JP2001209075A - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JP2001209075A
JP2001209075A JP2000375965A JP2000375965A JP2001209075A JP 2001209075 A JP2001209075 A JP 2001209075A JP 2000375965 A JP2000375965 A JP 2000375965A JP 2000375965 A JP2000375965 A JP 2000375965A JP 2001209075 A JP2001209075 A JP 2001209075A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】明るい表示の反射型液晶表示素子を得る。 【解決手段】1枚の偏光板と、液晶セルとからなり、液
晶セルの液晶層内では楕円偏光状態の光が伝播するよう
に液晶セルの液晶層を設定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は反射型の液晶表示素
子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の反射型TNモードや反射型STN
モードは、バックライトが不要で消費電力が小さいた
め、携帯型のパーソナルコンピュータやワードプロセッ
サ等に幅広く採用されている。
【0003】図27に、従来の反射型TNモードや反射
型STNモードを用いた液晶表示素子の断面図を示す。
従来の液晶表示素子は、液晶セル1と、これを挟んで両
側に配置した偏光板2と3、そして偏光板3の外側に設
けられる反射板4とから成り立っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
反射型TNモードや反射型STNモードを用いた液晶表
示素子には、表示が暗いという課題があった。特に反射
型STNモードの場合には、表示の着色も課題になって
いた。
【0005】さらには反射型モード特有の、表示が二重
に見えるという課題もあった。
【0006】図28に、従来の反射型STN液晶表示素
子の、電界オフ時とオン時の分光特性を示した。図中4
1は電界オフ時の、また42は電界オン時の分光特性で
ある。但しセル条件は、ツイスト角が255度、△n×
dが0.85μm、偏光軸方向とラビング方向とのなす
角度が45度である。STNモードは、このようにオフ
時に黄緑、オン時に青と、表示の着色が著しい上、視感
反射率も65%と低く、視認性に劣っていた。
【0007】本発明はこのような課題を解決するもの
で、その目的とするところは、新しい反射型液晶モード
を導入することによって、明るく、色付きが少なく、し
かも表示が二重に見えない液晶表示素子を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示素子
は、一対の基板間に液晶層が挟持されてなり、一方の前
記基板側のみに偏光手段が配置されてなり、他方の前記
基板側に反射手段が形成されてなる液晶表示素子であっ
て、前記液晶表示素子のコントラスト比を1:10以上
とするために前記液晶層内の液晶分子のツイスト角が0
度以上70度以下に設定されてなり、前記偏光手段を介
して前記液晶層に入射した光は前記液晶層内で楕円偏光
状態に変換されてなることを特徴とする。また、一対の
基板間に液晶層が挟持されてなり、一方の前記基板側の
みに偏光手段が配置されてなり、他方の前記基板側に反
射手段が形成されてなる液晶表示素子であって、前記液
晶表示素子のコントラスト比を1:10以上とするため
に前記液晶層内の液晶分子のツイスト角が170度以上
265度以下に設定されてなり、前記偏光手段を介して
前記液晶層に入射した光は前記液晶層内で楕円偏光状態
に変換されてなることを特徴とする。また、一対の基板
間に液晶層が挟持されてなり、一方の前記基板側のみに
偏光手段が配置されてなり、他方の前記基板側に反射手
段が形成されてなる液晶表示素子であって、前記液晶表
示素子のコントラスト比を1:6以上とするために前記
液晶層内の液晶分子のツイスト角が265度以上270
度以下に設定されてなり、前記偏光手段を介して前記液
晶層に入射した光は前記液晶層内で楕円偏光状態に変換
されてなることを特徴とする。
【0009】また、前記液晶セルにおいて、液晶のツイ
スト角が0度以上70度以下であり、△n×d値が0.
