JP2001227287A - トンネル補修用のコンクリート板およびトンネル補修方法 - Google Patents

トンネル補修用のコンクリート板およびトンネル補修方法

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JP2001227287A
JP2001227287A JP2000035967A JP2000035967A JP2001227287A JP 2001227287 A JP2001227287 A JP 2001227287A JP 2000035967 A JP2000035967 A JP 2000035967A JP 2000035967 A JP2000035967 A JP 2000035967A JP 2001227287 A JP2001227287 A JP 2001227287A
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tunnel
concrete
concrete plate
repairing
plate
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JP2000035967A
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English (en)
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Shinji Tsuchida
伸治 土田
Yoshiji Matsumoto
嘉司 松本
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Nippon Concrete Industries Co Ltd
Original Assignee
Nippon Concrete Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工が容易で短期間で補修でき、汎用性が高
いトンネル補修方法を提供する。 【解決手段】 補修する既設トンネルの内面の曲率に対
応して湾曲形成した型枠の湾曲する内面側に、耐食性部
材にて形成した網目状の網体12を配置する。鉄筋棒にて
形成した格子状の補強体11を配置して網体12と一体的に
連結する。生コンクリートを流し込んで硬化した後に脱
型し、外面側の表面近傍に網体が位置するコンクリート
板6を形成する。対をなすコンクリート板6,6を既設
トンネル内に搬入し、既設トンネルの頂部で端面を当接
してアーチ状に連結する。既設トンネル内に位置決め保
持し、順次一体的に連結し、コンクリート板6の外面側
に充填材を充填して補修する。高強度および大型形成で
き、厚さ寸法を小さくでき、建築限界が小さくても短時
間で容易に補修できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネルを補修す
るためのトンネル補修用のコンクリート板およびトンネ
ル補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、既設トンネルの補修するトンネル
補修方法としては、例えば既設トンネルの内面にコンク
リートを打設あるいは吹き付ける方法と、板状に形成し
た各種補修用板材を既設トンネルの内面に一体的に取り
付ける方法とがある。
【0003】そして、コンクリートを打設あるいは吹き
付ける方法では、既に自動車や電車などの車両の往来が
ある既設トンネルを補修する場合、工期が長くなること
から長期に亘って車両の往来を規制する必要がある。
【0004】一方、板状の補修用板材を用いる方法で
は、樹脂含浸コンクリート板や熱硬化性メラミン樹脂・
シリカ含有コンクリート板、エポキシ・モルタル積層
板、レジンコンクリート板、石材混入ポリエステル板な
どの特殊な補修用板材、あるいは鉄筋コンクリート板な
どがある。そして、特殊な補修用板材は、製造方法や使
用材料が特殊なことから、コストが高いとともに、大型
化が困難で、既設トンネルに一体的に取り付ける作業が
煩雑で、工期の短縮が図りにくい。また、鉄筋コンクリ
ート板は、強度が高く大型のものも形成でき、工期の短
縮が図りやすいが、厚さ寸法が厚く、既設トンネルの内
空断面積を大きく減少するおそれがあり、例えば建築限
界があまり大きくない既設トンネルでは、既設トンネル
の内面を大きくはつったり、既設トンネルの底部を掘り
下げて建築限界を大きくするなどの大掛かりな工事が必
要となり、補修が煩雑となって適用できなくなるおそれ
がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、コン
クリートを打設あるいは吹き付ける方法では、既設トン
ネルを補修する場合、工期が長くなることから長期に亘
って例えば車両の往来を規制するなどの必要がある。
【0006】また、樹脂含浸コンクリート板や熱硬化性
メラミン樹脂・シリカ含有コンクリート板、エポキシ・
モルタル積層板、レジンコンクリート板、石材混入ポリ
エステル板などの特殊な補修用板材を用いて補修する方
法では、製造方法や使用材料が特殊で、コストが高いと
ともに、大型化が困難で、既設トンネルに一体的に取り
付ける作業が煩雑で、工期の短縮が図りにくい。さら
に、鉄筋コンクリート板を用いて補修する方法では、厚
さ寸法が厚く、既設トンネルの内空断面積を大きく減少
するおそれあり、汎用性の向上が図れない問題がある。
【0007】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、施工が容易で短期間で補修でき、汎用性が高いトン
ネル補修用のコンクリート板およびトンネル補修方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のトンネル
補修用のコンクリート板は、トンネルの内面に略沿って
湾曲した平板状で、耐食性材料にて網目シート状に形成
された網体が少なくとも湾曲する内面側の表面近傍に位
置して形成されたものである。
【0009】そして、耐食性材料にて網目シート状に形
成された網体をトンネルの内面に略沿って湾曲する内面
側の表面近傍に位置して形成することにより、網体によ
り高強度で大型形成可能となるとともに、耐食性の網体
を表面近傍に位置させて長期使用しても網体が腐食する
ことなく表面から網体までのかぶりの寸法が小さくなっ
て厚さ寸法が小さくなり、トンネルの内面に取り付けて
も内空断面積の減少を抑制して建築限界の比較的小さい
