JP2001230070A - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

有機el素子の製造方法

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JP2001230070A
JP2001230070A JP2000033889A JP2000033889A JP2001230070A JP 2001230070 A JP2001230070 A JP 2001230070A JP 2000033889 A JP2000033889 A JP 2000033889A JP 2000033889 A JP2000033889 A JP 2000033889A JP 2001230070 A JP2001230070 A JP 2001230070A
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adhesive
organic
sealing
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cured
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Hiroshi Toyama
浩 遠山
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    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/84Passivation; Containers; Encapsulations
    • H10K50/842Containers
    • H10K50/8426Peripheral sealing arrangements, e.g. adhesives, sealants

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 封止空間内に残存するアウトガスの量を低減
する有機EL素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の有機EL素子の製造方法は、未
硬化の接着剤を介して基板と封止部材とを圧着してから
接着剤の光硬化を終了するまでの過程において、雰囲気
圧力は徐々にあるいは段階的に減圧し、照射光の強度は
徐々にあるいは段階的に強くすることを特徴とする。ま
た、本発明の他の製造方法は、有機EL積層膜4が形成
された透明基板3と封止部材1とを圧着した後、例えば
素子保護部51と環状部52とからなるマスキング5を
用いて、まず接着剤2の内周部分21に紫外線を照射し
て硬化させ、その後、環状部52を除去して内周部分2
1以外の部分を硬化させることを特徴とする。このと
き、先に硬化した内周部分21により、アウトガスGの
封止空間K側への排出が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機エレクトロル
ミネセンス(EL)素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機EL素子の信頼性向上及び長寿命化
を図るためには、有機EL積層膜を構成する発光層や電
極を確実に水分や酸素(以下、「水分等」ともいう。)
から遮断することが重要である。この目的から、有機E
L積層膜の形成された基板と封止部材とを接着剤を介し
て一体化することにより、基板、封止部材および接着剤
により囲まれた空間(以下、「封止空間」ともいう。)
に有機EL積層膜を封止して水分等から保護する技術が
知られている。例えば、封止部材の外周部に接着剤を塗
布し、この封止部材と基板とを重ね合わせて圧着した後
に上記接着剤を硬化させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、得られた有機
EL素子の封止空間内に接着剤のアウトガスが残存する
と、このアウトガスが有機EL積層膜の劣化を促進す
る。ここで「アウトガス」とは、接着剤に由来する気体
を指し、例えば、接着剤中に含まれていた溶剤や低分子
量化合物、接着剤の硬化反応時に発生する低分子量化合
物等からなる。
【0004】本発明の目的は、封止空間内に残存するア
ウトガスの量を低減する有機EL素子の製造方法を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1発明の製造方法は、
