JPH0876077A - 電界制御回折格子および液晶素子 - Google Patents

電界制御回折格子および液晶素子

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JPH0876077A
JPH0876077A JP21228994A JP21228994A JPH0876077A JP H0876077 A JPH0876077 A JP H0876077A JP 21228994 A JP21228994 A JP 21228994A JP 21228994 A JP21228994 A JP 21228994A JP H0876077 A JPH0876077 A JP H0876077A
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JP
Japan
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liquid crystal
refractive index
diffraction grating
electric field
region
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Application number
JP21228994A
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English (en)
Inventor
Yuzo Hisatake
雄三 久武
Takeshi Oyama
毅 大山
Makiko Satou
摩希子 佐藤
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】屈折率異方性をもつ光媒体領域10と屈折率異
方性をもつ液晶領域9を平面方向に交互に配置してなる
回折格子領域からなる電界制御回折格子7、8を2層に
重ね、これらを複数の画素を形成する電極3、4で挟ん
でなる液晶素子。 【効果】散乱特性が高く、駆動電圧の低い、明るくコン
トラスト比の高い階調性に優れた液晶素子が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電界で回折格子特性を
制御できる液晶を用いた電界制御回折格子およびこれを
用いた液晶素子に係わる。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子(LCD)を光制御の観点
から分類すると、明暗の変化を液晶分子の偏光効果と偏
光子を組み合わせにより生じさせるものと、液晶の相転
移を利用し、光の散乱と透過により生じさせるもの、お
よび染料を添加し、染料の可視光吸収量を制御し、色の
濃淡変化により生じさせるもの等に分けられる。
【0003】前者の偏光効果と偏光子を組み合わせたL
CDは、例えば90°捻れた分子配列をもつツイステッ
ドネマティック(TN)型液晶であり、原理的に薄い液
晶層厚、低電圧で偏光制御できることから、早い応答速
度、低消費電力にて、高いコントラスト比を示し、時計
や電卓、単純マトリクス駆動や、スイッチング素子を各
画素ごとに具備したアクティブマトリクス駆動で、ま
た、カラーフィルターと組み合わせて、フルカラーの表
示の液晶TVなどに応用されている。
【0004】しかし、これら偏光効果と偏光子を組み合
わせたLCDは、原理上偏光板を用いることから素子の
透過率が著しく低く、また分子配列の方位性により見る
角度・方位によって表示色やコントラスト比が大きく変
化するといった視角依存性を持ち陰極線管の表示性能を
完全に越えるまでにはいたらない。
【0005】一方、後者の液晶の相転移を利用したも
の、および染料の可視光吸収量を制御したLCDは、例
えば、ヘリカル構造の分子配列をもつコレステリック相
からホメオトロピック分子配列のネマティック相への相
転移を電場印加で生じさせるPC型液晶およびこれに染
料を添加してなるWhite−Taylor型GH液晶
であり、偏光子を用いず、原理的に偏光効果を用いない
ことから、明るく、広い視認角を示し、自動車機器や、
投影型表示器などに応用されている。
