JP2001220535A - 水性被覆剤組成物 - Google Patents

水性被覆剤組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐久性に優れた皮膜を形成することができる水
性被覆剤組成物を提供する。 【解決手段】(A)(a)ポリイソシアネート化合物、
(b)アクリルポリオール5〜60重量%とダイマージオ
ール1〜40重量%を含有するポリオール、(c)アニオ
ン性親水基と2個以上の活性水素を有する化合物及び
(d)鎖伸長剤から得られるプレポリマーの中和物を、
(e)鎖伸長剤により鎖伸長して得られる水性アクリル−
ウレタン共重合物、(B)(f)メタクリル酸アルキルエ
ステル単位と(g)アクリル酸アルキルエステル単位を有
するアクリル樹脂の水性エマルジョン及び(C)ポリカ
ルボジイミド系樹脂水性エマルジョンを混合してなる水
性被覆剤組成物であって、不揮発分重量比において(A)
成分4〜98重量%、(B)成分1〜95重量%及び(C)
成分1〜10重量%を含有する水性被覆剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性被覆剤組成物
に関する。さらに詳しくは、本発明は、水性アクリル−
ウレタン共重合物、アクリル樹脂の水性エマルジョン及
びポリカルボジイミド系樹脂水性エマルジョンを含有す
る組成物であって、木材、金属、プラスチック、紙、皮
革、繊維、コンクリートなどの表面に、耐候性、耐水
性、耐アルカリ性などに優れた皮膜を形成することがで
きる水性被覆剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、接着剤、塗料、印刷インキな
どの各種コーティング剤の分野では、有機溶剤系の組成
物が主として用いられてきた。しかし、近年、大気汚染
の問題や、作業環境の改善などの理由から、水を媒体と
する水性組成物に代替されつつある。水性被覆剤組成物
としては、アクリル系共重合体水分散物が、安価で耐候
性、強靭性に優れているために、建築内装、皮革、金
属、木床など幅広い分野で用いられている。近年、品質
の高級化、塗布基材の多様化、新規用途への適用などに
ともない、水性被覆剤組成物に対する要求は高度化して
おり、例えば、土木、建築分野では、外壁、屋根、構築
物などのコンクリート塗装分野などで、より厳しい耐久
性能が要求されている。しかし、アクリル樹脂単独で
は、硬さと柔らかさの両立が難しく、柔らかいものは、
概して耐水性、耐アルカリ性などに劣り、硬いものは造
膜性、耐クラック性に劣るために、他の水性樹脂による
改質が必要とされている。また、水性ポリウレタン塗料
は、皮膜の弾性、光沢、耐摩耗性に優れるために、主と
して木工製品や床材の被覆剤として使用されている。し
かし、水性ポリウレタン塗料の皮膜は、耐水性、耐久
性、耐溶剤性でより向上が求められている。このような
欠点を改善するために、アクリル樹脂の水性エマルジョ
ンと水性ウレタン樹脂を、ブレンド、複合化、あるいは
共重合化することにより、ウレタン樹脂の有利な性質と
アクリル樹脂の有利な性質を併せ持つ、より耐久性に優
れた様々な水性樹脂が開発されている。例えば、特開昭
59−138211号公報には、皮膜性能の特に優れた
水系ポリウレタンアクリル樹脂の製造方法として、分子
量200〜4,000のポリオールに有機ジイソシアネ
ートを反応して得られるプレポリマーをウレタン用鎖伸
長剤で架橋したポリウレタンの重合性エチレン系不飽和
化合物の溶液を水分散状態にした後、乳化重合させる方
法が提案されている。この方法によれば、得られる皮膜
は、透明性と硬度には優れているが、耐水性、耐アルカ
リ性、耐候性が悪く、厳しい使用条件には適用すること
ができない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アクリルと
ウレタンの幅広い混合率の中で、相溶性、耐候性、耐水
性、耐アルカリ性、耐溶剤性などが良好で、木材、金
属、プラスチック、紙、皮革、繊維、コンクリートなど
の表面に、耐久性に優れた皮膜を形成することができ、
外壁塗料、中でも特に厳しい条件が要求されるコンクリ
ート塗装にも十分耐えうる水性被覆剤組成物を提供する
ことを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)特定の成
分から得られたイソシアネート基末端プレポリマーの中
和物を、水中で鎖伸長して得られる水性アクリル−ウレ
タン共重合物、(B)特定の単量体単位を有するアクリ
ル樹脂の水性エマルジョン及び(C)ポリカルボジイミ
ド系樹脂水性エマルジョンを特定の割合で配合した水性
被覆剤組成物から形成される皮膜は、優れた耐水性、耐
アルカリ性、耐候性を有することを見出し、この知見に
基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、(1)(A)(a)有機ポリイソシアネート化合物、
(b)高分子量ポリオール、(c)アニオン性親水基と2個
以上の活性水素を有する化合物及び場合により用いられ
る(d)鎖伸長剤から得られるイソシアネート基末端プレ
ポリマーの中和物を、(e)水溶性ポリアミン、ヒドラジ
ン及びこれらの誘導体から選ばれる1種以上の鎖伸長剤
を用いて水中で鎖伸長して得られる水性アクリル−ウレ
タン共重合物において、(b)高分子量ポリオールが、ガ
ラス転移温度−50〜100℃、ヒドロキシル価5〜2
00mgKOH/gのアクリルポリオール5〜60重量%及
びダイマージオール1〜40重量%を含有する水性アク
リル−ウレタン共重合物、(B)(f)アルキル基の炭素数
が1〜12であるメタクリル酸アルキルエステル単位と
(g)アルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アル
キルエステル単位を有するアクリル樹脂の水性エマルジ
ョン、及び、(C)ポリカルボジイミド系樹脂水性エマル
ジョン、を混合してなる水性被覆剤組成物であって、
(A)成分、(B)成分及び(C)成分を、不揮発分重量比に
おいて(A)4〜98重量%、(B)1〜95重量%及び
(C)1〜10重量%の割合で含有することを特徴とする
水性被覆剤組成物、(2)(a)有機ポリイソシアネート
化合物が、脂肪族ジイソシアネート化合物及び脂環式ジ
イソシアネート化合物の中から選ばれた少なくとも1種
である第1項記載の水性被覆剤組成物、(3)(b)高分
子量ポリオールが、アクリルポリオール及びダイマージ
オールに加えて、ポリエステルポリオール、ポリカーボ
ネートポリオール又はポリエーテルポリオールを含有す
る第1項記載の水性被覆剤組成物、(4)(c)アニオン
性親水基と2個以上の活性水素を有する化合物のアニオ
ン性親水性基が、カルボキシル基であり、カルボキシル
基の含有量が、アクリル−ウレタン共重合物の0.3〜
2.5重量%である第1項記載の水性被覆剤組成物、及
び、(5)(B)成分の水性エマルジョンのアクリル樹脂
が、(h)カルボキシル基を有する単量体単位2.5重量
%以下を有する第1項記載の水性被覆剤組成物、を提供
するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の水性被覆剤組成物は、
(A)水性アクリル−ウレタン共重合物、(B)アクリル樹
脂の水性エマルジョン及び(C)ポリカルボジイミド系樹
脂水性エマルジョンを混合してなる組成物である。本発
明の水性被覆剤組成物に用いる(A)水性アクリル−ウレ
タン共重合物は、(a)有機ポリイソシアネート化合物、
(b)高分子量ポリオール、(c)アニオン性親水基と2個
以上の活性水素を有する化合物及び場合により用いられ
る(d)鎖伸長剤から得られるイソシアネート基末端プレ
ポリマーの中和物を、(e)水溶性ポリアミン、ヒドラジ
ン又はこれらの誘導体から選ばれる1種以上の鎖伸長剤
を用いて水中で鎖伸長して得られる水性アクリル−ウレ
タン共重合物において、(b)高分子量ポリオールが、ガ
ラス転移温度−50〜100℃、ヒドロキシル価5〜2
00mgKOH/gのアクリルポリオール5〜60重量%及
びダイマージオール1〜40重量%を含有する水性アク
リル−ウレタン共重合物である。本発明に用いる(a)有
機ポリイソシアネート化合物に特に制限はなく、例え
ば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキ
サメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネ
ート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリ
レンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソ
シアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環
式ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシア
ネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソ
シアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどを挙げる
ことができる。これらの有機ポリイソシアネート化合物
は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以
上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、
脂肪族ジイソシアネート化合物及び脂環式ジイソシアネ
ート化合物は、無黄変性の皮膜を与えるので、好適に用
いることができ、ヘキサメチレンレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート及びノルボルナンジイ
ソシアネートを特に好適に用いることができる。
【0006】本発明に用いる(b)高分子量ポリオール
は、ガラス転移温度−50〜100℃、ヒドロキシル価
5〜200mgKOH/gのアクリルポリオール5〜60重
量%及びダイマージオール1〜40重量%を含有する。
アクリルポリオールは、エチレン性不飽和基1個とヒド
ロキシル基とを有する単量体から、塊状重合法や、溶液
重合法などにより得られる単独重合体又は共重合体であ
る。エチレン性不飽和基1個とヒドロキシル基とを有す
る単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアク
リレート、3−クロロ−2−ヒドロキシブチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、6−ヒドロ
キシヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、5,6−ジヒ
ドロキシヘキシルメタクリレートなどを挙げることがで
きる。これらの単量体は、1種を単独で用いることがで