2μm以上0.7μm以下であり、角度θが35度以上
115度以下であることを特徴とする。より好ましく
は、ツイスト角が30度以上70度以下であり、△n×
d値が0.25μm以上0.64μm以下であり、角度
θが58度以上111度以下であることが望ましい。
【0010】また、前記液晶セルにおいて、液晶のツイ
スト角が170度以上270度以下であり、△n×d値
が0.4μm以上1.0μm以下であることを特徴とす
る。
【0011】より好ましくは、ツイスト角が175度以
上210度以下であり、△n×d値が0.51μm以上
0.75μm以下であり、角度θが42度以上71度以
下であるか、あるいはツイスト角が250度以上265
度以下であり、△n×d値が055μm以上0.96μ
m以下であり、角度θが−2度以上30度以下であるこ
とが望ましい。
【0012】また、前記液晶セルの2枚の基板のうち、
少なくとも一方の基板の液晶側表面に、段差0.1μm
以上2μm以下の凹凸を有することを特徴とする。
【0013】また、前記反射板が、前記液晶セル基板の
液晶側表面に設けられていることを特徴とする。
【0014】なお、以上の数値限定の根拠については、
以下の作用の項において、詳しく述べる。
【作用】本発明の液晶表示素子では、特に明るさの改良
を重視し、従来2枚用いていた偏光板を1枚とした。偏
光板を1枚とすることによって、少なくとも偏光板の効
率分だけ明るくなり、これだけでも約12%の明るさ向
上が見込まれる。
【0015】さら理想的な明るさを得るためには、偏光
板を通って液晶セルに入射した直線偏光が、液晶層を2
回通過して再び同じ直線偏光の状態で偏光板を通過する
必要がある。ところがこのような偏光の変化は、限られ
た条件のもとでしか生じない。この条件を鋭意検討した
結果、液晶セルに入射し反射面に到達した光が直線偏光
になるように、液晶セルの諸条件を整えればよいことが
判明した。
【0016】図4に基づいて詳しく説明する。図4
(a)は、液晶分子の配向を示す図であり、2は偏光
板、11は上基板、16は液晶分子、4は反射板であ
る。一方、図4(b)は、偏光状態の変化を示す図であ
る。左方から入射した光は偏光板2によって直線偏光と
なる。次に液晶分子の複屈折性によって位相差を生じな
がら、一般的には楕円偏光に変化する。この光が反射板
に到達したときに、図のような直線偏光になっている
と、光が反射されて左方に進む復路において、往路と全
く同じ偏光変化をたどって元の直線偏光に戻り、光量の
損失無しに偏光板を通過することができる。
【0017】この現象は次のように説明できる。図5
(a)に示した本発明の反射型液晶モードは、図5
(b)の透過型液晶モードと光学的に等価である。この
図5(b)は、反射板が存在した面17に対称になるよ
うに液晶分子と偏光板を配置したものである。
【0018】ところで、リターデーションが等しい2枚
の位相差板を、光学的な異常軸が直交するように重ね合
わせると、位相差板の位相差が補償される現象は、古く
からよく知られている。この原理を液晶表示素子に応用
したのが、特公昭64−519号等で提案されているニ
ューツイステッドネマテチックモード(以下NTNモー
ドと呼ぶ)である。NTNモードは、リターデーション
が等しく、ツイスト方向が逆の関係にある2枚の液晶セ
ルを積層したモードである。図5(c)は、その液晶分
子配列を示す図であって、液晶層の中心面17に対称な
位置関係にある一対の液晶分子が互いに直交しており、
まさに上記の原理によって、補償がなされている。
【0019】反射型の液晶表示素子において、入射した
直線偏光が同じ直線偏光の状態で出射するためには、
(b)図の液晶分子配列が、(c)図のそれと同様の働
きをする必要がある。本発明人は液晶層の中心面17に
おいて、光が直線偏光の状態にある時に、この条件が満
たされることを発見した。これは、液晶セルを挟む一対
の偏光板を90度回転させても、その光学特性に変化が
無い事実から、容易に確かめられる。
【0020】さて、液晶セルに入射し反射面に到達した
光がほぼ直線偏光となるセル条件は決して少なくない。
ところがその全ての条件が液晶表示体として使えるわけ
ではなく、電圧を印加したときに十分なコントラスト比
が得られるセル条件は、さらに限定される。
【0021】例えばツイスト角が60度のときに、液晶
セルに入射し反射面に到達した光がほぼ直線偏光になる
セル条件の範囲は、図8のハッチングで示した領域であ
る。
【0022】一方図12は、同じくツイスト角が60度
のときに、良好なコントラスト比が得られるセル条件の
範囲を示す図である。但し、ここで横軸はリターデーシ
ョン△n×dであり、縦軸は偏光板の偏光軸方向が上基
板の液晶の配向方向となす角度θである。また51、5
2、53は、それぞれ1:20、1:10、1:5以上
のコントラスト比が取れる領域である。ここで角度θに
は、90度の整数倍を加えても全く同じ結果が得られる
ので、これらの図においては、0度と90度が連続して
いると考えてよい。
【0023】さて、図12より、60度ツイストの場合
には、△n×d=0.46μm、θ=4度でコントラス
ト比が最大になり、十分なコントラスト比が得られるセ
ル条件は、その近傍に限られていることがわかる。
【0024】このように、液晶セルに入射し反射面に到
達した光がほぼ直線偏光になるという条件は、良好な表
示を得る上での十分条件ではないが、必要条件であると
は云える。
【0025】同様にして、0度から270度の各ツイス
ト角において、コントラスト比が最大になるセル条件を
調べ、図6にまとめた。
【0026】図7は、図6の各条件下で得られる液晶セ
ルの光学特性をまとめたものである。横軸は液晶のツイ
スト角であり、縦軸は上から順にコントラスト比C.
