JP2001197874A - 加熱殺菌処理済み固形食品の製造方法 - Google Patents

加熱殺菌処理済み固形食品の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、蒸気を直接接触させて加熱
殺菌処理を施された固形食品であって、当該加熱殺菌処
理に起因する不快臭が全く又は殆ど感じられないレベル
にまでマスキングされた、風味の優れた加熱殺菌処理済
み固形食品の製造方法を提供することにある。 【構成】 固形食品に香気物質を含む蒸気を直接接触さ
せて前記固形食品を加熱殺菌処理することを特徴とする
加熱殺菌処理済み固形食品の製造方法。固形食品及び香
気物質含有原料を加熱処理室内に収納し、上記固形食品
及び上記香気物質含有原料に蒸気を直接接触させること
により、上記固形食品に加熱殺菌処理を施す加熱処理済
み固形食品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、肉類、穀類又は野菜類
等の固形食品に蒸気を直接接触させて加熱殺菌処理する
ことにより、加熱殺菌処理済みの固形食品を製造する方
法であって、特に上記加熱殺菌処理を原因とする劣化臭
が全く又は殆ど感じられない加熱殺菌処理済み固形食品
を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、パウチ又は成型容器に食品を
充填密封し、加熱殺菌処理してなる容器入り保存性食品
(レトルト食品又はチルド食品等)が知られている。し
かし、上記容器入り保存性食品は、こもり臭が感じられ
るという風味上の問題があった。そこで、食品を容器内
に充填し、前記食品に蒸気又は熱水を直接接触させて加
圧加熱処理し、その後容器内に充填密封して保存性食品
を製造する、いわゆる開放系殺菌技術が開発されてい
る。前記開放系殺菌技術として、例えば、食品原料を容
器内に充填し、加圧加熱殺菌した後、無菌的に密封する
ことを特徴とする無菌包装食品の加工方法(特開平4−
370081号)、あるいは、原料肉に対して蒸気又は
熱水を直接接触させて加圧加熱処理し、容器に充填密封
する肉の加熱処理方法(特開平6−46800号公報)
が提案されている。
【0003】上記開放系殺菌技術により、上記保存性食
品のこもり臭の低減に成功したが、この開放系殺菌技術
には次の二つの問題があることを、本発明者は新たに見
出した。その問題とは、第一に、開放系殺菌処理済み食
品の風味が、殺菌処理前よりも弱くなるという問題であ
る。第二に、開放系殺菌時の熱により被処理物中の成分
が劣化し、劣化臭が強くなるという問題である。この劣
化臭は、食品に含まれる油脂、蛋白質等の成分が、開放
系殺菌処理時の熱の影響を受けて、酸化、重合、変性又
は分解等の化学変化を起こして発生するものであり、対
象食品の種類によって異なる。例えば、肉類等の油脂含
有量の高い食品は、油脂の劣化臭が強くなる。蛋白質含
有量が高い食品は、上記蛋白質の熱変性に伴う臭いが発
生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、固形
食品に直接蒸気を接触させて加熱殺菌処理する方法であ
って、上記加熱殺菌処理により発生する劣化臭を、官能
的には全く感じないか、あるいは殆ど感じないレベルに
までマスキングするとともに、固形食品の風味の低減を
抑制することにより、従来の開放系殺菌技術により得ら
れた殺菌済み固形食品よりも優れた風味を有する加熱殺
菌処理済み固形食品を製造する方法を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者が上記課題を解
決するために検討を重ねた結果、上記劣化臭の発生原因
となっていた加熱殺菌処理を、本来の目的である殺菌処
