JP2001214153A - 紐状シーリング材 - Google Patents

紐状シーリング材

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JP2001214153A
JP2001214153A JP2000025338A JP2000025338A JP2001214153A JP 2001214153 A JP2001214153 A JP 2001214153A JP 2000025338 A JP2000025338 A JP 2000025338A JP 2000025338 A JP2000025338 A JP 2000025338A JP 2001214153 A JP2001214153 A JP 2001214153A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 取り扱い性に優れ、かつ、加熱することによ
り、V字型などの狭くて深い形状の溝部などでも完全に
充填することができ、耐熱性、耐候性、防錆性、シール
性に優れ、しかも形状の整ったシール部を形成すること
ができるシーリング材を提供すること。 【解決手段】 紐状シーリング材において、(1) 該紐状
シーリング材が、合成樹脂と熱硬化剤とを含有する熱硬
化型樹脂組成物を成形してなる紐状体(a) であるか、あ
るいは該紐状体(a) の長さ方向に沿って、その表面に寸
法安定補助材が配置された紐状複合構造体(b) であり、
(2) 23℃で、該紐状シーリング材の長さ方向に単位断
面積当り5N/cm2 の応力となる荷重を5分間加えた
とき、伸び率が10%以内であり、かつ、(3) 該紐状体
(a) が、常温(5〜35℃)において形状保持性を有す
るが、加熱硬化時に溶融流動性を示すものであることを
特徴とする紐状シーリング材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱硬化型樹脂組成
物を成形してなる紐状体からなる紐状シーリング材に関
し、さらに詳しくは、取り扱い性に優れ、かつ、該紐状
体が加熱硬化時に溶融流動性を示すため、V字型などの
狭くて深い形状の溝部でも完全に充填して形状の整った
シール部を形成することができる紐状シーリング材に関
する。本発明の紐状シーリング材は、耐熱性、耐候性、
防錆性、シール性に優れ、シール部の形状も整っている
ため、自動車・車両、船舶、航空機、建築、土木、各種
機械や装置などの広範な分野に好適に適用することがで
きる。
【0002】
【従来の技術】従来より、シーリング材は、水密、気密
などを目的として、目地や隙間に充填して使用されてい
る。例えば、自動車・車両分野では、車室内に空気、
水、埃などが侵入しないように、部品組立、車体組立、
塗装、艤装組立などの際に、各部位にシーリング材が適
用されている。シーリング材には、ペースト状などの不
定形シーリング材と、ゴムガスケットなどの定形シーリ
ング材とがある。
【0003】これらの中でも、ペースト状のシーリング
材は、シーリングガンを用いて、人手またはロボットに
より施工箇所に塗布することができるため、生産性に優
れており、自動車・車両分野などで汎用されている。し
かしながら、施工箇所がV字型などの深くて狭い溝部の
場合、シーリングガンが入らなかったりするため、施工
が困難であった。また、粘度の高いシーリング材を用い
ると、V字型溝部の底にまでシーリング材が充填されな
いため、水密性や気密性に問題を生じる。施工箇所が浅
いV字型溝部の場合にも、粘度の高いシーリング材を用
いると、シーリング材により溝部の底まで埋めることが
困難である。一方、粘度の低いシーリング材を使用する
と、液ダレが生じて、施工箇所以外の部分にまでシーリ
ング材が流れ出てしまう。さらに、ペースト状のシーリ
ング材は、シール部の見栄えが要求される施工箇所に適
用した場合、適用後、人手によりシール部の形状を整え
る必要があった。
【0004】不定形シーリング材には、前記ペースト状
シーリング材を含め、樹脂や重合体を主成分とし、可塑
剤、軟化剤、充填剤、補強剤、硬化剤などを配合した組
成を有するものが多数知られている。しかし、その殆ど
は、ペースト、溶液、エマルジョンなどの形態のもので
ある。反応硬化タイプのシーリング材では、主成分とし
て液状ポリマーが使用されている。これらのシーリング
材の多くは、前述したペースト状シーリング材に伴う問
題点を抱えている。また、反応硬化タイプで、使用時に
硬化剤成分を混合する二成分系シーリング材は、混合操
作が煩雑で、硬化速度が速く、しかも環境温度により硬
化速度が異なるという問題がある。
【0005】定形シーリング材のうちゴムガスケットな
どは、構成部材間の接合面に配置して使用するのに適し
ているが、狭い溝部などを充填してシールするのには適
していない。定形シーリング材の中には、予め、シート
状や紐状などの形状を付与したシーリング材がある。し
かし、これらの多くは、施工箇所に貼付し、荷重や押圧
力をかけることにより適用するものであるため、V字型
などの狭くて深い形状の溝部などを完全に充填すること
が難しい。支持体を備えたシーリング用粘着テープは、
支持体の持つ厚みや硬さのため、複雑な形状や狭い溝部
などを有する施工箇所に適用するのはさらに困難であ
る。
【0006】従来の紐状シーリング材は、取り扱い中
に、部分的に伸びて細くなったり、分断したり、弛んだ
りするなどの不都合を有している。このような紐状シー
リング材は、取り扱い性に劣るだけではなく、形状の整
ったシール部を形成することが困難であり、また、水密
性や気密性に問題を生じるおそれもある。特公昭52−
39654号公報には、このような紐状シーリング材の
欠点を改良するために、弾力復元性のある紐状の引張抵
抗体の周面に、粘着性のブチル系合成ゴムを主体とした
シーリング材層を巻着囲繞させて紐状としたシール材が
提案されている。この紐状シール材は、スポンジ状また
は中空状の引張抵抗体の周面に粘着性のブチルゴム系シ
ーリング材層を形成したものであり、施工箇所に荷重ま
たは押圧力をかけて適用し、引張抵抗体の復元力とシー
リング材の粘着力とを利用してシールするものである。
この公報には、該シール材を使用すれば、熱溶着操作を
必要とせず、単なる押圧操作だけで、コンクリートや木
材切断面などの凹凸のある粗面に対してもよくなじみ、
その組織中に復元侵入して気密に粘着結合し、強固なシ
ール関係を形成できることが記載されている。しかし、
このシール材を押圧して適用しても、V字型などの狭く
て深い形状の溝部などを完全に充填することはできな
い。
【0007】本発明者らは、特許第2739152号に
おいて、加熱することによって硬化する反応性粘着剤組
成物を提案した。この反応性粘着剤組成物は、常温で固
体の飽和ポリエステル樹脂と、常温での粘度が100c
ps以上の(メタ)アクリルウレタンオリゴマーと、熱
硬化触媒とを含有する組成物であり、厚塗りコーティン
グ、シーリング材、パテなどとして有用である。この反
応性接着剤組成物は、常温では流動性がなく、適度の粘
着性と凝集力を持つため、紐状、ペレット状、シート
状、ブロック状などの任意の形態で使用することができ
る。しかし、該特許公報に具体的に示されている反応性
接着剤組成物は、加熱硬化条件下で、実質的に形状が保
持されたまま硬化するものである。例えば、シート状に
形成した当該反応性接着剤組成物は、加熱硬化条件下
で、シートの角は溶融して丸くなるものの、溶融流動す
ることなく、その状態で硬化することが示されている。
