JP2001208753A - 口臭検査容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 口臭を容易に検査することができ、唾液の採
取から口臭の検査までを簡便にかつ高精度に行い得る口
臭検査容器を提供する。 【解決手段】 一端が開口し他端が閉塞している有底管
２と、有底管２の開口を密栓している栓体３とを備え、
有底管２内に口臭測定試験片４が収納されており、有底
管２に唾液量を表すマーカー２ａが設けられている、口
臭検査容器１。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、被験者から唾液を
採取し、唾液中に含まれる特定の臭気成分を測定するこ
とにより口臭を検査する容器に関し、より詳細には、唾
液の採取から口臭の検査までの一連の作業を容易にかつ
高精度に行い得る口臭検査容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】口臭は、口腔内の含硫タンパク質の腐敗
により生じる硫化水素及びメチルメルカプタンが主な原
因物質であることがよく知られている（例えば、Ｏｒａ
ｌ Ｓｕｒｇ．，Ｖｏｌ．４５，Ｎｏ．４，Ｐ５６０〜
５６７（１９７８））。

【０００３】そのため、口臭の測定に際しては、総硫黄
量を測定することが望ましく、もっとも一般的な方法と
しては、硫黄化合物を酸化させて亜硫酸ガスとし、該亜
硫酸ガスを、化学法、溶液導電率法、赤外線ガス分析法
あるいはガス検知管などにより測定する方法が考えられ
ている。

【０００４】しかしながら、これらの測定法では、煩雑
な酸化処理という前処理操作を必要とする。そこで、上
記のような前処理操作を行うことなく硫黄化合物を直接
測定する方法が提案されている。例えば、上記Ｏｒａｌ
Ｓｕｒｇ．，Ｖｏｌ．４５，Ｎｏ．４，Ｐ５６０〜５
６７（１９７８）には、呼気中の揮発性硫黄化合物の濃
度をガスクロマトグラフィーを用いて定量する方法が開
示されている。

【０００５】ガスクロマトグラフィー分析は、感度及び
定量性において優れているが、機器が高価であり、試料
（呼気）採取に特殊な器具を必要とするため、個人が簡
便に利用することが困難である。従って、ガスクロマト
グラフィー分析は、口臭分析を必要としている歯科医や
歯科衛生士の要求に応えるものではない。

【０００６】他方、Ａｒｃｈ．Ｏｒａｌ Ｂｏｉｌ．Ｖ
ｏｌ．９，Ｐ３９〜４５（１９６４）には、唾液を培養
し、培地中に生じた含硫化合物の濃度をガスクロマトグ
ラフィー法や官能試験法により測定する方法が開示され
ている。この方法では、唾液試料の採取が容易である
が、培養に長時間を要する。しかも、ガスクロマトグラ
フィーや官能試験を採用するため、迅速に口臭を測定す
ることはできなかった。

【０００７】上記のような問題を解決する方法として、
特開昭６２−１１５３６４号公報には、唾液中のメリカ
プタンを測定し、メチルメルカプタンに換算して口臭を
測定する口臭試験紙が開示されている。

【０００８】しかしながら、この先行技術に記載の試験
紙では、口腔から唾液を試験紙の特定の位置に一定量含
浸させるのが困難であった。また、上記試験紙は、水分
に対しての長期安定性が十分でなく、空気中の水分と反
応し、劣化するという問題があった。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、唾液
試料の採取から口臭の測定までの一連の作業を簡便に行
うことができ、かつ一定量の唾液を口臭測定試薬に確実
に接触させることができ、さらに長期保存時に口臭測定
試薬の劣化が生じ難い口臭検査容器を提供することにあ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、唾液中の特定
成分を測定して口臭を検査するための口臭検査容器であ
って、一端が開口しており、他端が閉塞しており、唾液
採取量を示すマーカーが設けられている有底管と、前記
有底管内に収納されている口臭測定試薬と、前記有底管
の開口を密栓し得るように取り付けられる栓体とを備え
ることを特徴とする口臭検査容器である。

【００１１】本発明の特定の局面では、上記口臭測定試
薬として、口臭測定試験片が用いられる。好ましくは、
上記有底管としては、水蒸気バリア性を有するものが用
いられ、より好ましくはガスバリア性及び水蒸気バリア
性を有するものが用いられる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明に係る口臭検査容器
の非限定的な実施形態を図面を参照しつつ説明する。

