JP2001208068A - 潤滑油シールを有する動圧オイル軸受 - Google Patents

潤滑油シールを有する動圧オイル軸受

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JP2001208068A
JP2001208068A JP2000013655A JP2000013655A JP2001208068A JP 2001208068 A JP2001208068 A JP 2001208068A JP 2000013655 A JP2000013655 A JP 2000013655A JP 2000013655 A JP2000013655 A JP 2000013655A JP 2001208068 A JP2001208068 A JP 2001208068A
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shaft
lube oil
gap
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Masayoshi Asami
政義 浅見
Hideyuki Nishida
秀之 西田
Ichiro Maekawa
一郎 前川
Mikio Nakasugi
幹夫 中杉
Nobuo Nakajima
中島  伸夫
Michihiro Kugioka
通弘 釘岡
Hiromasa Masuda
博雅 増田
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 注入された潤滑油量のばらつきを吸収できる
スヘ゜ースを持つとともに、高速回転時の潤滑油の軸受外部へ
の飛散を防止し、常に軸受部に必要な潤滑油量を確保で
きる潤滑油の漏れにくいシール機構を有する動圧オイル軸受を
提供する。 【構成】 ラジアル軸受には軸受スリーフ゛内径または軸受シャ
フト外径の少なくとも一方にヘリンク゛ホ゛ーン状動圧発生溝が形成
され、軸受スリーフ゛と軸受シャフトは潤滑油を充填させた微小隙
間をもって相対するとともに、軸受スリーフ゛と軸受シャフトの相
対運動によるホ゜ンフ゜作用により軸荷重を支承する動圧オイル軸
受において、軸受スリーフ゛の軸受部の解放側には潤滑油を保
持するリンク゛状の潤滑油保持空間を軸受シャフトと共に形成す
るための凹部が軸受スリーフ゛側に形成されているとともにリン
ク゛状の潤滑油保持空間の軸方向外側には軸受シャフトとの隙
間が出来るように、軸受内部体積の10%の潤滑油量にお
ける表面張力により保持できる最小ギャップよりも大き
く、かつ隙間の空間が軸受内部体積の10%以下となるよ
うに潤滑油保持空間よりも開放側にシール部を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、動圧オイル軸受、特に
潤滑油シールを有しヘリングボーン状動圧発生溝を持つ
動圧オイル軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、回転部材を固定部に対して回転自
在に支持する軸受けには、作動流体として潤滑油を用い
た滑り軸受や動圧軸受が数多く提案されてきた。これら
の軸受は静圧軸受や磁気制御型磁気軸受と異なり、外部
圧力源や制御機器が不要で安価なことから多くの民生用
機器に適用されてきた。
【0003】一方で静圧軸受や磁気制御型磁気軸受の寿
命が半永久的であるのに対し、作動流体として潤滑油を
用いた滑り軸受や動圧軸受は、潤滑油の蒸発、飛散及び
酸化等の劣化によりその寿命が決められ、このうち潤滑
油の枯渇を防止することで軸受寿命を延ばす提案がなさ
れてきた。
【0004】例えば特開平1−279109号公報では
ラジアル軸受端部に潤滑油を保持するリング状の潤滑油
だまり段部を設け、ラジアル方向外部からの側圧または
ラジアル内面の内径形状精度による潤滑油のはみ出しを
上記の潤滑油だまり段部の表面張力により保持させ、回
転停止時にはラジアル軸受部に毛管現象により再び潤滑
油を充填することで潤滑油漏れを防止している。
【0005】また、実開平6−28335号公報には図
2に示すようにラジアル軸受端部において、軸101に
