷間
圧縮加工装置41は、中央にセット孔42aを有するダ
イ42を備え、このダイ42のセット孔42a上端内周
には、上記2段歯車Gの第2歯形T2に対応するヘリカ
ル歯形の第2歯形成形部42bが全周に亘って形成され
ている。上記ダイ42のセット孔42a上方には、パン
チ43がロッド44下端を挿入孔44aに挿入せしめて
配置されている。このパンチ43は、ロッド44下端に
螺合されたナット45とその上方のベアリング46とに
よってロッド44下端から脱落しないように、かつロッ
ド44の軸心回りに回転自在に支持されている。このよ
うに、パンチ43をロッド44に対して回転自在にして
いるのは、ヘリカル歯形である第2歯形T2のように歯
形が斜め向きに形成されている場合に対応させるためで
あるが、スパーギヤやスプライン歯形のようにストレー
ト歯形の場合には、パンチ43をロッド44に対して回
転自在にする必要はなく、パンチ43をロッド44にリ
ジットに固定していてもよい。
【0033】そして、上記第2歯形回転成形工程6で第
2歯形T2が回転成形された2段歯車Gをダイ42のセ
ット孔42a上端にセットし、ロッド44を図示しない
作動装置により下降させてパンチ43で上記2段歯車G
を上方から加圧し、2段歯車Gをセット孔42aに圧入
して第2歯形T2を第2歯形成形部42bで冷間圧縮加
工により塑性変形させて圧縮成形し、第2歯形T2を正
規の寸法に仕上げる。
【0034】したがって、第2歯形回転成形工程6でセ
ット治具12の正逆回転駆動により第2歯形T2の噛合
面で成形精度にムラが生じないようにしているが、万が
一、成形ムラが生じている場合には、この成形ムラを次
工程である第2歯形冷間圧縮加工工程7で完全に補正し
て第2歯形T2を確実に高精度に仕上げることができ
る。しかも、この補正を冷間圧縮加工により行うため、
第1歯形T1と同様に金属組織のフローラインを切断せ
ずにフローラインをそのまま残して強度を確保すること
ができる。
【0035】なお、第2歯形回転成形工程6で用いた第
2歯形回転成形装置21の型ローラ22として、歯丈が
最も低い1段階目から歯丈が最も高い4段階目までの第
1〜4段階歯形成形部23a,24a,25a,26a
の歯先面までの回転軸心からの距離つまり最外径が同じ
で、かつ回転軸心から歯底面までの距離を回転軸心方向
に4段階にわたって次第に短くなるように変化させたも
のを用いたが、これとは逆に、歯丈が最も低い1段階目
から歯丈が最も高い4段階目までの各歯形成形部の歯底
面までの回転軸心からの距離が同じであり、かつ回転軸
心から各歯形成形部の歯先面までの距離つまり最外径を
回転軸心方向に4段階にわたって長くなるように変化さ
せた型ローラを用いてもよい。
【0036】また、本例では、多段歯車としてスプライ
ン歯形の第1歯形T1とヘリカル歯形の第2歯形T2と
を有する2段歯車Gを例示したが、3段以上の歯車であ
ってもよく、また、各段の歯形形状も例示したものに限
らず、種々の歯形形状の組み合わせが可能である。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、第1歯形を歯車半製品に熱間鍛造により成
形し、この歯車半製品をセット治具にセットして上記第
1歯形を冷間圧縮加工した後、歯車半製品を上記セット
治具にセットした状態で第2歯形を型ローラで回転成形
するので、金属組織のフローラインが切断されずに高強
度で、かつ第1歯形と第2歯形との同心度が優れて振動
及び騒音が発生せずに寿命の長い多段歯車を得ることが
できる。また、回転成形により第2歯形の真円度も確保
することができる。
【0038】請求項2に係る発明によれば、回転成形し
た第2歯形をさらに冷間圧縮加工するので、万が一、回
転成形により第2歯形に成形ムラが生じていても、この
成形ムラをその後の冷間圧縮加工により補正して第2歯
形を高精度に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る多段歯車製造方法
の製造工程図である。
【図2】第1歯形冷間圧縮加工装置の断面図である。
【図3】第2歯形回転成形装置の要部拡大図である。
【図4】第2歯形成形工程を段階的に示す工程図であ
る。
【図5】第2歯形冷間圧縮加工装置の断面図である。
【図6】2段歯車の斜視図である。
【符号の説明】
3 熱間鍛造工程 5 第1歯形冷間圧縮加工工程 6 第2歯形回転成形工程 7 第2歯形冷間圧縮加工工程 12 セット治具 22 型ローラ G 2段歯車(多段歯車) G´ 歯車半製品 T1 第1歯形 T2 第2歯形
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 浩吉 大阪府柏原市円明町1000番18 サムテック 株式会社内 Fターム(参考) 3J030 AA08 AC10 BA05 BA10 BC02 BC07 BC10 4E087 AA02 AA08 AA10 CA11 CA31 CA41 CB01 CB03 DA04 DA05 DB15 DB23 HA01 HA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の歯形が歯車回転軸心方向に隣接し
    て多段に周設された多段歯車の製造方法であって、 第1歯形を歯車半製品に熱間鍛造により成形する熱間鍛
    造工程と、 上記熱間鍛造後の歯車半製品をセット治具にセットして
    上記第1歯形を冷間圧縮加工する第1歯形冷間圧縮加工
    工程と、 上記第1歯形冷間圧縮加工後の歯車半製品を上記セット
    治具にセットした状態で歯車回転軸心回りに回転させ、
    型ローラを上記回転する歯車半製品の第1歯形の隣に圧
    接させて歯車半製品の回転力を型ローラに伝達して型ロ
    ーラを回転させることで上記歯車半製品に第2歯形を回
    転成形する第2歯形回転成形工程とを備えていることを
    特徴とする多段歯車の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の多段歯車の製造方法にお
    いて、 第2歯形回転成形後、第2歯形を冷間圧縮加工する第2
    歯形冷間圧縮加工工程を備えていることを特徴とする多
    段歯車の製造方法。
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