R.、オフ時の視感反射率Yoff、そして色付きの度
合い△Eである。Yoffは偏光板を貼った反射板の明
るさを100%としているが、表面反射の影響で、最大
でも85%程度にしかならない。また△Eは、CIE1
976L*A*B*表色系におけるa*、b*を用い
て、a*2+b*2の平方根で定義される値であり、この
値が小さいほど表示の色付きの度合いが小さいことを示
している。
【0027】図7より、高画質ディスプレイとして十分
な1:10以上のコントラスト比を得るためには、ツイ
スト角が0度以上70度以下であるか、あるいは170
度以上265度以下の範囲にあることが必要である。な
おツイスト角が265度以上270度以下の場合は、コ
ントラスト比が1:6程度にまで低下するが、しかしそ
の電気光学特性は急峻性で大容量ディスプレイに適して
いるため、十分実用になる。
【0028】また、特にツイスト角が30度以上70度
以下であるか、175度以上210度以下であるか、2
50度以上265度以下である場合には、表示の色付き
も少なくなるため、より良好な表示が可能である。
【0029】なお、前述の請求の範囲、並びに課題を解
決するための手段の項において、ツイスト角範囲の限定
に伴い、△n×d値と角度θも限定したが、これは、最
大コントラストを取るセル条件をまとめた図6と、各ツ
イスト角において良好なコントラスト比を示すセル条件
の範囲を示した図9〜図23をその根拠としている。な
お図9〜図23においては、51、52、53が、それ
ぞれコントラスト比1:20、1:10、1:5の等コ
ントラスト曲線になっており、通常の表示には1:5以
上、高画質表示には1:10以上のコントラスト比が必
要であると判断した。
【0030】一方、液晶セルの内面に凹凸を設けると、
表示の色付きを、さらに軽減することができる。これは
液晶層厚の変化によって着色が平均化される効果であ
る。また、特に凹凸のある金属膜をセル内面に設けた場
合には、これが無指向反射板を兼ねて、表示が二重に見
えるという問題を解決することもできる。ところが、凹
凸の段差が0.1μm未満の場合には、表示の色付き軽
減の効果が殆ど無い上に、金属膜も無指向性を示さずに
鏡面になってしまう。また、段差が2μmを超えた場合
には、液晶の色付きがかえって大きくなる上に、コント
ラスト比の低下が著しい。これは、図12において、△
n=0.08という一般的な液晶を用いたときに生じ
る、0.16μmという△n×d値のばらつき考慮すれ
ば、容易に理解できる。以下、実施例により本発明の詳
細を示す。
【0031】
【発明の実施の形態】(実施例1)図1は、本発明の液
晶表示素子の断面図である。図中、1は液晶セル、2は
偏光板、4は反射板である。また、11は上基板、12
は下基板、13は透明電極、15は液晶である。液晶
は、メルク社製のZLI−4472(△n=0.087
1)を用い、セルギャップ5.3μmの液晶セルにツイ
スト配向させた。リターデーション△n×dは0.46
μmである。
【0032】図3は、本発明の液晶表示素子の各軸の関
係を、観察方向から見た図である。21は偏光板2の偏
光軸方向、22は上基板のラビング方向、23は下基板
のラビング方向である。また、31は21が22となす
角度θ(液晶のツイスト方向が正の値)を、32は液晶
のツイスト角を示す。ここでは角度θを4度、ツイスト
角を左60度に設定した。
【0033】図24は、以上の条件の下で作製した液晶
表示素子の分光特性を示す図である。図中41は電界オ
フ時の、また42は電界オン時の分光特性である。オフ
