JP2001200066A - 薄肉射出成形品 - Google Patents

薄肉射出成形品

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JP2001200066A JP2000343965A JP2000343965A JP2001200066A JP 2001200066 A JP2001200066 A JP 2001200066A JP 2000343965 A JP2000343965 A JP 2000343965A JP 2000343965 A JP2000343965 A JP 2000343965A JP 2001200066 A JP2001200066 A JP 2001200066A
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宏之 若林
Kazutoyo Osuga
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Makoto Kato
誠 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 剛性が高く,電気絶縁性に優れ軽量の薄肉射
出成形品を提供する。 【解決手段】 ポリマー1中に有機化クレイ2を分散さ
せた樹脂複合材により構成された薄肉射出成形品であ
る。ポリマーは,ポリフェニレンオキサイドと,ブタジ
エン−スチレン共重合体とのブレンド物である。変性ポ
リフェニレンオキサイド1に有機化クレイ2を分散させ
た樹脂複合材により構成された薄肉射出成形品である。
薄肉射出成形品における樹脂複合材の最長流動長Lと薄
肉射出成形品の平均肉厚tとの関係は,L/t≧70を
満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,軽量で剛性が要求される薄肉射
出成形品に関する。
【0002】
【従来技術】射出成形部品の薄肉化を図ると,一般に,
部品の剛性が不足する。したがって,かかる薄肉部品に
用いる樹脂は,第1に薄肉部の高剛性化,第2に射出時
の樹脂の高流動化という相反する特性を満足する必要が
ある。そこで,従来,樹脂にガラスファイバーを添加し
て剛性を向上させることが行われていた。
【0003】
【解決しようとする課題】しかしながら,ガラスファイ
バーを樹脂に添加すると,樹脂溶融時の流動性が低下
し,薄肉品の成形性が低下する。この成形性を改良すべ
く,成形を高速高圧で行うなど成形条件を厳しくして無
理に射出成形すると,樹脂と金型によるせん断発熱によ
り樹脂の劣化が生じるおそれがある。また,薄肉樹脂部
品には,軽量で電気絶縁性が高いことも要求される。な
お,ガラスファイバーに代えて,有機化クレイをポリマ
ーに添加することも考えられている(特開平11−92
677号公報)。
【0004】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,剛性
が高く,電気絶縁性に優れ軽量の薄肉射出成形品を提供
しようとするものである。
【0005】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,ポリマー中に有
機化クレイを分散させた樹脂複合材により構成された薄
肉射出成形品であって,上記ポリマーは,ポリフェニレ
ンオキサイドと,ブタジエン−スチレン共重合体とから
なり,かつ上記薄肉射出成形品における上記樹脂複合材
の最長流動長Lと上記薄肉射出成形品の平均肉厚tとの
関係においてL/t≧70を満足することを特徴とする
薄肉射出成形品である。
【0006】ポリフェニレンオキサイド(以下,PPO
ともいう。)とブタジエン−スチレン共重合体(以下,
BS共重合体ともいう。)とからなるポリマーは,有機
化クレイと相溶性が高い。また,上記ポリマーと有機化
クレイとからなる樹脂複合材は,射出成形時に,高い剛
性を確保できる。このため,射出成形品の薄肉化を実現
できる。また,射出成形品の比重が軽くなり,電気絶縁
性も優れる。
【0007】さらに,上記薄肉射出成形品における上記
樹脂複合材の最長流動長Lと上記薄肉射出成形品の平均
肉厚tとの関係においてL/t≧70を満足する。その
ため,流動性が高く,射出成形品の薄肉化を実現でき
る。一方,L/t<70の場合には,射出成形品の薄肉
化を図ることができなくなる。したがって,本発明によ
れば,剛性が高く,電気絶縁性に優れ軽量の薄肉射出成
形品を提供することができる。
【0008】PPOとBS共重合体とからなるポリマー
としては,たとえば,変性ポリフェニレンオキサイド
