JP2001200263A - 廃プラスチックを用いた高炉用コークスの製造方法 - Google Patents
廃プラスチックを用いた高炉用コークスの製造方法Info
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Abstract
製造プロセスにおいて、コークス炉で原料炭と共に廃プ
ラスチックを乾留・熱分解して、コークス、タール、軽
油、燃料ガス等として回収する際に、高炉用コークス製
品としての強度等の品質劣化を抑制し得るコークス炉に
よる廃プラスチックの処理方法の提供を目的とするもの
である。 【解決手段】 樹脂または有機化合物、あるいはそれら
を含む廃プラスチックを原料炭に配合して、コークス炉
で原料炭と共に乾留し高炉用コークスを製造する方法に
おいて、前記樹脂または有機化合物、あるいはそれらを
含む廃プラスチックの重量減少率最大温度が前記原料炭
の軟化溶融温度範囲内であるか、または軟化溶融温度範
囲より高温であることを特徴とする廃プラスチックを用
いた高炉用コークスの製造方法。
Description
エチレン、ポリスチレンのいわゆる3Pと呼ばれている
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のいわゆ
る塩素含有樹脂、及びポリ塩化ビフェニール等のいわゆ
る塩素含有有機化合物は、毎年、産業廃棄物として約4
00万トン、家庭から収集される一般廃棄物として約4
00万トン排出されている。これらの産業廃棄物または
一般廃棄物として排出される樹脂または有機化合物、あ
るいはその他の樹脂(以下、廃プラスチックと略称す
る)。本発明は、上記廃プラスチックを原料炭に配合し
てコークス炉に装入して乾留する高炉用コークスの製造
方法に関し、特にコークス炉で原料炭と共に廃プラスチ
ックを乾留する際に、コークス品質を悪化させることな
く高生産性で高炉用コークスを製造できる高炉用コーク
スの製造方法に関する。
が燃焼焼却、埋立処分されている。燃焼処理では発熱量
が大きいために焼却炉がダメージを受け、更に塩素を含
む廃プラスチックの場合は排気ガス中の塩素の処理が問
題となる。また、廃プラスチックは、土壌中の細菌やバ
クテリアで分解されず、埋め立て地が不足するととも
に、環境負荷がストックされている。そこで近年、焼却
・埋め立て処分せずに環境に配慮したリサイクル技術の
採用が求められている。現在焼却しないリサイクルの方
法としてはプラスチック原料としての再利用の他、熱分
解で得られるガス分や油分を燃料や化学原料として再利
用する方法がある。
て、鉄鋼製造プロセスの一つであるコークス炉を用いて
原料炭と共に廃プラスチックを乾留、熱分解する方法が
古くから知られいる。例えば、特開昭48−34901
号公報、特公昭49−10321号公報、特開昭59−
120682号公報、特開平3−9989号公報等で
は、従来のタールやピッチの全てまたは、一部を廃プラ
スチックに代替して、原料炭に配合する方法について開
示されているが、各種銘柄の原料炭の配合割合、廃プラ
スチックの種類の違いによってコークス強度の向上効果
が異なるにも拘わらず、これらの条件が配慮されていな
かった。
ークス強度低下を考慮し、特開平8−157834等で
は原料炭に対する廃プラスチックの配合割合および廃プ
ラスチックの装入位置を規定したコークス炉による廃プ
ラスチックの処理方法も知られているが、廃プラスチッ
クの種類の違いによるコークス強度低下への影響を配慮
されていないため、コークス強度等の品質の優れたコー
クスを安定的に製造することは困難であった。
法は、原料炭と共にる廃プラスチックを乾留することに
よりコークス、タール、軽油、燃料ガス等を得ることが
できる廃プラスチックのリサイクル方法として優れたも
のであるが、上記のように従来法は、廃プラスチックの
配合によりコークス品質が悪化する恐れがあるため、安
定して品質が良好なコークスを製造することは困難であ
った。
鑑みて、本発明は、鉄鋼製造工程の一つである高炉用コ
