JP2001217606A - 分布定数フィルタ - Google Patents

分布定数フィルタ

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JP2001217606A
JP2001217606A JP2000024760A JP2000024760A JP2001217606A JP 2001217606 A JP2001217606 A JP 2001217606A JP 2000024760 A JP2000024760 A JP 2000024760A JP 2000024760 A JP2000024760 A JP 2000024760A JP 2001217606 A JP2001217606 A JP 2001217606A
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coupling
filter
microstrip line
diagonal
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Shigeki Takeda
重喜 武田
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 λ/4結合マイクロストリップ線路は分布定
数フィルタを容易に構成できる回路要素であるが、伝送
特性の正負の位相を正確には制御できないことから、飛
び越し結合を含む帯域通過フィルタに用いることが困難
であった。 【解決手段】 通過帯域の中心周波数に対応するλ/4
結合マイクロストリップ線路M1〜M3を、それぞれ一
方の対角の各ポートを接続ポートとし、他方の対角の各
ポートを開放として順次、縦続接続し、隣接するλ/4
結合マイクロストリップ線路M1〜M3間で接続ポート
同士が接続されて成る共振器長がλ/2のマイクロスト
リップ線路共振器O1・O2を形成するとともに、少な
くとも1組以上の他方の対角の各ポートを短絡し、残り
の他方の対角の各ポートを開放とした分布定数フィルタ
である。また、少なくとも2個以上のλ/4結合マイク
ロストリップ線路を飛び越したポート間に飛び越し結合
回路を接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は移動体通信機等のR
F段等に妨害信号や雑音の除去のために帯域通過フィル
タとして使用される分布定数フィルタに関し、詳しくは
通過帯域の振幅特性および群遅延特性が同時平坦特性で
かつ阻止帯域に伝送零点を有し、構造を簡素化して損失
を抑えて性能を改善した帯域通過フィルタを構成するの
に好適な分布定数フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】アナログあるいはデジタル携帯電話や無
線電話をはじめとする移動体通信機等の送信回路および
受信回路のRF段等の高周波回路部には、例えば同一の
アンテナを送信回路と受信回路で共用する場合に送信周
波数帯域と受信周波数帯域を分離するため、あるいは増
幅回路の非直線性に基づいて発生する高調波を減衰させ
るため、希望の信号波以外の妨害波・側帯波等の不要信
号波を排除するためなどに、帯域通過フィルタ(バンド
パスフィルタ:BPF)がよく使われる。
【0003】一般に、理想特性のフィルタは、希望信号
を歪み無く選択し、帯域外の妨害信号を十分に抑圧する
特性を有するものである。この特性は、図2(a)にフ
ィルタの振幅特性を、同図(b)にフィルタの群遅延特
性をそれぞれ線図で示すように、通過帯域の振幅特性お
よび群遅延特性が同時平坦特性で、かつ阻止帯域に伝送
零点である減衰極を有する特性である。従来、こうした
フィルタを実現するには複雑な回路構成が必要であっ
た。
【0004】また、このような特性の帯域通過フィルタ
を明確な設計理論で直接構成する手法は従来知られてお
らず、種々の工夫をして経験的にフィルタを構成するこ
とが行なわれていた。
【0005】一方、このような通信機用フィルタとして
の帯域通過フィルタは、一般に種々の回路素子により構
成された直列共振回路や並列共振回路を複数段接続する
ことにより所望の帯域特性を有するフィルタ回路として
実現されて構成されているが、フィルタ回路部が小型に
できることや高周波回路としての電気特性が良好である
ことなどから、結合マイクロストリップ線路やパッチ共
振器等の不平衡分布定数線路によりフィルタ回路部が構
成されることが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えば、結合マイクロ
