JP2001225190A - 溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

溶接用フラックス入りワイヤ

Info

Publication number
JP2001225190A
JP2001225190A JP2000041894A JP2000041894A JP2001225190A JP 2001225190 A JP2001225190 A JP 2001225190A JP 2000041894 A JP2000041894 A JP 2000041894A JP 2000041894 A JP2000041894 A JP 2000041894A JP 2001225190 A JP2001225190 A JP 2001225190A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flux
welding
oil
amount
wire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000041894A
Other languages
English (en)
Inventor
Norihiro Asai
法廣 浅井
Hiroyuki Shimizu
弘之 清水
Setsu Nishizawa
節 西澤
Miyoshi Nishida
美佳 西田
Kazumi Yanagisawa
佳寿美 柳澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2000041894A priority Critical patent/JP2001225190A/ja
Publication of JP2001225190A publication Critical patent/JP2001225190A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nonmetallic Welding Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接材料の耐吸湿性を向上させ、溶接金属中
の拡散性水素を低減することができる溶接用フラックス
入りワイヤを提供する。 【解決手段】 鋼製外皮にフラックスを充填してなる溶
接用フラックス入りワイヤにおいて、前記フラックス粒
子の表面に、鉱油、合成油、油脂、フッ素油、鎖式化合
物、環式化合物、有機酸、アルコール、フェノール、エ
ーテル、エステル、アルデヒド、アミン及びケトンから
なる群から選択された少なくとも1種の有機物が付着し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラックス粒子の
表面に極性分子が付着しにくい溶接用フラックス入りワ
イヤに関し、特に、フラックス粒子の表面に水分子が付
着しにくい溶接用フラックス入りワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶接材料の吸湿により溶接金属内
に水素原子が取り込まれ、溶接部の水素脆性を引き起こ
すという問題が生じていた。そこで、溶接材料の難吸湿
化を図るために、溶接用フラックス入りワイヤとして、
シームレス構造のワイヤが実用化されている。しかし、
シームレス構造のものは、製造コストが高くなるという
問題点がある。
【0003】この問題点を解決するために、外皮にオー
ステナイト系ステンレス鋼を使用し、フラックス内にフ
ッ素ガス又は炭酸ガス発生原料からなるガス発生剤を含
有したシームを有する構造の溶接用フラックス入りワイ
ヤが提案されている(特開平6−155080号公
報)。
【0004】しかし、特開平6−155080号公報に
記載された溶接用フラックス入りワイヤは、溶接材料自
体の吸湿を防いでいるわけではなく、溶接時の気孔欠陥
の発生を防止するために、溶接時にフッ素ガス又は炭酸
ガスを発生させているだけなので、雰囲気の湿度が高い
場合には、フラックスが吸湿してしまい、気孔欠陥の発
生を防止する効果が薄まる虞がある。
【0005】一方、シームを有する構造の溶接用フラッ
クス入りワイヤにおいて、フラックスの流動性を改善す
るために帯鋼製のフープ内に成形及び製線する過程の中
で充填するフラックスに粒子表面被覆用シリコーンオイ
ルを含有させた溶接用フラックス入りワイヤが提案され
ている(特開昭61−216892号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
61−216892号公報に記載の溶接用フラックス入
