JP2001213903A - アルファー化澱粉質の製造法 - Google Patents

アルファー化澱粉質の製造法

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JP2001213903A JP2000023786A JP2000023786A JP2001213903A JP 2001213903 A JP2001213903 A JP 2001213903A JP 2000023786 A JP2000023786 A JP 2000023786A JP 2000023786 A JP2000023786 A JP 2000023786A JP 2001213903 A JP2001213903 A JP 2001213903A
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Susumu Sato
晋 佐藤
Koji Yamada
晃二 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】所望のアルファー化度を有するアルファー化澱
粉質を容易に製造する方法を開発すること。 【解決手段】水分6〜25重量%の澱粉質原料を、20
mm以下の厚みの薄層状となし、この状態で所望のアル
ファー化度が得られるまで蒸煮すること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】所望のアルファ化度を有するアル
ファー化澱粉質を容易に製造しうるアルファー化澱粉の
製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルファー化澱粉質、例えばアルファー
化澱粉やアルファー化穀粉は、その原料になっている澱
粉質を水中で加熱して得られる糊液と近似のものが冷水
で容易に得られることから、冷水で澱粉質糊液の特性を
利用する用途、例えば養鰻用飼料や線香などの粘結成
分、充分な加熱が望めない即席スープや即席中華あんな
どのインスタント食品用成分などに用いられている。
【0003】これらの用途においては、充分にアルファ
ー化された澱粉質が有効であるが、特に食品用途の場
合、冷水で混練した際にその添加量に応じて好ましい保
形性が得られるように適度に吸水し、更に加熱処理した
際に澱粉質本来の特性を示すことが望まれる食品があ
る。例えば、水産練製品のすり身ペースト、熱水を用い
て生地を調製するシュー皮、ある種のパン生地などのベ
ーカリ製品やういろうの生地などの和菓子などが挙げら
れる。しかし、このような用途においては、必要とする
以上にアルファー化された澱粉質では吸水量が多くなり
過ぎるだけでなく、得られた製品の品質が従来の製品と
は異なる問題がある。またそれぞれの食品によって使用
される澱粉質の量や望まれる吸水量が異なるので、それ
ぞれの食品に応じて適正な保形性が得られるアルファー
化澱粉質が望まれている。
【0004】澱粉質をアルファー化すると、冷水で吸水
して糊液となる。澱粉質の種類が異なれば吸水する量も
異なるが、同じ澱粉質で吸水量の異なるものを得るに
は、架橋や湿熱処理などの前処理をしてアルファー化す
る方法、或はアルファー化度をコントロールしたアルフ
ァー化澱粉質にする方法などがあげられる。前者には種
々の市販品があるが、この種のタイプは前処理で澱粉の
膨潤を抑制して吸水量をコントロールしているので、さ
らに加熱しても澱粉の膨潤が加熱に応じて進むことは殆
どない。一方、後者はアルファー化度に応じて吸水し、
更に加熱するとその加熱の程度に応じて澱粉の膨潤は進
行して上述の用途に適する。
【0005】通常のアルファー化澱粉質は、澱粉質のス
ラリーをドラムドライヤーで糊化し、薄膜状に乾燥する
方法や澱粉をそのまま、或は少量の水を加水してエクス
トルーダで膨化させる方法で製造されている。これらの
方法は澱粉質を充分にアルファー化することを基本とす
る方法であり、アルファー化度をコントロールするには
