JP2001207308A - カップ付き女性用衣類 - Google Patents

カップ付き女性用衣類

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JP2001207308A JP2000014710A JP2000014710A JP2001207308A JP 2001207308 A JP2001207308 A JP 2001207308A JP 2000014710 A JP2000014710 A JP 2000014710A JP 2000014710 A JP2000014710 A JP 2000014710A JP 2001207308 A JP2001207308 A JP 2001207308A
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  • Textile Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通気性が良好でカップ部内側での蒸れを抑え
ることが可能なカップ付き女性用衣類を提供する。 【解決手段】 本発明のカップ付き女性用衣類10は、
左右一対のカップ部12を備えたカップ付き女性用衣類
10であって、着用状態で乳房の下縁基底線に沿うよう
にカップ部12内側の下縁湾曲部に設けられる下縁湾曲
溝24と、下縁湾曲溝24に空気を案内するための空気
案内手段30と、を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラジャー等のカ
ップ付き女性用衣類に関する。かかるカップ付き女性用
衣類には、ブラジャー、ブラスリップ、ボディースーツ
等のファンデーション衣類の他、水着やレオタード等も
含まれる。
【0002】
【従来の技術】ブラジャー等のブラカップに多用される
ポリウレタン素材や不織布は、素材自体に通気性のない
ものが多く、特に夏場やスポーツ時などの発汗時に蒸れ
たりして不快感を伴う。
【0003】かかる問題を解消すべく、通気性のよいポ
リウレタン素材や不織布の開発が進んでおり、これら通
気性のよい素材を採用することで従来に比べてブラジャ
ーの通気性の改善がなされている。
【0004】また、ブラカップに複数の通気孔を設け、
当該通気孔を介してカップ部の内側に空気を供給するこ
とで、ブラジャーの通気性の改善を図る技術も開発され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の技術では、素材そのものの通気性の向上には限界があ
るため、ブラジャーの通気性の飛躍的な向上は図れなか
った。
【0006】また、ブラカップに複数の通気孔を設けた
場合であっても、通気孔のある部分には空気が点状に触
れてその部分は蒸れないかもしれないが、カップ部内側
の広い範囲で通気性を良くすることはできなかった。
【0007】そこで本発明は、通気性が良好でカップ部
内側での蒸れを抑えることが可能なカップ付き女性用衣
類を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため鋭意研究した結果、運動時などにおいて生じ
るカップ部内側の蒸れは、主に乳房の下縁基底線(バー
ジスライン)に沿う部分で発生する熱に起因するもので
あり、かかる部分の通気性を良くすることで蒸れの大部
分が解消されることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0009】すなわち本発明のカップ付き女性用衣類
は、左右一対のカップ部を備えたカップ付き女性用衣類
であって、着用状態で乳房の下縁基底線に沿うようにカ
ップ部内側の下縁湾曲部に設けられる下縁湾曲溝と、下
縁湾曲溝に空気を案内するための空気案内手段と、を備
えることを特徴とする。
【0010】このカップ付き女性用衣類では、カップ部
内側の下縁湾曲部に下縁湾曲溝が設けられているため、
着用状態で乳房の下縁基底線に沿う部分とカップ部との
間に空間が生じる。しかも下縁湾曲溝に空気を案内する
空気案内手段を有しているため、当該空気案内手段を介
してカップ部内部に流入した空気が下縁湾曲溝内を流動
する。したがって、乳房の下縁基底線に沿う部分で発生