き、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもで
きる。エチレン性不飽和基1個とヒドロキシル基とを有
する単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)
アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブ
チル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレ
ート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メ
タ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n
−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メ
タ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、
2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレ
ート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)ア
クリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、
シンナミル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル
(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリ
レート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−
n−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−フェノキ
シエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル
(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエ
チル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル
(メタ)アクリレート、2−ニトロ−2−メチルプロピル
(メタ)アクリレート、テトラピラニル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリル酸などのアクリル系単量体、アクリ
ロニトリル、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロ
リドン、メチルクロトネート、無水マレイン酸、スチレ
ン、α−メチルスチレンなどのエチレン性単量体などを
挙げることができる。なお、(メタ)アクリレートは、ア
クリレート及びメタクリレートを意味し、(メタ)アクリ
ル酸は、アクリル酸及びメタクリル酸を意味する。これ
らの共重合可能な単量体は、1種を単独で用いることが
でき、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることも
できる。アクリルポリオールは、上記の単量体を(b)高
分子量ポリオールのポリエステルポリオール、ポリカー
ボネートポリオール、ポリエーテルポリオールなどの中
で重合することによって得ることもできる。
【0007】本発明において、(b)高分子量ポリオール
に含有されるアクリルポリオールは、ガラス転移温度
(Tg)が−50〜100℃、ヒドロキシル価が5〜2
00mgKOH/gであり、より好ましくは、ガラス転移温
度が−40〜50℃、ヒドロキシル価が30〜70mgKO
H/gである。ガラス転移温度が−50℃未満である
と、皮膜の耐水性や耐アルカリ性が不十分になるおそれ
がある。ガラス転移温度が100℃を超えると、造膜
性、耐クラック性が不十分になるおそれがある。また、
ヒドロキシル価が5mgKOH/g未満であると、アクリル
樹脂とウレタン樹脂の結合点が減少し、共重合体として
の性能が十分に発揮されないおそれがある。ヒドロキシ
ル価が200mgKOH/gを超えると、イソシアネート基
末端プレポリマーの合成時に架橋密度の上昇によるゲル
化が進行し製造が困難になるおそれがある。本発明に用
いるアクリルポリオールは、重量平均分子量が1,00
0〜100,000であることが好ましく、5,000〜
50,000であることがより好ましく、8,000〜3
0,000であることがさらに好ましい。本発明に用い
るダイマージオールは、不飽和脂肪酸を二量化したダイ
マー酸を還元して得られるジオールを主成分とするもの
である。ダイマー酸としては、オレイン酸、リノール
酸、リノレン酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸、乾性
油脂肪酸、半乾性油脂肪酸、これらの脂肪酸の低級アル
コールエステルなどを触媒の存在下又は不存在下にディ
ールズアルダー型の二分子重合反応させたものを挙げる
ことができる。ダイマー酸としては、種々のタイプの化
合物が市販されているが、代表的なものとしては、炭素
数18のモノカルボン酸0〜5重量%、炭素数36のダ
イマー酸70〜98重量%及び炭素数54のトリマー酸
0〜30重量%からなるものがある。
【0008】本発明に用いる(b)高分子量ポリオール
は、上記のアクリルポリオール5〜60重量%、より好
ましくは7〜50重量%、さらに好ましくは10〜30
重量%を含有する。アクリルポリオールの含有量が5重
量%未満であると、アクリル樹脂による有利な性質、例
えば、耐光性、耐候性、高不揮発分、強靭性などの発現
が不十分となるおそれがあり、また(B)アクリル樹脂の
水性エマルジョン組成物との相溶性が低下するおそれが
ある。アクリルポリオールの含有量が60重量%を超え
ると、ウレタン樹脂による有利な性質、例えば、機械抵
抗、耐薬品性、光沢、耐摩耗性、特に弾性の発現が不十
分となるおそれがある。なお、アクリルポリオールの単
量体組成とアクリル樹脂の水性エマルジョンの単量体組
成は、両者の相溶性を良好にするために、可能な限り近
似していることが好ましい。本発明に用いる(b)高分子
量ポリオールは、ダイマージオール1〜40重量%、よ
り好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは5〜2
0重量%を含有する。ダイマージオールの含有量が1重
量%未満であると、ダイマージオール由来の脂肪鎖によ
る、加水分解性抑制効果が起因と考えられる耐水性の発
現が不十分となるおそれがある。ダイマージオールの含
有量が40重量%を超えると、ウレタン樹脂による弾
性、耐摩耗性などの有利な性質の発現が不十分となるお
それがある。本発明においては、(b)高分子量ポリオー
ルが、アクリルポリオール及びダイマージオールに加え
て、その他のポリオールを含有することができる。含有
するその他のポリオールに特に制限はないが、ポリエス
テルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエ
ーテルポリオールを好適に用いることができる。ポリエ
ステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジ
ペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンブチレ
ンアジペート、ポリヘキサメチレンイソフタレートアジ
ペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサク
シネート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバ
ケート、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(3−メチル
−1,5−ペンチレンアジペート)、1,6−ヘキサンジ
オールとダイマー酸の重縮合物などのポリオールを挙げ
ることができる。ポリカーボネートポリオールとして
は、例えば、ポリテトラメチレンカーボネートジオー
ル、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどを挙
げることができる。ポリエーテルポリオールとして、例
えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコールの単独重合体、ブ
ロック共重合体、ランダム共重体などを挙げることがで
きる。また、ポリエーテルポリオールとポリエステルポ
リオールを組み合わせたポリエーテルエステルポリオー
ルを用いることもできる。これらの他のポリオールは、
1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を
組み合わせて用いることもできる。
【0009】本発明に用いる(c)アニオン性親水基と2
個以上の活性水素を有する化合物としては、例えば、
2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロー
ルブタン酸などを挙げることができる。これらの化合物
は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以
上を組み合わせて用いることもできる。本発明におい
て、アニオン性親水基と2個以上の活性水素を有する化
合物のアニオン性親水基は、イソシアネート基末端プレ
ポリマー調製前又は調製後に、トリメチルアミン、トリ
エチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチル
アミン、N−メチル−ジエタノールアミン、N,N−ジ
メチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミンな
どのアミン類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ア
ンモニアなどにより中和する。本発明において、イソシ
アネート基末端プレポリマーの中和物とは、イソシアネ
ート基末端プレポリマーの調製前又は調製後に、(c)ア
ニオン性親水基と2個以上の活性水素を有する化合物の
アニオン性親水基を中和して得られるものである。本発
明の水性被覆剤組成物においては、(c)アニオン性親水
基と2個以上の活性水素を有する化合物のアニオン性親
水基がカルボキシル基であることが好ましく、カルボキ
シル基の含有量は、水性アクリル−ウレタン共重合物の
不揮発分であるアクリル−ウレタン共重合物の0.3〜
2.5重量%であることが好ましく、0.5〜1.5重量
%であることがより好ましい。カルボキシル基の含有量
がアクリル−ウレタン共重合物の0.3重量%未満であ
ると、アクリル−ウレタン共重合物の乳化が困難、ある
いは、乳化安定性が不十分となるおそれがある。カルボ
キシル基の含有量がアクリル−ウレタン共重合物の2.