トンネルでも短期間で容易に補修可能となる。
【0010】請求項2記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板は、トンネルの内面に略沿って湾曲した平板状
で、耐食性材料にて網目シート状に形成された網体が湾
曲する内面側および前記トンネルの内面に対向する外面
側の表面近傍にそれぞれ一対位置して形成されたもので
ある。
【0011】そして、耐食性材料にて網目シート状に形
成された網体をトンネルの内面に略沿って湾曲する内面
側およびトンネルの内面に対向する外面側の表面近傍に
位置して形成することにより、網体により高強度で大型
形成可能となるとともに、耐食性の網体を表面近傍に位
置させて長期使用しても網体が腐食することなく表面か
ら網体までのかぶりの寸法が小さくなって厚さ寸法が小
さくなり、トンネルの内面に取り付けても内空断面積の
減少を抑制して建築限界の比較的小さいトンネルでも短
期間で容易に補修可能とする。
【0012】請求項3記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板は、請求項2記載のトンネル補修用のコンクリー
ト板において、一対の網体を互いに所定間隔で連結する
連結部材を具備したものである。
【0013】そして、一対の網体を互いに所定間隔で連
結部材により連結することにより、外部から大きな応力
が掛かっても、網体が表面側に位置するコンクリートを
突き破って表面から突出して損傷することを確実に防止
する。
【0014】請求項4記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板は、請求項1ないし3いずれか一記載のトンネル
補修用のコンクリート板において、鉄筋棒を具備したも
のである。
【0015】そして、網体とともに鉄筋棒を設けて形成
することにより、大きな強度が得られより大型形成可能
となる。
【0016】請求項5記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板は、請求項4記載のトンネル補修用のコンクリー
ト板において、鉄筋棒を網体に連結する結合部材を具備
したものである。
【0017】そして、鉄筋棒を結合部材にて網体に連結
することにより、外部から大きな応力が掛かっても、網
体が表面側に位置するコンクリートを突き破って表面か
ら突出して損傷することを確実に防止する。
【0018】請求項6記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板は、請求項1ないし5いずれか一記載のトンネル
補修用のコンクリート板において、網体は、最外部が表
面から5mm以内に位置して設けられたものである。
【0019】そして、網体を最外部が表面から5mm以
内に位置するように設けることにより、耐食性の網体を
表面近傍に位置させて表面から網体までのかぶりの寸法
を小さくして厚さ寸法を小さくし、トンネルの内面に取
り付けても内空断面積の減少を抑制して建築限界の比較
的小さいトンネルでも短期間で容易に補修可能とする。
【0020】ここで、網体の最外部が表面から5mmよ
り大きな寸法で位置させることにより、網体から表面ま
でのかぶりの寸法が大きくなって厚さ寸法が厚くなり、
建築限界の比較的小さいトンネルに適用できなくなるお
それがあることから、最外部が表面から5mm以内に位
置するように設ける。
【0021】請求項7記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板は、請求項1ないし6いずれか一記載のトンネル
補修用のコンクリート板において、トンネルの円弧方向
に対して交差する端面は、平面が前記トンネルの軸方向
に対して交差して形成されたものである。
【0022】そして、トンネルの円弧方向に対して交差
する端面を、平面がトンネルの軸方向に対して交差させ
て形成することにより、例えば一旦トンネルの内面に取
り付けた後に、トンネルの円弧方向に対して交差する端
面に別体の端面を当接して擦り合うようにトンネルの軸
方向に移動させてトンネルの円弧方向に隣接して取り付
け可能となり、端面を対向するようにトンネルの円弧方
向に当接させて取り付けることができない建築限界が比
較的小さいトンネルでも取り付け施工が容易となる。
【0023】請求項8記載のトンネル補修方法は、請求
項7記載のトンネル補修用のコンクリート板をトンネル
の内面を覆って取り付け、このトンネルの内面を覆って
取り付けた前記コンクリート板の円弧方向に対して交差
する端面に、前記コンクリート板と別体の請求項7記載
のトンネル補修用のコンクリート板の円弧方向に対して
交差する端面を当接しつつ前記トンネルの内面を覆う状
態で前記トンネルの軸方向に移動し、前記トンネルの円
弧方向に沿って直列状に位置する状態で連結するもので
ある。
【0024】そして、トンネルの内面を覆って取り付け
た請求項7記載のトンネル補修用のコンクリート板のト
ンネルの円弧方向に対して交差する端面に、別体の請求
項7記載のトンネル補修用のコンクリート板のトンネル
の円弧方向に対して交差する端面を当接して擦り合うよ
うにトンネルの内面を覆う状態でトンネルの軸方向に移
動し、トンネルの円弧方向に沿って直列状に位置させて
連結することにより、端面を対向するように競り合わせ
て取り付けることができない建築限界が比較的小さいト
ンネルでも容易に取り付け施工可能となり、汎用性が向
上する。
【0025】請求項9記載のトンネル補修方法は、請求
項1ないし7いずれか一記載のトンネル補修用のコンク
リート板を、トンネルの円弧方向に対応して円弧状に複
数連結し、これら円弧状に連結した複数のコンクリート
板の対向する端部間を対向方向に弾性変形して曲率半径
を小さくし、この弾性変形した状態で前記トンネル内の
所定の位置に移動した後に弾性変形を解除して前記トン
ネル内に取り付けるものである。
【0026】そして、高強度で大型形成可能な肉薄で弾
性変形可能な請求項1ないし7いずれか一記載のトンネ
ル補修用のコンクリート板を、トンネルの円弧方向に対
応してあらかじめ円弧状に複数連結した後に、対向する
端部間を対向方向に弾性変形して曲率半径を小さくし、
この弾性変形した状態でトンネル内の所定の位置に移動
し、弾性変形を解除してトンネル内に取り付けることに
より、トンネル内に組み付けするための空間を確保でき
ない場合でも施工可能で、汎用性が向上するとともに、
トンネル内にて組み付ける工期が短縮し、例えばトンネ