時の視感反射率Yoffは81%と高く、しかもその表
示色は白に近い。またオン時の視感反射率も2.4%と
低いため、最大取り得るコントラスト比C.R.は、
1:34である。
【0034】本実施例の液晶表示素子は、ツイスト角が
60度と小さいが、その電圧透過率特性の急峻性は通常
のツイステッドネマチックモードと同程度であって、1
/2デューテイ〜1/16デューテイのマルチプレック
ス駆動も可能である。
【0035】図12には、ツイスト角が本実施例と同じ
60度のときに、良好な表示コントラストが得られるセ
ル条件の範囲を示した。なお、角度θには、90度の整
数倍を加えても全く同じ結果が得られる。従ってθ=−
10度は、θ=80度や、θ=170度の場合と等価で
ある。また、図中の51、52、53は、それぞれコン
トラスト比1:20、1:10、1:5の等コントラス
トカーブである。
【0036】これらの等コントラストカーブの内側で
は、それぞれ良好な表示が期待できる。例えば、△n×
d=0.60μmでθ=16度の時には、C.R.=
1:16、Yoff=80%である。また、△n×d=
0.34μmでθ=−6度の時には、C.R.=1:1
0、Yoff=71%である。また、△n×d=0.4
8μmでθ=−6度の時には、C.R.=1:6、Yo
ff=84%である。
【0037】逆にカーブの外側では、良好な表示ができ
ない。例えば、△n×d=0.28μmでθ=−12度
の時には、C.R.=1:3、Yoff=62%であ
る。また、△n×d=0.72μmでθ=4度の時に
は、C.R.=1:2、Yoff=76%である。ま
た、△n×d=0.40μmでθ=30度の時には、
C.R.=1:0.4、Yoff=24%である。
【0038】従って、ツイスト角60度の場合には、少
なくとも△n×d値が0.3μm以上0.7μm以下
に、角度θが−13度以上25度以下に収まっている必
要がある。
【0039】(実施例2)実施例2の液晶表示素子も実
施例1と同様の構成である。但し、図1の液晶セル1に
は、メルク社製のZLI−4436(△n=0.110
0)を用いた。セルギャップは5.4μmであり、リタ
ーデーション△n×dは0.59μmである。
【0040】また、図3において、角度31(θ)を6
0度、ツイスト角32を左200度に設定した。
【0041】図25は、以上の条件の下で作製した液晶
表示素子の分光特性を示す図である。オフ時の視感反射
率Yoffは70%と比較的高く、しかもその表示色は
白に近い。またオン時の視感反射率も3.3%と低いた
め、最大取り得るコントラスト比C.R.は、1:21
である。
【0042】本実施例の液晶表示素子は、実施例1の液
晶表示素子よりもツイスト角が大きい分だけ急峻であ
り、マルチプレックス駆動に適している。
【0043】図17には、ツイスト角が本実施例と同じ
200度のときに、良好な表示コントラストが得られる
セル条件の範囲を示した。
【0044】51、52、53の各等コントラストカー
ブの内側では、それぞれ良好な表示が期待できる。例え
ば、△n×d=0.66μmでθ=64度の時には、
C.R.=1:11、Yoff=75%である。
【0045】また、△n×d=0.58μmでθ=52
度の時には、C.R.=1:8、Yoff=77%であ
る。
【0046】逆にカーブの外側では、良好な表示ができ
ない。例えば、△n×d=0.70μmでθ=46度の
時には、C.R.=1:2、Yoff=62%である。
また、△n×d=0.5μでθ=90度の時には、C.