した熱の大部分は、下縁湾曲溝に流れ込んでカップ部外
部へ流れ出る空気とともに取り除かれて、カップ部内部
での蒸れが抑えられる。
【0011】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
空気案内手段は、下縁湾曲溝内に設けられるカップ部内
面とカップ部外面とを連絡する通気孔を有する、ことを
特徴としてもよい。このカップ付き女性用衣類では、通
気孔を介して下縁湾曲溝に空気が出入りする。
【0012】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
カップ部内面には、下縁湾曲溝からカップ部の上縁部に
向かって延びる縦溝が設けられている、ことを特徴とし
てもよい。このカップ付き女性用衣類では、下縁湾曲溝
に流入した空気を縦溝を通してカップ部の上縁部から放
出することが可能となるため、空気の循環効率が高めら
れて通気性の一層の向上が図られる。
【0013】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
縦溝は、カップ部頂部を挟んで少なくとも2本設けられ
ている、ことを特徴としてもよい。このカップ付き女性
用衣類では、カップ部頂部を挟んで縦溝が設けられてい
るため、カップ部頂部に位置する乳頭によって空気の流
れが妨げられることがなくなり、縦溝を通して空気をカ
ップ部外部へ効率よく放出することができる。また、乳
頭が縦溝に当たるおそれがないため、着用時に乳頭がこ
すれて痛みを生ずるおそれもない。
【0014】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
通気孔は、少なくとも下縁湾曲溝と縦溝とが交わる部分
に設けられている、ことを特徴としてもよい。このよう
にすれば、通気孔からカップ部内部に流入した空気は、
下縁湾曲溝と縦溝とに分かれて効率よく流れていくた
め、カップ部内部の通気性のより一層の向上を図ること
ができる。
【0015】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
縦溝内には凹凸部が設けられている、ことを特徴として
もよい。このようにすれば、縦溝内を流れる空気の流出
速度を高めてカップ部内部の通気性のより一層の向上を
図ることができる。
【0016】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
縦溝は、カップ部内面に設けられる複数の隆起部の間に
設けられている、ことを特徴としてもよい。このように
すれば、複数の隆起部の間に縦溝が形成される。
【0017】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
カップ部はカップとワイヤー部とを備えており、下縁湾
曲溝は、カップ内面に設けられる隆起部と、当該カップ
内面の下縁湾曲部に沿って縫着されるワイヤー部と、の
間に設けられていることを特徴としてもよい。このカッ
プ付き女性用衣類では、下縁湾曲溝は、カップ内面に設
けられる隆起部と、当該カップ内面の下縁湾曲部に沿っ
て縫着されるワイヤー部との間に設けられる。
【0018】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
空気案内手段は、下縁湾曲溝の少なくとも一部を構成す
るメッシュ構造部材を有する、ことを特徴としてもよ
い。このカップ付き女性用衣類では、メッシュ構造部材
の網目を通して下縁湾曲溝に空気が出入りする。
【0019】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
カップ部内面には、下縁湾曲溝からカップ部の上縁部に
向かって延びる縦溝が設けられている、ことを特徴とし
てもよい。このカップ付き女性用衣類では、下縁湾曲溝
に流入した空気を縦溝を通してカップ部の上縁部から放
出することが可能となるため、空気の循環効率が高めら
れて通気性の一層の向上が図られる。
【0020】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
縦溝は、カップ部頂部を挟んで少なくとも2本設けられ
