JP2001218769A - 超音波嚥下物性評価システム - Google Patents

超音波嚥下物性評価システム

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JP2001218769A JP2000035135A JP2000035135A JP2001218769A JP 2001218769 A JP2001218769 A JP 2001218769A JP 2000035135 A JP2000035135 A JP 2000035135A JP 2000035135 A JP2000035135 A JP 2000035135A JP 2001218769 A JP2001218769 A JP 2001218769A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】食品が嚥下する際の咽頭部における食品物性
を、超音波を用いたドプラ法にて測定し評価するシステ
ムを提供すること。 【解決手段】人体咽頭部に当てられ、超音波を送波する
と共に反射超音波を受波する超音波プローブ10と、こ
の超音波プローブ10を送受波駆動すると共に反射波を
信号処理して人体咽頭部を通過する前記食品の運動情報
をドプラ法により測定する本体100とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、嚥下困難者にふさ
わしい食品か否かの判断の指標を与える嚥下物性評価シ
ステムに係り、特に、超音波を利用して食品の嚥下物性
を評価する超音波嚥下物性評価システムに関する。
【0002】
【従来の技術】食品の物性評価法には、粘度計を用いた
評価法、レオメーターを用いた評価法等が知られてい
る。
【0003】例えば、特開平11−75769号公報に
は、食品物性評価項目に「硬さ」を利用した例が記載さ
れている。
【0004】しかし、かかる例における評価は、口腔外
での物性評価にすぎず、人が食べているときの物性評価
を行っているわけではない。すなわち、このような評価
方法は、食品を口腔外で測定しているため、食品単体の
物性を評価しているにすぎず、嚥下時の物性評価を行な
っているわけではない。
【0005】また、人が実際に食べているときの食品物
性評価法として、そしゃく筋などの筋電位の測定による
評価法が一般的に知られている。
【0006】例えば特開昭57−43730号公報及び
特開平1−270865号公報には、人が実際に食べて
いるときの食品物性を評価する方法が記載されている。
【0007】しかし、かかる例は、そしゃく筋の筋電位
を測定することにより、そしゃく時の食品物性を評価す
ることが主目的であり、嚥下時の物性評価をしているわ
けではない。すなわち、上述した例では、口腔内の食
感、付着性、弾力性などのそしゃく時の評価が主目的で
あり、人が飲み下すときの食品物性の評価が加わってい
ないものである。
【0008】一方、人が実際に食品を飲み下したときの
評価法として、食品の嚥下の様子をX線透視し、該透視
映像をビデオカメラで収録し、嚥下機能の観察を行う評
価も行なわれている。
【0009】しかし、かかる手法は、測定者及び被検者
ともに、負担が多く、手軽には行なえない難しい技術で
ある。またこの方法では食品の嚥下時の速度などの測定
は難しい。すなわち、嚥下障害が起こっている個所の特
定等を行うための観察にすぎないからである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来に
おいては、人が嚥下する時の咽頭部における食品物性そ
のものを評価する手法は存在しないが、今後、嚥下困難
者等にふさわしい安全な嚥下障害対応食品の開発を進展
させる上で、かかる評価システムの出現が望まれるとこ
ろである。
【0011】本発明の目的は、人が嚥下する時の咽頭部
における食品物性を、超音波を利用して評価する超音波
嚥下物性評価システムを提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明は、人体咽頭部を通過する食品の運動情報を
超音波によって体外より測定し当該食品の嚥下物性を評
価するシステムであって、前記人体咽頭部に当てられ、
