JP2001194690A - 焦点位置可変空間変調デバイス - Google Patents

焦点位置可変空間変調デバイス

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JP2001194690A
JP2001194690A JP2000006525A JP2000006525A JP2001194690A JP 2001194690 A JP2001194690 A JP 2001194690A JP 2000006525 A JP2000006525 A JP 2000006525A JP 2000006525 A JP2000006525 A JP 2000006525A JP 2001194690 A JP2001194690 A JP 2001194690A
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  • Liquid Crystal (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結像性能の良い焦点位置可変空間変調デバイ
スを提供する。 【解決手段】 光束内に配置され入射光を偏向させるこ
とができる屈折率可変材料30と、屈折率可変材料30
を挟んで両側に互いに略対向して同心円状、同心楕円
状、又は偏倍同心楕円状に配置された複数の電極対1
1,21;12,22;13,23と、電極対11,2
1;12,22;13,23間に電圧を印加する電圧印
加手段とを備える。各電極対11,21;12,22;
13,23の互いに対向する電極間の電極対向領域Pの
幅に比べ、電極対向領域P間の非電極対向領域Nの幅の
方が広い。非電極対向領域Nの屈折率可変材料30の屈
折率分布が、隣接する電極対11,21;12,22;
13,23に印加される電圧により変わり焦点位置が変
化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焦点位置可変空間
変調デバイスに関し、例えば液晶レンズに好適な焦点位
置可変空間変調デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチック成形フレネル板、写
真乾板式回折格子、ガラス版けがき式回折格子、写真乾
板式ホログラム、フォトレジスト式ホログラムなどがあ
ったが、製造時に透過又は反射光路は固定されている。
【0003】透過又は反射光路を偏向する技術として
は、例えば、以下のものがある。
【0004】特開平10−62609号公報は、焦点距
離を調整できるマイクロレンズを提案している。これ
は、レンズ一つの焦点位置を変更するものであり、小径
瞳のレンズでしか成り立たない。また、単純に寸法が大
きくなるだけであれば、必要な球面(非球面)が得られな
いため、実用化が困難であると考えられる。
【0005】特開平9−184965号公報には、入射
光路を偏向する偏向手段にパワーを持たせる技術が開示
されているが、レンズパワーは変化せず、撮影レンズの
瞳を有効に使用することができない。
【0006】レーザー研究、第25巻第10号、第68
7頁、(1997年)「液晶マイクロレンズ」には、マイ
クロレンズアレーを作成し、焦点位置を変更できる技術
が開示されている。しかし、直径数10〜数100μm
のレンズしか形成できない。
【0007】特許第2628630号(特開昭62-1
70933号)公報には、同心円状に電極を配置し、リ
ング状電極に順次異なる電圧を印加する方式が開示され
ている。しかし、この方式は、液晶をはさんだ電極間の
配向、屈折力を制御する方法であり、各リング電極間に
もつ配向変位、屈折力変位については述べられていな
い。リング電極間も電極の影響により配向がチルトし、
屈折力も変化し、この部分が必要としない屈折力を発生
し、フレアを生じさせる要因となる。
【0008】特開平9−304748号公報には、多重
輪状構造をもち、中央から周辺にかけて径方向の電極幅
が中心から周辺に向かって減少させることによってレン
ズ効果を持たせる技術が開示されている。しかし、電極
と電極との間のみ屈折力変化をもつものとして設計され
ているが、多重輪状電極同士の間の部分も電極の影響に
より配向がチルトし、屈折力も変化し、この部分が必要
としない屈折力を発生し、フレアを生じさせる。また、
上下の電極を非対称にして、電極電圧を1種類だけとし
ているが、フレア問題について解決する方向ではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来から、小型な装置
で焦点位置を可変にする(2重焦点レンズシステム)と
して、液晶を利用することが述べられてきた。これは、