【0006】しかし、充分な光の散乱を得るには、液晶
相厚を充分厚くしたり、散乱を生じさせるヘリカル強度
を強めたりする必要があり、高い駆動電圧を要し、応答
速度も極めて遅いといった問題点をもっているため表示
量(画素数)の多い表示素子への応用は困難とされてい
た。さらに、その印加電圧−透過率特性にヒステリシス
があり、マルチプレクス駆動することが困難など実用的
に問題があった。
【0007】また、図6に示す様に有機高分子31中に
液晶32を球状に保持した高分子分散型(PD)LCD
は散乱モードの液晶表示素子であり、偏光板を用いない
ため、明るく、広い視認角を示し、自動車機器や、投影
型表示器などに応用されている。しかしながら、外部か
ら印加した電圧は有機高分子中と液晶とに分圧され、液
晶には印加電圧の一部しか印加されず、実用的には動作
電圧が高まり問題であった。また、充分な光の散乱を得
るには、液晶厚を充分厚くする必要があり、応答速度も
遅いといった問題点をもっているため表示量(画素数)
の多い表示素子への応用は困難とされていた。さらに、
その印加電圧−透過率特性にヒステリシスがあり、マル
チプレクス駆動することが困難など実用的に問題があっ
た。これと同様の動作原理で動作する網目状有機高分子
中に液晶を保持した高分子分散型LCDにおいても、同
様の問題があった。
【0008】前記散乱モード同様の効果を得る表示モー
ドとして、光の回折格子現象を利用した表示素子(以下
LCDG=Liquid Crystal Diffraction Gratingと称す
る)が提案されている(例えばHideya Murai ,Liquid C
rystals, 1993,Vol.15,No.5,627-642 )。図12、13
に、このLCDGの構造を示す。図示するようにセルを
構成する基板41、42間に液晶組成物43の常光屈折
率no もしくは異常光屈折率ne のいづれかと等しい光
屈折率媒体44(以下グレーティングと称する)と液晶
組成物43を平面的に交互に配置した構成からなってい
る。屈折率楕円体で表される屈折率をもつ液晶分子の配
列を電界により制御して、液晶層43のセル平面方向に
おける屈折率の値を変化させてグレーティング層44と
液晶層43とで、回折格子現象を発生させたり、させな
かったりして前記散乱モード同様の効果を得ようとして
いるものである。
【0009】しかしながら、液晶分子は屈折率異方性を
持つもののその屈折率楕円体の形状や大きさは不変であ
り、制御可能なのは配列方向を一様に変化させることだ
けである。このため、平面的な屈折率楕円形状を、大き
い円から小さい円、もしくは小さい円から大きい円に変
化させることは原理的に不可能である。図9、10に一
般的な液晶分子の形状、いいかえると屈折率楕円形状を
示す。ここに図9はne >no で、ne を回転軸とした
場合の屈折率楕円体、図10は同じくno を回転軸とし
た場合の屈折率楕円体を示す。
【0010】これらを例にとって前記屈折率楕円形状
を、大きい円から小さい円、もしくは小さい円から大き
い円に変化させることは原理的に不可能な理由を説明す
る。図9の形状も図10の形状もある方位すなわち楕円
体の回転軸方位から観察すると円の形に観察される。し
かしながら、2種の大きさの円形状はいかなる形状であ
っても観察されない。よって、前記屈折率楕円形状を、
大きい円から小さい円、もしくは小さい円から大きい円
に変化させることは原理的に不可能であることとなる。
このことから、前記回折格子現象を液晶セル平面のすべ
ての方位の偏光成分に対して発生させる構成(図11:
図9の屈折率楕円体(ne 軸)の液晶組成物を用いた場
合、なお符号44aはグレーティング層44の屈折率を
示す)、(図12:図10の屈折率楕円体(no 軸)の
液晶組成物を用いた場合、なお符号44bはグレーティ
ング層44の屈折率を示す。)とすると、電界制御によ
り液晶層43のセル平面方向における屈折率の値を変化
させて、回折格子現象を解消しようとしても1方向の偏
光成分に対してしか解消されず、図13の2b@443
a1のように図11の光学異方性の液晶組成物の分子配
列を変化させても、同じく図14の符号43b1のよう