超音波を送波すると共に反射超音波を受波する超音波プ
ローブと、この超音波プローブを送受波駆動すると共に
反射波を信号処理して前記人体咽頭部を通過する前記食
品の運動情報をドプラ法により測定する本体とを具備す
る。
【0013】また本発明における前記本体は、前記運動
情報として前記食品の最高流速比、平均流速比及びドプ
ラ流速スペクトル面積比のうち少なくとも一つを測定す
る手段を具備することができる。
【0014】さらに本発明の前記本体は、前記運動情報
として前記食品の最高流速比、平均流速比及びドプラ流
速スペクトル面積比のうち少なくとも一つを測定すると
共に該測定データと予め保持した基準データとを比較す
ることにより前記食品の嚥下物性を評価する手段を具備
することができる。
【0015】またさらに本発明の前記本体は、前記超音
波プローブをBモードにて送受波駆動すると共に該Bモ
ードによる断層像情報を生成する手段を具備することが
できる。
【0016】本発明は、測定時の人体の基本姿勢とし
て、食品を飲み込むことができる姿勢に保ち、超音波プ
ローブを、人体咽頭部つまり喉の筋肉など食品以外の動
きの影響を受け難い場所に当てることが望ましい。また
食品物性の評価のためのパラメータとして、食品が人体
咽頭部を嚥下する際の最高流速比、平均流速比及びドプ
ラ流速スペクトル面積比のうち少なくとも一つを測定す
る。
【0017】本発明においては、従来のように食品の物
性を生体外で機器分析するのと比べて、実際に食品を飲
み下した時の当該食品の平均流速比、最高流速比、ドプ
ラ流速スペクトル面積比の測定を行なうので、嚥下障害
者向け食品の物性評価をより正確な指標として得ること
ができるものであり、また、個々の食品について、嚥下
時の物性特性を評価することができる。さらに、嚥下困
難者にふさわしい食品か否かの判断の指標となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下本発明に係る超音波嚥下物性
評価システムの一実施形態を図面を参照して説明する。
【0019】図1は、本実施形態の超音波嚥下物性評価
システムを用いて、人体咽頭部を通過する食品の運動情
報を超音波ドプラ法により測定し且つ評価する実施状況
を示すものである。
【0020】本システムは、人体Pの咽頭部NEに当て
られ、超音波を送波すると共に反射超音波を受波する超
音波プローブ10と、この超音波プローブ10を送受波
駆動すると共に反射波を信号処理して前記咽頭部を通過
する前記食品の運動情報をドプラ法により測定する超音
波嚥下物性評価システム本体(以下本体という)100
とからなる。また、本体100には、必要に応じてVT
R200及びプリンタ300が接続されている。さら
に、本体100には、超音波プローブ10から導出され
たケーブル100Aがコネクタ等を介して接続されてい
る。
【0021】なお、一例として、被検者である人体P
は、椅子500に背筋を伸ばし、つまり背中、頸部、頭
部を垂直に保って座っている。椅子500の近傍には、
三脚400A及び延長ロッド400Bからなるプローブ
支持機構400が置かれる。三脚400Aの頂部に、取
付角度が任意に設定可能にして延長ロッド400Bの一
端部が支持され、その他端部には、本体100から導出
されたケーブル100Aの先端の超音波プローブ10が
取り付けられる。
【0022】超音波プローブ10は、微小の超音波振動
子を配列したものであり、本実施形態では、医用超音波
システムで用いられる、いわゆるリニアスキャンプロー
ブを使用する。この超音波プローブ10は、その超音波
送受波面が人体Pの人体咽頭部NEに当てられる。一般
に、超音波減衰を少なくするために超音波プローブ10
の超音波送受波面と人体咽頭部の皮膚との間にはゼリー
10Aが塗られる。
【0023】ここで超音波ドプラ法の原理図を図2に示
す。図2において、例えば、食道GU内を食品である移
動体MTが速度vで移動する。この食道GUに角度θ
で、周波数foの超音波ビームを送受すると、移動体MT
の移動に基づくドプラ効果を受けて反射波は周波数fo+
fdとなる。 このときのfdはドプラ偏位周波数と称さ
れ、ドプラ情報とされる。ドプラ計測装置は、ドプラ情
報に基づき移動体MT等の運動情報を計算し、表示する