2枚の基板に電極を形成し、これを多重リング形状とし
て、液晶をはさんだ電極間の液晶の屈折率を変化させる
ことでレンズ効果を持たせるようにしてきた。電界を印
加しない場合は、液晶は基板に平行に配向しレンズ効果
がなく、電界をかけたときには液晶の配向角が変化し、
屈折力が変わることを利用してきた。
【0010】しかし、液晶をはさんだ電極間の配向、屈
折力を制御する方法が述べられてきたが、各リング電極
間に発生する配向変位、屈折力変位についての振る舞い
が述べられていない。実際は、リング電極間も電極の影
響により配向がチルトし、屈折率も変化し、この部分が
必要としない屈折力を発生し、フレアを生じさせる要因
となる。
【0011】フレアの発生は、ピント検出などのセンシ
ングの誤検出になり、撮影系で利用する場合、フレアは
画質の低下となり、レンズとしての性能が良いとはいえ
ない。
【0012】また、液晶をはさんだ電極間は一定の屈折
率であり、デバイス全体としての屈折力は、各リングご
との量子化された屈折となる。これら2つの要因により
結像性能の良いレンズにはならない。
【0013】したがって、本発明が解決しようとする技
術的課題は、結像性能の良い焦点位置可変空間変調デバ
イスを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段および作用・効果】本発明
は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の焦
点位置可変空間変調デバイスを提供する。
【0015】焦点位置可変空間変調デバイスは、光束内
に配置され入射光を偏向させることができる屈折率可変
材料と、該屈折率可変材料を挟んで両側に互いに略対向
して同心円状、同心楕円状、又は偏倍同心楕円状に間隔
を設けて配置された複数の電極対と、該電極対間に電圧
を印加する電圧印加手段とを備え、上記電極対間に印加
される電圧により上記屈折率可変材料の屈折率分布が変
わり焦点位置が変化するタイプのものである。上記各電
極対の互いに対向する電極間の電極対向領域の幅に比
べ、該電極対向領域間の非電極対向領域の幅の方が広
い。そして、上記非電極対向領域の上記屈折率可変材料
の屈折率分布が、隣接する上記電極対に印加される電圧
により変わり焦点位置が変化する。
【0016】なお、「偏倍」とは、直交方向の倍率が同
一でない場合のことであり、例えばX方向とY方向で倍
率が異なる場合や、倍率が距離により変化する場合など
を含む。
【0017】上記構成において、電圧印加手段により電
極対間に電圧が印加されると、電極対向領域のみなら
ず、非電極対向領域においても電界が生じる。屈折率可
変材料は、この電界に応じた屈折率分布となる。非電極
対向領域の屈折率は、後述するように種々の方法によ
り、所望の分布とすることが容易である。大部分の入射
光束は、電極対向領域より広い非電極対向領域に入射し
て結像するので、非電極対向領域の屈折率分布を制御す
ることにより、結像性能を向上することができる。
【0018】例えば、上記構成を液晶レンズに適用すれ
ば、電極対向領域の屈折率変化のみを利用する従来型の
液晶レンズよりも、フレアを減らすことができる。また
レンズとして必要な屈折率分布特性を得ることが容易と
なり、結像性能の良い焦点位置可変レンズを構成するこ
とが可能である。
【0019】好ましくは、上記屈折率可変材料は液晶で
ある。
【0020】液晶は、電界に応じた屈折率分布を得るこ
とができ、製造も容易でる。したがって、液晶レンズ等
を構成することが容易である。
【0021】好ましくは、上記屈折率可変材料は、ポッ
ケルス効果材料又はカー効果材料である。
【0022】すなわち、屈折率が電界の強さに比例する
材料であるポッケルス効果材料や、屈折率が電界の強さ
に2乗に比例する材料であるカー効果材料は、所望の屈
折率分布を得るように構成する上で、好適である。
【0023】好ましくは、上記各電極対は、それぞれ、
一方の電極と他方の電極が同一形状である。
【0024】上記構成によれば、屈折率可変材を挟む同
一形状の電極間で電界を形成し、この広がりを利用して
電極のない非電極対向領域について屈折率分布を形成
し、レンズ効果をもたせることができ、屈折率分布の制
御や焦点位置可変空間変調デバイスの製造が容易にな
る。
【0025】また、本発明は、以下の構成の焦点位置可
変空間変調デバイスを提供する。
【0026】焦点位置可変空間変調デバイスは、光束内
に配置され入射光を偏向させることができる屈折率可変
材料と、該屈折率可変材料を挟んで両側に互いに略対向
して同心円状、同心楕円状、又は偏倍同心楕円状に間隔
を設けて配置された複数の電極対と、該電極対間に電圧
を印加する電圧印加手段とを備え、上記電極対間に印加
