JP2001214539A - 木材の接合部補強構造 - Google Patents
木材の接合部補強構造Info
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Abstract
を抑制でき、しかも耐久性に優れるとともに環境に優し
い木材の接合部補強構造を提供する。 【解決手段】 木材2,3の接合部4付近に、接合部4
に作用する荷重により繊維方向に沿って割裂し易い面5
と交差するようにダボ孔6を形成し、ダボ孔6に遊嵌状
にダボ材7を装着し、ダボ孔6内面とダボ材7間の隙間
に、木材2,3とダボ材7とを接合する接着剤層8であ
って、剪断強度が木材2,3の剪断強度と略同等或いは
それ以上で且つ剪断剛性が40N/mm3以下の接着層
を形成可能な接着剤層8を設けた。
Description
材の接合部補強構造に関する。
えば木製家具においては木ダボと接着剤とを併用した接
合構造が広く採用されている。この種の接合構造では、
第1木材と第2木材との接合部にダボ孔を形成し、この
ダボ孔内面又はダボ材に接着剤を塗布した状態で、ダボ
孔にダボ材を圧入状に装着して、両木材を接合するよう
に構成されている。
木材の接合構造の強度アップについての研究を行うなか
で、前述のようにダボ孔に対してダボ材を圧入状に装着
した接合構造においては、両木材に引っ張り力を作用さ
せて破壊試験を行ったときに、木材のうちのダボ孔の開
口部付近が破断していることを見いだした。そして、そ
の原因について鋭意検討した結果、ダボ材とダボ孔とが
略隙間なく結合されることから、ダボ材とダボ孔間に作
用する剪断応力がダボ孔の開口部付近に集中し、これに
より木材の開口部付近が破断しているとの結論を得た。
そして、このような現象を防止するために、ダボ材をダ
ボ孔に対して遊嵌状に装着し、その間に軟質な接着剤層
を形成することで、ダボ材に作用する荷重をダボ孔全体
に分散させて受け止め、局部的に剪断応力が高くなるこ
とを防止できるとの発想に基づいて、更に種々の試験を
行って具体的接合構造への適用を検証し、木材学会誌に
おいて論文発表した(木材学会誌Vol.44,No
1,p.41−48(1998)(一般論文)、木材学
会誌Vol.45,No1,p.17−24(199
9)(一般論文)、木材学会誌Vol.45,No3,
p.230−236(1999)(一般論文))。
の種類や接着層の厚さを適正に設定することで、ダボ接
合部分における引張強度や曲げ強度を格段に向上でき、
しかも接着層の剪断応力τとダボ接合部分の引抜強度P
maxを、図16に示すダボ引き抜きモデルにおいて、下
記理論式1,2により推定できることを検証した。
層を構成することから、接着層の剪断弾性係数を接着剤
層の剪断弾性係数として扱えない。そこで、剪断弾性係
数の代わりに剪断剛性Γを用い、剪断歪みの代わりに木
材とダボ材の相対変位δを用いることで、剪断応力τを
τ=Γ×δの式で求めている。
の木ダボ接合構造は、木材の引張強度や曲げ強度等を前
記理論式に基づいて求めることが可能なので、建築物等
を要求強度に正確に設計することが可能となること、金
具を用いて結合する場合と比較して結露等による湿分に
よる金具自体の錆や木材の腐敗がないので耐環境性に優
れていること、リサイクルが容易で環境に優しいことな
どの優れた利点を有しているが、具体的な建築物等への
適用に関してはまだ十分に検討されていない部分があ
る。
具体的な建築物等への適用を検討するなかで、この木ダ
ボ接合構造を各種継手や仕口やほぞなどの木材の接合構
造における補強構造に活用できるとの発想を得た。即
ち、木造建築物における木材の接合構造として、各種継
手や仕口やほぞなどが採用されているが、このような接
合部分においては、木材の一部を切り欠いていることか