【００１３】図１は、本発明の一実施形態としての口臭
検査容器を示す縦断面図である。口臭検査容器１は、有
底管２と、栓体３と、口臭測定試験片４とを有する。有
底管２は、一端が開口しており、他端が閉塞した形状を
有する。なお、本実施形態では、有底管は略円筒状の形
状を有するが、角筒状など任意の形状とし得る。有底管
２には、採取唾液量を確認し得るように、マーカー２ａ
が設けられている。マーカー２ａは、唾液量を表し得る
限り、図示のスケールに限らず、適宜の形態とし得る。

【００１４】上記有底管２を構成する材料については特
に限定されず、合成樹脂あるいはガラスからなるものを
適宜用いることができる。もっとも、破損が生じ難く、
運搬時の取扱性に優れているため、合成樹脂からなる有
底管２が好適に用いられる。

【００１５】上記有底管２を構成する合成樹脂として
は、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリアクリロニトリルなどの熱可塑
性樹脂；不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポ
キシ−アクリレート樹脂などの熱硬化性樹脂；または、
酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセル
ロース、エチルキチンなどの変性天然樹脂などが例示さ
れる。また、上記有底管２を構成するガラスについても
特に限定されず、ソーダ石灰ガラス、リンケイ酸ガラ
ス、ホウケイ酸ガラスなどのケイ酸塩ガラス、もしくは
石英ガラスなどの各種ガラス、またはこれを主成分とす
るものを例示することができる。

【００１６】また、好ましくは、口臭検査容器内の変化
を肉眼であるいは光学機器等を用いて把握することを可
能とするために、上記有底管２は、透明な材料、すなわ
ち透明性を有する合成樹脂あるいは透明性を有するガラ
スからなることが望ましい。

【００１７】さらに、保存中の口臭測定試薬の劣化を抑
制するには、上記有底管２は、水蒸気バリア性を有する
材料からなることが望ましい。このような水蒸気バリア
性を有する材料としては、水蒸気バリア性に優れた合成
樹脂、あるいはガラスが挙げられる。具体的には、例え
ば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレンなどのポリオ
レフィンが好適に用いられる。

【００１８】なお、本明細書において、上記水蒸気バリ
ア性とは、２５℃、９０％ＲＨにおける１年間の水蒸気
透過度が１０％以下のものをいうものとする。より好ま
しくは、上記有底管２は、水蒸気バリア性だけでなく、
ガスバリア性を有するものであることが望ましい。この
ようなガスバリア性及び水蒸気バリア性を有する有底管
２を構成する材料としては、ガラス、ガスバリア性及び
水蒸気バリア性に優れた合成樹脂が挙げられる。また、
ガスバリア性及び水蒸気バリア性を満たすために、ガス
バリア性に優れた材料と水蒸気バリア性に優れた材料と
を積層した構造を有するものであってもよい。例えば、
水蒸気バリア性に優れた合成樹脂表面にシリカなどを蒸
着したもの、水蒸気バリア性に優れた合成樹脂層の少な
くとも片面にガスバリア性に優れた合成樹脂層が形成さ
れるように成形されたものなどが挙げられ、好ましくは
水蒸気バリア性に優れた合成樹脂層の両面にガスバリア
性に優れた合成樹脂層を積層するようにサンドイッチ成
形法により行われたものが用いられる。

【００１９】なお、上記ガスバリア性とは、２３℃、９
０％ＲＨにおける１年間の空気透過度が１０％以下のも
のをいうものとする。上記栓体３は、有底管２の上方の
開口を密栓し得る限り、適宜の材料で構成することがで
き、例えば、合成ゴムまたは天然ゴムあるいは柔軟性を
有する合成樹脂により構成することができる。好ましく
は、上記栓体３についても、上記水蒸気バリア性に優れ
ていることが望ましく、より好ましくはガスバリア性及
び水蒸気バリア性に優れていることが望ましい。水蒸気
バリア性に優れた材料、並びにガスバリア性及び水蒸気
バリア性に優れた材料としては、シリカ蒸着ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリプロピレン−ポリエチレンテレ
フタレート−ポリプロピレン積層体を用いることができ
る。