技術的に問題があった。
【0006】一方、部分的にアルファー化して特定の膨
潤容積をもたせた加工澱粉として、例えば特開昭57−
5700号に於いては、生澱粉粒の外殻構造を実質的に
温存する実質的に非複屈折性の澱粉粉末で、60メッシ
ュ留分を実質的に有せず、嵩密度0.25g/cc以
上、冷水可溶分10重量%未満、膨潤容積約3〜15m
l、保水力約2以上の加工澱粉が開示され、また特開平
4−318001号では、含水率8〜15%、冷水可溶
分10%未満、膨潤容積約5〜15ml/gの加工澱粉
が開示されている。
【0007】これらの加工澱粉は、崩壊剤や保水剤、特
に医薬における崩壊性や直接打錠法による結合性の改善
を目的とし、特開昭57−5700号ではスラリーやペ
ーストのように流動性のある状態、特開平4−3180
01号では澱粉含量が5〜50%の水分散液というよう
に実質的に水分含量が50%を越える系で糊化開始温度
を約10℃上回る程度以内で加熱して製造できるとして
いる。
【0008】しかし、これらの場合、水分が50%以上
と澱粉がアルファー化するのには十分すぎるほどの水の
存在下で、加熱温度を調整することによって得られる加
工澱粉であり、このような方法でアルファー化度を所望
の程度にコントロールすることは至難である。
【0009】また、小麦粉に添加した時、加工適性に優
れ、小麦粉加工製品の品質改良などを目的として、特開
平6−73101号では、生澱粉の外殻粒状構造を温存
し、全粒子の20〜80%が非屈折性の澱粉であって、
目開き250μm以上の残留分がなく、見掛密度0.3
5〜0.80g/ml、冷水可溶分4重量%以下、膨潤
容積が2〜9ml/g、保水力が2〜6の改質澱粉が示
され、また特開平7−41503号では澱粉粒の外殻構
造を実質的に温存し、実質的に目開き250μmの留分
がなく、見掛密度0.35〜0.80g/ml、冷水可
溶分が4重量%以下、膨潤容積2〜9ml/g、保水力
2〜6の改質された澱粉誘導体が開示されている。
【0010】上記特開平6−73101号では生澱粉を
使用し、特開平7−41503号では生澱粉を変性した
誘導体を使用することによって、小麦粉加工品に耐老化
性を付与させ、生澱粉または誘導体を60%以上の水分
領域にし、生澱粉の場合には糊化開始温度以下で、誘導
体の場合には穏やかに加熱することで製造できる旨記載
されているが、水分含量が60%を越えて加熱するので
はなおさらアルファー化度の調整が困難になる。
【0011】さらに上記4つの案件全てが瞬時に乾燥で
きるフラッシュ乾燥や噴霧乾燥が好ましいとしている。
しかし、膨潤させたアルファー化澱粉をフラッシュ乾燥
することは実際上困難であるし、噴霧乾燥は実施例にみ
られるように噴霧濃度を低くする必要があり、経済性に
も問題がある。
【0012】これら以外に、特開昭60−120952
号に示される様に、小麦粉のような原料穀粉と蒸熱処理
した澱粉を混合する麺類の製造法の中で、澱粉類を層状
にして蒸熱することが記載されているが、アルファー化
度として示されている値が0.66%と1%にも未た
ず、未処理澱粉と変わらず、単なる蒸熱処理澱粉につい
て記載されているに過ぎない。
【0013】このように、上記のような従来方法では、
いずれも澱粉質のアルファー化度を目的に応じて自由に
コントロールしてアルファー化澱粉質を製造するには、
技術的に未だ不十分であり、経済性にも問題がみられ、
その改善が強く望まれている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、所望のアルファー化度を有するアルファー
化澱粉質を容易に製造する方法を開発することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の問題
を解決すべく鋭意努力の結果、特定の水分を有する澱粉
質原料を特定の厚みの薄層状で蒸煮することによって問
題点が解消されることを見出して、本発明を完成した。
【0016】即ち、本発明は水分6〜25重量%を有す