ル内を往来する車両の規制が最小限となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面を参照して説明する。
【0028】図1および図2において、1はトンネル構
造体で、このトンネル構造体1は、例えば地山に貫通形
成されたトンネル抗2、このトンネル抗2の底部に形成
され図示しない軌道や道路などが表面に形成される底面
部3およびトンネル抗2の内面に打設あるいは吹き付け
などにより形成された既設のコンクリート層4を備え断
面略かまぼこ形状の内部空間5aを有するトンネルである
既設トンネル5と、複数のトンネル補修用のコンクリー
ト板6がアーチ状に連結されて既設トンネル5の内面を
覆って一体的に取り付けられた補修構造体7とを備えて
いる。なお、補修構造体7は、既設トンネル5の円弧を
2分割する形状に対をなす一対のコンクリート板6,6
が既設トンネル5の円弧方向で連結されるとともに、一
対のコンクリート板6,6が既設トンネル5の軸方向で
連結されて一体的に構成されている。また、補修構造体
7は、底面部3から既設トンネル5の周面下部近傍に現
場コンクリート打ちにより形成されコンクリート板6,
6の下端部が載置して位置決め保持する台座部8を備え
ている。
【0029】そして、コンクリート板6は、図2ないし
図5に示すように、既設トンネル5の内面の円弧方向に
略沿って長手方向が湾曲した平板状に形成されている。
また、このコンクリート板6は、鉄筋棒10が溶接などに
より格子状に形成された補強体11と、内部空間5aに面す
る湾曲する内面側の表面近傍に位置し、例えばステンレ
ス鋼、亜鉛などの耐食性金属や樹脂などの耐食性材料が
被覆形成された鋼材、樹脂繊維、炭素繊維、アラミド繊
維、ガラス繊維などの耐食性部材にて網目シート状に形
成された網体12と、コンクリート13とにて振動成形など
により形成されている。なお、コンクリート板6は、湾
曲する内面側の表面から網体12までの距離であるかぶり
の寸法が5mm以下となるように網体12が位置して形成
されている。ここで、網体12を表面から5mmより大き
な寸法で位置させることにより、網体12から表面までの
かぶりの寸法が大きくなって厚さ寸法が厚くなり、建築
限界の比較的小さい既設トンネル5に適用できなくなる
おそれがあることから、表面から5mm以内の位置に設
ける。
【0030】また、コンクリート板6には、網体12と補
強体11との距離を保持する位置決め介在物14と、網体12
および補強体11を連結する結合部材15とを備えている。
そして、位置決め介在物14は、例えばコンクリートや樹
脂などにて形成された略立方体形状で、対向する一対の
面には、網体12および補強体11が係合する凹溝17がそれ
ぞれ形成されている。また、結合部材15は、例えば網体
12と同様に耐食性部材にて、内周側を外方に連通される
切欠部18を有して平面視で略C字形状に形成されてい
る。
【0031】さらに、コンクリート板6には、隣接する
コンクリート板6と連結するためのワンタッチ式の鎖錠
手段20が設けられている。この鎖錠手段20は、図5に示
すように、雄アンカ21およびこの雄アンカ21が連結され
る雌アンカ22の一対にて構成される。
【0032】そして、雄アンカ21は、コンクリート板6
に埋設され網体12や補強体11に溶接などにより連結され
るアンカ部24と、このアンカ部24の一端に一体に設けら
れ先端部から基端部に向けて次第に径小となるテーパ面
25を有した径小部26を備えコンクリート板6の周面から
突出する係合部27とを有している。
【0033】一方、雌アンカ22は、雄アンカ21と同様
に、コンクリート板6に埋設され網体12や補強体11に溶
接などにより連結されるアンカ部24を有している。そし
て、雌アンカ22は、一端にコンクリート板6の周面に位
置して挿入孔30を開口し、内周面が挿入孔30に向けて縮
径する傾斜面31を有した略円筒状に形成されてコンクリ
ート板6に埋設される胴体部32をアンカ部24の一端に一
体的に設けている。また、雌アンカ22は、胴体部32内に
軸方向に移動自在に移動板33を配設している。さらに、
雌アンカ22は、移動板33を挿入孔30に向けて付勢するコ
イルスプリングなどの付勢手段34を胴体部32内に配設し
ている。また、雌アンカ22は、移動板33より挿入孔30側
の胴体部32内に傾斜面31に摺接して移動可能に配設さ
れ、付勢手段34の付勢により常時挿入孔30側に互いに競
り合った状態で移動され、雄アンカ21の係合部27が挿入
孔30から挿入されて付勢手段34の付勢に抗して移動する
ことにより互いに離間して内径が拡径して係合部27を挿
入可能となり、係合部27が挿入した時点で付勢手段34の
付勢により再び挿入孔30側に移動し、係合部27のテーパ
面25に傾斜面31に略平行な係合面35が当接するとともに
外面が傾斜面31に競り合って係合部27の径小部26に抜止
係合する周方向に複数分割された複数の分割駒36を有し
ている。
【0034】そして、雄アンカ21および雌アンカ22は、
それぞれコンクリート板6の周面に位置して所定間隔
で、既設トンネル5の円弧方向でコンクリート板6が対
をなすように所定位置に複数設けられている。なお、コ
ンクリート板6の既設トンネル5の底面部3に位置して
取り付けられる端面には、鎖錠手段20は設けない。
【0035】また、コンクリート板6には、取付用孔38
およびグラウト用孔39が適宜貫通して設けられている。
【0036】次に、上記実施の形態のコンクリート板6
の形成方法について説明する。
【0037】まず、補修する既設トンネル5の内面の曲
率に対応してあらかじめ湾曲して形成された図示しない
型枠の湾曲する内面側の面に、両端部が端面から湾曲す
る内面側と反対側の既設トンネル5の内面に対向する側
である外面側に亘って折り返されるように網体12を当接
させて配置する。また、あらかじめ鉄筋棒10にて格子状
に形成された補強体11を、型枠の網体12が当接する湾曲
する内面側およびこの内面側と対向する外面側との間に
略平行に位置して型枠内に配置する。さらに、鎖錠手段
20の雄アンカ21および雌アンカ22を適宜配置し、網体12
および補強体11間に位置決め介在物14を挟持するように
介在しつつ結合部材15にて網体12と補強体11とを一体的
に連結するとともに、雄アンカ21および雌アンカ22を適
宜網体12および補強体11に溶接などにより連結する。
【0038】そして、網体12および補強体11を配設した
型枠内に生コンクリートを流し込み、例えば振動形成す
る。