R.=1:0.3、Yoff=19%である。
【0047】従って、ツイスト角200度の場合には、
少なくとも△n×d値が0.48μm以上0.72μm
以下に、角度閧ェ48度以上70度以下に収まっている
必要がある。
【0048】(実施例3)実施例3の液晶表示素子も実
施例1と同様の構成である。但し、図1の液晶セル1に
は、メルク社製のZLI−4427(△n=0.112
7)を用いた。セルギャップは6.6μmであり、リタ
ーデーション△n×dは0.74μmである。ここで、
配向膜には日産化学工業社製のポリイミドRN−721
を用い、レーヨン植毛布の回転ラビングによって液晶に
約10度のプレチルト角を与えた。また、図3におい
て、角度31(θ)を14度、ツイスト角32を左25
5度に設定した。
【0049】図26は、以上の条件の下で作製した液晶
表示素子の分光特性を示す図である。オフ時の視感反射
率Yoffは79%と高く、しかもその表示色は白に近
い。またオン時の視感反射率も3.2%と低いため、最
大取り得るコントラスト比C.R.は、1:25であ
る。
【0050】本実施例の液晶表示素子は、ツイスト角が
255度と大きく電圧透過率特性の急峻性が非常に良い
ため、1/480デューテイのマルチプレックス駆動を
行っても、1:18という高い表示コントラストが得ら
れた。
【0051】図20には、ツイスト角が本実施例と同じ
255度のときに、良好な表示コントラストが得られる
セル条件の範囲を示した。
【0052】51、52、53の各等コントラストカー
ブの内側では、それぞれ良好な表示が期待できる。例え
ば、△n×d=0.70μmでθ=5度の時には、C.
R.=1:11、Yoff=78%である。また、△n
×d=0.90μmでθ=28度の時には、C.R.=
1:9、Yoff=71%である。
【0053】逆にカーブの外側では、良好な表示ができ
ない。例えば、△n×d=0.50μmでθ=55度の
時には、C.R.=1:1、Yoff=81%である。
【0054】また、△n×d=1.1μmでθ=30度
の時には、C.R.=1:3、Yoff=63%であ
る。
【0055】従って、ツイスト角255度の場合には、
少なくとも△n×d値が0.52μm以上0.98μm
以下に、角度θが−4度以上32度以下に収まっている
必要がある。
【0056】(実施例4)図2は、本実施例の液晶表示
素子の断面図である。図中、1は液晶セル、2は偏光板
である。また、11は上基板、12は下基板、13は透
明電極、14は画素電極を兼ねた反射膜、15は液晶で
ある。液晶セルの条件は実施例1と同様に、液晶として
ZLI−4472(△n=0.0871)を用いて平均
の△n×dを0.46μmとし、ツイスト角を60度、
角度θを4度にした。
【0057】反射膜14は、表面凹凸0.5μmのすり
ガラスの表面に、スパッタ法により金属アルミニウム薄
膜を設けたものであり、指向性の少ない反射特性を有す
る。なお、金属としてはアルミニウムの他にニッケルや
クロム等の銀白色を有する材料ならば何でもよく、表面
凹凸は金属の表面を荒く研磨したり、薬品処理を行うこ
とによって設けてもよい。
【0058】この反射膜を櫛形等にパターン形成する場
合には、この金属薄膜を直接パターニングする方法と、
金属薄膜上に絶縁物を介して透明電極を設け、この透明
電極をパターニングする方法とがある。この絶縁物は、
表面凹凸を緩和する効果があるため、ツイスト角が大き
くd/pマージン(d:セルギャップ、p:自発ピッ
チ)が狭い場合には有効である。
【0059】このように、反射板を液晶セルの中に設け
ることによって、従来の反射型液晶表示素子に特有の、
表示が二重に見えるという問題を解決することができ
る。さらに液晶厚の微小なばらつきが、表示色を平均化
し、色付きを少なくするという副次的な効果もある。な
おこの場合の0.5μmという液晶厚のばらつきは、△
n×d値の0.04μmに相当するが、この程度のばら
つきがコントラスト比に殆ど影響を及ぼさないことは、
図12より明らかである。
【0060】(実施例5)実施例1において、ツイスト
角を0度、△n×dを0.28μm、角度θを44度に
した以外は、実施例1と同様にした。この時C.R.=
1:27、Yoff=76%であった。
【0061】本実施例の液晶表示素子は、ツイスト角が
0度であるということで、製造が容易であるという特徴
がある。
【0062】図9には、ツイスト角が0度のときに、良
好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲を示し
た。この場合には、少なくとも△n×d値が0.22μ
m以上0.32μm以下に、角度θが34度以上55度
以下に収まっていることが、良い表示を得る上で不可欠
である。
【0063】(実施例6)実施例1において、ツイスト
角を30度、△n×dを0.30μm、角度θを66度
にした以外は、実施例1と同様にした。この時C.R.
=1:32、Yoff=78%であった。
【0064】図10には、ツイスト角が30度のとき
に、良好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲
を示した。この場合には、少なくとも△n×d値が0.