に図12の光学異方性の液晶組成物の分子配列を変化さ
せても、素子の透過率を原理的に50%以下にしてしま
うことになる。
【0011】逆の配置で、回折格子現象がセル平面のす
べての方位の偏光成分に対して発生しない構成を図15
のように図9の液晶組成物43aを用いて構成した場合
でも、図16のように図10の液晶組成物43bを用い
て構成しても、電界制御により液晶層43のセル平面方
向における屈折率の値を変化させたとして屈折率は1方
位でしか変化しないので、回折格子現象は1方位に対し
てしか発生しない。したがって、素子のコントラスト比
を原理的に2:1以下にしてしまうこととなる。
【0012】これに対しては入射する光を偏光させるこ
とにより改善できるが、高価なプリズム等を多用しない
限り入射光強度を低下させることなく入射する光を直線
偏光とすることは困難であり、実用上は入射光強度を5
0%以下に低減させてしまう偏光板を用いることとな
る。よって、これら従来のLCDGは実用上、素子の透
過率が50%以下となり、暗い表示しか実現できない。
【0013】また、図15、16の構成のように入射光
が偏光であれば、高い散乱強度(強い回折格子現象)が
得られる構成の場合、同様のセルを平行配置して2層化
し、前述した屈折率差を生じさせる方位を2枚のセル間
で直交させる構成とすれば、回折格子現象を2方位に対
して発生させることができる。さらに工夫して、2枚の
セルを用いて、相互間の機能を1つの液晶セルで実現さ
せる構成が類推できる。 例えば、図17にこの構成を
示す。基板41、42間に液晶層54とグレーティング
層46からなる回折格子を2層形成し、液晶層の屈折率
45aとグレーティング層46aの屈折率差を得る方位
が相互間で直交した配置としている。これを実現するた
め液晶層の分子配列方位は2層の回折格子間で直交して
いる。この場合、2層の回折格子間で液晶層同志が対向
すると、その2層貫通した液晶層の分子配列は必然的に
90°ツイストするため旋光性が生じてしまう。このた
め、この部分では、1層目で回折格子現象が発生しなか
った方位の偏光成分はやはり2層目でも回折格子現象が
発生しない方位に入射するため結局回折格子現象を全く
得ないでセルを通過することとなる。よって図17に示
すように液晶層とグレーティング層が2層の回折格子で
入子の関係を得るようにする必要があることとなってし
まう。これらのことから、回折格子を形成する微細なパ
ターン(液晶領域とグレーティング層)を1つのセル内
に2層形成し、これらの間で極めて高精細なパターンに
対するアライメントを必要とすることとなり、事実上生
産は困難である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の液晶表示素子は、偏光を制御するモードの場合、実用
上は入射光強度を50%以下に低減させてしまう偏光板
を用いるため表示が暗いといった問題点をもっており、
また、光散乱効果を用いるモードの場合、構成によって
は前記問題を解決し得るが、いづれの構成においても、
駆動電圧が高かったり、応答速度が遅かったり、電気光
学特性にヒステリシスがあったりして実用的な解決手段
とはなっていない。このように従来の液晶表示素子は、
表示が暗いといった問題点を持っている。
【0015】本発明は、この問題を解決する新規な液晶
表示装置の構造を提案し、より優れた表示性能を得る新
規な液晶表示装置を提案することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の並列さ
れたストライプ構成体で形成され、光の入射する方位に
対して屈折率楕円体で表される屈折率異方性をもつ光媒
体で構成され、前記屈折率楕円体の軸が前記ストライプ
状層の延長方向に対して一定の方向に配置され、前記屈
折率楕円体の軸が電界によって変化しないグレーティン
グ層と、前記グレーティング層のストライプ構成体間に
配置され、前記グレーティング層の屈折率異方性に実質
的に等しい屈折率異方性をもつ液晶組成物で構成され
て、その屈折率楕円体の軸が電界印加により前記グレー
ティング層の屈折率楕円体の軸に対して少なくとも平行
方向と垂直方向の2状態に制御される液晶分子配列をと
り得るようにされた液晶領域とからなる電界制御回折格