る澱粉質原料を20mm以下の厚みの薄層状となし、こ
の状態でで所望の程度まで蒸煮するアルファー化澱粉質
の製造方法に係るものである。
【0017】本発明でいう澱粉質原料とは、固形分中に
少なくとも60重量%程度の澱粉を含有する物質を総称
し、具体的には、馬鈴薯、甘藷、キャッサバなどの芋類
の乾燥粉末、小麦粉、米粉、コーンフラワーなどの穀
粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱
粉、米澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉などの澱粉のよ
うな未処理の澱粉、及びこれらに何らかの処理をした澱
粉質、例えば酸化、焙焼、酸処理、湿熱処理、架橋、エ
ーテル化、エステル化などの変性を単独または複数組合
せた加工澱粉や焙焼小麦粉や焙焼米粉などが例示され
る。これらの中でも、耐老化性をもたせたり、同じ程度
のアルファー化度でも吸水量を変えたりすることが容易
にできるという点で加工澱粉がより好ましい。尚、これ
等加工澱粉の加工手段そのものは、従来の加工手段がい
ずれも適用される。
【0018】本発明でいうアルファー化度とは、澱粉質
の糊化度合を示す指標で、グルコアミラーゼ法を用いて
求められた数値であり、グルコアミラーゼ法について
は、二国 次郎:「澱粉化学ハンドブック」 初版(朝
倉書店発行 昭和52年)第242頁〜243頁に記載
されている檜作等による方法に準拠した以下のような方
法である。
【0019】アルファー化澱粉質とその元となる澱粉質
原料をそれぞれ100mgずつ、すりあわせのガラスホ
モジナイザーにとり、これに8mlの蒸留水を加え、振
動式攪拌でほぼ均一になるまで攪拌し、ついでホモジナ
イザーを上下に数回往復し、均一な懸濁液液とする。さ
らに振動式攪拌機(Thermonics製)で均一化
し、直ちに2本の20ml容試験管に2mlずつ分取
し、アルファー化澱粉質を被検液、澱粉質原料を完全ア
ルファー化検液とする。被検液には2M−酢酸緩衝液
(pH4.8)1.6mlと水0.4mlを加える。一
方、完全アルファー化検液には10N−NaOHを0.
2ml添加し、室温で完全に溶解した後、2N−酢酸
1.6ml(予め2N−酢酸を加え、pHが4.8にな
るように酢酸の量を決定する)を加え、最後に容量が4
mlになるように水を加える。これらの検液を37℃の
恒温槽中で数分間予備保温した後、酵素液1ml(2.
63単位、後述)を添加し、10〜15分毎に浸透しな
がら60分間反応させる。反応終了後、反応液0.5m
lを予め1/40N−HCLを10ml(反応停止のた
め)入れたスピッツ管に加えて数回上下に浸透し、30
00rpmで10分間遠心分離する。この上澄液0.5
mlを蒸留水で2倍に希釈し、ソモギ−ネルソン(So
mogi−Nelson)法で還元糖を定量し、アルフ
ァー化度(糊化度)は次式から計算する。 アルファー化度(%)=(被検液中の糖量/完全α化度
検液中の糖量)×100
【0020】グルコアミラーゼはアスペルギルス・ニガ
ー(Asp.niger、長瀬産業製)の粗酵素を用い
る。0.2%可溶性澱粉をpH4.8の酢酸緩衝液
(0.2M)中、37℃で1μmolのグルコースを生
成する量を1単位とする。
【0021】一般に澱粉質原料をアルファー化する際に
は、粉体状でなく澱粉質原料を流動性のある状態、つま
り水分を50%、或はそれ以上にして加熱することが多
いが、このように水分が多いとアルファー化は容易であ
るが、所望のアルファー化度に調整することは難しくな
る。また、エクストルーダを用いる場合、比較的低い水
分でもアルファー化が可能であるが、強い力をかけて押
し出す為、澱粉分子の剪断を含む損傷が激しく、澱粉本
来の物性が失われるし、更に高温で短時間に処理するの
でアルファー化度の調整が困難になる。
【0022】澱粉質原料が実質的にアルファー化しない
程度の処理であれば、澱粉質原料を蒸気で処理すること
に何ら問題ないが、アルファー化する程度に処理すると
