JP2001203059A - スパークプラグ用絶縁体並びにそれを備えるスパークプラグ及びその製造方法 - Google Patents

スパークプラグ用絶縁体並びにそれを備えるスパークプラグ及びその製造方法

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JP2001203059A
JP2001203059A JP2000008417A JP2000008417A JP2001203059A JP 2001203059 A JP2001203059 A JP 2001203059A JP 2000008417 A JP2000008417 A JP 2000008417A JP 2000008417 A JP2000008417 A JP 2000008417A JP 2001203059 A JP2001203059 A JP 2001203059A
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insulator
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Hiroto Ito
博人 伊藤
Makoto Sugimoto
誠 杉本
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に美麗な色彩を有する有色釉薬層を備
え、且つ高温における絶縁性に優れ、主体金具及び端子
金具と一体に釉焼することができる絶縁体及びこの絶縁
体を備えるスパークプラグを提供する。 【解決手段】 施釉前スパークプラグ用絶縁体の表面の
少なくとも一部に、非晶質酸化物を100質量%とした
場合に、Siを18〜35質量%、Bを25〜40質量
%、Znを10〜25質量%、Baを7〜20質量%、
Li、Na及びKのうちの2種を各々3〜9質量%含有
する混合粉末を調整する。更に、非晶質酸化物と顔料の
合計を100質量%とした場合に、顔料が20質量%以
下となるように顔料を混合し、その後、粘度鉱物、バイ
ンダ及び水と共に混合し、得られたスラリーを絶縁体に
塗布した後、主体金具及び端子金具を配設後、一体に釉
焼して得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスパークプラグ用絶
縁体並びにそれを備えるスパークプラグ及びその製造方
法に関する。更に詳しくは、表面に美麗な色彩を有する
釉薬層を備えたスパークプラグ用絶縁体並びにそれを備
えるスパークプラグ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】スパークプラグ(以下、単に「プラグ」
ということもある)は長手方向に開口するスパークプラ
グ用絶縁体(以下、単に「絶縁体」ということもある)
を備える。この絶縁体は上方から突出する端子金具、内
部に端子金具から延設され中心電極に繋がる中軸等を有
し、外部に接地電極が延設された主体金具を備え、火花
放電が行われる中心電極と接地電極との間は絶縁されて
いる。
【0003】しかし、プラグの温度が過度に高くなった
り、周囲の温度が過度に上昇する等の条件が重なると、
正常な火花放電が行われず、端子金具と主体金具との間
で放電し、絶縁破壊(以下、「フラッシュオーバ」とい
う)することがある。そのため、一般に、この現象を防
止する釉薬層が絶縁体表面に形成されている。この釉薬
層は、絶縁体表面を平滑化し、汚染を防止したり、化学
的及び機械的強度を向上させる効果もある。尚、これま
で、この釉薬層が色彩を有しているものは知られていな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、表面に美麗
な色彩を有する有色釉薬層を備え、且つ高い絶縁性を備
える絶縁体並びにこの絶縁体を備えるプラグを提供する
ことを目的とする。更に、このような絶縁体及びスパー
クプラグが安定して得られる製造方法を提供するするこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本第1発明のスパークプ
ラグ用絶縁体は、スパークプラグに配設されるスパーク
プラグ用絶縁体において、表面の少なくとも一部に、S
i、B、Zn及びBaと、Li、Na及びKのうちの2
種とからなる非晶質酸化物を主成分とし、且つ顔料を含
有する有色釉薬層を備えることを特徴とする。
【0006】釉薬層は、一般に釉薬層中に含有されるア
ルカリ金属量が多いほど絶縁性は低下するとされてい
る。しかし、本発明者らの検討によれば、1種のアルカ
リ金属成分を単独で含有する場合は、その含有量の増大
に伴い釉薬層の絶縁性が低下する。これに対して、N
a、K及びLiのうちの2種類のみを含有する場合は、
意外にも、その合計含有量が比較的多い場合であっても
十分な絶縁性を示すことが分かった。従って、Na、K
及びLiのうちの2種類のみを添加することにより十分
な絶縁性を有しつつ、且つアルカリ金属量の増大による
釉焼温度の低下を実現することができる。即ち、高い耐
フラッシュオーバ性を備えるスパークプラグ及びスパー
クプラグ用絶縁体を低い釉焼温度で得ることができる。
【0007】上記「有色釉薬層」の呈する色は特に限定
されない。有色不透明及び有色透明の何れであってもよ
い。また、有色釉薬層中には2種以上の異なる色の部分
が存在してもよい。尚、白色及び乳白色等であってもよ
い。有色釉薬層は、例えばアルミナ等から形成される絶
縁体との熱膨張差が小さく、ヒビ割れ等を生じ難い。ま
た、軟化温度が低く、且つ800〜950℃の低温で釉
焼することができる。従って、工程数削減のために中心
電極及び端子金具等の酸化され易い他の部品を絶縁体に
配設した後に釉焼する場合であっても、十分にこれらの
部品の酸化を抑えることができる。