円周溝101aを形成し、この円周溝より軸受外部側の
軸径部111に対向する位置にシール板103を取り付
けるとともに、軸受スリーブ102の前記シール板10
3よりも軸受内部側に前記円周溝に対向する位置に環状
凹部102b、102cを形成することにより、油留め
空間104を作り潤滑油の漏れだしを防止している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、前者の表面張力による潤滑油保持機構は軸の
回転に伴い潤滑油に遠心力が働き、潤滑油の飛散が発生
するということは考慮されておらず、また図2に示す後
者の油留め空間104およびその軸方向外側にシール部
を設ける場合にも、シール部材103が別部材であるた
め、軸受スリーブ102にしまりばめにより固定した場
合には部品の僅かな隙間102aから毛細管現象により
潤滑油が外部に漏洩する。
【0007】さらに軸受スリーブ102とシール板10
3の隙間を埋めるべく接着により固定する手段を用いる
とコストアップになるばかりでなく、長期の使用に対し
ては接着剤が潤滑油に溶けだし、例えば負荷トルクの上
昇といった軸受性能の劣化を引き起こす。さらに軸側に
形成したリング上の潤滑油保持空間はコストアップとな
り、軸の高速回転時に軸からの潤滑油が飛散した場合、
この従来例のようにシール部が通常数μmの軸受隙間と
同等であるとシール部全周を覆ってしまい、潤滑油にて
軸受部分の蓋をした状態になる。
【0008】そして回転時の発熱または高温環境下での
潤滑油そのものや軸受内に混入した空気の熱膨張により
軸受外部まで潤滑油があふれ出してしまう。このため、
特に高温環境下での長期の運転において軸受寿命を長期
化することが従来の技術では達成されていなかった。
【0009】本発明はこれらの問題に鑑み、注入された
潤滑油量のばらつきを吸収できるスペースを持つととも
に、高速回転時の潤滑油の軸受外部への飛散を防止し、
常に軸受部に必要な潤滑油量を確保できる潤滑油の漏れ
にくいシール機構を有する軸受を提案することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ラジアル軸受
には軸受スリーブ内径または軸受シャフト外径の少なく
とも一方にヘリングボーン状動圧発生溝が形成され、前
記軸受スリーブと前記軸受シャフトは潤滑油を充填させ
た微小隙間をもって相対するとともに、前記軸受スリー
ブと前記軸受シャフトの相対運動によるポンプ作用によ
り軸荷重を支承する動圧オイル軸受において、前記軸受
スリーブの軸受部の解放側には潤滑油を保持するリング
状の潤滑油保持空間を前記軸受シャフトと共に形成する
ための凹部が軸受スリーブ側に形成されているとともに
前記リング状の潤滑油保持空間の軸方向外側には軸受シ
ャフトとの隙間が出来るように、軸受内部体積の10%
の潤滑油量における表面張力により保持できる最小ギャ
ップよりも大きく、かつ前記隙間の空間が前記軸受内部
体積の10%以下となるように前記潤滑油保持空間より
も開放側にシール部を備えたことを特徴とする動圧オイ
ル軸受。
【0011】このように構成することにより、軸受潤滑
油がシール部に付着したとしても、付着した潤滑油が全
周を覆い蓋をすることがなく、このため回転時の発熱ま
たは高温環境下での潤滑油そのものや軸受内に混入した
空気の膨張により軸受外部まで潤滑油があふれ出してし
まうことを防止できる。
【0012】前記軸受スリーブ側に形成されたシール部
と軸受シャフトとの隙間は0.1mm以上0.6mm以
下であるとよい。
【0013】このように構成することにより、軸受の余
剰潤滑油がすべてシール部に取り付いたとしてもシール
部から潤滑油がとび出しにくく、かつシール空間全周を
完全にふさぐことがなくなるような形状設定ができる。
【0014】前記軸受スリーブ側に形成されたシール部
の軸方向厚さは0.2mm以上0.5mm以下であると
よい。
【0015】このように構成すると、潤滑油がシール部
に回り込んだときにとび出しにくく、切れやすくなるの
で望ましい。
【0016】
【実施例】図1は本発明における実施例を示す図であ
る。本実施例の説明に先立ち、図3に示す軸受部が両側