有機EL積層膜が形成された基板に光硬化型接着剤を介
して封止部材を固着する有機EL素子の製造方法であっ
て、未硬化の上記接着剤を介して上記基板と上記封止部
材とを圧着してから上記接着剤の光硬化を終了するまで
の過程において、雰囲気圧力は徐々にあるいは段階的に
減圧し、上記接着剤を硬化させるための照射光の強度は
徐々にあるいは段階的に強くすることを特徴とする。
【0006】第2発明の製造方法は、有機EL積層膜が
形成された基板に光硬化型接着剤を介して封止部材を固
着する有機EL素子の製造方法であって、まず上記接着
剤の内周部分を硬化させ、その後、該内周部分以外の部
分を硬化させることを特徴とする。このとき接着剤は、
上記内周部分を一度に硬化させた後に上記それ以外の部
分を一度に硬化させてもよく、あるいは、内周側から外
周側に向けて徐々に硬化させてもよい。また、少なくと
も上記内周部分の硬化は減圧下で行われることが好まし
い。
【0007】上記「基板」としては、ガラス、樹脂、石
英等の透明材料からなる板状物、シート状物、或いはフ
ィルム状物等を用いることができる。このうち、水分な
どの遮断性に優れるガラス板を用いることが特に好まし
い。この基板上に、陽極、有機EL膜及び陰極を積層し
て「有機EL積層膜」が構成される。有機EL膜は、発
光層のみからなってもよく、発光層に加えて正孔輸送層
及び/又は電子輸送層を有してもよく、更に正孔注入層
及び/又は電子注入層を有してもよい。陽極、陰極及び
有機EL膜を構成する材料としては、それぞれ種々の公
知材料を用いることができる。これらの各層を形成する
方法は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、ス
パッタリング法、LB法等の方法から適宜選択すればよ
い。
【0008】上記「封止部材」としては、ステンレス、
アルミニウム又はその合金等の金属類、ソーダ石灰ガラ
ス、珪酸塩ガラス等のガラス類、アクリル系樹脂、スチ
レン系樹脂等の樹脂類等の一種又は二種以上からなるも
のを使用することができる。このうち、金属類またはガ
ラス類からなるものが好ましい。封止部材の形状は特に
限定されず、例えば板状、キャップ状等とすることがで
きる。
【0009】本発明の封止方法において用いる「光硬化
型接着剤」としては、エポキシ樹脂系接着剤、アクリレ
ート系接着剤、または熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等か
らなるものを使用することができる。このうち、水分等
の透過性の低い硬化物を形成するものが好ましく、カチ
オン重合性の紫外線(UV)硬化型エポキシ樹脂系接着
剤を用いることが特に好ましい。未硬化の接着剤の粘度
は、通常5〜1000Pa・s(25℃)の範囲であ
り、25〜300Pa・s(25℃)であることがより
好ましい。
【0010】この接着剤は、封止部材および基板の少な
くとも一方(好ましくは封止部材)に、例えばディスペ
ンサを用いて塗布される。その後、封止部材と基板とを
重ね合わせて圧着すると、先の工程で塗布された接着剤
を封止ラインとして、これら両部材および接着剤により
封止空間が区画される。圧着後における封止ラインの平
均幅は1〜5mm(より好ましくは2〜4mm)、平均
厚さは1〜200μm(より好ましくは5〜100μ
m)とすることが好ましい。この幅および厚さは、接着
剤の硬化終了後における封止ラインの幅および厚さとほ
ぼ同等である。また、封止部材と基板とを重ね合わせる
際の雰囲気圧力は特に限定されないが、常圧とすること
が好ましい。
【0011】第1発明においては、この圧着工程が終了
してから接着剤の硬化が終了するまでの過程において、
雰囲気圧力を徐々にあるいは段階的に減少させる。封止
部材と基板とを重ね合わせる工程を減圧下で行った場合
には、この工程における減圧度を基準としてさらに雰囲
気圧力を低下させればよい。これにより、封止空間と外
部空間との間に圧力差(以下、「封止ライン内外の圧力
差」ともいう。)が生じるので、アウトガスは封止空間
側よりも外部空間側に多く排出される。硬化終了時にお
ける減圧度(最終減圧度という。)は0.80atm以
下(より好ましくは0.50atm以下)とすることが
好ましい。最終減圧度が上記範囲に満たない場合には、
封止空間に残存するアウトガス量を十分に低減できない
場合がある。一方、最終減圧度の上限は特に限定されな
いが、通常は0.25atm以上とする。
【0012】また、接着剤を硬化させるための照射光の
強度も、徐々にあるいは段階的に強くする。硬化終了時
