JP2001207247A - 溶融金属めっき浴用浸漬部材 - Google Patents

溶融金属めっき浴用浸漬部材

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温強度や破壊靭性に優れ、高い耐摩耗性と
耐熱衝撃性、及び経済性を両立する耐熱衝撃性・高靭性
窒化珪素質焼結体からなる連続溶融金属浴用部材を提供
する。 【解決手段】 溶融金属めっき浴用浸漬部材の少なくと
も一部を、2〜10質量%の窒化クロムを含有し、かつ
理論密度の95%以上の焼結体密度を有する窒化珪素系
セラミックスで少なくとも一部を被覆してなることを特
徴とする溶融金属めっき浴用浸漬部材であり、前記被覆
部分は、めっき浴中軸受けの摺動部および/または回転
力伝達部である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板などの連続溶
融金属めっき装置における溶融金属めっき浴用浸漬部材
に関する。
【0002】
【従来の技術】金属めっき鋼板を得る方法として、図1
に示すように、加熱炉で加熱焼鈍された鋼板を溶融金属
槽に導き、鋼板へ溶融金属をめっきし、ポットロールお
よびガイドロールを介して、これを引き上げ連続的に金
属めっき鋼板を得る方法が汎用されている。より詳しく
は、連続溶融金属めっき装置による鋼板などへのめっき
方法は、前処理として表面を洗浄・活性化した鋼板を溶
融金属浴中に挿入して、浴中のポットロールで方向を変
えた後、鋼板の幅方向の反りを抑えるために2本のガイ
ドロールの間を通過させる。この後、さらに上方に引き
上げ、めっき浴の直上で鋼板表面に付着した余分の溶融
金属を、高圧ガスのワイピング等により除去して、所定
のめっき量に調整して製造されるものである。
【0003】軸受け部材および軸部スリーブ部材には、
耐食性の良好な24Cr-12Ni系ステンレス鋼が一
般に用いられている。ステンレス鋼は、溶融亜鉛や溶融
アルミニウムと反応性が低く、耐食性は良好であるが、
耐摩耗性は充分とは言えず、特に軸受け部材は、軸部ス
リーブ部材とごく狭い範囲(上側の半分)で常時接触し
ているため、摩耗量は軸部スリーブ部材より大きく、寿
命は4〜8日程度と短かい。軸受け部材の摩耗が進行す
ると、鋼板にバタツキ等が発生するため、該部材を溶融
金属めっき浴中から引き上げ軸受け部材を交換しなけれ
ばならない。そのため溶融金属めっき浴中に浸漬されて
いるポットロール等には異常がなくても、生産を停止し
溶融金属めっき浴中に浸漬されている部品全体を引き上
げなければならない。この際に浴温から室温へ急激に冷
却されることによる熱衝撃破損等が他の部品に発生する
ことがあり、部品全体を一括交換する場合もあるため、
操業上の損失は極めて大きい。このため、溶融金属浴中
で使用されるロール寿命の延長を図るために様々な提案
がなされている。
【0004】特開平3-253547号公報や特開平5-
44002号公報では、溶融亜鉛浴中での軸受け部材お
よび軸部スリーブ部材に、アルミナまたは窒化珪素・サ
イアロンを用い、回転するポットロールを外部から回転
駆動する提案がなされている。しかしながら、該提案で
は溶融金属として亜鉛のみを取り上げ、摺動摩耗量およ
び摩耗係数のみを選定基準としており、耐熱衝撃性や溶
融金属浴との濡れ性を比較した上での選定を行っていな
い。さらに、アルミナまたは窒化珪素・サイアロンセラ
ミックスに関しても、組成・焼成条件(密度・組織)・
機械的特性・摺動面粗さ等の諸特性についての最適条件
の記載はない。
【0005】また、モノリシック炭化珪素、ジルコニア
セラミックスも、熱衝撃性で窒化珪素やサイアロンより
劣ることが知られている。従来技術で開示されている内
容に基づき、相対密度比99%まで緻密化した市販の窒
化珪素セラミックスで、一般的な焼結助剤であるイット
リア、アルミナを用いた溶融アルミニウム浴中における