アルファー化が均一に行われないだけでなく、ブロッキ
ングが起こり易く、生じた塊が粉砕しにくく、粉末化が
容易でなくなり、実際上蒸気処理によるアルファー化澱
粉質の製造は困難であった。
【0023】本発明は特定の水分を有する澱粉質原料を
特定の厚さの薄層状にして、この状態で蒸煮するアルフ
ァー化澱粉質の製造法であり、これにより上述の問題が
特異的に解消するようになった。
【0024】即ち、本発明は水分6〜25重量%に調節
した澱粉質原料を20mm以下の厚さの薄層状となし、
この状態で蒸煮することを特徴とするアルファー化澱粉
質の製造法である。
【0025】本発明の水分6〜25重量%の澱粉質原料
を使用して製造するアルファー化澱粉質のアルファー化
度は、澱粉質原料の水分によって制約されるところが大
きく、澱粉質原料の水分の調整が不可欠の条件となる。
澱粉質原料に含有させる水分含量は、上述の範囲でアル
ファー化度を高くしたいアルファー化澱粉質には澱粉質
原料の水分を多め、逆にアルファー化度を低くしたいア
ルファー化澱粉質には澱粉質原料の水分を少ないめにす
ることにより、アルファー化度の調整が容易となる。ま
た、糊化し易い澱粉質、例えば加工馬鈴薯澱粉は糊化し
にくい澱粉質、例えば米粉に比べより低い水分でアルフ
ァー化が進むので、所望のアルファー化の程度と用いる
澱粉質の種類によって水分含量を決定する。
【0026】澱粉質原料の水分含量が6重量%に満たな
いとアルファー化し難くなるし、25重量%を越えて多
くなるとブロッキングがおこりやすくて塊の発生が多く
なったり、生じた塊が硬くて粉砕しても良好な粉末状を
有するアルファー化澱粉質が得にくくなる。
【0027】一般に、澱粉質原料は11〜20重量%程
度の水分を含有するので、必要に応じてこの水分を減少
させたり、増加させて所望の水分含量に調整する。
【0028】澱粉質原料の水分を減少させたい時には、
澱粉質原料を乾燥することで対処するが、乾燥法として
何ら制限はうけることがなく、例えば通風乾燥、フラッ
シュ乾燥、真空乾燥など何れの方法を用いてもよい。一
方、澱粉質原料の水分を増加させたい時には、澱粉質原
料を混合攪拌、または浮遊させながら水を添加、好まし
くは水を噴霧して均一に混合する。必要なら粉砕などの
手段を組み合わせもよい。澱粉質原料の混合に用いる装
置としては、特に限定はなく、例えばニーダー、リボン
ミキサー、ナフサーミキサー、フラッシュミキサー等の
混合機で容易に実施できる。混合後、粉砕する場合に
は、高速回転粉砕機(衝撃剪断式粉砕機)等ごく普通の
粉砕機で容易に実施できる。また、低水分の澱粉質原料
と高水分の澱粉質原料を混合して所定の水分に調整する
こともできる。尚、水分調整の際、食塩や砂糖、グルコ
ース、粉末水飴などの糖類などを予め水に溶解させた
り、粉体で混合して添加することもできる。
【0029】水分が調節された澱粉質原料を次いで蒸煮
するのであるが、単に蒸煮するのではアルファー化が均
一に起こらなかったり、或は所望のアルファー化度の調
整が困難になるので、特定の厚みの薄層状にして、この
状態で蒸煮することが必要となる。アルファー化が均一
に、しかも所望のアルファー化度を有するアルファー化
澱粉質が容易に得られるように、本発明では層の厚みを
20mm以下、より好ましくは3〜15mmの薄層状で
蒸煮する。
【0030】層の厚みが20mmを越えてあまり厚くな
ると層の表面部ではブロッキングがおこり易く、塊の発
生が多くなるので、結果として良好な粉末状を有するア
ルファー化澱粉が得られにくくなる。一方、層の厚みが
薄い場合は得られる製品の品質上の問題はないが、あま
り薄くなると層の形成が容易でなくなる傾向が生じ、生
産効率が悪くなる場合があるので3mm程度にとどめる
のが好ましい。
【0031】澱粉質原料の厚みの調整は、バッチ式の蒸
し機の場合には通常の方法、例えば表面をならしながら
必要とする厚みになるまで澱粉質原料を蒸煮面に投入す
る方法や、或は所望とする厚みに相当する澱粉質原料の
重量を予めきめておいてから、蒸煮面に澱粉質原料を投