5重量%を超えると、皮膜の耐水性が低下するおそれが
ある。本発明においては、イソシアネート基末端プレポ
リマーを調整する際に、必要に応じて、(d)鎖伸長剤を
用いることができる。鎖伸長剤としては、例えば、エチ
レングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリス
リトール、ソルビトールなどの低分子量多価アルコー
ル、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメ
チレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペ
ラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの
低分子量ポリアミンなどを挙げることができる。これら
の鎖伸長剤は、1種を単独で用いることができ、あるい
は、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0010】本発明においては、(a)成分、(b)成分、
(c)成分及び必要に応じて(d)成分を用い、末端にイソ
シアネート基を有するプレポリマーを調製する。プレポ
リマーの調製は、例えば、ワンショット法(1段式)又
は多段式のイソシアネート重付加反応法によって、反応
温度40〜150℃の条件下で行うことができる。この
際、必要に応じ、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオ
クトエート、ジブチル錫−2−エチルヘキサノエート、
トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチル
モルホリンなどの反応触媒を添加することができる。ま
た、反応中又は反応終了後に、イソシアネート基と反応
しない有機溶剤を添加することができる。有機溶剤とし
ては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエ
ン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルム
アミド、N−メチルピロリドンなどを挙げることができ
る。次に、得られたイソシアネート基末端プレポリマー
の中和物を水中で鎖伸長させる。プレポリマー中の(c)
アニオン性親水基と2個以上の活性水素を有する化合物
単位のアニオン性親水基が中和されていない場合は、ア
ニオン性親水基を中和したのち、水中に乳化分散させ、
(e)水溶性ポリアミン、ヒドラジン及びこれらの誘導体
から選ばれる1種以上の鎖伸長剤を用いて高分子量化す
る。鎖伸長剤として用いる水溶性ポリアミンとしては、
例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、
ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンな
どを挙げることができる。鎖伸長剤として用いる水溶性
アミンの誘導体としては、例えば、ジ第一級アミン及び
モノカルボン酸から誘導されるアミドアミン、ジ第一級
アミンのモノケチミンなどを挙げることができる。鎖伸
長剤として用いるヒドラジン誘導体としては、例えば、
分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有する化合物
を挙げることができ、炭素数2〜10のジカルボン酸ヒ
ドラジド、炭素数2〜4の脂肪族の水溶性ジヒドラジン
が好ましい。炭素数2〜10のジカルボン酸のジヒドラ
ジドとしては、例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン
酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジ
ヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒ
ドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラ
ジド、イタコン酸ジヒドラジドなどを挙げることができ
る。鎖伸長剤として用いる炭素数2〜4の脂肪族の水溶
性ジヒドラジンとしては、例えば、1,1'−エチレンジ
ヒドラジン、1,1'−トリメチレンジヒドラジン、1,
1'−(1,4−ブチレン)ジヒドラジンなどを挙げること
ができる。これらの鎖伸長剤は、1種を単独で用いるこ
とができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いるこ
ともできる。本発明において、溶剤を用いてイソシアネ
ート基末端プレポリマーを合成した場合には、例えば、
鎖伸長反応を終えたのち、減圧蒸留などにより溶剤を除
去することが好ましい。界面活性剤、例えば、高級脂肪
酸、樹脂酸、酸性脂肪アルコール、硫酸エステル、スル
ホン酸高級アルキル、スルホン酸アルキルアリル、スル
ホン化ひまし油、スルホコハク酸エステルなどのアニオ
ン性界面活性剤、エチレンオキサイドと長鎖脂肪族アル
コール又はフェノール類との反応生成物などのノニオン
性界面活性剤などを併用して、乳化性を保持することも
できる。
【0011】本発明の水性被覆剤組成物に用いる(B)ア
クリル樹脂の水性エマルジョンは、(f)アルキル基の炭
素数1〜12のメタクリル酸アルキルエステル単位と
(g)アルキル基の炭素数1〜8のアクリル酸アルキルエ
ステル単位を有するアクリル樹脂の水性エマルジョンで
ある。メタクリル酸アルキルエステル及びアクリル酸ア
ルキルエステルのアルキル基は、ヒドロキシル基により
置換されたアルキル基であってもよい。アクリル樹脂の
ガラス転移温度は、−50〜70℃であることが好まし
く、−40〜50℃であることがより好ましい。アルキ
ル基の炭素数1〜12のメタクリル酸エステルとして
は、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソプロ
ピルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、2
−ヒドロキシプロピルメタクリレート、n−ブチルメタ
クリレート、イソブチルメタクリレート、2−ヒドロキ
シブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、
シクロヘキシルメタクリレートなどを挙げることができ
る。アルキル基の炭素数1〜12のメタクリル酸アルキ
ルエステルを共重合することにより、皮膜に硬さと強靭
さを付与することができる。アルキル基の炭素数1〜8
のアクリル酸エステルとしては、例えば、エチルアクリ
レート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、n−プロ
ピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシブチルアクリレート、n−アミルア
クリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルア
クリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、2
−エチルブチルアクリレート、シクロペンチルアクリレ
ート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどを挙げ
ることができる。アルキル基の炭素数1〜8のアクリル
酸アルキルエステルを共重合することにより、皮膜に可
とう性と弾力性を付与することができる。
【0012】本発明に用いる(B)水性エマルジョンのア
クリル樹脂は、(h)カルボキシル基を有する単量体単位
を有することができる。カルボキシル基を有する単量体
単位は、アクリル樹脂の全単量体単位の2.5重量%以
下であることが好ましく、0.3〜2.0重量%であるこ
とがより好ましい。カルボキシル基を有する単量体とし
ては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン
酸、フマル酸、マレイン酸などを挙げることができる。
カルボキシル基を有する単量体単位を有することによ
り、アクリル樹脂の水性エマルジョンの重合安定性と顔
料分散性を向上することができる。カルボキシル基を有
する単量体単位が全単量体単位の2.5重量%を超える
と、(C)ポリカルボジイミド系樹脂水性エマルジョンを
混合したとき、凝集物が発生し、あるいは、ゲル化を生
ずるおそれがある。本発明に用いる(B)水性エマルジョ
ンのアクリル樹脂は、その他の共重合可能な単量体単位
を有することができる。共重合可能な単量体としては、
例えば、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、スチレン、酢酸ビニル、α−メチルスチレ
ン、エチレン、塩化ビニルなどを挙げることができる。
これらの共重合可能な単量体単位を有することにより、
最低造膜温度や皮膜の物性などを調整することができ
る。本発明において、(b)高分子量ポリオール中のアク
リル単量体単位と、(B)水性エマルジョンのアクリル樹
脂中のアクリル単量体単位は、同一又は近似であること
が好ましい。両者のアクリル単量体単位を同一又は近似
とすることにより、相溶性を向上し、皮膜の透明性を高
めることができる。
【0013】本発明に用いる(B)アクリル樹脂の水性エ
マルジョンは、乳化重合により製造することができる。
乳化重合の際に用いる乳化剤としては、例えば、ドデシ
ルベンゼン硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、アルキルアリールポリエーテル硫酸塩な
どのアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンラウリルエ
ーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共
重合体などのノニオン性乳化剤、セチルトリメチルアン
モニウムブロミド、ラウリルピリジニウムクロリドなど
のカチオン性乳化剤などを挙げることができる。また、
ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースな
どの水溶性高分子又はこれらの水溶性オリゴマーを乳化
剤と併用することもできる。乳化剤、水溶性オリゴマ
ー、水溶性高分子の合計使用量は、単量体100重量部
に対して0.5〜10重量部であることが好ましい。該
使用量が単量体100重量部に対して0.5重量%未満
であると、乳化重合の安定性と得られるエマルジョンの
安定性が低下するおそれがある。該使用量が単量体10
0重量部に対して10重量部を超えると、皮膜の耐水性
が低下するおそれがある。乳化重合を行う際のラジカル
重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸
アンモニウムなどを挙げることができる。また、クメン
ハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキ
サイドなどの有機過酸化物も必要に応じて使用すること
ができる。さらにこれらの過硫酸塩又は過酸化物と、鉄
(II)イオンなどの金属イオン、ナトリウムスルホキシレ
ート、ホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、L−アス
コルビン酸などの還元剤を組み合わせたレドックス系開
始剤も用いることもできる。乳化重合における単量体の
濃度は、得られるアクリル樹脂の水性エマルジョンの不
揮発分濃度が25〜65重量%となる濃度であることが
好ましい。反応系への単量体及び重合開始剤の添加は、
一括仕込み、連続滴下、分割添加などのいずれの方法で
も行うことができる。重合温度は40〜100℃である
ことが好ましく、重合反応は通常2〜4時間で終了す
る。
【0014】本発明の水性被覆剤組成物に用いる(C)ポ
リカルボジイミド系樹脂水性エマルジョンは、有機ポリ
イソシアネート化合物と1官能性の水溶性又は水分散性
有機化合物を混合し、カルボジイミド化触媒を加え、1
50〜200℃に加熱し、脱二酸化炭素を伴うカルボジ
イミド化反応を進めることにより得ることができる。反
応終了の判定は、赤外吸収スペクトル測定により、2,
200〜2,300cm-1のイソシアネート基の吸収が消
滅することにより確認することができる。有機ポリイソ
シアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、キ
シリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネ
ート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネートなどを挙げることができる。これ
らの有機ポリイソシアネート化合物は、1種を単独で用
いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用
いることもできる。1官能の水溶性又は水分散性有機化
合物は、イソシアネート基と反応し得る官能基、例え
ば、ヒドロキシル基、アミノ基などを1個有し、水に溶
解又は分散し得る化合物であり、例えば、ポリエチレン
グリコールのモノアルキルエーテル、ポリエチレングリ
コール−ポリプロピレングリコールのランダム又はブロ
ック共重合物のモノアルキルエーテルなどを挙げること
ができる。カルボジイミド化触媒としては、有機リン系
化合物が好ましく、特に活性の面からホスホレンオキシ
ド類が好ましい。このような有機リン系化合物として
は、例えば、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレ
ン−1−オキシド、3−メチル−1−エチル−2−ホス
ホレン−1−オキシド、1,3−ジメチル−2−ホスホ
レン−1−オキシド、1−フェニル−2−ホスホレン−
1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキ
シド、1−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1
−オキシド、これらの二重結合異性体などを挙げること
ができる。これらの中で、3−メチル−1−フェニル−
2−ホスホレン−1−オキシドは、入手が容易であり、
好適に使用することができる。カルボジイミド化触媒の
添加量に特に制限はないが、通常は、全量に対し0.1
〜10重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%
であることがより好ましい。
【0015】本発明の水性被覆剤組成物は、上記の(A)
水性アクリル−ウレタン共重合物、(B)アクリル樹脂の
水性エマルジョン及び(C)ポリカルボジイミド系樹脂水
性エマルジョンを、不揮発分重量比において(A)4〜9
8重量%、(B)1〜95重量%及び(C)1〜10重量%
の割合で含有する。(A)成分の含有量が4重量%未満で
あると、造膜性、耐クラック性が低下するおそれがあ
る。(A)成分の含有量が98重量%を超えると、耐水
性、耐候性が低下するおそれがある。(B)成分の含有量
が1重量%未満であると、耐水性、耐候性が低下するお
それがある。(B)成分の含有量が95重量%を超える
と、造膜性、耐クラック性が低下するおそれがある。
(C)成分の含有量が1重量%未満であると、耐水性、耐
アルカリ性が低下するおそれがある。(C)成分の含有量
が10重量%を超えると、造膜性、耐候性が低下するお
それがある。本発明の水性被覆剤組成物より形成される
皮膜は、硬さと柔らかさのバランスがよく、優れた耐水
性、耐アルカリ性、耐候性を有し、接着剤、塗料、印刷
インキなどの用途に好適に用いることができる。本発明
の水性被覆剤組成物より、優れた物性を有する皮膜が得
られる理由は、特定の組成から得られる水性アクリル−
ウレタン共重合物が、アクリル樹脂成分がウレタン樹脂
中に組み込まれた完全に均一な共重合物であり、アクリ
ル樹脂の水性エマルジョンとの相溶性が良好であり、そ
れぞれの有利な性質を併せ持つことが可能となるためと
考えられる。また、ダイマージオール由来の疎水性成分
が分子表面を覆い、さらに乳化成分であるカルボキシル
基は、カルボジイミド基により封鎖されるとともに、架
橋密度が上がるために、耐水性、耐アルカリ性に優れた
皮膜が得られるものと考えられる。
【0016】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、実施例及び比較例におい
て、塗膜物性は下記の方法により評価した。 (1)塗膜の作製 被着材として、ナラ板、ステンレス鋼板、ガラス板及び
コンクリート板を用い、水性被覆剤組成物を、膜厚が1
00μmになるように塗布し、25℃で1週間放置した
のち、試験を行う。 (2)密着性 JIS K 5400 8.5.2に準じ、カッターナイフ
を用いて、塗膜にすきま間隔1mmの碁盤目状のマス目1
00個を作り、このマス目にセロハン粘着テープ[ニチ
バン(株)]をはりつけ、角度60度で急速に剥がしたと
きの塗膜の外観を観測し、以下の基準で評価する。 ○:塗膜の95%以上が被着材側に残る。 △:塗膜の50%以上95%未満が被着材側に残る。 ×:塗膜の50%未満が被着材側に残る。 (3)塗膜外観 ガラス板上に作製した塗膜の透明性を、目視により評価
する。 (4)耐水性 コンクリート板上に作製した塗膜を、40℃の水中に4
8時間浸漬し、塗膜の白化の状態を目視により評価す
る。 ○:白化が認められない。 △:わずかに白化している。 ×:顕著な白化が生じている。 (5)耐アルコール性 ガラス板上に作製した塗膜上に、20℃でイソプロピル
アルコールを滴下し、塗膜のふくれや外観の異常を目視
により評価する。 ○:異常は生じない。 △:軽度の異常が認められる。 ×:顕著な異常が認められる。 (6)耐候性 コンクリート板上に作製した塗膜を、サンシャインウエ
ザオメーターにて5,000時間照射し、外観上の変化
を評価する。 ○:白化が認められない。 △:わずかに白化している。 ×:顕著な白化が生じている。 (7)鉛筆硬度 JIS K 5400 8.4.2にしたがって測定する。
【0017】合成例1(アクリルポリオールA) 温度計、撹拌機、2本の滴下ロート、ガス導入管及び還
流冷却管を備えたフラスコに、トルエン50重量部を仕
込み、撹拌下にフラスコ内を窒素ガス置換し、窒素ガス
気流下に100℃に加熱した。次いで、窒素ガス気流下
に100℃を維持しながら、一方の滴下ロートから、メ
チルメタクリレート40重量部、ステアリルメタクリレ
ート20重量部、ブチルアクリレート31重量部、2−
ヒドロキシエチルアクリレート9重量部及びトルエン5
0重量部からなる単量体混合溶液を120分かけて滴下
し、同時に他方の滴下ロートから、アゾビスイソブチロ
ニトリル5重量部及びトルエン50重量部からなる重合
開始剤溶液を180分かけて滴下した。滴下終了後、さ
らに100℃で60分間維持して重合を完了させた。そ
の後、減圧下にトルエンを留去することにより、不揮発
分約50重量%のアクリルポリオール溶液を得た。この
アクリルポリオールは、ガラス転移温度22℃、ヒドロ
キシル価約20mgKOH/g、重量平均分子量40,000
であった。このアクリルポリオール溶液を、アクリルポ
リオールAとする。 合成例2(水性アクリル−ウレタン共重合物A) 撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素ガス吹込み管を備
えた4ツ口フラスコに、アクリルポリオール[大日本イ
ンキ化学工業(株)、アクリディックA−808T、不揮
発分約50重量%、ガラス転移温度97℃、ヒドロキシ
ル価約20mgKOH/g]56重量部、ポリヘキサメチレ
ンカーボネートジオール[数平均分子量1,000]6
0重量部、ダイマージオール[東亞合成(株)、ペスポー
ルHP−1000、重量平均分子量538]10.8重
量部、1,4−ブタンジオール0.9重量部、2,2−ジ
メチロールプロピオン酸6.7重量部、ジブチル錫ジラ
ウレート0.001重量部及びメチルエチルケトン60
重量部を仕込み、均一に混合したのち、ジシクロヘキシ
ルメタンジイソシアネート52.4重量部を加え、80
℃で2時間反応させ、不揮発分に対する遊離イソシアネ
ート基含有量1.7重量%のウレタンプレポリマーのメ
チルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷
却し、トリエチルアミン5重量部を加えて中和したの
ち、水350重量部を徐々に加えて乳化分散させ、エチ
レンジアミンの20重量%水溶液15重量部を添加し、
2時間撹拌を続けた。次いで、減圧下に2時間かけて6
0℃まで昇温しながら脱溶剤を行い、不揮発分35重量
%の水性アクリル−ウレタン共重合物を得た。このアク
リル−ウレタン共重合物の2,2−ジメチロールプロピ
オン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.4重量%で
ある。この水性アクリル−ウレタン共重合物を、水性ア
クリル−ウレタン共重合物Aとする。
【0018】 合成例3(水性アクリル−ウレタン共重合物B) 合成例2と同様な反応容器に、アクリルポリオール[大
日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−809、
不揮発分約50重量%、ガラス転移温度61℃、ヒドロ
キシル価約20mgKOH/g]112重量部、ポリブチレ
ンアジペートジオール[数平均分子量1,700]68
重量部、ポリエチレングリコール[数平均分子量1,0
00]10重量部、ダイマージオール[東亞合成(株)、
ペスポールHP−1000、重量平均分子量538]1
6重量部及び2,2−ジメチロールブタン酸7.4重量部
をメチルエチルケトン30重量部に溶解し、トリメチル
アミン5重量部を加えて中和し、次いで、ジブチル錫ジ
ラウレート0.001重量部及びメチルエチルケトン3
0重量部を加え、均一に混合したのち、イソホロンジイ