(以下,変性PPOともいう。)がある。上記変性PP
Oとは,PPOを,HIPS(High Impact Poly Styre
ne)により変性させた樹脂をいう。ここでいう「変性」
とは,PPOとHIPSとを溶融状態で混練することを
意味する。HIPSとは,ブタジエンとスチレンとのブ
ロック共重合体をいう。PPOとBS共重合体とからな
るポリマーは,BS共重合体を含まないPPOのみから
なるポリマーよりも,クレイの分散性,樹脂流動性及び
靭性などの物性に優れている。中でも,変性PPOは,
絶縁破壊度がさらに高い。
【0009】有機化クレイとは,クレイ(粘土鉱物)が
有機化剤により有機化されたものをいう。クレイとして
は,モンモリロナイト,サポナイト,ヘクトライト,バ
イデライト,スティブンサイト,ノントライト,バーミ
キュライト,ハロサイト,マイカ,フッ素化マイカ,カ
オリナイト,パイロフィライト等が挙げられる。また,
天然物でも,合成物でもよい。また,モンモリロナイト
などの層状珪酸塩が,より機械的強度等を向上させるこ
とができ,望ましい。
【0010】有機化剤としては,たとえば,有機オニウ
ムイオンがある。有機オニウムイオンとしては,1〜4
級のアンモニウムイオンで,例えば,ヘキシルアンモニ
ウムイオン,オクチルアンモニウムイオン,2−エチル
ヘキシルアンモニウムイオン,デシルアンモニウムイオ
ン,ドデシルアンモニウムイオン,ラウリルアンモニウ
ムイオン,ヘキサデシルアンモニウムイオン,オクタデ
シルアンモニウムイオン,ジオクチルジメチルアンモニ
ウムイオン,トリオクチルアンモニウムイオン,ジオク
タデシルジメチルアンモニウムイオン,トリオクタデシ
ルアンモニウムイオンなどが用いることができる.
【0011】また,有機オニウムイオンとしては,ホス
フォニウムイオンを用いることができる。ホスフォニウ
ムイオンとしては,テトラエチルホスフォニウムイオ
ン,トリエチルベンジルホスフォニウムイオン,テトラ
−n−ブチルホスフォニウムイオン,トリ−n−ブチル
ヘキサデシルホスフォニウムイオン,トリ−n−ブチル
ベンジルホスフォニウムイオン等が用いることができ
る。
【0012】請求項2の発明のように,上記有機化クレ
イの含有量は,上記ポリマー100重量部に対して,1
〜15重量部であることが好ましい。1重量部未満の場
合には,成形品の剛性が不足するおそれがある。15重
量部を超える場合には,成形品が脆くなり破壊しやすく
なるおそれがある。
【0013】更に好ましくは,上記有機化クレイの含有
量は,上記ポリマー100重量部に対して,3〜7重量
部である。これにより,成形品の剛性及び耐破壊衝撃性
が更に向上する。
【0014】請求項3の発明のように,有機化クレイ
は,2種類以上の有機化剤によりクレイが有機化された
ものであることが好ましい。かかる有機化クレイを用い
ることによって,さらに,L/tを大きくでき,薄肉な
射出成形品を成形できる。上記2種類以上の有機化剤
は,前述の1〜4級のアンモニウムイオンやホスフォニ
ウムイオンから選択できる。例えば,ドデシルアンモニ
ウムイオンとオクタデシルアンモニウムイオンとの組合
せで,ドデシルアンモニウムイオン/オクタデシルアン
モニウムイオン=0.01〜100の比率であることが
好ましい。2種以上の有機化剤とその配合比率は,自由
に選択できる。
【0015】上記のように2種類以上の有機化剤で有機
化した有機化クレイを用いることによって更にL/tを
大きくでき,薄肉な成形品を成形できるのは,以下の理
由による。図1に示すごとく,有機化クレイ1の中のク
レイ11は,有機化剤12によって覆われている。1種
類の有機化剤12でクレイ11を処理することにより得
られた有機化クレイ1の表面は,有機化剤12の単一の
長さの炭素鎖で覆われて均一となっている。一方,図2
に示すごとく,2種類以上の有機化剤12でクレイ11
を処理することにより得られた有機化クレイ1は,有機
化剤121,122の長さ,立体構造などが異なるた
め,表面が不均一となっている。ポリマーの中のPPO
(20)は,クレイ11と水素結合やファンデルワール
ス力によって結合するとともに,クレイ11表面の有機
化剤12や有機化剤12に結合した炭素鎖とも相互作用
し,結合している。PPOとBS共重合体とからなるブ
レンド物は,剛直であるので,有機化クレイが均一な炭
素鎖で覆われた表面ほど相互作用しやすい。2種類以上
の有機化剤で有機化したクレイは表面が不均一となって
いるので,PPOとの間の相互作用力にばらつきが生じ
る。場合によっては,相互作用しない部分もある。この
ように,相互作用力にばらつきのある2種類以上の有機