ストリップ線路を用いれば、減衰極を持たない特性の帯
域通過フィルタを容易に実現できる。一般のλ/4(1
/4波長)結合マイクロストリップ線路による複数の共
振器を結合させる構造のフィルタは、結合構造が画一的
で自由度が少なく、後述する正あるいは負の結合リアク
タンス素子の符号を自由には選ぶことができない。例え
ば、並列素子と直列素子とからなる梯子型のフィルタ
を、実現しやすい並列型の素子のみに結合回路に相当す
る虚ジャイレータを用いて変換する例を図3に示す。図
3(a)は3次フィルタの例を示す回路図であり、同図
(b)はそれと厳密に等価な、虚ジャイレータを用いた
3次フィルタの例を示す回路図である。
【0007】この場合、図3(a)から(b)への等価
変換を正確に行なうと、2つの虚ジャイレータの符号は
互いの正負を逆にしなければならない。すなわち、厳密
には結合リアクタンス素子の符号は正と負の2種類必要
となる。これに相当するλ/4結合マイクロストリップ
線路の結合構造を得ることは困難である。
【0008】しかし、減衰極を持たない単純な特性のフ
ィルタでは、フィルタ回路中に飛び越し結合が無いため
に伝送特性の正負の正確な管理の必要は無く、虚ジャイ
レータの符号は正のみあるいは負のみでよく、あるいは
正負を入れ替えても差し支えない。その結果、λ/4結
合マイクロストリップ線路による複数の共振器を同じ方
式で順次結合させる構造でも所望のフィルタ回路を問題
なく実現できる。
【0009】一方、フィルタ特性に減衰極を持ったり、
群遅延特性と振幅特性を制御しなければならない複雑な
特性のフィルタでは、フィルタ回路中に飛び越し結合の
構造が必要となり、伝送特性の正負の位相の正確な制御
が必要となる。このため、伝送特性の正負の位相の制御
ができないλ/4結合マイクロストリップ線路をフィル
タ回路を構成する回路要素として使用することが困難で
あり、λ/4結合マイクロストリップ線路を用いてフィ
ルタ回路を構成した分布定数フィルタにおいて、所望の
減衰極を作ったり、振幅や群遅延時間の補正回路を形成
することが困難であった。
【0010】これに対し、本発明者は特願平11−236068
号において、フィルタ理論に忠実であり、複数の共振器
を負あるいは正のリアクタンス素子で順次結合あるいは
飛び越し結合する形をしており、負の結合リアクタンス
素子として容量を、正の結合リアクタンス素子としてイ
ンダクタを用いた分布定数フィルタを提案した。
【0011】しかし、この分布定数フィルタにおいて
も、分布定数回路で負の結合リアクタンス素子に相当す
る容量と正の結合リアクタンス素子に相当するインダク
タとを形成するには、異なった形状のパターンあるいは
スルーホール等を用いる異なった構造が必要であるた
め、これらを同程度の精度・複雑さで実現することが困
難であるという改善すべき点を有していた。
【0012】また、従来より、伝送特性の正負の位相を
配慮しなくても特性上支障のないフィルタ回路を構成す
るのに適しているλ/4結合マイクロストリップ線路回
路を、伝送特性の正負の位相を正確に合わせることがで
きる結合マイクロストリップ線路として分布定数フィル
タに使用しようとする試みが行なわれている。
【0013】しかしながら、このλ/4結合マイクロス
トリップ線路回路を用いた分布定数フィルタでは、所望
のフィルタ特性を得るためのフィルタ合成の正確な設計
手法が知られていないため、設計が近似的であることか
ら近似的な特性しか得られず、特性が不十分であるとい
う問題点があった。
【0014】本発明は以上の問題点に鑑みて案出された
ものであり、その目的は、伝送特性の正負の位相を正確
に合わせることで設計値通りの飛び越し結合を実現する
ことができて、それによって帯域特性に減衰極を作った
り振幅や群遅延時間の補正を行なうことができ、その結
果、通過帯域特性において振幅特性と群遅延特性とが同
時平坦特性であり、かつ阻止帯域に伝送零点を持つ帯域
通過特性を有し、正確な設計手法により設計し簡単な回
路で構成して実現することができるとともに、低素子感
度で低損失な特性の分布定数フィルタを提供することに
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の分布定数フィル
タは、通過帯域の中心周波数に対応する1/4波長結合
マイクロストリップ線路をn(nは3以上の整数)個、
それぞれ一方の対角の各ポートを接続ポートとして順
次、縦続接続し、隣接する前記1/4波長結合マイクロ
ストリップ線路間で前記接続ポート同士が接続されて成