理と同時に、固形食品の風味改良を目的とする処理とし
て利用することにより、優れた風味の加熱殺菌処理済み
固形食品の製造が可能となるのではないかという着想を
得るに至った。そして、この着想に基づいて研究を重ね
た結果、香気物質を分散させた蒸気を固形食品に直接接
触させて加熱殺菌処理することにより、官能的に許容さ
れるレベルにまで劣化臭をマスキングするとともに、固
形食品の風味を維持することに成功し、風味の優れた加
熱殺菌処理済み固形食品の製造方法を完成させるに至っ
た。すなわち、本発明は、香気物質を分散させてなる蒸
気を固形食品に直接接触させて前記固形食品を加熱殺菌
処理することを特徴とする加熱殺菌処理済み固形食品の
製造方法である。
【0006】また、本発明の別の要旨は、加熱殺菌処理
室内に、固形食品及び香気物質含有原料を収納し、上記
固形食品及び上記香気物質含有原料に蒸気を直接接触さ
せることにより、上記固形食品に加熱殺菌処理を施すこ
とを特徴とする加熱殺菌処理済み固形食品の製造方法で
ある。
【0007】また、本発明の別の要旨は、上記製造方法
における固形食品が、油脂含有食品であることを特徴と
する加熱殺菌処理済み固形食品の製造方法である。
【0008】また、本発明の別の要旨は、上記製造方法
における油脂含有食品が、肉類であることを特徴とする
加熱殺菌処理済み固形食品の製造方法である。
【0009】本発明の固形食品は、固形状を呈している
食品であれば制限されない。例えば、牛肉、豚肉、鶏
肉、魚肉、貝類、かに又はえびの剥き身等の肉類、大
根、さつまいも、にんじん、馬鈴薯等の根菜類、白菜、
キャベツ等の葉菜類、ねぎ、たまねぎ等の鱗茎類、ナ
ス、ピーマン、かぼちゃなどの果菜類、インゲン豆、え
んどう豆等の莢実類、米、麦、小麦、きび、あわ、とう
もろこし等の穀類又はこれらを含むハンバーグ、パス
タ、米飯、豆腐等の加工食品等が挙げられる。
【0010】本発明では、上記固形食品として、油脂を
含む食品を用いることが好ましい。油脂を含まない食品
よりも劣化臭のマスキング効果が高いからである。マス
キング効果が向上する理由は明確ではないが、香気物質
の多くが油溶性であるために固形食品に含まれている油
脂に溶解しやすく、このため加熱殺菌処理を原因とする
劣化臭がマスキングされるからであると考えられる。上
記油脂含有食品は、固形食品であって油脂を含むもので
あればよいが、本発明は肉類の劣化臭をマスキングする
効果が高いので、加熱殺菌処理済み肉類の製造方法とし
て優れた効果を奏する。
【0011】また、玉ねぎ、ねぎ等の鱗茎類は硫化物を
含んでいるため、殺菌時の加熱により硫黄臭等を主とす
る異臭が強くなることがある。しかし、本発明によれ
ば、上記異臭をマスキングすることができるので、上記
硫黄臭等を主とする異臭が全く又は殆ど感じられない、
加熱殺菌済み鱗茎類が得られる。従って、本発明は、加
熱殺菌処理済み鱗茎類の製造方法としても優れた効果を
奏する。
【0012】上記固形食品は、加熱殺菌処理を施す前
に、あらかじめ任意の形状にカット処理してもよいし、
あらかじめ調理したものを用いてもよい。また、固形食
品の食感改良等を目的として、固形食品に、蒸煮処理、
60℃以上、さらには80℃〜100℃の熱水によるブ
ランチング、あるいは素揚げ又は油脂噴霧又は塗布等の
油脂処理等を施してもよい。
【0013】本発明では、上述したように、固形食品と
して油脂含有食品を用いるのが好ましい。従って、固形
食品に油脂処理を施し、当該固形食品の油脂含有量を増
加させることにより、油脂処理を施さない固形食品を用
いた場合に比べて、最終的に得られる加熱殺菌処理済み
食品の風味が良好となる。上記油脂処理は、固形食品に
油脂を塗布、噴霧又は油脂に浸漬し、固形食品の表面層
に油脂を付着させることにより行えばよい。また、固形