【0039】この後、生コンクリートが硬化した後に脱
型してコンクリート板6を形成する。
【0040】次に、既設トンネル5の補修方法について
説明する。
【0041】まず、既設トンネル5の底面部3から内面
下部に亘って立ち上がるように現場コンクリート打ちに
より台座部8を形成する。そして、あらかじめ形成され
た対をなすコンクリート板6を、例えば図示しない搬送
車両にてそれぞれ既設トンネル5内に運搬し、図1中の
二点鎖線で示すように、鎖錠手段20が設けられた各コン
クリート板6,6の端面を既設トンネル5の頂部で既設
トンネル5の円弧方向で対向させ、対応する雄アンカ21
および雌アンカ22をそれぞれ係合して端面を当接して一
体のアーチ状に連結する。そして、この連結した状態
で、既設トンネル5の台座部8に下端部を位置決めする
とともに、取付用孔38を介して既設トンネル5に図示し
ないアンカなどの取付手段にて既設トンネル5の内面を
覆って位置決め保持する。なお、取付手段としては、例
えば既設トンネル5の内面に一端側を打ち込み固定し他
端側でコンクリート板6を吊り下げ支持して位置決め保
持する構成や、既設トンネル5の内面およびコンクリー
ト板6の外面間に互いに離間する方向に突っ張るように
位置して対をなすコンクリート板6,6が互いに競り合
うようにして位置決め保持する構成など、いずれのもの
を用いてもよい。
【0042】この後、同様に対をなすコンクリート板
6,6をアーチ状に連結し、既設トンネル5内に位置決
め保持したコンクリート板6,6に、対応する雄アンカ
21および雌アンカ22をそれぞれ係合して既設トンネル5
の軸方向で順次連結するとともに、既設トンネル5の内
面を覆って位置決め保持する。
【0043】そして、グラウト用孔39から生コンクリー
トや衝撃吸収材などの充填材40を既設トンネル5の内面
とコンクリート板6の外面との間の隙間に充填し、図2
に示すようにトンネル構造体1を形成する。
【0044】上述したように、耐食性材料にて網目シー
ト状に形成された網体12を既設トンネル5の内面に略沿
って湾曲し既設トンネル5の内部空間5aに面する内面側
の表面近傍に位置させてトンネル補修用のコンクリート
板6を形成するため、網体12により高強度が得られ、大
型形成できるとともに、耐食性の網体12を表面近傍に位
置させるためにコンクリート板6を長期使用しても網体
12が腐食することなく表面から網体12までのかぶりの寸
法が小さくなってコンクリート板6の厚さ寸法を小さく
でき、既設トンネル5の内面に取り付けても内部空間5a
の内空断面積の減少を抑制でき、例えば内部空間5aを往
来する車両などがトンネル構造体1に接触することを防
止するための建築限界の比較的小さい既設トンネル5で
も短期間で容易に補修でき、施工性および汎用性を向上
できる。
【0045】そして、既設トンネル5の内面に略沿って
湾曲した平面を有する型枠の少なくとも湾曲する内面側
の面に耐食性材料にて網目シート状に形成された網体12
を取り付け、この網体12を取り付けた型枠内にコンクリ
ートを流し込んで硬化した後に型枠を脱型して形成する
ため、大型形成でき高強度かつ肉薄で施工性および汎用
性を向上できるコンクリート板6を容易に形成できる。
【0046】また、コンクリート板6に鉄筋棒10にて格
子状に形成された補強体11を設けているため、より大き
な強度が得られるとともに、より大型形成でき、施工性
を向上でき、施工時間を短縮でき、コストも低減でき
る。
【0047】なお、補強体11を設けることにより、従来
の鉄筋コンクリート板と同様に、例えば外部からの応力
により内部空間5aに面する湾曲する内面側に圧縮力が作
用して補強体11が内面側に位置するコンクリート13を突
き破るように内方に向けて変形して突出することを防止
するために、特に補強体11から内部空間5aに面する湾曲
する内面側の表面までのかぶりの寸法をある程度確保す
る必要があるが、網体12により応力が分散されコンクリ
ート13が突き破られることを防止できることから、かぶ
りの寸法を小さくでき、肉薄に形成できる。
【0048】さらに、鉄筋棒10にて形成される補強体11
と網体12とを結合部材15にて連結してコンクリート板6
を形成するため、補強体11と網体12とが一体的となり、
コンクリート板6に外力が作用しても補強体11および網
体12が相対的に移動する状態を防止でき、より高強度が
得られるとともに、より大型形成でき、施工性を向上で
き、施工時間を短縮でき、コストも低減できる。
【0049】そしてさらに、補強体11と網体12との連結
は、位置決め介在物14を介在させるとともに平面視で略
C字形状の結合部材15にて位置決め介在部14を補強体11
と網体12とにて挟持するように一体的に連結するため、
簡単な構成で容易にコンクリート板6内で所定の位置と
なるように一体的に連結できる。
【0050】そして、網体12を表面から5mm以内の位
置に設けることにより、耐食性の網体12を表面近傍に位
置させて表面から網体12までのかぶりの寸法を小さくし
て厚さ寸法を小さくし、既設トンネル5の内面に取り付
けても内空断面積の減少を抑制して建築限界の比較的小
さい既設トンネル5でも短期間で容易に補修できるトン
ネル補修用のコンクリート板6を容易に形成できる。
【0051】また、雄アンカ21および雌アンカ22にて構
成されるワンタッチ式の鎖錠手段20を設けたため、コン
クリート板6を連結して補修構造体7を一体的に形成す
る動作が一動作ででき、施工性を向上でき、施工時間を
短縮できる。
【0052】なお、上記実施の一形態において、補修す
る既設トンネル5としては、自動車や電車などの車両往
来用のトンネルに限らず、歩道や地下道、水路などのト
ンネル状のいずれの構成でも適用できる。
【0053】そして、コンクリート板6としては、湾曲
する内面側に網体12を位置して形成したが、例えば図6
および図7に示すように、既設トンネル5の内面に対向
する外面側にも網体12を設けて一対の網体12にて形成す
る構成としてもよい。この図6および図7に示す構成に
よれば、さらに強度を向上でき、大型成形できるととも
に、外面側におけるかぶりの寸法も小さくでき、より肉
薄に形成できる。
【0054】なお、この図6および図7に示す構成にお
いて、例えば外部からの応力により内部空間5aに面する
湾曲する内面側に圧縮力が作用し、内面側に位置する網
体12が表面側に位置するコンクリート13を突き破るよう
に内方に向けて変形して突出することを防止するため
に、図1ないし図5に示す実施の形態と同様に、結合部