ら、地震等により大きな荷重が作用したときに、切欠面
の角部付近を始点として木材がその繊維方向に割裂する
ことがある。このため、このような割裂の発生し易い部
位を木ダボで補強することで、木材の割裂を効果的に抑
制できるとの発想を得た。
うな接合部分に関しては、筋交い等の補強材の本数を増
やして接合部分に作用する外力を分散させたり、金属製
の補強具を設けるなどして接合部分の強度を高めている
が、筋交い等の補強材の本数を増やす場合には、木材使
用量が増えて建築物の製作コストが高くなったり、建築
物の設計自由度が狭くなるという問題があり、また、金
属製の補強具を設ける場合には、その分製作コストが高
くなること、結露等による湿分による金具の腐食や木材
の腐敗が懸念され、建築物の耐久性が低下すること、木
材をリサイクルするときに補強具を除去する必要があ
り、その作業が煩雑になること、などの問題があった。
における木材の割裂を抑制でき、しかも耐久性に優れる
とともに環境に優しい木材の接合部補強構造を提供する
ことである。
る木材の接合部補強構造は、木材の接合部付近に、接合
部に作用する荷重により繊維方向に沿って割裂し易い面
と交差するようにダボ孔を形成し、前記ダボ孔に遊嵌状
にダボ材を装着し、前記ダボ孔内面とダボ材間の隙間
に、木材とダボ材とを接合する接着剤層であって、剪断
強度が木材の剪断強度と略同等或いはそれ以上で且つ剪
断剛性が40N/mm3以下の接着層を形成可能な接着
剤層を設けたものである。尚、接着層とは、接着剤層
と、接着剤が浸透したダボ材の外面層及びダボ孔の内面
層とを含むものである。
の木材の接合部においては、木材の一部を切り欠いて相
互に接合させていることから、接合部分に大きな荷重が
作用したときに、切欠面の角部に大きな応力集中が発生
し、この角部付近を始点として木材が割裂することがあ
るが、この木材の接合部補強構造においては、このよう
な木材における割裂の発生し易い部分に、割裂し易い面
と交差するようにダボ孔を形成して、該部分をダボ材で
補強できるので、木材の割裂を効果的に防止することが
可能となる。より具体的には、木材を割裂させようとす
る外力が作用すると、この外力が接着層を介してダボ材
に伝達され、ダボ材の両端部が割裂し易い面を中心に相
互に離間する方向へ引っ張られる。ここでダボ材につい
て考えてみると、ダボ材に作用する引っ張り力は、接着
層を介して該ダボ材が装着されているダボ孔全体に一様
に分散され、割裂し易い面に外力が集中することによる
木材の割裂が抑制されることになる。
3.0mmに設定することが好ましい。ダボ孔とダボ材
間の隙間が0.1mm未満の場合には、接着層の剪断変
位を十分に確保できず、剪断剛性が大きく、ダボ孔の入
り口付近で応力集中が起こるので引抜強度が小さくな
り、また3.0mmを越える場合には、接着層の剪断変
位は十分に確保できるが、接着剤の硬化収縮や混入エア
等による欠膠が生じ易い他に、接着剤が湿気硬化タイプ
である場合には、水分の供給が不足して樹脂の硬化が遅
れたり、硬化に伴う発泡による欠膠が問題になるので、
0.1〜3.0mmに設定することが好ましい。
定することにより、木材を割裂させようとする外力をダ
ボ孔の内面全体に略一様に分散させて受け止めることが
可能となるが、その傾向をより一層高めるために、前記
ダボ孔とダボ材間の隙間を、ダボ孔の開口部側よりも割
裂し易い面との交差部側の方が広くなるように設定した
り、前記ダボ孔とダボ材間の隙間をダボ孔と割裂し易い
面との交差部側へ行くにしたがって段階的或いは連続的
に広くなるように設定することが好ましい。
積を増大させるための凹凸部を形成してもよい。ダボ材
はダボ孔よりも小径であることから、ダボ材に対する接
着剤層の接着強度は、ダボ孔に対する接着剤層の接着強