食品に油脂処理を施すにあたっては、加熱した油脂を用
いてもよい。加熱した油脂を用いる場合には、当該油脂
の温度を60℃以上、さらには80℃〜100℃とする
ことが好ましい。これによって、固形食品の内部にまで
油脂を浸透させて、油脂含有量を増加させることがで
き、なお、上記油脂処理において使用する油脂は、食用
可能であればよく、例えば、劣化臭のマスキング効果を
向上させることができる。牛脂、豚脂、魚油等の動物性
油脂、又はサラダ油、綿実油、オリーブ油、米油、菜種
油、菜種白絞油、大豆油、コーン油等の食用油脂から適
宜選択して用いればよい。
【0014】本発明の特徴は、加熱殺菌処理中に、香気
物質を分散させてなる蒸気を、被処理物である固形食品
に直接接触させることにより、被殺菌処理物である固形
食品から生じる劣化臭をマスキングし、さらに固形食品
の風味低減を抑制して、風味の優れた加熱殺菌処理済み
固形食品を得ることができる点にある。
【0015】蒸気中に分散させる香気物質は、官能的に
知覚し得る香気を有するものであればよい。従って、一
般的に定義されている有香分子、すなわちカルボニル
基、水酸基、エステル基等の官能基、又は不飽和結合を
有する分子量20〜300の揮発性分子、及びこの分子
を含む物質を用いれば、本発明において十分な効果を達
成することができる。上記香気物質を例示すると、オイ
ゲノール(クローブの主香)、リナロール(コリアンダ
ーの主香)、クミンアルデヒド(クミン含有)、シンナ
ミックアルデヒド(シナモンの主香)、アネトール(ア
ニスシード、フェンネルの主香)、アニスアルデヒド、
フルフラール、ピネン、シトラール、オクタナール、リ
ナロール、C8アルデヒド、C10アルデヒド、バニリ
ン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ウンデカノ
ン、カルボン、α−、β−、γ−イオノン、エズラン、
ジヒドロジャスモン酸メチル、マルトール等が挙げられ
る。上記香気物質は、被処理物である固形食品の風味に
応じて適宜選択すればよい。蒸気中に分散させる香気物
質の量は、使用する香気物質の種類により異なるが、
0.05、さらには0.1ppm以上であれば、劣化臭
のマスキング効果が十分に得られる。
【0016】上記香気物質を蒸気中に分散させる方法
は、ある一定体積の蒸気中に上記香気物質を存在させ、
いわば蒸気と香気物質の混合物を得ることができればよ
く、好適には次のふたつの方法が挙げられる。第一に、
上述の香気物質を、蒸気に直接混入させる方法である。
第二に、ハーブ又はスパイス等の香気物質含有原料を、
固形食品に加熱殺菌処理を施す室内に収納し、上記固形
食品と香気物質含有原料に直接蒸気を接触させる方法で
ある。これらの方法について、より具体的に説明する。
なお、上記加熱殺菌処理室は、蒸気を用いて被処理物に
加熱処理を行うことができる室であればよく、特に制限
されないが、公知の蒸気式レトルト殺菌器等を使用すれ
ばよい。
【0017】香気物質を蒸気に直接混入させる方法とし
ては、加熱殺菌処理室内に蒸気を導入して加熱殺菌処理
室内に蒸気雰囲気を形成し、この蒸気雰囲気中に香気物
質を分散させる方法、あらかじめ蒸気と香気物質とを混
合して蒸気中に香気物質を分散させ、これを加熱殺菌処
理室内に供給する方法等が挙げられる。
【0018】また、上記第二の方法、すなわち、加熱殺
菌処理室内で、香気物質含有原料及び固形食品に蒸気を
直接接触させる方法を具体的に説明すると、次のとおり
である。まず、上記加熱殺菌処理室内に、被処理物であ
る固形食品及び香気物質含有原料を収納する。上記香気
物質含有原料は、上述の香気物質を含む原料であり、例
えば、クローブ、コリアンダー、クミン、フェンネル、
ローレル、バジル、ピメンタ、カプシカム、ガーリッ