材15にて補強体11と一体的に連結したり、例えば結合部
材15と同様の平面視がC字形状に形成された連結部材41
にて外面側に位置する網体12と一体的に連結してコンク
リート13を突き破るように内方に向けて変形することを
防止する構成を採ることが好ましい。
【0055】さらに、図1ないし図5に示す実施の形
態、および、図6および図7に示す実施の形態におい
て、鉄筋棒10にて格子状に形成した補強体11を設けて形
成したが、例えば図8および図9に示すように、補強体
11を設けなくてもよい。この構成によれば、網体12のみ
でもある程度の高強度が得られることから、厚さ寸法を
補強体11の寸法分さらに小さくでき、軽量小型化が図れ
る。
【0056】また、既設トンネル5の円弧方向に2分割
した大きさのコンクリート板6にて補修構造体7を構成
して説明したが、歩道用の小さい既設トンネル5の場合
には、分割することなく円弧方向で1つのみとした形状
に形成したり、往来する車両の車線数が覆い大型の既設
トンネル5などの場合には複数に分割した大きさに形成
して円弧方向に複数アーチ状に連結してから取り付ける
などしてもよい。
【0057】さらに、補修する際に、図1に示すよう
に、既設トンネル5内で対をなすコンクリート板6,6
の端面を当接してアーチ状に連結して施工する他に、例
えば図10および図11に示すように、あらかじめアー
チ状に連結した後に弾性変形して既設トンネル5内の所
定の位置に移動し、弾性変形を解除してから既設トンネ
ル5に取り付けてもよい。すなわち、外面側の表面近傍
に網体12を位置して形成することにより、容易に厚さ寸
法を薄く形成することができるので、湾曲する側に曲率
半径が小さくなるように容易に弾性変形できる。
【0058】このため、この図10および図11に示す
構成の補修方法によれば、あらかじめアーチ状に連結し
ておくことにより、既設トンネル5内では連結したコン
クリート板6,6を取り付けるのみでよく、既設トンネ
ル5内で連結する工程が不要となって補修工事期間を短
縮でき、例えば車両が往来しない短い間に既設トンネル
5内に取り付けることもでき、施工性の向上および施工
時間の短縮が容易にできる。また、弾性変形して曲率半
径を小さくしてから既設トンネル5内に移動して取り付
けるため、建築限界が比較的小さい既設トンネル5でも
取り付けでき、汎用性を向上できる。
【0059】さらに、建築限界が比較的小さい場合に
は、例えば図12ないし図20に示すように、既設トン
ネル5の軸方向に移動することによりコンクリート板
6,6を連結する構成としてもよい。
【0060】すなわち、コンクリート板6は、既設トン
ネル5の頂部で接合される既設トンネル5の円弧方向に
対して交差する端面が、既設トンネル5の軸方向に対し
て交差するように斜めに傾斜して形成されている。な
お、反対側の端面は、図1ないし図5に示す実施の形態
と同様に、既設トンネル5の円弧方向に対して直交する
形状に形成されている。そして、この傾斜する端面に
は、図1ないし図5に示す実施の形態の鎖錠手段20の代
わりに、連結手段45が設けられている。なお、コンクリ
ート板6の既設トンネル5の軸方向に面する湾曲方向の
両側面には、図1ないし図5に示す実施の形態と同様
に、図示しないが鎖錠手段20が設けられている。
【0061】そして、連結手段45は、図12ないし図2
0に示すように、雄連結部46およびこの雄連結部46が係
脱可能に連結する雌連結部47の一対にて構成される。
【0062】また、雄連結部46は、図12ないし図16
に示すように、コンクリート板6の傾斜する端面と略同
形状の細長板状の基板部50を有している。そして、この
基板部50のコンクリート板6の端面に当接する面には、
コンクリート板6に埋設され網体12や補強体11に溶接な
どにより連結される図示しないアンカ部が設けられてい
る。また、基板部50のアンカ部が設けられた側と反対側
の面には、基板部50の長手方向に沿って略中央から突出
寸法が一定の壁状に突出する係合板部51が一体に設けら
れている。そして、この係合板部51の先端縁近傍の両面
には、厚さ方向に突出する係合膨出部52が適宜例えば2
カ所設けられている。これら係合膨出部52,52は、基板
部50に対向する面がコンクリート板6の長手方向で湾曲
する方向、すなわち既設トンネル5の円弧方向に対して
直交する面となる当接面53がそれぞれ設けられている。
【0063】一方、雌連結部47は、図12、図13、図
17ないし図19に示すように、雄連結部46と同様にア
ンカ部を有した基板部50を有している。そして、基板部
50の長手方向の両側縁には、突出する寸法が一定の壁状
で平行に突出する一対の係止板部55,55が一体に設けら
れている。また、一対の係止板部55,55の対向面には、
雄連結部46の係合膨出部52,52に対応する位置に同形状
の係止膨出部56,56が厚さ方向である対向方向に適宜例
えば2カ所突出形成されている。そして、係止膨出部56
は、係合膨出部52と同様に、基板部50に対向する面がコ
ンクリート板6の長手方向で湾曲する方向、すなわち既
設トンネル5の円弧方向に対して直交し係合膨出部52の
当接面53が競り合うように当接する係止当接面57を有し
ている。
【0064】また、雌連結部47の隣接する係止膨出部5
6,56間の距離は、図12に示すように、雄連結部46の
係合膨出部52が挿入可能な距離で形成されている。さら
に、係合膨出部52および係止膨出部56は、図13に示す
ように、コンクリート板6,6が直列状に側面が一連と
なる状態で当接面53と係止当接面57が互いに競り合って
当接する状態に形成されている。
【0065】そして、既設トンネル5の補修に際して
は、連結手段45の一方の例えば雌連結部47を設けたコン
クリート板6を、例えば図示しない搬送車両にてそれぞ
れ既設トンネル5内に運搬する。この後、図1ないし図
5に示す実施の形態と同様に、雌連結部47が設けられて
いない反対側の下端側となる端面を既設トンネル5の底
面部3に下端部を位置決めするとともに、取付用孔38を
介して既設トンネル5に図示しないアンカなどの取付手
段にて既設トンネル5の内面を覆って位置決め保持す
る。
【0066】次に、連結手段45の他方の例えば雄連結部
46を設けたコンクリート板6を、例えば図示しない搬送
車両にてそれぞれ既設トンネル5内に運搬する。そし
て、図12に示すように、位置決め保持したコンクリー
ト板6の雌連結部47の係止膨出部56,56間に雄連結部46
の係合膨出部52を挿入しつつ係止板部55,55間に雄連結