される電圧により上記屈折率可変材料の屈折率分布が変
わり焦点位置が変化するタイプのものである。上記電極
対は、その上記屈折率可変材料の一側の幅が、その上記
屈折率可変材料の他側の幅と異なる。
【0027】上記構成において、電圧印加手段により各
電極対間に電圧が印加されると、電界が生じる。屈折率
可変材料は、この電界に応じた屈折率分布となる。各電
極対において、一方の電極の幅が他方の電極の幅と異な
り、電界分布は広がりをもつので、屈折率分布曲線に勾
配を形成することができる。この屈折率分布曲線の勾配
は、後述するように種々の方法により所望形状とするこ
とができ、入射光が収斂又は発散する屈折率分布となる
ようにすることが容易である。
【0028】例えば、上記構成を液晶レンズに適用すれ
ば、電極対向領域の屈折率変化のみを利用する従来型の
液晶レンズよりも、フレアを減らすことができる。また
レンズとして必要な屈折率分布特性を得ることが容易と
なり、結像性能の良い焦点位置可変レンズを構成するこ
とが可能である。
【0029】したがって、大部分の光束が入射する部分
について屈折率分布を制御することにより、結像性能を
向上することができる。
【0030】さらに、上記構成によれば、収斂特性だけ
でなく、発散特性をもつようにすることも可能である。
【0031】好ましくは、上記屈折率可変材料は液晶で
ある。
【0032】液晶は、電界に応じた屈折率分布を得るこ
とができ、製造も容易でる。したがって、液晶レンズ等
を構成することが容易である。
【0033】好ましくは、上記屈折率可変材料は、ポッ
ケルス効果材料又はカー効果材料である。
【0034】すなわち、屈折率が電界の強さに比例する
材料であるポッケルス効果材料や、屈折率が電界の強さ
に2乗に比例する材料であるカー効果材料は、所望の屈
折率分布を得るように構成する上で、好適である。
【0035】具体的には、本願発明は、例えば、液晶を
はさんだ電極間の略一定の屈折率を利用するのではな
く、リング電極間の徐々に変化する屈折率分布を利用
し、フレアの影響を少なくし、屈折力量子化による結像
むらをなくして、結像性能の良い液晶レンズを提供す
る。
【0036】すなわち、従来は、例えばフレネルレンズ
の各プリズム要素が平面で構成されたプリズムの集まり
であるのが、本発明ではフレネルレンズの各プリズム要
素がレンズ球面で構成されたレンズの集まりであるとい
える。
【0037】本発明により、屈折率分布レンズ(グリン
レンズ)を液晶で実現し、その屈折率分布構造がフレネ
ルレンズのようになっているというレンズが実現すると
もいえる。
【0038】本発明の利用分野は、例えば、以下のよう
な領域である。
【0039】被写体からの光を入射する対物レンズの瞳
内を通過した光束を利用して、センシングを行う場合に
関係する。例えば、機器がカメラでセンシングが焦点検
出とする。
【0040】具体的には、デジタルカメラの撮像エリア
センサを利用してピント位置を求める場合に、例えばコ
ントラスト方式であれば最大コントラスト位置を求め
て、撮影レンズのフォーカスレンズを動かしてコントラ
スト検出の出力カーブのピーク位置を求めてピントを合
わせる。
【0041】一方、フォーカスレンズを動かさないでピ
ント位置を求める方法もある。2枚の撮像センサを撮影
レンズ光軸方向にずらせて配置し、コントラスト出力を
比較してピント位置を想定する。この場合、2つの出力
値の差を補間(外挿又は、内挿演算)してピント位置を
おおよそ予測する。この場合、レンズの初期位置のピン
トぼけ量によって、演算可否が分かれる。この時ぼけ量
が大きい場合は上記2つのセンサの光軸方向配置位置
(ピントずらし量)が大きい場合、ピント位置を見つけ
やすく、ぼけ量が小さい場合は、ピント位置検出精度を
上げるために2つのセンサの光軸方向配置位置(ピント
ずらし量)を小さく設定したい。大ぼけ時は2つのセン
サは光軸方向に大きく離したいし、ピントが合ってきた
ら光軸方向に小さくし、最後のピント位置決定(AF
完)の精度を上げたい。また、大ぼけでも高速AF可能
といえる。
【0042】よって、従来コントラスト方式のAFは時
間がかかっていたのが、本発明を使えば素早いくAFで
きるようになる。
【0043】その他、瞳径の異なる対物レンズでセンシ
ングする場合の対応できるの種類が増える。すなわち、
射出瞳によってけられることが問題であったセンシング
に対し、瞳位置に応じて光束を変更できるためにセンシ
ング範囲が増加する。
【0044】よって、例えばF値の明るいレンズしかピ
ント検出できなかったものが、本発明を使えば、暗いレ
ンズでもAFできるようになる。
【0045】又は、ピントのセンシングがF値の暗いと