子を得るものである。
【0017】さらに、複数の電界制御回折格子からな
り、第1の電界制御回折格子と第2の電界制御回折格子
とが各電界制御回折格子のストライプ構成体が直交する
ように重ねられてなる電界制御回折格子を得るものであ
る。
【0018】さらに、屈折率異方性をもつ第1の光媒体
領域と、屈折率異方性をもつ第1の液晶組成物領域を平
面方向に交互に配置してなる第1の回折格子領域と、前
記第1の回折格子領域に重ねられ、屈折率異方性をもつ
第2の光媒体領域と、屈折率異方性をもつ第2の液晶組
成物領域を平面方向に交互に配置してなる第2の回折格
子領域と、これら第1の回折格子領域と第2の回折格子
領域を電界を印加可能に挟み複数の画素を形成する電極
とを具備してなる液晶素子を得るものである。
【0019】さらに、第1の液晶組成物領域と第2の液
晶組成物領域とが同じ液晶組成物でなり、連続している
ことを特徴とする液晶素子を得るものである。
【0020】さらに、第1の光媒体領域と第1の回折格
子領域の屈折率差δnが最大になる方位と第2の光媒体
領域と第2の回折格子領域の屈折率差δnとが最大にな
る方位とが直交するように第1の回折格子領域と第2の
回折格子領域とが配置され、これら回折格子領域の厚み
をdとしたとき、屈折率差δnおよび厚みdが各回折格
子領域において、ともに 260+m・550≦δn・d≦290+m・550 (m=0,1,2,3…、 単位nm) の関係を満たしている子とを特徴とする液晶セルを得る
ものである。
【0021】
【作用】図1は、本発明の構成の一例を説明するもので
ある。本発明の特徴は第1に、LCDGにおけるフレー
ティング層に屈折率の異方性を持たせることにある。図
1(a)は液晶セルの各部分の分解図、同図(b)は断
面図で、上基板1に電極3、配向膜5、下基板2に電極
4、配向膜6を付け、上基板1の配向膜5の配向処理方
向11と、下基板2の配向膜6の配向処理方向12を直
交するように両基板を配置する。これら基板間に2層の
電界制御回折格子7、8を重ねて配置する。第1の電界
制御型回折格子7は方位に対して屈折率楕円体で表され
る屈折率異方性10aをもつ高分子液晶などからなる屈
折率が電界によって不変な光媒体の複数の並列ストライ
プ構成体のグレーティング層10と、これらストライプ
構成体間に配置された同じく屈折率異方性9aをもつ液
晶組成物からなる液晶領域9とで形成される。第2の電
界制御型回折格子8も第1の電界制御型回折格子7と同
構成であり、そのストライプ構成体14および液晶領域
13は、第1の電界制御型回折格子7のストライプ構成
体の延長方向7a(図2(b))と直交する方向8a
(図2(a))に形成される。
【0022】第1の電界制御型回折格子7と第2の電界
制御型回折格子8のストライプ構成体10、12が相互
に突き合わされる面は配向処理されており、ストライプ
構成体10の配向処理方向15は下基板の配向処理方向
12に平行に、ストライプ構成体14の配向処理方向1
6は上基板の配向処理方向11に平行に形成する。
【0023】液晶領域9、13は正の誘電異方性をもつ
ネマティック液晶組成物でなり、電極に電圧を印加しな
い状態では、配向処理方向11または12に沿ってグレ
ーティング層に平行に分子配列する。この様子を図1の
屈折率楕円体9a、13aで示している。液晶領域は電
界制御により、配列方向を水平状態と垂直状態の2状態
に制御されるので、屈折率楕円体も、グレーテイグ層と
同一の水平状態9a、13aと、グレーティング層と異
なる垂直状態9b、13bに変化する。
【0024】平行状態の配列は、回折格子現象を発生さ
せない状態を得るときにグレーティング層との屈折率差
を方位性なく零にするためである。こうすることにより
液晶層に異方性がある状態(液晶分子が水平配向した状
態)で回折格子現象を発生させない状態を得られる。す
なわち、グレーティング層と液晶領域の屈折率異方性を
実質的に同じにしておき、電界によって不変な屈折率を
もつグレーティング層を形成するストライプ構成体の屈
折率楕円体の回転軸とストライプ構成体間に配置する液
晶領域の液晶組成物の屈折率楕円体の回転軸を同一方位
に一致させることにより、回折格子現象無発生状態をつ