ている、ことを特徴としてもよい。このカップ付き女性
用衣類では、カップ部頂部を挟んで縦溝が設けられてい
るため、カップ部頂部に位置する乳頭によって空気の流
れが妨げられることがなくなり、縦溝を通して空気をカ
ップ部外部へ効率よく放出することができる。また、乳
頭が縦溝に当たるおそれがないため、着用時に乳頭がこ
すれて痛みを生ずるおそれもない。
【0021】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
縦溝内には凹凸部が設けられている、ことを特徴として
もよい。このようにすれば、縦溝内を流れる空気の流出
速度を高めてカップ部内部の通気性のより一層の向上を
図ることができる。
【0022】また本発明のカップ付き女性用衣類では、
縦溝は、カップ部内面に設けられる複数の隆起部の間に
設けられている、ことを特徴としてもよい。このように
すれば、複数の隆起部の間に縦溝が形成される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明の実施形態について説明する。なお、同一の要素に
は同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】(第1実施形態)図1は、本発明の第1実
施形態にかかるカップ付き女性用衣類としてのブラジャ
ー10を示す斜視図である。
【0025】図示のとおり、ブラジャー10は一対のカ
ップ部12、肩ストラップ14、脇布16を備えてい
る。このブラジャー10は左右が対称であるため、一方
のみについて説明する。
【0026】カップ部12は、ブラカップ18とワイヤ
ー部20とを備えている。ブラカップ18は、ポリウレ
タン、不織布、樹脂発泡体やその他の樹脂などの厚みの
ある成型可能な材料からなるシート状のカップ用基材の
表裏面に、織布、編物などを重ね合わせたシート状物の
積層体を、例えば真空成型法あるいは熱プレス法を用い
てモールド成型したものである。
【0027】ワイヤー部20は、乳房の形状を整えるた
めに金属や合成樹脂、繊維強化合成樹脂などからなるワ
イヤーをバイアステープなどで被覆してなるものであ
る。
【0028】図2に、このカップ部12を内側から見た
平面図を示す。本実施形態にかかるブラジャー10で
は、カップ部12の内側の構造に特徴がある。すなわ
ち、図2に示すように、ブラカップ18内面の下縁湾曲
部には、ワイヤー部20が弧を描くように縫着されてい
る。また、ブラカップ18の内面には3つの隆起部22
が設けられている。これら隆起部22は、ブラカップ1
8をモールド成型する際に金型によって一体的に成型さ
れたものである。そして、これら隆起部22とワイヤー
部20との間に、着用状態で乳房の下縁基底線(バージ
スライン)に沿うように下縁湾曲溝24が設けられてい
る。この下縁湾曲溝24の幅は、広いところで1〜2c
m、狭いところで0.5〜1cmあり、一方深さは3〜8
mmある。
【0029】また、3つの隆起部22の間には、下縁湾
曲溝24からブラカップ18の上縁部26に向かって延
びる2本の縦溝28が設けられている。これら2本の縦
溝28は、平行もしくは上広がりに設けるのが好まし
く、またブラカップ18の頂部を挟むように設けること
が好ましい。この縦溝28の幅は、広いところで1〜2
cm、狭いところで0.5〜1cmあり、一方深さは1.5
〜8mmである。
【0030】ここで縦溝28は、図3の断面図に示すよ
うに最も深い箇所がブラカップ18の頂部位置まで、よ
り好ましくは頂部位置を越えて伸びるように設けること
が望ましい。このようにすれば、縦溝28内を流れる空
気の流出速度を高めてカップ部12内部の通気性の向上
を図ることができる。
【0031】そして、下縁湾曲溝24内には、図1〜図
3に示すようにブラカップ18の内面と外面とを連絡す
る4個の通気孔30が設けられている。ここでこれらの
通気孔30は、図示の通り少なくとも下縁湾曲溝24と
縦溝28とが交わる部分に設けられていることが好まし
い。このようにすれば、通気孔30からカップ部12内
部に流入した空気は、下縁湾曲溝24と縦溝28とに分
かれて効率よく流れていくため、カップ部12内部の通
気性の向上を図ることができる。また、縦溝28内であ