22μm以上0.3μm以下に、角度θが55度以上7
7度以下に収まっていることが、良い表示を得る上で不
可欠である。
【0065】(実施例7)実施例1において、ツイスト
角を45度、△n×dを0.34μm、角度θを76度
にした以外は、実施例1と同様にした。この時C.R.
=1:34、Yoff=80%であった。
【0066】図11には、ツイスト角が45度のとき
に、良好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲
を示した。この場合には、少なくとも△n×d値が0.
25μm以上0.50μm以下に、角度θが64度以上
94度以下に収まっていることが、良い表示を得る上で
不可欠である。
【0067】(実施例8)実施例1において、ツイスト
角を70度、△n×dを0.48μm、角度θを8度に
した以外は、実施例1と同様にした。この時C.R.=
1:10、Yoff=81%であった。
【0068】図13には、ツイスト角が70度のとき
に、良好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲
を示した。この場合には、少なくとも△n×d値が0.
36μm以上0.61μm以下に、角度θが−6度以上
21度以下に収まっていることが、良い表示を得る上で
不可欠である。
【0069】(実施例9)実施例2において、ツイスト
角を170度、△n×dを0.72μm、角度θを46
度にした以外は、実施例2と同様にした。この時C.
R.=1:13、Yoff=67%であった。
【0070】図14には、ツイスト角が170度のとき
に、良好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲
を示した。この場合には、少なくとも△n×d値が0.
60μm以上0.82μm以下に、角度θが37度以上
55度以下に収まっていることが、良い表示を得る上で
不可欠である。
【0071】(実施例10)実施例2において、ツイス
ト角を175度、△n×dを0.70μm、角度θを4
8度にした以外は、実施例2と同様にした。この時C.
R.=116.Yoff=71%であった。
【0072】図15には、ツイスト角が175度のとき
に、良好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲
を示した。この場合には、少なくとも△n×d値が0.
58μm以上0.81μm以下に、角度θが37度以上
57度以下に収まっていることが、良い表示を得る上で
不可欠である。
【0073】(実施例11)実施例2において、ツイス
ト角を180度、△n×dを0.68μm、角度θを5
0度にした以外は、実施例2と同様にした。この時C.
R.=1:18、Yoff=74%であった。
【0074】本実施例の液晶表示素子は、表示の色付き
が少ないという点で、実施例2の液晶表示素子よりも優
秀である。
【0075】図16には、ツイスト角が180度のとき
に、良好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲
を示した。この場合には、少なくとも△n×d値が0.
55μm以上0.79μm以下に、角度θが40度以上
60度以下に収まっていることが、良い表示を得る上で
不可欠である。
【0076】(実施例12)実施例2において、ツイス
ト角を190度、△n×dを0.62μm、角度θを5
4度にした以外は、実施例2と同様にした。この時C.
R.=1:21、Yoff=74%であった。
【0077】(実施例13)実施例2において、ツイス
ト角を210度、△n×dを0.58μm、角度θを6
6度にした以外は、実施例2と同様にした。この時C.
R.=1:20、Yoff=64%であった。
【0078】図18には、ツイスト角が210度のとき
に、良好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲
を示した。この場合には、少なくとも△n×d値が0.
46μm以上0.71μm以下に、角度θが54度以上
76度以下に収まっていることが、良い表示を得る上で
不可欠である。
【0079】(実施例14)実施例2において、ツイス
ト角を225度、△n×dを0.56μm、角度θを7
6度にした以外は、実施例2と同様にした。この時C.
R.=1:20、Yoff=54%であった。
【0080】(実施例15)実施例3において、ツイス
ト角を240度、△n×dを0.62μm、角度θを−
2度にした以外は、実施例2と同様にした。この時C.
R.=1:23、Yoff=62%であった。
【0081】(実施例16)実施例3において、ツイス
ト角を250度、△n×dを0.70μm、角度θを8
度にした以外は、実施例3と同様にした。この時C.
R.=1:27、Yoff=74%であった。
【0082】図19には、ツイスト角が250度のとき
に、良好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲
を示した。この場合には、少なくとも△n×d値が0.
51μm以上1.05μm以下に、角度θが−7度以上
35度以下に収まっていることが、良い表示を得る上で
不可欠である。
【0083】(実施例17)実施例3において、ツイス
ト角を260度、△n×dを0.74μm、角度θを1
6度にした以外は、実施例3と同様にした。この時C.