る共振器長が1/2波長のマイクロストリップ線路共振
器を形成するとともに、少なくとも1個以上の前記1/
4波長結合マイクロストリップ線路の他方の対角の各ポ
ートを短絡し、残りの1/4波長結合マイクロストリッ
プ線路の他方の対角の各ポートを開放としたことを特徴
とするものである。
【0016】また、本発明の分布定数フィルタは、上記
構成において、少なくとも2個以上の前記1/4波長結
合マイクロストリップ線路を飛び越したポート間に飛び
越し結合回路を接続したことを特徴とするものである。
それぞれ両端においてλ/4長だけ隣り合うマイクロス
トリップラインと結合し
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の分布定数フィルタによれ
ば、縦続接続したn個の1/4波長マイクロストリップ
線路により構成した共振器長が1/2波長のマイクロス
トリップ線路共振器のうち、少なくとも1個以上の1/
4波長結合マイクロストリップ線路の他方の対角の各ポ
ートを短絡し、残りの1/4波長結合マイクロストリッ
プ線路の他方の対角の各ポートを開放としたことから、
帯域通過フィルタの他の回路特性を全く変化させること
無く、伝送特性の位相を容易に反転させることができる
ものとなる。これにより、伝送特性の正および負の位相
の切り替えをほとんど同じ回路構成で実現することがで
きる。
【0018】また、本発明の分布定数フィルタによれ
ば、少なくとも2個以上の1/4波長結合マイクロスト
リップ線路を飛び越したポート間に電界結合あるいは磁
界結合による飛び越し結合回路を接続したことから、こ
の飛び越し結合回路で共振器間の伝送特性の位相を制御
することにより、同じ形態の飛び越し結合回路のみで所
望の減衰極を作ったり、振幅や群遅延時間を補正するこ
とができ、所望のフィルタ特性を有する分布定数フィル
タを容易に実現することができる。これらの飛び越し結
合は、2重あるいは3重のようにマルチ飛び越し結合の
形、あるいは飛び越し結合を含む複数の多共振器形フィ
ルタをカスケードに接続した形でも実現できる。
【0019】このような本発明の分布定数フィルタによ
れば、設計理論上では、伝達特性を示す回路網関数の分
子有理多項式の実根または虚根に相当する回路部を上記
構成の多共振子フィルタで実現するものとなることか
ら、理論的に正確に、かつフィルタの構造を簡素化し損
失を抑えて性能を改善して、所望のフィルタ特性を有す
るフィルタ回路を分布定数素子によって構成し実現する
ことができる。なお、以後の説明では、次の数1に示す
ように、回路網関数をsパラメータを用いて示すものと
する。
【0020】
【数1】
【0021】以下、本発明の分布定数フィルタの実施の
形態の一例として、通過帯域で振幅特性と群遅延特性が
同時平坦で、かつ阻止帯域で伝送零点(減衰極)を有す
るフィルタの設計例を示す。
【0022】このフィルタの例として、フィルタの伝達
特性を表す回路網関数s21の分子有理多項式f(s)は
4次、分母有理多項式g(s)は8次とする。
【0023】フィルタが無損失とすると、Sマトリクス
はユニタリマトリクスとなり、残りの多項式h(s)が
定まる。これより入力インピーダンスあるいは入力アド
ミタンスが定まり、これらをはしご形回路に展開するこ
とで基準化低域通過フィルタが定まる。その例を図4に
回路図で示す。
【0024】ここで、分母有理多項式g(s)の次数が
はしご形回路の段数に相当し、この例では8次8段であ
る。分子有理多項式の根のペアの数が、伝送零点(減衰
極)ができるよう並列あるいは直列に接続された共振回
路の数であり、この例では2である。
【0025】この基準化低域通過フィルタを虚ジャイレ
ータを用いて等価変換すると、図5に回路図で示すよう
な、基準化低域通過フィルタを得る。なお、図5におい
て虚ジャイレータの符号を示していないのは、この場合
は虚ジャイレータの符号を指定することに意味が無い
か、または正負の両方を取り得ることを示している。以
下の図でも同様な表記を行なうものとする。
【0026】図5の2つの並列共振回路はs21の分子有
理多項式f(s)の根に相当する。さらに、図5の点線
で囲まれた部分を図6(a)に示す回路から同図(b)
に示す飛び越し結合を含む回路へ等価変換を行なう。こ
の図6の等価変換においては、実軸上の根のペアの場合
と虚軸上の根のペアの場合とでは虚ジャイレータの符号
が異なることとなる。この図6の等価変換を図5の回路
に適用して等価変換した基準化低域通過フィルタの例
を、図7に回路図で示す。