で外気に開口する軸受の断面模式図を用いて本発明者が
本発明に至るまでに検討したヘリングボーン動圧発生溝
を有する動圧オイル軸受内の潤滑油の様子について説明
する。
【0017】201は回転部材である軸受シャフトであ
り、202は固定部材である軸受スリーブであり、軸受
スリーブ202は軸受シャフト201に回転自在に嵌合
するシール部202g、リング状の潤滑油保持空間20
3、一対のラジアル軸受202d・202f、リセス
(凹部)202eよりなる略円筒状の軸受部を持ってい
る。このうち軸受シャフト201との隙間が最も狭いの
はラジアル軸受部202d・202fであり、それ以外
の隙間はラジアル軸受部202d・202fに比べて大
きく取ってある。
【0018】軸受機能として必要な潤滑油の量は一対の
ラジアル軸受部202d・202fおよびリセス202
eとそれぞれ軸201との隙間に形成される空間を満た
すためのものであるが、長期間使用における潤滑油の蒸
発を見込んでややそれより多めに注入してある。
【0019】このため軸受製作直後の軸受内初期潤滑油
204は軸受スリーブ202の外気側に形成された段部
壁面202a・202b・202cより形成されるリン
グ状の潤滑油保持空間203に僅かに溢れている。この
リング状の潤滑油保持空間203に溢れた余剰潤滑油量
は少なすぎると軸受寿命が短くなり、また多すぎると潤
滑油保持空間203を大きくしなければならなくなり軸
受の大型化をまねく。
【0020】潤滑油成分としてはジエステル系やポリオ
ールエステル系の蒸発量の少ないものを選び、余剰潤滑
油量はたとえば一対のラジアル軸受部202d・202
fおよびリセス202eとそれぞれ軸201との隙間に
形成される空間体積の10%程度とする。
【0021】なお、図3に示す軸受では両側で外気に開
口する軸受の断面模式図であるが、片側が袋小路状に閉
塞されているものであれば、外気解放側に設置されたリ
ング状の潤滑油保持空間以下に収容される潤滑油の量が
軸受機能として必要な潤滑油の量となる。
【0022】一方、軸受シャフト201が回転すると、
表面に形成されたヘリングボーン状動圧発生溝201a
・201bのポンピング作用により潤滑油はヘリングボ
ーン中心部に向かって圧縮され、一対のラジアル軸受2
02d・202fと軸受シャフト201の対向する微小
隙間空間では高圧状態が形成される。この圧力により軸
受シャフト201は軸受スリーブ202に対して非接触
にて支持される。なおここでは軸受シャフト201の外
径のヘリングボーン状動圧発生溝が形成されているもの
として説明しているが、代わりに、軸受スリーブ202
内径部のラジアル軸受202d・202fにヘリングボ
ーン状動圧発生溝を形成しても良い。
【0023】潤滑油保持空間203にて外気と接触状態
にある潤滑油204の液面は上記ポンピング作用の起動
・停止時やリセス202eへの空気の混入、さらに温度
上昇による潤滑油または混入空気の熱膨張があれば変動
する。
【0024】また軸受シャフト材料としてステンレス鋼
を用い、又軸受スリーブ材料として伸びの大きい銅系材
料やステンレス鋼を用いてその前述の軸受内径にはヘリ
ングボーン状動圧発生溝を設ける。その場合一般に金属
材料の表面エネルギーは潤滑油に比べて大きいので、潤
滑油液面の変動により潤滑油保持空間203が潤滑油で
濡れていくとどんどん濡れ広がるようになる。
【0025】実験によれば、測定ステンレス基板をイソ
プロピルアルコール(IPA)を少なくとも有する洗浄
液を用いたIPA超音波洗浄3min→純水超音波洗浄
3min→オーブン80℃乾燥10min→UV洗浄3
minという工程にて洗浄後測定した表面エネルギーは
75.2mN/mであり、また測定ステンレルス基板を
IPA超音波洗浄3min→純水超音波洗浄3min→
オーブン80℃乾燥10min→一晩放置という行程に
て洗浄後測定した表面エネルギーは44.3mN/mで
あった。
【0026】すなわち通常使用する金属材料では有機物
や酸化被膜に覆われた状態であっても一般的な潤滑油の
表面エネルギー約30mN/mよりも大きな値を持つ。
このため金属材料に接触した潤滑油は濡れ広がりやすい
が、最も隙間の小さいラジアル軸受202d・202f
