JP2001206788A - 建築用板材 - Google Patents

建築用板材

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量かつ高強度で、切断、釘打ち性等の加工
性に富んだ建築用板材を提供すること。 【解決手段】 700℃〜1,200℃で仮焼した少なくとも二
酸化珪素と酸化カルシウムを含む粉体を主成分とし、か
かる主成分を含んでなる原料を板状に成形し、炭酸ガス
と反応させることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建築用板材に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、建築用板材は、セメント、けい
酸カルシウム源または石膏を主原料として製造されてい
る。これらは板材としての強度を有するが、施工時のビ
スや釘打ち等で割れたり、裏面に剥離が生じたりする欠
点がある。こうした欠点を防止するために、有機バイン
ダを添加することが知られているが、その添加がシック
ハウス症候群などの原因となり健康によくない。一方、
消石灰やドロマイドプラスタを用いて炭酸ガスと反応さ
せたものは、強度が低く板材としては不適である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、軽量かつ高
強度で、切断、釘打ち性等の加工性に富んだ建築用板材
の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決する手段】本発明は、700℃〜1,200℃で仮
焼した少なくとも二酸化珪素と酸化カルシウムを含有す
る粉体を主成分とし、この主成分を含む原料を板状に形
成し、炭酸ガスと反応させてなることを特徴とする板材
によって達成される。
【0005】また、前記原料は、45〜98重量%の主成分
である粉体と、2〜15重量%の有機繊維または無機繊維
と、0〜40重量%の無機質充填材とを含んでなることが
好ましい。前記粉体は、少なくとも10〜20重量%の二酸
化珪素と、40〜70重量%の酸化カルシウムとを含んでな
ることが好ましく、また、前記粉体が、天然原料または
産業廃棄物もしくはその両方であることが好ましい。前
記粉体は、特定の粒度に予め粉砕されていることが好ま
しい。
【0006】
【発明の実施の態様】以下、本発明を好ましい実施態様
で詳述するが、本発明の内容はこれらの実施態様には限
られない。この実施態様において、まず、少なくとも二
酸化珪素と酸化カルシウムを含有する天然原料または産
業廃棄物もしくはその両方を粉砕して、700℃〜1,200℃
で仮焼してなる粉体を主成分として製造する。
【0007】次いで、板材を成形するが、その方法は特
に限定されるものではないが、たとえば、45〜98重量%
のかかる主成分に、2〜15重量%の有機繊維または無機
繊維と0〜40重量%の無機質充填材とからなる配合物に
水を加えてスラリー状態あるいは粘土状態にし、それら
を型枠に打設してあるいは脱水プレス成形して所望の表
面形状を得たり、またはスラリーを抄造してグリーンシ
ートを得たり、あるいはグリーンシートに面プレスを行
ったりして図1に示す板材状に成形する。その以外の方
法としては押出成形法もある。最後に、大気中あるいは
炭酸ガス雰囲気中において、得られた成形体を養生して
板材とする。養生は、大気養生のほか、蒸気養生、オー
トクレーブ養生など、各種の方法を採用することができ
る。
【0008】本発明の仮焼温度は、700℃〜1,200℃であ
ることが好ましく、700℃未満では粉体の活性が低く、
成形養生後の板材には十分な強度が得られない。1,200
℃より高いと粉体が焼結して固まり、活性が低下して使
用できない。また、本発明の粉砕工程では、主成分であ
る粉体の粉末度(ブレーン値)を3,000〜10,000cm2/g
にすることが好ましい。本発明で使用する天然原料また
は産業廃棄物もしくはその両方が仮焼前にすでに上記粉
末値をもっていれば、粉砕工程は本態様においては必要