りワイヤでは、シリコーンオイルの潤滑作用を利用して
フラックスの流動性を改善しているが、耐吸湿性につい
ては何ら言及されていない。
【0007】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、溶接材料の耐吸湿性を向上させ、溶接金属
中の拡散性水素を低減することができる溶接用フラック
ス入りワイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溶接用フラ
ックス入りワイヤは、鋼製外皮にフラックスを充填して
なる溶接用フラックス入りワイヤにおいて、前記フラッ
クス粒子の表面に、鉱油、合成油、油脂、フッ素油、鎖
式化合物、環式化合物、有機酸、アルコール、フェノー
ル、エーテル、エステル、アルデヒド、アミン及びケト
ンからなる群から選択された少なくとも1種の有機物が
付着していることを特徴とする。
【0009】本発明においては、フラックス原料の粒子
表面に所定の有機物を付着させるので、フラックスを難
吸湿化することができる。このように、有機物によりフ
ラックスを難吸湿化することにより、溶接金属中の拡散
性水素を低減することができ、溶接部の水素脆化を防止
することができる。
【0010】また、本発明においては、例えばフラック
スの混合時に、所定量の有機物をフラックスと共に、ミ
キサの中へ投入しミキシングすると、フラックスの粒子
表面に有機物が付着するか、又は有機物により被覆(以
下、コーティングともいう)されフラックスを難吸湿化
することができる。このフラックスを使用して製造した
溶接用フラックス入りワイヤは吸湿量低減に対して効果
がある。また、有機物によるコーティングを全てのフラ
ックスに対してする必要はなく、吸湿しやすい特定の原
料、例えばMg、Mg合金及びフッ化物等にのみコーテ
ィングすればよい。更に、コーティングのコストを考え
れば、微量添加されるフラックスのみにコーティングし
てもよい。このようなフラックスと他の原料とを混合し
たフラックスを使用して製造したフラックス入りワイヤ
であっても吸湿量を低減する効果がある。これは、表面
被覆用有機物がフラックス混合工程又は伸線工程中に、
Mg、Mg合金又はフッ化物から、他のフラックス原料
の粒子表面に再付着し難吸湿効果がある有機物皮膜が形
成されることによるものである。
【0011】更に、本発明においては、フラックスを外
皮用帯鋼フープ上に供給する時点の前若しくは後にU字
状に加工されたフープ内に直接有機物を滴下するか、又
はフープ内面に予め有機物を塗布することにより、伸線
工程中の熱及び圧力等を利用してフラックスの表面に有
機物を付着させてもよい。これによってもフラックスは
難吸湿化される。
【0012】本発明においては、前記フラックス全質量
に対して、前記有機物を10乃至5000質量ppm含
有することが好ましい。
【0013】また、本発明においては、前記フラックス
は、フラックス全質量に対して、Mg又はMg合金をM
g換算で0.01乃至20質量%含有することが好まし
い。
【0014】更に、本発明においては、前記フラックス
は、フラックス全質量に対して、フッ素化合物をF換算
で0.01乃至20質量%含有することが好ましい。
【0015】本願発明者等は本発明の課題を解決するた
めに鋭意実験研究を重ねた結果、フラックス入りワイヤ
内のフラックスの粒子表面に極微量の有機物を付着する
か、又は粒子表面が極微量の有機物により覆われている
と、このフラックスはあたかも湿気を吸ったような状態
になり、フラックスの流動性が若干悪くなるが、溶接材
料を難吸湿化できることを見出した。
【0016】図1は縦軸にワイヤ水分量をとり、横軸に
吸湿時間をとって有機物コーティングによるワイヤの難
吸湿化を示すグラフ図である。なお、図1において、●
は従来ワイヤを示し、▲は本発明ワイヤを示す。従来の
ワイヤは下記表4に示す比較例No.33のワイヤであ
り、本発明のワイヤは同じく下記表4に示す実施例No.
3のワイヤである。
【0017】本発明ワイヤにおいては、フラックスの粒
子表面に有機物がコーティングされているので、吸湿時
間の増加に伴いワイヤ水分量は増加するものの、ワイヤ
水分量が約250質量ppm以上にはならなかった。一
方、従来ワイヤでは、フラックスの粒子表面に有機物が
コーティングされていないので、ワイヤ水分量が吸湿時
間と共に増加し、ワイヤ水分量が本発明ワイヤの約2.
5倍である約700質量ppmなった。しかし、ワイヤ
水分量は吸湿時間が経ってもこれ以上にはならなかっ
た。
【0018】難吸湿化の目的は、溶融金属中の拡散性水
素を低減することである。従来、有機物はそれ自身に水