ークスの製造プロセスにおいて、コークス炉で原料炭と
共に廃プラスチックを乾留・熱分解して、コークス、タ
ール、軽油、燃料ガス等として回収する際に、高炉用コ
ークス製品としての強度等の品質劣化を抑制し得るコー
クス炉による廃プラスチックの処理方法の提供を目的と
するものである。
有機化合物、あるいはそれらを含む廃プラスチックを石
炭に配合してコークス炉で乾留して高炉用コークスを製
造する方法において、配合炭の構成により樹脂または有
機化合物の種類、あるいは廃プラスチックの組成を調整
する、あるいは樹脂または有機化合物の種類、あるいは
廃プラスチックの組成によりコークス炉装入炭の配合構
成銘柄を調整することにより、コークス品質を悪化させ
ることなく、樹脂または有機化合物、あるいはそれらを
含む廃プラスチックを石炭に配合してコークス炉で乾留
して高炉用コークスを製造できることを見出した。
が石炭の加熱状態における粘結性に及ぼす影響について
検討し、重量減少率最大温度が、石炭の軟化溶融温度
範囲より低温側であると、石炭の粘結性が阻害されるこ
と、脂肪族系の樹脂または有機化合物配合では粘結性
が阻害されにくいが、芳香族系の樹脂または有機化合物
配合では粘結性が大きく阻害されること、酸素を含む
樹脂または有機化合物配合では粘結性が大きく阻害され
ること、これらの粘結性阻害により、コークス強度が
低下することを見出した。
有機化合物の種類、あるいは廃プラスチックの組成を調
整する、あるいは樹脂または有機化合物の種類、あるい
は廃プラスチックの組成によりコークス炉装入炭の配合
構成銘柄を調整することにより、石炭の粘結性を低下さ
せず、コークス品質を悪化させることなく、樹脂または
有機化合物、あるいはそれらを含む廃プラスチックを石
炭に配合してコークス炉で乾留して高炉用コークスを製
造できることを確認し、本発明を完成するに至った。
段にある。 (1)樹脂または有機化合物、あるいはそれらを含む廃
プラスチックを原料炭に配合して、コークス炉で原料炭
と共に乾留し高炉用コークスを製造する方法において、
前記樹脂または有機化合物、あるいはそれらを含む廃プ
ラスチックの重量減少率最大温度が前記原料炭の軟化溶
融温度範囲内であるか、または軟化溶融温度範囲より高
温であることを特徴とする廃プラスチックを用いた高炉
用コークスの製造方法。 (2) 前記樹脂または有機化合物、あるいはそれらを
含む廃プラスチックの重量減少率最大温度と前記原料炭
の軟化溶融温度範囲とが上記(1)に記載の関係になる
ように、前記廃プラスチック中の樹脂及び有機化合物の
種類を選択して前記原料炭に配合することを特徴とする
上記(1)に記載の廃プラスチックを用いた高炉用コー
クスの製造方法。
はそれらを含む廃プラスチックの重量減少率最大温度と
前記原料炭の軟化溶融温度範囲とが上記(1)に記載の
関係になるように、前記原料炭中の各銘柄の石炭の配合
割合を調整することを特徴とする上記(1)に記載の廃
プラスチックを用いた高炉用コークスの製造方法。 (4)樹脂または有機化合物、あるいはそれらを含む廃
プラスチックを原料炭に配合して、コークス炉で原料炭
と共に乾留し高炉用コークスを製造する方法において、
前記樹脂または有機化合物、あるいはそれらを含む廃プ
ラスチックを脂肪族系のものと芳香族系のものに分別
し、脂族系樹脂または脂族系有機化合物、あるいはそれ
らを含む脂族系廃プラスチックを選択して前記原料炭に
配合することを特徴とする廃プラスチックを用いた高炉
用コークスの製造方法。
有機化合物が、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビ
ニルであり、前記脂肪族系廃プラスチックの組成が、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニルを主体(70
重量%以上)とすることを特徴とする上記(4)に記載
の廃プラスチックを用いた高炉用コークスの製造方法。 (6) 樹脂または有機化合物、あるいはそれらを含む
廃プラスチックを原料炭に配合して、コークス炉で原料