ころの光束で検出するようにしか設計できなかったため
に、精度を落としていたのが、本発明によって高精度な
AFが可能となる。
【0046】さらに、撮影レンズでフォーカスレンズに
利用すれば焦点調節可能となる。従来フォーカシングに
ガラスレンズを光軸方向に相当量動かす必要があるため
に、撮影レンズを大きくする必要があったのが、本発明
により小型の撮影レンズができる。
【0047】なお、一般的な光学系設計において、従来
必要な焦点位置を得るために、レンズそのものを交換す
るか、又はレンズ1枚又は、複数レンズを移動する必要
があったのが、本発明により簡単に小型に光学系を構成
できる。
【0048】また、従来の液晶レンズの提案では、収斂
レンズ特性しか述べられていないが、発散レンズヘの応
用が可能である。液晶の屈折率の変化率を電極の幅で制
御することで任意の屈折率分布が得られ、発散レンズ
(凹レンズ)特性を構成することも可能となる。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施形態に係る
液晶レンズについて、図面を参照しながら説明する。
【0050】まず、図1を用いて、従来の液晶レンズに
ついて説明する。
【0051】図1(a)の模式断面図に示すように、液
晶レンズ500は、平行に配置した基板510,520
とシール材538,539で、液晶530を密封したも
のであり、基板510,520の互いに対向する面に
は、電極511,512,521,522と、配向膜5
18,528が形成されている。電極511,512;
521,522は、光軸Oと同心リング状に、かつ互い
に対向するように、それぞれ形成されている。そして、
対向する電極間の電極対向領域Pにおいては、電圧印加
による電界で液晶530の配向を変化させ、特定の屈折
率に制御することができる。しかし、その隣の電極が対
向しない非電極対向領域Nでは、液晶530の配光が変
化せず、屈折力を持たないとされていた。
【0052】そのため、領域Nと領域Pとでは屈折率が
異なり、図1(b)に端的に示したように、液晶レンズ
500の屈折率は、断続的な略方形の分布になる。換言
すると、図1(c)に示したように、液晶レンズ500
は、複数の直線状のレンズ面要素540を持ったフレネ
ルレンズに相当する。そして、図1(d)に示したよう
に、電極対向領域Pを通過した光束552は焦点550
に結像するが、非電極対向領域Nを通過した光束554
は焦点550に結像せず、結像性が低かった。
【0053】実際には、液晶530の配向が変化しなく
ても(たとえ水平としても)、屈折率は空気と異なるた
め屈折する。また、電極間で発生する電界により、電極
対向領域Pだけで配向が変化するのではなく、広がりを
持つ。特に、後者によって、非電極対向領域N内では、
電極対向領域Pから離れるに従い屈折率が徐々に大きく
なり、結果としてパワーを持つ。
【0054】そこで、従来は電極対向領域Pの屈折率を
制御して結像させていたのに対し、本発明では、図2に
示すように、非電極対向領域Nにおける屈折率を制御し
て、結像性を向上している。図中、10,20は基板、
18,28は配向膜、30は液晶、38,39はシール
材、Oは光軸、Lは光束の入射方向である。
【0055】すなわち、図2(a)の模式断面図に示す
ように、基板10,20に形成する同心リング状の電極
12,13;22,23の幅を、非電極対向領域Pの幅
よりも小さくし、また、電界遮断部32,34を設け、
リング状のセルに区切っている。これにより、図2
(b)に示すように、非電極対向領域Nにおいて所望の
傾きで屈折率を変化させている。この屈折率分布は、図
2(c)に示すように、複数の曲線状のレンズ面要素4
0を持ったのフレネルレンズに相当する。そして、図2
(d)に示したように、大部分の光束54が非電極対向
領域Nを通過し、焦点50に結像するようにして、結像
性を高くすることが可能である。さらには、電極対向領
域Pを通過する光束52も焦点50に結像させ、結像性
を一層向上することも可能である。
【0056】本発明の液晶レンズは、具体的には、以下
のように種々の態様で構成することができる。
【0057】図3(a)の断面図に示すようにセルで区
切らない場合には、隣接する電極間の電界変化の影響
で、屈折率は、図3(b)のように、山が繰り返すよう
な分布となる。所望の結像性を得るには、一つの山状の
屈折率分布におて、その上昇部分又は下降部分の何れか
一方のみを含む分布であることが必要である。そのため
には、以下の各構成が可能である。
【0058】図4(a)の要部断面図は、不要な光束を
カットする遮光部62〜65を設ける構成を示してい
る。この構成では、遮光部62〜65は、屈折率分布曲
線のうち結像性能に寄与しない範囲QT(図3(b)参
