JP2001213962A - レーザー加工用ポリイミド樹脂及びその溶液組成物 - Google Patents

レーザー加工用ポリイミド樹脂及びその溶液組成物

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JP2001213962A
JP2001213962A JP2000027003A JP2000027003A JP2001213962A JP 2001213962 A JP2001213962 A JP 2001213962A JP 2000027003 A JP2000027003 A JP 2000027003A JP 2000027003 A JP2000027003 A JP 2000027003A JP 2001213962 A JP2001213962 A JP 2001213962A
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polyimide resin
component
laser processing
tetracarboxylic dianhydride
solution composition
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JP2000027003A
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Inventor
Yosuke Katsumura
庸介 勝村
Makoto Irie
信 入江
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Maruzen Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Maruzen Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低エネルギーの照射でも効率良く、かつ高精
度でレーザー加工ができ、しかも加工部位周辺に黒色滓
の付着をほとんど引き起こさないレーザー加工用ポリイ
ミド樹脂と、その溶液組成物を提供する。 【解決手段】 本発明のレーザー加工用ポリイミド樹脂
は、一般式〔1〕 【化1】 (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を
表す)で表されるビシクロ[2.2.2]オクト−7−
エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物又は
そのアルキル置換誘導体[成分(a1)]、或いは、当
該成分(a1)とその他のテトラカルボン酸二無水物
[成分(a2)]との混合物からなる酸二無水物成分
(A)と、ジアミン成分(B)との脱水縮合反応により
得られることを特徴とし、又、本発明のレーザー加工用
ポリイミド樹脂溶液組成物は、このポリイミド樹脂及び
溶剤を必須成分として含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー加工用に
適したポリイミド樹脂及びその溶液組成物に関する。更
に詳しくは、本発明は、紫外レーザー光による微細加工
において、エネルギー効率が高く、分解により発生する
黒色滓が極めて少ないポリイミド樹脂及びその溶液組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】エキシマーレーザーに代表される紫外レ
ーザー光を、その波長域に吸収をもつ材料に対しあるレ
ベル以上のエネルギーで照射すると、照射部分が分解、
飛散するAPD(Ablative Photodec
omposition)という過程がおこる。このAP
D過程は高速反応で、これを応用した加工は、照射部分
の周囲に熱的な損傷が少なく、加工精度も優れているた
め、近年各種樹脂への適用が研究されてきている。
【0003】その中で、ポリイミド樹脂に対しては、ポ
リイミド前駆体に特定の芳香族多環式化合物を混合する
ことにより、高エネルギーの短波長レーザーのみなら
ず、低エネルギーの長波長レーザーも使用できるレーザ
ー加工用ポリイミド樹脂組成物が提案されている(特許
公報第2919106号)。しかし、製品強度などの物
性面からは、高分子化合物であるポリイミド樹脂に芳香
族多環式化合物のような低分子化合物を配合することは
好ましいことではない。
【0004】又一方、重合体構造中に芳香族環、特にベ
ンゼン環を多くもつ市販のポリイミド樹脂の場合、レー
ザー加工を行うと、黒色の分解生成物(黒色滓)が加工
部位周辺に付着する問題があった。そして近年、電子部
品などの用途ではますます微細な加工が求められてお
り、この黒色滓の付着現象は、加工精度を悪化させるだ
けでなく、導電性に影響するため洗浄除去が必要とな
り、生産性低下の原因となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、低エネルギーの照射でも効率良く、かつ高精度でレ
ーザー加工ができ、しかも加工部位周辺に黒色滓の付着
をほとんど引き起こさないレーザー加工用ポリイミド樹
脂を提供し、更にその溶液組成物を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意努力をした結果、ポリイミド樹脂
の分子構造に特定の脂環式構造を導入することによっ
て、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成
した。
【0007】即ち、本発明の要旨は、第一に、一般式
〔1〕
【化2】 (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を
表す)で表されるビシクロ[2.2.2]オクト−7−
エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物又は
そのアルキル置換誘導体[成分(a1)]、或いは、当
該成分(a1)とその他のテトラカルボン酸二無水物
[成分(a2)]との混合物からなる酸二無水物成分
(A)と、ジアミン成分(B)との脱水縮合反応により
得られることを特徴とするレーザー加工用ポリイミド樹
脂に存し、第二に、このポリイミド樹脂及び溶剤を必須
成分として含むレーザー加工用ポリイミド樹脂溶液組成
物に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明のレーザー加工用ポリイミド樹脂の
ための原料としては、第一に酸二無水物成分(A)が使
用される。この酸二無水物成分(A)としては、まず、
下記一般式〔1〕で表されるビシクロ[2.2.2]オ
クト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二
無水物又はそのアルキル置換誘導体からなる一群[成分
(a1)]が挙げられる。
【化3】 (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を
表す)
【0010】この一般式〔1〕で表される化合物は、無
水マレイン酸と、下記一般式〔2〕で表される1,2−
ジヒドロフタール酸無水物又はそのアルキル置換誘導体
【化4】 (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を
表す)を加熱し、ディールス・アルダー反応させること
によって容易に得られる。
【0011】上記一般式〔1〕で表される化合物の具体
例としては、例えばビシクロ[2.2.2]オクト−7
−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、
1−メチル(又は7−メチル)−ビシクロ[2.2.