【0008】上記「顔料」は、釉焼後に釉薬層中におい
て色を有するものであれば特に限定されない。例えば、
赤系色を呈するものとしては、CdS−CdSe、Al
23(Mn・P)、Cr23−Al23−ZnO、Ca
O−SnO2−SiO2等を使用できる。また、黄系色を
呈するものとしては、PbO−Sb25、TiO2−S
25−CrO3、SnO2−V25、ZrO2−V
25、ZrO2−SiO2−Pr611等を使用できる。
緑系色を呈するものとしては、Cr23−Al23、C
oO−Al23−Cr23、CoO−Al23−Cr2
3−ZnO、CaO−Cr23−SiO2等を使用でき
る。
【0009】更に、青系色を呈するものとしては、Co
O−Al23、CoO−Al23−ZnO、CoO−S
iO2、CoO−SiO2−ZnO、ZrO2−SiO2
25、MgO−CoO−SnO2等を使用できる。褐
系色を呈するものとしては、ZnO−Al23−CrO
3−Fe23等を使用でき、黒系色を呈するものとして
は、CoO−ZnO−MnO−Al23−Cr23−F
23等を使用でき、灰系色を呈するものとしては、S
nO2−Sb25等を使用できる。
【0010】上記「非晶質酸化物」に含有されるSiは
SiO2換算(以下、Siの含有量はSiO2換算であ
る)で18〜35質量%(より好ましくは25〜30質
量%)であることが好ましい。BはB23換算(以下、
Bの含有量はB23換算である)で25〜40質量%
(より好ましくは30〜35質量%)であることが好ま
しい。Znは、ZnO換算(以下、Znの含有量はZn
O換算である)で10〜25質量%(より好ましくは1
2〜18質量%)であることが好ましい。BaはBaO
換算(以下、Baの含有量はBaO換算である)で7〜
20質量%(より好ましくは8〜15質量%)であるこ
とが好ましい。Li、Na及びKは、これらのうち2種
を含有し、Li2O換算、Na2O換算及びK2O換算
(以下、Liの含有量はLi2O換算、Naの含有量は
Na2O換算、KはK2O換算である)で各々3〜9質量
%であることが好ましい。
【0011】非晶質酸化物中に含有されるこれらアルカ
リ金属の合計量は、酸化物換算で6〜14質量%である
ことが好ましい。更に、含有される2種のアルカリ金属
元素の量を一方に対する他方のモル比で表した場合、
1.0〜2.0(より好ましくは1.5〜2.0)であ
ることが好ましい。また、これらアルカリ金属の中で
も、特にNaとKの2種を用いることがとりわけ望まし
く、Naを3〜9質量%、Kを3〜9質量%含有するこ
とが好ましい。また、非晶質酸化物全体を100質量%
とした場合に、非晶質酸化物中に含有されるSi、B、
Zn及びBaと、Li、Na及びKのうちの2種と、の
合計は95質量%以上(より好ましくは97質量%以
上)であることが好ましい。
【0012】本第2発明のスパークプラグ用絶縁体は、
スパークプラグに配設されるスパークプラグ用絶縁体に
おいて、表面の少なくとも一部に、Si、B、Zn及び
Baと、Ti及びZrの少なくとも一方と、Li、Na
及びKのうちの少なくとも1種とからなる非晶質酸化物
を主成分とし、顔料を含有する有色釉薬層を備えること
を特徴とする。
【0013】本第2発明の有色釉薬層は、絶縁性、耐水
性及び耐薬品性に優れ、厚さが均一であり、層中に気泡
等の混入による欠陥がほとんど無い。また、特にアルミ
ナ系絶縁材料から構成される絶縁体との熱膨張差が小さ
く、有色釉薬層にヒビ割れを生じ難い。また、従来より
使用されている鉛ケイ酸塩ガラス系釉薬等と比べて軟化
温度が低く、800〜950℃で釉焼できる。従って、
第1発明におけると同様に中心電極及び端子金具等と一
体に釉焼した場合であっても、中心電極及び端子金具等
の酸化を十分に抑えることができる。これらは、アルカ
リ金属及びBの含有量が少なく、且つTi及びZrを含
有するためである。
【0014】釉焼されて有色釉薬層となるスラリー中に
含有され、溶媒に溶出し易いアルカリ金属及びBを多く
含有するとスラリーの粘度は高くなり、特に、1000
Pa・sを超えると均一な厚さで絶縁体表面に塗布し難
く、また、塗布層に気泡が巻き込まれ易い。一方、アル
カリ金属及びBの含有量を減らすと釉焼温度が上昇す
る。これに対して、本発明者らはTi及びZrを含有さ
せることでスラリーの粘度を適度に上昇させることがで
き、アルカリ金属及びBの含有量を軽減できるという知
見を得た。
【0015】また、同時にアルカリ金属及びBの含有量
が軽減できることに加え、Ti及びZrによりこれらの
溶出が抑制されるため、耐水性及び耐薬品性が大きく向
上する。特に、Zrは耐薬品性を向上させる効果がTi
に比べて一層顕著である。尚、耐水性とは釉薬層から成
分溶出が起こり難いことの他、釉焼されて有色釉薬層と
なるスラリーの状態で長時間放置した場合であっても成
分溶出による粘度上昇が無いことを意味する。また、別
途PbOを配合することにより、更に釉焼温度を低下さ
せることもできる。
【0016】上記「有色釉薬層」は前記第1発明におけ
ると同様である。上記「顔料」も前記第1発明における
と同様である。上記「非晶質酸化物」に含有されるSi
は、20〜40質量%(より好ましくは22〜38質量
%、更に好ましくは25〜35質量%)であることが好
ましい。また、Bは20〜35質量%(より好ましくは
20〜28質量%)であることが好ましい。Znは15
〜25質量%(より好ましくは15〜20質量%、更に
好ましくは17〜20質量%)であることが好ましい。
また、Baは10〜23質量%(より好ましくは12〜
18質量%)であることが好ましい。
【0017】Ti及びZrは、合計で2〜10質量%
(より好ましくは3〜8質量%)であることが好まし
い。尚、Zrを3.4質量%以下(より好ましくは3.
0質量%以下)とすることが特に好ましく、Tiを1.