ソシアネート44.6重量部を加え、80℃で2時間反
応させ、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量
1.9重量%のウレタンプレポリマーのメチルエチルケ
トン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、水35
0重量部を徐々に加えて乳化分散させ、エチレンジアミ
ンの20重量%水溶液15重量部を添加し、2時間撹拌
を続けた。次いで、減圧下に2時間かけて60℃まで昇
温しながら脱溶剤を行い、不揮発分35重量%の水性ア
クリル−ウレタン共重合物を得た。このアクリル−ウレ
タン共重合物の2,2−ジメチロールブタン酸由来のカ
ルボキシル基含有量は、1.1重量%である。この水性
アクリル−ウレタン共重合物を、水性アクリル−ウレタ
ン共重合物Bとする。 合成例4(水性アクリル−ウレタン共重合物C) 合成例2と同様な反応容器に、アクリルポリオール[大
日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−811、
不揮発分約50重量%、ガラス転移温度59℃、ヒドロ
キシル価約17mgKOH/g]64重量部、ポリ−ε−カ
プロラクトンジオール[数平均分子量2,000]80
重量部、ダイマージオール[東亞合成(株)、ペスポール
HP−1000、重量平均分子量538]16重量部、
2,2−ジメチロールプロピオン酸6.7重量部、ジブチ
ル錫ジラウレート0.001重量部及びメチルエチルケ
トン60重量部を仕込み、均一に混合したのち、ジシク
ロヘキシルメタンジイソシアネート52.4重量部を加
え、80℃で2時間反応させ、不揮発分に対する遊離イ
ソシアネート基含有量1.5重量%のウレタンプレポリ
マーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30
℃まで冷却し、トリエチルアミン5重量部を加えて中和
したのち、水350重量部を徐々に加えて乳化分散さ
せ、水加ヒドラジンの60重量%水溶液4重量部を添加
し、2時間撹拌を続けた。次いで、減圧下に2時間かけ
て60℃まで昇温しながら脱溶剤を行い、不揮発分35
重量%の水性アクリル−ウレタン共重合物を得た。この
アクリル−ウレタン共重合物の2,2−ジメチロールプ
ロピオン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.2重量
%である。この水性アクリル−ウレタン共重合物を、水
性アクリル−ウレタン共重合物Cとする。
【0019】 合成例5(水性アクリル−ウレタン共重合物D) 合成例2と同様な反応容器に、アクリルポリオール[大
日本インキ化学工業(株)、アクリディック44−19
8、不揮発分約50重量%、ガラス転移温度70℃、ヒ
ドロキシル価約20mgKOH/g]56重量部、ポリ(3−
メチル−1,5−ペンチレンアジペート)ジオール[数平
均分子量1,000]50重量部、ポリプロピレングリ
コール[数平均分子量1,000]10重量部、ダイマ
ージオール[東亞合成(株)、ベスポールHP−100
0、重量平均分子量538]16重量部、2,2−ジメ
チロールプロピオン酸6.7重量部、ジブチル錫ジラウ
レート0.001重量部及びメチルエチルケトン60重
量部を仕込み、均一に混合したのち、ジシクロヘキシル
メタンジイソシアネート52.4重量部を加え、80℃
で2時間反応させ、不揮発分に対する遊離イソシアネー
ト基含有量1.6重量%のウレタンプレポリマーのメチ
ルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却
し、トリエチルアミン5重量部を加えて中和したのち、
水350重量部を徐々に加えて乳化分散させ、エチレン
ジアミンの20重量%水溶液15重量部を添加し、2時
間撹拌を続けた。次いで、減圧下に2時間かけて60℃
まで昇温しながら脱溶剤を行い、不揮発分35重量%の
水性アクリル−ウレタン共重合物を得た。このアクリル
−ウレタン共重合物の2,2−ジメチロールプロピオン
酸由来のカルボキシ基含有量は、1.4重量%である。
この水性アクリル−ウレタン共重合物を、水性アクリル
−ウレタン共重合物Dとする。 合成例6(水性アクリル−ウレタン共重合物E) 合成例2と同様な反応容器に、合成例1で得られたアク
リルポリオールA[不揮発分約50重量%、ガラス転移
温度22℃、ヒドロキシル価約20mgKOH/g]64重
量部、ポリ−ε−カプロラクトンジオール[数平均分子
量2,000]80重量部、ダイマージオール[東亞合
成(株)、ペスポールHP−1000、重量平均分子量5
38]16重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸
6.7重量部、ジブチル錫ジラウレート0.001重量部
及びメチルエチルケトン60重量部を仕込み、均一に混
合したのち、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
52.4重量部を加え、80℃で2時間反応させ、不揮
発分に対する遊離イソシアネート基含有量1.5重量%
のウレタンプレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得
た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン5
重量部を加えて中和したたのち、水350重量部を徐々
に加えて乳化分散させ、水加ヒドラジンの60重量%水
溶液4重量部を添加し、2時間撹拌を続けた。次いで、
減圧下に約2時間かけて60℃まで昇温しながら脱溶剤
を行い、不揮発分35重量%の水性アクリル−ウレタン
共重合物を得た。このアクリル−ウレタン共重合物中の
2,2−ジメチロールプロピオン酸由来のカルボキシル
基含有量は、1.2重量%である。この水性アクリル−
ウレタン共重合物を、水性アクリル−ウレタン共重合物
Eとする。
【0020】 比較合成例1(水性アクリル−ウレタン共重合物F) 合成例2と同様な反応容器に、アクリルポリオール[大
日本インキ化学工業(株)、アクリディックA−809、
不揮発分約50重量%、ガラス転移温度61℃、ヒドロ
キシル価約20mgKOH/g]112重量部、ポリブチレ
ンアジペートジオール[数平均分子量1,700]68
重量部、1,6−ヘキサンジオール2.4重量部、2,2
−ジメチロールプロピオン酸6.7重量部、ジブチル錫
ジラウレート0.001重量部及びメチルエチルケトン
60重量部を仕込み、均一に混合したのち、ジシクロヘ
キシルメタンジイソシアネート52.4重量部を加え、
80℃で2時間反応させ、不揮発分に対する遊離イソシ
アネート基含有量1.7重量%のウレタンプレポリマー
のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃ま
で冷却し、トリエチルアミン5重量部を加えて中和した
のち、水350重量部を徐々に加えて乳化分散させ、エ
チレンジアミンの20重量%水溶液18重量部を添加
し、2時間撹拌を続けた。次いで、減圧下に2時間かけ
て60℃まで昇温しながら脱溶剤を行い、不揮発分35
重量%の水性アクリル−ウレタン共重合物を得た。この
アクリル−ウレタン共重合物中の2,2−ジメチロール
プロピオン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.2重
量%である。この水性アクリル−ウレタン共重合物を、
水性アクリル−ウレタン共重合物Fとする。 比較合成例2(水性ウレタン樹脂G) 合成例2と同様な反応容器に、ポリヘキサメチレンカー
ボネートジオール[数平均分子量1,000]70重量
部、エチレングリコール1.2重量部、2,2−ジメチロ
ールプロピオン酸6.7重量部、ジブチル錫ジラウレー
ト0.001重量部及びメチルエチルケトン60重量部
を仕込み、均一に混合したのち、ジシクロヘキシルメタ
ンジイソシアネート52.4重量部を加え、80℃で2
時間反応させ、不揮発分に対する遊離イソシアネート基
含有量2.7重量%のウレタンプレポリマーのメチルエ
チルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、
トリエチルアミン5重量部を加えて中和したのち、水3
50重量部を徐々に加えて乳化分散させ、エチレンジア
ミンの20重量%水溶液18重量部を添加し、2時間撹
拌を続けた。次いで、減圧下に2時間かけて60℃まで
昇温しながら脱溶剤を行い、不揮発分35重量%の水性
ウレタン樹脂を得た。このウレタン樹脂中の2,2−ジ
メチロールプロピオン酸由来のカルボキシル基含有量
は、3.3重量%である。この水性ウレタン樹脂を、水
性ウレタン樹脂Gとする。 比較合成例3(水性ウレタン樹脂H) 合成例2と同様な反応容器に、ポリ−ε−カプロラクト
ンジオール[数平均分子量2,000]100重量部、
1,6−ヘキサンジオール2.4重量部、2,2−ジメチ
ロールプロピオン酸6.7重量部、ジブチル錫ジラウレ
ート0.001重量部及びメチルエチルケトン60重量
部を仕込み、均一に混合したのち、ジシクロヘキシルメ
タンジイソシアネート52.4重量部を加え、80℃で
2時間反応させ、不揮発分に対する遊離イソシアネート
基含有量1.9重量%のウレタンプレポリマーのメチル
エチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却
し、トリエチルアミン5重量部を加えて中和したのち、
水350重量部を徐々に加えて乳化分散させ、水加ヒド
ラジンの60重量%水溶液4重量部を添加し、2時間撹
拌を続けた。次いで、減圧下に2時間かけて60℃まで
昇温しながら脱溶剤を行い、不揮発分35重量%の水性
ウレタン樹脂を得た。このウレタン樹脂中の2,2−ジ
メチロールプロピオン酸由来のカルボキシル基含有量
は、1.3重量%である。この水性ウレタン樹脂を、水
性ウレタン樹脂Hとする。
【0021】 合成例7(アクリル樹脂の水性エマルジョンA) 温度調節器、いかり形撹拌器、還流冷却器、供給容器、
温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、水20
0重量部、アニオン性乳化剤(p−ノニルフェノールの
エチレンオキシド20モル付加物の硫酸半エステルのナ
トリウム塩)の35重量%水溶液5重量部及びノニオン
性乳化剤(p−ノニルフェノールのエチレンオキシド2
5モル付加物)の20重量%水溶液20重量部を仕込
み、反応容器内を窒素ガスで置換した。反応容器に、水
20重量部、上記のアニオン性乳化剤の35重量%水溶
液2.5重量部、メタクリル酸メチル23.6重量部、ア
クリル酸−n−ブチル16重量部及びアクリル酸0.4
重量部を含む単量体混合物を加え、90℃に加熱した。
次に、水8.5重量部に過硫酸カリウム0.25重量部を
溶解した開始剤水溶液を添加した。次いで、水180重
量部、上記のアニオン性乳化剤の35重量%水溶液2
2.5重量部、メタクリル酸メチル212.4重量部、ア
クリル酸−n−ブチル144重量部及びアクリル酸3.