このような反応性接着剤組成物を用いたのでは、V字型
などの狭くて深い形状の溝部などを完全に充填すること
は難しい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、取り
扱い性に優れ、かつ、加熱することにより、V字型など
の狭くて深い形状の溝部などでも完全に充填することが
でき、耐熱性、耐候性、防錆性、シール性に優れ、しか
も形状の整ったシール部を形成することができるシーリ
ング材を提供することにある。
【0009】本発明者らは、反応性粘着剤組成物に関す
る研究を重ねた結果、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性
樹脂の種類、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との配合割
合、熱硬化剤や充填剤などの各種添加剤の種類と配合割
合等を変化させることにより、常温で固体の成形物に溶
融成形することが可能であり、加熱硬化条件下では溶融
流動性を示す熱硬化型樹脂組成物に想到した。この熱硬
化型樹脂組成物を用いて成形した成形物は、常温で形状
保持性を有するが、加熱すると溶融流動して硬化する。
【0010】この熱硬化型樹脂組成物を用いて紐状シー
リング材を成形し、図5に示すように、得られた紐状シ
ーリング材6をV字型塗装鋼板4の溝部の充填に適用し
たところ、加熱硬化時には、図6に示すように、溶融流
動して溝底部まで完全に充填し、硬化した。しかしなが
ら、硬化したシーリング材65の表面形状が乱れている
ことに加えて、V字型溝部の端から熱硬化型樹脂組成物
の一部が流れ出して硬化した流出部66が生成するとい
う問題があった。つまり、この熱硬化型樹脂組成物は、
通常、それ単独では、加熱硬化時の溶融粘度が低すぎる
ため、液ダレを生じやすく、シーリング材として使用し
た場合、施工箇所以外にまで流れ出て硬化してしまうと
いう問題があった。しかも、この紐状シーリング材は、
取り扱い時に、部分的に伸びて細くなったり、分断した
り、弛んだりするなどの不都合を有している。
【0011】そこで、このような不都合を解決すべく研
究を進めた結果、合成樹脂と熱硬化剤とを含有する熱硬
化型樹脂組成物を成形して紐状体を形成し、該紐状体の
長さ方向に沿って、その表面に寸法安定補助材を配置し
た紐状の複合構造体に想到した。この複合構造体からな
る紐状シーリング材は、寸法安定性に優れており、取り
扱い時に前記の如き不都合を生じることがない。しか
も、この複合構造体からなる紐状シーリング材は、V字
型などの狭くて深い形状の溝部などの施工箇所に配置し
て加熱すると、硬化型樹脂組成物が溝底部の隅々にまで
溶融流動して硬化するが、施工箇所以外の部分にまで流
れ出すことがなく、硬化後のシール部の形状も整ってい
る。
【0012】本発明者は、このような紐状シーリング材
の寸法安定性の重要性に着目して、さらに研究を進めた
ところ、合成樹脂と熱硬化剤とを含有する熱硬化型樹脂
組成物を成形してなる紐状体単独からなる紐状シーリン
グ材であっても、常温での形状保持性と加熱硬化時の溶
融流動性とを有し、なおかつ、長さ方向への外力に対す
る変形量(伸び)が小さなものであれば、取り扱い性に
優れ、加熱硬化性と相俟って加熱硬化時に施工箇所以外
の部分にまで流れ出すことがなく、さらには、硬化後の
シール部の形状も整っていることを見いだした。
【0013】紐状シーリング材の長さ方向への外力に対
する変形の度合い(伸び率)は、寸法安定性の指標とし
て、合成樹脂と熱硬化剤とを含有する熱硬化型樹脂組成
物を成形してなる紐状体にも、また、該紐状体の長さ方
向に沿って、その表面に寸法安定補助材が配置された紐
状の複合構造体にも適用することができる。さらに、熱
硬化型樹脂組成物の組成を選択したり、非粘着化処理を
行うことにより、紐状シーリング材(紐状体)の表面粘
着性を調整することができ、それによって、施工作業性
を改善することができる。本発明は、これらの知見に基
づいて完成するに至ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、紐状シ
ーリング材において、(1) 該紐状シーリング材が、合成
樹脂と熱硬化剤とを含有する熱硬化型樹脂組成物を成形
してなる紐状体(a) であるか、あるいは該紐状体(a) の
長さ方向に沿って、その表面に寸法安定補助材が配置さ
れた紐状複合構造体(b) であり、(2) 23℃で、該紐状
シーリング材の長さ方向に単位断面積当り5N/cm2
の応力となる荷重を5分間加えたとき、伸び率が10%
以内であり、かつ、(3) 該紐状体(a) が、常温(5〜3
5℃)において形状保持性を有するが、加熱硬化時に溶
融流動性を示すものであることを特徴とする紐状シーリ
ング材が提供される。
【0015】また、本発明によれば、合成樹脂と熱硬化
剤とを含有する熱硬化型樹脂組成物を成形してなる紐状
体(a) 、または該紐状体の長さ方向に沿って、その表面
に寸法安定補助材が配置された紐状複合構造体(b) から
なる紐状シーリング材を、施工箇所に載置し、次いで、
加熱することにより、該紐状シーリング材を構成する熱
硬化型樹脂組成物を溶融流動させ、かつ、硬化させるシ
ーリング方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の紐状シーリング材は、合
成樹脂と熱硬化剤とを含有する熱硬化型樹脂組成物を成
形してなる紐状体(a) であるか、あるいは該紐状体(a)
の長さ方向に沿って、その表面に寸法安定補助材が配置
された紐状複合構造体(b) である。これらの紐状シーリ
ング材について、図面を参照して説明する。図1には、
紐状複合構造体(b) からなる紐状シーリング材1の例が
示されている。熱硬化型樹脂組成物を成形してなる紐状
体3の表面には、その長手方向に沿って、寸法安定補助
材2が一体的に複合化されている。
【0017】本発明で使用する熱硬化型樹脂組成物は、
常温(5〜35℃)で固体であり、加熱すると溶融流動
して硬化する。この熱硬化型樹脂組成物は、加熱すると
軟化し、外力を加えると変形するが、熱や外力を取り除
くと、形状を保持する性質を示す。ただし、この熱硬化
型樹脂組成物は、加熱硬化温度にまで加熱すると、溶融
流動して硬化する。この熱硬化型樹脂組成物から形成さ
れた紐状体3は、常温では、固体であって、流動性を示
さないため、形状保持性を有している。
【0018】この複合構造体からなる紐状シーリング材
1は、紐状体3の表面に寸法安定補助材2が複合化され
ているため、寸法安定性に優れており、取り扱い時に、
部分的に伸びて細くなったり、分断したり、弛んだりす
るなどの不都合を生じることがない。この紐状シーリン
グ材1を角度15度のV字型の塗装鋼板4の溝の上部に
置くと、常温では、図1に示すように、V字型溝底部と
の間に狭い隙間が生じる。寸法安定補助材2は、V字型
溝底部とは反対側、すなわち上方に位置するように紐状
シーリング材1を配置する。次に、熱硬化温度にまで加
熱すると、図2に示すように、熱硬化型樹脂組成物23
は、溶融流動して、V字型塗装鋼板4の溝底部を完全に
充填する。寸法安定補助材22は、加熱硬化時に溶融ま
たは分解しない材質のもので形成しておくと、熱硬化型
樹脂組成物の溶融流動に従って下方に移動し、V字型溝
部の許容される幅のところにまで達する。
【0019】熱硬化型樹脂組成物は、熱硬化温度にまで
加熱されているため、溶融流動と同時またはその後に熱