化剤で有機化したクレイは,射出成形時に生じるせん断
力によって,有機化クレイとPPOとが剥がれやすい。
従って,ポリマーと有機化クレイとからなる樹脂複合材
の流れ性はさらに向上し,1種類のオニウムイオンを用
いた場合より薄肉な成形品を成形できる。
【0016】また,有機化剤で有機化したクレイを2種
類以上用いることによっても上記効果を達成でき,薄肉
な成形品を成形できる。これは,上記理由と同じで,2
種類以上のクレイを組み合わせることにより,PPOと
の間の相互作用力にばらつきが生じ,有機化クレイとP
POとが剥がれやすくなるためである。
【0017】図3に示すごとく,有機化クレイ1はポリ
マー2の中で分散している。有機化クレイは,ポリマー
2の中で,層構造が消失して,単層で分散していること
が好ましい。これにより,有機化クレイにより拘束され
るポリマーの割合が大きくなり,有機化クレイの補強効
果が増加する。また,単層で分散したクレイによって絶
縁破壊強度が高くなる。これは,クレイが絶縁性である
ため,破壊電流が通らず,迂回するためである。すなわ
ち,あたかも厚さが厚くなったごとくに作用するためで
ある。
【0018】有機化クレイは,ポリマーの中で1μm以
下の大きさで分散していることが好ましい。これによ
り,成形品の機械的物性が向上する。また,ポリマーが
クレイ層間に介入していることが好ましい。これによ
り,クレイ表面とポリマーとの界面が大きくなり,クレ
イによるポリマーの補強効果が増大する。
【0019】PPOが,クレイの層間に挿入されること
によって,有機化クレイの層間距離は,50オングスト
ローム以上離れて分散しているのが望ましい。これによ
り,クレイの弾性率等に対する補強効果が増大する。さ
らに有機化クレイの層間距離は,100オングストロー
ム以上離れて分散しているのが望ましい。これにより,
補強効果を最大限に発揮できる。有機化クレイは,上記
のようにクレイの層間が離れているのが望ましいが,す
べてのクレイの層間が離れている必要はない。クレイの
有機化処理のばらつきなどがあり,一部凝集したクレイ
があってもかまわない。一部であれば,補強効果は十分
に発揮される。
【0020】本発明において,薄肉射出成形品における
樹脂複合材の最長流動長Lと,薄肉射出成形品の平均肉
厚tとの関係において,L/t≧70が成立する。「薄
肉射出成形品における樹脂複合材の最長流動長」とは,
射出成形用のゲートの起点Aと,キャビティ内で成形さ
れた薄肉射出成形品における上記起点Aから最も離れた
最遠部Bとの間の距離をいう。起点Aは,ゲートのう
ち,最遠部Bに最も近い部位をいう。
【0021】例えば,図4(a)に示すごとく,筒状の
薄肉射出成形品を成形するための筒形のキャビティ4で
は,ゲート41の起点Aと,筒端面における最遠部Bと
の間の距離が,最長流動長Lとなる。図4(b)に示す
ごとく,キャビティ4にゲート41が複数設けられてい
る場合には,各ゲート41の起点A’,A’’の最長流
動長L’,L’’の中で最も長い流動長が,本発明でい
う最長流動長Lとなる。図4(b)のように,2つのゲ
ート41の起点A’,A’’からの最長流動長L’,
L’’が同じ場合には,L’,L’’は,いずれも,薄
肉射出成形品における樹脂複合材の最長流動長Lとな
る。
【0022】ゲートとは,射出成形用金型において,溶
融した樹脂複合材がランナーからキャビティに入る部分
の狭い開口部をいう。図4に示すごとく,ゲート41に
は,点状に開口したピンゲート(図4(a),
(b)),直線状に開口したフィルムゲート(図4
(c)),円状に開口したリングゲート(図4(d))
などがある。いずれのゲートの場合にも,ゲートにおけ
る,最遠部Bに最も近い部位を起点Aとして,上記最長
流動長Lが決定される。ゲート41には,溶融した樹脂
複合材が供給されるスプルー43が,スプルー43から
ゲート41に樹脂複合材を導くランナー42を介して,
連結されている。
【0023】本発明において,「薄肉射出成形品の平均
肉厚t」とは,薄肉射出成形品の肉厚の平均値をいう。
薄肉射出成形品の平均肉厚tは0.3〜2.0mmであ
ることが好ましい。0.3mm未満の場合には,射出成
形品の剛性が保持できないおそれがあり,2.0mmを
超える場合には,射出成形品の軽量化が妨げられるおそ
れがある。
【0024】薄肉射出成形品の形状は,薄肉であれば特
に限定しないが,例えば,平板形(図5(a)),筒形
(図5(b)),フィルム形,湾曲形,屈曲形がある。
本発明の薄肉射出成形品は,例えば,イグニッションコ
イルのボビン,携帯電話などの各種ケースハウジングな