素原子を保有しており、溶接金属中の拡散性水素の低減
に対して、悪影響を及ぼすことが知られている。しか
し、上述の如く、多量に存在すれば、悪影響を及ぼす有
機物でも、極微量をフラックス表面にコーティングし、
通常、十数層にわたって付着する水分子の吸着を防ぎ、
フラックス表面上の有機物由来及び水分子由来のトータ
ルの水素原子量を低減することができる。即ち、それ自
身が水素源になってしまう有機物でも、フラックスの表
面に極微量存在させれば、吸着水分子を低減することが
でき、有機物由来及び水分子由来のトータルでの水素原
子数を少なくすることができる。本発明はこのように従
来の高温焼成等による溶接材料の難吸湿化とは全く異な
る機構により吸湿を防止するものである。
【0019】なお、本発明においては、難吸湿化を図り
たい固体表面にどの程度有機物を付着させるかが重要で
ある。本願発明者等が鋭意研究を進めた結果、有機物の
量が10質量ppm以上の有機物をフラックス原料の固
体表面に付着させると、有機物が水分子吸着サイトを覆
うことにより、難吸湿化に効果があることが分かった。
また、最終的に溶接金属の水素脆性を防ぐことが目的で
あるが、有機物が5000質量ppmを超えてフラック
ス原料の固体表面に付着すると、有機物自身の水素原子
量が吸着水由来の水素原子量よりも多くなってしまう。
このため、最終的に溶接金属の水素脆性を防ぐという目
的の達成が困難になる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。溶接用フラックス入りワイヤのフラックスの表面
を極微量の有機物で覆う具体的な方法を以下に述べる。
【0021】フラックス原料を予め乾燥させ、更に、M
g、Mg合金及びフッ素化合物を夫々ミキサにより、表
面被覆用有機物と共に混合し、有機物でフラックス原
料、Mg、Mg合金及びフッ素化合物をコーティングす
る。また、Mg、Mg合金及びフッ素化合物は配合割合
が少ないにも拘らず、ワイヤ全体の吸湿に及ぼす影響は
大きく、Mg、Mg合金及びフッ素化合物を重点的にコ
ーティングすると難吸湿化の効果が高くなる。しかしな
がら、フラックス原料の混合時に、全てのフラックスの
原料粒子の表面に極微量の有機物を噴霧し混練すること
により有機物を付着させても、コーティングしていない
ものと比較すると難吸湿化の効果がある。
【0022】更に、フラックスを外皮用帯鋼フープ上に
供給する時点の前若しくは後にU字状に加工されたフー
プ内に直接有機物を滴下するか、又はフープ内面に予め
有機物を塗布してもフラックスの粒子を有機物によりコ
ーティングすることができる。このようにして製造した
フラックスも難吸湿化される。
【0023】以下、本発明におけるフラックスの成分添
加理由及び数値限定理由について説明する。
【0024】有機物:鉱油、合成油、油脂、フッ素油、
鎖式化合物、環式化合物、有機酸、アルコール、フェノ
ール、エーテル、エステル、アルデヒド、アミン及びケ
トンからなる群から選択された少なくとも1種 有機物は、鉱油、合成油、油脂、フッ素油、鎖式化合
物、環式化合物、有機酸、アルコール、フェノール、エ
ーテル、エステル、アルデヒド、アミン及びケトンから
なる群から選択された少なくとも1種のことである。こ
れらの有機物のうち、少なくとも1種の有機物がフラッ
クス粒子の表面に付着していればよい。
【0025】鉱油とは、天然に産出する石油を精製する
ことにより得られる油のことであり、鉱油としては、例
えばナフサ、ガソリン、灯油、軽油、重油及びアスファ
ルト等が挙げられる。合成油とは、化学的合成により得
られる油のことである。油脂とは、高級脂肪酸のグリセ
リンエステルのことであり、油脂としては、例えばヘッ
ト、ラード、羊脂、魚油、肝油、オリーブ油、あまに
油、きり油、ヤシ油及びパーム油等が挙げられる。フッ
素油とは、フッ素を含むオレフィンの重合により得られ
る合成油のことである。
【0026】鎖式化合物とは、構造式中に線状の原子配
列で表される有機物のことであり、鎖式化合物として
は、例えばオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ド
デカン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オ
クタデカン及びエイコサン等が挙げられる。なお、この
線状の原子配列で表される有機物は枝分かれしていても
よい。
【0027】環式化合物とは、構造式中に環状の原子配
列が含まれる有機化合物のことであり、環式化合物とし
ては、例えばベンゼン、ナフタレン、トルエン及びキシ
レン等が挙げられる。