度よりも多少低くなる傾向があるので、これを防止する
ためダボ材の表面に凹凸部を形成してダボ材に対する接
着剤層の接着強度を高めることが好ましい。
置に装着されると、接着層を介してダボ孔内面に作用す
る剪断応力が部位によって変動するので、これを防止す
るため、前記ダボ材の端部又はダボ孔の端部に、ダボ材
をダボ孔の中央部に位置決めするための嵌合突部を形成
したり、前記接着剤層にダボ材をダボ孔の中央部に位置
決めするためのビーズを設けることが好ましい。
断強度が木材の剪断強度と略同等或いはそれ以上で且つ
剪断剛性が40N/mm3以下の接着層を形成可能なも
のであれば任意に選択でき、例えばポリウレタン系接着
剤を好適に利用できる。また、前記ポリウレタン系接着
剤を用いる場合には、イソシアネート基の割合を接着剤
全量中において9.5〜3.0%に設定することが好ま
しい。イソシアネート基は水と反応してポリウレタン系
接着剤の剛性を高める作用をするが、イソシアネート基
の割合が3.0%未満の場合には、接着層の剛性が十分
に得られず、9.5%を越える場合には、経年変化によ
り剛性が徐々に高くなって、引抜強度が低くなるので、
9.5〜3.0%に設定することが好ましい。
て図面を参照しながら説明する。図1、図2に示すよう
に、木材2,3の接合部4付近には1乃至複数(図1に
おいては4つ)の接合部補強構造1が設けられ、接合部
補強構造1により接合部4付近が補強されて、木材2,
3の接合部4付近における繊維方向に沿った割裂し易い
面5での割裂が防止されるように構成されている。
交差するように木材2,3の接合部4付近に形成したダ
ボ孔6と、ダボ孔6に遊嵌状に装着したダボ材7と、ダ
ボ孔6内面とダボ材7間の隙間Tに設けた接着剤層8で
あって、木材2,3とダボ材7とを接合する接着剤層8
とを備えている。
明すると、木材の割裂し易い面5は、適用する木材の接
合部の構成によっても異なるが、例えば、図1、図2に
示すように、2本の木材2,3の端部に切欠部10,1
1を形成し、この切欠部10,11を相互に重ね合わせ
て木材2,3を接合した段継ぎにおいては、切欠面の角
部10a,11a付近を始点として木材2,3の繊維方
向に延びる面が割裂し易い面5に相当する。つまり、こ
の割裂し易い面5とは、各種継手や仕口やほぞなど、木
材の接合部の構成により異なるが、基本的には、木材の
繊維方向に沿った面であり且つ外力が作用したときに応
力集中が発生し易い切欠面の角部を含む面に相当する。
他の例として、図3に示すようなほぞ結合部20におい
ては、第1木材21の端部にほぞ22を形成し、第2木
材23にほぞ22に適合するほぞ孔24を形成すること
になるが、この場合には、第1木材21に関しては、ほ
ぞ22の切欠面の2つの角部22aを始点として繊維方
向に延びる面が割裂し易い面5に相当し、第2木材23
に関しては、ほぞ孔24の4つの角部24aを始点とし
て繊維方向に延びる面が割裂し易い面5に相当する。
易い面5を補強できるように配置されていれば、段継
ぎ、腰掛け継ぎ、腰掛け鎌継ぎ、金輪継ぎなど各種継ぎ
構造や、大入れ、下げ鎌などの各種仕口構造や、短ほ
ぞ、小根ほぞ、扇ほぞなどの各種ほぞ構造などからなる
木材の接合部付近を補強するための構造として適用する
ことが可能である。
つがなどの各種品種の木材を製材したものや、薄肉単板
を複数枚重ね合わせて接着してなる集成材などを好適に
利用できる。特に、集成材においては、各層の接着面に
おいて割裂が発生し易いので、接着面と直交する方向に
ダボ孔6を形成した接合部補強構造を設けることで、接
着面における割裂を効果的に防止できる。
に採用できるが、ヤング率が15GPa以上で、高比
重、通直繊維で道管径の小さい繊維の均一な木材を利用
することが好ましい。例えばイタヤカエデ、ハードメー