照)に対応する部分を通過する光束を遮断し、寄与する
範囲QSに対応する部分についてのみ、光束が通過する
ようにする。遮光部62〜65は、例えば不透明膜を形
成することにより、容易に形成することができる。しか
し、この方法では、図4(b)に示したように、山状の
屈折率分布曲線の片側をカットすることになるので、全
体光量が略半分に減少する。
【0059】なお、図4は収斂系のレンズ(凸レンズ)
の場合であるが、発散系のレンズ(凹レンズ)の場合に
は、屈折率分布曲線のうち使用しなかった部分QTを使
用することになるので、図4(a)とは逆の部分(光が
透過する部分)をマスクすることになる。
【0060】別の構成としては、セルに区切り、有効領
域を広げる。
【0061】図5は、電界シールド31,33,35,
37によりセルに区切った場合の構成図である。電界シ
ールド31,33,35,37は、例えば、銅や、透明
電極で使用する材料(酸化インジウム、酸化錫、ITO
すなわちインジウム錫酸化物など)を利用する。
【0062】図7(a)に示すように、電極の間隔を変
えることにより、所望の屈折率分布を得ることができ
る。
【0063】すなわち、光軸Oの中心付近の電極間隔を
広くし、光軸Oの周辺部分では電極の間隔を狭くするこ
とで、図7(b)に示すように、セルごとの屈折分布に
差をつける。
【0064】いわゆるフレネルゾーンプレートの形とよ
く似た屈折分布とするには、図7中の記号を用いると、
各セルの幅については、 a>b>c>d>e (1) 各セルの最大屈折率については、 QA>QB>QC>QD>QE (2) である。
【0065】この場合には、各電極12〜16,22〜
26に同一電圧を印加することができる。
【0066】1つ1つのセルを区切ることで、所望の方
向とは逆方向に偏向する光束をなくし、透過率を向上さ
せることができる。また、非電極対向領域の屈折率分布
特性を向上させ、レンズ効果(結像性能)を向上させる
ことができる。また、非球面レンズ効果を設定すること
も可能である。
【0067】また、図8に示すように、電極に印加する
電圧を変えることにより、所望の屈折率分布を得ること
もできる。
【0068】図8では、各セルA〜Fについて、それぞ
れの電極X1〜X6に印加する電圧を抵抗R1〜R5により
段階的に変え、各セルA〜Fにおける最大電圧VA〜VF
が、 VF>VE>VD>VC>VB>VA (3) となるようにして、全体のパワーを制御するものであ
る。電源Vは、例えば1kHz、5Vの電圧を交流駆動
させる。この場合は、受光手段を同期させる必要があ
る。なお、直流電源で、一定の屈折率を維持できる材料
の場合は同期の必要はない。
【0069】この場合、光軸Oの中央部を低電圧、光軸
Oの周辺部を高電圧にすることで、図9に示すように、
中央部付近のセルの液晶30については水平配向に近い
状態、すなわち高屈折率とし、周辺部付近のセルの液晶
30については配向の強い状態、すなわち低屈折率にで
き、フレネルレンズのような屈折率分布効果が発揮でき
る。
【0070】すなわち、各セルA〜Dについての屈折率
の分布が、図9(a)に示す記号を用いて、 QA>QB>QC>QD(4) QA >QB >QC >QD (5) となるようにすることができる。
【0071】また、非球面効果も付加でき、レンズ性能
が向上する。
【0072】各セルは、図10〜図14のように、種々
の態様の構成とすることができる。
【0073】図10は、各液晶セルを同心筒状の壁W1
〜W6で各円環状のセルごとに明確に分離したものであ
る。電磁シールド材からなる壁W1〜W6で仕切り、隣接
するセルの電極の影響を受けないようにして、屈折力を
高く設定することができる。ただし、液晶セルヘの入射
角が垂直に近い場合に有効であり、角度がつくと分離用
の壁W1〜W6が光路を遮り、悪影響を与える。
【0074】図11は、各セルの屈折力を高く設定する
ために、各電極X2〜X6,Y2〜Y6の近傍にそれぞれグ
ランド電極S2〜S6,T2〜T6を設定したものである。
隣のセルの影響をなくす効果を持つ。グランドから制御
するため、電位差の制御範囲が広く、また確実に設定で
きる。
【0075】図12は、セルを明確に分離する壁W1
5を設定するとともに、各壁Wiの両側に、それぞれ電
極SiとTiの対、XiとYiの対を配置する構成を示す。
印加電圧は、VとV2で円環状のセルの外部と内部をお
さえ、電界分布の制御をきめ細かくし、光路偏向の有効
領域を広げることを可能とする。
【0076】図13は、各セル自体の構成は図11と同
じであるが、図11と異なり、電極Y1〜Y6もグランド
に接地している。また、電圧Vは、マイコンによって変
える。