5質量%以上とすることが特に好ましい。更に、Tiと
Zrとを共に含有することが好ましい。Zr及びTiの
各々酸化物換算含有量をWZr及びWTiとして場合、
WTi/WZrを0.2〜10(より好ましくは0.5
〜7)であるように含有することが好ましい。
【0018】アルカリ金属はNa、K及びLiから選ば
れる少なくとも1種を合計で12質量%以下(より好ま
しくは6質量%以下、更には5質量%以下)含有するこ
とが好ましい。尚、Ti及びZrを含有することにより
アルカリ金属を実質的に含有させなくてもよい。また、
アルカリ金属とBの合計含有量は42質量%以下(より
好ましくは35質量%以下)であることが好ましい。更
に、アルカリ金属、Ti及びZrの合計含有量は8質量
%以上であることが好ましい。
【0019】尚、本第1発明の有色釉薬層には、前記各
成分以外にもAl、Ca、Fe、Zr、Ti、Sr、M
g、Bi、Ni、Sn、P及びMnのうちの少なくとも
1種を、AlはAl23、CaはCaO、FeはFe2
3、ZrはZrO2、TiはTiO2、SrはSrO、
MgはMgO、BiはBi23、NiはNiO、Snは
SnO2、PはP25、MnはMnOの各々に換算した
質量にて合計5質量%以下(より好ましくは3質量%以
下)含有されてもよい。同様に、本第2発明の有色釉薬
層にも、Zr及びTiを除く第1発明と同様な上記各元
素が合計5質量%以下(より好ましくは3質量%以下)
含有されてもよい。これらは目的に応じて積極的に添加
されたものであっても、原料中に含有される不可避不純
物及び/又は溶融工程における耐火材等からの不可避的
に混入するものであってもよい。
【0020】また、本第1発明及び第2発明において、
有色釉薬層に含有される各成分は、例えば、EPMA
(電子プローブ微小分析)やXPS(X線光電子分光分
析)等により定量することができる。また、絶縁体から
有色釉薬層を剥離し、これを化学分析あるいはガス分析
により定量することもできる。
【0021】更に、第1発明及び第2発明における有色
釉薬層の熱膨張率は特に限定されないが、20〜350
℃における平均の線膨張係数で50×10-7〜85×1
-7/℃(より好ましくは60×10-7〜80×10-7
/℃)であることが好ましい。50×10-7/℃未満で
あると有色釉薬層に貫入を生じ易い。一方、85×10
-7/℃を超えると、ヒビ割れを生じ易くなる。特に、上
記の線膨張係数であれば、施釉前の絶縁体がAlをAl
23換算で85〜98質量%含有する材料から形成され
ている場合に、この絶縁体との熱膨張差が小さく好まし
い。
【0022】この線膨張係数は、プラグに配設された絶
縁体の表面より、レーザ干渉計又は原子間力顕微鏡等を
用いて測定することができる。更に、絶縁体に塗布する
前のスラリーをバルク状に釉焼できるように粘度を調整
し、得られた有色釉薬バルクを用いてディラトメータ法
等により測定することもできる。
【0023】本第3発明のスパークプラグは、第1発明
に記載のスパークプラグ用絶縁体を備えることを特徴と
する。更に、本第4発明のスパークプラグは、第2発明
に記載のスパークプラグ用絶縁体を備えることを特徴と
する。本発明のスパークプラグは、前記第1及び第2発
明に記載の絶縁体が有する優れた特性を備える。
【0024】このスパークプラグは第5発明のように、
スパークプラグ用絶縁体の一端に固定される端子金具、
他端に固定される中心電極及び該スパークプラグ用絶縁
体の周面の一部に外接し、接地電極が延設される主体金
具を備えるスパークプラグにおいて、(1)上記端子金
具と上記主体金具との間に1000Vの電圧差を生じさ
せた場合に、該端子金具と該主体金具との間の500℃
における絶縁抵抗は500MΩ以上とすることができ
る。
【0025】また、同時に(2)温度25℃、湿度55
%の雰囲気において、上記中心電極を絶縁し、該端子金
具より電圧を増加させながら印加した場合に、該端子金
具と該主体金具との間で絶縁破壊する上記電圧は30k
V以上とすることができる。
【0026】本第6発明のスパークプラグの製造方法
は、第3発明に記載のスパークプラグの製造方法であっ
て、施釉前スパークプラグ用絶縁体の表面の少なくとも
一部に、非晶質酸化物と顔料の合計を100質量%とし
た場合に、該顔料が20質量%以下(通常0.2質量%
以上)であるスラリーを塗布し、その後、釉焼すること
を特徴とする。
【0027】上記「スパークプラグ用絶縁体」、上記
「顔料」を構成する成分、は前記第1発明におけると同
様である。顔料には比較的導電性のよい成分が含有され
ることがあるため、顔料の配合量が過度に多いと絶縁性
が低下し易い。
【0028】上記「非晶質酸化物」は第7発明のよう
に、非晶質酸化物を100質量%とした場合に、Siを
18〜35質量%(より好ましくは25〜30質量
%)、Bを25〜40質量%(より好ましくは30〜3
5質量%)、Znを10〜25質量%(より好ましくは
12〜18質量%)、Baを7〜20質量%(より好ま
しくは8〜15質量%)、Li、Na及びKのうちの2
種を各々3〜9質量%含有することが好ましい(各々酸
化物換算による)。