入して表面をならすなどの方法で容易に実施できる。ま
た、和菓子などの製造に用いられているトンネル式の連
続蒸し機などの場合には、蒸し機の入口に定量供給装
置、例えば定量フイーダから澱粉質原料を回転している
ベルト上に定量供給すると自動的に目的とする厚みの薄
層が得られる。
【0032】蒸煮とは、前述のバッチ式の蒸し機やトン
ネル式の連続蒸し機などの装置に蒸気を吹き込んで、薄
層状に澱粉質原料を加熱することを意味し、本発明では
澱粉質原料の水分含量を6〜25%に調整後、澱粉質原
料を薄層状にして、所望とするアルファー化度になるの
に必要なだけ蒸煮することが肝要である。
【0033】本発明においては、所望とするアルファー
化度は澱粉質原料の水分含量によって大部分決められ、
蒸煮がある程度過剰になってもアルファー化度の変化は
少なく、この点でアルファー化度のコントロールが容易
である。しかし、薄層状になっている澱粉質原料であっ
ても、蒸煮初期の段階では内部と蒸気に直接接する表面
とではアルファー化の進行速度が異なるので、全体が均
一にアルファー化するまで蒸煮する必要があり、本発明
において所望のアルファー化度が得られるまでの蒸煮す
るとはこの意味である。
【0034】所望の程度で全体が均一にアルファー化さ
れる蒸煮時間は層の厚さによって異なるので、予め層の
厚さなどの条件を設定の上、層の内部と表面が均一にア
ルファー化される蒸煮時間を求めておくことが好まし
く、その時間は概ね30分以内、好ましくは2〜20分
程度である。蒸煮時間が30分を越えてあまり長くなり
すぎると、生産性が悪くなる他に粉末状態が悪くなるな
る傾向がある。
【0035】本発明でしばしば用いる所望のアルファー
化度とは、アルファー化澱粉質が使用される用途、目
的、使用量によって決められるもので、例えばすり身ペ
ーストに少量添加して保形性の向上を目的とする場合に
は、比較的高いアルファー化度のものが望ましいし、主
原料にアルファー化米粉を用いてういろうを作る場合に
は、不均一にならない程度の形状が保たれれば良いの
で、比較的低いアルファー化度でよい。これらの事情を
勘案して、本発明におけるアルファー化度は、10〜1
00%とする。アルファー化度が10%未満では澱粉質
原料と大差なく、アルファー化澱粉質としての特性が発
揮しにくくなる。
【0036】蒸煮工程の終ったアルファー化澱粉質は、
常温程度まで冷却する。冷却後、水分含量が少ない場合
にはそのまま、或は解砕して製品とする。望むなら加湿
して水分調整することもできる。また、水分含量が多い
場合には、解砕または粉砕してから乾燥する。望むなら
乾燥後に粉砕してもよい。尚、粉砕や乾燥に用いる装置
としては何ら制約を受けず、澱粉質原料の水分調整に使
用したと同じような装置が利用できる。
【0037】アルファー化澱粉質に含有させる水分とし
ては、アルファー化度が低い、或は使用するまでの期間
が短い場合には15%程度以下、アルファー化度が高
い、或は長期保存を目的とする場合には12%程度以下
とする。水分含量を12%程度以下に押さえることでア
ルファー化度の高いアルファー化澱粉質を長期に保存し
ても、アルファー化度の低下はみられない。
【0038】このようにして得られた本発明のアルファ
ー化澱粉質は、所望のアルファー化度を有するだけでな
く、澱粉分子の切断などによる損傷が殆ど無くて、澱粉
質本来の特性を有するために、シュー皮、ある種のパン
生地、ういろうなどの和菓子などの食品の製造に好適で
ある。即ち、従来熱水を用いて調整していたシュー皮の
生地、ある種のパン生地などのベーカリ製品やういろう
などの和菓子の生地の場合における半がえしなどにみら
れた湯捏を不要にすることで煩雑な処理を不要とし、誰
がやっても同じように目的とする製品にすることができ
る。
【0039】以下に参考例、実施例をあげて、本発明を
より具体的に説明するが、参考例や実施例において部は
重量部、%は重量%を表す。
【0040】
【参考例1】水130部に硫酸ソーダ15部を添加して