【００２０】有底管２だけでなく栓体３をも、水蒸気バ
リア性に優れた材料、あるいはガスバリア性及び水蒸気
バリア性に優れた材料で構成した場合、口臭検査容器１
全体を水蒸気バリア性、あるいはガスバリア性及び水蒸
気バリア性とすることができる。

【００２１】なお、上記栓体３は、使用前には、有底管
２を密栓するように有底管２に取り付けられており、使
用に際しては、取り外され、唾液が有底管２内に収納さ
れる。従って、栓体３は、有底管２に対して着脱自在に
取り付けられる。

【００２２】上記口臭測定試験片４としては、本実施形
態では、口臭測定用試験紙が用いられる。この口臭測定
用試験紙は、口臭の成分であるメルカプタンと反応して
変色するビス（４−ジメチルアミノフェニル）メタノー
ル、ビス（４−ジエチルアミノフェニル）メタノール、
４−４′−ビスジメチルアミノジフェニルカルビトー
ル、５，５′−ジチオビス（２−ニトロ安息香酸）、過
マンガン酸塩、及びテトラゾリウム塩のうち１種の口臭
測定試薬が担持体に担持されたものである。この担持体
としては、紙、セルロース等のこれらの試薬を担持させ
る適宜の材料が用いられる。

【００２３】さらに上記試薬に検出感度を向上させる添
加物、例えば界面活性剤やスルホン酸塩などを適宜添加
してもよい。また、上記試薬の変色をより顕著に表すた
めに、上記試薬だけでなく、色素をも担持体に担持させ
てもよい。このような色素としては、メチルレッド、不
透明水彩絵具などを挙げることができる。また、口臭測
定試験片４は、担持体に液状の試薬を担持させることに
より構成されていたが、本発明における口臭測定試薬
は、担持体に担持されておらずともよく、液状、粉末状
あるいは固体の試薬であってもよい。

【００２４】さらに、口臭成分であるメルカプタンを測
定する口臭測定試薬に限らず、他の口臭成分、例えばア
ンモニア、アミン類を測定する試薬を用いてもよい。本
実施形態の口臭検査容器では、栓体３を取り外し、唾液
を有底管２内に採取する。この場合、有底管２の側面に
唾液の量を示すマーカー２ａが設けられているので、こ
のマーカー２ａの位置まで唾液を採取することにより、
一定量の唾液を確実に採取することができる。採取され
た唾液は口臭測定試験片４と接触し、それによって口臭
成分中のメルカプタンが口臭測定試験片４に担持されて
いる上記試薬を変色させる。従って、一定時間、唾液を
口臭測定試験片４に接触させ、上記口臭測定試薬の変色
度合いを、肉眼あるいは光学的測定装置で検出すること
により、口臭の程度を測定することができる。上記ビス
（４−ジメチルアミノフェニル）メタノールあるいはビ
ス（４−ジエチルアミノフェニル）メタノールを試薬と
して用いた場合、両者は青色であるが、上記メルカプタ
ンの存在により青色が褪色する。

【００２５】次に、具体的な実施例を挙げることによ
り、本発明を明らかにする。 （実施例） 口臭試験紙の調製 ビス（４−ジメチルアミノフェニル）メタノール〔別名
４，４−ビス（ジメチルアミノ）ベンズヒドロール、同
仁化学社製）６．４ｍｇを１０ｍｌのアセトン溶液に溶
かし、得られた溶液２ｍｌを０．１Ｍクエン酸緩衝液
（ｐＨ５．０１）に滴下し、合計１０ｍｌの青色の口臭
測定試薬を得た。この口臭測定試薬を濾紙（東洋濾紙社
製、Ｎｏ．１３１）に含浸させた後、凍結乾燥した。凍
結乾燥後、色素としてメチルレッド（和光純薬社製）５
０ｍｇをエタノール１００ｍｌに溶解し、その上澄み液
を、上記凍結乾燥された濾紙に含浸させ、次に風乾し、
紫色の口臭測定試薬片を得た。