【0029】非晶質酸化物に含有されるSiが18%未
満であると、特に、施釉前絶縁体がアルミナ系材料の場
合に釉薬の熱膨張差が大きくなり、釉薬層にヒビ割れ等
を生じ易い。一方、35質量%を超えると、特に、施釉
前絶縁体がアルミナ系材料の場合に釉薬の線膨張係数が
過度に小さくなり、熱膨張差が大きくなると釉薬層に貫
入等を生じ易い。また、Bの含有量が25質量%末満で
あると、軟化点の上昇により所期の温度(800〜95
0℃)での釉焼が困難となる。一方、40質量%を超え
ると、得られる釉薬層中に分相を生じ易くなる。Znの
含有量が10質量%未満であると、軟化点の上昇により
所期の温度での釉焼が困難となる。一方、25質量%を
超えると、釉薬の熱膨張率が過度に大きくなり、釉薬層
にヒビ割れ等の欠陥を生じ易い。
【0030】また、Baの含有量が7質量%未満である
と、釉薬層の絶縁性が低下し易い。他方、20質量%を
超えると、軟化点の上昇により所期の温度での釉焼が困
難となる。Li、Na及びKのうちのいずれかの含有量
が3質量%未満であると、軟化点の上昇により所期の温
度での釉焼が困難となる。一方、9質量%を超えると、
釉薬の熱膨張率が過度に大きくなり、釉薬層にヒビ割れ
等の欠陥を生じ易い。
【0031】非晶質酸化物中に含有されるこれらアルカ
リ金属の合計量は、上記酸化物換算で6〜14質量%で
あることが好ましい。6質量%未満であると、軟化点の
上昇により所期の温度での釉焼が困難となる。一方、1
4質量%を超えると絶縁性が低下し易い。更に、含有さ
れる2種のアルカリ金属元素の量を一方に対する他方の
モル比で表した場合、1.0〜2.0(より好ましくは
1.5〜2.0)であることが好ましい。この範囲を外
れると、絶縁性が十分に保持されないことがある。ま
た、これらアルカリ金属の中でも、特にNaとKの2種
を用いることがとりわけ望ましく、Naを3〜9質量
%、Kを3〜9質量%含有することが好ましい。
【0032】非晶質酸化物全体を100質量%とした場
合に、非晶質酸化物中に含有されるSi、B、Zn及び
Baと、Li、Na及びKのうちの2種と、の合計は9
5質量%以上(より好ましくは97質量%以上)である
ことが好ましい。95質量%未満であると軟化点の上昇
により所期の温度での釉焼が困難となる。
【0033】尚、本発明の有色釉薬層を構成する非晶質
酸化物には、前記各成分以外にもAl、Ca、Fe、Z
r、Ti、Sr、Mg、Bi、Ni、Sn、P及びMn
のうちの少なくとも1種を、AlはAl23、CaはC
aO、FeはFe23、ZrはZrO2、TiはTi
2、SrはSrO、MgはMgO、BiはBi23
NiはNiO、SnはSnO2、PはP25、MnはM
nOの各々に換算した質量にて合計5質量%以下(より
好ましくは3質量%以下)含有させることができる。
【0034】これらは目的に応じて積極的に添加された
ものであっても、原料中に含有される不可避不純物及び
/又は溶融工程における耐火材等からの不可避的に混入
するものであってもよい。例えば、Alは5質量%以下
含有することで釉薬層の透明度を向上させることができ
る。また、Bi23を含有すると軟化温度を下げること
ができる。この量が5質量%を超えると、非晶質酸化物
中に含有されるSi、B、Zn及びBaと、Li、Na
及びKのうちの2種と、の合計を95質量%以上に確保
できなくなる。
【0035】本第8発明のスパークプラグの製造方法
は、第4発明に記載のスパークプラグの製造方法であっ
て、施釉前スパークプラグ用絶縁体の表面の少なくとも
一部に、非晶質酸化物と顔料の合計を100質量%とし
た場合に、該顔料が20質量%以下(通常0.2質量%
以上)であるスラリーを塗布し、その後、釉焼すること
を特徴とする。
【0036】上記「スパークプラグ用絶縁体」、上記
「顔料」を構成する成分、は前記第2発明におけると同
様である。顔料には比較的導電性のよい成分が含有され
ることがあるため、顔料の配合量が過度に多いと絶縁性
が低下し易い。
【0037】上記「非晶質酸化物」は、第9発明のよう
に非晶質酸化物を100質量%とした場合に、Siを2
0〜38質量%(より好ましくは22〜38質量%、更
に好ましくは25〜35質量%)、Bを20〜35質量
%(より好ましくは20〜28質量%)、Znを15〜
25質量%(より好ましくは15〜20質量%、更に好
ましくは17〜20質量%)、Baを10〜23質量%
(より好ましくは12〜18質量%)、Ti及びZrを
合計2〜10質量%(より好ましくは3〜8質量%)、
Li、Na及びKを合計12質量%以下(より好ましく
は6質量%以下、更には5質量%以下)含有することが
好ましい。Si、B、Zn及びBaが各々上記範囲を外
れることが好ましくない理由は第7発明におけると同様
である。
【0038】Ti及びZrの含有量が2質量%未満であ
ると軟化温度の上昇により所期の温度での釉焼が困難と
なる。一方、10質量%を超えても軟化温度の上昇を招
くことがある。尚、ZrはTiよりもスラリーの粘度を
増加させる傾向が大きい。このため、スラリーの流動性
を高め、より均一な厚さ塗布することができ、釉焼後の
外観に優れた有色釉薬層を形成するためにはZrを3.