【0027】さらに、図7中のインダクタを虚ジャイレ
ータを用いて容量に等価変換を行なう。この等価変換後
の基準化低域通過フィルタの回路図を図8に示す。
【0028】図8においては、この場合の虚ジャイレー
タの符号の選び方には自由度がある。この例では順次結
合回路の虚ジャイレータの符号を負に揃えてあり、飛び
越し結合回路の虚ジャイレータの符号が互いに異なって
いる。
【0029】次に、このままでは飛び越し結合回路の虚
ジャイレータの符号が異なり、実際の回路にした場合に
実現しにくいため、さらに以下の変換を行なう。
【0030】まず、順次結合回路の虚ジャイレータを、
等価変換を行なって、できるだけ同じ符号で揃える。こ
の例ではできるだけ正に揃えてある。また、飛び越し結
合の虚ジャイレータの符号を揃える。この例では正に揃
えてある。
【0031】なお、虚ジャイレータの符号を考慮する
と、図9(a)に示す虚ジャイレータは、同図(b)に
示す定リアクタンス素子のπ型等価回路で実現できる。
【0032】ここで周波数変換してこの基準化低域通過
フィルタを帯域通過フィルタに変換すると、図10に回路
図で示すような帯域通過フィルタとなる。この例では、
入力ポートと出力ポートの形の対称性を良くする目的
で、各入力ポートに虚ジャイレータを加えてある。この
場合、入力インピーダンスは入力アドミタンスに変換さ
れることとなるが、フィルタの伝送特性は変らない。こ
の帯域通過フィルタでは、8個の共振器が虚ジャイレー
タにより順次結合されており、さらに2つの飛び越し結
合回路で伝送零点が実現されている。なお、飛び越し結
合回路の役割をする虚ジャイレータの符号は正に揃えて
ある。
【0033】図10の回路は、数値は異なるが、回路図に
おける右半分と左半分とは同様な構成となっており、順
次結合の真ん中の虚ジャイレータの符号のみが異なった
ものとなっている。従って、このような回路構成の帯域
通過フィルタにおいては、順次結合の中間部に虚ジャイ
レータの符号を反転させるのに相当する回路を加えれ
ば、右半分の回路と左半分の回路とは同様の回路で構成
することができる。このため、飛び越し結合回路の部分
を同じ構造の回路とすることができ、実際の回路を実現
することが容易となる。
【0034】このように、本発明の分布定数フィルタに
よれば、順次結合で構成される分布定数フィルタの中央
部に伝送特性の位相反転機能を有する回路を加えて、帯
域通過フィルタの伝送特性の位相を制御することができ
る。また、電界結合または磁界結合による飛び越し結合
回路を接続することにより、減衰極・振幅・群遅延時間
を制御することができるものとなる。
【0035】次に、図10の回路図における右半分の順次
結合の回路と左半分の順次結合の回路とを、中央部で位
相反転する回路のみ異なる構成の回路で構成することを
考える。
【0036】ここで、図11に平面図で示すように、マイ
クロストリップ線路共振器を構成する1組のλ/4結合
マイクロストリップ線路について、接続ポートとなる一
方の対角のポートをポート1およびポート3、他方の対
角のポートをポート2およびポート4とする。この1組
のλ/4結合マイクロストリップ線路においては、ポー
ト2およびポート4は開放となっており、ポート1とポ
ート2とを1つの2ポートと見る。また、Zc,jとk
iは、それぞれ特性インピーダンスと結合係数である。
すると、ポート1とポート3間のFマトリクスは、数2
に示すものとなる。
【0037】
【数2】
【0038】一方、このFマトリクスに対する等価回路
の例として、図12に回路図で示すような、λ/4結合マ
イクロストリップ線路の狭帯域近似等価回路がある。こ
の図12に示す回路のFマトリクスは、数3に示すものと
なる。
【0039】
【数3】
【0040】次に、基準化低域通過フィルタにおいてy
i=jω・piとし、さらに、中心周波数ω0、帯域幅Δ
の帯域通過フィルタへ周波数変換を行なう。すなわち、
図8の並列容量を図10の並列共振回路へ変換することと
なる。この条件を直接に数2と数3に適用して、両者の
マトリクス成分を狭帯域近似すると、次の数4および数
5に示される結合係数・特性インピーダンスが定まる。
【0041】
【数4】
【0042】
【数5】
【0043】ここで着目しなければならないのは、ki
およびZc,jが実現可能な正の値になるためには、図12
中の虚ジャイレータの符号が正でなければならないこと
である。そして、図12に示される虚ジャイレータの符号
が正である限り、それと等価な図11に示されるλ/4結
合マイクロストリップ線路を順次、縦続接続(カスケー