【0028】有機酸とは、炭化水素の水素原子の一部を
酸性基で置き換えたものであり、有機酸としては、例え
ば吉草酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
アクリル酸、オレイン酸、コハク酸、アジピン酸、マレ
イン酸及び安息香酸等が挙げられる。
【0029】アルコールとは、鎖式又は環式の炭化水素
の水素原子を水酸基で置換したものであり、アルコール
としては、例えばブタノール、ヘキサノール、オクタノ
ール及びベンジルアルコール等が挙げられる。
【0030】フェノールとは、芳香族炭化水素核の水素
原子を水酸基で置換した芳香族ヒドロキシ化合物のこと
であり、フェノールとしては、例えばクレゾール及びナ
フトール等が挙げられる。
【0031】エーテルとは、酸素原子に2個の炭化水素
基が結合した有機化合物のことであり、エーテルとして
は、例えばメチルエーテル及びエチルエーテル等が挙げ
られる。
【0032】エステルとは、酸とアルコールとから水を
分離して生成する化合物のことである。
【0033】アルデヒドとは、カルボニル基に水素原子
を少なくとも1個もつオキソ化合物のことであり、アル
デヒドとしては、例えばアセトアルデヒド及びベンジル
アルデヒド等が挙げられる。
【0034】アミンとは、アンモニアの水素原子を炭化
水素基で置換した化合物のことであり、アミンとして
は、例えばアニリン及びピリジン等が挙げられる。
【0035】ケトンとは、カルボニル基が2個の炭化水
素基と結合しているオキソ化合物のことであり、ケトン
としては、例えばピコナリン、アセトフェノン及びシク
ロヘキサンノン等が挙げられる。
【0036】有機物:10乃至5000質量ppm 有機物の量が10質量ppm未満の場合、有機物がフラ
ックス原料の固体表面の水分子吸着サイトを十分に覆う
ことができず、難吸湿化効果が不十分である。一方、有
機物の量が5000質量ppmを超える場合、有機物由
来の水素原子が多くなりすぎて、溶接部の水素脆性を防
ぐ効果がなくなってしまう。従って、有機物の量は10
乃至5000質量ppmとすることが好ましい。
【0037】Mg又はMg合金:Mg換算で0.01乃
至20質量% 吸湿量が多いMg又はMg合金の含有量がMg換算で
0.01質量%未満の場合、有機物によって発揮される
難吸湿効果が低い。一方、Mg又はMg合金の含有量が
Mg換算で20質量%を超える場合、溶鋼の粘性が低く
なり、ビードが垂れやすく、溶接作業性が悪化する。従
って、Mg又はMg合金の含有量はMg換算で0.01
乃至20質量%であることが好ましい。
【0038】フッ素化合物:F換算で0.01乃至20
質量% 吸湿量が多いフッ素化合物の含有量がF換算で0.01
質量%未満の場合、有機物によって発揮される難吸湿効
果が低い。一方、フッ素化合物の含有量がF換算で20
質量%を超える場合、溶接時に発生するスパッタが多く
なり、溶接作業性が悪化する。従って、フッ素化合物の
含有量はF換算で0.01乃至20質量%であることが
好ましい。フッ素化合物には、K2SiF6、K2Ti
6、Na3AlF6及びNaF等のフッ素を含む化合物
がある。
【0039】次に、各パラメータの測定方法について説
明する。先ず、有機物の測定方法について説明する。但
し、フッ素油とこのフッ素油以外の有機物とでは測定方
法が異なり、別々に説明する。
【0040】以下、フッ素油以外の有機物量の測定方法
について説明する。
【0041】先ず、溶接用フラックス入りワイヤのシー
ム部を開くことにより、ワイヤ内のフラックスを取り出
し、3g程度サンプリングする。
【0042】フラックスを60℃の温度で1時間真空脱
気することにより、フラックス表面に付着している水分
子を脱離させた後、JIS K0113−90に規定さ
れているK.F.(カールフィッシャー)水分測定法に
より、O2雰囲気及びAr雰囲気において、温度750
℃の抽出の電量法を使用して水分を測定する。ここで、
(O2雰囲気での水分量)−(Ar雰囲気での水分量)
は、有機物由来の水素原子が酸化されてH2Oになり、
検出されたものである。
【0043】本発明においては、((O2雰囲気での水
分量)−(Ar雰囲気での水分量))に2/18を乗じ
て、水素原子含有量を計算し、これを10倍して有機物
量を下記数式1のように定義する。これにより、有機物
量を測定する。
【0044】
【数1】(有機物量)=((O2雰囲気での水分量)−
(Ar雰囲気での水分量))×10/9
【0045】次に、フッ素油量の測定方法について説明
する。先ず、ワイヤを10gサンプリングして、このワ
イヤ内からフラックスを取り出し、沸点が110℃以下