6重量部を含む単量体混合物と、水76.5重量部に過
硫酸カリウム2.25重量部を溶解した開始剤水溶液
を、3.5時間かけてそれぞれ90℃に保った容器内に
供給し、供給終了後、さらに2時間90℃に保って重合
を行い、アクリル樹脂の水性エマルジョンを得た。この
アクリル樹脂のガラス転移温度は、約20℃であった。
このアクリル樹脂の水性エマルジョンを、アクリル樹脂
の水性エマルジョンAとする。 合成例8(アクリル樹脂の水性エマルジョンB) 合成例7と同様な反応容器に、水200重量部、アニオ
ン性乳化剤(p−ノニルフェノールのエチレンオキシド
20モル付加物の硫酸半エステルのナトリウム塩)の3
5重量%水溶液5重量部及びノニオン性乳化剤(p−ノ
ニルフェノールのエチレンオキシド25モル付加物)の
20重量%水溶液20重量部を仕込み、反応容器内を窒
素ガスで置換した。反応容器に、水20重量部、上記の
アニオン性乳化剤の35重量%水溶液2.5重量部、ス
チレン15.6重量部、メタクリル酸メチル12重量
部、アクリル酸−n−ブチル12重量部及びアクリル酸
0.4重量部を含む単量体混合物を加え、90℃に加熱
した。次に、水8.5重量部に過硫酸カリウム0.25重
量部を溶解した開始剤水溶液を添加した。次いで、水1
80重量部、上記のアニオン性乳化剤の35重量%水溶
液22.5重量部、スチレン140.4重量部、メタクリ
ル酸メチル108重量部、アクリル酸−n−ブチル10
8重量部及びアクリル酸3.6重量部を含む単量体混合
物と、水76.5重量部に過硫酸カリウム2.25重量部
を溶解した開始剤水溶液を、3.5時間かけてそれぞれ
90℃に保った容器内に供給し、供給終了後、さらに2
時間90℃に保って重合を行い、アクリル樹脂の水性エ
マルジョンを得た。このアクリル樹脂のガラス転移温度
は、約36℃であった。このアクリル樹脂の水性エマル
ジョンを、アクリル樹脂の水性エマルジョンBとする。 合成例9(アクリル樹脂の水性エマルジョンC) 合成例7と同様な反応容器に、水200重量部、アニオ
ン性乳化剤(p−ノニルフェノールのエチレンオキシド
20モル付加物の硫酸半エステルのナトリウム塩)の3
5重量%水溶液5重量部及びノニオン性乳化剤(p−ノ
ニルフェノールのエチレンオキシド25モル付加物)の
20重量%水溶液20重量部を仕込み、反応容器内を窒
素ガスで置換した。反応容器に、水20重量部、上記の
アニオン性乳化剤の35重量%水溶液2.5重量部、ス
チレン4重量部、メタクリル酸メチル4重量部、アクリ
ル酸−n−ブチル31.6重量部及びメタクリル酸0.4
重量部を含む単量体混合物を加え、90℃に加熱した。
次に、水8.5重量部に過硫酸カリウム0.25重量部を
溶解した開始剤水溶液を添加した。次いで、水180重
量部、上記のアニオン性乳化剤の35重量%水溶液2
2.5重量部、スチレン36重量部、メタクリル酸メチ
ル36重量部、アクリル酸−n−ブチル284.4重量
部及びメタクリル酸3.6重量部を含む単量体混合物
と、水76.5重量部に過硫酸カリウム2.25重量部を
溶解した開始剤水溶液を、3.5時間かけてそれぞれ9
0℃に保った容器内に供給し、供給終了後、さらに2時
間90℃に保って重合を行い、アクリル樹脂の水性エマ
ルジョンを得た。このアクリル樹脂のガラス転移温度
は、約−23℃であった。このアクリル樹脂の水性エマ
ルジョンを、アクリル樹脂の水性エマルジョンCとす
る。合成例7〜9で製造したアクリル樹脂の水性エマル
ジョンの単量体組成と、得られたアクリル樹脂のガラス
転移温度を、第1表に示す。
【0022】
【表1】
【0023】 合成例10(アクリル樹脂の水性エマルジョンD) 最初に反応容器に加える単量体混合物の単量体組成を、
メタクリル酸メチル19.75重量部、アクリル酸−n
−ブチル20重量部及びアクリル酸0.25重量部と
し、3.5時間かけて反応容器に供給する単量体混合物
の単量体組成を、メタクリル酸メチル177.75重量
部、アクリル酸−n−ブチル180重量部及びアクリル
酸2.25重量部とした以外は、合成例7と同様にして
アクリル樹脂の水性エマルジョンを得た。このアクリル
樹脂の水性エマルジョンを、アクリル樹脂の水性エマル
ジョンDとする。 合成例11(アクリル樹脂の水性エマルジョンE) 最初に反応容器に加える単量体混合物の単量体組成を、
メタクリル酸メチル19.25重量部、アクリル酸−n
−ブチル20重量部及びアクリル酸0.75重量部と
し、3.5時間かけて反応容器に供給する単量体混合物
の単量体組成を、メタクリル酸メチル173.25重量
部、アクリル酸−n−ブチル180重量部及びアクリル
酸6.75重量部とした以外は、合成例7と同様にして
アクリル樹脂の水性エマルジョンを得た。このアクリル
樹脂の水性エマルジョンを、アクリル樹脂の水性エマル
ジョンEとする。 合成例12(アクリル樹脂の水性エマルジョンF) 最初に反応容器に加える単量体混合物の単量体組成を、
メタクリル酸メチル19重量部、アクリル酸−n−ブチ
ル20重量部及びアクリル酸1重量部とし、3.5時間
かけて反応容器に供給する単量体混合物の単量体組成
を、メタクリル酸メチル171重量部、アクリル酸−n
−ブチル180重量部及びアクリル酸9重量部とした以
外は、合成例7と同様にしてアクリル樹脂の水性エマル
ジョンを得た。このアクリル樹脂の水性エマルジョン
を、アクリル樹脂の水性エマルジョンFとする。 合成例13(アクリル樹脂の水性エマルジョンG) 最初に反応容器に加える単量体混合物の単量体組成を、
メタクリル酸メチル18.5重量部、アクリル酸−n−
ブチル20重量部及びメタクリル酸−2−ヒドロキシエ
チル1.5重量部とし、3.5時間かけて反応容器に供給
する単量体混合物の単量体組成を、メタクリル酸メチル
166.5重量部、アクリル酸−n−ブチル180重量
部及びメタクリル酸−2−ヒドロキシエチル13.5重
量部とした以外は、合成例7と同様にしてアクリル樹脂
の水性エマルジョンを得た。このアクリル樹脂の水性エ
マルジョンを、アクリル樹脂の水性エマルジョンGとす
る。 比較合成例4(アクリル樹脂の水性エマルジョンH) 最初に反応容器に加える単量体混合物の単量体組成を、
メタクリル酸メチル18.5重量部、アクリル酸−n−
ブチル20重量部及びアクリル酸1.5重量部とし、3.