硬化する。図2に示すように、寸法安定補助材22の下
方にある熱硬化型樹脂組成物は、溝底部の形状となって
硬化し、寸法安定補助材22の上方にある熱硬化型樹脂
組成物は、ほぼ平坦な硬化シール部表面を形成する。し
たがって、施工後に、人手によりシール部形状を整える
必要性が軽減される。また、寸法安定補助材が存在する
ために、加熱硬化時に熱硬化型樹脂組成物が溶融流動し
ても、寸法安定補助材と共に移動しているため、寸法安
定補助材の存在しない部分にまでタレて流れ出すことが
ない。
【0020】この紐状複合構造体(b) からなる紐状シー
リング材は、23℃で、紐状シーリング材の長さ方向に
単位断面積当り5N/cm2 の応力となる荷重を5分間
加えたとき、伸び率が10%以内であれば、常温での寸
法安定性に優れているため、紐状複合構造体(b) を構成
する紐状体自体の寸法安定性は不十分なものであっても
よい。すなわち、この紐状体は、23℃で、該紐状体の
長さ方向に単位断面積当り5N/cm2 の応力となる荷
重を5分間加えたとき、伸び率が必ずしも10%以内で
なくてもよい。
【0021】本発明で使用する寸法安定補助材として
は、特に限定されず、例えば、銅線などの金属線、ゴム
や熱可塑性樹脂から形成した細い紐やロッド、木綿糸な
どの糸から形成した布紐、布紐に樹脂エマルジョンを含
浸処理した含浸処理紐、ガラスストランドロービングな
どの線状材料を例示することができる。寸法安定補助材
の断面形状は、円形、楕円形、三角形、矩形、多角形、
ネジ形状、表面に凹及び/または凸を有する形状、表面
に網目を有する形状、星型断面形状、並びにそれらの組
み合わせなど任意である。所望により中空体とすること
もできる。これらの形状を適切に選択することにより、
本発明の効果をより優れたものとすることができる。
【0022】寸法安定補助材は、熱硬化型樹脂組成物の
加熱硬化時に、実質的に溶融または分解しないだけの耐
熱性を有する材質から形成された線状材料であることが
好ましい。寸法安定補助材は、加熱硬化時に実質的に溶
融しないものであれば、熱硬化型樹脂組成物のメルトフ
ローレート(MFR)よりも小さなMFRを有する材質
のものであってもよい。また、寸法安定補助材は、紐状
複合構造体を成形する際に、熱硬化型樹脂組成物または
該熱硬化型樹脂組成物から形成された紐状体と複合化加
工するため、加工条件に耐えるだけの引張強度を有する
ものであることが好ましい。さらに、寸法安定補助材
は、可撓性または柔軟性を有するものであることが、紐
状シーリング材を様々な形状の施工箇所に適用する上で
好ましい。寸法安定補助材の断面の大きさ(太さ)は、
施工箇所の形状などに応じて適宜定めることができる
が、断面がほぼ円形の場合、その直径は、通常、0.5
〜10mm、好ましくは0.7〜5mm、より好ましく
は1〜3mm程度である。その他の断面の寸法安定補助
材の場合も、これに準じて太さまたは幅の最大値を調整
することが好ましい。寸法安定補助材の太さが小さすぎ
ると、寸法安定化効果が小さくなり、また、複合化する
紐状体の太さを十分に大きくすることも困難になる。寸
法安定補助材の太さが大きすぎると、紐状シーリング材
を狭い溝部などに適用することが困難となる。寸法安定
補助材の太さは、複合化する紐状体の太さよりも小さい
ことが好ましい。
【0023】本発明では、合成樹脂と熱硬化剤とを含有
する熱硬化型樹脂組成物を成形してなる紐状体(a) 単独
であっても、23℃で、該紐状体の長さ方向に単位断面
積当り5N/cm2 の応力となる荷重を5分間加えたと
き、伸び率が10%以内であれば、常温での寸法安定性
に優れているため、寸法安定補助材を複合化することな
く、そのままで紐状シーリング材として使用することが
できる。ただし、この紐状体(以下、「寸法安定性紐状
体」と称する)は、常温において形状保持性を有する
が、加熱硬化時には溶融流動性を示すものであることが
必要である。
【0024】図3に、寸法安定性紐状体からなる紐状シ
ーリング材5の例が示されている。該紐状体を構成する
熱硬化型樹脂組成物は、常温では固体で流動性を有しな
いため、紐状シーリング材5は、常温で形状保持性を有
している。紐状シーリング材5は、常温での寸法安定性
に優れているため、取り扱い時に、部分的に伸びて細く
なったり、分断したり、弛んだりするなどの不都合を生
じることがない。この紐状シーリング材5を、角度15
度のV字型の塗装鋼板4の溝部の上方部に置くと、常温
では、図3に示すように、溝底部との間に狭い隙間が生
じる。次に、熱硬化温度にまで加熱すると、図4に示す
ように、熱硬化型樹脂組成物が溶融流動して、V字型の
塗装鋼板4の溝底部を完全に充填する。熱硬化型樹脂組
成物は、熱硬化温度にまで加熱されているため、溶融流
動と同時またはその後に熱硬化する。図4に示すよう
に、熱硬化型樹脂組成物45は、溝底部の形状となり、
その表面がほぼ平坦となる。したがって、施工後に、人
手によりシール部の形状を整える必要性が軽減される。
また、紐状シーリング材の寸法安定性が優れているた
め、かつ、加熱硬化性が適切に制御されているため、加
熱硬化時に熱硬化型樹脂組成物が溶融流動しても、V字
型溝部の端からタレて流れ出すことがない。
【0025】本発明で使用する熱硬化型樹脂組成物は、
合成樹脂と熱硬化剤とを含有する樹脂組成物である。こ
の熱硬化型樹脂組成物は、常温(5〜35℃)で固体で
あって、実質的に流動性を示さないものである。また、
この熱硬化型樹脂組成物は、加熱硬化時に溶融流動性を
示すものである。したがって、この熱硬化型樹脂組成物
から形成された紐状体は、常温で形状保持性を有する
が、加熱硬化時に溶融流動性を示すものである。もちろ
ん、該紐状体は、常温より低い温度でも形状保持性を有
している。また、該紐状体は、常温を越える温度であっ
ても、熱硬化温度条件に達するまで形状保持性を有する
ことが望ましい。一方、該紐状体は、熱硬化型樹脂組成
物の熱硬化温度まで加熱すると、短時間で全体が溶融流
動性を示すことが、シール性及び生産性の観点から望ま
しい。
【0026】熱硬化型樹脂組成物を構成する合成樹脂と
しては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはこれらの
混合物を挙げることができる。熱硬化性樹脂は、単独で
使用するよりも、通常は、熱可塑性樹脂と組み合わせて
使用することが好ましい。より具体的に、本発明で使用
する熱硬化型樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹
脂とを含有する反応性樹脂組成物であることが、粘度、
形状保持性、凝集力、溶融流動性などの諸特性を調整
し、さらには、耐熱性、耐溶剤性、防錆性、シール性な
どを向上させる上で好ましい。また、熱硬化性樹脂、熱
可塑性樹脂、充填剤、その他の添加剤などの種類と配合
割合を調整することにより、常温では固体であって、実
質的に流動性を示さないが、加熱硬化時には溶融流動性
を示す熱硬化型樹脂組成物を容易に調製することができ
る。例えば、融点が比較的高い熱可塑性樹脂と熱硬化性
樹脂とを含む樹脂組成物が適している。両者の比率や充
填剤など添加剤の配合割合を変化させることにより、加
熱時の溶融流動性(粘度)を容易に調整することができ
る。
【0027】熱硬化性樹脂としては、一般に熱硬化させ
て使用する樹脂であれば特に限定されないが、好ましい
例としては、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレ
ート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げ
られる。これらの熱硬化性樹脂は、比較的入手しやす
く、種類も多いため、選択の幅が広く、また、100%
固形分からなり、無溶剤で空気を汚染しないため、環境
に優しい。これらの熱硬化性樹脂は、それぞれ単独で、
あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ
る。これらの中でも、ウレタン(メタ)アクリレート樹
脂及びエポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、比較的低
温で硬化が可能なことから特に好ましい。
【0028】熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチ
レン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチ
レン−メチルメタクリレート共重合体(EMAA)、エ
チレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチ
レン−エチルアクリレート共重合体(EEA)などのポ
リエチレン系樹脂;ポリブタジエン(PB)などのゴム
質重合体;飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド(P
A)、ポリウレタン(PU)、ポリブチレン、ポリブテ
ン、ポリビニルブチラール、アイオノマー(IO)など
の各種熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、E
VAやEEAなどのエチレン共重合体樹脂、飽和ポリエ
ステル樹脂、及びポリブタジエンが好ましい。本発明に
おいて、熱可塑性樹脂とは、典型的な熱可塑性樹脂以外
に、ゴム質重合体などをも含む広い意味で使用する。こ
れらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種
以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂と組み合わ
せることなく使用することも可能である。例えば、EV
Aなどの熱可塑性樹脂は、熱硬化剤を選択し、かつ、比
較的低温度で押出成形することにより、紐状体に成形す
ることが可能であり、この紐状体を寸法安定性に優れた
ものとすることもできる。より具体的には、EVAと有
機過酸化物を含有する熱硬化型樹脂組成物を紐状体に成
形したものは、寸法安定補助材を複合化しなくても、寸
法安定性に優れており、加熱硬化時には溶融流動性を示
し、有機過酸化物により架橋(硬化)することができ
る。また、この紐状体は、非粘着性の表面を有してお
り、作業性に優れている。同様に、EVAやEEAなど
の熱可塑性樹脂は、少量の熱硬化性樹脂並びに有機過酸
化物と組み合わせて使用することにより、寸法安定補助
材を複合化しなくても、寸法安定性に優れた紐状シーリ
ング材とすることができる。
【0030】本発明で使用する熱硬化型樹脂組成物にお
いて、合成樹脂を構成する熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂
との配合割合は、それぞれの樹脂の種類や所望の溶融流
動性などによって適宜選択することができるが、重量比
で、通常、0:100〜95:5、好ましくは0:10
0〜90:10、より好ましくは0:100〜80:2
0、最も好ましくは0:100〜70:30である。E
VAなどの場合には、熱可塑性樹脂を単独で使用するこ
とができるが、多くの場合、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹
脂とを併用する。この場合には、熱硬化性樹脂と熱可塑
性樹脂との重量比は、好ましくは0.5:99.5〜9
5:5、より好ましくは1:99〜90:10である。
熱硬化性樹脂の割合が小さい場合でも優れた結果が得ら
れるが、熱硬化性樹脂の割合が比較的多い場合、例え
ば、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との重量比が20:8
0〜80:20、さらには30:70〜70:30程度
でも良好な結果を得ることが可能である。EVAやEE
Aなどの熱可塑性樹脂を用いて、寸法安定補助材を複合
化することなく、寸法安定性に優れた紐状シーリング材
を得る場合には、熱硬化性樹脂は使用しないか、あるい
は使用するとしても、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との
配合割合(重量比)を0.5:99.5〜10:90程
度とすることが望ましい。合成樹脂は、通常、70〜2
50℃、好ましくは80〜200℃で溶融流動性を示す
ように、各樹脂の種類や配合割合を選択することが望ま
しい。
【0031】本発明では、前記の如き樹脂成分に熱硬化
剤を添加することにより、熱硬化型樹脂組成物を調製す
る。熱硬化剤とは、熱により性能を発揮する硬化剤であ
り、有機過酸化物などの熱反応開始剤(熱硬化触媒)や
アミン類などのエポキシ硬化剤などで、熱硬化性樹脂及
び/または熱可塑性樹脂を硬化もしくは架橋させ得るも
のを意味する。熱硬化剤の具体例としては、ジクミルパ
ーオキシド,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキシン−3、α,α′−ビス(t−ブ
チルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、パーオ
キシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキシ
ド、シクロヘキサノンパーオキシド、1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロ
ヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタ
ン、t−ブチルハイドロパーオキシド、2,5−ジメチ
ルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキシド、オクタ
ノイルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、ビス
(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボ
ネート、ベンゾイルパーオキシド、α,α′−ビス(t
−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5
−ジメチル−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンな
どの有機過酸化物;脂肪族ポリアミン類、脂環族ポリア
ミン類、芳香族ポリアミン類、ビスアジド類、ジカルボ
ン酸類、酸無水物類、ジオール類、多価フェノール類、
ポリアミド類、ジイソシアネート類、ポリイソシアネー
ト類などを挙げることができる。これらの熱硬化剤は、
使用する合成樹脂の種類、紐状体の成形温度や紐状シー
リング材の熱硬化温度などを考慮して、それぞれ単独
で、あるいは2種以上を組み合わせて選択し使用する。
【0032】熱硬化剤の使用割合は、熱硬化性樹脂及び
/または熱可塑性樹脂の種類によって適宜定めることが
できるが、合成樹脂100重量部に対して、通常、0.
01〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、よ
り好ましくは0.5〜5重量部程度である。熱硬化剤の
配合割合が過小であると、硬化が起こりにくく、十分な
耐熱性、耐候性などの特性を得ることが困難になる。熱
硬化剤の配合割合が過大であると、経済的ではなく、ま
た、硬化したシール部の可撓性や水密性、気密性が低下
する恐れがある。
【0033】本発明で使用する熱硬化型樹脂組成物に
は、タルク、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、カーボ
ンブラックなどの充填剤;染料、顔料などの着色剤;界
面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、金属粉末などを
必要に応じて添加することができる。また、パラフィン
やロジンなどを溶融流動性の調整剤として適宜配合する
ことができる。
【0034】熱硬化型樹脂組成物は、物性調整と経済性
の観点から、充填剤を配合することが好ましい。充填剤
は、合成樹脂100重量部に対して、通常、0.1〜5
0重量部、好ましくは0.3〜30重量部、より好まし
くは0.4〜20重量部程度の割合で使用される。充填
剤の配合割合が過大であると、熱硬化型樹脂組成物の加
熱硬化時での溶融流動性が損なわれる。
【0035】本発明で使用する熱硬化型樹脂組成物は、
各成分を溶融混練することにより調製することが好まし
く、また、実質的に無溶剤とすることが好ましい。本発
明の紐状シーリング材を製造する方法は、特に限定され
ないが、通常は、熱硬化型樹脂組成物を押出機に供給
し、紐状に溶融押出して紐状体を成形する方法、溶融
押出により成形した紐状体に寸法安定補助材を一体化さ
せる方法、熱硬化型樹脂組成物をクロスヘッドダイス
を有する押出機に供給し、寸法安定補助材と共に押し出
しする方法などが採用される。紐状体の表面に寸法安定
補助材を複合化して配置するには、押出直後の紐状体と
線状材料からなる寸法安定補助材とを凹溝を有するロー
ル間に通して、一体化する方法が好ましい。寸法安定補
助材は、紐状体の表面に密着するか、あるいは少なくと
もその一部が紐状体の中に埋め込まれた形状となって、
紐状複合構造体を構成することになる。溶融混練や押出
成形加工は、合成樹脂の溶融温度以上の温度であって、
熱硬化剤が活性化する温度未満の温度で行う。
【0036】紐状体の断面の形状は、寸法安定補助材の
場合と同様に適宜決めることができる。また、熱硬化型
樹脂組成物からなる紐状体の断面の大きさも、適宜定め
ることができるが、円形である場合、その直径は、通
常、1.5〜30mm、好ましくは2〜20mm、より
好ましくは3〜15mm程度である。紐状体の表面に寸
法安定補助材が配置された紐状複合構造体の断面の大き
さは、寸法安定補助材がある分だけ大きくなる。紐状シ
ーリング材の断面が円形以外の場合には、上記に準じ
て、その断面の大きさを調整する。
【0037】熱硬化型樹脂組成物から形成された紐状体
は、その表面が粘着性を有するものであると、施工箇所
に粘着固定することができるので、通常は施工作業性が
良好である。しかし、表面が粘着性を帯びた紐状体は、
V字型の溝部などの狭い箇所に施工する際には、他の箇
所に付着して施工箇所にまで配置することが困難な場合
がある。本発明の紐状シーリング材は、紐状体の表面が
粘着性を帯びているものである場合には、タルク、シリ
カなどの非粘着性の粉末やパラフィンやワックスなどを
表面に付着させて、非粘着性にすることができる。非粘
着性の粉末は、紐状シーリング材にまぶしたり、該粉末
を含有する水分散液中に紐状シーリング材を浸漬し乾燥
する方法などで付着させることができる。パラフィンな
どは、溶融させて、その中に紐状シーリング材を通す方
法により、表面に付着させることができる。また、合成
樹脂として、EVAを単独で用いた紐状体は、表面を非
粘着性とすることができる。
【0038】本発明の紐状シーリング材は、合成樹脂と
熱硬化剤とを含有する熱硬化型樹脂組成物を成形してな
る紐状体(a) であっても、あるいは該紐状体(a) の長さ
方向に沿って、その表面に寸法安定補助材が配置された
紐状複合構造体(b) であっても、23℃で、該紐状シー
リング材の長さ方向に単位断面積当り5N/cm2 の応
力となる荷重を5分間加えたとき、伸び率が10%以内
であることが必要である。未硬化の熱硬化型樹脂組成物
を主体とする紐状シーリング材は、長い紐状の成形物で
あるため、取り扱い時に、その自重によって変形しやす
い。また、この紐状シーリング材は、施工時に人の手に
よって取り扱われ、その際、引っ張り力などの様々な外
力を受けて変形しやすい。紐状シーリング材が変形しや
すいものであると、取り扱い中に、部分的に伸びて細く
なったり、分断したり、弛んだりするなどの不都合を生
じやすい。
【0039】本発明者らは、紐状シーリング材の自重、
人の手で引っ張った時の最大強さ、紐状シーリング材の
通常の断面積などを総合的に検討した結果、紐状シーリ
ング材の長さ方向に単位断面積当り5N/cm2 の応力
となる荷重を5分間加えたとき、伸び率が10%以内で
あれば、寸法安定性に優れ、取り扱い中での変形が少な
く、取り扱い性が顕著に改善されることを見いだした。
寸法安定性を向上させる方法としては、前記したとお
り、寸法安定補助材を複合化する方法と、熱硬化型樹脂
組成物自体の組成を選択する方法とがある。EVAなど
の熱可塑性樹脂を単独で使用すると、熱硬化型樹脂組成
物からなる紐状体単独で寸法安定性に優れたものとする
ことができる。紐状体自体の寸法安定性が不十分な場合
には、寸法安定補助材を複合化することにより、寸法安
定性を付与もしくは向上させることができる。
【0040】寸法安定性の指標となる伸び率の具体的な
測定方法は、次のとおりである。紐状シーリング材サン
プルの一端を固定して吊り下げて、他端(下端)をクリ
ップで挟み、分銅を吊り下げる。サンプルの測定部分の
長さを100mmとする。測定温度は、23℃(±1
℃)とする。この温度での伸び率を測定すれば、常温で
の寸法安定性の指標とすることができる。分銅の重さ
は、単位断面積当り5N/cm2 の応力となるように調
整する。分銅を吊り下げて5分間経過後の伸びを測定
し、伸び率を算出する。この伸び率は、10%以内であ
ることが寸法安定性の観点から必要であるが、好ましく
は5%以内、より好ましくは実質的に伸長しないことで
ある。分銅を取り除いた後の、変形量も測定して、元の
長さにどの程度復元するのかも調べることが望ましい。
分銅を取り除いた後、伸長した紐状シーリング材が元の
長さの5%以内の伸び率に復元することが、寸法安定性
の観点から好ましい。
【0041】紐状シーリング材の断面積に応じて、単位
断面積当り5N/cm2 の応力となる分銅の重さを正確
に調整できないことがある。そのような場合には、例え
ば、単位断面積当り5N/cm2 未満の応力となる荷重
(分銅の重さ)での伸び率が10%以上の場合を、5N
/cm2 の応力での伸び率が10%以上であると評価す
る。同様に、単位断面積当り5N/cm2 超過の応力と
なる荷重での伸び率が10%以下の場合を、5N/cm
2 の応力での伸び率が10%以下であると評価すること
ができる。本発明では、好ましくは30N/cm2 、よ
り好ましくは50N/cm2 、特に好ましくは80N/
cm2 またはこれ以上の応力(例えば、100N/cm
2 以上の応力)でも、伸び率が10%以内である紐状シ
ーリング材であることが望ましい。
【0042】本発明の紐状シーリング材を用いて施工す
るには、施工箇所に載置し、加熱硬化させる。加熱温度
は、通常、70〜250℃、好ましくは80〜200
℃、より好ましくは120〜190℃であり、加熱時間
は、通常、1〜120分間、好ましくは5〜60分間、
より好ましくは10〜40分間である。加熱手段は、適
宜選ぶことができ、例えば、加熱炉、熱風乾燥機などを
挙げることができる。熱硬化温度にまで加熱することに
より、紐状体を構成する熱硬化型樹脂組成物は、溶融流
動し、同時もしくはその後に熱硬化する。
【0043】本発明の紐状シーリング材は、熱硬化型樹
脂組成物を構成する成分の材質や組成比率、充填剤の種
類や配合割合、熱反応開始剤などの熱硬化剤の種類や配
合割合等を選択することにより、さらには任意に寸法安
定補助材を複合化することにより、施工箇所の形状や加
熱条件などの与えられた諸条件に対し、常温での寸法安
定性、加熱硬化時の溶融流動性と形状保持性、施工後の
実用的な耐熱性、耐久性等の全てを十分に満足するよう
に設計することが可能である。本発明の紐状シーリング
材は、自動車・車両、船舶、航空機、建築、土木、各種
機械や装置などの広範な分野で好適に用いることができ
る。
【0044】本発明の紐状シーリング材は、施工箇所に
載置し、次いで、加熱することにより、該紐状シーリン