ク、ジンジャー、スターアニス、ナツメグ、コショウ、
マスタード、シナモン、タイム、クローブ等の香辛料又
はハーブ、その他香気物質を含む植物等が挙げられる。
【0019】次いで、加熱殺菌室内に蒸気を導入し、蒸
気雰囲気を形成する。これにより、この蒸気雰囲気内
に、香気物質含有原料に含まれる香気物質が分散し、香
気物質を分散させてなる蒸気が得られる。この香気物質
を分散させてなる蒸気が、加熱殺菌室内の固形食品と接
触すると、この固形食品の劣化臭が上記香気物質により
マスキングされる。さらには、前記固形食品の風味が維
持される。これによって、最終的に風味の良好な殺菌済
み固形食品を得ることができる。なお、上記香気物質含
有原料を加熱殺菌室内に投入するにあたっては、前記香
気物質含有原料を予め細断しておくことが好ましい。細
断していない香気物質含有原料を用いるよりも、上記原
料中の香気物質が蒸気中に分散しやすくなるからであ
る。
【0020】固形食品に加熱殺菌処理を行うにあたっ
て、当該処理において用いる蒸気温度及び蒸気圧力は、
被処理物である固形食品の保存条件に応じた所定の殺菌
価を達成し得ればよく、特に制限されない。例えば、1
0℃以下のチルド条件で流通させる加熱殺菌済み固形食
品を製造する場合、使用する蒸気は大気圧、100℃の
ものを用いればよい。また、加熱殺菌済み常温流通固形
食品を製造する場合、使用する蒸気は、大気圧よりも高
い圧力で、100℃を超える温度の蒸気を固形食品に接
触させればよい。
【0021】特に、固形食品に加圧加熱殺菌処理を行う
場合についてさらに説明すると、蒸気式レトルト殺菌器
等の公知の加圧加熱殺菌装置を使用し、0.05MPa
〜0.25MPa、さらには0.1MPa〜0.2MP
aの加圧雰囲気で、110℃〜135℃、さらには12
0℃〜130℃の香気物質を含む蒸気を、5分〜40
分、さらには10分〜20分間、固形食品に直接接触さ
せることが好ましい。なお、本明細書における圧力は、
全てゲージ圧で記載したものである。
【0022】上記加熱殺菌処理を施して得られた加熱殺
菌済み固形食品は、各種容器に無菌的に包装することに
より、従来品よりも風味の良好な保存性食品として提供
することができる。
【0023】
【実施例1】鶏肉100重量部を20mm角のダイス状
にカットした後、これを90℃の熱水でブランチング処
理し、次いで上方開口有底容器に充填し、加圧加熱殺菌
装置内に収納した。次に、前記加圧加熱処理装置を密閉
し、この装置内に、100℃の飽和蒸気を導入して装置
内を蒸気で満たし、この状態で8分20秒間保持した。
次に、上記加圧加熱処理装置内に、予めタイム抽出物及
びローレル抽出物の混合物を0.1ppm混入した12
0℃の蒸気を導入し、上記装置内に充満させ、上記加圧
加熱処理装置内を、0.1MPa、120℃の加圧蒸気
雰囲気とし、この状態で鶏肉を11分20秒間保持し
た。次いで、上記加圧加熱装置を常圧に復圧し、装置内
から加圧加熱処理済みの鶏肉を取り出した。次いで、当
該殺菌済みの鶏肉を無菌雰囲気内で容器に充填密封し、
容器入り加圧殺菌処理済み鶏肉を得た。その後、上記容
器を開封し、中の加圧加熱処理済み鶏肉の風味を官能評
価したところ、この鶏肉からは劣化臭が感じられず、良
好な風味を有するものであった。
【0024】
【実施例2】実施例1で用いた鶏肉100重量部に90
℃の熱水でブランチング処理し、次いで上方開口有底容
器に充填し、加圧加熱殺菌装置内に収納した。次に、前
記加圧加熱処理装置内に、ホールタイム5重量部及びホ
ールローレル5重量部を収納し、上記装置を密閉した。
次いで、加圧加熱処理装置内に100℃の飽和蒸気を導
入して装置内を蒸気で満たし、この状態で8分20秒間
保持した。その後、上記加圧加熱処理装置内を、120
℃の蒸気を導入して、上記加圧加熱処理装置内を、0.