4質量%以下(より好ましくは3.0質量%以下)とす
ることが好ましい。他方、Tiは、Zrに比べてスラリ
ーの粘度に対する影響が少ないため、Tiを1.5質量
%以上とすることで、より耐水性あるいは耐薬品性に優
れた有色釉薬層を形成できる。
【0039】但し、Tiが過剰になると、有色釉薬層の
熱膨張率が過度に小さくなり、釉薬層に貫入等を生じる
ことがある。従って、スラリーの粘度及び熱膨張率を適
度なものとし、耐水性及び耐薬品性を更に向上させるた
めには、TiとZrを共に含有することが好ましい。Z
r及びTiの各々酸化物換算含有量をWZr及びWTi
として場合、WTi/WZrを0.2〜10(より好ま
しくは0.5〜7)であるように含有することが好まし
い。この値が0.2未満であると、相対的なTiの不足
による不具合が起き易い。一方、10を超えると、相対
的なZrの不足による不具合が起き易い。
【0040】また、アルカリ金属が12質量%を超える
とスラリーの粘度が上昇し易く、同時に、絶縁性が低下
し易くなる。尚、Ti及びZrを含有することによりア
ルカリ金属が実質的に含有されないレベルにまで削減す
ることも可能である。また、第7発明と同様に2種のみ
のアルカリ金属を同時に含有することで、絶縁性は更に
向上する。
【0041】尚、スラリーの流動性を適度に向上させる
ためには、アルカリ金属とBの合計含有量は42質量%
以下(より好ましくは35質量%以下)であることが好
ましい。また、釉焼温度を低下させるために、アルカリ
金属、Ti及びZrの合計含有量は8質量%以上である
ことが好ましい。本発明の有色釉薬層を構成する非晶質
酸化物には、前記各成分以外にもAl、Ca、Fe、S
r、Mg、Bi、Ni、Sn、P及びMnのうちの少な
くとも1種を合計5質量%以下(より好ましくは3質量
%以下)含有できることは第7発明におけると同様であ
る。
【0042】本第6発明〜第9発明のスパークプラグの
製造方法においては、Si、B、Zn及びBaと、N
a、K及びLiのうちの2種の各々が所望の割合(例え
ば、第7発明)、又は、Si、B、Zn、Ba、Ti、
Zr、Na、K及びLiの各々が所望の割合(例えば、
第8発明)となるように原料粉末を混合する。その後、
混合粉末を1000〜1500℃にて溶融させた後、更
に急冷して非晶質化物を得る。次いで、非晶質化物を粉
砕してフリットを得る。その後、得られたフリットと所
望の顔料粉末、粘度鉱物、バインダ及び分散媒等を混合
してスラリーを得ることができる。得られたスラリー
は、公知の方法により施釉前の絶縁体に塗布され、その
後、800〜950℃の温度範囲にて焼成されることに
より有色釉薬層となる。
【0043】尚、粘度鉱物及びバインダ等は塗布された
スラリーの形状保持カを高める目的で混合される。粘度
鉱物としては、アロフェン、イモゴライト、ヒシンゲラ
イト、スメクタイト、カオリナイト、ハロイサイト、モ
ンモリロナイト、イライト、バーミキュライト、ドロマ
イト等の含水アルミノケイ酸塩を主成分とするもの及び
同様な組成を有する合成された化合物を挙げることがで
きる。これらは2種以上を混合して使用できる。
【0044】また、原料粉末としては、酸化物(複合酸
化物でもよい)の他、加熱及び/又は溶融により酸化物
となる水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、リ
ン酸塩等の各種粉末を使用できる。また、急冷は、溶融
物を水中に投じる方法の他、溶融物を冷却ロール表面に
噴射してフレーク状の急冷凝固物を得る方法も採用でき
る。
【0045】更に、軟化温度は600〜700℃である
ことが好ましい。700℃を超えると、950℃以上の
釉焼温度が必要となる。一方、600℃未満になると、
釉焼温度も800℃未満の低温に設定する必要が生ず
る。この場合、得られるスパークプラグが比較的高温の
環境下で長時間使用された場合の負荷寿命特性等が低下
し易い。軟化温度は、原料粉末を混合後、溶解して得ら
れた非晶化物を粉砕し、10μm〜100μm程度の粒
径とする。これを再加熱しながら示差熱分析を行い、屈
伏点を表す最初の吸熱ピークの次に現われるピーク(第
2番目の吸熱ピーク)の温度を軟化温度とする。また、
絶縁体表面に形成された有色釉薬層の軟化温度について
は、釉薬層中の成分の含有量を分析し、得られた組成と
等しくなるように、各原料粉末を配合し、溶解後、急冷
してガラス試料を得、そのガラス試料の軟化点を測定し
たものとする。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により更に
詳しく説明する。 実施例1(スパークプラグの構成及び製造方法) 図1、図2及び図3は、本発明のスパークプラグの一例
の断面図である。スパークプラグ100は、筒状の主体
金具1、先端部21が突出するようにその主体金具1の
内側に嵌め込まれた絶縁体2、先端に形成された発火部
31を突出させて絶縁体2の内側に配設された中心電極
3、及び主体金具から延設され中心電極3の先端部と対
向する接地電極4を備えている。接地電極4の発火部3
1に対向する部位には発火部32が形成されている。
【0047】主体金具1は円筒状に形成され、スパーク
プラグ100のハウジングを構成する。主体金具の外周
面にはプラグ100をエンジンブロックに取り付けるた
めのねじ部7(図示せず)が形成されている。尚、1e
は、主体金具1を取り付ける際に、レンチ等の工具を係
合させる工具係合用部である。
【0048】スパークプラグを構成する絶縁体2には、
軸方向に貫通孔6が形成されており、その一端から端子
金具13が挿入され固定されている。また、他方から中
心電極3が挿入され固定されている。貫通孔6内におい
て端子金具13と中心電極3との間に抵抗体15が配置
されている。この抵抗体15の両端部は、導電性ガラス
シール層16、17を介して中心電極3と端子金具1e
とにそれぞれ電気的に接続されている。これら抵抗体1
5と導電性ガラスシール層16、17とが焼結導電材料