と軸受シャフト201の対向する微小隙間空間の毛細管
現象により潤滑油を蓄えようとする力と濡れ広がる力と
がバランスして液面位置が決定されるのである。
【0027】前述のように軸受シャフト201との隙間
が最も狭いのはラジアル軸受部202d・202fであ
り、それ以外の隙間はラジアル軸受部202d・202
fに比べて大きく取る。このような場合、軸の高速回転
時に軸からの潤滑油が飛散すると毛細管現象によりシー
ル部全周を覆ってしまい、潤滑油にて軸受部分の蓋をし
た状態になることを発明者は着目した。そして回転時の
発熱または高温環境下での潤滑油そのものや軸受内に混
入した空気の熱膨張により軸受外部まで潤滑油があふれ
出してしまう。
【0028】そこで本発明では潤滑油を保持するリング
状の潤滑油保持空間が軸受スリーブ側に形成されてお
り、その軸方向外側にあるシール部形状を適切な寸法範
囲に抑えることで上記のような軸受外部までの潤滑油あ
ふれ出しを防止することを提案している。図1において
軸受スリーブについては左半分の上部を図示したもので
ある。2は固定部材である軸受スリーブである。図6は
図1の軸受スリーブ2の内径部を模式的に表した断面図
であり、軸受スリーブ2は内径部にヘリングボーン状動
圧発生溝を有している。また図1に示すように軸受スリ
ーブは形成したラジアル軸受2d、リセス2eよりなる
略円筒状の軸受部を持っている。さらに軸方向の軸受外
気解放端部には軸受スリーブ2に一体的に形成された段
部壁面2a・2b・2cのおのおのにより形成されるリ
ング状空間を備えている。
【0029】1は回転部材である軸受シャフトであり、
ラジアル軸受2dとは隙間Cr、シール部2gとはシー
ル部隙間t、軸方向幅hにて対向している。この軸受ス
リーブ側リング状空間と軸受シャフト1により潤滑油保
持空間3を、またシール部2gと軸受シャフト1により
シール空間4を形成している。前述のように軸受シャフ
トと、ラジアル軸受2dとの隙間Cr、シール部2gと
の隙間tは通常のシール部では3〜20μmの範囲の同
程度の大きさがあるが、本発明では以下のように決定し
ている。また本発明でいうところの軸受内部体積とは、
ラジアル軸受部とリセスのそれぞれが軸受シャフトとの
間で形成するリング状空間を少なくとも有する。
【0030】すなわち、図4に示す基礎実験により決定
される。同図においては、付き当て板301がステンレ
ス鋼で、移動部材302は黄銅で製作した。想定する軸
受シャフトの直径をDとすると、移動部材302の幅は
π×Dであり、今回はD=3mmとして実験装置を製作
した。移動部材302の先端302aは厚さhになるよ
うになっており厚さhのシール部を模擬している。実験
はまず移動部材302の先端302aを付き当て板30
1に当てておき、潤滑油を滴下する。なお実験潤滑油と
しては、軸受潤滑油として一般的なポリアルファオレフ
ィン系の物を用いたが、ジエステル系やポリオールエス
テル系の潤滑油でも表面エネルギーはほとんど変わらな
いので同様の結果であると推察される。
【0031】その後図示しないマイクロメータにより移
動部材302を徐々に離していき、表面張力の限界によ
り液膜が破断した隙間(以前付着隙間と称す)の関係を
厚さhが0.3mmと0.5mmの場合について表した
ものが図5である。なお本実験装置では移動部材302
の側面と端部からの液膜の切れを防止するために設けた
サポート303・304との隙間には常に約0.8μl
の潤滑油が入り込んでしまうので実際に移動部材302
の先端302aと付き当て板301の間に存在する潤滑
油量はその分引いてやる必要がある。例えば潤滑油滴下
量3μl(シール部としては3−0.8=2.2μl)
では厚さhが0.3mmであると、0.37mmまで、
厚さhが0.5mmであると0.46mmまで潤滑油が
そこに付着していられることができるということを表し
ている。
【0032】リセスの内径寸法や二つのラジアル軸受を
用いたときのその軸受スパンにより軸受部分として必要
な潤滑油の量は変わるが、直径数mm程度の軸受では5
〜20μl程度に収まるのが普通である。従って前述の
余剰潤滑油としては0.5〜2μlとなる。この潤滑油
量に対応する付着隙間は図5から読みとるとおよそ0.