炭と共に乾留し高炉用コークスを製造する方法におい
て、前記樹脂または有機化合物、あるいはそれらを含む
廃プラスチックから酸素を含まない樹脂または有機化合
物、あるいはそれらを含む廃プラスチックを選択して前
記原料炭に配合することを特徴とする高炉用コークスの
製造方法。 (7) 前記原料炭が低石炭化度炭あるいは高揮発分炭
であることを特徴とする上記(1)から上記(6)のい
ずれか1項に記載の廃プラスチックを用いた高炉用コー
クスの製造方法。
よる廃プラスチックの処理方法において、原料炭と共に
廃プラスチックを乾留・熱分解する場合、コークス製品
や副製品であるタール、軽油及び燃料ガス等の生成量は
増加する一方、コークス製品の強度等の品質が低下する
と言う問題があった。一般に高炉用コークスの製造プロ
セスにおいて、原料炭はコークス炉の炭化室で1000
〜1200℃の高温で乾留されるが、コークス製品の強
度は、石炭の乾留中、400〜500℃で観測される軟
化溶融状態における粘結性によって影響を受けることが
知られれている。
は、JIS M8801に規定されたギーセラープラス
トメーター法による流動性試験において測定される最高
流動度指数(MF)と、ジラトメーター法による膨脹性
試験において測定される全膨張率指数(TD)とがあり
(MFまたはTDが高いほど粘結性が高くなる)、コー
クス強度を維持するにはある一定値以上の粘結性が必要
であるとされている。
い石炭は価格が高いため、コークス製造業者は非微粘結
炭とよばれる粘結性指数が低いが価格が安い石炭を可能
な限り多く使用することを目指している。したがって、
通常の操業においては、コークスの製造コスト低減のた
め、所定強度のコークスを得るために必要最低限の粘結
性を確保するような強粘結炭と非微粘結炭の配合を行っ
ている。このため、廃プラスチック添加によって、原料
配合炭の粘結性が低下した場合には、コークス強度の低
下を避けるために、高価な強粘結炭の配合割合を増大さ
れなければならず、コークス製造コストの増加という問
題があるため、避けなければならない。
合した際の原料炭の粘結性への影響を調べるために、先
ず、熱分解温度が異なる各種銘柄の石炭の軟化溶融温度
と各種の廃プラスチックの熱分解温度との関係、原料炭
に廃プラスチックを配合した際に、廃プラスチックが原
料炭の粘結性に及ぼす影響について詳細に検討した。一
般に、石炭の軟化溶融温度は、低い軟化溶融温度のもの
で400℃〜450℃、高い軟化溶融温度のもので45
0℃〜500℃であるが、各種の廃プラスチックの熱分
解温度を調べた結果、廃プラスチックの種類により熱分
解温度が異なるが、その温度範囲は、石炭の軟化溶融温
度範囲に近いことが判った。
温度と石炭軟化溶融温度範囲の関係に着目し、更に詳細
検討を行った結果、廃プラスチックの重量減少率最大温
度が、石炭の軟化溶融温度範囲内にあるか、あるいは軟
化溶融温度範囲より高温側にある場合においては、石炭
の粘結性が阻害されにくいことを見出した。ここで、軟
化溶融温度範囲とは、ギーセラープラストメーター法に
よる流動性試験において測定される軟化開始温度から固
化温度までの範囲と定義する。また、重量減少率最大温
度とは、熱天秤において、窒素雰囲気中で常温より3℃
/minで昇温した時の重量減少率が最大となる温度と
定義する。
炭の軟化溶融温度範囲よりも低い場合は、石炭が軟化溶
融する前に廃プラスチックが熱分解してガス、タール、
残渣が生成するが、この内、ガスが抜けた後に生成した
空隙や残渣が、石炭の軟化溶融の膨張を阻害するイナー
ト成分として作用し、これが、コークスの粘結性を低下
する原因となるものと考えられる。
度が、石炭の軟化溶融温度範囲内にある場合は、石炭が
軟化溶融を開始した後に廃プラスチックが熱分解するた
め、廃プラスチックから生成したガス及び残渣は粘性の
高い石炭の軟化溶融物中にトラップされる。この廃プラ
スチックから生成したガス及び残渣は、石炭の軟化溶融
物に含有している石炭自身から発生する多量の熱分解ガ
ス及び石炭に含有しているイナート成分に比べて、その