【0077】図14は、各セル自体の構成は図10と同
じであるが、図11と異なり、各電極には同一電圧を印
加し、その大きさは可変抵抗Rによって変えることがで
きる。
【0078】図15は、凹レンズの場合の例である。
【0079】凹レンズ構成とするためには、電界シール
ドの壁W2〜W6と電極X1〜X6,Y 1〜Y6を、凸レンズ
系とは逆の位置関係に配置し、電圧の大小の並びも逆に
する。
【0080】すなわち、光軸Oの中央部付近では高電
圧、光軸Oの周辺部付近では低電圧にすることで、図1
5(b)に示すように、屈折率分布曲線が凹状で、中央
部付近を低屈折率、周辺部付近で高屈折率として、凹レ
ンズとしての屈折率分布効果が発揮できるようにしてい
る。
【0081】すなわち、各セルA〜Fについての屈折率
の分布は、図中の記号を用いると、 QF>QE>QD>QC>QB>QA (6) QF >QE >QD >QC >QB >QA (7) となる。
【0082】屈折率曲線が凹系か凸系かは、対向する電
極同士Xi,Yi(i=1,2,・・・)の幅の寸法比で
決めることができる。図15では、電極Yi(i=1,
2,・・・)の幅を広くとり、屈折率の立ち上がりをゆ
るくすることで、凹レンズ(拡散レンズ)系の性格を持
たせている。電極同士Xi,Yi(i=1,2,・・・)
が同じ幅であれば、前述したように、凸レンズ系(収斂
レンズ)の特性を持たせることになる。この特性は、設
計時に決定する。
【0083】以上の説明では、液晶材料として、誘電異
方性が正のネマチック液晶を用いた場合について述べた
が、他に、透明な固体や液体であって電場を加えたとき
に屈折率が変化する材料を用いてもよい。
【0084】屈折率変化が電場の強さに比例するポッケ
ルス効果のある材料(例えば、BaTiO3、KH2PO
4(KHP)、KD2PO4(KDP)、LiNbO3、Zn
O)、又は電場の2乗に比例するカー効果利用の材料
(例えば、CS2)でもよい。
【0085】なお、材料に応じて、光軸中央部付近と周
辺部付近に印加する電圧分布の関係が逆配置になっても
よい。
【0086】すなわち、使用材料の特性は、電界エネル
ギーが大きいほど屈折率が小さく、電界エネルギーが小
さくなると屈折率が大きくなる場合の実施例を示した
が、逆の場合もある。その場合には、例えば図6に示す
ように、電極11〜14、21〜24と電界シールド3
2〜34の関係は、図5とは逆になる。
【0087】また、光軸中心部を高電圧、周辺部を低電
圧にすることで、レンズ特性の向上も図ることができ
る。この場合は、例えば図16に示すようになる。
【0088】材料の特性と、使用目的に応じて整理する
と、図18のようになる。この図において、は印加す
る電圧が一定で、電極間隔のみで制御する場合であり、
は、電圧の変化をつけ、レンズ特性向上を図る場合で
ある。
【0089】凸レンズ特性向上のためには、周辺部の屈
折率を低い状態にすることを目的としている。凹レンズ
の場合は、周辺部の屈折率を高い状態にする。
【0090】以上説明した各実施例の液晶レンズは、液
晶の屈折率を制御することにより、結像性能の良い液晶
レンズとすることができる。
【0091】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、その他種々の態様で実施可能である。
【0092】例えば、これまで説明してきた実施例で
は、電極は同心リング状であるため、各電極の配線は多
層構成とすることが必要であるが、コストを下がるため
には、図17に示したように、渦巻き状の電極とすれ
ば、配線層を減らすことが可能である。この場合、性能
上は、同心電極の場合よりも落ちるが、配線は容易とな
る。
【0093】本発明のデバイスは、例えば図19に示す
ように、光学レンズの光束内に設置して利用する。図1
9(a)に示したように、光束が透過するデバイスとし
て用いても、図19(b)に示すように、入射面とは反
対側に反射面を設け、光束を反射するデバイスとして用
いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の液晶レンズの説明図である。
【図2】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図3】 従来例の液晶レンズの説明図である。