【００２６】測定 上記口臭測定試験片に２０μｌの既知濃度のメルカプタ
ンを滴下し、６０秒後の色調を調べた。結果を下記の表
１に示す。

【００２７】

【表１】

【００２８】表１の色調の変化に基づき、メルカプタン
が含まれていない場合の紫色の色調を「０」と判定し、
メルカプタン濃度が５ｐｐｍ、１０ｐｐｍ及び２０ｐｐ
ｍである場合の色調を、判定基準「１」、「２」、及び
「３」とした。

【００２９】次に、上記試験片を、１０ｍｌの容量の有
底管（ポリエチレンテレフタレート管、積水化学工業社
製）に入れ、ブチルゴムからの栓体を取り付け、口臭検
査容器を作製した。なお、上記有底管の側面には、唾液
量を示すスケールがマーカーとして記されている。

【００３０】上記口臭検査容器の栓体を取り外し、唾液
を上記マーカーを基準に２ｍｌ採取し、栓体を再度取り
付け、１分間唾液を上記口臭測定試験片に接触させた。
しかる後、試験片の色調を肉眼により観察し、表１に示
した判定基準に基づき口臭の程度を評価した。

【００３１】合わせて、上記唾液について口臭を官能評
価した。種々の唾液について、本実施例の口臭検査容器
による評価と、上記官能評価とを行った。口臭検査容器
における結果と、官能評価における結果との関係を図２
に示す。なお、上記口臭官能評価の評価基準は以下の通
りである。

【００３２】口臭官能評価 ０：無〜低臭：低度の許容できる臭い。 １：低〜中程度臭：中程度の口臭。大部分は許容性、一
部不快臭有り。 ２：中〜強い悪臭、中及び強い口臭：大部分は不快臭。 ３：強い悪臭：不快な（強い）口臭。

【００３３】図２から明らかなように、本実施例の口臭
検査容器を用いた場合の評価結果と、上記口臭官能評価
の結果とは良好な相関関係を示すことがわかる。すなわ
ち、本実施例の口臭検査容器を用いることにより、口臭
を客観的に評価し得ることがわかる。

【００３４】

【発明の効果】本発明に係る口臭検査容器では、口臭測
定試薬は、有底管と栓体とからなる検査容器内に収納さ
れている。従って、長期間保存した場合であっても、有
底管の開口が栓体により密栓されているので、口臭測定
試薬の劣化が生じ難い。

【００３５】また、有底管には唾液量の指標となるマー
カーが設けられているので、一定量の唾液を確実に口臭
検査容器内に容易に採取することができる。従って、一
定量の唾液を口臭測定試薬と確実に接触させることがで
き、口臭の程度を高精度に測定することができる。

【００３６】また、上記のように唾液の採取から口臭の
程度の測定までを、本発明に係る口臭検査容器を用いて
完了し得るので、大がかりなガスクロマトグラフィー装
置などを必要としない。よって、歯科医等において口臭
の検査を簡便にかつ容易に行うことができる。

【００３７】上記口臭測定試薬が口臭測定試験片の場合
には、液状や粉末状の口臭測定試薬とは異なり、保存や
運搬に際し口臭測定試薬の漏洩等が生じ難い。上記口臭
検査容器が水蒸気バリア性を有する場合には、長期間保
存した場合であっても口臭測定試薬の劣化をより確実に
抑制することができ、さらにガスバリア性及び水蒸気バ
リア性を有する場合には、より一層口臭測定試薬の劣化
を抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る口臭検査容器を示す
断面図。

【図２】本実施例の口臭検査容器における評価と官能評
価における評価との相関関係を示す図。

【符号の説明】

１…口臭検査容器 ２…有底管 ２ａ…マーカー ３…栓体 ４…口臭測定試薬片

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 唾液中の特定成分を測定して口臭を検査
   するための口臭検査容器であって、 一端が開口しており、他端が閉塞しており、唾液採取量
   を示すマーカーが設けられている有底管と、 前記有底管内に収納されている口臭測定試薬と、 前記有底管の開口を密栓し得るように取り付けられる栓
   体とを備えることを特徴とする口臭検査容器。
2. 【請求項２】 前記口臭測定試薬が、口臭測定試験片で
   ある、請求項１に記載の口臭検査容器。
3. 【請求項３】 水蒸気バリア性を有する請求項１または
   ２に記載の口臭検査容器。
4. 【請求項４】 ガスバリア性及び水蒸気バリア性を有す
   る請求項１または２に記載の口臭検査容器。