プル、ウダイカンバ、ブナ、イスノキ、黒檀などを採用
すると、ダボ孔6を長くしたときにおける、ダボ材7の
引張強度の飽和傾向を改善できるので好ましい。また、
圧密化した木材を使用してもよい。ダボ材7は、円柱状
のものを使用することが好ましいが、角柱状や楕円柱状
の棒材を用いることも可能である。また、ダボ材7の直
径や本数は、木材2,3の接合部4に作用する荷重に応
じて適宜に設定可能である。
0.1〜3.0mmになるように、ダボ材7に適合する
サイズに構成されている。ダボ孔6とダボ材7間の隙間
Tが0.1mm未満の場合には、接着層の剪断変位を十
分に確保できず引抜強度が小さくなり、また3.0mm
を越える場合には、接着層の剪断変位は十分に確保でき
るが、接着剤の硬化収縮や混入エア等による欠膠が生じ
易い他に、接着剤が湿気硬化タイプである場合、水分の
供給が不足して樹脂の硬化が遅れたり、硬化に伴う発泡
による欠膠が問題になるので、0.1〜3.0mmに設
定することが好ましい。また、ダボ孔6は、木材2,3
の割裂し易い面5に対して略直交状に形成することが好
ましいが、割裂し易い面5に対して角度を持たせて交差
状に形成してもよい。例えば、木材2,3の繊維方向に
対して斜めに荷重が作用する場合には、荷重の作用する
方向にダボ孔6を形成することが好ましい。
強度が木材2,3の剪断強度と略同等或いはそれ以上で
且つ剪断剛性が40N/mm3以下、好ましくは30N
/mm3以下の接着層を形成可能なものであれば、任意
の素材からなる接着剤を採用することが可能である。つ
まり、接着層の剪断剛性が、40N/mm3を越える場
合には、接合部4に対して大きな荷重が作用したとき
に、この荷重をダボ孔6内面に均一に分散させることが
できず、割裂し易い面5付近において剪断応力が大きく
なるので、40N/mm3以下に設定することが好まし
い。具体的には、エポキシ系接着剤、フェノール系接着
剤、レゾルシノール系接着剤、ポリウレタン系接着剤な
どを採用できるが、ポリウレタン系接着剤は、剪断剛性
が10.0〜20.0N/mm3程度に調製することが
できることから好適に利用できる。
剤を用いる場合には、イソシアネート基の割合を接着剤
全量中において9.5〜3.0重量%、より好ましくは
8.5〜5.0重量%に設定することが好ましい。つま
り、表1に示すように、イソシアネート基(NCO)の
割合が3.0重量%未満の場合には、接着剤層8の剛性
が十分に得られず、9.5重量%を越える場合には、経
年変化により剛性が徐々に高くなって、引抜強度が低く
なるので、9.5〜3.0重量%に設定することが好ま
しい。
的に変更した他の実施例について説明する。尚、前記実
施の形態と同一部材には同一符号を付してその詳細な説
明を省略する。 (1) ダボ材7とダボ孔6間の隙間Tを割裂し易い面
5に接近するにしたがって広くなるように設定すること
で、割裂方向への荷重をダボ孔6全体に一様に作用させ
るように構成してもよい。具体的には、図4に示す接合
部補強構造1Aのように、ダボ孔6をその全長にわたっ
て一様に設定するとともに、ダボ材として割裂し易い面
5に接近するにしたがって小径に構成したダボ材7Aを
用いたり、図5に示す接合部補強構造1Bのように、ダ
ボ孔6をその全長にわたって一様に設定するとともに、
ダボ材として割裂し易い面5に接近するにしたがって段
階的に小径に構成したダボ材7Bを用いたりすることに
なる。尚、ダボ孔6を割裂し易い面5に接近するにした
がって連続的或いは段階的に大径に構成することも可能
であるが、ダボ孔6は、通常建築現場等において加工す
る関係上、その作業が繁雑なものとなるので、工場等で
製作可能なダボ材7の直径を連続的又は段階的に割裂し
易い面5に接近するにしたがって小径に構成することが