部46の係合板部51を挿入する。この後、雄連結部46の係
合板部51の先端縁および雌連結部47の係止板部55,55の
先端縁を相手の基板部50,50に当接させた状態で、互い
に摺り合わせるようにして雄連結部46を設けたコンクリ
ート板6を既設トンネル5の軸方向に略沿う方向で移動
させる。
【0067】そして、雄連結部46の係合膨出部52,52の
当接面53,53が雌連結部47の係止膨出部56,56の係止当
接面57,57に競り合うことにより、図13に示すよう
に、コンクリート板6がアーチ状に既設トンネル5の円
弧方向で連結されるとともに、既設トンネル5の軸方向
で隣接するコンクリート板6の鎖錠手段20に連結して、
一体的に補修構造体7が構成される。
【0068】このように、上記図12ないし図20に示
す実施の形態によれば、コンクリート板6が補修構造体
7の既設トンネル5の円弧方向で分割される形状の場
合、既設トンネル5の円弧方向に対して交差し互いに接
合する端面を、既設トンネル5の軸方向に対して交差す
るように傾斜して形成し、接合の際には一方のコンクリ
ート板6を端面を互いに摺り合わせるように既設トンネ
ル5の軸方向に移動させて接合位置で競り合わせるた
め、図1ないし図5に示す実施の形態のように、接合す
る端面を対向するように既設トンネル5内に配置した後
に対向するコンクリート板6間を狭めるようにして端面
を当接して接合するための空間が既設トンネル5内で確
保できないような建築限界が比較的小さい場合でも補修
でき、汎用性を向上できる。
【0069】また、係脱可能な雄連結部46および雌連結
部47を係合させて連結する連結手段45により既設トンネ
ル5の円弧方向でコンクリート板6を連結するため、連
結の際にコンクリート板6が欠けるなどの損傷を生じる
ことなく確実に連結できる。
【0070】なお、上記図12ないし図20に示す実施
の形態において、連結手段45を設けて説明したが、連結
手段45を設けず、直接コンクリート板6の傾斜する端面
を競り合わせるようにしたり、別途既設トンネル5の軸
方向に対して係脱可能で既設トンネル5の円弧方向で係
合し合ういずれの構成でもできる。
【0071】また、上記各実施の形態において、既設ト
ンネル5の補修の際、既設トンネル5の内面の一部をは
つり出してからコンクリート板6を取り付けてもよい。
すなわち、例えば建築限界が極めて小さく厚さ寸法を小
さく形成したコンクリート板6でも取り付けるだけの許
容がない場合には、既設トンネル5の内面をコンクリー
ト板6を取り付ける分、はつってもよい。なお、コンク
リート板6の厚さ寸法が小さいため、従来のかぶり寸法
の大きい鉄筋コンクリート板を取り付ける場合に比して
はつる量を少なくできる。
【0072】そして、現場コンクリート打ちにより形成
した台座部8上に載置するようにコンクリート板6,6
を位置決め保持して説明したが、台座部8を設けず、底
面部3に亘ってコンクリート板6,6を取り付けてもよ
い。さらには、図21および図22に示すように、台座
部8を形成することなく、コンクリート板6,6に台座
部8に対応する部分を一体に形成したものを用いてもよ
い。
【0073】すなわち、図21および図22において、
61はトンネル構造体で、このトンネル構造体61は、トン
ネル構造体1と同様に、トンネル抗2、底面部3および
コンクリート層4を備え内部空間5aを有する既設トンネ
ル5と、既設トンネル5のコンクリート層4の表面に配
設された例えば電線や電話線、信号線などのケーブル63
と、複数のトンネル補修用のコンクリート板65,65がア
ーチ状に連結されて既設トンネル5の内面を覆って一体
的に取り付けられた補修構造体66とを備えている。な
お、補修構造体66は、補修構造体7と同様に、既設トン
ネル5の円弧を2分割する形状に対をなす一対のコンク
リート板65,65が既設トンネル5の円弧方向で連結され
るとともに、一対のコンクリート板65,65が既設トンネ
ル5の軸方向で連結されて一体的に構成されている。
【0074】このコンクリート板65は、既設トンネル5
のの内面の円弧方向に略沿って長手方向が湾曲した平板
状の覆い板部71と、この覆い板部71の長手方向の一端側
に一体に設けられケーブル63を覆って既設トンネル5の
底面部3上に載置される基台部72と、覆い板部71の長手
方向の他端側に肉厚に一体に設けられた補強部73とを備
えている。
【0075】そして、覆い板部71は、コンクリート板65
と同様に、補強体11、網体12、結合部材15およびコンク
リート13にて構成され、既設トンネル5の内面の円弧方
向に略沿って長手方向が湾曲した平板状に形成されてい
る。また、基台部72は、覆い板部71に一連に連続する補
強体11およびコンクリート13にて構成され、略中央にケ
ーブルの保守点検用の点検口75を開口形成する開口板部
76と、この開口板部76の一縁に傾斜して設けられ覆い板
部71の一縁に連続する連結傾斜部77とを備えている。そ
して、連結傾斜部77には、内部空間5aおよび既設トンネ
ル5の軸方向に向けて切欠状に形成され連結凹部78がコ
ンクリート板65の長手方向に沿った両側縁に位置してそ
れぞれ一対設けられている。また、これら連結凹部78に
は、例えばアンカボルトなどの図示しない連結アンカの
一部が突出して軸方向が上下方向となるように埋設され
ている。さらに、補強部73は、覆い板部71からコンクリ
ート板65の長手方向の端部に向けて次第に肉厚となるよ
うに形成され、基台部72と同様の連結アンカが突設され
た連結凹部78が一対設けられている。
【0076】また、コンクリート板65の補強部73が設け
られた側の端面には、コンクリート板6と同様に、雄ア
ンカ21および雌アンカ22のうちの少なくともいずれか一
方が設けられている。
【0077】そして、既設トンネル5の補修に際して
は、コンクリート板6の補修と同様に、図示しない搬送
車両にてそれぞれ既設トンネル5内に運搬する。この
後、コンクリート板65の基台部72の下端を既設トンネル
5の底面部3に位置決めし、対をなすコンクリート板6
5,65の補強部73側の端面を既設トンネル5の頂部で既
設トンネル5の円弧方向で対向させる。そして、対応す
る雄アンカ21および雌アンカ22をそれぞれ係合しつつ端
面を当接して一体のアーチ状に連結する。この後、コン
クリート板65の基台部72の下端と底面部3との間に高さ
調整材を介在して所定の高さに固定する。この状態で、
既設トンネル5の内面に配設されたケーブルがコンクリ
ート板65の基台部72にて覆われる状態となる。