グ材を構成する熱硬化型樹脂組成物を溶融流動させ、か
つ、硬化させることによりシーリングすることができ
る。本発明の紐状シーリング材は、施工箇所がV字型な
ど狭くて深い形状の溝部のシーリングに適している。本
発明の紐状シーリング材を溝上部に載置し、次いで、加
熱することにより、熱硬化型樹脂組成物を溶融流動さ
せ、それと同時もしくはその後に硬化させることによ
り、溝下端部まで確実に充填し、しかも整った形状の硬
化シール部を形成することができる。
【0045】本発明の紐状シーリング材は、傾斜部や屈
曲部、屈折部などのある施工箇所に沿って載置し、加熱
しても、端部に液ダレが生じないことはもとより、硬化
後のシーリング材の形状に薄い部分や厚い部分などが生
じて、仕上がりが不均一になることはない。特に、寸法
安定補助材を複合化した本発明の紐状シーリング材は、
例えば、上方に湾曲した屈曲部などのある施工箇所に沿
って載置し、加熱して溶融流動させても、液ダレによる
厚みの不均一化が効果的に抑制される。
【0046】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明に
ついてより具体的に説明する。
【0047】[実施例1]以下の組成からなる熱硬化型
樹脂組成物を押出機から直径約5mmの紐状に押出成形
した。熱硬化型樹脂組成物 (重量部) エチレン−酢酸ビニル共重合体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 450部 〔三井石油化学(株)製、EVA 45X〕 エチレン−酢酸ビニル共重合体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 450部 〔三井石油化学(株)製、EVA 310〕 ウレタンアクリレート樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 600部 〔シーベルヘグナー(株)製、アクロスアクリタン290〕 タルク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50部 〔日本タルク(株)製、ミクロエースK−1〕 熱反応開始剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10部 〔日本油脂(株)製、パーヘキサ 3M−40;有機過酸化物〕
【0048】上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化型
樹脂組成物を得た。該熱硬化型樹脂組成物を押出機に供
給し、樹脂温度60℃で、紐状に溶融押出した。押出直
後、溶融押出により成形された直径約5mmの紐状体
を、直径約2mmのブチルゴムからなる紐状押出物(寸
法安定補助材)と共に、凹溝を有するロール間に通して
両者が一体化した紐状シーリング材(直径=約5mm)
を得た。この紐状シーリング材は、熱硬化型樹脂組成物
からなる紐状体の表面にブチルゴムからなる寸法安定補
助材が埋め込まれた形状の紐状複合構造体であり、その
断面は、ほぼ円形であった。紐状体の表面は、微粘着性
であった。紐状体の表面を非粘着性にするため、紐状シ
ーリング材をタルクを分散した水溶液中を通過させ、次
いで、乾燥させた。このようにして得られた紐状シーリ
ング材は、23℃で、該紐状シーリング材の長さ方向に
単位断面積当り30N/cm2 の応力となる荷重を5分
間加えたとき、実質的に伸びなかった。応力が100N
/cm2 となる荷重をかけても、実質的に伸びず、寸法
安定性に優れていた。
【0049】上記のようにして得られた紐状シーリング
材を長さ14cmに切り、電着塗装鋼板で構成される角
度15°、長さ15cmのV字型の溝上部に置いた。シ
ーリング材中心部から溝底部までは約2.5cmであっ
た。この状態で、160℃で30分間加熱したところ、
紐状シーリング材の熱硬化型樹脂組成物が溶融流動し
て、V字型の溝底部を埋め、寸法安定補助材は、溝底部
から約0.8cmの上方位置に留まった。寸法安定補助
材の周りは、硬化した熱硬化型樹脂組成物で覆われてい
た。また、V字型溝の両端からは、溶融流動した熱硬化
型樹脂組成物は流れ出しておらず、溝側面から寸法安定
補助材の端部断面を観察することができた。すなわち、
熱硬化型樹脂組成物は、ほぼ寸法安定補助材の長さと同
じ幅でV字型溝の底部まで溶融流動していた。
【0050】[実施例2]以下の組成からなる熱硬化型
樹脂組成物を押出機から直径約4mmの紐状に押出成形
した。熱硬化型樹脂組成物 (重量部) 飽和ポリエステル樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 450部 〔東洋紡績(株)製、バイロン550〕 エポキシアクリレート樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 300部 〔昭和高分子(株)製、リポキシVR−90〕 シリカ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3部 〔日本アエロジル(株)製、アエロジルNo.300〕 高融点パラフィン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7部 〔米国貿易(株)製、マイクロファイン〕 熱反応開始剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4部 〔日本油脂(株)製、ナイパーFF〕
【0051】上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化型
樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして、該熱硬化型
樹脂組成物を押出機に供給し、樹脂温度70℃で、紐状
に溶融押出した。押出直後、溶融押出により成形された
直径約4mmの紐状体を、直径1mmの銅線(寸法安定
補助材)と共に、凹溝を有するロール間に通して、両者
が一体化した紐状シーリング材(直径=約4mm)を得
た。この紐状シーリング材は、熱硬化型樹脂組成物から
なる紐状体の表面に銅線が埋め込まれた形状の紐状複合
構造体であり、その断面は、ほぼ円形であった。
【0052】このようにして得られた紐状シーリング材
は、23℃で、該紐状シーリング材の長さ方向に単位断
面積当り30N/cm2 の応力となる荷重を5分間加え
たとき、実質的に伸びなかった。応力が100N/cm
2 となる荷重をかけても、実質的に伸びず、寸法安定性
に優れていた。得られた紐状シーリング材を用いて実施
例1と同様の試験を行ったが、その際の加熱条件を14
0℃で30分間とした。銅線は、V字型溝の殆ど底部に
近い所まで達し、熱硬化型樹脂組成物は、溝底部を埋め
て、かつ、銅線を覆っていた。V字型溝の端部からの熱
硬化型樹脂組成物の流れ出しはなかった。
【0053】[実施例3]以下の組成からなる熱硬化型
樹脂組成物を押出機から直径約4mmの紐状に押出成形
した。熱硬化型樹脂組成物 (重量部) エポキシ樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 350部 〔油化シェル(株)製、エピコート1001(固体)〕 エポキシ樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 150部 〔油化シェル(株)製、エピコート828(液体)〕 飽和ポリエステル樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 250部 〔東洋紡績(株)、バイロン300(固体)〕 シリカ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15部 〔日本アエロジル(株)製、アエロジルR−972〕 エポキシ樹脂硬化剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4部 〔四国化成(株)製、キュアゾール2MZ−AZINE〕 ジシアンジアミド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20部 〔日本カーバイド(株)製エポキシ樹脂硬化剤〕
【0054】上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化型
樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして、該熱硬化型
樹脂組成物を押出機に供給し、樹脂温度70℃で、紐状
に溶融押出した。寸法安定補助材として、木綿糸から成
る紐にポリウレタンエマルジョンを含浸処理して得た直
径約3mmの含浸処理紐を使用した。押出直後、溶融押
出により成形された直径約4mmの紐状体を、直径約3
mmの含浸処理紐と共に、凹溝を有するロール間に通し