における照射光の強度(最終照射強度という。)は12
0〜200mW/cm2(より好ましくは140〜18
0mW/cm2)とすることが好ましい。なお、接着剤
の種類によっても好ましい硬化条件は異なるため、使用
する接着剤に応じた推奨強度(均一な照射強度で硬化さ
せる場合において適した強度)に対して、上記最終照射
強度は120〜200%の強度とすることが好ましく、
140〜180%とすることがより好ましい。この光照
射は、圧着工程が終了してから接着剤の硬化が終了する
までの間であれば、雰囲気圧力の低下開始と同時、
雰囲気圧力の低下開始後、雰囲気圧力の低下開始前、
のいずれの時期から始めてもよい。未硬化の接着剤の粘
度が比較的高い〔例えば300Pa・s(25℃)以
上〕場合にはまたはの方法が好ましく、接着剤の粘
度が比較的低い〔例えば50Pa・s(25℃)以下〕
場合にはの方法が好ましい。
【0013】なお、製造誤差等により圧着工程の終了時
に基板と封止部材とが完全に平行になっていない場合に
は、封止ラインの各部で接着剤の厚みが異なることとな
る。このとき、接着剤が十分な流動性を保った状態で封
止ライン内外にある程度の圧力差が生じると、「パスカ
ルの原理」により封止ライン各部の接着剤の厚みが均一
化される。この均一化の効果が発揮されるために好まし
い圧力差は0.20atm以上(より好ましくは0.4
0atm以上)であり、接着剤の好ましい粘度は25〜
300Pa・s(25℃)〔より好ましくは50〜15
0Pa・s(25℃)〕である。ここで、上記範囲より
も著しく低粘度の接着剤を使用する場合には、光照射前
に圧力差を上記範囲とすると封止ライン形状が乱れる恐
れがある。この現象を防止するためには、減圧前あるい
は圧力差が比較的小さい時点で弱い光を照射して接着剤
の硬化を開始させ、この接着剤が上記粘度範囲となった
時点で封止ライン内外の圧力差が上記範囲となるよう
に、照射強度および減圧度を調節すればよい。
【0014】また、第2発明においては、図1(a)に
示すように、まず接着剤2の内周部分21に光を照射し
て硬化させる(以下、「予備硬化工程」ともいう。)。
この「内周部分」とは、封止ラインの幅方向において封
止空間K側に位置する部分をいう。その後、図1(b)
に示すように、内周部分以外の接着剤22を硬化させる
(以下、「本硬化工程」もいう。)。この本硬化工程で
生じるアウトガスGは、先に硬化した内周部分21によ
りブロックされるので封止空間K内へは出られず、外部
空間に排出される。これにより封止空間Kに残存するア
ウトガス量が低減される。なお、図1(a)(b)にお
いて、符号1は封止部材、符号3は基板、符号4は有機
EL積層膜、符号5は光照射範囲を規定するマスキング
である。
【0015】予備硬化工程においては、封止ラインの全
周にわたってその内周部分が硬化されることが好ましい
が、全周の大部分(例えば全周の長さの2/3以上、よ
り好ましくは4/5以上)が硬化されていれば本願発明
の効果を得ることができる。この工程で硬化される内周
部分の幅は、封止ラインの幅の1/2以下であって、
0.1〜2mmであることが好ましく、より好ましくは
0.2〜1mmである。この幅が封止ライン全体の幅の
1/2を超える場合には、残存アウトガス量を低減させ
る効果が少ない。一方、内周部分の幅が0.1mm未満
では、後から硬化される接着剤から生じるアウトガスを
ブロックする効果が不十分となりやすく、またこのよう
な狭い範囲に効率よく光を照射することが困難である。
【0016】予備硬化工程において内周部分に光を照射
する方法としては、例えば図8に示すように、接着剤2
の内周部分21に相当する箇所にスリット6を設けたマ
スキング5を用いる方法が挙げられる。光源としては通
常の紫外線ランプ等を用いることができる。このとき、
マスキング5のうちスリット6を形成する表面(スリッ
ト面53)を紫外線反射率の高い(例えば反射率90%
以上)ミラーとすると、紫外線の指向性が高くなり、接
着剤2の内周部分21を効率よく硬化させることができ
る。その後、マスキング5の環状部52を除去して本硬
化工程を実施する。この場合には、マスキング5の形状
を簡単にできるとともに、その操作が容易である。ま
た、例えば図10に示すように、環状部52を分割して
可動とし、これをスリット6が次第に広くなる方向に移
動させて、接着剤2の内周側から外周側に向けて徐々に
硬化させてもよい。この場合には、接着剤2の各部が硬
化するときに生じるアウトガスを外部空間側へと効率よ
く排出することができる。
【0017】予備硬化工程および本硬化工程において