くりだすことができる。この作用は図1に示すように回
折格子層を2層直交配置しても得られる。
【0025】これに対し、回折格子現象を発生させた状
態を得るには、液晶層の液晶分子を垂直配列させればよ
いこととなる。すなわち、電極間に電界を印加すると、
液晶分子は基板に垂直に配列する(9b、13b)。こ
うすることにより、液晶領域は基板方向から観察する
と、屈折率の異方性がなくなり、一方、グレーティング
層には変わらず異方性があるので、液晶層とグレーティ
ング層の間に屈折率差が生じる。この屈折率差は各回折
格子層で1方位に発生するものであるから、前記各回折
格子層で屈折率差の発生する方位が互いに直交していれ
ば回折格子現象は、直交した2方位で発生することとな
る。
【0026】ここで、この回折格子現象を得る状態は液
晶分子を垂直配列にした状態で得ているので図1に示す
ように2層の各回折格子間で液晶層同志が対向しても、
従来技術で問題となっていた光が旋光するといった問題
は生じない。
【0027】よって、全ての方位の偏光成分に対し、回
折格子現象を生じさせることができ、且つ逆に全く回折
格子現象が生じない状態も形成できることとなり、こう
した作用を図1に示すごとく、2層の回折格子パターン
のアライメント無しで得ることが可能となり、実用上容
易な製造工程にて前述した1つのセルでの高コントラス
トなLCDGモードのLCDが実現できることとなる。
【0028】さて、こうして得られたLCDGの光散乱
効果は回折格子層の層厚dと前記屈折率差δnに依存す
る。これは屈折率が異なる媒体を光が通過する場合にい
かように光路差が生じるかによって、回折の仕方が異な
るためである。よって、回折格子現象の光回折効果Sは
次式のように表せる。
【0029】 S=cos2 (πδnd/λ)……………………………………………(1) λ:入射光波長 よって、回折格子現象を最も強く得るには、δndを、 δnd=(1+2m)λ/2………………………………………………(2) (m=0,1,2,3………) とすればよいことになる。セルに入射させる光の波長は
フルカラー表示をさせる場合、可視光全域に及ぶ。一般
的に投影型液晶表示装置においてはカラー表示を実現す
るためにRGB3色のカラーフィルターを1つのセルに
設ける方式(単板方式)と光源の光をダイオクロイック
ミラー等を用いてRGBに分光し、3つのセルを用いて
実現する方式(3板方式)とがある。前者の単板方式で
(2)式を完全に満足するためにはdの値を各カラーフ
ィルター毎に変える必要があり、これを2層の回折格子
を形成した本発明に適用することは容易ではない。実現
させる場合、多大な製造コストとなる。また、後者の3
板方式で(2)式を完全に満足するためにはdの値を各
セル毎に変える必要がある。この場合も3枚のセルを差
別化して製造する必要があり、製造コストが高くなる。
【0030】こうしたことから、いづれの場合において
も、dの値は1つとできればより低コストのLCDが実
現できることとなる。そのためには、可視光RGBいづ
れの波長にたいしても実用的にに十分な特性を得るdの
共通解を見出だす必要がある。そこで、可視光RGBの
中心的波長であり、最も視感度の強い550nmの波長
にdを合わせることが、最も優れた特性を得ることとな
るわけである。(1)式のSの値がRGBの波長に対
し、あまり依存しないようにするためには、δndの値
を(2)式の条件から±20nmに押さえる必要があ
る。こうすることによってSの値を最大値の98%とす
ることができ、一般的なコントラスト比の実用値(=5
0:1以上)を得ることができるからである。このd、
つまりδndの最適条件は(1)式が周期関数あること
から明らかなように複数の解となる。よって、本発明の
液晶表示素子は前記δndの値が次式を満足したときに
極めて優れた特性を得ることとなる。
【0031】 260+m・550≦δn・d≦290+m・550…………………(3) (m=0,1,2,3……、 単位nm)
【0032】
【実施例】以下本発明の実施例を詳細に説明する。
【0033】(実施例1)1画素の形状が図2に示すよ
うな電極構造からなり、画素数が640×480である