R.=1:16、Yoff=80%であった。
【0084】本実施例の液晶表示素子は、表示の色付き
が少ないという点で、実施例3の液晶表示素子よりも優
秀である。
【0085】図21には、ツイスト角が260度のとき
に、良好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲
を示した。この場合には、少なくとも△n×d値が05
5μm以上0.96μm以下に、角度θが0度以上32
度以下に収まっていることが、良い表示を得る上で不可
欠である。
【0086】(実施例18)実施例3において、ツイス
ト角を265度、△n×dを0.74μm、角度θを1
8度にした以外は、実施例3と同様にした。この時C.
R.=1:10、Yoff=81%であった。
【0087】本実施例の液晶表示素子は、表示の色付き
が少ないという点で、実施例3や実施例16の液晶表示
素子よりも優秀である。
【0088】図22には、ツイスト角が265度のとき
に、良好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲
を示した。この場合には、少なくとも△n×d値が0.
57μm以上0.90μm以下に、角度θが4度以上3
0度以下に収まっていることが、良い表示を得る上で不
可欠である。
【0089】(実施例19)実施例3において、ツイス
ト角を270度、△n×dを0.70μm、角度θを1
8度にした以外は、実施例3と同様にした。この時C,
R.=1:6、Yoff=80%であった。
【0090】本実施例の液晶表示素子は、電気光学特性
の急峻性が良いという点で、実施例3や実施例16、実
施例17の液晶表示素子よりも優秀である。
【0091】図23には、ツイスト角が270度のとき
に、良好な表示コントラストが得られるセル条件の範囲
を示した。この場合には、少なくとも△n×d値が0.
64μm以上0.81μm以下に、角度θが12度以上
26度以下に収まっていることが、良い表示を得る上で
不可欠である。
【0092】(比較例1)実施例1において、ツイスト
角を75度、△n×dを0.48μm、角度θを10度
にした以外は、実施例1と同様にした。この時C.R.
=1:6、Yoff=81%であった。この特性はこの
ツイスト角で取れる最良のものであり、1:5以上のコ
ントラスト比が取れる条件範囲は非常に狭い。これは本
発明の請求の範囲外であり、このような条件では満足な
表示を行うことができない。
【0093】(比較例2)実施例2において、ツイスト
角を165度、△n×dを0.76μm、角度θを46
度にした以外は、実施例2と同様にした。この時C,
R.=1:10、Yoff=61%であった。また表示
の色付きが実施例10等に比較して著しく大きい。これ
は本発明の請求の範囲外であり、このような条件では満
足な表示を行うことができない。
【0094】(比較例3)実施例3において、ツイスト
角を285度、△n×dを0.70μm、角度θを20
度にした以外は、実施例3と同様にした。この時C.
R.=1:2、Yoff=82%であった。この特性は
このツイスト角で取れる最良のものである。これは本発
明の請求の範囲外であり、このような条件では満足な表
示を行うことができない。
【0095】尚、以上の実施例においては、ツイスト角
は5度単位の離散的な値を取っているが、これは単に実
験の都合によるものである。ツイスト角による特性の変
化は連続的なものであるから、請求項等で示したツイス
ト角範囲で、どの値を取ってもかまわない。
【0096】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、新
しい反射型液晶モードを導入することにより、明るく色
付きの少なく、しかも表示が二重に見えない液晶表示素
子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1〜3及び実施例5〜19及び
比較例1〜3における液晶表示素子の断面図である。
【図2】本発明の実施例4における液晶表示素子の断面
図である。
【図3】本発明の液晶表示素子の各軸の関係を示す図で
ある。
【図4】本発明の液晶表示素子の液晶分子配向(a)
と、偏光状態の変化(b)を示す図である。
【図5】本発明の反射タイプの液晶表示素子の液晶分子
配向(a)と、これと光学的に等価な透過タイプの液晶
分子配向(b)、それに従来のNTNモードの液晶分子
配向(C)を示す図である。
【図6】コントラスト比が最大になるセル条件を示す図
である。
【図7】コントラスト比が最大になるセル条件において
得られる、液晶セルの3つの光学特性(コントラスト比
C.R.、オン時の視感反射率Yoff、色付きの度合
い△E)を示す図である。
【図8】ツイスト角が60度のときに、液晶セルに入射
した光が反射面でほぼ直線偏光になり、高い反射率が得
られる、セル条件の範囲を示す図である。
【図9】ツイスト角が0度のときに、良好な表示コント
ラストが得られる、セル条件の範囲を図である。
【図10】ツイスト角が30度のときに、良好な表示コ
ントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図11】ツイスト角が45度のときに、良好な表示コ
ントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図12】ツイスト角が60度のときに、良好な表示コ
ントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図13】ツイスト角が70度のときに、良好な表示コ
ントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図14】ツイスト角が170度のときに、良好な表示
コントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図15】ツイスト角が175度のときに、良好な表示
コントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図16】ツイスト角が180度のときに、良好な表示
コントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図17】ツイスト角が200度のときに、良好な表示
コントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図18】ツイスト角が210度のときに、良好な表示
コントラストが得られる、セル条件の範園を示す図であ
る。
【図19】ツイスト角が250度のときに、良好な表示
コントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図20】ツイスト角が255度のときに、良好な表示
コントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図21】ツイスト角が260度のときに、良好な表示
コントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図22】ツイスト角が265度のときに、良好な表示
コントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図23】ツイスト角が270度のときに、良好な表示
コントラストが得られる、セル条件の範囲を示す図であ
る。
【図24】本発明の実施例1における液晶表示素子の電
界オフ時と電界オン時の分光特性を示す図である。
【図25】本発明の実施例2における液晶表示素子の電
界オフ時と電界オン時の分光特性を示す図である。
【図26】本発明の実施例3における液晶表示素子の電
界オフ時と電界オン時の分光特性を示す図である。
【図27】従来の液晶表示素子の断面図である。
【図28】従来の液晶表示素子の電界オフ時と電界オン
時の分光特性を示す図である。
【符号の説明】
1.液晶セル 2.偏光板(上側) 3.偏光板(下側) 4.反射板 11.上基板 12.下基板 13.透明電極 14.画素電極を兼ねた反射膜 15.液晶 16.液晶分子 17.液晶層の中心面 21.偏光板2の偏光軸(吸収軸あるいは透過軸)方向 22.上基板11のラビング方向(液晶配向方向) 23.下基板12のラビング方向(液晶配向方向) 31.21が22となす角度θ 32.液晶15のツイスト角 41.電界オフ時の反射光の分光特性 42.電界オン時の反射光の分光特性 51.コントラスト比1:20の等コントラストカーブ 52.コントラスト比1:10の等コントラストカーブ 53.コントラスト比1:5の等コントラストカーブ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の基板間に液晶層が挟持されてなり、
    一方の前記基板側のみに偏光手段が配置されてなり、他
    方の前記基板側に反射手段が形成されてなる液晶表示素
    子であって、前記液晶表示素子のコントラスト比を1:
    10以上とするために前記液晶層内の液晶分子のツイス
    ト角が0度以上70度以下に設定されてなり、前記偏光
    手段を介して前記液晶層に入射した光は前記液晶層内で
    楕円偏光状態に変換されてなることを特徴とする液晶表
    示素子。
  2. 【請求項2】前記液晶分子のツイスト角が30度以上7
    0度以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶
    表示素子。
  3. 【請求項3】一対の基板間に液晶層が挟持されてなり、
    一方の前記基板側のみに偏光手段が配置されてなり、他
    方の前記基板側に反射手段が形成されてなる液晶表示素
    子であって、前記液晶表示素子のコントラスト比を1:
    10以上とするために前記液晶層内の液晶分子のツイス
    ト角が170度以上265度以下に設定されてなり、前
    記偏光手段を介して前記液晶層に入射した光は前記液晶
    層内で楕円偏光状態に変換されてなることを特徴とする
    液晶表示素子。
  4. 【請求項4】前記液晶分子のツイスト角が175度以上
    210度以下であることを特徴とする請求項3に記載の
    液晶表示素子。
  5. 【請求項5】前記液晶分子のツイスト角が250度以上
    265度以下であることを特徴とする請求項3に記載の
    液晶表示素子。
  6. 【請求項6】一対の基板間に液晶層が挟持されてなり、
    一方の前記基板側のみに偏光手段が配置されてなり、他
    方の前記基板側に反射手段が形成されてなる液晶表示素
    子であって、前記液晶表示素子のコントラスト比を1:
    6以上とするために前記液晶層内の液晶分子のツイスト
    角が265度以上270度以下に設定されてなり、前記
    偏光手段を介して前記液晶層に入射した光は前記液晶層
    内で楕円偏光状態に変換されてなることを特徴とする液
    晶表示素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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