5時間かけて反応容器に供給する単量体混合物の単量体
組成を、メタクリル酸メチル166.5重量部、アクリ
ル酸−n−ブチル180重量部及びアクリル酸13.5
重量部とした以外は、合成例7と同様にしてアクリル樹
脂の水性エマルジョンを得た。このアクリル樹脂の水性
エマルジョンを、アクリル樹脂の水性エマルジョンHと
する。
【0024】実施例1(水性被覆剤組成物の安定性) 合成例2で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物A
200gに、合成例13で得られたアクリル樹脂の水性
エマルジョンG94gとポリカルボジイミド系樹脂水性
エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−01、
不揮発分40重量%]6gを配合して水性被覆剤組成物
を調製し、2時間放置したのち325メッシュ金網を用
いてろ過した。凝集物は、認められなかった。 実施例2(水性被覆剤組成物の安定性) 合成例2で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物A
200gに、合成例10で得られたアクリル樹脂の水性
エマルジョンD94gとポリカルボジイミド系樹脂水性
エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−01、
不揮発分40重量%]6gを配合して水性被覆剤組成物
を調製し、2時間放置したのち325メッシュ金網を用
いてろ過した。金網上に残った凝集物を集め、乾燥して
重量を測定したところ0.5mg以下であり、凝集物の発
生量は5ppm以下であった。 実施例3(水性被覆剤組成物の安定性) 合成例10で得られたアクリル樹脂の水性エマルジョン
Dの代わりに、合成例11で得られたアクリル樹脂の水
性エマルジョンEを用いた以外は、実施例2と同じ操作
を繰り返した。乾燥した凝集物の重量は0.5mg以下で
あり、凝集物の発生量は5ppm以下であった。 実施例4(水性被覆剤組成物の安定性) 合成例10で得られたアクリル樹脂の水性エマルジョン
Dの代わりに、合成例12で得られたアクリル樹脂の水
性エマルジョンFを用いた以外は、実施例2と同じ操作
を繰り返した。乾燥した凝集物の重量は5.6mgであ
り、凝集物の発生量は50ppmであった。 比較例1(水性被覆剤組成物の安定性) 合成例10で得られたアクリル樹脂の水性エマルジョン
Dの代わりに、比較合成例4で得られたアクリル樹脂の
水性エマルジョンHを用いた以外は、実施例2と同じ操
作を繰り返した。ゲル化を生じ、金網上に多量のゲル状
物が残った。合成例10〜13及び比較合成例4で製造
したアクリル樹脂の水性エマルジョンの単量体組成と、
実施例1〜4及び比較例1の結果を、第2表に示す。
【0025】
【表2】
【0026】第2表に見られるように、アクリル樹脂の
水性エマルジョンの原料である単量体混合物中のアクリ
ル酸の量が2.5重量%を超えると、凝集物の発生量が
増大することが予測され、アクリル酸の量が3.75重
量%になると、明瞭なゲル化が起こっている。水性被覆
剤組成物が安定性を有するためには、単量体混合物中の
アクリル酸の量が2.5重量%以下であることが好まし
いことが分かる。 実施例5(水性被覆剤組成物の調製及び塗膜物性の評
価) 合成例2で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物A
70重量部、合成例7で得られたアクリル樹脂の水性エ
マルジョンA25重量部及びポリカルボジイミド系樹脂
水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−0
1、不揮発分40重量%]5重量部を配合して、水性被
覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製
された塗膜は、若干濁っていた。密着性試験において、
塗膜はすべて被着材側に残った。耐水性試験において、
白化は認められなかった。耐アルコール性試験におい
て、異常は認められなかった。耐候性試験において、白
化は認められなかった。鉛筆硬度は、Bであった。 実施例6(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例2で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物A
50重量部、合成例7で得られたアクリル樹脂の水性エ
マルジョンA47重量部及びポリカルボジイミド系樹脂
水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−0
1、不揮発分40重量%]3重量部を配合して、水性被
覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製
された塗膜は、若干濁っていた。密着性試験において、
塗膜はすべて被着材側に残った。耐水性試験において、
白化は認められなかった。耐アルコール性試験におい
て、異常は認められなかった。耐候性試験において、白
化は認められなかった。鉛筆硬度は、Hであった。 実施例7(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例2で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物A
30重量部、合成例7で得られたアクリル樹脂の水性エ
マルジョンA67重量部及びポリカルボジイミド系樹脂
水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−0
1、不揮発分40重量%]3重量部を配合して、水性被
覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製
された塗膜は、若干濁っていた。密着性試験において、
塗膜はすべて被着材側に残った。耐水性試験において、
白化は認められなかった。耐アルコール性試験におい
て、異常は認められなかった。耐候性試験において、白
化は認められなかった。鉛筆硬度は、2Hであった。
【0027】 実施例8(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例2で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物A
10重量部、合成例7で得られたアクリル樹脂の水性エ
マルジョンA87重量部及びポリカルボジイミド系樹脂
水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−0
1、不揮発分40重量%]3重量部を配合して、水性被
覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製
された塗膜は、若干濁っていた。密着性試験において、
コンクリート板上の塗膜のマス目2個がはがれた以外、
塗膜は被着材側に残った。耐水性試験において、白化は
認められなかった。耐アルコール性試験において、異常
は認められなかった。耐候性試験において、白化は認め
られなかった。鉛筆硬度は、3Hであった。 実施例9(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例3で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物B
30重量部、合成例7で得られたアクリル樹脂の水性エ
マルジョンA65重量部及びポリカルボジイミド系樹脂
水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−0
1、不揮発分40重量%]5重量部を配合して、水性被
覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製
された塗膜は、若干濁っていた。密着性試験において、
塗膜はすべて被着材側に残った。耐水性試験において、
白化は認められなかった。耐アルコール性試験におい
て、異常は認められなかった。耐候性試験において、白
化は認められなかった。鉛筆硬度は、2Hであった。 実施例10(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例4で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物C
30重量部、合成例7で得られたアクリル樹脂の水性エ
マルジョンA65重量部及びポリカルボジイミド系樹脂
水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−0
1、不揮発分40重量%]5重量部を配合して、水性被
覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製
された塗膜は、若干濁っていた。密着性試験において、
塗膜はすべて被着材側に残った。耐水性試験において、
白化は認められなかった。耐アルコール性試験におい
て、異常は認められなかった。耐候性試験において、白
化は認められなかった。鉛筆硬度は、2Hであった。 実施例11(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例5で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物D
30重量部、合成例7で得られたアクリル樹脂の水性エ
マルジョンA65重量部及びポリカルボジイミド系樹脂
水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−0
1、不揮発分40重量%]5重量部を配合して、水性被
覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製
された塗膜は、若干濁っていた。密着性試験において、
塗膜はすべて被着材側に残った。耐水性試験において、
白化は認められなかった。耐アルコール性試験におい
て、異常は認められなかった。耐候性試験において、白
化は認められなかった。鉛筆硬度は、2Hであった。
【0028】 実施例12(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例6で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物E
50重量部、合成例8で得られたアクリル樹脂の水性エ
マルジョンB47重量部及びポリカルボジイミド系樹脂
水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−0
1、不揮発分40重量%]3重量部を配合して、水性被
覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製
された塗膜は、平滑透明であった。密着性試験におい
て、塗膜はすべて被着材側に残った。耐水性試験におい
て、白化は認められなかった。耐アルコール性試験にお
いて、異常は認められなかった。耐候性試験において、
白化は認められなかった。鉛筆硬度は、2Hであった。 実施例13(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例2で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物A
50重量部、合成例8で得られたアクリル樹脂の水性エ
マルジョンB47重量部及びポリカルボジイミド系樹脂
水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−0
1、不揮発分40重量%]3重量部を配合して、水性被
覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製
された塗膜は、若干濁っていた。密着性試験において、
塗膜はすべて被着材側に残った。耐水性試験において、
白化は認められなかった。耐アルコール性試験におい
て、異常は認められなかった。耐候性試験において、白
化は認められなかった。鉛筆硬度は、2Hであった。 実施例14(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例2で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物A
50重量部、合成例9で得られたアクリル樹脂の水性エ
マルジョンC47重量部及びポリカルボジイミド系樹脂
水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−0
1、不揮発分40重量%]3重量部を配合して、水性被
覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製
された塗膜は、濁っていた。密着性試験において、塗膜
はすべて被着材側に残った。耐水性試験において、白化
は認められなかった。耐アルコール性試験において、異
常は認められなかった。耐候性試験において、白化は認