ってブラカップ18の上縁部26付近にも通気孔32が
設けられており、縦溝28内の通気性の向上が図られて
いる。ここで、これらの通気孔30,32の大きさは、
溝幅と比べて小さくすることが好ましい。このようにす
れば、カップ部12内部への空気の吸引力が大きくな
る。
【0032】なお、本実施形態にかかるブラジャー10
では、カップ部12の外面には薄手の装飾布が被覆され
ているため、通気孔30,32を通して肌が露見するこ
とがないようになっている。
【0033】図4は、図1におけるIV−IV線に沿った断
面図を示している。図示の通り、ブラカップ18の内面
には隆起部22とワイヤー部20との間に設けられた下
縁湾曲溝24、および隆起部22の間に設けられた2本
の縦溝28が存在しており、これらの溝24,28によ
って乳房の表面から離間した空間が形成されている。
【0034】次に、図5〜図7を参照して本実施形態に
かかるブラジャー10の通気作用について説明する。
【0035】図6は、安静時など乳房が下方位置にある
状態でのカップ部12と乳房との関係を示している。図
示の通り、乳房が下方位置にある状態では、隆起部22
とワイヤー部20との間に設けられた下縁湾曲溝24に
より、乳房の下縁基底線に沿う部分に空間が形成されて
いる。したがって、この状態では図5に示すように下縁
湾曲溝24内に設けられた通気孔30からカップ部12
内部に流入した空気は体幹で暖められ、暖かい空気は上
昇するという物理現象により、図中の矢印で示すように
下縁湾曲溝24内および縦溝28内を通って、ブラカッ
プ18の上縁部26よりカップ部12外部へ流出する。
【0036】一方、図7は運動時など乳房が揺れて上方
位置にある状態でのカップ部12と乳房との関係を示し
ている。図示の通り、乳房が上方位置にある状態では、
乳房下部とカップ部12との間に広い空間40が生じ
る。この空間40は減圧状態にあるため、通気孔30を
介してのカップ部12内部への空気の流入が促進され
る。そして、カップ部12内部において体幹で暖められ
た空気が、物理現象により、図5中の矢印で示すように
下縁湾曲溝24内および縦溝28内を通って、ブラカッ
プ18の上縁部26よりカップ部12外部へ流出する。
このように運動時においては、図7に示すように乳房が
上方に位置することにより、乳房下部とカップ部12と
の間に減圧状態の広い空間40が形成され、カップ部1
2内部への空気の流入が促進され、図6に示すように乳
房が下方位置へ戻るにしたがって当該減圧空間40内の
空気が下縁湾曲溝24および縦溝28を通ってカップ部
12外部へ押し出される。このように、運動時において
は乳房が上下動することに基づく、いわゆるふいご作用
によって、カップ部12内部と外部との間で空気の循環
が促進される。よって、カップ部12内での通気性が向
上し、蒸れの抑制が図られる。
【0037】次に、本実施形態のブラジャー10の作用
および効果について説明する。
【0038】本実施形態にかかるブラジャー10では、
ブラカップ18内面に設けられる隆起部22と、当該ブ
ラカップ18内面の下縁湾曲部に沿って縫着されるワイ
ヤー部20との間に下縁湾曲溝24が設けられているた
め、着用状態で乳房の下縁基底線に沿う部分とカップ部
12との間に空間が生じる。しかも下縁湾曲溝24には
通気孔30が設けられているため、当該通気孔30を介
して下縁湾曲溝24とカップ部12外部との間で空気の
循環が起こる。したがって、乳房の下縁基底線に沿う部
分で発生した熱の大部分は、下縁湾曲溝24に流れ込ん
でカップ部12外部へ流れ出る空気とともに取り除かれ
て、カップ部12内部での蒸れを抑制することができ
る。
【0039】また本実施形態にかかるブラジャー10で
は、下縁湾曲溝24に流入した空気は縦溝28を通して
ブラカップ18の上縁部26からも放出されるため、空
気の循環効率が高められて通気性の一層の向上を図るこ
とができる。
【0040】また本実施形態にかかるブラジャー10で
は、ブラカップ18の頂部を挟んで縦溝28が設けられ
ているため、ブラカップ18頂部に位置する乳頭によっ
て空気の流れが妨げられることがなくなり、縦溝28を
通して体幹で暖められた空気をカップ部12外部へ効率