ドに接続)することにより分布定数フィルタによる帯域
通過フィルタを構成することができる。そして、図10の
回路の中で、右半分の部分の順次結合による回路部分
は、図13に平面図で示すようなλ/4結合マイクロスト
リップ線路によるマイクロストリップ線路共振器によっ
て実現できる。
【0044】この例では、説明を容易にするために2次
の帯域通過フィルタの両端にインピーダンス変換用の虚
ジャイレータを接続した3段接続の構成としており、虚
ジャイレータの符号はいずれも正である。各段の特性イ
ンピーダンスZc,j、結合係数kiは次の数6〜数9に示
す条件で定められる。
【0045】
【数6】
【0046】
【数7】
【0047】
【数8】
【0048】
【数9】
【0049】そして、さらに両端に回路を付け足すこと
により、飛び越し結合が可能な回路構成となる。
【0050】しかし、図10の回路の中で、左半分の部分
の順次結合による回路部分は中央の虚ジャイレータの符
号のみ異なり負となっているため、λ/4結合マイクロ
ストリップ線路を順次カスケードに接続する方式では実
際の回路が実現できないこととなる。本発明はこの問題
点を解決すべく提案されたものである。
【0051】まず、図12に示されるλ/4結合マイクロ
ストリップ線路の等価回路において虚ジャイレータの符
号が負であるとする。一方、図14に平面図で示すよう
に、λ/4結合マイクロストリップ線路の接続ポートと
なる一方の対角のポートをポート1およびポート3、他
方の対角のポートをポート2およびポート4とする。こ
のポート2とポート4は短絡となっており、ポート1と
ポート2を1つの2ポートと見る。これにより、図14に
示すλ/4結合マイクロストリップ線路の回路のFマト
リクスは、数10に示すものとなる。
【0052】
【数10】
【0053】ここで、マトリクスの全ての成分に−の符
号がついていることに着目する。そこで、さらにこのλ
/4結合マイクロストリップ線路を図12の狭帯域近似等
価回路で置き換えると、各パラメータは数11および数12
のようになる。
【0054】
【数11】
【0055】
【数12】
【0056】これら数11および数12より、図12の虚ジャ
イレータkiの符号が負のときのみ等価回路で実現可能
なことが分かる。ここでは、図13との整合性を考慮し
て、2次の帯域通過フィルタの両端にインピーダンス変
換用の虚ジャイレータを接続した3段接続の構成になっ
ている。図13との相違点は、虚ジャイレータのうち1つ
の符号が負である点である。このような本発明の分布定
数フィルタの回路の実現例を図1に平面図で示す。
【0057】図1に示す例は、3個のλ/4結合マイク
ロストリップ線路M1〜M3が順次、縦続接続されて成
る共振器長がλ/2のマイクロストリップ線路共振器O
1・O2において、λ/4結合マイクロストリップ線路
M2の1組の他方の対角の各ポートを短絡し、残りのλ
/4結合マイクロストリップ線路M1・M3の他方の対
角の各ポートを開放としている。
【0058】図1の例では、ポートを短絡したλ/4結
合マイクロストリップ線路とポートを開放したλ/4結
合マイクロストリップ線路とが混在しているため、図13
の回路のように、数6〜数9のような単純な表現はでき
ないものとなる。しかし、各結合係数と特性インピーダ
ンスを適切に選ぶことで、数6〜数9による各パラメー
タによる図13の回路と、伝送特性の位相が逆転している
以外は、反射係数・振幅・群遅延特性といった伝送特性
は全く等しくすることができる。
【0059】このようにして複数のマイクロストリップ
線路共振器を順次結合あるいは飛び越し結合させて、分
布定数フィルタによる多共振器型帯域通過フィルタを構
成することにより、本発明の分布定数フィルタを実現す
ることができる。
【0060】なお、本発明は以上の実施の形態の例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で種々の変更・改良を加えることは何ら差し支えない。
例えば、ヘアピン型のマイクロストリップ線路を結合さ
せて構成してもよい。
【0061】
【発明の効果】以上のように、本発明の分布定数フィル
タによれば、通過帯域の中心周波数に対応する1/4波
長結合マイクロストリップ線路をn(nは3以上の整
数)個、それぞれ一方の対角の各ポートを接続ポートと
して順次、縦続接続し、隣接する1/4波長結合マイク
ロストリップ線路間で接続ポート同士が接続されて成る
共振器長が1/2波長のマイクロストリップ線路共振器
を形成するとともに、少なくとも1個以上の1/4波長