摺動および熱衝撃試験を行った結果、亜鉛浴中の摩耗量
を大きく上回り、3回の溶融アルミニウム浴中からの空
冷だけで破損した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】すべり軸受けに関する
上記の発明は、軸受け部材及び軸部スリーブ部材の互い
に接触する面を、ステンレス鋼に比べれば溶融金属浴中
での耐食性が良好で、かつ高硬度のセラミックスでコー
ティングしたり、またはサーメット、超硬合金、セラミ
ックス焼結体等とすることで軸受けの長寿命化を図ろう
としたものである。しかし、溶融金属めっき浴用部材に
とって、軸受け部材と軸部スリーブ部材の最適な耐熱衝
撃性・高靭性・難濡れ性を特徴とする窒化珪素系材料の
組合せを選定することがはるかに重要な選定要素であ
る。数百℃に加熱されたポットロールの引き上げ時での
空冷に伴う熱衝撃・繰り返し熱疲労に対する耐久性を高
め、溶融金属の中でも特に溶融アルミニウムに対する濡
れ性を制御することが不可欠である。
【0007】本発明の目的は、熱衝撃・繰り返し熱疲労
に対する耐久性を大幅に向上させた溶融金属めっき浴用
部材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決して、溶融金属めっき浴中で長時間安定して繰り返し
使用される浴用部材を提供することを目的としてなされ
たものであり、(1) 溶融金属めっき浴用浸漬部材の
少なくとも一部を、2〜10質量%の窒化クロムを含有
し、かつ理論密度の95%以上の焼結体密度を有する窒
化珪素系セラミックスで被覆してなることを特徴とする
溶融金属めっき浴用浸漬部材、(2) 前記浸漬部材の
摺動部および/または回転力伝達部が、前記窒化珪素系
セラミックスで被覆されてなる(1)記載の溶融金属め
っき浴用浸漬部材、(3) 前記浸漬部材は、ポットロ
ールを支持するロールアームに付設された軸受けガイド
ロール駆動力伝達部である(1)記載の溶融金属めっき
浴用浸漬部材、(4) 前記浸漬部材は、ポットロール
の両端に位置する軸部スリーブである(1)記載の溶融
金属めっき浴用浸漬部材、(5) 前記浸漬部材は、ガ
イドロールに回転駆動力を伝達する部材(図3参照)で
ある(1)記載の溶融金属めっき浴用浸漬部材、であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明者らは、特開平3-253
547号公報や特開平5-44402号公報で提案され
た溶融亜鉛浴中ロール軸受けを見直し、亜鉛に比べ高融
点で、従来技術では困難であった溶融アルミニウム浴中
でも、摺動摩耗及び熱疲労部周囲のチッピングや割れ等
の欠損を抑えることができ、ロール引き上げ後に着地さ
せる際の機械的衝撃、および浴中から取り出され空冷さ
れることで繰り返し加わる熱応力に対する耐久性の優れ
た軸受け部材と軸部スリーブ部材の最適な組合せを見い
出した。これらのチッピングや割れ等の欠損は、熱衝撃
及び機械的衝撃により生成・進展するものであり、溶融
金属めっき浴用部材の材質にポアが多い場合、低強度、
低靭性、溶融金属との濡れ性が良い場合、低熱伝導、低
耐熱衝撃、摺動面が粗い場合、等に顕著であることと関
係付けた。従って、耐摩耗性と耐欠損性を同時に改善
し、本課題を達成するためには、軸受け材質の緻密化、
高強度化、高靭性化、溶融金属に対する低い濡れ性、高
熱伝導化、高耐熱衝撃性化、摺動部の面粗さの設定を行
うことが必要不可欠である。
【0010】本発明の溶融金属めっき浴用浸漬部材は、
溶融金属めっき浴用浸漬部材の少なくとも一部を、2〜
10質量%の窒化クロムを含有し、かつ理論密度の95
%以上の焼結体密度を有する窒化珪素系セラミックスで
被覆してなる。
【0011】低い濡れ性、高熱伝導、高耐熱衝撃、耐摩
耗などの特性を同時に向上させる方法としては、充分緻