2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボ
ン酸二無水物、1−エチル(又は7−エチル)−ビシク
ロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−
テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0012】又、上記酸二無水物成分(A)は、上記一
般式〔1〕で表されるビシクロ[2.2.2]オクト−
7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物
又はそのアルキル置換誘導体からなる一群[成分
(a1)]と、その他の酸二無水物[成分(a2)]との
混合物であってもよく、ここで使用するその他の酸二無
水物[成分(a2)]としては、脂肪族テトラカルボン
酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物及び芳香
族テトラカルボン酸二無水物よりなる群から選ばれるも
のが挙げられる。
【0013】上記脂肪族テトラカルボン酸二無水物とし
ては、例えばブタン−1,2,3,4−テトラカルボン
酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−カルボン酸二
無水物等が挙げられる。
【0014】又、上記脂環式テトラカルボン酸二無水物
としては、例えばシクロブタンテトラカルボン酸二無水
物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン
酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6
−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ
−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン
酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−
3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、
1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−
(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−
エチルシクロヘキサン−1−(1,2),5,6−テト
ラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1
−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、
1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),
3,(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロ
ヘキシル−3,4,3,’,4’−テトラカルボン酸二
無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,
5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.
2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸
二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−
2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げら
る。
【0015】更に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と
しては、例えばピロメリット酸二無水物、3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフ
ェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカル
ボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)プロパン二無水物、1,4−ビス(3,4−
ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物等が挙げら
る。
【0016】上記その他の酸二無水物[成分(a2)]
に含まれる脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テ
トラカルボン酸二無水物又は芳香族テトラカルボン酸二
無水物は、使用目的により単独で用いてもよいし、二種
以上の混合物として用いてもよい。
【0017】一方、本発明のレーザー加工用ポリイミド
樹脂のための原料としては、第二にジアミン成分(B)
が使用される。このジアミン成分(B)としては、脂肪
族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン及びジア
ミノポリシロキサンよりなる群から選ばれるものが挙げ
られる。
【0018】上記脂肪族ジアミンとしては、テトラメチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレ
ンジアミン、ドデカメチレンジアミン等が挙げられ、脂
環式ジアミンとしては、シクロヘキシレンジアミン、シ
クロオクチレンジアミン、2,5(又は6)−ビス(ア
ミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン或いはそ
のメチル誘導体やエチル誘導体等が挙げられ、又、芳香
族ジアミンとしては、フェニレンジアミン、4,4’−
ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミ
ノフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(アミノフ
ェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
【0019】更に、ジアミノポリシロキサンとしては、
例えば下記一般式〔3〕
【化5】 (式中、R1、R2、R3及びR4はメチル基又はフェニル
基を、l及びmは1〜10の整数を、nは1〜20の整
数をそれぞれ表す)で表される脂肪族ジアミノポリシロ
キサンが挙げられる。
【0020】上記ジアミン成分(B)に含まれる脂肪族
ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン又はジアミ
ノシロキサンは、使用目的により単独で用いてもよい
し、二種以上の混合物として用いてもよい。
【0021】本発明におけるレーザー加工用ポリイミド
樹脂の製造には、上記酸二無水物成分(A)とジアミン
成分(B)とを、両者がほぼ等モル数となるように使用
する。又、酸二無水物成分(A)中の成分(a1)[一
般式〔1〕で表されるビシクロ[2.2.2]オクト−
7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物
又はそのアルキル置換誘導体]の割合は、50〜100
モル%、好ましくは60〜100モル%であり、酸二無
水物成分(A)中の当該成分(a1)の割合が50モル
%より少ない場合、レーザー加工時のエネルギー効率が
悪化し、黒色滓の発生が目立ってくる。
【0022】又、本発明におけるレーザー加工用ポリイ
ミド樹脂は、上記酸二無水物成分(A)とジアミン成分
(B)との脱水縮合反応により得られるものであり、こ
の際に使用する反応溶媒としては、フェノール系溶媒及
び非プロトン性極性溶媒等の有機溶媒が挙げられる。
【0023】上記フェノール系溶媒としては、例えばフ
ェノール、4−メトキシフェノール、2,6−ジメチル
フェノール、m−クレゾール等が挙げられ、非プロトン
性極性溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド、γ−バレロラクト
ン、γ−ブチロラクトン、クロロホルム、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等が挙げられる。尚、これらの反応
溶媒は、単独又は混合して使用でき、更に、ベンゼン、
トルエン、キシレン、テトラリンのような芳香族炭化水
素との併用は、イミド化反応の際に生成する水を共沸に
より除去する効果があるので好都合である。
【0024】即ち、本発明におけるレーザー加工用ポリ
イミド樹脂を製造する際のイミド化反応においては、上
記酸二無水物成分(A)とジアミン成分(B)が縮合反
応してポリアミック酸を生じる際や、更にポリアミック
酸が環化してイミド化する際に、水が生成するが、この
水は、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン等と
共沸させることによって反応系外に除去することができ
ると共に、このようにして発生する水を除去することに
よりイミド化を促進させることができる。尚、無水酢酸
のような脱水剤を使用すれば、更にイミド化反応を進行
し易くすることができる。
【0025】尚、上記イミド化反応の反応系における上
記酸二無水物成分(A)とジアミン成分(B)の濃度と
しては、当該両成分の合計が10乃至60重量%、好ま
しくは20乃至50重量%であり、この濃度が10重量
%以下では、反応速度が遅くなると共に分子量が増加し
にくくなり、又、この濃度が60重量%以上では、重合
に伴って反応系の粘度が高くなりすぎるため、単量体の
拡散が阻害されて反応系中に残存する結果、得られるポ
リイミド樹脂の収率が低下するおそれある。
【0026】又、上記イミド化反応では、必用に応じて
重縮合促進剤を加えて反応を速やかに完結させることが
できる。そして、この重縮合促進剤としては、塩基性重
縮合促進剤及び酸性重縮合促進剤を用いることができ、
両者を併用することもできる。
【0027】上記塩基性重縮合促進剤としては、例えば
N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリ
ン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリ
ン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、
トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリぺンチルア
ミン、N−メチルモルホリン等が挙げられ、酸性重縮合
促進剤としては、例えば安息香酸、o−ヒドロキシ安息