1〜0.4mmとなる。このようにシール部隙間tの最
小値が決定される。
【0033】一般のラビリンスシールや磁性流体シール
ではシール部に流体(本発明に対応するのは潤滑油)を
常に蓄えておく。ところが回転時の発熱または高温環境
下での潤滑油そのものや軸受内に混入した空気の熱膨張
により軸受外部まで潤滑油があふれ出すことを防止する
には一般のシール機構とは異なり、シール部全周に潤滑
油を付着させないことが重要である。
【0034】このためにはシール部隙間tを大きく取っ
てやればよいが、潤滑油保持空間3にて軸受シャフト1
は潤滑油と接触しており、回転により潤滑油が飛散した
場合、シール部隙間tが大きいと直接外部に潤滑油が出
てしまう危険性がある。そこで、大半の潤滑油が最小隙
間である軸受スリーブ2のラジアル軸受部2d部分で毛
細管現象により保持されていることから、潤滑油保持空
間3に存在する余剰潤滑油をすべて付着させたときでも
シール空間4全周を塞いでしまわないようにする。
【0035】例えば軸受部分として必要な潤滑油量が5
μlの場合、前述のように余剰潤滑油は0.5μlで、
軸受シャフト1がφ3mm、シール部2gの軸方向厚さ
hが0.3mmのとき許容されるシール部隙間tはπ
((3+2X)2 −32 )/4×0.5=0.5より約
0.1mmとなる。また、軸受部分として必要な潤滑油
量が20μlの場合、前述のように余剰潤滑油は2μl
で、軸受シャフト1がφ3mm、シール部2gの軸方向
厚さhが0.3mmのとき許容されるシール部隙間tは
π((3+2X)2 −32 )/4×0.3=2より約
0.6mmとなる。
【0036】このように余剰潤滑油量にもよるがシール
部隙間tを0.1〜0.6mmの中で選び、さらに軸方
向厚さhを適切に選んでやることにより、余剰潤滑油が
すべてシール空間4に取り付いたとしてもシール空間4
全周を完全に塞ぐことのない構成をとることができる。
ただ余剰潤滑油がシール空間4にすべて取り付くことは
ないので、この許容値を下回ったからといってすぐに漏
れ出すと言うことはない。
【0037】したがって、この値はシール部隙間tの実
用以上これ以上大きくする必要がないという意味の上限
考えてよい。
【0038】これまで説明してきたように軸受スリーブ
側に形成されたシール部と軸受シャフトとの隙間tは
0.1mm以上0.6mm以下であると大抵の場合、シ
ール部の軸方向厚さhを調節してやることにより前述の
条件を満たすことができる。まあ軸受スリーブ側に形成
されたシール部の軸方向厚さhは薄くすればするほど、
潤滑油がシール部に回り込んだときに切れやすくなるの
で望ましい。このように構成することにより、例えば従
来のラビリンスシールなどのように隙間が軸受隙間程度
でミクロン精度の部品を要求されていた物が、より精度
の低い加工で十分なシール機能を発揮できるので、常に
軸受部に必要や潤滑油を確保できる潤滑油の漏れにくい
シール機構を有する信頼性の高い、安価な軸受を得るこ
とができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
注入された潤滑油量のばらつきを吸収できるスペースを
持つとともに、高速回転時の潤滑油の軸受外部への飛散
を防止し、常に軸受部に必要な潤滑油用を確保できる潤
滑油の漏れにくいシール機構を有する信頼性の高い軸受
を安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における実施例を示す図であ
る。
【図2】図2は、従来のシール機構を示す図である。
【図3】図3は、本発明者が本発明に至るまで検討した
動圧軸受の作動と潤滑油の動きを説明する模式図であ
る。
【図4】図4は、潤滑油量と付着隙間の関係を調べる実
験模試図である。
【図5】図5は、潤滑油量と付着隙間の実験結果であ
る。