密な焼結体において第2相(Cr2N)形成による焼結
体組織を制御することが効果的である。
【0012】窒化クロム含有窒化珪素系セラミックスか
らなる部材により、チッピング・割れ等の耐欠損性を著
しく向上させる作用も同時に付与することができる。該
クロム化合物は、窒化珪素質焼結体中に分散することに
より高靭性化する作用を有し、高温強度を飛躍的に向上
させ、耐クリープ性や耐食性に優れる特性を付与する。
一方で、溶融アルミニウムに対する濡れ性を低下させる
作用も持つ。また、本発明で使用したCr2Nは、比較
的安価な原料であり、水中での混合でも反応性が低いた
め粉体調製時に分散媒としてアルコールやアセトン等の
非水系に限定することはなく、水系での粉体調製も可能
であり、調製時のコスト低減や作業時の安全性を向上す
ることが容易である。したがって、本発明の原料コスト
を高めることなく、溶融金属めっき浴用部材の長寿命化
を実現することができる。
【0013】溶融金属めっき浴中で長時間安定して繰り
返し使用される浴用部材に関し、本発明で用いられる窒
化クロムはCr2Nで表すことができ、粒度としては平
均粒径5〜10μmであることが好ましく、より好まし
くは5〜7μmである。5μmより小さいと高温強度、
靭性への寄与が得られ難く、また、10μmより大きい
と耐熱衝撃性の低下を招く。
【0014】本発明の焼結体における窒化クロムの適切
な配合比の範囲は、2〜10質量%であり、より好まし
くは2〜5質量%である。配合比が2質量%より少ない
場合、粒界相の高融点化の効果が乏しく十分な高温高強
度化が図れず、靭性、耐熱衝撃性の向上に充分な寄与が
認められない。また、10質量%を超えるとマトリック
スである窒化珪素との熱膨張係数がかけ離れてしまい、
複合材料を焼結する際に理論密度比95%以上の相対密
度が得られ難く、破壊靭性値も低下するため好適ではな
い。
【0015】本発明の焼結体の相対密度は、95%以上
が適しており、95%未満では機械的強度、耐熱衝撃性
が低下し、溶融金属との濡れ性が高くなるため好ましく
ない。
【0016】窒化珪素(Si34)は共有結合性の強い
物質であり、コスト的に有利な常圧窒素ガス中の焼結が
単一では困難であるため、緻密化に際しては種々の添加
物を加えても良い。焼結助剤としては、窒化クロム(C
2N)と固溶体を形成しないシリカ、アルミナ、イッ
トリア、酸化四三鉄、マグネシア、AlN−Si34-
SiO2−Al23共融物、窒化アルミニウム、各種希
土類酸化物、等を用いることができる。
【0017】焼結方法は、無加圧焼結法、ガス圧焼結
法、熱間静水圧プレス焼結法、ホットプレス法の何れの
方法も用いることが可能であり、更に一種もしくは複数
の焼結法を組み合わせることも可能である。無加圧焼結
は、窒素ガス流通中にて行うと緻密な焼結体が得られ易
い。複雑形状である溶融金属浴用部材において、高密度
化を達成するためには、無加圧焼結後、さらに窒素ガス
雰囲気中にて熱間静水圧プレス焼結を行うことが好まし
い。その中で、無加圧焼結時の最高温度の範囲として
は、1550〜1750℃であることが好ましく、最高
温度での保持時間は4時間以上であることが望ましい。
1550℃未満では充分高い密度が得られず、粒界相に
高融点の結晶相を生成させることが困難で、高い靭性が
得られない。また、1750℃より高い温度では、焼結
助剤の一部が昇華・分解し、十分な焼結体が得られなく
なると共に、焼成炉の劣化も著しく好ましくない。無加
圧焼結時の保持時間は、原料として用いる主原料の窒化
珪素の結晶相転移を充分に進行させ、かつ粒界相を均一
化させるために、上記焼結温度の範囲にて4時間以上の
保持が必要である。
【0018】摺動部の面粗さに関し、溶融アルミニウム
等の溶融金属が付着し難く、かつ動摩擦係数を軽減する
ために、Rmaxを0.4μm以下に仕上げることが有効
である。Rmaxが0.4μmを超えると、溶融アルミニ