香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香
酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシフ
ェニル酢酸、4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、リ
ン酸、p−フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホ
ン酸、クロトン酸等が挙げられる。
【0028】上記重縮合促進剤の使用量は、酸二無水物
成分(A)に対して1〜50モル%、好ましくは5〜3
5%であり、これらの重縮合促進剤を用いることによ
り、反応温度を低く設定できるため、しばしば着色を引
き起こす原因とされている加熱による副反応を防げるだ
けでなく、反応時間も大幅に短縮でき、経済的である。
【0029】本発明におけるレーザー加工用ポリイミド
樹脂の製造には、従来公知の方法が採用でき、比較的高
温で酸二無水物成分(A)とジアミン成分(B)を重合
させる一段重合法、或いは、低温でまずポリアミック酸
を合成し、その後に高温でイミド化反応させる二段重合
法のいずれによってもよい。
【0030】一段重合法による場合は、反応温度は12
0〜350℃、好ましくは150〜300℃であり、反
応時間は0.5〜20時間、好ましくは1〜15時間で
ある。又、二段重合法による場合は、ポリアミック酸合
成を0〜120℃、好ましくは60〜110℃の温度
で、0.5〜100時間、好ましくは1〜80時間行
い、続いてイミド化反応を120〜350℃、好ましく
は150〜300℃の温度で、0.5〜20時間、好ま
しくは1〜10時間行う。
【0031】このようにして得られたレーザー加工用ポ
リイミド樹脂溶液は、そのままの状態で後述する本発明
のレーザー加工用ポリイミド樹脂溶液組成物等として使
用に供することもできるし、又、溶媒を除去して固体の
レーザー加工用ポリイミド樹脂を得ることもできる。更
に、得られたポリイミド溶液に貧溶媒を加えて再沈殿さ
せる等の方法により、精製されたポリイミド樹脂を得る
こともできる。
【0032】このようにして得られた本発明のレーザー
加工用ポリイミド樹脂は、通常0.1〜1.5の対数粘
度を有し、ポリイミド樹脂本来の耐熱性を保持したまま
で、溶媒への溶解性に優れている。
【0033】更に、本発明のレーザー加工用ポリイミド
樹脂は、レーザー加工用材料としてエネルギー効率等の
面で優れた性能を示すものであり、例えば波長248n
mのKrFエキシマーレーザーにより径10〜20μm
程度の穴開け加工を行う場合、必要とするレーザーエネ
ルギーは従来の樹脂の数J/cm2に比べて、その値が
約1/6から約1/2に低減され、しかも黒色滓の生成
もほとんど観測されない。
【0034】更に又、本発明のレーザー加工用ポリイミ
ド樹脂は、上記の通り各種溶媒に対し良好な溶解性を示
すため、これを本発明のレーザー加工用ポリイミド樹脂
溶液組成物とすることができる。
【0035】上記ポリイミド樹脂溶液組成物のための溶
媒としては、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチル
ホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルスルホキシド、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラク
トン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、クロロ
ホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソー
ル、2−メトキシエタノール、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルアセタート、メチルメトキシプロピオ
ネート、乳酸エチル、クレゾール、ピリジン等を挙げる
ことができる。
【0036】上記溶媒としては、特に、N−メチルピロ
リドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−バレロ
ラクトン、γ−ブチロラクトンが、ポリイミド樹脂の溶
解性が良好であること、及び、塗料やコーティング剤と
して使用する際の揮発性が適切であることから、好まし
い。
【0037】上記レーザー加工用ポリイミド樹脂溶液組
成物には、これが必須とする上記成分の他、必用に応じ
分散剤、沈降防止剤、レベリング剤、可塑剤、顔料等の
塗料ないしコーティング剤に用いられる添加剤を適宜配
合することができる。塗料ないしコーティング剤を調整
する場合の方法としては、通常使用される方法、例えば
ディスパーで攪拌する方法、サンドミルで分散する方法
等が使用できる。
【0038】又、本発明のポリイミド樹脂は、成形用樹
脂材料或いは溶液組成物としてIC等の電子材料部品の
コーティング材料、液晶配向膜、カラーフィルター保護
膜、光応答システムの電子スイッチ、光ファイバーの分
岐用の素子材料等のエレクトロニクス分野やオプトエレ
クトロニクス分野において有用である。
【0039】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらによって制限されるものでは
ない。
【0040】尚、以下の実施例及び比較例における実験
方法及び条件は、下記の通りである。