結合マイクロストリップ線路の他方の対角の各ポートを
短絡し、残りの1/4波長結合マイクロストリップ線路
の他方の対角の各ポートを開放としたことから、帯域通
過フィルタの他の回路特性を全く変化させること無く、
伝送特性の位相を容易に反転させることができる。これ
により、比較的単純な回路パターンで伝送特性の位相反
転を行なうことができる。
【0062】さらに、この性質を利用して、少なくとも
2個以上の1/4波長結合マイクロストリップ線路を飛
び越したポート間に飛び越し結合回路を接続して、共振
器間の結合・接続に飛び越し結合を加えることにより、
伝達関数の虚軸上の零点に相当する伝送零点を実現した
り、伝達関数の実軸上の零点に相当する振幅の補正を行
なう際に必要となる正確な伝達特性の位相の制御を簡単
な回路の変更のみで行なえるために、虚軸上の零点と実
軸上の零点を実現する飛び越し結合回路を、伝送特性の
位相反転を行なってもほぼ同じ構成で実現できる。
【0063】その結果、本発明の分布定数フィルタによ
れば、簡単な構造の回路構成でもって通過帯域で振幅特
性および群遅延特性が同時平坦特性で、かつ阻止帯域に
伝送零点(減衰極)を有する帯域通過フィルタとしての
分布定数フィルタを実現することができる。
【0064】また、回路構成が共用でき、単純であるこ
とから、低素子感度で低損失な特性の分布定数フィルタ
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分布定数フィルタの実施の形態におけ
る、負の虚ジャイレータを1個含む回路の実現例を示す
平面図である。
【図2】(a)および(b)は,それぞれ帯域通過フィ
ルタの通過帯域における振幅特性および群遅延特性を示
す線図である。
【図3】(a)は3次フィルタの例を示す回路図、
(b)は虚ジャイレータを用いた(a)と等価な3次フ
ィルタを示す回路図である。
【図4】8次の基準化低域通過フィルタの例を示す回路
図である。
【図5】図4に示す基準化低域通過フィルタの等価変換
の例を示す回路図である。
【図6】(a)の回路を(b)の飛び越し結合を含む形
へ等価変換する例を示す回路図である。
【図7】図5に示す回路を図6に示す飛び越し結合を含
む回路へ等価変換した基準化低域通過フィルタの例を示
す回路図である。
【図8】図7に示す回路のインダクタを容量に等価変換
した基準化低域通過フィルタの例を示す回路図である。
【図9】(a)の虚ジャイレータを(b)の定リアクタ
ンス素子のπ型等価回路へ等価変換する例を示す回路図
である。
【図10】基準化低域通過フィルタを帯域通過フィルタ
へ等価変換した例を示す回路図である。
【図11】マイクロストリップ線路共振器を構成する1
組のλ/4結合マイクロストリップ線路を示す平面図で
ある。
【図12】λ/4結合マイクロストリップ線路の狭帯域
等価回路を示す回路図である。
【図13】λ/4結合マイクロストリップ線路によるマ
イクロストリップ線路共振器によって構成された帯域通
過フィルタとしての分布定数フィルタの例を示す平面図
である。
【図14】本発明の分布定数フィルタを構成する1組の
λ/4結合マイクロストリップ線路を示す平面図であ
る。
【符号の説明】
1、3・・・・・一方の対角のポート(接続ポート) 2、4・・・・・他方の対角のポート M1〜M3・・・λ/4結合マイクロストリップ線路 O1、O2・・・マイクロストリップ線路共振器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通過帯域の中心周波数に対応する1/4
    波長結合マイクロストリップ線路をn(nは3以上の整
    数)個、それぞれ一方の対角の各ポートを接続ポートと
    して順次、縦続接続し、隣接する前記1/4波長結合マ
    イクロストリップ線路間で前記接続ポート同士が接続さ
    れて成る共振器長が1/2波長のマイクロストリップ線
    路共振器を形成するとともに、少なくとも1個以上の前
    記1/4波長結合マイクロストリップ線路の他方の対角
    の各ポートを短絡し、残りの1/4波長結合マイクロス
    トリップ線路の他方の対角の各ポートを開放としたこと
    を特徴とする分布定数フィルタ。
  2. 【請求項2】 少なくとも2個以上の前記1/4波長結
    合マイクロストリップ線路を飛び越したポート間に飛び
    越し結合回路を接続したことを特徴とする請求項1記載
    の分布定数フィルタ。
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