ようにしている。
【0024】一方、咽頭部NEは、食道、気管、頸動脈
が存在するが、本発明にあって超音波プローブ10で測
定するドプラ情報は、専ら食道を嚥下する食品からのも
のを取得するものなので、超音波プローブ10からの送
受波ビームと食道とが適格に位置決めされる必要があ
る。このため、食道と他の器官との峻別を行うために断
層像の視野が広くとれるリニアスキャンプローブは好適
である。発明者らは、超音波プローブ10の振動子配列
方向(プローブの長手方向)が、食道の伸長方向に直交
し且つビーム送受波方向が食道の伸長方向に対して20
度傾くように、プローブ支持機構400を調整して超音
波プローブ10を人体咽頭部NEに当てている。
【0025】もっとも、食道の伸長方向に沿う方向に超
音波ビームが送受されると大きいドプラ効果が現れるこ
とから、前述したビーム送受波方向の角度(20度)に
とらわれることなく、適宜変更し得るものである。ま
た、発明者らは、パルスドプラ法を採用し且つ断層像の
視野を広くとるためにリニアスキャンプローブを用いた
が、他の形式のプローブとして例えばセクタスキャンプ
ローブや頸部形状に合致した送受波面を有するプローブ
又は連続波ドプラ法が適用されるプローブを用いること
ができる。
【0026】図3は、画面に現れた断層像を示してお
り、断層像を得るべくBモード動作させつつ超音波プロ
ーブ10を人体咽頭部NEに当てて、画面の右に頸動
脈、中央に食道及び左に気管が現れるように超音波プロ
ーブ10と咽頭部NEとの位置決めを行う。
【0027】図4は、図3にて位置決めしたときの超音
波プローブ10と咽頭部NEとの位置関係を模式的に示
している。
【0028】図5は、食道と超音波プローブ10のビー
ム角との関係を示している。
【0029】一方、図6に示すように、超音波プローブ
10を一端に接続したケーブル100Aの他端が接続さ
れた本体100は、超音波プローブ10をドプラ駆動の
一例としてパルスドプラ駆動する送信部110と、超音
波プローブ10からの受信信号を受信処理する受信部1
20とを有する。
【0030】また本体100は、受信部120からの受
信信号に断層像を得るための処理を施すBモード処理部
130と、受信部120からの受信信号に信号処理を施
してドプラ評価情報を演算するドプラ評価演算部140
とを有する。
【0031】さらに本体100は、Bモード処理部13
0からの断層像情報とドプラ評価演算部140からのド
プラ評価情報とを取り込み、標準TVスキャンに変換す
るDSC(デジタル・スキャン・コンバータ)150
と、このDSC150の出力を表示するモニタ160と
からなる。
【0032】さらに、図7に示すように、ドプラ評価演
算部140は、ドプラ計算部141、パラメータ計算部
142、基準データ保持部143、比較部144からな
る。
【0033】ドプラ計算部141は、受信部120から
の受信信号に高速フーリエ変換処理、自己相関処理又は
相互関処理等の信号処理を施してドプラ偏位周波数をは
じめとしたドプラ情報を得る。
【0034】パラメータ計算部142は、ドプラ計算部
141で計算したドプラ情報に基づき人体咽頭部を通過
する食品の運動情報を示すパラメータとして、食品の最
高流速比と、平均流速比と、ドプラ流速スペクトル面積
比と、最高流速比と平均流速比の対比とを計算する。
【0035】基準データ保持部143は、取得過程は後
述する食品の運動情報を示すパラメータの基準データと
して最高流速比の基準データ、平均流速比の基準デー
タ、ドプラ流速スペクトル面積比の基準データ、最高流
速比と平均流速比との対比の基準データを保持してい
る。
【0036】発明者らは、基準データ保持部143に保
持される基準データを次のようにして取得した。この基
準データは、食品が嚥下する際に実際に測定された運動
情報と比較されて食品の嚥下物性を評価するためのデー
タである。発明者らは、既に医療機関等で適不適の評価
が定まっている複数の食品の嚥下時の運動情報を測定
し、適とされている食品と不適とされている食品との峻
別を、測定した運動情報の値で境界付けすることを試み
たものである。
【0037】医療機関等で不適と評価されている食品試
料としては、水やウーロン茶等の無調整液体と、砕0.