であるフロン系溶媒10ミリリットル中に浸し、5分間超音波
洗浄する。次に、洗浄液をメンブレンフィルタ(孔径:
0.2μm)で吸引濾過する。次に、濾過液中にKBr
を0.2g投入し、ドラフト内で室温にて5分間乾燥さ
せ、更に、電気乾燥により110℃の温度で5分間乾燥
させる。次に、KBrを粉砕し、直径13mm、厚さ1
mmのペレット状に加圧成形する。このペレットをPE
RKIN ELMER 1600 フーリエ変換赤外分
光(FT−IR)分析装置を使用して、フッ素油量のピ
ークを測定し、事前に作製したフッ素油量の標準試料の
ピークと比較することにより、フッ素油量を測定する。
【0046】なお、フロン系溶媒を石油エーテルに変更
して同様の分析を行うことにより、フラックス表面にコ
ーティングされている他の有機物の同定及び定量測定を
することができる。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る溶接用フラック
ス入りワイヤの実施例について、その特性を比較例と比
較して具体的に説明する。
【0048】下記表1に示すJIS Z3313 YF
W−C50DRに規定されている溶接用フラックス入り
ワイヤのフラックス原料を2種類使用し、フラックス入
りワイヤを作製した。原料中のMg及びフッ素化合物夫
々に有機物(灯油、フッ素油、その他の有機物)を噴霧
し、V字型ミキサで混合する。Mg及びフッ素化合物に
は有機物を同量噴霧し、それら有機物の合計がフラック
ス全体に対して夫々0乃至50000質量ppm程度に
なるように付着させた。なお、フッ素化合物としては、
氷晶石を使用した。これらのフラックス原料と、下記表
2に示す化学成分を有する板厚が0.9mm、板幅が1
3mmの軟鋼からなるフープとを使用してフラックス率
が15±1質量%であるワイヤ直径が1.2mmの溶接
用フラックス入りワイヤを作製した。
【0049】これらの溶接用フラックス入りワイヤ内に
存在する有機物の含有量(単位:質量ppm)を上述の
有機物量の測定方法により測定した。更に、溶接用フラ
ックス入りワイヤを気温30℃、相対湿度80%の雰囲
気に48時間保持した後、溶接用フラックス入りワイヤ
の吸湿水分量(吸湿後水分割合)を750℃のAr雰囲
気にて、K.F.法により測定した。
【0050】その後、JIS Z3118に規定されて
いる鋼溶接部の水素量測定法に準じて、この溶接用フラ
ックス入りワイヤを使用して下記表3示す溶接条件で溶
接し、溶接部の拡散性水素量(水素試験結果)を測定し
た。表面被覆用有機物として、灯油を使用した場合の結
果を表4に示し、フッ素油を使用した場合の結果を表5
に示し、他の有機物を使用した場合の結果を表6に示
す。なお、表6においては、フラックスとして、表1に
示すフラックスAを使用した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】上記表4に示すように、本願請求項1に係
る発明の範囲に入る実施例No.1乃至11は吸湿後水分
割合が少なく、水素試験結果が良好であり、拡散性水素
量が少なかった。フラックスの種類により本来吸湿量が
異なるので、同一フラックスについて、吸湿量を比較す
る必要があるが、フラックスAを使用した実施例No.1
乃至8は比較例No.32に比して溶接金属中の拡散性水
素量が少なかった。また、フラックスBを使用した実施
例No.9乃至11も比較例No.33に比して溶接金属中の
拡散性水素量が少なかった。
【0058】また、実施例No.2乃至7及び9乃至11
は請求項2も満足するものなので、吸湿後水分割合が更
に少なくなっており、水素試験結果が更に良好であり拡
散性水素量がフラックスの種類によらず極めて少なかっ
た。
【0059】一方、比較例No.32は有機物を含有して
いないので、吸湿後水分割合が多く、水素試験結果も悪
く拡散性水素量が、同じフラックスを使用した実施例N
o.1乃至8に比して多かった。
【0060】比較例No.33は有機物を含有していない
ので、吸湿後水分割合が多く、水素試験結果も悪く拡散
性水素量が、同じフラックスを使用した実施例No.9乃
至11に比して多かった。
【0061】上記表5に示すように、本願請求項1に係
る発明の範囲に入る実施例No.12乃至22は吸湿後水
分割合が少なく、水素試験結果が良好であり、拡散性水
素量が少なかった。同一フラックスについて吸湿量を比
較すると、フラックスAを使用した実施例No.12乃至
19は比較例No.34に比して溶接金属中の拡散性水素
量が少なかった。また、フラックスBを使用した実施例
No.20乃至22も同様に比較例No.35に比して溶接金
属中の拡散性水素量が少なかった。