溶解し、攪拌下で馬鈴薯澱粉100部を投入して分散
し、4%NaOH溶液30部を滴下し、トリメタリン酸
ソーダ0.3部とプロピレンオキサイド4部を添加して
41℃で20時間反応させた。反応終了後、10%硫酸
で中和し、水洗後、脱水し、通風乾燥機で乾燥を行って
得られた試料を澱粉質原料A(水分含量:16%)とす
る。
【0041】
【実施例1】参考例1で得られた澱粉質原料Aを用い
て、表1に示す水分含量の試料を調製した。水分含量が
16%未満の試料については、澱粉質原料Aをさらに乾
燥し、水分含量が12%、8%、4%の試料を調製し
た。一方、水分含量が16%を越える試料については、
澱粉質原料Aに加水する方法で、即ち、混合機に澱粉質
原料Aを投入し、攪拌しながら所定量の水を噴霧し、5
分間攪拌し、粉砕機を通し、水分含量が22%、28%
の試料を調製した。
【0042】上記の方法で調製した試料を、テフロン布
の上に10mmの薄層状に広げ、品川工業所製の蒸し機
(サンキュウボイラー2型、ホットボックスを具備)に
入れ、表1に示す条件で蒸煮した。
【0043】蒸煮した試料を室温程度まで冷却し、水分
含量が多い試料については乾燥し、水分を9〜10%程
度に調節した。水分調整後の試料を必要に応じてほぐ
す、或は粗粉砕してから粉砕してアルファー化澱粉質と
した。その結果を表1に記載した。 尚、表1に記載し
た粉末状態は粉砕前と粉砕後に分けて、下記に示す基準
で評価した。
【0044】<粉砕前> ◎ 塊はほとんどない、あるいはあっても非常にほぐれ
やすい。 ○ 塊はあってもほぐれやすい △ 塊がやや多く、比較的硬くてややほぐれにくい。 × 塊が多く、硬くて容易にほぐれない。 <粉砕後> ◎ 非常に粉砕しやすく、非常に細かい粉末になる。 ○ 粉砕しやすく、細かい粉末になる。 △ やや粉砕しやすく、やや荒い粉末状となる。 × 粉砕が非常に困難で、荒い粉末となる。
【0045】
【表1】
【0046】
【実施例2】水分含量16%の澱粉質原料Aを、表2に
示す厚みの薄層状にし蒸煮した以外、実施例1に準じて
アルファー化澱粉質を製造し、その結果を表2に記載し
た。
【0047】
【表2】
【0048】
【実施例3】タピオカ澱粉の水分を14%に調整し、5
mmの薄層状で5分間蒸煮した以外、実施例1に準じて
アルファー化澱粉質を製造した。得られたアルファー化
タピオカ澱粉のアルファー化度は64.5%であった。
【0049】
【実施例4】水分12%の上新粉(米粉の1種)に50
%蔗糖溶液を噴霧して水分を16%に調整し、層厚10
mmで10分間蒸煮した以外、実施例1に準じてアルフ
ァー化澱粉質を製造した。得られたアルファー化上新粉
のアルファー化度は23.5%であった。
【0050】次に上記のようにして得られたアルファー
化上新粉を使用してういろうの製造を試みた。
【0051】ボールにアルファー化上新粉200部、砂
糖298部、水300部を投入を投入し、攪拌混合する
とトロっとした半返し状態の生地が得られた。この状態
の生地をケーシングに分注し、沸騰浴中で45分間ボイ
ルして流水中で約30分間冷却して食感の良好なういろ
うが得られた。
【0052】一方、アルファー化上新粉に替えて上新粉
を使用しても、トロっとした半返し状態のを生地をつく
れば、同じように食感の良好なういろうが得られるが、
トロっとした半返し状態の生地をつくるために、湯せん
の上で生地の状態を慎重に観察しながら加熱攪拌する煩
雑な操作を必要とした。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水分6〜25重量%の澱粉質原料を、20
    mm以下の厚みの薄層状となし、この状態で所望のアル
    ファー化度が得られるまで蒸煮することを特徴とするア
    ルファー化澱粉質の製造法。
  2. 【請求項2】澱粉質原料が加工澱粉である請求項1に記
    載のアルファー化澱粉質の製造法。
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