ウム等の溶融金属との濡れ性が低くとも、機械的に付着
割合が上昇し、動摩擦係数を著しく増大させるため好ま
しくない。Rmaxが0.2μm以下の仕上げを行うこと
はさらに好ましいが、加工費増が顕著となる傾向があ
る。ここでRmaxは、表面粗さを表す指標の一つで、断
面曲線から基準長さだけを抜き取った部分の最大高さを
意味する(JIS規格のB0601参照)。
【0019】本発明において、耐熱衝撃性・高靭性窒化
珪素系セラミックスの最大肉厚は20mm以下とする。
これは、内側または外側にセラミックス製浴用部材を保
持するために用いる金属製部材との熱膨張係数差によっ
て生じる、浴中および空冷時の伸縮差の絶対値を小さく
することにより、セラミックス側に加わる圧縮または引
張応力を低減することに加え、セラミックスを製造する
上での緻密化を容易にする効用をもたらす。また、ロー
ルアームをハンドリングする時の機械的衝撃に対する強
度付与の点から10〜20mm厚みの範囲が好ましい。
【0020】図2に示したように2箇所以上の分割面の
摺り合わせ部に1mm以上の間隙を設置することによ
り、セラミックス軸受けを保持するために用いる金属製
部材との間隙に噛み込まれた亜鉛、アルミニウム等の溶
融金属との熱膨張差に起因する圧縮または引張応力を緩
和する効果をもたらす。
【0021】図3は、図1記載のガイドロールに回転駆
動力を伝達する組合せ部材で、浴中で使用されるもので
ある。この部材は、摺動摩耗はほとんど伴わないが、オ
ス側部である鋼製の相手材と間に機械的衝撃破損や浴中
機材全体を浴中から引き上げる際または浴中へ浸漬する
際の熱衝撃による破損が生じ易く、図2に記載の固定側
・回転側の両リングと同じ材料特性を有するセラミック
スの使用が好適である。
【0022】なお、本発明の部材は、摺動部や回転力伝
達部の一方にのみに適用しても良く、条件によっては、
このような本発明の部材と耐食性金属との組合せの方が
耐摩耗性等の特性が飛躍的に向上する場合もある。
【0023】また、本発明の部材を具体的に例示すれ
ば、ロールアームに付設された軸受けガイドロール駆動
力伝達部、ロール両端に位置する軸部スリーブ、ガイド
ロールに回転駆動力を伝達する部材などである。
【0024】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に説明す
る。
【0025】(実施例1〜5)窒化珪素(Si34)粉
末(α型、純度99.7%、平均粒径0.3μm)に窒
化クロム(Cr2N)粉末(平均粒径6.5μm)、イ
ットリア(Y23)粉末(平均粒径1μm)、マグネシ
ア(MgO)粉末(平均粒径0.8μm)、アルミナ
(Al23)粉末(平均粒径0.3μm)、酸化四三鉄
(Fe34)粉末(平均粒径3.5μm)、及びAlN
−Si34−SiO2−Al23共融物の一例としてポ
リタイプ21R組成粉末(Lucas−Cookson
社製、平均粒径2.2μm)を表1に示す所定量(質量
%)添加し、分散媒として精製水を用い、ボールミルで
24時間混練した。精製水の添加量は、セラミックス全
粉末原料100gに対し、100gとした。
【0026】次いで得られた混合粉末を成形後焼結し
た。成形条件は冷間静水圧による加圧(150MPa)
であり、結果として外径φ150mm、内穴径φ100
mm、高さ65mmのドーナツ状成形体、及び75mm
×110mm×30mmの板状成形体を得た。焼結条件
は、窒素ガス流通中にて、表1に示す各温度で4〜8時
間保持の無加圧焼結、および必要に応じ熱間静水圧プレ
ス焼結を追加した。
【0027】得られた焼結体から、外径φ113.5m
m、内径φ92mm、高さ50mmの回転側軸受けリン
グテスト材、60mm×90mm×20mmの固定側軸
受けテスト材を研削加工し、溶融アルミニウム浴中軸受
け試験(図4)に用いた。
【0028】前述の板状焼結体から60mm×90mm