1MPa、120℃の加圧蒸気雰囲気とし、この状態で
鶏肉を11分20秒間保持した。次いで、上記加圧加熱
装置を常圧に復圧し、次いで殺菌済みの鶏肉を充填室へ
移送し、無菌的に容器に充填密封して容器入り加圧加熱
殺菌済み鶏肉を得た。その後、上記容器を開封し、中の
加圧加熱処理済み鶏肉の風味を官能評価したところ、こ
の鶏肉からも劣化臭が感じられなかった。
【0025】
【比較例1】タイム抽出物及びローレル抽出物の混合物
を蒸気中に0.1ppm混入せずに、これ以外は実施例
1と同様にして、容器入り加圧加熱処理済み鶏肉を製造
した。次いで、容器を開封して中の殺菌済み鶏肉を取り
出し、その風味を官能的に評価したところ、鶏肉に特有
の劣化臭が強く感じられ、明らかに実施例1品よりも風
味が劣るものであった。
【0026】
【比較例2】実施例1で用いた鶏肉100重量部及びホ
ールのタイム5重量部及びローレル5重量部を、90℃
の熱水に10分間浸漬し、上記鶏肉にブランチング処理
を施すとともに鶏肉にタイム及びローレルの香りを付与
し、これを加圧加熱処理装置内に収納し、上記装置を密
閉した。次いで、加圧加熱処理装置内に100℃の飽和
蒸気を導入して装置内を蒸気で満たし、この状態で8分
20秒間保持した。その後、上記加圧加熱処理装置内に
120℃の蒸気を導入して、上記加圧加熱処理装置内
を、0.1MPa、120℃の加圧蒸気雰囲気とし、こ
の状態で鶏肉を11分20秒間保持した。次いで、上記
加圧加熱装置を常圧に復圧し、次いで殺菌済みの鶏肉を
充填室へ移送し、無菌的に容器に充填密封して容器入り
加圧加熱殺菌済み鶏肉を得た。その後、上記加圧加熱処
理済み鶏肉の風味を官能評価したところ、この鶏肉は、
加圧加熱処理前に感じられたタイム及びローレルの香り
が非常に弱くなっていた。また、比較例1品と同様、加
圧加熱処理した鶏肉に特有の劣化臭が強く感じられ、実
施例1品及び実施例2品と比較して、著しく風味の劣る
ものであった。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、固形食品を加熱殺菌処
理した際に発生する劣化臭を、官能的に問題がないレベ
ルにまでマスキングすることができる。また、上記固形
食品の風味の低減を抑制することができる。従って、劣
化臭のない、良好な風味を維持した加熱殺菌処理済み固
形食品を提供することができる。
【0028】また、固形食品として、強い劣化臭が発生
する油脂含有食品、特に鶏肉、魚肉等の肉類を加熱殺菌
処理した場合にも、官能的に殆ど問題のないレベルにま
で劣化臭をマスキングすることができる。また、硫黄臭
を含む異臭を発するねぎ、玉ねぎ等の鱗茎類を加熱殺菌
処理した場合も、官能的に問題のないレベルにまで上記
異臭をマスキングすることができる。従って、従来の加
熱殺菌処理済み肉類又は鱗茎類と比較して、風味の優れ
たものを製造することができる。
【0029】特に、固形食品に、蒸気を直接接触させて
加圧加熱殺菌処理した場合には、常圧で加熱殺菌処理し
た場合よりも劣化臭が強く発生する。しかし、本発明に
よれば、加圧加熱殺菌によって発生する劣化臭を十分に
マスキングすることができる。従って、長期間常温流通
可能な、風味の優れた加熱殺菌済み固形食品を提供する
ことができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 香気物質を分散させてなる蒸気を固形食
    品に直接接触させて前記固形食品を加熱殺菌処理するこ
    とを特徴とする加熱殺菌処理済み固形食品の製造方法。
  2. 【請求項2】 固形食品及び香気物質含有原料を加熱殺
    菌処理室内に収納し、上記固形食品及び上記香気物質含
    有原料に蒸気を直接接触させることにより、上記固形食
    品に加熱殺菌処理を施すことを特徴とする加熱殺菌処理
    済み固形食品の製造方法。
  3. 【請求項3】 固形食品が、油脂含有食品であることを
    特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加熱殺菌処理
    済み固形食品の製造方法。
  4. 【請求項4】 油脂含有食品が、肉類であることを特徴
    とする請求項3に記載の加熱殺菌処理済み固形食品の製
    造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020156473A (ja) * 2019-03-22 2020-10-01 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 油脂劣化臭マスキング剤
CN115334906A (zh) * 2020-03-26 2022-11-11 味之素株式会社 掩蔽剂

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020156473A (ja) * 2019-03-22 2020-10-01 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 油脂劣化臭マスキング剤
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