【図6】図6は、図1の軸受スリーブの内径部を模式的
に表した断面図である。
【符号の説明】
1 軸受シャフト 1a、1b、1c 段部壁面 2 軸受スリーブ 2a、2b、2c 段部壁面 2d ラジアル軸受部 2e リセス 2g シール部 3 潤滑油保持空間 4 シール空間 101 軸 101a 円周溝 102 軸受スリーブ 102a 隙間 102b、102c 環状凹部 103 シール部 104 油留め空間 111 軸径部 201 軸受シャフト 102a、20b ヘリングボーン状動圧発生溝 202 軸受けスリーブ 202a、202b、202c 段部壁面 202d、202f ラジアル軸受け部 202e リセス 202g シール部 203 潤滑油保持空間 204 潤滑油 301 付き当て板 302 移動部材 302a 先端 303 サポート 304 サポート
フロントページの続き (72)発明者 西田 秀之 東京都大田区下丸子3−30−2 キヤノン 株式会社内 (72)発明者 前川 一郎 東京都大田区下丸子3−30−2 キヤノン 株式会社内 (72)発明者 中杉 幹夫 東京都大田区下丸子3−30−2 キヤノン 株式会社内 (72)発明者 中島 伸夫 東京都大田区下丸子3−30−2 キヤノン 株式会社内 (72)発明者 釘岡 通弘 東京都大田区下丸子3−30−2 キヤノン 株式会社内 (72)発明者 増田 博雅 東京都目黒区中根2−4−19 キヤノン精 機株式会社内 Fターム(参考) 3J011 AA07 BA02 CA01 CA02 JA02 KA04 MA03 MA24

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラジアル軸受には軸受スリーブ内径また
    は軸受シャフト外径の少なくとも一方にヘリングボーン
    状動圧発生溝が形成され、前記軸受スリーブと前記軸受
    シャフトは潤滑油を充填させた微小隙間をもって相対す
    るとともに、前記軸受スリーブと前記軸受シャフトの相
    対運動によるポンプ作用により軸荷重を支承する動圧オ
    イル軸受において、前記軸受スリーブの軸受部の解放側
    には潤滑油を保持するリング状の潤滑油保持空間を前記
    軸受シャフトと共に形成するための凹部が軸受スリーブ
    側に形成されているとともに前記リング状の潤滑油保持
    空間の軸方向外側には軸受シャフトとの隙間が出来るよ
    うに、軸受内部体積の10%の潤滑油量における表面張
    力により保持できる最小ギャップよりも大きく、かつ前
    記隙間の空間が前記軸受内部体積の10%以下となるよ
    うに前記潤滑油保持空間よりも開放側にシール部を備え
    たことを特徴とする動圧オイル軸受。
  2. 【請求項2】 前記軸受スリーブ側に形成されたシール
    部と軸受シャフトとの隙間は0.1mm以上0.6mm
    以下であることを特徴とする請求項1記載の動圧オイル
    軸受。
  3. 【請求項3】 前記軸受スリーブ側に形成されたシール
    部の軸方向厚さは0.2mm以上0.5mm以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の動圧オイル軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7510330B2 (en) 2004-05-12 2009-03-31 Minebea Co., Ltd. Fluid dynamic bearing and a storage disk drive with a spindle motor having the fluid dynamic bearing

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