影響が無視できる程度に小さいため、石炭の粘結性を阻
害しないものと考えられる。さらに、廃プラスチックの
重量減少率最大温度が、軟化溶融温度範囲より高温側に
ある場合は、既に石炭の軟化溶融が完了してしまった後
に、廃プラスチックの熱分解が起こるので、廃プラスチ
ックの熱分解生成物(ガス及び残渣)は石炭の粘結性を
阻害しないと考えられる。
スチックを配合する際に、装入廃プラスチックの化学構
造の違いによる石炭の粘結性への影響についても詳細検
討した。一般に、廃プラスチックは、芳香族系(ポリス
チレン、PETなど)と脂肪族系(ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリ塩化ビニルなど)に大きく分けられる
が、脂肪族系の廃プラスチックを配合炭に配合した場合
は、配合炭の粘結性が阻害されにくいが、芳香族系の廃
プラスチックを配合した場合では粘結性が大きく阻害さ
れることが判った。これは、構造中に芳香族環を有する
芳香族系(ポリスチレン、PETなど)廃プラスチック
の熱分解生成物が石炭の軟化溶融において石炭に作用し
て重合を促すために、その粘結性が低下するためと考え
られる。また、芳香族系プラスチックは重量減少率最大
温度が低いので、これも粘結性の低下に影響を与えるこ
とも考えられる。また、酸素を含むプラスチックを配合
した場合においても、粘結性が大きく阻害されることが
判った。これは、熱分解により発生した酸素ラジカルが
石炭を酸化し、粘結性が低下するためと考えられる。
高揮発分炭の軟化溶融温度範囲は、コークス製造用原料
炭の中でも比較的低温側にある。また、樹脂または有機
化合物、あるいはそれらを含む廃プラスチックの重量減
少率最大温度は、これらの石炭の軟化溶融温度範囲と同
じか、あるいは低めであることが多い。したがって、低
石炭化度炭あるいは高揮発分炭を多く配合することによ
り、配合炭の軟化溶融温度範囲を下げることができ、樹
脂または有機化合物、あるいはそれらを含む廃プラスチ
ックの重量減少率最大温度が、配合炭の軟化溶融温度範
囲内または高温であるような条件により簡単に作ること
が可能となる。
(A炭、B炭、C炭)の軟化溶融温度範囲(前述のギー
セラープラストメーターで測定される軟化温度と固化温
度)を示し、表2に3種の廃プラスチック(ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリスチレン)の重量減少率最大
温度を示し、表3には、表2に示された3種の廃プラス
チックを表1に示される3種の石炭に添加した場合及び
廃プラスチックを添加しない場合の最高流動度指数(M
F)を示した。
少率最大温度が、何れの3種の石炭の軟化溶融温度範囲
内であるか、軟化溶融温度範囲よりも高いポリエチレン
を配合率5%の割合で石炭に添加した場合であるが、N
o.1、5,9のポリエチレンを添加しない場合に比べ
て最高流動度指数(MF)はほぼ同じである。表3の試
験No.3、7は、重量減少率最大温度が、A炭、B炭
の軟化溶融温度範囲内であるポリプロピレンを配合率5
%の割合で石炭に添加した場合であるが、No.1、5
のポリプロピレンを添加しない場合に比べて最高流動度
指数(MF)はほぼ同じである。
率最大温度が、C炭の軟化溶融温度範囲よりも低いポリ
プロピレンを配合率5%の割合で石炭に添加した場合で
あるが、No.9のポリプロピレンを添加しない場合に
比べて最高流動度指数(MF)は低下している。さら
に、表3の試験No.4,8,12は、芳香族性のプラ
スチックであるポリスチレンを配合率5%の割合で石炭
に添加した場合であるが、No.1、5,9のポリスチ
レンを添加しない場合に比べて最高流動度指数(MF)
は大きく低下している。
プラスチックを配合してコークス炉に装入する際に、装
入配合炭の粘結性を阻害し、コークス強度を低下させな
いように、装入する廃プラスチックの重量減少率最大温
度が装入する原料の配合炭の軟化溶融温度範囲内か、ま
たは高温であるように廃プラスチックを選別して装入す
るか、または、原料炭の配合を調整して装入するものと