【0062】また、実施例No.13乃至22は請求項2
も満足するものなので、吸湿後水分割合が更に少なく、
水素試験結果が更に良好であり、拡散性水素量がフラッ
クスの種類によらず更に少なかった。
【0063】一方、比較例No.34は有機物を含有して
いないので、吸湿後水分割合が多く、水素試験結果も悪
く、拡散性水素量が、同じフラックスを使用した実施例
No.12乃至19に比して多かった。
【0064】比較例No.35は有機物を含有していない
ので、吸湿後水分割合が多く、水素試験結果も悪く、拡
散性水素量が、同じフラックスを使用した実施例No.2
0乃至22に比して多かった。
【0065】而して、上記表6に示すように、実施例N
o.23乃至31は請求項2を満足するものであり、本発
明においては、灯油及びフッ素油以外の有機物であって
も、フラックスの表面に有機物を適量コーティングする
ことにより、吸湿後水分割合を更に少なくでき、拡散性
水素量を更に少なくすることができた。
【0066】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、所
定の有機物をフラックスの表面に付着させることによ
り、溶接用フラックス入りワイヤを画期的に難吸湿化す
ることができるので、溶接ワイヤの耐吸湿性が向上し、
溶接金属中の拡散性水素を低減し、溶接部の水素脆性を
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦軸にワイヤ水分量をとり、横軸に吸湿時間を
とって有機物コーティングによるワイヤの難吸湿化を示
すグラフ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西澤 節 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 西田 美佳 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 柳澤 佳寿美 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 4E084 AA33 AA38 CA32 DA09 HA12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼製外皮にフラックスを充填してなる溶
    接用フラックス入りワイヤにおいて、前記フラックス粒
    子の表面に、鉱油、合成油、油脂、フッ素油、鎖式化合
    物、環式化合物、有機酸、アルコール、フェノール、エ
    ーテル、エステル、アルデヒド、アミン及びケトンから
    なる群から選択された少なくとも1種の有機物が付着し
    ていることを特徴とする溶接用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 前記フラックス全質量に対して、前記有
    機物を10乃至5000質量ppm含有することを特徴
    とする請求項1に記載の溶接用フラックス入りワイヤ。
  3. 【請求項3】 前記フラックスは、フラックス全質量に
    対して、Mg又はMg合金をMg換算で0.01乃至2
    0質量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記
    載の溶接用フラックス入りワイヤ。
  4. 【請求項4】 前記フラックスは、フラックス全質量に
    対して、フッ素化合物をF換算で0.01乃至20質量
    %含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    1項に記載の溶接用フラックス入りワイヤ。
JP2000041894A 2000-02-18 2000-02-18 溶接用フラックス入りワイヤ Pending JP2001225190A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000041894A JP2001225190A (ja) 2000-02-18 2000-02-18 溶接用フラックス入りワイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000041894A JP2001225190A (ja) 2000-02-18 2000-02-18 溶接用フラックス入りワイヤ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001225190A true JP2001225190A (ja) 2001-08-21