×20mmテスト材を切り出す際の残材から、機械的性
質評価用の試験片を切り出し、その特性を評価した。硬
さは、押込荷重98Nにてビッカース硬さとして測定し
た。靭性は、JIS R1607のSEPB法により室
温にて破壊靭性値KICを測定した。また、耐熱衝撃性
は、曲げ試験片を大気中にて所定の温度に加熱後、水中
急冷し、抗折強さの劣化が始まる急冷温度差ΔTで評価
した。焼結体密度は、アルキメデス法により相対密度と
して測定した。濡れ性は、通常の溶融液滴と水平板状態
の接触角で測定した。
【0029】得られた各焼結体のアルキメデス密度、機
械的性質、および図4に示したアルミニウム浴中軸受け
評価結果を、各配合系ごとに表2に示す。アルミニウム
浴中試験は、以下の条件にて行った。
【0030】(1) 回転側軸受けテスト材:外径φ1
13.5mm×内径φ92mm×高さ50mm。
【0031】(2) 固定側軸受けテスト材:60mm
×90mm×厚さ20mm。
【0032】(3) 溶融アルミニウム浴温度:680
℃。
【0033】(4) 押し当て力:30〜50N。
【0034】(5) すべり速度:2〜3m/秒。
【0035】(6) 摺り合わせ時間:浸漬後、1時
間。
【0036】(7) テスト前の仕上げ面粗さ:Rmax
=0.4μm(▽▽▽程度、JISB0031、B06
01参照)。
【0037】(8) 繰り返し熱疲労試験:1時間浴中
に漬けた後、浴から引き上げ30分間空冷を繰り返す。
【0038】(9) 濡れ性評価試験:アルミニウム塊
を50mm×50mm×厚さ10mmの板状セラミック
ス上に置き、680℃の加熱炉内で溶解後、炉外から覗
き窓を通して観察測定する。
【0039】上記(1)〜(7)の条件にて摩耗量を求
める方法は、回転側、固定側にそれぞれ発生した摩耗痕
跡の深さhr、hsを表面粗さ計にて測定する方法を用い
た。また、摩耗痕跡周囲の損傷有無、チッピング深さ、
および割れ深さを、蛍光探傷法および断面研磨面の光学
顕微鏡観察により評価した。再利用に当たっての軸受け
摺り合わせ面の必要研削量は、摩耗痕跡周囲に割れ・チ
ッピングの損傷が観察されない場合は摩耗痕跡深さhの
1.2倍、チッピングが生じている場合はチッピング深
さの1.2倍、そして割れが生じている場合は割れ深さ
の1.2倍として表2に示した。
【0040】(比較例6〜8)比較例6〜8はそれぞ
れ、一般市販のサイアロンとアルミナを用いた場合(比
較例6)、市販の窒化珪素セラミックスだが異なる組成
のサイアロン系のものを用いた場合(比較例7)、市販
の窒化珪素とサイアロンを用いた場合(比較例8)であ
る。これら比較例の材料も実施例1〜5と同様の条件で
溶融アルミニウム浴中試験を行い、その結果を表2に示
した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表2に示すように、本発明の実施例による
ものは、摩耗痕跡深さが固定側・回転側の何れも40μ
m以下と非常に少なく、かつ摩耗痕跡周囲には割れ・チ
ッピングの欠損が何れの場合も認められず、耐摩耗性、
耐欠損性共に優れることがわかった。これに対し、比較
例の各軸受けは、本発明の実施例に比べて、摩耗痕跡深
さ80μm以上と大きく、かつ割れ・チッピングのいず
れかが発生しており、耐摩耗性、耐欠損性ともに未達成
であることが確認された。必要研削量も実施例の42μ
m以下に比べ、比較例では96μm以上と著しく大きい
ことが判明した。
【0044】アルミニウム浴中軸受け評価試験の条件
(8)、(9)に基づいた結果を、表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】軸受けに繰り返し熱疲労を負荷した場合
も、本発明によるものは15〜25回使用可能であるの
に対し、比較例の各材料では5〜10回と約半分であっ
た。再研削時の加工費、繰り返し利用を含めた製品の総