は、図2に示すように、封止ラインの上下から光を照射
してもよい。これにより、封止ラインの厚み方向に対す
る硬化時期のズレを少なくすることができる。特に照射
幅の狭い予備硬化工程においては、上下から光を照射す
ることにより、速く確実に接着剤を硬化させることがで
きるので好ましい。
【0018】上記予備硬化工程は減圧下で行うことが好
ましい。これにより、予備工程で生じた少量のアウトガ
スも外部空間側へ排出されやすくなるので、封止空間に
残存するアウトガス量をさらに低減することができる。
また、本硬化工程も減圧下で行うことができ、これによ
り本硬化工程で発生したアウトガスが接着剤の内周部分
を透過することがより確実に防止される。予備硬化工程
における好ましい雰囲気圧力は0.6〜0.9atm、
本硬化工程においては0.4〜0.7atmである。さ
らに、第1発明と同様にこの雰囲気圧力を徐々にあるい
は段階的に減圧してもよい。予備硬化工程および本硬化
工程における光照射強度は、通常50〜90mW/cm
2であり、好ましくは60〜80mW/cm2である。な
お、接着剤の種類によっても好ましい硬化条件は異なる
ため、使用する接着剤に応じた推奨強度(均一な照射強
度で硬化させる場合において適した強度)に対して、上
記予備硬化工程および本硬化工程における光照射強度は
50〜90%の強度とすることが好ましく、60〜80
%とすることがより好ましい。また、第1発明と同様に
照射強度を徐々にあるいは段階的に強くしてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を更に
具体的に説明する。 (実施例1) (1)圧着工程 図3に示すように、縦200mm×横200mm×厚さ
1.1mmのソーダ石灰ガラスからなる封止部材1の外
周部に、ディスペンサを用いてカチオン重合性の紫外線
硬化型エポキシ樹脂系接着剤2を環状に塗布した。この
接着剤2の粘度は100Pa・s(25℃)、ディスペ
ンサ移動量に対する接着剤の塗布量は4.5mg/cm
であった。
【0020】一方、図4に示すように、縦200mm×
横200mm×厚さ1.1mmのソーダ石灰ガラスから
なる透明基板3上には、ITOからなる陽極41、有機
EL膜42、及びアルミニウム合金からなる陰極43を
順次積層して有機EL積層膜4が形成されている。有機
EL膜42は、陰極43側から順に、LiFからなる電
子注入層、アルミキノリウム錯体からなる電子輸送層、
アルミキノリウム錯体をホストとしキナクリドンをドー
ピングした発光層、TPTE(トリフェニルアミンの4
量体)からなる正孔輸送層、及び銅フタロシアニン錯体
からなる正孔注入層を積層してなる(いずれも図示せ
ず)。
【0021】この封止部材1と透明基板3とを重ね合わ
せて圧着することにより、図5に示すように、封止部材
1、透明基板3および接着剤2により区画された封止空
間Kを形成した。このとき、封止部材1と透明基板3と
は完全に平行ではなく、接着剤2(封止ライン)の厚さ
は25〜300μm(平均厚さ100μm)、幅は0.
5〜4mm(平均幅は2.0mm)であった。
【0022】(2)減圧・硬化工程 図6に示すように、封止装置7の封止室71は、上面に
取り付けられたUVランプ72、照射強度を検出するU
V光量センサ73、減圧ポンプ74および窒素ボンベ7
5を備える。UV光量センサ73の出力および封止室7
1内の圧力情報はコントローラ76に入力され、コント
ローラ76はこれらの情報をもとにUVランプ72の照
射強度および減圧ポンプ74の作動を制御する。減圧・
硬化工程の開始前、この封止室71は常温常圧の窒素雰
囲気に調整されており、その内部には圧着工程終了後の
有機EL素子が載置されている。なお、透明基板3の背
面側(有機EL積層膜4とは反対側)には、有機EL積
層膜4を紫外線等から保護するためのマスキング5が貼
り付けられている。
【0023】この有機EL素子につき、下記表1に示す
ように、減圧度およびUV照射強度を段階的に高くして
接着剤2を硬化させた。なお、硬化後の封止ラインの厚
さは75〜125μm(平均厚さ100μm)、幅は
1.5〜2.5mm(平均幅は2.0mm)であり、圧
着工程終了時と比較して厚さおよび幅が均一化されてい
た。
【0024】(比較例1)実施例1と同様に圧着工程を
終了した有機EL素子につき、下記表1に示す条件(常
圧のまま、UV照射強度一定)で接着剤2を硬化させ
た。硬化後の封止ラインの厚さは50〜200μm(平
均厚さ100μm)、幅は1.0〜3.5mm(平均幅
は2.0mm)であり、圧着工程終了時とほぼ同程度で