Family

ID=18565043

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000041894A Pending JP2001225190A (ja) 2000-02-18 2000-02-18 溶接用フラックス入りワイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001225190A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102059482A (zh) * 2010-11-23 2011-05-18 陈宏平 硬脂酸微波反应制备焊条抗吸潮保护膜的方法
JP2015518427A (ja) * 2012-04-17 2015-07-02 ホバート ブラザーズ カンパニー 溶接電極用のシステムおよび方法
KR101844465B1 (ko) 2016-01-12 2018-04-02 영남대학교 산학협력단 용접 로드

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5230736A (en) * 1975-09-04 1977-03-08 Kobe Steel Ltd Welding flux
JPS5259041A (en) * 1975-11-10 1977-05-16 Mitsubishi Heavy Ind Ltd Welding and dissolving flux
JPS5371652A (en) * 1976-12-08 1978-06-26 Kobe Steel Ltd Consumable electrode containing flux for welding and its preparation
JPS61216892A (ja) * 1985-03-20 1986-09-26 Kawasaki Steel Corp フラツクスコアドワイヤ用フラツクス
JPH03184696A (ja) * 1989-12-12 1991-08-12 Kawasaki Steel Corp アーク安定性に優れたフラックス入りワイヤ
JPH03221297A (ja) * 1990-01-26 1991-09-30 Nippon Steel Corp アーク溶接用金属粉系フラックス入りワイヤ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5230736A (en) * 1975-09-04 1977-03-08 Kobe Steel Ltd Welding flux
JPS5259041A (en) * 1975-11-10 1977-05-16 Mitsubishi Heavy Ind Ltd Welding and dissolving flux
JPS5371652A (en) * 1976-12-08 1978-06-26 Kobe Steel Ltd Consumable electrode containing flux for welding and its preparation
JPS61216892A (ja) * 1985-03-20 1986-09-26 Kawasaki Steel Corp フラツクスコアドワイヤ用フラツクス
JPH03184696A (ja) * 1989-12-12 1991-08-12 Kawasaki Steel Corp アーク安定性に優れたフラックス入りワイヤ
JPH03221297A (ja) * 1990-01-26 1991-09-30 Nippon Steel Corp アーク溶接用金属粉系フラックス入りワイヤ

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102059482A (zh) * 2010-11-23 2011-05-18 陈宏平 硬脂酸微波反应制备焊条抗吸潮保护膜的方法
JP2015518427A (ja) * 2012-04-17 2015-07-02 ホバート ブラザーズ カンパニー 溶接電極用のシステムおよび方法
KR101844465B1 (ko) 2016-01-12 2018-04-02 영남대학교 산학협력단 용접 로드

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0916444B1 (en) Wire for welding
EP2977139B1 (en) Welding filler material for bonding different kind materials, and method for producing different kind material welded structure
WO2011152341A1 (ja) 溶接用銅めっきソリッドワイヤ
JP2001225190A (ja) 溶接用フラックス入りワイヤ
JP6954788B2 (ja) ガス導管用ポリエチレン被覆鋼管及びガス導管用ポリエチレン被覆鋼管の製造方法
JP2005089780A (ja) 成形性及び溶接性に優れる潤滑表面処理金属基材
Kong et al. Measurement and analysis of the diffusible hydrogen in underwater wet welding joint
KR102272173B1 (ko) 플럭스 내포 와이어의 제조 방법, 플럭스 내포 와이어 및 용접 이음의 제조 방법
JP3576438B2 (ja) 溶接用フラックス入りワイヤ
CN102601546A (zh) 不锈钢药芯焊丝
Paparazzo Surface and interface analysis of a Roman lead pipe “fistula”: microchemistry of the soldering at the join, as seen by scanning Auger microscopy and X-ray photoelectron spectroscopy
CN114074234A (zh) 一种高温组织稳定的耐蚀复型合金材料及其制备方法
KR102617585B1 (ko) 유동성 브레이징 조성물 및 이를 사용하여 금속 물품들을 함께 브레이징하는 방법
CN104822488A (zh) 焊剂组合物
JP2008094879A (ja) 軽油組成物
Patchett et al. Hydrocarbon contamination and diffusible hydrogen levels in shielded metal arc weld deposits
EP1663568A1 (de) Lötwerkstück, lötverfahren und wärmetauscher
JP2022121317A (ja) ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ
Pinto et al. Investigations on the oxidation of Zn-coated steel cables
Deb et al. An investigation on corrosion behaviour and mechanical properties of aluminium in diesel palm kernel biodiesel and ethanol environments
Jin et al. Characterization of iron oxide scale formed in naphthenic acid corrosion
JP3426846B2 (ja) 金属表面の硫化物腐食割れ及び水素誘起割れの防止剤並びに金属表面の硫化物腐食割れ及び水素誘起割れの防止方法
JP3305569B2 (ja) 溶接ワイヤ用潤滑油及び溶接ワイヤ用複合潤滑油
Mitchinson et al. Investigation into the formation of copper sulphide in oil filled electrical equipment
Takehisa et al. Galvanic corrosion related to steel/aluminum dissimilar joining tailored blank

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061211

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091201

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101102

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101216

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110111