て、両者が一体化した紐状シーリング材(直径=約5m
m)を得た。この紐状シーリング材は、熱硬化型樹脂組
成物からなる紐状体の表面に含浸処理紐が埋め込まれた
形状の紐状複合構造体であり、その断面は、ほぼ円形で
あった。紐状体は、表面が微粘着性であるので、タルク
をまぶして表面を非粘着性にした。
【0055】このようにして得られた紐状シーリング材
は、23℃で、該紐状シーリング材の長さ方向に単位断
面積当り30N/cm2 の応力となる荷重を5分間加え
たとき、実質的に伸びなかった。応力が100N/cm
2 となる荷重をかけても、実質的に伸びず、寸法安定性
に優れていた。得られた紐状シーリング材を用いて実施
例1と同様の試験を行ったが、その際の加熱条件を18
0℃で20分間とした。寸法安定補助材の含浸処理紐
は、V字型溝の底部から約1cm上方の位置にまで達し
ており、熱硬化型樹脂組成物は、溝底部を埋めて、か
つ、含浸処理紐を覆っていた。V字型溝の端部からの熱
硬化型樹脂組成物の流れ出しはなかった。
【0056】[実施例4]以下の組成からなる熱硬化型
樹脂組成物を押出機から直径約4mmの紐状に押出成形
した。熱硬化型樹脂組成物 (重量部) ポリブタジエン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 600部 〔日本合成ゴム(株)製、RB−810〕 ウレタンアクリレート樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 400部 〔日本合成化学工業(株)製、紫光V−2000B〕 タルク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 100部 〔日本タルク(株)製、ミクロエースK−1〕 熱反応開始剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10部 〔日本油脂(株)製、パーヘキサ 25B−40;有機過酸化物〕
【0057】上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化型
樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして、該熱硬化型
樹脂組成物を押出機に供給し、樹脂温度60℃で、紐状
に溶融押出した。寸法安定補助材として、直径約2.5
mmのガラスストランドロービングを使用した。押出直
後、溶融押出により成形された直径約4mmの紐状体を
ガラスストランドロービングと共に、凹溝を有するロー
ル間に通して、両者が一体化した紐状シーリング材(直
径=約4mm)を得た。この紐状シーリング材は、熱硬
化型樹脂組成物からなる紐状体の表面にガラスストラン
ドロービングが埋め込まれた形状の紐状複合構造体であ
り、その断面は、ほぼ円形であった。この紐状体は、表
面が微粘着性であるので、タルクをまぶして表面を非粘
着性にした。
【0058】このようにして得られた紐状シーリング材
は、23℃で、該紐状シーリング材の長さ方向に単位断
面積当り30N/cm2 の応力となる荷重を5分間加え
たとき、実質的に伸びなかった。応力が100N/cm
2 となる荷重をかけても、実質的に伸びず、寸法安定性
に優れていた。得られた紐状シーリング材を用いて実施
例1と同様の試験を行ったが、その際の加熱条件を16
0℃で30分間とした。寸法安定補助材のガラスストラ
ンドロービングは、V字型溝の底部から約1cm上方の
位置にまで達しており、熱硬化型樹脂組成物は、溝底部
を埋めて、かつ、ガラスストランドロービングを覆って
いた。V字型溝の端部からの熱硬化型樹脂組成物の流れ
出しはなかった。
【0059】[実施例5]寸法安定補助材を使用せず
に、寸法安定性のある下記の配合により、表面が非粘着
性の紐状シーリング材を作製した。熱硬化型樹脂組成物 (重量部) エチレン−酢酸ビニル共重合体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 200部 〔三井石油化学(株)製、EVA 45X〕 エチレン−酢酸ビニル共重合体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 800部 〔三井石油化学(株)製、EVA 200〕 熱反応開始剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10部 〔日本油脂(株)製、パークミルD;有機過酸化物〕
【0060】上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化型
樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして、該熱硬化型
樹脂組成物を押出機に供給し、樹脂温度60℃で、紐状
に溶融押出した。このようにして得られた直径5mmの
紐状体を紐状シーリング材として使用した。この紐状シ
ーリング材は、表面が非粘着性であった。このようにし
て得られた紐状シーリング材は、23℃で、該紐状シー
リング材の長さ方向に単位断面積当り30N/cm2
応力となる荷重を5分間加えたとき、実質的に伸びなか
った。この紐状シーリング材に約30Nの荷重(153
N/cm2 )を5分間加えたところ、伸び率は10%以
内であり、荷重を除くと、直にもとの長さに復元した。
得られた紐状シーリング材を用いて実施例1と同様の試
験を行ったが、その際の加熱条件を160℃で20分間
とした。熱硬化型樹脂組成物は、溝底部を埋めており、
V字型溝の端部からの熱硬化型樹脂組成物の流れ出しは
なかった。
【0061】[実施例6]寸法安定補助材を使用せず
に、寸法安定性のある下記の配合により、表面が非粘着
性の紐状シーリング材を作製した。熱硬化型樹脂組成物 (重量部) エチレン−エチルアクリレート共重合体 ・・・・・・・・・・・・・・・ 100部 〔三井・デュポン・ポリケミカル(株)製、EEA A−715〕 エポキシアクリレート樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2部 〔昭和高分子(株)製、リポキシVR−77〕 シリカ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5部 〔日本アエロジル(株)製、アエロジルR−972〕 熱反応開始剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5部 〔日本油脂(株)製、パーヘキサ 3M−40;有機過酸化物〕
【0062】上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化型
樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして、該熱硬化型
樹脂組成物を押出機に供給し、樹脂温度65℃で、紐状
に溶融押出した。このようにして得られた直径6mmの
紐状体を紐状シーリング材として使用した。この紐状シ
ーリング材は、表面が非粘着性であった。このようにし
て得られた紐状シーリング材は、23℃で、該紐状シー
リング材の長さ方向に単位断面積当り5N/cm2 の応
力となる荷重を5分間加えたが、実質的に伸びず、同じ
荷重を10分間加えたとき、伸び率は1%未満であっ
た。この紐状シーリング材の長さ方向に単位断面積当り
30N/cm2 の応力となる荷重を5分間加えたとき、
伸び率は10%以内であったが、同じ荷重を10分間加
えると、伸び率は15%になった。この紐状シーリング
材は、使用時に特に不都合はなく、良好に施工すること
ができた。この紐状シーリング材を用いて実施例1と同
様の試験を行ったが、その際の加熱条件を160℃で3
0分間とした。熱硬化型樹脂組成物は、溝底部を埋めて
おり、V字型溝の端部からの熱硬化型樹脂組成物の流れ
出しはなかった。
【0063】 [比較例1]熱硬化型樹脂組成物 (重量部) エチレン−酢酸ビニル共重合体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 450部 〔三井石油化学(株)製、EVA 45X〕 エチレン−酢酸ビニル共重合体 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 450部 〔三井石油化学(株)製、EVA 310〕 ウレタンアクリレート樹脂 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 600部 〔シーベルヘグナー(株)製、アクロスアクリタン290〕 タルク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50部 〔日本タルク(株)製、ミクロエースK−1〕 熱反応開始剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10部 〔日本油脂(株)製、パーヘキサ 3M−40〕