あった。すなわち、この比較例1では厚さおよび幅を均
一化する効果が不十分であった。
【0025】
【表1】
【0026】(実施例2)実施例1と同様に、接着剤2
が塗布された封止部材1と透明基板3とを圧着した。た
だし、この実施例2では封止部材1と透明基板3とはほ
ぼ平行に圧着されており、その封止ラインの厚さは10
0μm、幅は2.0mmであった。この圧着工程終了後
の有機EL素子を、図7に示すように、実施例1で用い
たものと同様の構成を有する封止装置7の封止室71に
配置する。ここで、透明基板3の背面側にはマスキング
5が貼り付けられている。図8は、この状態を透明基板
側(図7の上側)から見たものである。マスキング5
は、有機EL積層膜4を紫外線等から保護するための素
子保護部51と、接着剤2の外周部分22を覆う環状部
52とからなる。素子保護部51と環状部52との間に
は幅0.5mmのスリット6が形成され、このスリット
6から接着剤2の内周部分21へと紫外線が照射され
る。なお、スリット6を構成するスリット面53には、
紫外線反射率90%以上のミラー処理が施されている。
【0027】予備硬化工程では、封止室71を常温の減
圧雰囲気(0.85atm)とし、スリット6から紫外
線を60〜80mW/cm2(推奨強度の60〜80
%)×40秒照射して内周部分21を硬化させた。雰囲
気圧力を減圧としているので、このとき発生するアウト
ガスは主として外部空間側に排出された。その後、雰囲
気圧力を減圧に維持したまま、図9に示すようにマスキ
ング5の環状部52を除去し、120〜140mW/c
2(推奨強度の120〜140%)×40秒の照射条
件で本硬化工程を実施した。
【0028】(実施例3)予備硬化工程および本硬化工
程を常圧で行った点以外は実施例2と同様にして有機E
L素子を作製した。
【0029】(実施例4)図10に示すように、環状部
52を有機EL素子の各辺毎に分割し、それぞれ独立に
移動可能な可動マスキング52a〜52dとした。この
可動マスキング52a〜52dと素子保護部51との間
に形成されるスリット6の間隔を0.5mmとして、実
施例2と同様の条件で予備硬化工程を実施した。このと
き、有機EL素子の角部においては封止ラインの内周部
分以外の接着剤も硬化されるが、本発明の効果が損なわ
れることはない。その後、可動マスキング52a〜52
dを素子保護部51から0.1mm/秒の速度で離しな
がら、実施例2と同様の条件で本硬化工程を実施した。
【0030】(比較例2)実施例2〜4と同様に封止部
材1と透明基板3とがほぼ平行に圧着された有機EL素
子に対し、実施例1と同様のマスキング5(すなわち、
環状部52をもたない)を用いて、常温常圧で封止ライ
ンの全体に紫外線を100mW/cm2×80秒照射し
て接着剤を硬化させた。
【0031】(性能評価)実施例1〜4および比較例
1、2の方法によりそれぞれ2個の有機EL素子を作製
し、その耐久性を以下の方法により評価した。すなわ
ち、大気雰囲気中で直流電圧を印加して有機EL素子を
駆動し、初期状態ではダークスポットの発生が認められ
ないことを確認した。次いで、この素子を温度85℃、
湿度85%の加速条件下におき、所定時間毎に同条件で
駆動してダークスポットの発生状況(個数)を評価し
た。測定は250時間後まで行った。その結果をグラフ
化して図11に示す。
【0032】図11のグラフから判るように、本発明の
製造方法により得られた有機EL素子は、従来の方法で
製造された比較例1および2と比較して、いずれもダー
クスポットの発生が少なく耐久性に優れていた。この耐
久性の違いは試験時間の経過とともに大きくなった。こ
れは、比較例に比べて封止空間内のアウトガス量が低減
されていることにより素子の劣化が抑えられたものと推
察される。
【0033】
【発明の効果】圧着工程の終了後、減圧下において接着
剤を硬化させると、接着剤から生じるアウトガスは完全
硬化前の接着剤中を拡散して外部空間側へと移動する。
このアウトガス排出の効果は、雰囲気圧力を低くするほ
ど大きくなる。しかし、封止ライン内外の圧力差を大き
くしすぎると、封止空間の内部圧力で封止ラインの形状
に乱れが生じたり、封止空間内の気体が接着剤に孔(気
道)を作って抜け出し、この気道が接着剤の硬化後まで
残ってしまったりして、素子の封止不良が発生する恐れ
がある。また、接着剤の硬化開始から終了までの間、従
来は一定強度の照射光を接着剤全体に照射することが一
般的であった。しかし、照射光強度が強すぎると、有機
EL積層膜が過熱されて劣化したり、温度上昇により封