どに用いることができるが,これらに限定されない。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態に係る薄肉射出
成形品について,図6〜図10に示すごとく,実施例1
〜6及び比較例1〜6を用いて説明する。 (実施例1〜4,比較例1〜6)まず,表1に示す組成
からなる樹脂複合材を調製した。ポリマーとしては,変
性PPO,PBT(ポリブチレンテレフタレート),P
PS(ポリフェニレンサルファイド),ナイロン66を
用いた。
【0026】変性PPOと有機化クレイとからなる樹脂
複合材を,実施例1〜4とした。変性PPOのみからな
る樹脂材を,比較例1とした。有機化クレイとしては,
ステアリルアンモニウムで有機化されたモンモリロナイ
トを用いた。有機化クレイに代えてガラスファイバーを
添加した樹脂複合材を,比較例2,3とした。PBT,
PPS,NY66のみからなる樹脂材を,比較例4,
5,6とした。
【0027】上記樹脂(複合)材を図6(a)〜
(c),図7(d)〜(f)に示すごとく,スプルー4
3及びランナー42を通じてゲート41よりキャビティ
4内に射出成形した。キャビティ4は,筒状薄肉成形品
を成形するために,該成形品の外側面と同じ形状をして
いる。また,キャビティ4の内部には,該成形品の内側
面と同じ形状の中子40が予め装着されている。キャビ
ティの厚みは0.7mmとした。得られた薄肉射出成形
品3は,図5(b)に示すごとく,平均肉厚tが0.7
mmで,中央に中空部30を有する筒形となった。
【0028】(実施例5)有機化クレイとして,ステア
リルアンモニウムとドデシルアンモニウムで有機化した
モンモリロナイトを用いた。ステアリルアンモニウムと
ドデシルアンモニウムはステアリルアンモニウム/ドデ
シルアンモニウム(重量比)=0.8/0.2で混合し
てモンモリロナイトを処理した。その他の条件は実施例
2と同じにして,樹脂複合材を調製した。
【0029】(実施例6)有機化クレイとして,ステア
リルアンモニウムとヘキサデシルアンモニウムで有機化
したモンモリロナイトを用いた。ステアリルアンモニウ
ムとヘキサデシルアンモニウムはステアリルアンモニウ
ム/ヘキサデシルアンモニウム(重量比)=0.5/
0.5で混合して,モンモリロナイトを処理した。その
他の条件は実施例3と同じにして,樹脂複合材を調製し
た。
【0030】得られた薄肉射出成形品における樹脂(複
合)材のスパイラルフロー長,最長流動長/平均肉厚
(L/t),薄肉射出成形品の引張弾性率及び絶縁破壊
強度を測定し,その結果を表1に示した。なお,スパイ
ラルフロー長とは,一般的な樹脂の流動性試験の測定値
である。薄肉射出成形品の最長流動長とは,図4(c)
に示されたゲート41の起点Aと筒端面における最遠部
Bとの間の距離をいう。
【0031】同表より,本発明にかかる実施例1〜6に
ついては,L/tが大きく,引張弾性率及び絶縁破壊強
度も高かった。実施例5,6では,L/tが大きくなっ
た。このことから,2種類の有機化剤で有機化したクレ
イを用いた場合には,複合樹脂材の流動性が一層高くな
り,更に成形性及び薄肉化を高めることができることが
わかる。
【0032】これに対して,変性PPOのみからなる比
較例1では,L/tは大きかったが,引張弾性率及び絶
縁破壊強度は低かった。変性PPO以外のポリマーから
なる比較例4〜6の絶縁破壊強度は,変性PPOのみか
らなる比較例1よりも更に低かった。
【0033】また,ガラスファイバーを変性PPOに添
加した樹脂複合材(比較例2,3)では,ガラスファイ
バーの添加量が10重量部,20重量部と多いために,
有機化クレイを変性PPOに添加した樹脂複合材(実施
例1〜4)よりも,L/tが小さかった。また,実施例
2,3では,比較例1,2,3に比べて,絶縁破壊強度
が高く,クレイにより絶縁破壊強度が向上したことがわ
かる。
【0034】
【表1】
【0035】図8には,実施例1〜6及び比較例1〜3
の引張弾性率と最長流動長との関係を示した。同図よ
り,変性PPOと有機化クレイとの複合材(実施例1〜
4)は,変性PPOとガラスファイバーとの複合材(比
較例2,3)に比べて,同一の最長流動長を有する成形
品の剛性を高くすることができることがわかる。さら
に,実施例5,6の実験結果より,2種類の有機化剤で
有機化したクレイを用いることにより,最長流動長を大
きくすることができることがわかる。
【0036】図9には,実施例1〜6及び比較例1,2
のフィラー(有機化クレイまたはガラスファイバー)含
有量と成形品の引張弾性率との関係を示した。図9にお
いて,横軸は,ポリマー100重量部に対するフィラー