8%寒天(砕0.8%の茶寒天をスプーンでクラッシュ
したもの)とを使用した。
【0038】医療機関等で適と評価されている食品試料
としては、砕2.0%ゼラチンゼリー(砕2.0%の茶
ゼラチンゼリーをスプーンでクラッシュしたもの)と、
ヨーグルトと、そしゃく5分粥(そしゃく回数10)
と、プリン(市販のカッププリンを舌で5回押し潰した
もの)と、そしゃく全粥(そしゃく回数10)と、トロ
ミ付き液体(カスタードクリーム状にしたウーロン茶)
とを使用した。
【0039】これら8種の食品を、実際に被検者に嚥下
してもらい且つ本システムにより食品の運動情報を示す
パラメータである最高流速比と、平均流速比と、ドプラ
流速スペクトル面積比とを計算した。
【0040】また、測定条件としては、摂取する食品は
一回に飲み下す量を一定量にして飲み下すものとする。
測定場所(超音波プローブの当て位置)は下咽頭部(喉
頭蓋から食道部)が喉の筋肉など他の動きの影響を受け
難く、測定が至便である。超音波プローブの当て方は、
水平に対する角度を固定して、鎖骨のすぐ上部分が望ま
しい。
【0041】このときBモードで画面上の右に頸動脈、
中央に食道、左に気管がくるように、超音波プローブの
向き及び位置を調整することが望ましい(図3〜図5を
参照)。さらに空嚥下(何も口にしない状態での嚥下)
において測定の妨害になるドプラ流速スペクトルが無い
ことを測定毎に確認することが望ましい。
【0042】図8は本システムで測定される、ドプラ流
速スペクトルを示しており、縦軸が速度、横軸が時間で
ある。またスペクトルには、各速度の食品粒子数を明る
さで示している。従って、図9に示すように、ドプラ情
報は輝度と速度とで規定される図形でも示される。
【0043】図10に示すように、最高流速比は、1回
の嚥下における最高流速又はその指標となる速度を求
め、水の値との比で表している。図10によると、医療
機関等で不適と評価されている無調整液体は1.0、砕
0.8%寒天は0.75であり、医療機関等で適と評価
されている砕2.0%ゼラチンゼリー、ヨーグルト、そ
しゃく5分粥、プリン、そしゃく全粥及びトロミ付き液
体は、いずれも0.75を超えない値であり、しかも
0.75の食品を境に各食品の値には顕著な差があると
認められた。よって、発明者らは、最高流速比が0.7
5を超える値の食品は、嚥下に好ましくない物性を有す
るものと判断した。
【0044】図11に示すように、平均流速比は、1回
の嚥下における平均流速又はその指標となる速度を求
め、水の値との比で表している。図11によると、医療
機関等で不適と評価されている無調整液体は1.0、砕
0.8%寒天は0.75であり、医療機関等で適と評価
されている砕2.0%ゼラチンゼリー、ヨーグルト、そ
しゃく5分粥、プリン、そしゃく全粥及びトロミ付き液
体は、いずれも0.75を超えない値であり、しかも
0.75の食品を境に各食品の値には顕著な差があると
認められた。
【0045】よって、発明者らは、平均流速比が0.7
5を超える値の食品は、嚥下に好ましくない物性を有す
るものと判断した。
【0046】図12に示すように、ドプラ流速スペクト
ル面積比は、得られたドプラ流速スペクトルの面積をピ
クセル数をカウントすること等により求め、水との比で
表している。図12によると、医療機関等で不適と評価
されている無調整液体は1.0、砕0.8%寒天は0.
95であり、医療機関等で適と評価されている砕2.0
%ゼラチンゼリー、ヨーグルト、そしゃく5分粥、プリ
ン、そしゃく全粥及びトロミ付き液体は、いずれも0.