る2枚の電極付き基板を用いる。(a)は下基板、すな
わちアクティブマトリクス板の一画素分を示し、画素電
極4は電極間に配線されたゲート線17、信号線18に
よりTFTトランジスタ19を介して駆動される。
(b)は上基板に設けた共通電極3の一画素領域を示
す。これら電極3、4は配向膜が被着された後、図3に
示すようなグレーティング層20を各基板21上に形成
した。
【0034】すなわち、基板21上に電極22(図2の
符号3および4の電極)を形成し、その上に配向膜23
を形成する。配向膜に矢印24方向のラビング配向処理
を施してから、屈折率異方性25が図9に示す屈折率楕
円体を示す光媒体のグレーティング層20を形成する。
最大屈折率ne が楕円体軸方向であり、ストライプ構成
体の延長方向および配向膜23の配向処理方向24に一
致させる。このグレーティング層20の上面にそのスト
ライプに直交する方向にラビング配向処理26を施して
ある。
【0035】このプロセスを図4に示す。先ず、基板上
に電極21、配向膜22を形成し、図3に示すグレーテ
ィング層20の屈折率がne の方位にラビング処理24
を施す(図4(a))。次いで、基板21上に高分子液
晶(棒状系材料Δn=0.093, ne =1.56
6, no =1.473)を液体状態に加熱し塗布し
た。塗布後冷却し、高分子液晶膜20aを得た。厚さは
2,750nmとした(図4(b))。次にこの高分子
液晶膜20aを、前記ラビングから左回りに90°回転
した方向にラビング処理26した(図4(c))。次い
で、この高分子液晶膜上にレジスト材(商品名OFPR
−5000、東京応化(株)製)を塗布し、露光、現像
し、酢酸水溶液(10vol%)にてエッチングし、複
数の並列したストライプ構成体からなるグレーティング
層20を形成した。同様の工程にて対向する基板(例え
ば上基板)にもグレーティング層20を形成した(図4
(d))。ここでのグレーティング層のパターンおよび
ラビング方向は、前記基板(例えば下基板)のパターン
(いづれもストライプパターン(図3参照))およびラ
ビング方向と直交している。
【0036】こうして得られた2枚のグレーティング層
付き基板を対向させ、スペーサを用いないで周辺をシー
ルし、加圧しながらシールを硬化させて、いわゆる空セ
ルを作成した。しかるのち、前記空セルに誘電異方性が
正のネマティック液晶組成物(商品名ZLI−200
2、(株)メルクジャパン製、 Δn=0.093,n
e =1.566, no =1.473)を注入し、本実
施例の液晶表示素子を得た。δn・dは548.7nm
である。
【0037】こうして得られた本実施例の液晶素子の電
極に、TFT19を介して電圧を印加して電気光学特性
(透過率−印加電圧曲線)を測定した。透過率−印加電
圧曲線を求めるために、液晶素子に白色光源を直線光に
変換したもの(非偏光)を入射させ、透過率を測定し
た。光のスポット径は2mmで、透過した光は液晶素子か
ら距離20cmのところにあるフォトダイオードにより検
出した。図5に0Vから徐々に印加電圧(Vac)を5
Vまで増加、5Vから徐々に0Vまで減少させていった
ときの透過率−印加電圧曲線を示す。電圧を印加してい
ない状態(0V印加)では透過率約80%であった。ま
た、印加電圧5.0Vでは最小透過率0.25%と、良
好な散乱状態が得られた。また、図の特性T1 から明ら
かなように電気光学特性にヒステリシスは全くなかっ
た。また、印加電圧5.0Vおよび0Vにて、応答速度
を測定したところ立上がり6msec、立ち下がり18
msecと極めて速い値を得た。
【0038】さらに、印加電圧5Vにて分光光度を分光
光度計にて測定したところ、可視光波長での最大透過率
は1.50%と極めて低い値であった。
【0039】さらに、この本実施例の液晶素子を3枚用
いて、それぞれにダイクロイックミラーによって分光さ
れたRGBの波長の光を入射させこれらをシュリーレン
光学系にて投影し、プロジェクションとして評価したと
ころ極めて高いコントラスト(実測値267:1)であ
り、明るい表示であることがわかった。
【0040】(比較例1)実施例1に置けるグレーティ
ング値として、屈折率に異方性がなく屈折率の値が1.