好ましい。
積を大きくして、両者間の接着強度を高めるため、ダボ
材7に凹凸部を形成してその表面積を大きく構成しても
よい。具体的には、図6に示すダボ材7Cのように、外
周面に軸方向に延びる溝部30を三角波状や矩形波状や
正弦波状に円周方向に一定間隔おきに形成したり、図7
に示すダボ材7Dのように、環状の溝部31を長さ方向
に三角波状や矩形波状や正弦波状に一定間隔おきに形成
したり、図8示すダボ材7Eのように、外周面に一定間
隔おきに突起32を形成したり、図9に示すダボ材7F
のように、外周面にローレット加工により凹凸部33を
形成したりすることになる。
決めして、ダボ材7とダボ孔6間の隙間Tが周方向に一
様になるように構成し、接着剤層8が局部的に薄くなる
ことによる強度低下を防止してもよい。具体的には、図
10に示す接合部補強構造1Gのように、外周面にダボ
孔6の内面に当接する嵌合突部35を形成したダボ材7
Gを用いることになる。嵌合突部35の形成位置は、ダ
ボ材7Gの途中部であってもよいが、嵌合突部35を形
成した部分においては接着層の厚さを十分に確保でき
ず、ダボ孔6の内面に対する剪断応力が大きくなること
が考えられるので、割裂し易い面5から極力離れた位
置、即ちダボ材7Gの両端部或いは両端近傍部に形成す
ることが好ましい。嵌合突部35の個数は、ダボ材7G
をダボ孔6の中心に位置決めするため、少なくともダボ
材7Gの両端部にそれぞれ3個以上設けることになる。
また、嵌合突部35はダボ材に一体形成してもよいが、
図11に示すように、ダボ材7の外周面にピン部材36
を鋲着するなどして形成してもよい。
補強構造1Hのように、ダボ孔6の両端部にダボ材7の
両端部と同径の嵌合突部37をそれぞれ形成し、ダボ材
7の両端部を嵌合突部37に嵌合させて、ダボ材7をダ
ボ孔6の中央部に位置決めしてもよい。尚、この場合に
は、嵌合突部37を別部材で構成して、ダボ孔6の両端
部に嵌合装着してもよい。更に、図13に示す木ダボ接
合構造1Iのように、ダボ材7とダボ孔6間の隙間に適
合するサイズのビーズ38を接着剤に混入することによ
り、ダボ材7とダボ孔6の中央部に位置決めすることも
可能である。
て説明する。試験片として、図14に示すようなサイズ
の杉集成材40であって、段継部41付近を、2本のダ
ボ材7で補強した場合と、3本のダボ材7で補強した場
合と、ダボ材7により補強しなかった場合の3種類の集
成材を用いた。そして、集成材40の両端部を支持点S
において下方から受けた状態で、両支持点S間の中央部
に対して上側から荷重Fを作用させながら、段継部41
付近の変位を変位計42で測定し、図15に示すような
結果を得た。図15から、ダボ材7により補強しなかっ
た場合には、20kN程度の荷重で段継部41付近に割
裂が発生しているのに対し、2本のダボ材7を設けた場
合には、45〜50kNの荷重まで割裂が発生せず、ま
た3本のダボ材7を設けた場合においては、70kN程
度までの荷重に耐え、ダボ材7により補強することによ
り、段継部41付近の強度が格段に高められ、割裂の発
生が効果的に抑制されていることが判る。
れば、木ダボ接合構造を活用して接合部付近における木
材の割裂を効果的に防止することが可能となり、木造構
造物の接合部付近の強度を高めて耐震性等を向上でき
る。また、前述した理論式を用いて補強後の木材の強度
を推定できるので、木造構造物を設計するうえで好適で
ある。しかも、このような木ダボ接合構造は、前述した
ように、金具を用いて接合部付近の強度を高める場合と
比較して、安価に実施可能であること、結露等による湿
分による腐食や腐敗の発生もないので耐久性を向上でき
ること、比較的容易にリサイクルできるので環境に優し
いことなどの優れた利点を有している。