としない。
【0009】本発明において用いる仮焼する天然原料と
しては、10〜20重量%の二酸化珪素と40〜70重量%の酸
化カルシウムを含む範囲であれば、特に限定するもので
はなく、たとえば、粘土鉱物、砂と石灰石等を混合して
用いることができる。ここで使用する仮焼した粉体は、
上記個々の原料をそれぞれ仮焼した後に混合されたもの
でも良い。また、仮焼する産業廃棄物も、10〜20重量%
の二酸化珪素と40〜70重量%の酸化カルシウムを含有す
る範囲であれば、特に限定するものではなく、たとえ
ば、コンクリート廃材、建築廃材と下水処理場の汚泥等
を使用できる。また、上記天然原料と産業廃棄物との混
合物として使用する場合でも、全体として10〜20重量%
の二酸化珪素と40〜70重量%の酸化カルシウムを含め
ば、本発明に用いることができる。
【0010】本発明の板材の原料は、主成分として45重
量%〜98重量%の前記の仮焼した粉体を含むことが好ま
しく、45重量%未満では養生後の板材に十分な曲げ強度
が得られなく、98重量%を超えた場合では、板材が硬く
脆いため釘打ち性や加工性において実用的ではない。
【0011】他に、2重量%〜15重量%の有機繊維また
は無機繊維の繊維成分を含むことができる。繊維成分が
2重量%未満では、板が脆いため釘打ち性や加工性が実
用的ではなく、15重量%を超えた場合では、釘打ち性や
加工性は良好であるが、板の曲げ強度が低く実用的でな
い。また、有機繊維としては、パルプ、ポリプロピレ
ン、レーヨン、ビニロンと各種天然繊維等を、無機繊維
としては、アスベスト、ロックウール、スラグウール、
ガラス繊維とセラミック繊維等を用いることができる。
【0012】さらに、0重量%〜40重量%の無機質充填
材を含むことができる。その含有量が40重量%を超えた
場合、板材の釘打ち性や加工性は良好であるが、板の曲
げ強度が低く実用的でない。また、無機質充填材として
は、珪藻土、パーライト、バーミキュライト、けい酸カ
ルシウムと石膏等を用いることができる。
【0013】本発明では、板状に成形した後に強度を発
現させて建築用板材とするためには、主成分に含まれて
いる酸化カルシウムを炭酸ガスと反応させて炭酸カルシ
ウムを生じさせる必要がある。本態様では、成形した後
に炭酸ガス雰囲気中において、成形体を養生することが
好ましい。
【0014】
【実施例】実施例1〜3.これらの実施例は、セメント
調合原料の仮焼物(二酸化珪素15.6重量%、酸化カルシ
ウム52.1重量%、ブレーン値=5,200cm2/g)を仮焼
粉体として用い、表1に示した配合と、固形分濃度50重
量%になるように水を加え混練しスラリーを得た。得ら
れたスラリーを250×250mmの型枠に打設し、1MPaの
圧カで4分間プレス成形して厚さ6mmの板を得た。得ら
れた板は、二酸化ガス雰囲気中(CO2ガス20%、湿度7
0%)で7日間養生した。なお、無機質充填材として使
用したパーライトはアサノパーライトSである。
【0015】
【表1】
【0016】実施例4〜5.これらの実施例は、ノンア
ススレート板の仮焼粉体(二酸化珪素12.1重量%、酸化
カルシウム55.0重量%、ブレーン値=4,800cm2/g)
を仮焼粉体として使用する以外、全て実施例1と同様に
表1に示した配合で板材を作製した。
【0017】実施例6〜7.これらの実施例は、カオリ
ンと石灰石の混合仮焼粉体(二酸化珪素18.9重量%、酸
化カルシウム65.3重量%、ブレーン値=4,600cm2
g)を仮焼粉体として使用する以外、全て実施例1と同
様に表1に示した配合で板材を作製した。
【0018】実施例で得られた板を60℃、24時間乾燥し
て以下の試験を行い、その結果を表1にまとめた。試験
方法は次の通りである。 比重 :JISA5430にて測定。 曲げ強度 :JISA5430にて測定(MPa)。 釘圧入応力:釘N45(2.45φ、45L)を耐圧試
験機にて垂直に押し込んだ時の最大応力で測定。釘が変
形して測定不能の場合をザクツとした。 板割れ状態:板の角部から10mmの所に、釘N45(2.