部を構成している。尚、抵抗体15は、ガラス粉末と導
電材料粉末(及び必要に応じてガラス以外のセラミック
粉末)との混合粉末を原料とし、後述のガラスシール工
程においてこれを加熱及びプレスすることにより得られ
る抵抗体組成物で構成される。尚、抵抗体15を省略し
て、一層の導電性ガラスシール層により端子金具13と
中心電極3とを一体化した構成としてもよい。
【0049】絶縁体2の軸方向中間部には、周方向外向
きに突出する突出部2eが例えばフランジ状に形成され
ている。そして、絶縁体2には、中心電極3の先端に向
かう側を前方側として、突出部2eよりも後方側がこれ
よりも細径に形成された本体部2bとされている。一
方、突出部2eの前方側にはこれよりも細径の第一軸部
2gと、その第一軸部2gよりもさらに細径の第二軸部
2iがこの順序で形成されている。尚、本体部2bの外
周面後端部にはコルゲーション部2cが形成されてい
る。また、第一軸部2gの外周面は略円筒状1とされ、
第二軸部2iの外周面は先端に向かうはど縮径する略円
錐面状とされている。
【0050】他方、中心電極3の軸断面径は抵抗体15
の軸断面径よりも小さく設定されている。そして、絶縁
体2の貫通孔6は、中心電極3を挿通させる略円筒状の
第一部分6aと、その第一部分6aの後方側(図面上方
側)においてこれよりも大径に形成される略円筒状の第
二部分6bとを有する。図1に示すように、端子金具1
3と抵抗体15とは第二部分6b内に収容され、中心電
極3は第一部分6a内に挿通される。中心電極3の後端
部には、その外周面から外向きに突出して電極固定用凸
部3cが形成されている。そして、貫通孔6の第一部分
6aと第二部分6bとは、第一軸部2g内において互い
に接続しており、その接続位置には、中心電極3の電極
固定用凸部3cを受けるための凸部受け面6cがテーパ
面あるいはアール面状に形成されている。
【0051】また、第一軸部2gと第二軸部2iとの接
続部2hの外周面は段付面とされ、これが主体金具1の
内面に形成された主体金具側係合部としての凸部1cと
リング状の板パッキン63を介して係合することによ
り、軸方向の抜止めがなされている。他方、主体金具1
の後方側開口部内面と、絶縁体2の外面との間には、フ
ランジ状の突出部2eの後方側周縁と係合するリング状
の線パッキン62が配置され、そのさらに後方側にはタ
ルク等の充填層61を介してリング状の線パッキン60
が配置されている。そして、絶縁体2を主体金具1に向
けて前方側に押し込み、その状態で主体金具1の閉口縁
をパッキン60に向けて内側に加締めることにより加締
め部1dが形成され、主体金具1が絶縁体2に対して固
定されている。
【0052】次に、中心電極3及び接地電極4の各本体
部3a及び4aは、Ni合金等で構成されている。ま
た、中心電極3の本体部3aの内部は、放熱促進のため
にCu又はCu合金等で構成された芯材3bが埋設され
ていろ。一方、上記発火部31及び対向する発火部32
は、Ir、Pt及びRhの1種又は2種以上を主成分と
する貴金属合金を主体に構成される。図3に示すよう
に、中心電極3の本体部3aは先端側が縮径されるとと
もにその先端面が平坦に構成され、ここに上記発火部を
構成する合金組成からなる円板状のチップを重ね合わ
せ、さらにその接合面外縁部に沿ってレーザー溶接、電
子ビーム溶接、抵抗溶接等により溶接部Wを形成してこ
れを固着することにより発火部31が形成される。ま
た、対向する発火部32は、発火部31に対応する位置
において接地電極4にチップを位置合わせし、その接合
面外縁部に沿って同様に溶接部Wを形成してこれを固着
することにより形成される。尚、発火部31及び対向す
る発火部32は少なくとも一方を省略する構成としても
よい。
【0053】本発明のスパークプラグ100は、下記の
ような方法で製造することができる。絶縁体は、アルミ
ナ粉末と、Si、Ca、Mg、Ba及びBの原料粉末を
所定の割合で混合し、更に、バインダ(PVA等)及び
水等と共に混合してスラリーを得る。その後、得られた
スラリーをスプレードライ法により造粒し、ラバープレ
スして成形体を得、その後、グラインダ切削等により加
工した後、温度1400〜1600℃で焼成し絶縁体2
を得る。他方、別途調整した有色釉薬層となるスラリー
を噴霧ノズルから絶縁体2の必要な表面に塗布し、その
後、乾燥する。
【0054】次いで、図4(a)に示すように、絶縁体
2の貫通孔6の第一部分6aに中心電極3を挿入し、図
4(b)に示すように導電性ガラス粉末Hを充填する。
その後、図4(c)に示すように、貫通孔6内に押さえ
枠28を挿入して充填した粉末Hを予備圧縮し、第一の
導電性ガラス粉末層26を形成する。次いで抵抗体組成
物の原料粉末を充填して同様に予備圧縮し、更に導電性
ガラス粉末を充填して予備圧縮を行うことにより、図4
(d)に示すように、中心電極3側(下側)から貫通孔
6内には、第一の導電性ガラス粉末層26、抵抗体組成
物粉末層25及び第二の導電性ガラス粉末層27が積層
された状態となる。
【0055】その後、図5(a)に示すように、貫通孔
6に端子金具13を上方から配置した組立体PAを形成
する。この状態で炉内に挿入してガラス軟化点以上であ
る800〜950℃の所定温度に加熱し、その後、端子
全具13を貫通孔6内へ中心電極3と反対側から軸方向
に圧入して積層状態の各層25〜27を軸方向にプレス
する。これにより、図5(b)に示すように、各層は圧
縮され、焼結されてそれぞれ導電性ガラスシール層1
6、抵抗体15及び導電性ガラスシール層17となる。
図5に示すように、塗布層2d’は、上記ガラスシール
工程における加熱により同時に釉焼されて釉薬層2dと
なる。その後、組立体PAに、主体金具1及び接地電極
4等が組み付けられ、図1に示すスパークプラグ100
を得る。
【0056】実施例2(有色釉薬層が形成された絶縁体
を使用したスパークプラグの作製) 1.絶縁体の形成 アルミナ粉末、シリカ粉末、炭酸カルシウム粉末、酸化