【0078】この後、同様に対をなすコンクリート板6
5,65をアーチ状に連結し、この連結したコンクリート
板65,65の長手方向の一側面である既設トンネル5の軸
方向に面する側面を既設トンネル5内に位置決め固定し
たコンクリート板65,65の対向する側面に当接する。そ
して、対向して連続する連結凹部78,78の連結アンカに
架橋するように座板などの連結部材を取り付けて一体的
に連結固定する。
【0079】次に、図示しないグラウト用孔から生コン
クリートや衝撃吸収材などの充填材40を既設トンネル5
の内面とコンクリート板65の外面との間の隙間に充填
し、図22に示すようにトンネル構造体66を形成する。
【0080】この図21および図22に示す実施の形態
によれば、現場コンクリート打ちにより台座部8を形成
する必要がなく、容易に補修施工でき、補修期間を短縮
できる。
【0081】また、既にケーブル63が設けられていて
も、例えば現場コンクリート打ちの際にケーブル63を除
去した後に再びケーブルを設けるなどの煩雑な作業が不
要で、容易に補修できる。
【0082】なお、この図21および図22に示す実施
の形態において、コンクリート板65を覆い板部71および
基台部72を一体形成して説明したが、覆い板部71および
基台部72を別体として、基台部72を既設トンネル5内に
位置決め固定した後に、基台部72状に覆い板部71を位置
決め載置して連結固定してもよい。
【0083】また、ケーブル63が保守管理不要であれ
ば、開口板部76に点検口75を設けない構成としてもよ
い。
【0084】さらに、基台部72として、開口板部76およ
び連結傾斜部77にて構成したが、ケーブル63を覆いかつ
上部に位置する覆い板部71を確実に位置決め固定できる
いずれの形状でもできる。
【0085】また、既設トンネル5の軸方向での連結に
際して、連結凹部に設けた連結アンカに連結部材にて連
結したが、鎖錠手段20を用いて連結してもよい。
【0086】さらに、アーチ状に端面を連結する構成と
しては、鎖錠手段20による場合の他、連結部材にて連結
したり図12ないし図20に示す実施の形態と同様に、
連結手段45を用いてコンクリート板65を端面を互いに摺
り合わせるように既設トンネル5の軸方向に移動させて
アーチ状に連結するなどいずれの方法で連結してもよ
い。
【0087】
【発明の効果】請求項1記載のトンネル補修用のコンク
リート板によれば、耐食性の網体をトンネルの内面に略
沿って湾曲する内面側の表面近傍に位置して形成するた
め、網体により高強度で大型形成できるとともに、耐食
性の網体を外面側の表面近傍に位置させるため、長期使
用しても網体が腐食することなく表面から網体までのか
ぶりの寸法が小さくなって厚さ寸法を小さくでき、トン
ネルの内空断面積の減少を抑制でき、建築限界の比較的
小さいトンネルでも短期間で容易に補修できる。
【0088】請求項2記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板によれば、耐食性の網体をトンネルの内面に略沿
って湾曲する内面側およびトンネルの内面に対向する外
面側の表面近傍に位置して形成するため、網体により高
強度で大型形成できるとともに、長期使用しても網体が
腐食することなく表面から網体までのかぶりの寸法が小
さくなって厚さ寸法を小さくでき、トンネルの内空断面
積の減少を抑制でき、建築限界の比較的小さいトンネル
でも短期間で容易に補修できる。
【0089】請求項3記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板によれば、請求項2記載のトンネル補修用のコン
クリート板の効果に加え、一対の網体を互いに所定間隔
で連結部材により連結するため、外部から大きな応力が
掛かっても、網体が表面側に位置するコンクリートを突
き破って表面から突出して損傷することを確実に防止で
きる。
【0090】請求項4記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板によれば、請求項1ないし3いずれか一記載のト
ンネル補修用のコンクリート板の効果に加え、網体とと
もに鉄筋棒を設けて形成するため、大きな強度を得るこ
とができるとともに大型形成できる。
【0091】請求項5記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板によれば、請求項4記載のトンネル補修用のコン
クリート板の効果に加え、鉄筋棒を結合部材にて網体に
連結するため、外部から大きな応力が掛かっても、網体
が表面側に位置するコンクリートを突き破って表面から
突出して損傷することを確実に防止できる。
【0092】請求項6記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板によれば、請求項1ないし5いずれか一記載のト
ンネル補修用のコンクリート板の効果に加え、網体を最
外部が表面から5mm以内に位置して設けるため、耐食
性の網体を表面近傍に位置させて表面から網体までのか
ぶりの寸法を小さくして厚さ寸法を小さくでき、トンネ
ルの内空断面積の減少を抑制でき、建築限界の比較的小
さいトンネルでも短期間で容易に補修できる。
【0093】請求項7記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板によれば、請求項1ないし6いずれか一記載のト
ンネル補修用のコンクリート板の効果に加え、トンネル
の円弧方向に対して交差する端面を、平面がトンネルの
軸方向に対して交差して形成するため、例えば一旦トン
ネルの内面に取り付けた後に、トンネルの円弧方向に対
して交差する端面に別体の端面を当接して擦り合うよう
にトンネルの軸方向に移動させてトンネルの円弧方向に
隣接して取り付け可能となり、端面を対向するように競
り合わせて取り付けることができない建築限界が比較的
小さいトンネルでも容易に取り付けでき、汎用性を向上
できる。
【0094】請求項8記載のトンネル補修方法によれ
ば、トンネルの内面を覆って取り付けた請求項7記載の
トンネル補修用のコンクリート板のトンネルの円弧方向
に対して交差する端面に、別体の請求項7記載のトンネ
ル補修用のコンクリート板のトンネルの円弧方向に対し
て交差する端面を当接して擦り合うようにトンネルの軸
方向に移動し、トンネルの円弧方向に沿って直列状に位
置させて連結するため、端面を対向するように競り合わ
せて取り付けることができない建築限界が比較的小さい
トンネルでも容易に取り付けでき、汎用性を向上でき