止空間内の気体が膨張し、封止ライン内外の圧力差が大
きくなって封止不良が発生する恐れがある。一方、照射
光の強度が低すぎると、接着剤の硬化に長時間を要す
る、接着剤の硬化が不完全となって製造後にもアウトガ
スが発生する、等の問題がある。
【0034】第1発明の製造方法では、接着剤の硬化初
期には減圧度および光照射強度を低く、硬化後期には減
圧度および光照射強度を高くする。接着剤の流動性およ
び拡散性は硬化の進行につれて低下するため、減圧度お
よび光照射強度をこのように制御することにより、封止
ライン形状の乱れ等を生じることなく、アウトガスを外
部空間側へと効率よく排出することができる。したがっ
て、アウトガスによる素子の劣化が抑えられて、長寿命
の有機EL素子が得られる。また、接着剤の粘度および
雰囲気圧力を適度に調節することにより、パスカルの原
理を利用して接着剤の厚みを均一化することができる。
【0035】また、第2発明の製造方法では、まず予備
硬化工程において封止ラインの内周部分に位置する接着
剤を硬化させ、その後の本硬化工程において他の部分の
接着剤を硬化させる。予備硬化工程において硬化した接
着剤がアウトガスの拡散に対する「壁」として機能する
ので、本硬化工程で生じるアウトガスは封止空間内へは
出られず、外部空間に排出される。これにより封止空間
に残存するアウトガス量が低減され、長寿命の有機EL
素子が得られる。
【0036】なお、特開平11−176571号公報に
は、封止部材と透明基板との押圧を減圧下で行う有機E
L素子の製造方法が開示されている。しかし、アウトガ
スの残存量を減らすために、押圧後に接着剤を硬化させ
る工程において、本発明のような照射条件や照射方法を
用いることについては上記公報に開示されていない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、第2発明における光照
射方法を示す断面図である。
【図2】第2発明における光照射方法の他の例を示す断
面図である。
【図3】実施例で用いた封止部材を示す平面図である。
【図4】実施例で用いた透明基板および有機EL積層膜
を示す断面図である。
【図5】封止部材と透明基板とを圧着した状態を示す断
面図である。
【図6】実施例1において封止装置内に有機EL素子を
配置した断面図である。
【図7】実施例2〜4において封止装置内に有機EL素
子を配置した断面図である。
【図8】実施例2、3の予備硬化工程を透明基板側から
見た平面図である。
【図9】実施例2、3の本硬化工程を透明基板側から見
た平面図である。
【図10】実施例4の予備硬化工程を透明基板側から見
た平面図である。
【図11】実施例および比較例の製造方法により得られ
た有機EL素子の耐久性試験結果を示す特性図である。
【符号の説明】
1;封止部材、2;接着剤、21;内周部分、22;外
周部分、3;透明基板、4;有機EL積層膜、5;マス
キング、51;素子保護部、52;環状部、6;スリッ
ト、7;封止装置、72;UVランプ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機EL積層膜が形成された基板に光硬
    化型接着剤を介して封止部材を固着する有機EL素子の
    製造方法であって、 未硬化の上記接着剤を介して上記基板と上記封止部材と
    を圧着してから上記接着剤の光硬化を終了するまでの過
    程において、雰囲気圧力は徐々にあるいは段階的に減圧
    し、上記接着剤を硬化させるための照射光の強度は徐々
    にあるいは段階的に強くすることを特徴とする有機EL
    素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機EL積層膜が形成された基板に光硬
    化型接着剤を介して封止部材を固着する有機EL素子の
    製造方法であって、 まず上記接着剤の内周部分を硬化させ、その後、該内周
    部分以外の部分を硬化させることを特徴とする有機EL
    素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記接着剤を内周側から外周側に向けて
    徐々に硬化させる請求項2記載の有機EL素子の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記内周部分の硬化は減圧下で行われる
    請求項2または3記載の有機EL素子の製造方法。
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