よく放出することができる。また、乳頭が縦溝28に当
たるおそれがないため、着用時に乳頭がこすれて痛みを
生ずるおそれもない。
【0041】また本実施形態にかかるブラジャー10で
は、通気孔30は縦溝28と下縁湾曲溝24との交わる
部分に設けられているため、通気孔30からカップ部1
2内部に流入した空気を、下縁湾曲溝24と縦溝28と
に分けて効率よく流すことができ、カップ部12内部の
通気性のより一層の向上を図ることができる。
【0042】また本実施形態にかかるブラジャー10で
は、縦溝28内であってブラカップ18の上縁部26付
近にも通気孔32が設けられているため、通気性のより
一層の向上を図ることができる。
【0043】また本実施形態にかかるブラジャー10で
は、複数の隆起部22の間に縦溝28が形成されている
ため、カップ部12に丸みを出しやすく、かつカップ部
12の強度が上がり、造形性の向上を図ることができ
る。
【0044】なお、上記した実施形態では縦溝28が2
本のブラジャー10について説明したが、この縦溝28
の数は2本に限定されることなく3本以上であってもよ
く、3〜6本が好ましい。図8は、縦溝28を3本有す
る本実施形態のブラジャー10の変形例を示している。
これら3本の縦溝28は、ブラカップ18内面の4個の
隆起部22の間に形成されている。この場合でも、縦溝
28はブラカップ18頂部を挟むように設けると好まし
い。また、図示の通り少なくとも縦溝28と下縁湾曲溝
24との交わる部分に通気孔30を設けると好ましい。
このようにすれば、カップ部12内での通気性のより一
層の向上を図ることができる。
【0045】(第2実施形態)以下、図9および図10
を参照しながら、本発明の第2実施形態について説明す
る。なお、上述した第1実施形態において説明した要素
と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省
略する。
【0046】図9は、本発明の第2実施形態にかかるブ
ラジャー10の構成を示す斜視図であり、図10は本実
施形態にかかるブラジャー10のカップ部12を内側か
ら見た平面図である。
【0047】本実施形態のブラジャー10では、カップ
部12下縁の構造が上記した第1の実施形態と相違して
いる。すなわち、本実施形態のブラジャー10では、ワ
イヤー部20はメッシュ構造部材50を介してブラカッ
プ18の下縁と連結されている。このメッシュ構造部材
50は、メッシュ布やメッシュ状に形成された樹脂部材
などから構成されている。そして、下縁湾曲溝24はブ
ラカップ18内面に設けられる隆起部22と、当該ワイ
ヤー部20との間に設けられており、当該メッシュ構造
部材50が下縁湾曲溝24の一部を構成している。そし
て、このメッシュ構造部材50を通して下縁湾曲溝24
内に空気が出入りするようになっている。
【0048】なお、本実施形態ではカップ部12は土台
布52に縫着されており、この土台布52の側縁から脇
布16が延びている。
【0049】このように、本実施形態にかかるブラジャ
ー10では、ブラカップ18内面に設けられる隆起部2
2と、当該ブラカップ18の下縁にメッシュ構造部材5
0を介して縫着されるワイヤー部20との間に下縁湾曲
溝24が設けられているため、着用状態で乳房の下縁基
底線に沿う部分とカップ部12との間に空間が生じる。
しかも下縁湾曲溝24にはメッシュ構造部材50を介し
て空気が流入出するため、下縁湾曲溝24とカップ部1
2外部との間で空気の循環が起こる。したがって、乳房
の下縁基底線に沿う部分で発生した熱の大部分は、下縁
湾曲溝24に流れ込んでカップ部12外部へ流れ出る空
気とともに取り除かれて、カップ部12内部での蒸れを
防止することができる。
【0050】また本実施形態にかかるブラジャー10で
は、下縁湾曲溝24に流入した空気は縦溝28を通して
ブラカップ18の上縁部26からも放出されるため、空
気の循環効率が高められて通気性の一層の向上を図るこ
とができる。
【0051】また本実施形態にかかるブラジャー10で
は、ブラカップ18の頂部を挟んで縦溝28が設けられ
ているため、ブラカップ18の頂部に位置する乳頭によ
って空気の流れが妨げられることがなくなり、縦溝28