められなかった。鉛筆硬度は、HBであった。 実施例15(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例2で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物A
30重量部、合成例13で得られたアクリル樹脂の水性
エマルジョンG65重量部及びポリカルボジイミド系樹
脂水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−
01、不揮発分40重量%]5重量部を配合して、水性
被覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から作
製された塗膜は、若干濁っていた。密着性試験におい
て、塗膜はすべて被着材側に残った。耐水性試験におい
て、白化は認められなかった。耐アルコール性試験にお
いて、異常は認められなかった。耐候性試験において、
白化は認められなかった。鉛筆硬度は、2Hであった。
【0029】 比較例2(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 比較合成例1で得られた水性アクリル−ウレタン共重合
物F30重量部、合成例7で得られたアクリル樹脂の水
性エマルジョンA65重量部及びポリカルボジイミド系
樹脂水性エマルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE
−01、不揮発分40重量%]5重量部を配合して、水
性被覆剤組成物を調製した。この水性被覆剤組成物から
作製された塗膜は、平滑透明であった。密着性試験にお
いて、ナラ板、ステンレス鋼板、ガラス板上に作製した
塗膜はすべて被着材側に残ったが、コンクリート板上に
作製した塗膜のマス目28個がはがれた。耐水性試験に
おいて、わずかに白化が生じた。耐アルコール性試験に
おいて、塗膜に軽度のふくれと白化が生じた。耐候性試
験において、わずかに白化が生じた。鉛筆硬度は、2H
であった。 比較例3(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 比較合成例2で得られた水性ウレタン樹脂G30重量
部、合成例7で得られたアクリル樹脂の水性エマルジョ
ンA65重量部及びポリカルボジイミド系樹脂水性エマ
ルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−01、不揮
発分40重量%]5重量部を配合して、水性被覆剤組成
物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製された塗
膜は、濁っていた。密着性試験において、ナラ板とガラ
ス板上に作製した塗膜はすべて被着材側に残ったが、ス
テンレス鋼板上に作製した塗膜のマス目3個と、コンク
リート板上に作製した塗膜のマス目58個がはがれた。
耐水性試験において、顕著な白化が生じた。耐アルコー
ル性試験において、塗膜に顕著なふくれと白化が生じ
た。耐候性試験において、顕著な白化が生じた。鉛筆硬
度は、2Hであった。 比較例4(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 比較合成例3で得られた水性ウレタン樹脂H30重量
部、合成例7で得られたアクリル樹脂の水性エマルジョ
ンA65重量部及びポリカルボジイミド系樹脂水性エマ
ルジョン[日清紡(株)、カルボジライトE−01、不揮
発分40重量%]5重量部を配合して、水性被覆剤組成
物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製された塗
膜は、濁っていた。密着性試験において、ナラ板上に作
製した塗膜はすべて被着材側に残ったが、ステンレス鋼
板上に作製した塗膜のマス目3個と、ガラス板上に作製
した塗膜のマス目2個と、コンクリート板上に作製した
塗膜のマス目71個がはがれた。耐水性試験において、
顕著な白化が生じた。耐アルコール性試験において、塗
膜に顕著なふくれと白化が生じた。耐候性試験におい
て、顕著な白化が生じた。鉛筆硬度は、2Hであった。
【0030】 比較例5(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例2で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物A
95重量部及びポリカルボジイミド系樹脂水性エマルジ
ョン[日清紡(株)、カルボジライトE−01、不揮発分
40重量%]5重量部を配合して、水性被覆剤組成物を
調製した。この水性被覆剤組成物から作製された塗膜
は、平滑透明であった。密着性試験において、ナラ板上
に作製した塗膜はすべて被着材側に残ったが、ステンレ
ス鋼板上に作製した塗膜のマス目4個と、ガラス板上に
作製した塗膜のマス目2個と、コンクリート板上に作製
した塗膜のマス目41個がはがれた。耐水性試験におい
て、白化は認められなかった。耐アルコール性試験にお
いて、塗膜に顕著なふくれと白化が生じた。耐候性試験
において、顕著な白化が生じた。鉛筆硬度は、5Bであ
った。 比較例6(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例7で得られたアクリル樹脂の水性エマルジョンA
95重量部及びポリカルボジイミド系樹脂水性エマルジ
ョン[日清紡(株)、カルボジライトE−01、不揮発分
40重量%]5重量部を配合して、水性被覆剤組成物を
調製した。この水性被覆剤組成物から作製された塗膜に
は、クラックがあった。密着性試験において、ナラ板上
に作製した塗膜のマス目1個、ステンレス鋼板上に作製
した塗膜のマス目34個と、ガラス板上に作製した塗膜
のマス目22個と、コンクリート板上に作製した塗膜の
マス目3個がはがれた。耐水性試験において、わずかな
白化が認められた。耐アルコール性試験において、塗膜
に顕著なふくれと白化が生じた。耐候性試験において、
顕著な白化が生じた。鉛筆硬度は、4Hであった。 比較例7(水性被覆剤組成物及び塗膜物性の評価) 合成例2で得られた水性アクリル−ウレタン共重合物A
70重量部及び合成例7で得られたアクリル樹脂の水性
エマルジョンA95重量部を配合して、水性被覆剤組成
物を調製した。この水性被覆剤組成物から作製された塗
膜は、平滑透明であった。密着性試験において、塗膜は
すべて被着材側に残った。耐水性試験において、顕著な
白化が生じた。耐アルコール性試験において、塗膜に顕
著なふくれと白化が生じた。耐候性試験において、顕著
な白化が生じた。鉛筆硬度は、Bであった。実施例5〜
15及び比較例2〜7の結果を、第3表に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】第3表に見られるように、本発明の水性被
覆剤組成物を用いて作製した実施例5〜15の塗膜は、
概して若干の濁りは認められるものの、コンクリート板
を含めて密着性は良好であり、耐水性、耐アルコール
性、耐候性にも優れている。また、鉛筆硬度もほとんど
は2Hであり、実用上十分な硬度を有している。これに
対して、水性アクリル−ウレタン共重合物の製造に用い
た高分子量ポリオールがダイマージオールを含まない比
較例2の水性被覆剤組成物を用いて作製した塗膜は、平
滑透明ではあるが、コンクリート板への密着性、耐水
性、耐アルコール性、耐候性がやや劣り、水性アクリル
−ウレタン共重合物の代わりに水性ウレタン樹脂を用い
た比較例3及び比較例4の水性被覆剤組成物を用いて作
製した塗膜は、外観が濁り、コンクリート板への密着
性、耐水性、耐アルコール性、耐候性も不良である。ま
た、水性アクリル−ウレタン共重合物、アクリル樹脂の
水性エマルジョン又はポリカルボジイミド系水性エマル
ジョンのいずれかを欠く比較例5、比較例6及び比較例
7の水性被覆剤組成物を用いて作製した塗膜は、いずれ
も物性が不良である。
【0035】
【発明の効果】本発明の水性被覆剤組成物より得られる
塗膜は、優れた耐水性、耐アルカリ性、耐候性を有し、
接着剤、塗料、印刷インキなどの各種コーティング剤は
もとより、耐候性、耐光性、耐摩耗性、耐水性、耐アル
カリ性、耐アルコール性など厳しい要求性能が要求され
るコーティング分野においても優れた性能を発揮し、水
性被覆剤として幅広い展開が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/00 C09D 5/00 A 175/04 175/04 179/00 179/00 (72)発明者 梅谷 慎一 福井県福井市文京4丁目23番1号 日華化 学株式会社内 (72)発明者 石井 隆來 三重県四日市市陶栄町1番4号 ウレタン 技研工業株式会社内 (72)発明者 加藤 太一郎 神奈川県横浜市港北区日吉5−12−31 201号 Fターム(参考) 4J034 BA06 BA07 BA08 CA03 CA04 CA05 CA14 CA15 CA16 CA17 CA22 CB03 CB04 CB05 CB07 CB08 CC02 CC03 CC23 CC24 CC26 CC29 CC34 CC45 CC52 CC61 CC62 CE03 DA01 DA05 DB03 DB07 DD07 DD08 DD14 DF02 DF12 DF16 DF20 DF22 DF27 DF28 DG03 DG04 DG06 DG08 DG10 DG12 DH00 DP02 DP03 DP13 DP17 DP18 DP20 HA01 HA07 HC03 HC12 HC13 HC17 HC22 HC46 HC52 HC53 HC61 HC64 HC67 HC71 HC73 JA42 KA01 KB02 KC17 KD12 KE02 LA16 LA36 MA22 MA24 QA02 QB03 QC05 RA07 4J038 CC021 CC081 CF021 CG031 CG081 CG131 CG141 CG161 CH031 CH041 CH071 CH081 CH111 CH121 CH191 CH251 CJ002 CK031 CK041 DG051 DG061 DG081 DG111 DG121 DG131 DG191 DG271 DG281 DG291 GA02 GA03 GA06 GA08 GA09 GA10 GA12 HA156 MA08 MA10 MA13 MA14 NA03 NA04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(a)有機ポリイソシアネート化合
    物、(b)高分子量ポリオール、(c)アニオン性親水
    基と2個以上の活性水素を有する化合物及び場合により
    用いられる(d)鎖伸長剤から得られるイソシアネート
    基末端プレポリマーの中和物を、(e)水溶性ポリアミ
    ン、ヒドラジン及びこれらの誘導体から選ばれる1種以
    上の鎖伸長剤を用いて水中で鎖伸長して得られる水性ア
    クリル−ウレタン共重合物において、(b)高分子量ポ
    リオールが、ガラス転移温度−50〜100℃、ヒドロ
    キシル価5〜200mgKOH/gのアクリルポリオール5
    〜60重量%及びダイマージオール1〜40重量%を含
    有する水性アクリル−ウレタン共重合物、(B)(f)
    アルキル基の炭素数が1〜12であるメタクリル酸アル
    キルエステル単位と(g)アルキル基の炭素数が1〜8
    であるアクリル酸アルキルエステル単位を有するアクリ
    ル樹脂の水性エマルジョン、及び、(C)ポリカルボジ
    イミド系樹脂水性エマルジョン、を混合してなる水性被
    覆剤組成物であって、(A)成分、(B)成分及び(C)成分
    を、不揮発分重量比において(A)4〜98重量%、(B)
    1〜95重量%及び(C)1〜10重量%の割合で含有す
    ることを特徴とする水性被覆剤組成物。
  2. 【請求項2】(a)有機ポリイソシアネート化合物が、
    脂肪族ジイソシアネート化合物及び脂環式ジイソシアネ
    ート化合物の中から選ばれた少なくとも1種である請求
    項1記載の水性被覆剤組成物。
  3. 【請求項3】(b)高分子量ポリオールが、アクリルポ
    リオール及びダイマージオールに加えて、ポリエステル
    ポリオール、ポリカーボネートポリオール又はポリエー
    テルポリオールを含有する請求項1記載の水性被覆剤組
    成物。
  4. 【請求項4】(c)アニオン性親水基と2個以上の活性
    水素を有する化合物のアニオン性親水性基が、カルボキ
    シル基であり、カルボキシル基の含有量が、アクリル−
    ウレタン共重合物の0.3〜2.5重量%である請求項1
    記載の水性被覆剤組成物。
  5. 【請求項5】(B)成分の水性エマルジョンのアクリル
    樹脂が、(h)カルボキシル基を有する単量体単位2.
    5重量%以下を有する請求項1記載の水性被覆剤組成
    物。
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