【0041】(1)ポリイミド樹脂の合成 酸二無水物成分(A)0.5モルとジアミン成分(B)
0.5モルを、溶媒であるγ−ブチロラクトン1リット
ル中に投入した後、攪拌して溶解し、温度200℃で3
時間反応させ、ポリイミド樹脂を合成した。そして、得
られた溶液をそのまま或いはγ−ブチロラクトンで樹脂
濃度を調節し、ポリイミド樹脂溶液組成物として用い
た。
【0042】(2)ポリイミド膜の作製 上記(1)で得たポリイミド樹脂溶液組成物をスピンコ
ーターでガラス基板に均一に塗布し、180℃に加熱し
て溶剤を除去し、所定の厚さ(原則として20μm)の
ポリイミド膜とした。
【0043】(3)レーザー加工 ポリイミド膜のレーザー加工は、KrFエキシマーレー
ザー照射装置(LAMBDA PHYSIK LEXT
RA100)を用い、これを1mm×5mmの矩形スリ
ットを通して照射した。標準の照射条件は、25℃の空
気中、パルス強度400mJ/cm2、パルス繰り返し
速度1ppsとした。
【0044】(4)エネルギー効率の評価 エネルギー効率は即ちエッチング速度(μm/p)であ
り、照射方向におけるサンプル断面の1パルス当たりに
エッチングされた深さ(μm)で評価した。
【0045】(5)黒色滓の評価 レーザー加工した部位を写真撮影し、黒色滓の付着量を
目視で比較した。
【0046】(6)断面形状の測定 レーザー加工した部位の表面状態(特に断面形状)を、
表面形状測定顕微鏡(キーエンス社製 VF−750
0)によって測定した。
【0047】(7)樹脂の対数粘度測定 30±0.1℃の恒温槽中、ポリイミド樹脂粉末0.5
gをN−メチルピロリドン100mlに溶解して得た溶
液を、ウベローデ粘度計で測定し、次式より算出した。 対数粘度η=[ln(t/ts)]/0.5 (式中、tはポリイミド樹脂溶液の落下時間、tsはN
−メチルピロリドンのみの落下時間を表す)
【0048】(8)使用化合物 実施例及び比較例で使用した化合物は、以下の表1の通
りである。
【0049】
【表1】
【0050】実施例1 I.ポリイミド樹脂の合成 ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,
5,6−テトラカルボン酸二無水物(表1中の化合物
1)0.5モルと、2,5(又は6)−ビス(アミノメ
チル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(表1中の化合
物4)0.5モルとを、γ−ブチロラクトンに溶解し、
前記(1)の条件で重縮合反応させ、ポリイミド樹脂を
合成した。得られた樹脂溶液をγ−ブチロラクトンによ
って樹脂濃度30wt%に調整し、ポリイミド樹脂溶液
組成物とした。次いで、前記(2)の条件で厚さ20μ
mのポリイミド膜を作製した。尚、ここで得られたポリ
イミド樹脂の対数粘度は0.30であった。
【0051】II.レーザー加工及び評価 パルス強度400mJ/cm2、パルス数35、パルス
繰り返し速度1ppsで、上記I.で得られたボリイミ
ド膜を加工した。エッチング速度は0.35μm/pで
あった。このレーザー加工においては、図1に示す通
り、黒色滓は全く見られなかった。
【0052】実施例2 I.ポリイミド樹脂の合成 ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,
5,6−テトラカルボン酸二無水物(表1中の化合物
1)0.5モルと、2,5(又は6)−ビス(アミノメ
チル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(表1中の化合
物4)0.44モル及びジアミノポリシロキサン(表1
中の化合物5であり、一般式〔3〕中においてlは3、
mは3、nは9に相当する)0.06モルを実施例1と
同様に反応させ、更にポリイミド膜を作製した。
【0053】II.レーザー加工及び評価 実施例1と同様にレーザー加工とポリイミド樹脂の評価
を行った。エッチング速度は0.55μm/pで、黒色
滓は全く見られなかった。
【0054】比較例1 ポリイミド膜として、厚さ25μmのKAPTONフィ
ルム([商品名]東レ・デュポン(株)製:表1中の化
合物3と化合物7の重縮合体)を用いて、実施例1と同
じ条件でレーザー加工をした結果、エッチング速度は
0.16μm/pであった。又、図1に示すように、黒
色滓の付着がかなりの程度認められた。
【0055】比較例2 ポリイミド膜として、厚さ30μmのユーピレックスR
フィルム([商品名]宇部興産(株)製:表1中の化合
物2を使用した重縮合体)を用いて、実施例1と同じ条
件でレーザー加工した結果、エッチング速度は0.14
μm/pであった。又、図1に示すように、黒色滓の付
着がかなり認められた。
【0056】比較例3 ポリイミド膜として、厚さ30μmのユーピレックスS
フィルム([商品名]宇部興産(株)製:表1中の化合
物2を使用した重縮合体)を用いて、実施例1と同じ条
件でレーザー加工した結果、エッチング速度は0.15
μm/pであり、黒色滓の付着は比較例1と同程度であ
った。
【0057】以上の実施例1及び2と比較例1〜3のデ
ータを比較すると、以下の表2に明らかなように、実施
例1及び2の本発明のポリイミド樹脂膜は、比較例1〜
3の樹脂フィルムに比較して、いずれもエッチング速度
が大きかった。又、図1からわかるように、比較例1〜
3では黒色滓がはっきり観察されるのに対し、実施例1