を通して体幹で暖められた空気をカップ部12外部へ効
率よく放出することができる。また、乳頭が縦溝28に
当たるおそれがないため、着用時に乳頭がこすれて痛み
を生ずるおそれもない。
【0052】なお、上記した実施形態では縦溝28が2
本のブラジャー10について説明したが、この縦溝28
の数は2本に限定されることなく3本以上であってもよ
く、3〜6本が好ましい。
【0053】図11は、縦溝28を3本有する本実施形
態のブラジャー10の変形例を示している。これら3本
の縦溝28は、ブラカップ18内面の4個の隆起部22
の間に形成されている。また、この変形例ではブラカッ
プ18はシームレスタイプのものではなく、上カップ1
8aと下カップ18bとからなる2枚接ぎのタイプのも
のである。そしてメッシュ構造部材50は、下カップ1
8bの下縁とワイヤー部20との間に縫着されており、
当該メッシュ構造部材50が下縁湾曲溝24の一部を構
成している。このメッシュ構造部材50の両側縁は、上
カップ18aの下縁に設けられた溝56と連絡されてお
り、このメッシュ構造部材50と上カップ18aの溝と
で下縁湾曲溝24が構成されている。この場合、図示の
通り3本の縦溝28はメッシュ構造部材50の部分を起
点にブラカップ18の上縁部26に向かって延びるよう
に設けると好ましい。このようにすれば、カップ部12
内での通気性の向上を図ることができる。
【0054】この変形例にかかるブラジャー10では、
メッシュ構造部材50からカップ部12内部に流入した
空気は、体幹で暖められた後に上カップ18aの溝56
および縦溝28を通って上カップ18aの上縁部26か
らカップ部12外部に放出される。
【0055】なお、特公昭35−11440号公報に
は、カップ部の下縁湾曲部にメッシュ構造の布を縫着し
てなるブラジャーが開示されている。しかし、このブラ
ジャーはメッシュ素材によりカップ部に融通性、揺動性
を持たせて運動性の向上を図ったものであり、カップ部
内部での通気性改善を目的として構成されたものではな
い。またこのメッシュ構造の布を通して乳房の表面に空
気が当たることがあっても、カップ部内部で空気が流動
する溝が存在しないため、通気性が良いものとは言えな
い。これに対し本実施形態にかかるブラジャー10で
は、ブラカップ18の下縁湾曲部に下縁湾曲溝24を有
しているため、メッシュ構造部材50を通してカップ部
12内部に流入した空気が下縁湾曲溝24内を流動して
ブラカップ18の上縁部26から流出する。しかも、ブ
ラカップ18の内面には縦溝28が設けられているた
め、この縦溝28を介しても空気がカップ部12外部へ
流出する。このように、下縁湾曲溝24および縦溝28
を通してカップ部12内部の熱をカップ部12外部へ効
率よく放出することができるため、カップ部12内部で
の蒸れを防止することができる。
【0056】以上、第1および第2の実施形態において
本発明のブラジャー10を説明したが、これらブラジャ
ー10の内部に蛍光性の粉末を散在させたものを実際に
着用し、乳房が揺れる程度に軽い運動を行って暗環境下
で空気の流れを観察した。その結果、蛍光性の粉末が縦
溝28および下縁湾曲溝24を通ってブラカップ18の
上縁部26より放出される様子が実験により観察されて
いる。このように、上記した実施形態にかかるブラジャ
ー10では、通気性が極めて優れているため、カップ部
12内側での蒸れを効果的に抑制することができる。
【0057】次に、本発明者の行ったブラジャーの通気
性試験について説明する。
【0058】(使用サンプル)第1実施形態において説
明した下縁湾曲溝と当該下縁湾曲溝内に設けられる通気
孔とを有するウレタンブラジャー(図1参照;図14〜
16において「溝穴」と称す)と、第2実施形態におい
て説明した下縁湾曲溝とメッシュ構造部材とを有するウ
レタンブラジャー(図8参照;図14〜16において
「溝メッシュ」と称す)を用いた。なお、比較のためカ
ップ部内面に溝を有しない従来のウレタンブラジャーを
も用いて通気性試験を行った。
【0059】(環境設定条件)通気性試験は、室温30
℃、室内湿度70%RHの条件下で行った。
【0060】(使用モニタ)モニタとして、20代で、
B70の女性を使用した。
【0061】(試験内容)図12に示すように、まずブ