寿命を考慮すると、本発明の焼結体による軸受け材は固
定側及び回転側でいずれも有利であることが確認され
た。また、濡れ性評価でも本発明によるものは105〜
125°であり濡れ難く、比較例の各材料では40〜5
0°と接触角が小さく濡れ易いことが判明した。これら
の特性により、耐食性を向上させ、引き上げ時空冷によ
る熱収縮が起こる際に、固定側・回転側部材との間隙に
アルミニウムが噛み込んでいることにより発生する回転
側部材への圧縮、及び固定側への引張応力を低減する効
果が充分に期待できる。このため、溶融アルミニウムに
濡れ難いこと・繰り返し熱疲労の耐久性が高いことは、
いずれも本溶融アルミニウム浴中での用途に優位に働く
ことが容易に推定され、摩耗量が少なく、割れ・チッピ
ングが発生しなかったものと考えられる。また、アルミ
ニウム浴中での評価結果から、亜鉛浴中の耐熱衝撃性や
図3に記載したガイドロールの回転駆動部材への適用の
可能性も満たすことが容易に想定されるため、本発明
は、溶融金属めっき浴用部材への適用が可能と判断でき
る。
【0047】
【発明の効果】本発明により、連続溶融金属めっき装置
における浴用部材の寿命が大幅に延長できる。このこと
により、長時間安定して金属めっき鋼板の生産が可能と
なり、その工業的有用性は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融めっき浴の装置概略図である。
【図2】軸受け部の組み付け構造である。
【図3】回転駆動力伝達部の組合せメス穴部である。
【図4】実施例における軸受け損耗評価装置の概略図で
ある。
【符号の説明】
1・・・鋼板、 2・・・ポットロール、 3・・・ガイドロール、 4・・・加熱機能付き浴槽、 5・・・回転側軸受けテスト材(外径φ113.5mm
×内径φ92mm×高さ50mm)、 6・・・固定側軸受けテスト材(60mm×90mm×
厚さ20mm)、 7・・・溶融アルミニウム浴(浴温680℃)、 8・・・保護管付き熱電対。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋永 一成 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日 本製鐵株式会社八幡製鐵所内 Fターム(参考) 4K027 AA02 AA22 AB42 AB48 AD17

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属めっき浴用浸漬部材の少なくと
    も一部を、2〜10質量%の窒化クロムを含有し、かつ
    理論密度の95%以上の焼結体密度を有する窒化珪素系
    セラミックスで被覆してなることを特徴とする溶融金属
    めっき浴用浸漬部材。
  2. 【請求項2】 前記浸漬部材の摺動部および/または回
    転力伝達部が、前記窒化珪素系セラミックスで被覆され
    てなる請求項1記載の溶融金属めっき浴用浸漬部材。
  3. 【請求項3】 前記浸漬部材は、ポットロールを支持す
    るロールアームに付設された軸受けガイドロール駆動力
    伝達部である請求項1記載の溶融金属めっき浴用浸漬部
    材。
  4. 【請求項4】 前記浸漬部材は、ポットロールの両端に
    位置する軸部スリーブである請求項1記載の溶融金属め
    っき浴用浸漬部材。
  5. 【請求項5】 前記浸漬部材は、ガイドロールに回転駆
    動力を伝達する部材である請求項1記載の溶融金属めっ
    き浴用浸漬部材。
JP2000015487A 2000-01-25 2000-01-25 溶融アルミニウムめっき浴用浸漬部材 Expired - Fee Related JP3709115B2 (ja)

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