する。上記の本発明において廃プラスチックの配合量は
特に規定する必要はないが、さらにコークス強度の低下
を改善するためには、配合率の上限を2重量%とするこ
とが好ましい。
スチックを配合してコークス炉に装入する際に、石炭の
軟化溶融時に芳香族系(ポリスチレン、PETなど)廃
プラスチックの熱分解生成物による石炭の重合を抑制
し、配合炭の粘結性の低下及びコークス強度の低下を防
止するために、廃プラスチックを芳香族系(ポリスチレ
ン、PETなど)と脂肪族系(ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニルなど)の各廃プラスチックに分
別し、脂肪族系の廃プラスチックを選択して原料の配合
炭に配合して装入のが好ましい。廃プラスチックの芳香
族系と脂肪族系とを分別する方法としては、あらかじめ
成分から、例えば、構造中に芳香族環を含むプラスチッ
クを含有する芳香族系廃プラスチックと定義し、それ以
外の脂肪族系廃プラスチックと選別することにより行わ
れる。
スチックを配合してコークス炉に装入する際に、酸素含
有プラスチックの熱分解生成物で生成した酸素ラジカル
による石炭の酸化を抑制し、配合炭の粘結性の低下及び
コークス強度の低下を防止するために、装入する廃プラ
スチックから酸素含有廃プラスチックを分別し、酸素を
含有しない廃プラスチックのみを選択して、原料の配合
炭に配合して装入するのが好ましい。
炭にポリプロピレンを1重量%添加したものを、炉幅4
25mm、炉高400mm、炉長600mmの試験コー
クス炉に装入密度0.83dry−t/m3 で装入し、
炉温1250℃、乾留時間18.5時間の条件で乾留し
た。その後、焼成後のコークスを窒素で冷却した後、J
IS K2151に準じてコークスのドラム強度指数
(150回転後+15mm指数)を測定した。
リプロピレンを1重量%添加した時のドラム強度、プラ
スチック未添加時のドラム強度、それらのドラム強度の
差を示した。なお、通常高炉で使用されるコークスのド
ラム強度は84.0以上を確保する必要があるため、プ
ラスチック未添加(試験No.1−1,2−1,3−
1)時の石炭配合は、コークスのドラム強度が84.0
以上となるように調整し、これらにプラスチックを添加
(試験No.1−2,2−2,3−2)してコークスの
ドラム強度の低下有無を確認した。
るB炭及びC炭は、表1に示す石炭と同じ銘柄であり、
B炭及びC炭の軟化溶融温度範囲とポリプロピレン及び
ポリスチレンの重量減少率最大温度の関係は、表1及び
表2に示される通りである。つまり、ポリプロピレンの
重量減少率最大温度は、B炭の軟化溶融温度範囲内にあ
り、C炭の軟化溶融温度範囲より低い。したがって、ポ
リプロピレンはB炭に添加しても粘結性を低下させない
が、C炭に添加すると粘結性を低下させる。
0%の配合炭に対しポリプロピレンを1重量%添加した
場合であるが、この場合ドラム強度は、ポリプロピレン
未添加の試験No.1−1に比べて、0.4低下し、コ
ークス強度は目標の84.0に達していない。これは、
配合炭の軟化溶融温度範囲が435−498℃であり、
ポリプロピレンの重量減少率最大温度はこれより低いた
めである。これに対して、試験No.2−2、3−2
は、C炭の配合比を15%、0%と減じたことにより、
軟化溶融温度範囲が低下しており、ポリプロピレンの重
量減少率最大温度が、配合炭の軟化溶融温度範囲内に入
っている。このため、ポリプロピレンの添加による粘結
性の低下は少なくなり、添加前後でドラム強度は変化せ
ず、目標とする84.0以上のドラム強度が維持できて
いることがわかる。
添加しない場合、試験No.2,3,4,5,6は、B
炭に対し、ポリプロピレン100%、ポリプロピレン5
0%及びポリスチレン50%、ポリスチレン100%、
ポリプロピレン50%及びPET(ポリエチレンテレフ
タレート)50%、PET100%の組成の廃プラスチ
ックを配合炭に1重量%添加した場合である。廃プラス
チック中のポリスチレン組成比が増加するとともに、廃
プラスチックの添加によるドラム強度低下は大きくなっ