ラジャーを着用して安静にした状態で、センサを装着し
て皮膚温の測定を開始した。
【0062】次に、5分間の運動を行い、運動終了後は
再び安静の状態を保った。その後、ブラジャーを外して
皮膚温の測定を終了した。
【0063】そして、深部温(鼓膜温)が測定開始時の
温度に戻った後、再び他のブラジャーを着用し、上記し
た皮膚温の測定を行った。
【0064】なお、皮膚温は、図13に示すように
(i)ブラジャー外部の胸部正中線上、(ii)カップ部
内部の上部位置、(iii)カップ部内部の下部位置の三
カ所で測定した。
【0065】図14〜図16は、それぞれ(i)〜(ii
i)の測定個所における皮膚温の温度変化の様子を表し
ている。
【0066】図示のとおり、本発明の実施形態にかかる
ブラジャーでは、いずれの測定個所においても従来のブ
ラジャーと比べて皮膚温の低下が見られる。これは、本
発明の実施形態にかかるブラジャーではカップ部内部で
の通気性が改善されたからと考えられる。
【0067】なお、本発明は上記した実施形態に限定さ
れることなく種々の変形が可能である。
【0068】例えば、図17の断面図に示すように、縦
溝28内であって下縁湾曲溝24の近傍に凹凸部60を
設けてもよい。このようにすれば、縦溝28内での空気
の流出速度を高めてカップ部12内部の通気性のより一
層の向上を図ることができる。この凹凸部60による通
気性の向上は実験によっても確かめられており、これは
空気の通路に山と谷が存在することで、図17中の矢示
の通り空気の回転が起きて流出速度が速くなったからで
あると推測される。なお、凹凸部60の山の数は限定さ
れないが、2個程度が好ましい。
【0069】また、上記した実施形態ではモールド成型
によりブラカップ18の縦溝28を形成したが、ポリウ
レタンや不織布などからなる厚みのあるカップ用基材に
テープ状布を縫着し、その箇所の厚みを押さえることに
よって縦溝28を形成してもよい。また、ダブルラッシ
ェルという素材自体に凹凸のある布を用い、この溝を縦
方向に使うことによって縦溝28を形成してもよい。こ
の場合、ダブルラッシェルの溝の幅や深さは、上記した
実施形態のものと同程度のものに形成しておく必要があ
る。なお、モールド成型により縦溝28を形成した場合
は、縦溝28の深さや幅を自由に設定することができ、
また繰り返しの着用や洗濯による変形の少ない耐久性に
優れたものを得ることができるので好ましい。
【0070】また、第2実施形態にかかるブラジャー1
0において、縦溝28内に通気孔を設けて通気性の更な
る向上を図ってもよい。
【0071】
【発明の効果】本発明のカップ付き女性用衣類では、カ
ップ部内側の下縁湾曲部に下縁湾曲溝が設けられている
ため、着用状態で乳房の下縁基底線に沿う部分とカップ
部との間に空間が生じる。しかも下縁湾曲溝に空気を案
内する空気案内手段を有しているため、当該空気案内手
段を介して下縁湾曲溝とカップ部外部との間で空気の循
環が起こる。その結果、乳房の下縁基底線に沿う部分で
発生した熱の大部分を、下縁湾曲溝に流れ込んでカップ
部外部へ流れ出る空気とともに取り除くことができるた
め、カップ部内部での蒸れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるブラジャーを示
す斜視図である。
【図2】カップ部を内側から見た平面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面を示す断面図であ
る。
【図4】図1のIV−IV線に沿う断面を示す断面図であ
る。
【図5】ブラジャー内部での空気の流れを示す斜視図で
ある。
【図6】乳房が下方位置にある状態でのカップ部と乳房
との関係を示す側断面図である。
【図7】乳房が上方位置にある状態でのカップ部と乳房
との関係を示す側断面図である。
【図8】第1実施形態にかかるブラジャーの変形例を示
す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態にかかるブラジャーを示
す斜視図である。
【図10】カップ部を内側から見た平面図である。
【図11】第2実施形態にかかるブラジャーの変形例を
示す斜視図である。