含有率を,縦軸は,比較例1の引張弾性率を1.0とし
たときの引張弾性率の相対比を示している。同図より,
変性PPOと有機化クレイとの複合材の剛性は,変性P
POとガラスファイバーとの樹脂複合材に比べて,同じ
フィラー含有量での補強効率は2倍であった。
【0037】次に,図10に示すごとく,製品に要求さ
れる剛性(3〜5GPa)を満足するL/tを測定した
ところ,有機化クレイと変性PPOとの樹脂複合材の方
が,ガラスファイバーと変性PPOとの樹脂複合材より
も,L/tが大きいことがわかる。したがって,変性P
POに有機化クレイを分散させた樹脂複合材によれば,
薄肉で軽量で,かつ剛性に優れた射出成形品を成形する
ことができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における,1種類の有機化剤により有機
化されたクレイとPPOとの関係を示す説明図。
【図2】本発明における,2種類以上の有機化剤により
有機化されたクレイとPPOとの関係を示す説明図。
【図3】本発明における,有機化クレイ及びポリマーの
説明図。
【図4】本発明における,種々の形状のゲートと最長流
動長とを示すための,射出成形用のキャビティの斜視図
(a)〜(d)。
【図5】本発明における,薄肉射出成形品の斜視図
(a),(b)。
【図6】実施形態例1における,キャビティ内への樹脂
の流動状況を示すための説明図(a)〜(c)。
【図7】図6に続く,キャビティ内への樹脂の流動状況
を示すための説明図(f)〜(f)。
【図8】実施形態例1の薄肉射出成形品における,引張
弾性率とL/tとの関係を示すための線図。
【図9】実施形態例1の薄肉射出成形品における,フィ
ラー含有率と引張弾性率の相対比との関係を示すための
線図。
【図10】実施形態例1における,製品に要求される剛
性を有する薄肉射出成形品の最長流動長LとL/tとの
関係を示すための線図。
【符号の説明】
1...有機化クレイ, 2...ポリマー, 20...変性PPO, 3...薄肉射出成形品 30...中空部, 4...キャビティ, 40...中子, 41...ゲート, 42...ランナー, 43...スプルー,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 25:00 B29K 25:00 71:00 71:00 105:16 105:16 (72)発明者 稲井 勇 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 若林 宏之 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 大須賀 一豊 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 加藤 誠 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 臼杵 有光 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマー中に有機化クレイを分散させた
    樹脂複合材により構成された薄肉射出成形品であって,
    上記ポリマーは,ポリフェニレンオキサイドと,ブタジ
    エン−スチレン共重合体とからなり,かつ上記薄肉射出
    成形品における上記樹脂複合材の最長流動長Lと上記薄
    肉射出成形品の平均肉厚tとの関係においてL/t≧7
    0を満足することを特徴とする薄肉射出成形品。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記有機化クレイの
    含有量は,ポリマー100重量部に対して,1〜15重
    量部であることを特徴とする薄肉射出成形品。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において,上記有機化
    クレイは,2種類以上の有機化剤によりクレイが有機化
    されたものであることを特徴とする薄肉射出成形品。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010510375A (ja) * 2006-11-22 2010-04-02 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー ポリアミド樹脂組成物を含む携帯電話ハウジング

Citations (4)

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