566であるSiOx膜を用いる以外実施例1同様にし
て、従来技術の液晶素子を作成した。
【0041】実施例1同様の評価を行ったところ、電圧
を印加していない状態における透過率以外は実施例1同
様の特性が得られたが、電圧を印加していない状態にお
ける透過率は36%と極めて低く偏光板を用いたTN−
LCD程度の透過率であった。
【0042】(比較例2)比較例1とは逆に、グレーテ
ィング層として、屈折率に異方性がなく屈折率の値が
1.473であるSiOx膜を用いる以外実施例1同様
にして、従来技術の液晶素子を作成した。
【0043】実施例1同様の評価を行ったところ、5V
の電圧を印加した状態における透過率以外は実施例1同
様の特性が得られた、5Vの電圧を印加した状態におけ
る透過率は42%と極めて高く、全く実用性の無いコン
トラスト特性しか得られなかった。
【0044】(実施例2)実施例1におけるラビング処
理の前にODS−Eアルコール.5vol%溶液
((株))チッソ製)にて垂直配向処理を施して実施例
1同様にしてグレーティング層を形成し、液晶材料とし
て誘電異方性が負の液晶材料(商品名ZLI−222
2、(株)メルクジャパン製、屈折率は実施例1と同
じ)を注入して、本実施例の液晶素子を得た。ここで、
他の条件、プロセスは実施例1と全く同じとしている。
【0045】実施例1同様の評価を行ったところ、図5
に示すように電気光学特性T2 は、実施例1と逆の形状
となったが、コントラスト特性等、他の特性は実施例1
同様優れた特性であることがわかった。
【0046】(実施例3)実施例1において、グレーテ
ィング層の厚みを、双方の基板ともに3,333nmと
する以外、実施例1同様の製法、及び条件にて本発明の
液晶表示素子を得た。
【0047】こうして得られた本実施例の液晶素子に、
TFTを介して電圧を印加して電気光学特性(透過率−
印加電圧曲線)を測定した。透過率−印加電圧曲線を求
めるために、液晶表示素子にHe−Neレーザーの直線
光(非偏光)を入射させ、透過率を測定した。光のスポ
ット径は2mmで、透過したレーザー光は液晶表示素子か
ら距離20cmのところにあるフォトダイオードにより検
出した。この結果、ほぼ実施例1同様の結果T3 が得ら
れた(図5参照)。電圧を印加していない状態(0V印
加)では透過率約80%であった。しかしながら、印加
電圧5.0Vでは最小透過率0.05%と、実施例1以
上に良好な散乱状態(コントラスト比1600:1)が
得られた。また、図からあきらかなように電気光学特性
にヒステリシスは全くなかった。また、印加電圧5.0
Vおよび0Vにて、応答速度を測定したところ立上がり
6msec、立ち下がり18msecと実施例1同様の
値を得た。
【0048】本実施例は3板方式を差別化した3枚のセ
ルで実現する場合を想定して行ったものである。このよ
うに、3枚のセルを各色に対応した条件にて、個々に製
造するためには、実施例1、2以上の製造コストを要す
ることとなるが、前述したように極めて高いコントラス
ト特性が得られることが確認できた。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、散乱特性が高く、駆動
電圧の低い、明るくコントラスト比の高い階調性に優れ
た液晶素子が得られる。
【0050】本発明による液晶素子は、表示素子として
TFT駆動による大表示容量のディスプレーに適し、ま
た優れた散乱特性が得られることから投影型ディスプレ
ーへの応用に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例の液晶素子の構成、作用を説明す
るもので、(a)は分解斜視図、(b)は断面図。
【図2】本発明の実施例1の液晶素子の電極構成を説明
する図で、(a)は下基板の一部平面図、(b)は上基
板の一部平面図。
【図3】本発明の実施例1における液晶素子のグレーテ