マグネシウム粉末、炭酸バリウム粉末、ホウ酸粉末、酸
化亜鉛粉末を所定の割合にて混合し、得られた粉末総量
を100質量部として、PVAを親水性バインダとして
3質量部と、水103質量部とを加えて湿式混合により
スラリーを調製した。次いで、このスラリーをスプレー
ドライ法により造粒し、その後、更に、ふるいにより粒
径50〜100μmに整粒した。次いで、ラバープレス
法により50MPaにて成形し、その成形体の外周面に
グラインダ研削を施して所定の絶縁体形状に加工した
後、温度1550℃で焼成して絶縁体2を得た。得られ
た絶縁体2を、蛍光X線分析によりその組成を分析した
結果、Alを94.9質量%、Siを2.4質量%、C
aを1.9質量%、Mgを0.1質量%、Baを0.4
質量%、Bを0.3質量%(各々酸化物換算による)含
有することが分かった。
【0057】2.有色釉薬層となるスラリーの調製。 シリカ粉末(純度99.5%)、ホウ酸粉末(純度9
8.5%)、酸化亜鉛粉末(純度99.5%)、炭酸バ
リウム粉末(純度99.5%)、炭酸ナトリウム粉末
(純度99.5%)、炭酸カリウム粉末(純度99
%)、アルミナ粉末(純度99.5%)、酸化鉄粉末
(Fe23純度99.0%)、炭酸カルシウム粉末(純
度99.8%)、酸化チタン粉未(純度99.5%)、
炭酸ストロンチウム粉末(純度99%)、酸化錫粉未
(純度99%)、酸化鉄粉末(FeO純度99%)の各
々、及び顔料であるCoO−Al23−Cr23(緑系
色を呈する)、CoO−SiO2(青系色を呈する)又
はCr23−Al23−ZnO(赤系色を呈する)を表
1に示す割合で混合した。
【0058】
【表1】
【0059】その後、得られた混合粉末を1000〜1
500℃に加熱して溶融させ、溶融物を水中に投じて急
冷して非晶質化させた。次いで、得られた非晶質化物を
アルミナ製ポットミルにより粒径50μm以下に粉砕し
てフリットを得た。その後、得られたフリット100質
量部に対して、二ュージーランドカオリン(粘土鉱物)
を3質量部、及びPVA(バインダ)を2質量部、水を
100質量部加えて混合し、スラリーを得た。
【0060】3.スラリーの塗布及び釉焼 2.で得られたスラリーを、噴霧ノズルより1.で得ら
れた絶縁体2の表面に噴霧後、乾燥してスラリー塗布層
を形成した。乾燥後の釉薬の塗布厚さは80μm程度で
ある。この絶縁体2を前記のように組み付けた後、温度
900℃で釉焼し、図1と同様なスパークプラグを作製
した。但し、絶縁体2の表面に形成された釉薬層2dの
厚さはいずれも50μmであった。また、抵抗体15の
原料粉末としてB23−SiO2−BaO−Li2O系ガ
ラス、ZrO2粉末、カーボンブラック粉末、TiO2
未、金属A1粉未を、更に、導電性ガラスシール層1
6、17の原料粉末としてはB23−SiO2−Na2
系ガラス、Cu粉末、Fe粉末、Fe−B粉末を各々用
いた。また、ねじ部7の外径は14mmとした。また、
フリットを形成する前の非晶質の塊状物をX線回折測定
したところ、非晶質であることが確認された。
【0061】4.絶縁抵抗値及びフラッシュオーバ電圧
の測定 3.で得られた各スパークプラグについて、電気炉中5
00℃において、スパークプラグの端子金具と主体金具
との間に1000Vの電圧を印加した場合の絶縁抵抗値
を測定した。その結果を表1に併記する。また、各スパ
ークプラグについて、温度25℃、湿度55%の雰囲気
において、中心電極を絶縁性液体に浸漬して絶縁し、端
子金具より電圧を増加させながら印加した場合に、端子
金具と主体金具との間でフラッシュオーバする電圧を測
定した。この結果を表1に併記する。尚、表1において
*は第5発明、第6発明及び第8発明の範囲外であるこ
とを示す。
【0062】5.評価 表1より、特に、スラリー中に含有される顔料が20質
量%以下であれば、500℃における絶縁抵抗が500
MΩ以上であり、且つフラッシュオーバ電圧が30kV
以上であるスパークプラグが得られることが分かる。ま
た、顔料が15質量%以下であれば、500℃における
絶縁抵抗が900MΩ以上であり、且つフラッシュオー
バ電圧が31kV以上であるスパークプラグが得られる
ことが分かる。更に、顔料が10質量%以下であれば、
500℃における絶縁抵抗が1100MΩ以上であり、
且つフラッシュオーバ電圧が32kV以上であるスパー
クプラグが得られることが分かる。
【0063】尚、本発明においては、上記の具体的実施
例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の
範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即
ち、本第1発明の範囲内である絶縁体及びスパークプラ
グであっても、その有色釉薬層にはアルカリ金属成分の
共添加による導電性抑制の効果が損なわれない範囲で、
他のアルカリ金属成分を含有していてもよい。
【0064】
【発明の効果】本第1発明及び第2発明によると、表面
に美麗な色彩を有する有色釉薬層を備え、且つ優れた性
能を備えるスパークプラグ用絶縁体を得ることができ
る。また、第3発明及び第4発明によると、上記のよう
な絶縁体を備える優れたスパークプラグを得ることがで
きる。更に、第5発明によると、優れた高温耐絶縁抵抗
及び高い耐フラッシュオーバー性を備えるスパークプラ
グを得ることができる。また、第6発明及び第8発明に
よると、上記のような優れたスパークプラグを簡便に、
且つ安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一例の断面図であ
る。
【図2】本発明のスパークプラグの一例の先端部分の拡
大断面図である。
【図3】本発明のスパークプラグの一例の中心電極及び
接地電極付近の拡大断面図である。
【図4】本発明のスパークプラグの製造工程を模式的に
示す説明図である。
【図5】図4に続く製造工程を模式的に示す説明図であ
る。
【符号の説明】
100;スパークプラグ、1;主体金具、2;絶縁体、