【0064】上記各成分をニーダーで混練し、熱硬化型
樹脂組成物を得た。この熱硬化型樹脂組成物を押出機
で、樹脂温度60℃で、直径7mmの紐状に溶融押出
し、表面が微粘着性の紐状シーリング材を得た。この紐
状シーリング材の長さ方向に、23℃で、5N/cm2
の荷重を5分間加えたところ、伸び率が10%を超過し
て伸長した。この紐状シーリング材を14cmの長さに
切り、手で少し引っ張ったところ、長さが伸びて、寸法
安定性が不十分であることが分かった。得られた紐状シ
ーリング材を用いて実施例1と同様の試験を行ったが、
160℃で30分間の加熱により、熱硬化型樹脂組成物
が溶融流動して、V字型溝の底部を埋めものの、15c
mの長さの溝から約0.5cm程が流れ出て硬化してい
た。
【0065】[比較例2]熱反応開始剤を加えなかった
こと以外は、実施例5と同様にして紐状シーリング材を
作製し、同様に評価を行った。熱硬化型樹脂組成物は、
溝底部を埋めていたが、V字型溝の端部からの熱硬化型
樹脂組成物の流れ出しが見られた。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、取り扱い性に優れ、加
熱することにより、V字型などの狭くて深い形状の溝部
などを完全に充填することができ、耐熱性、耐候性、防
錆性、シール性に優れ、しかも形状の整ったシール部を
形成することができる紐状シーリング材が提供される。
【0067】本発明の紐状シーリング材は、寸法安定補
助材として熱硬化時の熱に対して寸法安定性のあるもの
を使用し、熱により溶融流動し、硬化する熱硬化型樹脂
組成物と複合化しているため、(1) 長さ方向の寸法安定
性が確保できること、(2) 狭い施工箇所にも樹脂成分が
流れ込み確実なシール効果を発揮することができるこ
と、(3) 施工部分が寸法安定補助材の長さより広がらな
いこと、(4) 熱硬化型であるため、耐熱性、耐久性に優
れること、などの顕著な作用効果を奏することができ
る。
【0068】また、本発明では、寸法安定性に優れた熱
硬化型樹脂組成物を使用することにより、寸法安定補助
材を使用することなく、前記と同様の優れた作用効果を
奏することができる。さらに、本発明によれば、熱硬化
性樹脂と熱可塑性樹脂との比率を自由に変えられるた
め、硬化速度、硬化温度などの設定が容易である。本発
明の紐状シーリング材は、施工作業性を高めるために、
表面を非粘着性とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紐状シーリング材(紐状複合構造体)
をV字型溝に適用する場合の加熱硬化前の状態に関する
説明図である。
【図2】本発明の紐状シーリング材(紐状複合構造体)
をV字型の溝に適用する場合の加熱硬化時の説明図であ
る。
【図3】本発明の紐状シーリング材(紐状体)をV字型
の溝に適用する場合の加熱硬化前の状態に関する説明図
である。
【図4】本発明の紐状シーリング材(紐状体)をV字型
の溝に適用する場合の加熱硬化時の説明図である。
【図5】比較例の紐状シーリング材(紐状体)をV字型
の溝に適用する場合の加熱硬化前の状態に関する説明図
である。
【図6】比較例の紐状シーリング材(紐状体)をV字型
の溝に適用する場合の加熱硬化時の説明図である。
【符号の説明】
1:本発明の紐状シーリング材(紐状複合構造体) 2:寸法安定補助材 3:熱硬化型樹脂組成物からなる紐状体 4:電着塗装鋼板で構成されるV字型の溝 5:本発明の紐状シーリング材(紐状体) 6:比較例の紐状シーリング材(紐状体) 22:寸法安定補助材 23:溶融流動して硬化した熱硬化型樹脂組成物 45:溶融流動して硬化した熱硬化型樹脂組成物 65:溶融流動して硬化した熱硬化型樹脂組成物 66:熱硬化型樹脂組成物がV字型溝端部から流れ出し
て硬化した部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16J 15/14 F16J 15/14 C (72)発明者 岸本 芳男 東京都文京区関口二丁目3番3号 ニチバ ン株式会社内 Fターム(参考) 4H017 AA04 AB01 AB03 AB07 AB08 AB10 AB13 AC02 AC03 AC16 AE03 AE05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紐状シーリング材において、(1) 該紐状
    シーリング材が、合成樹脂と熱硬化剤とを含有する熱硬
    化型樹脂組成物を成形してなる紐状体(a) であるか、あ
    るいは該紐状体(a) の長さ方向に沿って、その表面に寸
    法安定補助材が配置された紐状複合構造体(b) であり、
    (2) 23℃で、該紐状シーリング材の長さ方向に単位断
    面積当り5N/cm2 の応力となる荷重を5分間加えた
    とき、伸び率が10%以内であり、かつ、(3) 該紐状体
    (a) が、常温(5〜35℃)において形状保持性を有す
    るが、加熱硬化時に溶融流動性を示すものであることを
    特徴とする紐状シーリング材。
  2. 【請求項2】 該熱硬化型樹脂組成物が、合成樹脂とし
    て、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはこれらの混合
    物を含有するものである請求項1記載の紐状シーリング
    材。
  3. 【請求項3】 該熱硬化性樹脂が、ウレタン(メタ)ア
    クリレート樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、
    及びエポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一
    種の熱硬化性樹脂である請求項2記載の紐状シーリング
    材。
  4. 【請求項4】 該熱可塑性樹脂が、エチレン−酢酸ビニ
    ル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、
    飽和ポリエステル樹脂、及びポリブタジエンからなる群
    より選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂である請求
    項2記載の紐状シーリング材。
  5. 【請求項5】 該熱硬化型樹脂組成物が、合成樹脂とし
    て、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを重量比0.5:9
    9.5〜95:5の割合で含有し、合成樹脂100重量
    部に対して、熱硬化剤0.01〜15重量部を含有する
    ものである請求項2記載の紐状シーリング材。
  6. 【請求項6】 該紐状シーリング材が、合成樹脂とし
    て、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−エチ
    ルアクリレート共重合体からなる群より選ばれる少なく
    とも一種の熱可塑性樹脂100重量部に対して、熱硬化
    剤として有機過酸化物0.01〜15重量部を含有する
    熱硬化型樹脂組成物を成形してなる紐状体である請求項
    4記載の紐状シーリング材。
  7. 【請求項7】 該紐状体(a) が、常温で非粘着性の表面
    を有するものである請求項1記載の紐状シーリング材。
  8. 【請求項8】 該紐状体(a) が、加熱硬化時に、70〜
    250℃の範囲内の温度に加熱すると、該紐状体を構成
    する熱硬化型樹脂組成物が溶融流動して硬化するもので
    ある請求項1記載の紐状シーリング材。
  9. 【請求項9】 寸法安定補助材が、該紐状体(a) の加熱
    硬化時に、溶融または分解しない線状材料である請求項
    1記載の紐状シーリング材。
  10. 【請求項10】 合成樹脂と熱硬化剤とを含有する熱硬
    化型樹脂組成物を成形してなる紐状体(a) 、または該紐
    状体の長さ方向に沿って、その表面に寸法安定補助材が
    配置された紐状複合構造体(b) からなる紐状シーリング
    材を、施工箇所に載置し、次いで、加熱することによ
    り、該紐状シーリング材を構成する熱硬化型樹脂組成物
    を溶融流動させ、かつ、硬化させるシーリング方法。
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JP2000044929A (ja) * 1998-08-03 2000-02-15 Nichiban Co Ltd 紐状シーリング材
JP2001200959A (ja) * 1999-11-19 2001-07-27 Hilti Ag 隙間密閉方法及び密閉素子

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