95を超えない値であり、しかも0.95の食品を境に
各食品の値には顕著な差があると認められた。
【0047】よって、発明者らは、ドプラ流速スペクト
ル面積比が0.95を超える値の食品は、嚥下に好まし
くない物性を有するものと判断した。
【0048】嚥下に好ましい食品の物性とは、食品が咽
頭部をゆっくりまとまって通過することであり、本発明
により測定されるパラメーターが、前述した値を超える
値であると、嚥下に好ましくない物性を有する食品であ
ることがわかった。
【0049】さらに、発明者らは、各パラメータの対比
を検討した。
【0050】先ず、食品毎の最高流速比と平均流速比と
の対比を検討した。図13に示すように、医療機関等で
不適と評価されている無調整液体及び砕0.8%寒天
と、医療機関等で適と評価されている砕2.0%ゼラチ
ンゼリー、ヨーグルト、そしゃく5分粥、プリン、そし
ゃく全粥及びトロミ付き液体とは、分布領域が異なると
判断することができる。図示の斜線部領域に位置する食
品は、嚥下物性が好ましくないと判断できる。
【0051】次に、食品毎の平均流速比とドプラ流速ス
ペクトル面積比との対比を検討した。図14に示すよう
に、医療機関等で不適と評価されている無調整液体及び
砕0.8%寒天と、医療機関等で適と評価されている砕
2.0%ゼラチンゼリー、ヨーグルト、そしゃく5分
粥、プリン、そしゃく全粥及びトロミ付き液体とは、分
布領域が異なると判断することができる。図示の斜線部
領域に位置する食品は、嚥下物性が好ましくないと判断
できる。
【0052】次に、食品毎の最高流速比とドプラ流速ス
ペクトル面積比との対比を検討した。図15に示すよう
に、医療機関等で不適と評価されている無調整液体及び
砕0.8%寒天と、医療機関等で適と評価されている砕
2.0%ゼラチンゼリー、ヨーグルト、そしゃく5分
粥、プリン、そしゃく全粥及びトロミ付き液体とは、分
布領域が異なると判断することができる。図示の斜線部
領域に位置する食品は、嚥下物性が好ましくないと判断
できる。
【0053】上述し且つ図10〜図13で示した嚥下物
性の判断基準であるデータが、図7に示す基準データ保
持部143に予め保持されている。なお、図13〜図1
5に示した各パラメータの対比のうちで、基準データ保
持部143には、図13に示す最高流速比と平均流速比
との対比だけを基準データとして保持したが、多くの比
較を行う場合には、図14及び図15に示すパラメータ
の対比を保持することもできる。
【0054】次に上記のように構成された本実施形態の
システムの動作を図16を参照して説明する。図16に
示すように、ステップS1として、プローブの位置決め
を行う。すなわち、先に図示し且つ述べたように、超音
波プローブ10と咽頭部NEとの位置関係をBモードに
よる断層像にて確認しながら、移動体である食品の運動
情報を的確に捉えるように超音波プローブ10を咽頭部
NEに当てる。
【0055】次に、ステップS2として、被検者に実際
に供試食品を嚥下をしてもらう。
【0056】次に、ステップS3として、本システムに
よりドプラ情報の演算をし、ステップS4として、最高
流速比、平均流速比、ドプラ流速スペクトル面積比、最
高流速比と平均流速比との対比に関するパラメータを計
算する。
【0057】次に、ステップS5として、比較・評価表
示を行う。
【0058】図17は、本システムの比較・評価表示で
ある画面表示160Aの一例を示しており、供試食品F
1〜F5につき、最高流速比と、平均流速比と、ドプラ
流速スペクトル面積比と、最高流速比と平均流速比との
対比とを測定している。
【0059】ここで、最大流速比については0.75を
超える値、平均流速比についは0.75を超える値及び
ドプラ流速スペクトル面積比については0.95を超え
る値は嚥下に適していないとして例えば×で表示が行わ
れる。○表示は嚥下に適していると判断された場合を示
している。
【0060】また、画面表示160Aでは、最高流速比
と平均流速比との対比も行われ、上述と同様に、嚥下に
適しているか否かを例えば○×で表示が行われる。
【0061】さらに、特定の供試食品F1についてドプ
ラ流速スペクトル等が表示される。なお、斜線部は、測
定データが基準データに適さないことを示している。
【0062】以上のように本実施形態によれば、頸部を
流れる食品を超音波パルスドプラ法により直接咽頭部を
流れる食品の最高流速比、平均流速比、ドプラ流速スペ
クトル面積比及び最高流速比と平均流速比との対比等の
パラメータを測定し、これらと基準データとを比較する
ことにより、従来の食品を直接測定することによって判
断していた嚥下物性評価に比べて、生体内での食品の物
性を安全且つ正確に評価することができる。
【0063】本実施形態の評価法を用いることにより、
様々な食品が持つ物性について嚥下障害に適しているか