45φ、45L)を垂直に立て、分銅300gを高さ300mm
から貫通するまで自由落下し、板の割れを観察。割れな
しの場合を○、割れありの場合を×、釘が変形して測定
不能の場合をザクツとした。 加工性 :250mm×250mm×6mmの板5枚を中央部からチ
ップソーを用いて切断し、亀裂の有無を観察。亀裂なし
の場合を○、亀裂ありの場合を×とした。
【0019】
【比較例】比較例1〜2.これらの比較例は、ノンアス
スレート板の仮焼粉体(二酸化瑳素12.1重量%、酸化カ
ルシウム55.0重量%、ブレーン値=4,800cm2/g)を
仮焼粉体として使用し、表2に示した配合を用いる以
外、全て実施例1と同様にして板材を製造した。また、
得られた板材を実施例と同様に試験を行い、その結果を
表2にまとめた。なお、実施例と同様に使用したパーラ
イトはアサノパーライトSである。
【0020】
【表2】
【0021】比較例3〜4.これらの比較例は、カオリ
ンと石灰石の混合仮焼粉体(二酸化珪素18.9重量%、酸
化カルシウム65.3重量%、ブレーン値=4,600cm2
g)を仮焼粉体として使用した以外、全て比較例1と同
様にして板材を製造し、そして試験した。
【0022】比較例No.5〜7.これらの比較例は、
セメント調合原料の仮焼物(二酸化珪素15.6重量%、酸
化カルシウム52.1重量%、ブレーン値=5,200cm2
g)を仮焼粉体として使用した以外、全て比較例1と同
様にして板材を製造し、そして試験した。
【0023】
【発明の効果】表1と表2に示した試験結果によれば、
700℃〜1,200℃で仮焼した少なくとも二酸化珪素と酸化
カルシウムを含有する粉体を主成分とし、かかる主成分
を含んでなる原料を板状に形成し、炭酸ガスと反応させ
てなることを特徴とする本発明の板材は、曲げ強度、釘
圧入応力、板割れ状態、加工性に優れ、軽量高強度で、
切断、釘打ち性等の加工性に優れる建築用板材である。
また、施工後劣化するセメント系板材とは異なり、本発
明品は炭酸ガスを吸収反応して強度が増大することか
ら、施工後も強度が増大する。地球環境にもやさしい。
さらに、有機バインダを含有していないことから、シッ
クハウス症候群などを生じず健康にも良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の板材の実施例の斜視図である。
【符号の説明】
1 板材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 111:20 C04B 111:20 111:30 111:30 (72)発明者 大和田 彰 東京都港区芝大門2丁目12番10号 浅野ス レート株式会社内 (72)発明者 山崎 範男 東京都港区芝大門2丁目12番10号 浅野ス レート株式会社内 (72)発明者 市村 孝博 東京都港区芝大門2丁目12番10号 浅野ス レート株式会社内 Fターム(参考) 4G012 PA03 PA15 PA24 RA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 700℃〜1,200℃で仮焼した少なくとも二
    酸化珪素と酸化カルシウムを含む粉体を主成分とし、こ
    の主成分を含む原料を板状に成形し、炭酸ガスと反応さ
    せてなることを特徴とする板材。
  2. 【請求項2】 前記原料が、45〜98重量%の主成分であ
    る粉体と、2〜15重量%の有機繊維または無機繊維と、0
    〜40重量%の無機質充填材とを含んでなることを特徴と
    する請求項1に記載の板材。
  3. 【請求項3】 前記粉体が、少なくとも10〜20重量%の
    二酸化珪素と、40〜70重量%の酸化カルシウムとを含ん
    でなることを特徴とする請求項1また2に記載の板材。
  4. 【請求項4】 前記粉体が、天然原料または産業廃棄物
    もしくはその両方であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の板材。
  5. 【請求項5】 前記粉体が、予め粉砕されていることを
    特徴とする請求項4に記載の板材。
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