ている。これは、ポリスチレンが芳香族系プラスチック
であり、石炭の粘結性が阻害されたためと考えられる。
また、廃プラスチック中のPET組成比が増加するとと
もに、廃プラスチックの添加によるドラム強度低下は大
きくなっている。これは、PETが酸素を含むプラスチ
ックであり、石炭の粘結性が阻害されたためと考えられ
る。
原料炭に配合してコークス炉で原料炭と共に乾留する際
に、廃プラスチックの重量減少率最大温度が原料炭の軟
化溶融温度範囲内であるか、または軟化溶融温度範囲よ
り高温になるように、廃プラスチック中の樹脂及び有機
化合物の種類を選択して前記原料炭に配合するか、また
は、原料炭中の各銘柄の石炭の配合割合を調整すること
で、配合用いて高炉用コークスの製造する際に、コーク
ス強度の低下がなく優れた品質の高炉用コークスを製造
できる。
樹脂または有機化合物の種類、あるいは廃プラスチック
の組成を調整し、あるいは特定の樹脂または有機化合物
の種類、あるいは廃プラスチックの組成に対してコーク
ス炉装入炭の配合構成銘柄を調整することにより、コー
クス強度低下等のコークス品質を悪化させることなく、
樹脂または有機化合物、あるいはそれらを含む廃プラス
チックを石炭に配合し乾留して高炉用コークスを製造す
ることが可能となった。本発明により、廃プラスチック
の使用による原料炭使用量が削減可能となるばかりでな
く、鉄鋼業の製鉄工程で多額の設備投資をすることな
く、廃プラスチックを多量に熱分解してガス、タール、
コークスに変換する廃プラスチックのリサイクル処理が
可能となるため、その経済的効果は極めて大きい。
Claims (7)
- 【請求項1】 樹脂または有機化合物、あるいはそれら
を含む廃プラスチックを原料炭に配合して、コークス炉
で原料炭と共に乾留し高炉用コークスを製造する方法に
おいて、前記樹脂または有機化合物、あるいはそれらを
含む廃プラスチックの重量減少率最大温度が前記原料炭
の軟化溶融温度範囲内であるか、または軟化溶融温度範
囲より高温であることを特徴とする廃プラスチックを用
いた高炉用コークスの製造方法。 - 【請求項2】 前記樹脂または有機化合物、あるいはそ
れらを含む廃プラスチックの重量減少率最大温度と前記
原料炭の軟化溶融温度範囲とが請求項1に記載の関係に
なるように、前記廃プラスチック中の樹脂及び有機化合
物の種類を選択して前記原料炭に配合することを特徴と
する請求項1に記載の廃プラスチックを用いた高炉用コ
ークスの製造方法。 - 【請求項3】 前記樹脂または有機化合物、あるいはそ
れらを含む廃プラスチックの重量減少率最大温度と前記
原料炭の軟化溶融温度範囲とが請求項1に記載の関係に
なるように、前記原料炭中の各銘柄の石炭の配合割合を
調整することを特徴とする請求項1に記載の廃プラスチ
ックを用いた高炉用コークスの製造方法。 - 【請求項4】 樹脂または有機化合物、あるいはそれら
を含む廃プラスチックを原料炭に配合して、コークス炉
で原料炭と共に乾留し高炉用コークスを製造する方法に
おいて、前記樹脂または有機化合物、あるいはそれらを
含む廃プラスチックを脂肪族系のものと芳香族系のもの
に分別し、脂族系樹脂または脂族系有機化合物、あるい
はそれらを含む脂族系廃プラスチックを選択して前記原
料炭に配合することを特徴とする廃プラスチックを用い
た高炉用コークスの製造方法。 - 【請求項5】 前記脂肪族系樹脂または脂肪族系有機化
合物が、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニルで
あり、前記脂肪族系廃プラスチックの組成が、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、塩化ビニルを主体とすることを
特徴とする請求項4に記載の廃プラスチックを用いた高
炉用コークスの製造方法。 - 【請求項6】 樹脂または有機化合物、あるいはそれら
を含む廃プラスチックを原料炭に配合して、コークス炉
で原料炭と共に乾留し高炉用コークスを製造する方法に