の判断ができ、さらに嚥下障害者に安全な物性を持つ食
品を提供することができ、もって、嚥下障害者が口から
食べる喜びを与え、QOL(Quality Of Life:生活の
質)の向上に貢献するものである。
【0064】なお、上述した本実施形態のシステムの例
では、パラメータとして、最高流速比、平均流速比、ド
プラ流速スペクトル面積比、最高流速比と平均流速比と
の対比の4つを用いたが、これに限ることなくドプラ流
速スペクトル面積比と平均流速比との対比及びドプラ流
速スペクトル面積比と最高流速比との対比を用いること
もできる。また、これ以外の一つ又は2以上のパラメー
タの組合せを用いることができる。
【0065】また、発明者らは、嚥下の評価に用いるこ
とができると判断した6つのパラメータのうち、特に最
高流速比、平均流速比、ドプラ流速スペクトル面積比に
ついては高い評価精度を得られるものと考える。
【0066】
【発明の効果】以上のように本発明においては、人体咽
頭部に当てられ、超音波を送波すると共に反射超音波を
受波する超音波プローブと、この超音波プローブを送受
波駆動すると共に反射波を信号処理して前記人体咽頭部
を通過する前記食品の運動情報をドプラ法により測定す
る本体とを具備したことにより、食品が嚥下する際の咽
頭部における食品物性を、超音波を利用して評価する超
音波嚥下物性評価システムを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波嚥下物性評価システムの一
実施形態を示す概略図。
【図2】超音波ドプラ法の原理を示す図。
【図3】人体咽頭部の断層像の表示例を示す図。
【図4】本発明における人体咽頭部と超音波プローブと
の関係を示す模式図。
【図5】本発明における食道と超音波ビームとの関係を
示す図。
【図6】本実施形態の超音波嚥下物性評価システムの詳
細なブロック図。
【図7】同実施形態におけるドプラ評価演算部の詳細な
ブロック図。
【図8】ドプラ情報の一波形を示す図。
【図9】ドプラ情報の一例を示す図。
【図10】各食品毎の最高流速比を示す図。
【図11】各食品毎の平均流速比を示す図。
【図12】各食品毎のドプラ流速スペクトル面積比を示
す図。
【図13】各食品毎の最高流速比と平均流速比との対比
を示す図。
【図14】各食品毎の平均流速比とドプラ流速スペクト
ル面積比との対比を示す図。
【図15】各食品毎の最高流速比とドプラ流速スペクト
ル面積比との対比を示す図。
【図16】本システムの動作手順を示す流れ図。
【図17】本システムの表示例を示す図。
【符号の説明】
10…超音波プローブ、10A…ゼリー、100…超音
波嚥下物性評価システム本体、100A…ケーブル、1
10…送信部、120…受信部、130…Bモード処理
部、140…ドプラ評価演算部、141…ドプラ計算
部、142…パラメータ計算部、143…基準データ保
持部、144…比較部、150…DSC、160…モニ
タ、160A…表示画面、200…VTR、300…プ
リンタ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中沢 文子 東京都杉並区高円寺南3丁目16番30号 Fターム(参考) 4C301 DD04 EE20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人体咽頭部を通過する食品の運動情報を
    超音波によって体外より測定し当該食品の嚥下物性を評
    価するシステムであって、 前記人体咽頭部に当てられ、超音波を送波すると共に反
    射超音波を受波する超音波プローブと、 この超音波プローブを送受波駆動すると共に反射波を信
    号処理して前記人体咽頭部を通過する前記食品の運動情
    報をドプラ法により測定する本体とを具備する超音波嚥
    下物性評価システム。
  2. 【請求項2】 前記本体は、前記運動情報として前記食
    品の最高流速比、平均流速比及びドプラ流速スペクトル
    面積比のうち少なくとも一つを測定する手段を具備する
    請求項1記載の超音波嚥下物性評価システム。
  3. 【請求項3】 前記本体は、前記運動情報として前記食
    品の最高流速比、平均流速比及びドプラ流速スペクトル
    面積比のうち少なくとも一つを測定すると共に該測定デ
    ータと予め保持した基準データとを比較することにより
    前記食品の嚥下物性を評価する手段を具備する請求項1
    記載の超音波嚥下物性評価システム。
  4. 【請求項4】 前記本体は、前記超音波プローブをBモ
    ードにて送受波駆動すると共に該Bモードによる断層像
    情報を生成する手段を具備する請求項1乃至3のいずれ
    か一項記載の超音波嚥下物性評価システム。
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