【図12】通気性試験における試験内容を示すタイムチ
ャートである。
【図13】通気性試験における皮膚温の測定箇所を示す
図である。
【図14】カップ部外部の胸部正中線上の皮膚温の温度
変化の様子を示すグラフである。
【図15】カップ部内部の上部位置での皮膚温の温度変
化の様子を示すグラフである。
【図16】カップ部内部の下部位置での皮膚温の温度変
化の様子を示すグラフである。
【図17】縦溝内に設けられた凹凸部と空気の流れを示
す断面図である。
【符号の説明】
10…ブラジャー、12…カップ部、18…ブラカッ
プ、20…ワイヤー部、22…隆起部、24…下縁湾曲
溝、28…縦溝、30…通気孔、50…メッシュ構造部
材、60…凹凸部。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右一対のカップ部を備えたカップ付き
    女性用衣類であって、 着用状態で乳房の下縁基底線に沿うように前記カップ部
    内側の下縁湾曲部に設けられる下縁湾曲溝と、 前記下縁湾曲溝に空気を案内するための空気案内手段
    と、を備えることを特徴とするカップ付き女性用衣類。
  2. 【請求項2】 前記空気案内手段は、前記下縁湾曲溝内
    に設けられる前記カップ部内面と前記カップ部外面とを
    連絡する通気孔を有する、ことを特徴とする請求項1に
    記載のカップ付き女性用衣類。
  3. 【請求項3】 前記カップ部内面には、前記下縁湾曲溝
    から前記カップ部の上縁部に向かって延びる縦溝が設け
    られている、ことを特徴とする請求項2に記載のカップ
    付き女性用衣類。
  4. 【請求項4】 前記縦溝は、前記カップ部頂部を挟んで
    少なくとも2本設けられている、ことを特徴とする請求
    項3に記載のカップ付き女性用衣類。
  5. 【請求項5】 前記通気孔は、少なくとも前記下縁湾曲
    溝と前記縦溝とが交わる部分に設けられている、ことを
    特徴とする請求項3または請求項4に記載のカップ付き
    女性用衣類。
  6. 【請求項6】 前記縦溝内には凹凸部が設けられてい
    る、ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記
    載のカップ付き女性用衣類。
  7. 【請求項7】 前記縦溝は、前記カップ部内面に設けら
    れる複数の隆起部の間に設けられている、ことを特徴と
    する請求項3〜6のいずれか1項に記載のカップ付き女
    性用衣類。
  8. 【請求項8】 前記カップ部はカップとワイヤー部とを
    備えており、前記下縁湾曲溝は、前記カップ内面に設け
    られる前記隆起部と、当該カップ内面の下縁湾曲部に沿
    って縫着される前記ワイヤー部と、の間に設けられてい
    ることを特徴とする請求項7に記載のカップ付き女性用
    衣類。
  9. 【請求項9】 前記空気案内手段は、前記下縁湾曲溝の
    少なくとも一部を構成するメッシュ構造部材を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のカップ付き女性用衣
    類。
  10. 【請求項10】 前記カップ部内面には、前記下縁湾曲
    溝から前記カップ部の上縁部に向かって延びる縦溝が設
    けられている、ことを特徴とする請求項9に記載のカッ
    プ付き女性用衣類。
  11. 【請求項11】 前記縦溝は、前記カップ部頂部を挟ん
    で少なくとも2本設けられている、ことを特徴とする請
    求項10に記載のカップ付き女性用衣類。
  12. 【請求項12】 前記縦溝内には凹凸部が設けられてい
    る、ことを特徴とする請求項10または請求項11に記
    載のカップ付き女性用衣類。
  13. 【請求項13】 前記縦溝は、前記カップ部内面に設け
    られる複数の隆起部の間に設けられている、ことを特徴
    とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のカップ
    付き女性用衣類。
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