〜3.0mmに設定すると、ダボ材の引抜強度を十分に
確保して木材の割裂を効果的に防止でき、しかも欠膠に
よる接着欠陥等も防止できるので好ましい。また、ダボ
孔とダボ材間の隙間を、ダボ孔の開口部側よりも割裂し
易い面との交差部側の方が広くなるように設定したり、
ダボ孔と割裂し易い面との交差部側へ行くにしたがって
段階的或いは連続的に広くなるように設定すると、木材
を割裂させようとする外力をより効果的にダボ孔内面に
分散させて、木材の割裂を防止することが可能となる。
積を増大させるための凹凸部を形成すると、ダボ材に対
する接着剤層の接着強度を高めることが可能となる。
に、ダボ材をダボ孔の中央部に位置決めするための嵌合
突部を形成したり、前記接着剤層にダボ材をダボ孔の中
央部に位置決めするためのビーズを設けると、接着層の
厚さを一様に設定して、ダボ孔内面に対して一様に剪断
応力を作用させることが可能となり、局部的な応力集中
による接着層の破損を防止できる。
なる場合には、接着層の剪断強度及び剪断剛性を適正に
設定することが可能となる。また、ポリウレタン系接着
剤のイソシアネート基の割合を接着剤全量中において
9.5〜3.0重量%に設定すると、接着層の経年変化
によるダボ材の引抜強度の低下を防止でき、長期にわた
って木材の割裂を防止することが可能となる。
材付近の縦断面図、(b)は(a)のb−b線断面図
縦断面図
材付近の縦断面図、(b)は(a)のb−b線断面図
縦断面図
図
Claims (9)
- 【請求項1】 木材の接合部付近に、接合部に作用する
荷重により繊維方向に沿って割裂し易い面と交差するよ
うにダボ孔を形成し、 前記ダボ孔に遊嵌状にダボ材を装着し、 前記ダボ孔内面とダボ材間の隙間に、木材とダボ材とを
接合する接着剤層であって、剪断強度が木材の剪断強度
と略同等或いはそれ以上で且つ剪断剛性が40N/mm
3以下の接着層を形成可能な接着剤層を設けた、 ことを特徴とする木材の接合部補強構造。 - 【請求項2】 ダボ孔とダボ材間の隙間を0.1〜3.
0mmに設定した請求項1記載の木材の接合部補強構
造。 - 【請求項3】 前記ダボ孔とダボ材間の隙間を、ダボ孔
の開口部側よりも割裂し易い面との交差部側の方が広く
なるように設定した請求項1又は2記載の木材の接合部
補強構造。 - 【請求項4】 前記ダボ孔とダボ材間の隙間をダボ孔と
割裂し易い面との交差部側へ行くにしたがって段階的或
いは連続的に広くなるように設定した請求項1〜3のい
ずれか1項記載の木材の接合部補強構造。 - 【請求項5】 前記ダボ材の外周面に接着剤層との接着
面積を増大させるための凹凸部を形成した請求項1〜4
のいずれか1項記載の木材の接合部補強構造。 - 【請求項6】 前記ダボ材の端部又はダボ孔の端部にダ
ボ材をダボ孔の中央部に位置決めするための嵌合突部を
形成した請求項1〜5のいずれか1項記載の木材の接合
部補強構造。 - 【請求項7】 前記接着剤層にダボ材をダボ孔の中央部
に位置決めするためのビーズを設けた請求項1〜6のい
ずれか1項記載の木材の接合部補強構造。 - 【請求項8】 前記接着剤層がポリウレタン系接着剤か
らなる請求項1〜7のいずれか1項記載の木材の接合部
補強構造。 - 【請求項9】 前記ポリウレタン系接着剤におけるイソ
シアネート基の割合を接着剤全量中において9.5〜
3.0重量%に設定した請求項8記載の木材の接合部補
強構造。
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2000
- 2000-02-04 JP JP2000028087A patent/JP2001214539A/ja active Pending
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