2d;有色釉薬層、2d’;スラリー塗布層、3;中心
電極、4;接地電極、13;端子金具、15;抵抗体、
16及び17;導電性ガラスシール層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01T 13/38 H01T 13/38 13/52 13/52 21/02 21/02 Fターム(参考) 4G062 AA08 BB01 BB05 DA04 DA05 DB01 DC04 DC05 DD01 DE04 DF01 EA01 EA02 EA03 EA04 EB01 EB02 EB03 EB04 EC01 EC02 EC03 EC04 ED01 EE01 EF01 EG03 EG04 FA01 FA10 FB01 FB03 FC01 FC03 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM05 NN40 5G059 AA03 AA05 CC02 FF12 FF14 5G303 AA10 AB01 AB02 BA12 CA01 CB02 CB03 CB14 CB16 CB20 CB30 CB38 CC08 DA02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スパークプラグに配設されるスパークプ
    ラグ用絶縁体において、表面の少なくとも一部に、S
    i、B、Zn及びBaと、Li、Na及びKのうちの2
    種とからなる非晶質酸化物を主成分とし、且つ顔料を含
    有する有色釉薬層を備えることを特徴とするスパークプ
    ラグ用絶縁体。
  2. 【請求項2】 スパークプラグに配設されるスパークプ
    ラグ用絶縁体において、表面の少なくとも一部に、S
    i、B、Zn及びBaと、Ti及びZrの少なくとも一
    方と、Li、Na及びKのうちの少なくとも1種とから
    なる非晶質酸化物を主成分とし、顔料を含有する有色釉
    薬層を備えることを特徴とするスパークプラグ用絶縁
    体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のスパークプラグ用絶縁体
    を備えることを特徴とするスパークプラグ。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のスパークプラグ用絶縁体
    を備えることを特徴とするスパークプラグ。
  5. 【請求項5】 スパークプラグ用絶縁体の一端に固定さ
    れる端子金具、他端に固定される中心電極及び該スパー
    クプラグ用絶縁体の周面の一部に外接し、接地電極が延
    設される主体金具を備えるスパークプラグにおいて、
    (1)上記端子金具と上記主体金具との間に1000V
    の電圧差を生じさせた場合の、該端子金具と該主体金具
    との間の500℃における絶縁抵抗は500MΩ以上で
    あり、且つ、(2)温度25℃、湿度55%の雰囲気下
    において、上記中心電極を絶縁し、該端子金具より電圧
    を増加させながら印加した場合に、該端子金具と該主体
    金具との間で絶縁破壊する上記電圧は30kV以上であ
    る請求項3又は4記載のスパークプラグ。
  6. 【請求項6】 請求項3記載のスパークプラグの製造方
    法であって、施釉前スパークプラグ用絶縁体の表面の少
    なくとも一部に、非晶質酸化物と顔料の合計を100質
    量%とした場合に、該顔料が20質量%以下であるスラ
    リーを塗布し、その後、釉焼することを特徴とするスパ
    ークプラグの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記非晶質酸化物は、該非晶質酸化物を
    100質量%とした場合に、SiをSiO2換算で18
    〜35質量%、BをB23換算で25〜40質量%、Z
    nをZnO換算で10〜25質量%、BaをBaO換算
    で7〜20質量%、Li、Na及びKのうちの2種を各
    々Li2O換算、Na2O換算及びK2O換算で各々3〜
    9質量%含有する請求項6記載のスパークプラグの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項4記載のスパークプラグの製造方
    法であって、施釉前スパークプラグ用絶縁体の表面の少
    なくとも一部に、非晶質酸化物と顔料の合計を100質
    量%とした場合に、該顔料が20質量%以下であるスラ
    リーを塗布し、その後、釉焼することを特徴とするスパ
    ークプラグの製造方法。
  9. 【請求項9】 上記非晶質酸化物は、該非晶質酸化物を
    100質量%とした場合に、SiをSiO2換算で20
    〜38質量%、BをB23換算で20〜35質量%、Z
    nをZnO換算で15〜25質量%、BaをBaO換算
    で10〜23質量%、Ti及びZrを各々TiO2換算
    及びZrO2換算で合計2〜10質量%、Li、Na及
    びKを各々Li2O換算、Na2O換算及びK2O換算で
    合計12質量%以下含有する請求項8記載のスパークプ
    ラグの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7038363B2 (en) 2002-12-27 2006-05-02 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Spark plug with marking layer composition
US10790640B2 (en) 2015-10-14 2020-09-29 Denso Corporation Spark plug for internal combustion engine

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