おいて、前記樹脂または有機化合物、あるいはそれらを
含む廃プラスチックを酸素を含むものと酸素をふくまな
いものに分別し、酸素を含まない樹脂または有機化合
物、あるいはそれらを含む廃プラスチックを選択して前
記原料炭に配合することを特徴とする高炉用コークスの
製造方法。 - 【請求項7】 前記原料炭が低石炭化度炭あるいは高揮
発分炭であることを特徴とする請求項1から請求項6の
いずれか1項に記載の廃プラスチックを用いた高炉用コ
ークスの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2000007378A JP2001200263A (ja) | 2000-01-17 | 2000-01-17 | 廃プラスチックを用いた高炉用コークスの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2000007378A JP2001200263A (ja) | 2000-01-17 | 2000-01-17 | 廃プラスチックを用いた高炉用コークスの製造方法 |
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JP2000007378A Pending JP2001200263A (ja) | 2000-01-17 | 2000-01-17 | 廃プラスチックを用いた高炉用コークスの製造方法 |
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JP (1) | JP2001200263A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005194537A (ja) * | 2000-04-20 | 2005-07-21 | Jfe Steel Kk | コークスの製造方法 |
KR101029452B1 (ko) | 2008-03-11 | 2011-04-14 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 코크스 제조용 원료탄의 제조 방법, 코크스의 제조 방법 및선철의 제조 방법 |
JP2013028800A (ja) * | 2011-06-24 | 2013-02-07 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 粘結補填材の選択方法及びそれを利用した高強度コークスの製造方法 |
CN104726120A (zh) * | 2013-12-23 | 2015-06-24 | Posco公司 | 用于生产焦炭的混合物及使用所述混合物生产焦炭的方法 |
-
2000
- 2000-01-17 JP JP2000007378A patent/JP2001200263A/ja active Pending
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JP2005194537A (ja) * | 2000-04-20 | 2005-07-21 | Jfe Steel Kk | コークスの製造方法 |
KR101029452B1 (ko) | 2008-03-11 | 2011-04-14 | 가부시키가이샤 고베 세이코쇼 | 코크스 제조용 원료탄의 제조 방법, 코크스의 제조 방법 및선철의 제조 방법 |
JP2013028800A (ja) * | 2011-06-24 | 2013-02-07 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 粘結補填材の選択方法及びそれを利用した高強度コークスの製造方法 |
CN104726120A (zh) * | 2013-12-23 | 2015-06-24 | Posco公司 | 用于生产焦炭的混合物及使用所述混合物生产焦炭的方法 |
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