ィング層の形状およびラビング処理方向を説明する図
で、(a)は平面図、(b)は断面図。
【図4】(a)乃至(d)は図3のグレーティング層の
製造プロセスを説明する断面図。
【図5】本発明の実施例1、2、3における電気光学特
性の測定結果を示す印加電圧対絶対透過率曲線図。
【図6】従来技術の液晶素子であるPDLCDの構造を
説明する断面図。
【図7】従来技術の液晶素子であるLCDGの構造を説
明する断面図。
【図8】従来技術の液晶素子であるLCDGの構造を説
明する断面図。
【図9】液晶分子の屈折率楕円体の一例を示す図。
【図10】液晶分子の屈折率楕円体の一例を示す図。
【図11】LCDGの光散乱原理を説明する図。
【図12】LCDGの光散乱原理を説明する図。
【図13】LCDGの光散乱原理を説明する図。
【図14】LCDGの光散乱原理を説明する図。
【図15】LCDGの光散乱原理を説明する図。
【図16】LCDGの光散乱原理を説明する図。
【図17】2層DG型LCDGの構成を説明する図。
【符号の説明】
1…上基板、 2…下基板、 3,4…電極、 7,8…電界制御回折格子、 9…液晶領域、 10…グレーティング層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の並列されたストライプ構成体で形
    成され、光の入射する方位に対して屈折率楕円体で表さ
    れる屈折率異方性をもつ光媒体で構成され、前記屈折率
    楕円体の軸が前記ストライプ構成体の延長方向に対して
    一定の方向に配置され、前記屈折率楕円体の軸が電界に
    よって変化しないグレーティング層と、 前記グレーティング層のストライプ構成体間に配置さ
    れ、前記グレーティング層の屈折率異方性に実質的に等
    しい屈折率異方性をもつ液晶組成物で構成されて、その
    屈折率楕円体の軸が電界印加により前記グレーティング
    層の屈折率楕円体の軸に対して少なくとも平行方向と垂
    直方向の2状態に制御される液晶分子配列をとり得るよ
    うにされた液晶領域とからなる電界制御回折格子。
  2. 【請求項2】 複数の電界制御回折格子からなり、第1
    の電界制御回折格子と第2の電界制御回折格子とが各電
    界制御回折格子のストライプ構成体が直交するように重
    ねられてなる請求項1記載の電界制御回折格子。
  3. 【請求項3】 屈折率異方性をもつ第1の光媒体領域と
    屈折率異方性をもつ第1の液晶領域を平面方向に交互に
    配置してなる第1の回折格子領域と、前記第1の回折格
    子領域に重ねられ屈折率異方性をもつ第2の光媒体領域
    と屈折率異方性をもつ第2の液晶領域を平面方向に交互
    に配置してなる第2の回折格子領域と、これら第1の回
    折格子領域と第2の回折格子領域を電界を印加可能に挟
    み複数の画素を形成する電極とを具備してなる液晶素
    子。
  4. 【請求項4】 第1の液晶領域と第2の液晶領域とが同
    じ液晶組成物でなり、連続していることを特徴とする請
    求項3記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】 第1の光媒体領域と第1の回折格子領域
    の屈折率差δnが最大になる方位と第2の光媒体領域と
    第2の回折格子領域の屈折率差δnとが最大になる方位
    とが直交するように第1の回折格子領域と第2の回折格
    子領域とが配置され、これら回折格子領域の厚みをdと
    したとき、屈折率差δnおよび厚みdが各回折格子領域
    において、ともに 260+m・550≦δn・d≦290+m・550 (m=0,1,2,3…、 単位nm) の関係を満たしていることを特徴とする請求項3記載の
    液晶素子。
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