ではほとんど認められなかった。
【0058】実施例3〜5 I.ポリイミド樹脂の合成 酸二無水物成分(A)及びジアミン成分(B)の組み合
わせとその割合を変えて、各ポリイミド樹脂を合成し
た。合成条件を表2に示す。
【0059】II.レーザー加工及び評価 実施例1と同様にレーザー加工とポリイミド樹脂の評価
を行った。結果を表2に示す。
【0060】実施例6 実施例1、比較例1及び比較例2の各ポリイミド樹脂に
対し、パルス数がそれぞれ40,200及び200でレ
ーザー加工を施した。このときの断面形状を図2に示
す。実施例1のポリイミド樹脂は、比較例1及び2のポ
リイミド樹脂に比べて加工断面がシャープであり、微細
加工における解像度に優れていることが明らかである。
又、実施例1のポリイミド樹脂は、比較例1及び2に比
べ、パルス数が5分の1と小さい割には、照射方向のエ
ッチング深度が大きいことが確認できる。
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】本発明のポリイミド樹脂は、レーザー光
のエネルギー効率が高く、低エネルギーの照射でも効率
良く、かつ高精度でレーザー加工ができ、しかも加工部
位周辺に黒色滓がほとんど発生しない。
【0063】又、本発明のポリイミド樹脂は、IC等の
電子材料部品のコーティング材料、液晶配向膜等のエレ
クトロニクスやオプトエレクトロニクス分野において有
用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のポリイミド樹脂膜及び比較例1乃
至比較例3のポリイミド樹脂フィルムについて、レーザ
ー加工した部位の黒色滓の付着状態を示す表。
【図2】 実施例1のポリイミド樹脂膜及び比較例1、
比較例2のポリイミド樹脂フィルムのレーザー加工部分
の断面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F073 AA06 BA31 CA46 CA49 4J002 CM041 EB026 ED026 ED056 EH036 EJ026 EL066 EL086 EL106 EP016 EU016 EU046 EV206 FD200 FD206 GP00 GQ00 4J043 PA02 PA04 PA08 PC016 QB15 QB26 RA35 SA06 SB01 TA22 TB01 TB03 UA011 UA021 UA041 UA042 UA081 UA082 UA121 UA122 UA131 UA132 UA141 UA142 UA262 UA761 UA762 UB021 UB022 UB121 UB122 UB131 UB132 UB152 UB321 UB351 UB402 WA09 WA16 XA16 XA17 XA19 XB13 XB17 XB19 YA23 ZA12 ZA23 ZA60 ZB03 ZB11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式〔1〕 【化1】 (式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を
    表す)で表されるビシクロ[2.2.2]オクト−7−
    エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物又は
    そのアルキル置換誘導体[成分(a1)]、或いは、当
    該成分(a1)とその他のテトラカルボン酸二無水物
    [成分(a2)]との混合物からなる酸二無水物成分
    (A)と、ジアミン成分(B)との脱水縮合反応により
    得られることを特徴とするレーザー加工用ポリイミド樹
    脂。
  2. 【請求項2】 その他のテトラカルボン酸二無水物[成
    分(a2)]が、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂
    環式テトラカルボン酸二無水物及び芳香族テトラカルボ
    ン酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも一種又
    は二種以上である請求項1に記載のレーザー加工用ポリ
    イミド樹脂。
  3. 【請求項3】 ジアミン成分(B)が、脂肪族ジアミ
    ン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン及びジアミノポリ
    シロキサンよりなる群から選ばれる少なくとも一種又は
    二種以上である請求項1又は2に記載のレーザー加工用
    ポリイミド樹脂。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のポリ
    イミド樹脂及び溶剤を必須成分として含むレーザー加工
    用ポリイミド樹脂溶液組成物。
  5. 【請求項5】 溶剤が、N−メチルピロリドン、N,N
    −ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
    ド、ジメチルスルホキシド、γ−バレロラクトン又はγ
    −ブチロラクトンよりなる群から選ばれる少なくとも一
    種又は二種以上である請求項4に記載のレーザー加工用
    ポリイミド樹脂溶液組成物。
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