る。
【0095】請求項9記載のトンネル補修方法によれ
ば、高強度および大型形成でき厚さ寸法が小さい請求項
1ないし7いずれか一記載のトンネル補修用のコンクリ
ート板を、トンネルの円弧方向に対応してあらかじめ円
弧状に複数連結した後に、対向する端部間を対向方向に
曲率半径を小さく弾性変形し、トンネル内の所定の位置
に移動し弾性変形を解除してトンネル内に取り付けるた
め、トンネル内に組み付けするための空間を確保できな
い場合でも取り付けでき、汎用性を向上できるととも
に、トンネル内にて組み付ける工期を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すトンネルを補修する
補修構造体の斜視図である。
【図2】同上補修した既設トンネルを示す一部を切り欠
いた斜視図である。
【図3】同上トンネル補修用のコンクリート板を示す幅
方向に沿った断面図である。
【図4】同上コンクリート板を示す長手方向の端部近傍
における長手方向に沿った断面図である。
【図5】同上コンクリート板を示す長手方向の端部近傍
の一部を切り欠いた平面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態を示すトンネル補修用
のコンクリート板の幅方向に沿った断面図である。
【図7】同上コンクリート板を示す長手方向の端部近傍
における長手方向に沿った断面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施の形態を示すトンネル
補修用のコンクリート板の幅方向に沿った断面図であ
る。
【図9】同上コンクリート板を示す長手方向の端部近傍
における長手方向に沿った断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態を示すトンネ
ル補修方法のコンクリート板を連結した状況の説明図で
ある。
【図11】同上トンネル補修方法の連結したコンクリー
ト板を弾性変形して既設トンネル内に挿入する状況を示
す説明図である。
【図12】本発明のさらに他の実施の形態を示すコンク
リート板を連結する状況を示す説明図である。
【図13】同上連結した状態を示す説明図である。
【図14】同上雄連結部を設けたコンクリート板を示す
一部を切り欠いた平面図である。
【図15】同上端面図である。
【図16】同上側面図である。
【図17】同上雌連結部を設けたコンクリート板を示す
一部を切り欠いた平面図である。
【図18】同上端面図である。
【図19】同上側面図である。
【図20】同上補修した既設トンネルを示す一部を切り
欠いた斜視図である。
【図21】本発明のさらに他の実施の形態を示すトンネ
ルを補修する補修構造体の斜視図である。
【図22】同上補修した既設トンネルを示す一部を切り
欠いた斜視図である。
【符号の説明】
5 トンネルである既設トンネル 6,65 トンネル補修用のコンクリート板 10 鉄筋棒 12 網体 15 結合部材 41 連結部材

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トンネルの内面に略沿って湾曲した平板
    状で、耐食性材料にて網目シート状に形成された網体が
    少なくとも湾曲する内面側の表面近傍に位置して形成さ
    れたことを特徴としたトンネル補修用のコンクリート
    板。
  2. 【請求項2】 トンネルの内面に略沿って湾曲した平板
    状で、耐食性材料にて網目シート状に形成された網体が
    湾曲する内面側および前記トンネルの内面に対向する外
    面側の表面近傍にそれぞれ一対位置して形成されたこと
    を特徴としたトンネル補修用のコンクリート板。
  3. 【請求項3】 一対の網体を互いに所定間隔で連結する
    連結部材を具備したことを特徴とした請求項2記載のト
    ンネル補修用のコンクリート板。
  4. 【請求項4】 鉄筋棒を具備したことを特徴とした請求
    項1ないし3いずれか一記載のトンネル補修用のコンク
    リート板。
  5. 【請求項5】 鉄筋棒を網体に連結する結合部材を具備
    したことを特徴とした請求項4記載のトンネル補修用の
    コンクリート板。
  6. 【請求項6】 網体は、最外部が表面から5mm以内に
    位置して設けられたことを特徴とした請求項1ないし5
    いずれか一記載のトンネル補修用のコンクリート板。
  7. 【請求項7】 トンネルの円弧方向に対して交差する端
    面は、平面が前記トンネルの軸方向に対して交差して形
    成されたことを特徴とした請求項1ないし6いずれか一
    記載のトンネル補修用のコンクリート板。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のトンネル補修用のコンク
    リート板をトンネルの内面を覆って取り付け、 このトンネルの内面を覆って取り付けた前記コンクリー
    ト板の円弧方向に対して交差する端面に、前記コンクリ
    ート板と別体の請求項7記載のトンネル補修用のコンク
    リート板の円弧方向に対して交差する端面を当接しつつ
    前記トンネルの内面を覆う状態で前記トンネルの軸方向
    に移動し、前記トンネルの円弧方向に沿って直列状に位
    置する状態で連結することを特徴とするトンネル補修方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし7いずれか一記載のトン
    ネル補修用のコンクリート板を、トンネルの円弧方向に
    対応してあらかじめ円弧状に複数連結し、 これら円弧状に連結した複数のコンクリート板の対向す
    る端部間を対向方向に弾性変形して曲率半径を小さく
    し、 この弾性変形した状態で前記トンネル内の所定の位置に
    移動した後に弾性変形を解除して前記トンネル内に取り
    付けることを特徴とするトンネル補修方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007501345A (ja) * 2003-08-06 2007-01-25 ジャイロ・ジャール−マルク アーチ形要素を連結する連結装置、およびこれにより製造されるアーチ形構造
CN109184759A (zh) * 2018-10-24 2019-01-11 梅茜 一种矿山隧道支护装置

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