【図4】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図5】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図6】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図7】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図8】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図9】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図10】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図11】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図12】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図13】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図14】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図15】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図16】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図17】 本発明の液晶レンズの説明図である。
【図18】 本発明の液晶レンズの構成態様を整理した
表である。
【図19】 本発明のデバイスの利用法の説明図であ
る。
【符号の説明】
10 基板 11〜16 電極(電極対) 18 配向膜 20 基板 21〜26 電極(電極対) 28 配向膜 30 液晶(屈折率可変材料) 31、33,35,37 電界シールド 32,34 区切り 38,39 シール材 40 レンズ面要素 50 焦点 52,54 光束 62〜65 遮光部 L 入射方向 N 非電極対向領域 O 光軸 P 電極対向領域 S1〜S6 電極 T1〜T6 電極 V,V2 電源(電圧印加手段) W1〜W6 壁 X1〜X6 電極(電極対) Y1〜Y6 電極(電極対)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光束内に配置され入射光を偏向させるこ
    とができる屈折率可変材料と、該屈折率可変材料を挟ん
    で両側に互いに略対向して同心円状、同心楕円状、又は
    偏倍同心楕円状に間隔を設けて配置された複数の電極対
    と、該電極対間に電圧を印加する電圧印加手段とを備
    え、上記電極対間に印加される電圧により上記屈折率可
    変材料の屈折率分布が変わり焦点位置が変化する、焦点
    位置可変空間変調デバイスにおいて、 上記各電極対の互いに対向する電極間の電極対向領域の
    幅に比べ、該電極対向領域間の非電極対向領域の幅の方
    が広く、 上記非電極対向領域の上記屈折率可変材料の屈折率分布
    が、隣接する上記電極対に印加される電圧により変わり
    焦点位置が変化することを特徴とする、焦点位置可変空
    間変調デバイス。
  2. 【請求項2】 上記屈折率可変材料は液晶であることを
    特徴とする、請求項1記載の焦点位置可変空間変調デバ
    イス。
  3. 【請求項3】 上記屈折率可変材料は、ポッケルス効果
    材料又はカー効果材料であることを特徴とする、請求項
    1記載の焦点位置可変空間変調デバイス。
  4. 【請求項4】 上記各電極対は、それぞれ、一方の電極
    と他方の電極が同一形状であることを特徴とする、請求
    項1記載の焦点位置可変空間変調デバイス。
  5. 【請求項5】 光束内に配置され入射光を偏向させるこ
    とができる屈折率可変材料と、該屈折率可変材料を挟ん
    で両側に互いに略対向して同心円状、同心楕円状、又は
    偏倍同心楕円状に間隔を設けて配置された複数の電極対
    と、該電極対間に電圧を印加する電圧印加手段とを備
    え、上記電極対間に印加される電圧により上記屈折率可
    変材料の屈折率分布が変わり焦点位置が変化する、焦点
    位置可変空間変調デバイスにおいて、 上記電極対は、その上記屈折率可変材料の一側の幅が、
    その上記屈折率可変材料の他側の幅と異なることを特徴
    とする、焦点位置可変空間変調デバイス。
  6. 【請求項6】 上記屈折率可変材料は液晶であることを
    特徴とする、請求項5記載の焦点位置可変空間変調デバ
    イス。
  7. 【請求項7】 上記屈折率可変材料は、ポッケルス効果
    材料又はカー効果材料であることを特徴とする、請求項
    5記載の焦点位置可変空間変調デバイス。
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